特許第6967360号(P6967360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967360
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20211108BHJP
【FI】
   B60Q1/26 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-46051(P2017-46051)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-149859(P2018-149859A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 男
(72)【発明者】
【氏名】木下 真
(72)【発明者】
【氏名】山住 暢
(72)【発明者】
【氏名】山崎 研太郎
(72)【発明者】
【氏名】山村 英人
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104924983(CN,A)
【文献】 特開2008−143510(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0084173(KR,A)
【文献】 特開2016−088397(JP,A)
【文献】 特開2006−199233(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/163295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方の路面に光を照射して前記路面に画像を表示する照射部と、
前記車両の後続車両を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記後続車両と前記車両との距離を算出する算出部と、
前記報知画像が前記路面に表示されるよう前記照射部を制御する表示制御部と、
前記距離と、第1閾値、又は、前記第1閾値より大きい第2閾値との大小関係を判定する判定部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記車両が停車状態にある際に、前記後続車両に対して前記車両が停車状態であることを報知する報知画像を前記路面に表示させ、
前記距離が前記第1閾値より大きく前記第2閾値以下である場合に、前記距離の変化に関わらず、前記報知画像の大きさが前記後続車両の運転者から視て略同一の大きさに維持されるよう前記照射部を制御し、
前記距離が前記第1閾値以下である場合に、前記距離が短くなるほど前記報知画像を大きく表示させるように前記照射部を制御する、
画像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
停止表示器材を示す画像を前記報知画像に設定するよう前記照射部を制御する、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記距離が前記第1閾値以下であると前記判定部により判定されると、前記距離が短くなることに応じて、前記報知画像の輝度増加、及び、前記報知画像の色彩変化の少なくとも1つが行われるよう前記照射部を制御する、
請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記後続車両が現在の速度で走行する場合に前記後続車両が前記車両との衝突を回避するために必要な車間距離を示す第1車間距離を推定する推定部を更に備え、
前記算出部は、前記検出部により検出された前記後続車両の速度を算出し、
前記推定部は、前記算出部により算出された前記速度を用いて前記第1車間距離を推定し、
前記判定部は、前記推定部により推定された前記第1車間距離を前記第1閾値に設定する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記後続車両が現在の速度で走行する場合に前記後続車両の運転者が前記車両を視認可能な車間距離である第2車間距離を、前記算出部により算出された前記距離を用いて更に推定し、
前記判定部は、前記推定部により推定された前記第2車間距離を前記第2閾値に設定する、
請求項乃至の何れか一項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記照射部は、前記車両のテールライトにより構成される、
請求項1乃至の何れか一項に記載の画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。特に、本発明は、車両に搭載され、路面に画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のヘッドライト等の配光制御によって、路面上に図形等を描画する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された光学装置は、移動体に搭載され、路面を照明する光学装置であって、レーザー光を射出するレーザー光源と、前記レーザー光源から射出されたレーザー光が入射され、路面に光を出射することで照明を行う光学素子と、移動体後方の状態を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて後方の移動体が存在するかを判定する判定部と、前記移動体の進行方向を検出するセンサと、を有し、前記判定部で後方の移動体が存在すると判定し、前記センサで進行方向の変化を検知すると、後方の移動体の前方に、所定の情報を照明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−88397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、後続車両の前方にワーニング情報などの所定情報を照明することができるものの、後続車両に対して自車両がどの程度安全であるかを報知することができない。