特許第6967428号(P6967428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6967428-モジュールの製造方法 図000003
  • 特許6967428-モジュールの製造方法 図000004
  • 特許6967428-モジュールの製造方法 図000005
  • 特許6967428-モジュールの製造方法 図000006
  • 特許6967428-モジュールの製造方法 図000007
  • 特許6967428-モジュールの製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967428
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20211108BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20211108BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   H01F41/04 C
   H01F17/00 B
   H01F17/04 F
【請求項の数】12
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-213828(P2017-213828)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2018-98493(P2018-98493A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2020年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-237740(P2016-237740)
(32)【優先日】2016年12月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】古川 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】奥村 圭佑
【審査官】 後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−108965(JP,A)
【文献】 特開2008−166455(JP,A)
【文献】 特開2004−241538(JP,A)
【文献】 特開平08−162352(JP,A)
【文献】 特開2008−166407(JP,A)
【文献】 特開2004−327612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H01F 17/00
H01F 17/04
H05K 1/16
H05K 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剥離層の厚み方向一方面に配置されたシード層を準備する第1工程、
前記シード層から給電するめっきにより、導体パターンを前記シード層の厚み方向一方面に形成する第2工程、
前記導体パターンを、第1の磁性粒子を含有する第1接着層に押し込む第3工程、および、
前記導体パターンおよび前記第1接着層の厚み方向他方面を露出する第4工程
を備え
前記第1接着層における前記第1の磁性粒子の含有割合が、15容量%以上、70容量%以下であることを特徴とする、モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第3工程では、前記シード層を前記第1接着層に対して圧着して、前記導体パターンを前記第1接着層に押し込み、
前記第4工程は、
前記第1剥離層を前記シード層から剥離する第5工程、および、
前記シード層を除去する第6工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第6工程では、前記シード層をエッチングすることを特徴とする、請求項2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記第1接着層は、第1の樹脂成分を含有し、
前記第1の樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を含有する磁性層を、前記第1接着層の前記厚み方向他方面に配置する第7工程
をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項6】
前記第4工程を、前記導体パターンの前記厚み一方面が前記第1接着層から露出するように実施し、
前記第1の磁性粒子を含有する第2接着層によって前記導体パターンの前記厚み一方面を被覆することにより、前記第1接着層および前記第2接着層を備え、前記導体パターンを埋設する接着層を形成する第8工程
をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項7】
前記接着層における前記第1の磁性粒子の含有割合が、15容量%以上、80容量%以下であることを特徴とする、請求項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第1の磁性粒子は、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項9】
第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を含有する磁性層を、前記接着層の前記厚み方向一方および他方面に配置する第9工程
をさらに備えることを特徴とする、請求項またはに記載のモジュールの製造方法。
【請求項10】
前記磁性層における前記第2の磁性粒子の含有割合が、40容量%以上であることを特徴とする、請求項またはに記載のモジュールの製造方法。
【請求項11】
前記第2の磁性粒子は、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子であることを特徴とする、請求項および10のいずれかに記載のモジュールの製造方法。
【請求項12】
前記第2の樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂であることを特徴とする、請求項および11のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルと磁性材料とを組み合わせたモジュールが、無線電力伝送(無線給電)、無線通信、受動部品などに用いられることが知られている。
