特許第6967093号(P6967093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967093
(24)【登録日】2021年10月26日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】装着作業機および、清掃方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20211108BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-7570(P2020-7570)
(22)【出願日】2020年1月21日
(62)【分割の表示】特願2015-52353(P2015-52353)の分割
【原出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2020-61583(P2020-61583A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】浅野 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】本多 利充
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一朗
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−267796(JP,A)
【文献】 特開2002−100900(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3058436(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3057812(JP,U)
【文献】 特開2009−267038(JP,A)
【文献】 特開平11−090367(JP,A)
【文献】 実開平05−026046(JP,U)
【文献】 特開平07−243383(JP,A)
【文献】 特開2009−088424(JP,A)
【文献】 特開2008−235647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装される部品を、エアの吸引により吸着保持し、エアの噴出により離脱する吸着ノズルが着脱可能に装着される装着部を有する作業ヘッドと、
前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、
前記吸着ノズルの代わりに前記装着部に装着されるノズルであって、前記装着部に装着された状態でエアの噴出により清掃を行う清掃用ノズルと、
前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの各々を収納することが可能なノズルステーションと
テープ化部品を剥離装置に自動でセットするオートローディング機能を有するテープフィーダと、
前記オートローディング機能を有していないテープフィーダと、
を備え、
前記ノズルステーションに収納されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの一方と、前記装着部に装着されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの他方とを交換する装着作業機であって、
清掃対象物が前記オートローディング機能を有するテープフィーダと前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとの何れであるかを判断し、前記オートローディング機能を有するテープフィーダと、前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとで異なる箇所を、前記装着部に装着されている前記清掃用ノズルによって清掃し、
前記清掃用ノズルは、
先端部からエアを噴出する噴出管と、
前記噴出管の先端部からエアを噴出する噴出孔を囲むとともに、下方に延び出すように、円環状に配設されるブラシと
を有し、
前記ブラシは、先端部において下方に向かって収束する先細り形状である装着作業機。
【請求項2】
基板に実装される部品を、エアの吸引により吸着保持し、エアの噴出により離脱する吸着ノズルが着脱可能に装着される装着部を有する作業ヘッドと、
前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、
前記吸着ノズルの代わりに前記装着部に装着されるノズルであって、前記装着部に装着された状態でエアの噴出により清掃を行う清掃用ノズルと、
前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの各々を収納することが可能なノズルステーションと
テープ化部品を剥離装置に自動でセットするオートローディング機能を有するテープフィーダと、
前記オートローディング機能を有していないテープフィーダと、
を備え、前記ノズルステーションに収納されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの一方と、前記装着部に装着されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの他方とを交換する装着作業機に配設されている器具を清掃するための清掃方法であって、
前記清掃用ノズルは、
先端部からエアを噴出する噴出管と、
前記噴出管の先端部からエアを噴出する噴出孔を囲むとともに、下方に延び出すように、円環状に配設されるブラシと
を有し、
前記ブラシは、先端部において下方に向かって収束する先細り形状であり、