このため、特許文献1に開示された技術では、安全度の経時的な変化に応じて後続車両の運転者の注意を喚起することが難しい。よって、特許文献1に開示された技術では、後続車両の運転者に対して効果的な注意喚起を行うことについて、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、後続車両の運転者に効果的な注意喚起を行うことができる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点に係る画像表示装置は、車両の後方の路面に光を照射して前記路面に画像を表示する照射部と、前記車両の後続車両を検出する検出部と、を備え、前記照射部は、前記車両が停車状態にある際、前記検出部により検出された前記後続車両に対して情報を報知する報知画像を経時的に変化させながら前記路面に表示する。
【0008】
好適には、前記画像表示装置は、前記検出部により検出された前記後続車両と前記車両との距離を算出する算出部と、前記報知画像が前記路面に表示されるよう前記照射部を制御する表示制御部と、を更に備え、前記表示制御部は、前記算出部により算出された前記距離の変化に応じて前記報知画像が経時的に変化しながら前記路面に表示されるよう前記照射部を制御する。
【0009】
好適には、前記画像表示装置において、前記表示制御部は、停止表示器材を示す画像を前記報知画像に設定し、前記報知画像の大きさが、前記算出部により算出された前記距離の変化に応じて変化するよう前記照射部を制御する。
【0010】
好適には、前記画像表示装置は、前記算出部により算出された前記距離が第1閾値以下であるか否かを判定する判定部を更に備え、前記表示制御部は、前記距離が前記第1閾値以下であると前記判定部により判定されると、前記距離が短くなることに応じて、前記報知画像の大きさが前記後続車両の運転者から視て拡大するよう前記照射部を制御する。
【0011】
好適には、前記画像表示装置において、前記表示制御部は、前記距離が前記第1閾値以下であると前記判定部により判定されると、前記距離が短くなることに応じて、前記報知画像の輝度増加、及び、前記報知画像の色彩変化の少なくとも1つが行われるよう前記照射部を制御する。
【0012】
好適には、前記画像表示装置は、前記後続車両が現在の速度で走行する場合に前記後続車両が前記車両との衝突を回避するために必要な車間距離を示す第1車間距離を推定する推定部を更に備え、前記算出部は、前記検出部により検出された前記後続車両の速度を算出し、前記推定部は、前記算出部により算出された前記速度を用いて前記第1車間距離を推定し、前記判定部は、前記推定部により推定された前記第1車間距離を前記第1閾値に設定する。
【0013】
好適には、前記画像表示装置において、前記判定部は、前記算出部により算出された前記距離が、前記第1閾値より大きい第2閾値以下であるか否かを判定し、前記表示制御部は、前記距離が前記第1閾値より大きく前記第2閾値以下であると判定されると、前記距離の変化に関わらず、前記報知画像の大きさが前記後続車両の運転者から視て略同一の大きさに維持されるよう前記照射部を制御する。
【0014】
好適には、前記画像表示装置において、前記推定部は、前記後続車両が現在の速度で走行する場合に前記後続車両の運転者が前記車両を視認可能な車間距離である第2車間距離を、前記算出部により算出された前記距離を用いて更に推定し、前記判定部は、前記推定部により推定された前記第2車間距離を前記第2閾値に設定する。
【0015】
好適には、前記画像表示装置において、前記照射部は、前記車両のテールライトにより構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一つの観点に係る画像表示装置は、後続車両の運転者に効果的な注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置が搭載された車両の外観構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像表示装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像表示装置において表示される停止表示器材を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像表示装置において用いられる第1車間距離及び第2車間距離を説明するための図を示す。
図5】本発明の実施形態に係る画像表示装置において行われる画像表示処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る画像表示装置により表示される報知画像を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態に係る画像表示装置により表示される報知画像を説明するための図であって、図6に示された報知画像から経時的に変化した様子を説明するための図である。
図8】本発明の実施形態に係る画像表示装置により表示される報知画像を説明するための図であって、図7に示された報知画像から経時的に変化した様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0019】
[1.画像表示装置の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10が搭載された車両1の外観構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10の機能的構成を示すブロック図である。図3は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10において表示される停止表示器材を示す図である。図4は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10において用いられる第1車間距離及び第2車間距離を説明するための図を示す。