【0003】
例えば、スパイラル状導体コイルまたはこれらの積層体の両面を絶縁層を介して強磁性体層で挟んだ平面インダクタが知られている。
【0004】
特許文献1の平面インダクタを製造するには、ポリイミドフィルムからなる第1の絶縁層の両面にCu箔を両張りし、次いで、両面のCu箔をエッチングして、スパイラル状導体コイルに加工する(サブトラクティブ法)。次いで、ポリイミドフィルムからなる2つの第2の絶縁層を配置し、続いて、強磁性層を配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−318212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、各種モジュールの薄型化が要望されている。しかし、特許文献1に記載の方法において得られる平面インダクタは、第1の絶縁層を備えるので、上記した要望を満足することができないという不具合がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の方法において得られるインダクタでは、強磁性層が、第2の絶縁層を介して、スパイラル状導体コイルと対向しているため、上記した要望を満足できず、しかも、高いインダクタンスを確保することが困難であるという不具合がある。
【0008】
一方、上記した第2の絶縁層を介さず、サブトラクティブ法で加工されたスパイラル状導体コイルを強磁性層で直接被覆することも試案される。
【0009】
例えば、図6Aに示すように、剥離層45の上面に、サブトラクティブ法で、スパイラル状導体コイル46を形成するとともに、剥離層40の下面に強磁性層41を配置する。図6Bに示すように、次いで、剥離層45を強磁性層41に対して圧着して、スパイラル状導体コイル46を強磁性層41にめり込ませる。その後、図6Bの仮想線で示すように、剥離層45を強磁性層41およびスパイラル状導体コイル46から剥離する。
【0010】
しかし、強磁性層41は、感圧接着性が必要であるため、上記した剥離を確実かつ円滑に実施することができないという不具合がある。
【0011】
本発明の目的は、薄型化を図りながら、高いインダクタンスを確保することができるモジュールを確実かつ円滑に製造することができるモジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(1)は、第1剥離層の厚み方向一方面に配置されたシード層を準備する第1工程、前記シード層から給電するめっきにより、前記導体パターンを前記シード層の厚み方向一方面に形成する第2工程、前記導体パターンを、第1の磁性粒子を含有する第1接着層に押し込む第3工程、および、前記導体パターンおよび前記第1接着層の厚み方向他方面を露出する第4工程を備える、モジュールの製造方法を含む。
【0013】
このモジュールの製造方法によれば、特許文献1のような第1の絶縁層を備えないモジュールを製造することができる。そのため、薄型のモジュールを製造することができる。
【0014】
また、このモジュールの製造方法の第3工程では、導体パターンを、第1の磁性粒子を含有する第1接着層に押し込むので、モジュールのさらなる薄型化を図りつつ、高いインダクタンスを確保することができる。
【0015】
さらに、このモジュールの製造方法では、第3工程において、シード層の厚み方向の一方面に形成された導体パターンを第1接着層に押し込み、その際、たとえ、シード層の厚み方向一方面が第1接着層に感圧接着しても、第4工程において、第1剥離層をシード層から剥離し、シード層をエッチングすれば、導体パターンおよび第1接着層の厚み方向他方面を確実かつ円滑に露出させることができる。
【0016】
本発明(2)は、前記第3工程では、前記シード層を前記第1接着層に対して圧着して、前記導体パターンを前記第1接着層に押し込み、前記第4工程は、前記第1剥離層を前記シード層から剥離する第5工程、および、前記シード層を除去する第6工程を備える、(1)に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0017】
このモジュールの製造方法によれば、第3工程において、シード層を第1接着層に対して圧着して、シード層が第1接着層に感圧接着しても、第5工程において、第1剥離層をシード層から剥離し、第6工程において、シード層を除去するので、導体パターンおよび第1接着層の厚み方向他方面をより一層確実かつ円滑に露出させることができる。
【0018】
本発明(3)は、前記第6工程では、前記シード層をエッチングする、(2)に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0019】
このモジュールの製造方法によれば、第3工程において、シード層の厚み方向に一方面に形成された導体パターンを第1接着層に押し込み、その際、たとえ、シード層の厚み方向一方面が第1接着層に密着しても、第6工程で、シード層をエッチングするので、シード層を確実かつ円滑に除去して、導体パターンおよび第1接着層の厚み方向他方面をより一層確実かつ円滑に露出させることができる。
【0020】
本発明(4)は、前記第1接着層における前記第1の磁性粒子の含有割合が、15容量%以上、80容量%以下である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0021】
このモジュールの製造方法であれば、第1接着層における第1の磁性粒子の含有割合が15容量%以上であるので、インダクタンスの向上を図ることができる。また、第1接着層における第1の磁性粒子の含有割合が80容量%以下であるので、導体パターンの第1接着層に対する押し込みを確実に実施することができる。そのため、インダクタンスの向上と、導体パターンの第1接着層に対する押込性の向上との両立を図ることができる。
【0022】
本発明(5)は、前記第1の樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂である、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0023】
このモジュールの製造方法であれば、第1の樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂であるので、第3工程において、導体パターンを第1接着層に確実に押し込むことができるとともに、優れた柔軟性および優れた耐熱性を有するモジュールを製造することができる。