清掃対象物が前記オートローディング機能を有するテープフィーダと前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとの何れであるかを判断し、前記装着部に装着された清掃用ノズルからのエアの噴出により、前記オートローディング機能を有するテープフィーダと、前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとで異なる箇所の清掃を行うことを特徴とする清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板に装着する装着作業機で清掃を行うための清掃用ノズルを備える装着作業機、および、清掃方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品を基板に装着する装着作業機では、装着作業機に配設されている器具等の作動を担保するべく、定期的に清掃されることが好ましい。下記特許文献1には、清掃用ブラシを装着ヘッドにより保持し、その清掃用ブラシにより、清掃作業を行うことが記載されている。また、下記特許文献2には、装着作業機に、エアブロー装置を設け、そのエアブロー装置によってエアを噴出することで、清掃作業を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−267038号公報
【特許文献2】特開2001−94298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の技術によれば、ある程度、清掃作業を実行することが可能である。しかしながら、清掃用ブラシでは、器具の内部に入り込んでいる埃等を適切に除去することは困難である。また、装着作業機に、敢えてエアブロー装置等を配設することは、コスト、配設スペース等を考慮すると、好ましくない。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、コスト、配設スペース等を考慮したうえで、適切に清掃作業を実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願に記載の装着作業機は、基板に実装される部品を、エアの吸引により吸着保持し、エアの噴出により離脱する吸着ノズルが着脱可能に装着される装着部を有する作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記吸着ノズルの代わりに前記装着部に装着されるノズルであって、前記装着部に装着された状態でエアの噴出により清掃を行う清掃用ノズルと、前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの各々を収納することが可能なノズルステーションと、テープ化部品を剥離装置に自動でセットするオートローディング機能を有するテープフィーダと、前記オートローディング機能を有していないテープフィーダと、を備え、前記ノズルステーションに収納されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの一方と、前記装着部に装着されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの他方とを交換する装着作業機であって、清掃対象物が前記オートローディング機能を有するテープフィーダと前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとの何れであるかを判断し、前記オートローディング機能を有するテープフィーダと、前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとで異なる箇所を、前記装着部に装着されている前記清掃用ノズルによって清掃し、前記清掃用ノズルは、先端部からエアを噴出する噴出管と、前記噴出管の先端部からエアを噴出する噴出孔を囲むとともに、下方に延び出すように、円環状に配設されるブラシとを有し、前記ブラシは、先端部において下方に向かって収束する先細り形状であることを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するために、本願に記載の清掃方法は、基板に実装される部品を、エアの吸引により吸着保持し、エアの噴出により離脱する吸着ノズルが着脱可能に装着される装着部を有する作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記吸着ノズルの代わりに前記装着部に装着されるノズルであって、前記装着部に装着された状態でエアの噴出により清掃を行う清掃用ノズルと、前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの各々を収納することが可能なノズルステーションと、テープ化部品を剥離装置に自動でセットするオートローディング機能を有するテープフィーダと、前記オートローディング機能を有していないテープフィーダと、を備え、前記ノズルステーションに収納されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの一方と、前記装着部に装着されている前記吸着ノズルと前記清掃用ノズルとの他方とを交換する装着作業機に配設されている器具を清掃するための清掃方法であって、前記清掃用ノズルは、先端部からエアを噴出する噴出管と、前記噴出管の先端部からエアを噴出する噴出孔を囲むとともに、下方に延び出すように、円環状に配設されるブラシとを有し、前記ブラシは、先端部において下方に向かって収束する先細り形状であり、清掃対象物が前記オートローディング機能を有するテープフィーダと前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとの何れであるかを判断し、前記装着部に装着された清掃用ノズルからのエアの噴出により、前記オートローディング機能を有するテープフィーダと、前記オートローディング機能を有していないテープフィーダとで異なる箇所の清掃を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願に記載の清掃用ノズルは、基板に実装される部品を、エアの吸引により吸着保持し、エアの噴出により離脱する吸着ノズルが着脱可能に装着される装着部に、吸着ノズルの代わりに装着されるノズルである。