【0020】
画像表示装置10は、車両1に搭載され、車両1の周辺の路面Rに画像を表示する装置である。画像表示装置10は、路面Rに画像を表示することで、車両1の周辺の他者に情報を報知する装置である。他者とは、車両1とは異なる他の車両又は歩行者である。歩行者は、歩道を通行する人及び車道を通行(横断)する人であり、自転車の運転者も含む。また、画像表示装置10によって路面Rに表示され、車両1の周辺の他者に情報を報知する画像を、「報知画像」とも称する。また、報知画像Gを路面Rに表示するために画像表示装置10が行う処理を、「画像表示処理」とも称する。
【0021】
特に、画像表示装置10は、図1及び図2に示されるように、車両1の後方の路面Rに報知画像Gを表示して、車両1の後方の後続車両Xに対して情報を報知する装置である。より具体的には、画像表示装置10は、車両1が停車状態にある際、車両1の後方の路面Rに、図3に示されるような停止表示器材を示す画像を、報知画像Gとして表示する装置である。高速道路等を走行する車両1を故障等により停車する場合、停止表示器材を車両1の後方に設置することが義務付けられていることがある。報知画像Gは、静止画像若しくは動画像又はこれらの組合せであってよい。報知画像Gは、ホログラムのような立体画像であってよい。なお、車両1の後方とは、図1に示されるように、車両1の後進方向である。
【0022】
画像表示装置10は、照射部20と、検出部30と、制御部50とを備える。
【0023】
照射部20は、車両1の後方の路面Rに光を照射する装置である。画像表示装置10によってこの路面Rに表示される画像は、照射部20により照射される光によって描かれる。すなわち、照射部20は、車両1の後方の路面Rに光を照射して、この路面Rに画像を表示することができる。照射部20は、ランプ、LED(Light Emitting Diode)、デジタルミラーデバイス(Digital Micro mirror Device)、プロジェクタ等の各種光源を用いて構成されてよい。照射部20は、車両1のテールライトにより構成されてよい。好適には、照射部20は、ADB(Adaptive Driving Beam)等の配光可変型のテールライトにより構成されてよい。
【0024】
検出部30は、車両1の周辺を検出するセンサである。検出部30は、1又は複数台のカメラを用いて構成されてよい。検出部30は、カメラとレーダ等を組み合わせて構成されてよい。車両1の周辺とは、車両1が位置する道路の道路環境である。検出部30により検出される道路環境としては、道路、歩行者、車両、道路標示、道路標識、信号機、交差点、踏切、歩道橋、街灯、建物及び設備等が該当する。
【0025】
特に、検出部30は、車両1の後方の後続車両Xを検出することができる。具体的には、検出部30は、車両1の後方の後続車両Xの位置をリアルタイムに検出する。そして、検出部30は、検出された後続車両Xの位置を制御部50に出力する。
【0026】
制御部50は、画像表示装置10の路面Rへの画像表示を制御する制御ユニットである。制御部50は、検出部30から出力された情報に基づいて、照射部20を制御する制御ユニットである。制御部50は、画像表示装置10に含まれる各構成要素を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)を用いて構成されてよい。
【0027】
制御部50は、算出部51と、推定部52と、判定部53と、表示制御部55とを備える。
【0028】
算出部51は、検出部30により検出された後続車両Xと車両1との距離及び速度を算出する機能を有する。具体的には、算出部51は、検出部30により検出された後続車両Xの位置と車両1の位置との距離を算出し、推定部52に出力する。また、算出部51は、検出部30により検出された後続車両Xの位置と車両1の位置との距離の時間変化から、後続車両Xの速度を算出し、推定部52に出力する。
【0029】
推定部52は、第1車間距離を推定する機能を有する。第1車間距離は、図4に示されるように、後続車両Xが現在の速度で走行する場合に、後続車両Xが、停車状態の車両1との衝突を回避するために必要な車間距離である。後続車両Xが停車状態の車両1との衝突を回避するために必要な車間距離は、後続車両Xの空走距離及び制動距離と相関がある。後続車両Xの空走距離及び制動距離は、後続車両Xの速度に依存する。そこで、推定部52は、算出部51により算出された後続車両Xの速度を用いて第1車間距離を推定する。後続車両Xの速度と第1車間距離との相関関係は、実験及びシミュレーション等によって予め設計しておけばよい。推定部52は、推定された第1車間距離を判定部53に出力する。
【0030】
推定部52は、第2車間距離を推定する機能を有する。第2車間距離は、図4に示されるように、後続車両Xが現在の速度で走行する場合に、後続車両Xの運転者が、停車状態の車両1を容易に視認可能となる車間距離である。後続車両Xの運転者が、停車状態の車両1を視認可能となる車間距離は、後続車両Xと車両1との距離、及び、後続車両Xの運転者の視力と相関がある。後続車両Xの運転者の視力は、運転者の適性として法定された視力から推定することができる。そこで、推定部52は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離を用いて第2車間距離を推定する。後続車両Xと車両1との距離と、第2車間距離との相関関係は、実験及びシミュレーション等によって予め設計しておけばよい。推定部52は、推定された第2車間距離を判定部53に出力する。
【0031】