【0024】
本発明(6)は、第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を含有する磁性層を、前記第1接着層の前記厚み方向他方面に配置する第7工程をさらに備える、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0025】
このモジュールの製造方法によれば、第7工程において、磁性層を、第1接着層の厚み方向他方面に配置するので、モジュールのインダクタンスをより一層向上させることができる。
【0026】
本発明(7)は、前記第3工程を、前記導体パターンの前記厚み一方面が前記第1接着層から露出するように実施し、前記第1の磁性粒子を含有する第2接着層によって前記導体パターンの前記厚み一方面を被覆することにより、前記第1接着層および前記第2接着層を備え、前記導体パターンを埋設する接着層を形成する第8工程をさらに備える、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0027】
このモジュールの製造方法によれば、第8工程において、導体パターンを埋設する接着層を形成するので、モジュールのインダクタンスをより一層向上させることができる。
【0028】
本発明(8)は、前記接着層における前記第1の磁性粒子の含有割合が、15容量%以上、80容量%以下である、(7)に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0029】
このモジュールの製造方法によれば、接着層における第1の磁性粒子の含有割合が15容量%以上であるので、インダクタンスの向上を図ることができる。また、接着層における第1の磁性粒子の含有割合が80容量%以下であるので、導体パターンの接着層に対する埋設を確実に実施することができる。そのため、インダクタンスの向上と、接着層の導体パターンに対する埋設性との両立を図ることができる。
【0030】
本発明(9)は、前記第1の磁性粒子は、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0031】
このモジュールの製造方法であれば、第1の磁性粒子が、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子であるので、インダクタンスを確実に向上させることができる。
【0032】
本発明(10)は、第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を含有する磁性層を、前記接着層の前記厚み方向一方および他方面に配置する第10工程をさらに備える、(7)または(8)に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0033】
このモジュールの製造方法によれば、第10工程において、磁性層を、接着層の厚み方向一方面および他方面に配置するので、モジュールのインダクタンスをより一層向上させることができる。
【0034】
本発明(11)は、前記磁性層における前記第2の磁性粒子の含有割合が、40容量%以上である、(6)または(10)に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0035】
このモジュールの製造方法によれば、磁性層における第2の磁性粒子の含有割合が、40容量%以上と高いので、磁性層によって、インダクタンスの向上をより一層図ることができる。
【0036】
本発明(12)は、前記第2の磁性粒子は、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子である、(6)、(10)および(11)のいずれかに記載のモジュールの製造方法を含む。
【0037】
このモジュールの製造方法によれば、第2の磁性粒子が、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子であるので、インダクタンスを確実に向上させることができる。
【0038】
本発明(13)は、前記第2の樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂である、(6)および(10)〜(12)のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法を含む。
【0039】
このモジュールの製造方法によれば、優れた柔軟性および優れた耐熱性を有するモジュールを製造することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明のモジュールの製造方法によれば、モジュールの薄型化を図りながら、高いインダクタンスを確保し、導体パターンおよび第1接着層の厚み方向他方面を確実かつ円滑に露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明のモジュールの製造方法の第1実施形態により得られる第1のモジュールの底面図を示す。
図2図2A図2Hは、本発明のモジュールの製造方法の第1実施形態である第1のモジュールの製造方法の製造工程図であり、図2Aが、第1剥離層に配置されたシード層を準備する第1工程、図2Bが、めっきレジストを配置する工程、図2Cが、めっきにより、導体パターンを形成する第2工程、図2Dが、めっきレジストを除去する工程、図2Eが、第1接着層およびコイルパターンが接触する工程、図2Fが、コイルパターンを第1接着層に押し込む第3工程、図2Gが、第1剥離層をシード層から剥離する第5工程、図2Hが、シード層をエッチングする第6工程(図1のA−A線に沿う断面図)を示す。
図3図3は、本発明のモジュールの製造方法の第2実施形態により得られる第2のモジュールの底面図を示す。
図4図4A図4Dは、本発明のモジュールの製造方法の第2実施形態である第2のモジュールの製造方法の製造工程図であり、図4Aが、第3剥離層に配置された第2接着層を準備する工程、図4Bが、第2接着層によってコイルパターンを被覆して、接着層によってコイルパターンを埋設する第8工程、図4Cが、2つの磁性層を準備する工程、図4Dが、磁性層を接着層に配置する第9工程を示す。