そして、その清掃用ノズルが、装着部に装着された状態で、エアを噴出することで、清掃が行われる。これにより、清掃用ノズルを用意するだけで、適切に清掃を行うことが可能となる。
【0008】
また、本願に記載の清掃方法では、装着部に装着された吸着ノズル、若しくは、清掃用ノズルによって、清掃が行われる。これにより、既存の設備だけ、若しくは、清掃用ノズ
ルを用意するだけで、適切に清掃を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子部品装着装置を示す斜視図である。
図2】吸着ノズルを示す斜視図である。
図3】テープ化部品を示す平面図である。
図4】清掃用ノズルを示す斜視図である。
図5】制御プログラムのフローチャートを示す図である。
図6】制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0011】
<電子部品装着装置の構成>
図1に、電子部品装着装置10を示す。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0012】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28、ノズルステーション30を備えている。装着機本体20は、フレーム部32と、そのフレーム部32に上架されたビーム部34とによって構成されている。
【0013】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部32に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図示省略)によって固定的に保持される。
【0014】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータの作動によって、フレーム部32上の任意の位置に移動させられる。
【0015】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26の下端面には、吸着ノズル60が設けられている。吸着ノズル60は、図2に示すように、胴体筒64とフランジ部66とエア流通管67と吸着管68と掛止ピン69とによって構成されている。胴体筒64は、円筒状をなし、フランジ部66は、胴体筒64の外周面に張り出すようにして固定されている。エア流通管67は、胴体筒64の内部に配設されており、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図示省略)に通じている。また、吸着管68は、胴体筒64の下端部から下方に向かって延び出した状態で、エア流通管67に接続されている。掛止ピン69は、胴体筒64の径方向に延びるように、胴体筒64の上端部に設けられている。吸着ノズル60は、掛止ピン69を利用して、装着ヘッド26にワンタッチで着脱可能に取り付けられる。
【0016】
このような構造により、吸着ノズル60は、吸着管68において、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。つまり、吸着ノズル60は
、吸着管68の先端部から吸引されるエアにより、電子部品を吸着保持し、吸着管68の先端部から噴出されるエアにより、電子部品を離脱する。また、装着ヘッド26は、吸着ノズル60を昇降させるノズル昇降装置(図示省略)と、吸着ノズル60を軸線周りに自転させるノズル自転装置とを有している。これにより、装着ヘッド26は、ノズル昇降装置によって、保持する電子部品の上下方向の位置を変更し、ノズル自転装置によって、保持する電子部品の姿勢を調整する。
【0017】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、図1に示すように、フレーム部32の前方側の端部に配設されている。供給装置28は、複数のテープフィーダ70を有している。各テープフィーダ70は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品72は、図3に示すように、キャリアテープ74と、電子部品76と、トップカバーテープ78とから構成されている。キャリアテープ74には、多数の収容凹部80および送り穴82が等ピッチで形成されており、収容凹部80に電子部品76が収容されている。そして、電子部品76が収容された収容凹部80が、トップカバーテープ78によって覆われている。
【0018】
また、テープフィーダ70の内部には、スプロケット(図示省略)が内蔵されており、そのスプロケットが、テープ化部品72の送り穴82に係合している。これにより、スプロケットが回転することで、テープ化部品72が供給位置に向かって送り出される。なお、テープ化部品72の配設経路に、剥離装置(図示省略)が配設されており、キャリアテープ74からトップカバーテープ78が剥離される。そして、トップカバーテープ78が剥離されたテープ化部品72が供給位置まで送り出されることで、供給位置において、電子部品76が供給される。