判定部53は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離が、予め設定された閾値以下であるか否かを判定する機能を有する。この予め設定された閾値は、第1閾値及び第2閾値を含む。第1閾値及び第2閾値は、報知画像Gの表示形態を定める閾値である。特に、第1閾値及び第2閾値は、後続車両Xの運転者から視た報知画像Gの大きさの変化を定める閾値である。具体的には、第1閾値は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離が短くなることに応じて、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て拡大するように報知画像Gの表示形態を定めるための閾値である。一方、第2閾値は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離の変化に関わらず、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て略同一の大きさに維持されるように報知画像Gの表示形態を定めるための閾値である。
【0032】
判定部53は、推定部52により推定された第1車間距離及び第2車間距離を、第1閾値及び第2閾値にそれぞれ設定する。そして、判定部53は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離が、第1閾値以下であるか否かを判定すると共に第2閾値以下であるか否かを判定する。そして、判定部53は、それぞれの判定結果を表示制御部55に出力する。
【0033】
表示制御部55は、報知画像Gの路面Rへの表示制御を行う機能を有する。表示制御部55は、車両1が停車状態にある際、報知画像Gが算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離の変化に応じて経時的に変化しながら路面Rに表示されるよう、照射部20を制御する。
【0034】
具体的には、表示制御部55は、車両1が停車状態にあるか否かを、車両1に予め設けられた計測部5の計測結果に基づいて判定することができる。計測部5は、車両1のブレーキ、トランスミッション又はエンジン等の状態を計測し、表示制御部55に出力する。表示制御部55は、計測部5の計測結果に基づき、車両1が故障等により停車状態にあるか否かを判定してもよい。
【0035】
また、表示制御部55は、停止表示器材を示す画像を報知画像Gに設定する。そして、表示制御部55は、判定部53の判定結果に基づいて、報知画像Gに設定された停止表示器材を示す画像の表示形態が、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離の変化に応じて変化するよう、照射部20を制御する。
【0036】
より詳細には、表示制御部55は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離が第1閾値以下であると判定されると、報知画像Gに設定された停止表示器材を示す画像が次のように表示されるよう、照射部20を制御する。すなわち、表示制御部55は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離が短くなることに応じて、停止表示器材を示す画像の大きさが後続車両Xの運転者から視て拡大するよう、照射部20を制御する。
【0037】
表示制御部55は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離が第1閾値より大きく第2閾値以下であると判定されると、停止表示器材を示す画像が次のように表示されるよう、照射部20を制御する。すなわち、表示制御部55は、算出部51により算出された後続車両Xと車両1との距離の変化に関わらず、停止表示器材を示す画像の大きさが後続車両Xの運転者から視て略同一の大きさに維持されるよう、照射部20を制御する。
【0038】
[2.画像表示処理の詳細な流れ]
図5は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10において行われる画像表示処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0039】
図5に示された画像表示処理は、所定の周期で行われるタイマ割込処理として実行されてよい。
【0040】
ステップS501において、制御部50は、車両1が停車状態であるか否かを判定する。制御部50は、車両1が故障等により停車状態にあるか否かを判定してよい。制御部50は、車両1が停車状態でない場合、本処理を終了する。一方、制御部50は、車両1が停車状態である場合、ステップS502に移行する。
【0041】
ステップS502において、制御部50は、停止表示器材を示す画像を、報知画像Gに設定する。
【0042】
ステップS503において、制御部50は、報知画像Gの表示形態を設定する。
【0043】
ステップS504において、制御部50は、車両1の後方に位置する路面Rの所定領域を、報知画像Gを表示する表示領域に設定する。
【0044】
ステップS505において、制御部50は、報知画像Gが、設定された画像、表示形態及び表示領域で路面Rに表示されるよう、照射部20を制御する。
【0045】
ステップS506において、制御部50は、検出部30により後続車両Xが検出されたか否かを判定する。具体的には、制御部50は、検出部30により取得された画像に後続車両Xの画像が含まれているか否かを判定することによって、検出部30により後続車両Xが検出されたか否かを判定する。制御部50は、検出部30により後続車両Xが検出されない場合、本処理を終了する。すなわち、この場合、制御部50は、報知画像Gを表示した状態で本処理を終了する。一方、制御部50は、検出部30により後続車両Xが検出された場合、ステップS507に移行する。
【0046】
ステップS507において、制御部50は、検出部30により検出された後続車両Xと車両1との距離を算出する。
【0047】
ステップS508において、制御部50は、検出部30により検出された後続車両Xの速度を算出する。