【0019】
なお、装着機14では、通常のテープフィーダと、オートローディングフィーダとの2種類のテープフィーダ70が採用されている。通常のテープフィーダでは、テープ化部品72がテープフィーダ70にセットされる際に、作業者が、手作業で、キャリアテープ74からトップカバーテープ78を剥がし、剥離装置にセットする。一方、オートローディングフィーダでは、テープ化部品72の配設経路にカッター機構(図示省略)が設けられており、カッター機構の作動により、自動で、キャリアテープ74からトップカバーテープ78が剥がされ、剥離装置にセットされる。
【0020】
また、図1に示すように、ノズルステーション30は、複数の吸着ノズル60を収容するノズルトレイ88を有している。ノズルステーション30では、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル60と、ノズルトレイ88に収容されている吸着ノズル60との交換が、移動装置24等の作動により自動で行われる。
【0021】
さらに、装着機14は、マークカメラ(図示省略)および、パーツカメラ90を有している。マークカメラは、下方を向いた状態でスライダ50に取り付けられており、装着ヘッド26とともに、フレーム部32の上を移動させられる。これにより、マークカメラは、フレーム部32上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ90は、フレーム部32上の搬送装置22と供給装置28との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ90は、吸着ノズル60に保持された電子部品を撮像する。
【0022】
<装着機による装着作業>
装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して電子部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基板が、作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置によって固定的に保持される。次に、マークカメラが、回路基板の上方に移動し、回路基板を撮像する。これにより、回路基板の保持位置等に関する情報が得られる。また、マークカメラは、テープフィーダ70の上方に移動し、テープフ
ィーダ70に記されているフィーダマーク(図示省略)を撮像する。フィーダマークは、テープフィーダ70の供給位置のキャリブレーションを行うためのマークである。そのテープフィーダ70では、所定の供給位置において、電子部品が供給されている。そして、装着ヘッド26が、テープフィーダ70の供給位置の上方に移動し、フィーダマークの撮像により得られた情報に基づいて、装着ヘッド26の位置が微調整される。そして、吸着ノズル60が下降し、エアの吸引により電子部品を吸着保持する。続いて、電子部品を保持した装着ヘッド26が、パーツカメラ90の上方に移動し、パーツカメラ90によって、吸着ノズル60に保持された電子部品が撮像される。これにより、部品の保持位置等に関する情報が得られる。続いて、電子部品を保持した装着ヘッド26が、回路基板の上方に移動し、回路基板の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正する。そして、吸着ノズル60が、下降し、エアの噴出により電子部品を離脱することで、回路基板に電子部品が装着される。
【0023】
<テープフィーダの清掃>
装着機14では、上述したように、テープフィーダ70によって供給された電子部品が、吸着ノズル60によって吸着保持され、その電子部品が回路基板上に装着される。このような装着作業時には、テープフィーダ70では、テープ化部品72がスプロケットの回転により送り出され、キャリアテープ74からトップカバーテープ78が剥がされることで、供給位置において電子部品が供給される。この際、トップカバーテープ78の剥離により、埃等が発生するため、テープフィーダ70の清掃は、定期的に行われることが好ましい。
【0024】
ただし、テープフィーダ70の清掃のために、テープフィーダ70を装着機14から取り外し、その取り外されたテープフィーダ70を機外で清掃し、再度、そのテープフィーダ70を装着機14に装着する作業には、ある程度の時間を要する。特に、装着機14に、多くのテープフィーダ70が装着されている場合には、それら多くのテープフィーダ70の取り外し、清掃、再装着の作業には、多大な時間を要する。また、作業者の負担は相当大きい。このため、装着機14では、自動でテープフィーダ70の清掃作業が行われる。
【0025】
具体的には、ノズルステーション30のノズルトレイ88に、清掃用ノズルが収納されている。清掃用ノズル100は、図4に示すように、胴体筒102とフランジ部104とエア流通管106と噴出管108とブラシ110と掛止ピン112とによって構成されている。清掃用ノズル100の胴体筒102とフランジ部104とエア流通管106と掛止ピン112とは、吸着ノズル60の胴体筒64とフランジ部66とエア流通管67と掛止ピン69と同形状である。このため、清掃用ノズル100を、吸着ノズル60の代わりに、装着ヘッド26に装着することが可能である。また、噴出管108は、エア流通管106に接続されている。これにより、エア流通管106への正圧の供給により、噴出管108の先端部からエアが噴出される。また、噴出管108の先端部には、エアが噴出される噴出孔(図示省略)を囲むとともに、下方に延び出すように、ブラシ110が、円環状に配設されている。また、ブラシ110は、先端部において、エアが噴出される噴出孔の下方に向かって収束するように、配設されている。つまり、ブラシ110は、先細り形状とされている。
【0026】
また、装着機14の表示パネル(図示省略)には、テープフィーダ70の清掃を行うための清掃コマンドボタンが表示されており、そのボタンが操作されることで、清掃コマンド実行画面(図示省略)が、表示パネルに表示される。その清掃コマンド実行画面には、清掃対象のテープフィーダ70を選択するための選択ボタン(図示省略)と、スタートボタン(図示省略)とが表示されている。この清掃コマンド実行画面において、選択ボタンの操作により、清掃対象のテープフィーダ70が選択されることで、マークカメラがノズ
ルステーション30のノズルトレイ88の上方に移動し、ノズルトレイ88がマークカメラにより撮像される。そして、ノズルトレイ88内に清掃用ノズル100が収納されているか否かが、判断される。この際、ノズルトレイ88に清掃用ノズル100が収納されていない場合には、表示パネルに、ノズル収納案内画面が表示される。このノズル案内収納画面には、ノズルトレイ88に清掃用ノズル100が収納されていないため、ノズルトレイ88への清掃用ノズル100の収納を促すコメントが表示されている。これにより、作業者は、この画面を見ることで、ノズルトレイ88に清掃用ノズル100を収納する。
【0027】
そして、作業者が、清掃コマンド実行画面のスタートボタンを操作することで、装着ヘッド26がノズルトレイ88の上方に移動し、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル60と、ノズルトレイ88に収納されている清掃用ノズル100との交換が、ノズルステーション30において行われる。装着ヘッド26に清掃用ノズル100が装着されると、清掃用ノズル100による清掃作業が実行される。
【0028】
清掃用ノズル100による清掃作業時には、エア流通管106に正圧が供給されることで、噴出管108の先端部からエアが噴出される。つまり、噴出管108の先端部に円環状に配設されているブラシ110から、エアが噴出される。さらに、清掃用ノズル100による清掃作業時には、清掃用ノズル100は、ノズル自転装置の作動により、軸線周りに自転する。これにより、ブラシ110が、それの軸線を中心に自転する。この際、清掃用ノズル100のブラシ110が、清掃対象のテープフィーダ70のフィーダマークに接触されることで、フィーダマークに付着している埃等が取り除かれ、フィーダマークを適切に確認することが可能となる。また、エアを噴出するとともに、自転しているブラシ110が、清掃対象のテープフィーダ70のスプロケットに接触することで、スプロケットに付着している埃等が取り除かれ、スプロケットの回転が担保される。
【0029】
さらに、清掃対象のテープフィーダ70が、オートローディングフィーダである場合には、エアを噴出するとともに、自転しているブラシ110が、清掃対象のオートローディングフィーダのカット機構に接触する。オートローディングフィーダのカット機構は、上述したように、キャリアテープ74からトップカバーテープ78を剥がす機構であるため、埃等が付着しやすい。また、トップカバーテープ78がキャリアテープ74に貼り合わされていた際の粘着物等が、カット機構に付着している虞がある。このため、清掃用ノズル100によりカット機構を清掃することで、ブラシ110の自転により、付着物をカット機構から取り外し、その取り外された付着物をカット機構から吹き飛ばすことが可能となる。これにより、カット機構を適切に清掃することが可能となる。
【0030】
上記作業手順に従って、1台のテープフィーダ70の清掃作業が完了すると、次のテープフィーダ70の清掃作業が実行され、清掃対象に選択されたテープフィーダ70が順次、清掃される。そして、清掃対象に選択されたテープフィーダ70の全ての清掃作業が完了すると、装着ヘッド26がノズルトレイ88の上方に移動し、装着ヘッド26に装着されている清掃用ノズル100と、ノズルトレイ88に収納されている吸着ノズル60との交換が、行われる。つまり、清掃作業が完了すると、清掃用ノズル100がノズルトレイ88に戻され、装着作業用に、装着ヘッド26に吸着ノズル60が装着される。これにより、清掃対象の完了したテープフィーダ70を用いて、装着作業を実行することが可能となる。
【0031】
このように、装着機14では、ブラシ110の自転と、エアの噴出とにより、埃等を除去し、適切にテープフィーダ70の清掃を行うことが可能となる。また、装着機14では、テープフィーダ70を装着機14から取り外すことなく、装着機14に装着された状態で、テープフィーダ70が自動で清掃される。これにより、テープフィーダ70の清掃時間を短くするとともに、作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0032】
また、装着機14では、ノズルトレイ88に収納されている清掃用ノズル100が、吸着ノズル60の代わりに装着ヘッド26に装着され、その清掃用ノズル100によって清掃が行われる。このため、清掃用ノズル100を用意し、既存の移動装置24、装着ヘッド26、ノズルステーション30等を利用することで、テープフィーダ70の清掃を行うことが可能である。これにより、コストを殆どかけることなく、既存の装着機において、清掃用ノズル100を用いた清掃作業を行うことが可能となる。さらに言えば、清掃用ノズル100のブラシ110は、先細り形状とされている。このため、テープフィーダ70の清掃により、ブラシ110の先端部が、多少、広がっても、清掃用ノズル100を適切にノズルトレイ88内に戻すことが可能となる。
【0033】