【0048】
ステップS509において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離を用いて第2車間距離を推定する。
【0049】
ステップS510において、制御部50は、推定された第2車間距離を第2閾値に設定する。
【0050】
ステップS511において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第2閾値以下であるか否かを判定する。すなわち、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離以下であるか否かを判定する。
【0051】
算出された後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離より大きい場合とは、後続車両Xの運転者が車両1を容易に視認できない程度に離れた位置を後続車両Xが走行している場合である。この場合、後続車両Xの運転者は、路面Rに表示された報知画像Gを容易に視認できないことが想定される。このため、報知画像Gの大きさが拡大する等、報知画像Gの表示形態が変化しても、後続車両Xの運転者の注意は喚起され難い。
【0052】
一方、算出された後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離以下である場合とは、後続車両Xの運転者が車両1を容易に視認可能な位置を後続車両Xが走行している場合である。この場合、後続車両Xの運転者は、路面Rに表示された報知画像Gを容易に視認できることが想定される。このため、報知画像Gの大きさが拡大する等、報知画像Gの表示形態が変化すると、後続車両Xの運転者の注意は喚起され易い。
【0053】
制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離より大きい場合、本処理を終了する。すなわち、この場合、制御部50は、報知画像Gの表示形態を維持した状態で本処理を終了する。一方、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離以下である場合、ステップS512に移行する。
【0054】
ステップS512において、制御部50は、算出された後続車両Xの速度を用いて第1車間距離を推定する。
【0055】
ステップS513において、制御部50は、推定された第1車間距離を第1閾値に設定する。
【0056】
ステップS514において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第1閾値以下であるか否かを判定する。すなわち、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離以下であるか否かを判定する。
【0057】
ステップS514においてYESと判定される場合は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離及び第1車間距離以下である場合である。この場合とは、後続車両Xが、車両1を視認可能な位置であって、現在の速度で走行すると停車状態の車両1との衝突を回避することが困難な位置を走行している場合である。この場合、後続車両Xの運転者に対し、後続車両Xの減速や車線変更等の衝突回避行動を強く促す必要があり、後続車両Xの運転者の注意を効果的に喚起することが求められる。このため、制御部50は、後続車両Xの運転者の注意を効果的に喚起するべく、ステップS515に移行する。
【0058】
一方、ステップS514においてNOと判定される場合は、算出された後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離より大きく第2車間距離以下である場合である。この場合とは、後続車両Xが、車両1を視認可能な位置であって、現在の速度で走行しても停車状態の車両1との衝突を回避可能な位置を走行している場合である。この場合、後続車両Xの運転者に対し、ステップS514においてYESと判定される場合と同様に衝突回避行動を強く促す必要はない。また、この場合、報知画像Gの大きさが急激に拡大する等、報知画像Gの表示形態が急激に変化すると、後続車両Xの運転者を驚かせてしまい、かえって、誤ったハンドル操作等を引き起こす可能性が生じることがある。このため、制御部50は、後続車両Xの運転者を驚かせないで注意を喚起するべく、ステップS517に移行する。
【0059】
ステップS515において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が短くなることに応じて、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て拡大するよう、報知画像Gの表示形態を設定する。このとき、制御部50は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離になった時点で、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て従前より一層拡大するよう、報知画像Gの表示形態を設定してよい。そして、制御部50は、後続車両Xと車両1との距離が短くなることにおいて、拡大された報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て更に拡大するよう、報知画像Gの表示形態を設定してよい。
【0060】
ステップS516において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離が短くなることに応じて、報知画像Gの輝度増加及び色彩変化の少なくとも1つが行われるよう、報知画像Gの表示形態を設定する。なお、報知画像Gの色彩変化に関する表示形態は、予め定められた停止表示器材の色度範囲内で、後続車両Xの運転者から視て目立つ色彩へ変化するような表示形態であってよい。その後、制御部50は、ステップS519に移行する。