また、清掃用ノズル100による清掃作業の前に、テープフィーダ70の汚れの程度を確認することが可能である。詳しくは、清掃作業前に、マークカメラにより、清掃対象のテープフィーダ70のフィーダマーク、スプロケット、カット機構等を撮像する。そして、その撮像データに基づいて、フィーダマーク、スプロケット、カット機構等の汚れの程度を判定する。この際、例えば、殆ど埃等が付着していないと判定された場合には、その部位の清掃作業を行わず、埃等により、汚れの程度が酷い部位のみの清掃作業を行うことが可能である。このように、清掃作業の前にテープフィーダ70の汚れの程度を確認することで、清掃作業に要する時間を短縮することが可能となる。
【0034】
なお、上述した清掃用ノズル100による清掃作業は、装着機14の制御装置(図示省略)において、制御プログラムが実行されることによって行われる。以下に、その制御プログラムが実行される際のフローを、図5および図6を用いて説明する。
【0035】
制御プログラムでは、まず、清掃コマンドボタンが操作された否かが、判断される(S100)。清掃コマンドボタンが操作されていない場合(S100のNO)には、S100の処理が繰り返される。一方、清掃コマンドボタンが操作されている場合(S100のYES)には、清掃コマンド実行画面において、清掃対象のテープフィーダ70が選択されているか否かが、判断される(S102)。そして、清掃対象のテープフィーダ70が選択されていない場合(S102のNO)には、S102の処理が繰り返される。
【0036】
一方、清掃対象のテープフィーダ70が選択されている場合(S102のYES)には、ノズルトレイ88がマークカメラにより撮像され、その撮像データに基づいて、清掃用ノズル100がノズルトレイ88に収納されているか否かが、判断される(S104)。ノズルトレイ88に清掃用ノズル100が収納されていない場合(S104のNO)には、表示パネルにノズル収納案内画面が表示される(S106)。そして、S104に戻る。一方、ノズルトレイ88に清掃用ノズル100が収納されている場合(S104のYES)には、清掃コマンド実行画面においてスタートボタンが操作されたか否かが、判断される(S108)。
【0037】
スタートボタンが操作されていない場合(S108のNO)には、S108の処理が繰り返される。一方、スタートボタンが操作されている場合(S108のYES)には、装着ヘッド26がノズルトレイ88の上方に移動し、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル60と、ノズルトレイ88に収納されている清掃用ノズル100とが交換される(S110)。次に、清掃対象のテープフィーダ70のフィーダマークが清掃用ノズル100により清掃される(S112)。続いて、清掃対象のテープフィーダ70のスプロケットが清掃用ノズル100により清掃される(S114)。
【0038】
次に、清掃対象のテープフィーダ70がオートローディングフィーダであるか否かが、判断される(S116)。清掃対象のテープフィーダ70がオートローディングフィーダ
である場合(S116のYES)には、清掃対象のテープフィーダ70のカット機構が清掃用ノズル100により清掃される(S118)。そして、S120に進む。一方、清掃対象のテープフィーダ70がオートローディングフィーダでない場合(S116のNO)には、S118の処理がスキップされ、S120に進む。
【0039】
S120では、清掃コマンド実行画面において選択されたテープフィーダ70の全ての清掃作業が完了したか否かが、判断される(S120)。清掃コマンド実行画面において選択されたテープフィーダ70の全ての清掃作業が完了していない場合(S120のNO)には、S112に戻る。一方、清掃コマンド実行画面において選択されたテープフィーダ70の全ての清掃作業が完了している場合(S120のYES)には、制御プログラムの処理が終了する。
【0040】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、清掃用ノズル100の噴出管108からエアが噴出されることで、清掃作業が実行されているが、噴出管108からエアを吸引することで、清掃作業を実行することが可能である。つまり、掃除機のように、噴出管108から埃等を吸引することで清掃作業を実行することが可能である。ただし、このような場合には、エア流通管106等の内部に、フィルタを配設し、正負圧供給装置への埃等の混入を防止する必要がある。
【0041】
また、上記実施例では、清掃用ノズル100による清掃対象が、テープフィーダ70とされているが、装着機14に配設されているノズルステーション30、パーツカメラ90等の種々の器具の清掃に、清掃用ノズル100を用いることが可能である。
【0042】
また、上記実施例では、ブラシ110が配設された清掃用ノズル100を用いて清掃作業が実行されているが、ブラシ110の無い清掃用ノズルにより清掃作業を実行してもよい。さらに言えば、清掃用ノズル100ではなく、吸着ノズル60を用いて清掃作業を実行することも可能である。つまり、電子部品の装着作業に用いている吸着ノズル60により、清掃対象の器具に向かって、エアを噴出することで、埃等を吹き飛ばして、清掃作業を行うことが可能である。このように、吸着ノズル60を用いて清掃作業を行うことで、清掃用ノズル100を用意する必要が無くなり、非常に低コストで清掃作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
14:電子部品装着機(装着作業機) 24:移動装置 26:装着ヘッド(作業ヘッド) 60:吸着ノズル 70:テープフィーダ(フィーダ型部品供給装置)(器具) 100:清掃用ノズル 110:ブラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6