【0061】
ステップS517において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離の変化に関わらず、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て略同一の大きさに維持されるよう、報知画像Gの表示形態を設定する。このとき、制御部50は、後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離になった時点で、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て一旦拡大するよう、報知画像Gの表示形態を設定してよい。そして、制御部50は、後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離になって以降、第1車間距離になるまでの間において、拡大された報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て略同一の大きさに維持されるよう、報知画像Gの表示形態を設定してよい。
【0062】
ステップS518において、制御部50は、算出された後続車両Xと車両1との距離の変化に関わらず、報知画像Gの輝度及び色彩が維持されるよう、報知画像Gの表示形態を設定する。
【0063】
ステップS519において、制御部50は、報知画像Gが、設定された画像、設定された表示形態、及び、設定された表示領域で路面Rに表示されるよう、照射部20を制御する。その後、制御部50は、本処理を終了する。
【0064】
[3.画像表示処理により表示される報知画像]
図6は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10により表示される報知画像Gを説明するための図である。図6(a)は、後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離より大きい場合の様子を示す。図6(b)は、後続車両Xと車両1との距離が、第2車間距離より大きい場合であって、図6(a)から所定時間経過後の様子を示す。図7は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10により表示される報知画像Gを説明するための図であって、図6に示された報知画像Gから経時的に変化した様子を説明するための図である。図7(a)は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離より大きく第2車間距離以下である場合の様子を示す。図7(b)は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離より大きく第2車間距離以下である場合であって、図7(a)から所定時間経過後の様子を示す。図8は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10により表示される報知画像Gを説明するための図であって、図7に示された報知画像Gから経時的に変化した様子を説明するための図である。図8(a)は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離以下である場合の様子を示す。図8(b)は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離以下である場合であって、図8(a)から所定時間経過後の様子を示す。
【0065】
図6(a)〜図8(b)は、後続車両Xの運転者が後続車両XのフロントガラスXfを介して車両1を視た図を示している。図6(a)〜図8(b)において、車両1及び報知画像Gの点線は、後続車両Xの運転者が車両1及び報知画像Gを容易に視認できない状態であることを示している。図6(a)〜図8(b)において、車両1及び報知画像Gの実線は、後続車両Xの運転者が車両1及び報知画像Gを容易に視認できる状態であることを示している。
【0066】
画像表示装置10は、車両1が故障等により停車状態にある場合、報知画像Gとして、停止表示器材を示す画像を路面Rに表示する。ここで、後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離より大きい場合、図6(a)に示されるように、報知画像Gは後続車両Xの運転者から容易に視認できない状態である。
【0067】
その後、後続車両Xが走行すると、報知画像Gは、図6(b)に示されるように、後続車両Xの運転者から視た大きさが、図6(a)より拡大して表示される。但し、図6(b)では、後続車両Xと車両1との距離が第2車間距離より大きい場合であり、報知画像Gは、後続車両Xの運転者から容易に視認できない状態である。
【0068】
その後、後続車両Xが走行し、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離より大きく第2車間距離以下になった場合、報知画像Gは、図7(a)に示されるように、後続車両Xの運転者から視た大きさが、図6(b)より拡大して表示される。図7(a)では、後続車両Xの運転者から報知画像Gが容易に視認できる状態である。
【0069】
その後、後続車両Xが走行すると、報知画像Gは、図7(b)に示されるように、後続車両Xと車両1との距離の変化に関わらず、後続車両Xの運転者から視て図7(a)と略同一の大きさに維持されるよう表示される。また、報知画像Gの輝度及び色彩においても、後続車両Xと車両1との距離の変化に関わらず、図7(a)と略同一の輝度及び色彩に維持されるよう表示される。
【0070】
その後、後続車両Xが走行し、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離以下になった場合、報知画像Gは、図8(a)に示されるように、後続車両Xの運転者から視た大きさが、図7(b)より拡大して表示される。更に、報知画像Gは、報知画像Gの輝度増加及び色彩変化の少なくとも1つが行われ、後続車両Xに運転者の注意を喚起し易いよう、図7(b)より強調して表示される。
【0071】
その後、後続車両Xが走行すると、報知画像Gは、図8(b)に示されるように、後続車両Xの運転者から視た大きさが、図8(a)より拡大して表示される。更に、報知画像Gは、報知画像Gの輝度増加及び色彩変化の少なくとも1つが行われ、後続車両Xに運転者の注意をより喚起し易いよう、図8(a)より強調して表示される。
【0072】
[4.作用効果]
以上のように、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xに報知される報知画像Gを、後続車両Xと車両1との距離の変化に応じて経時的に変化するよう路面Rに表示する。後続車両Xと車両1との距離が短いことは、後続車両Xに対する車両1の安全度が高くないことを意味する。このため、後続車両Xの運転者は、報知画像Gの経時的な変化に応じて効果的に注意が喚起され、安全度の経時的な変化を適切に認識することができる。よって、本実施形態に係る画像表示装置10は、車両1の安全度の経時的な変化に応じた効果的な注意喚起を後続車両Xの運転者に行うことができるため、後続車両Xと車両1との衝突等の交通事故の発生を抑制することができる。
【0073】
更に、本実施形態に係る画像表示装置10は、停止表示器材を示す画像を報知画像Gとして表示する。このため、本実施形態に係る画像表示装置10は、路面Rに設置することが義務付けられた停止表示器材を、車両1の乗員が車両1の外に出て設置しなくとも、停止表示器材を示す画像を後続車両Xに示すことができる。よって、本実施形態に係る画像表示装置10は、車両1の乗員の安全性を確保しつつ、停止表示器材の設置義務を果たすことができ、交通事故の発生を抑制することができる。
【0074】
更に、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離(第1閾値)以下である場合、この距離が短くなることに応じて報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て拡大するよう、報知画像Gを表示する。このため、本実施形態に係る画像表示装置10では、後続車両Xの運転者に対して、安全度の経時的な変化に応じた効果的な注意喚起をリアルタイムで行うことができる。よって、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xに対して更に効果的な注意喚起を行うができ、交通事故の発生を更に抑制することができる。しかも、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xと車両1との距離が短くなることに応じて、報知画像Gの輝度増加及び色彩変化の少なくとも1つを行い、報知画像Gを強調して表示することができる。よって、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xに対して更に効果的な注意喚起を行うことができ、交通事故の発生を更に抑制することができる。
【0075】
更に、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xと車両1との距離が第1車間距離(第1閾値)より大きく第2車間距離(第2閾値)以下である場合、この距離の変化に関わらず、報知画像Gの大きさが後続車両Xの運転者から視て略同一の大きさに維持されるよう、報知画像Gを表示する。このため、本実施形態に係る画像表示装置10では、比較的安全度が高い場合には、報知画像Gの表示形態が急激に変化して後続車両Xの運転者が混乱しないように報知画像Gを表示することができる。よって、本実施形態に係る画像表示装置10は、後続車両Xの運転者を驚かせずに適切に注意喚起を行うことができるため、交通事故の発生を更に抑制することができる。
【0076】
[5.その他]
上述の実施形態において、画像表示装置10は、特許請求の範囲に記載された「画像表示装置」の一例に該当する。車両1は、特許請求の範囲に記載された「車両」の一例に該当する。路面Rは、特許請求の範囲に記載された「路面」の一例に該当する。後続車両Xは、特許請求の範囲に記載された「後続車両」の一例に該当する。照射部20は、特許請求の範囲に記載された「照射部」の一例に該当する。検出部30は、特許請求の範囲に記載された「検出部」の一例に該当する。算出部51は、特許請求の範囲に記載された「算出部」の一例に該当する。推定部52は、特許請求の範囲に記載された「推定部」の一例に該当する。判定部53は、特許請求の範囲に記載された「判定部」の一例に該当する。表示制御部55は、特許請求の範囲に記載された「表示制御部」の一例に該当する。
【0077】
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用し得ることは、当業者には明らかであろう。
【0078】
上述の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本発明の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0079】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」及び「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0080】
1 車両
5 計測部
10 画像表示装置
20 照射部
30 検出部
50 制御部
51 算出部
52 推定部
53 判定部
55 表示制御部
G 報知画像
R 路面
X 後続車両
Xf フロントガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8