図5図5A図5Dは、本発明のモジュールの製造方法の第3実施形態である第3のモジュールおよび第4実施形態である第4のモジュールの製造方法の製造工程図であり、図5Aが、支持層を第1のモジュールの下面に配置して、第3のモジュールを製造する工程、図5Bが、第2接着層によって支持層を被覆する第8工程、図5Cが、2つの磁性層を準備する工程、図5Dが、磁性層を接着層に配置する第9工程を示す。
図6図6Aおよび図6Bは、比較例2のモジュールの製造方法の製造工程図であり、図6Aが、剥離層に配置されたコイルパターンをサブトラクティブ法によって準備する工程、図6Bが、コイルパターンを第1接着層に押し込む工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図2A図2Hにおいて、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向の一例、第1方向)であり、紙面上側が上側(厚み方向一方側、第1方向一方側)、紙面下側が下側(厚み方向他方側、第1方向他方側)である。
【0043】
図1および図2A図2Hにおいて、紙面左右方向は、左右方向(第1方向に直交する第2方向、幅方向)であり、紙面右側が右側(幅方向一方側、第2方向一方側)、紙面左側が左側(幅方向他方側、第2方向他方側)である。
【0044】
一方、図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)であり、紙面下側が前側(第3方向一方側)、紙面上側が後側(第3方向他方側)である。
【0045】
具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0046】
<第1実施形態>
1.第1のモジュールの製造方法
本発明のモジュールの製造方法の第1実施形態である第1のモジュール1の製造方法を、図1および図2A図2Hを参照して説明する。
【0047】
この第1のモジュール1の製造方法は、第1剥離層2の上面(厚み方向一方面の一例)に配置されたシード層19を準備する第1工程(図2A参照)、シード層19から給電するめっきにより、導体パターンの一例としてのコイルパターン5をシード層19の上面(厚み方向一方面の一例)に形成する第2工程(図2D参照)、コイルパターン5を、第1の磁性粒子を含有する第1接着層11に押し込む第3工程(図2F参照)、および、コイルパターン5および第1接着層11の下面(厚み方向他方面の一例)を露出する第4工程(図2Hの参照)を備える。第1工程〜第4工程は、この順で順次実施される。以下、各工程を順に説明する。
【0048】
2.第1工程
図2Aに示すように、第1工程では、第1剥離層2の上面(厚み方向一方面の一例)に配置されたシード層19を準備する。
【0049】
第1剥離層2は、厚み方向に直交する面方向(図1における前後方向および左右方向)に延びる略平板(シート)形状を有する。第1剥離層2は、コイルパターン5を形成し、続いて、コイルパターン5を第1接着層11に押し込むまでの間、コイルパターン5をシード層19とともに支持する支持層である。また、第1剥離層2は、コイルパターン5を第1接着層11(図2D参照)に転写するための転写基材(剥離層)でもある。
【0050】
第1剥離層2を形成する材料としては、例えば、金属、樹脂などが挙げられ、優れた強度を得る観点から、金属が挙げられる。金属としては、鉄、銅、クロム、ニッケル、あるいは、それらの合金などが挙げられ、好ましくは、合金、より好ましくは、ステンレスが挙げられる。
【0051】
第1剥離層2の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上である。第1剥離層2の厚みが上記した下限以上であれば、コイルパターン5およびシード層19を確実に支持することができる。
【0052】
第1剥離層2の厚みは、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。第1剥離層2の厚みが上記した上限以下であれば、第1剥離層2の取扱性に優れる。
【0053】
シード層19は、第1剥離層2の上面全面に配置される。シード層19は、面方向に延びる略平板(シート)形状を有する。シード層19は、コイルパターン5を電解めっきで形成する際の給電層である。また、シード層19は、コイルパターン5を第1接着層11に押し込むまでの間、コイルパターン5を第1剥離層2とともに支持する支持層である。また、第1剥離層2は、コイルパターン5を第1接着層11(図2D参照)に転写するための転写基材(剥離層)でもある。
【0054】
また、シード層19は、第1剥離層2の上面に対して接触している。また、シード層19は、第1剥離層2の上面に対して小さな剥離強度(感圧接着力)PS1で、第1剥離層2の上面に対して密着(付着)されている。シード層19の第1剥離層2の上面に対する感圧接着力PS1は、例えば、比較的低い。そのため、第4工程(図2G参照)において、第1剥離層2をシード層19から容易に剥離することができる。
【0055】
シード層19を形成する材料としては、例えば、銅、クロム、金、銀、白金、ニッケル、それらの合金などの金属、例えば、ケイ素、その酸化物、導電性ポリマーなどの非金属などが挙げられる。好ましくは、高い導電性を得る観点から、金属、より好ましくは、銅が用いられる。また、シード層19は、単層および複層のいずれであってもよい。
【0056】
シード層19の厚みは、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.1μm以上、より好ましくは、0.5μm以上である。シード層19の厚みが上記した下限以上であれば、第2工程(図2C参照)において、コイルパターン5を電解めっきによって確実かつ迅速に形成することができる。
【0057】
シード層19の厚みは、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下、より好ましくは、2μm以下である。シード層19の厚みが上記した上限以下であれば、第4工程(図2G参照)において、シード層19を迅速に除去できる。
【0058】
シード層19の厚みの、第1剥離層2の厚みに対する比(シード層19の厚み/第1剥離層2の厚み)は、例えば、0.001以上、好ましくは、0.005以上、より好ましくは、0.01以上である。上記した比が上記した下限以上であれば、コイルパターン5を電解めっきによって確実かつ迅速に形成できながら、第1剥離層2の取扱性に優れる。
【0059】
シード層19の厚みの、第1剥離層2の厚みに対する比(シード層19の厚み/第1剥離層2の厚み)は、例えば、0.5以下、好ましくは、0.1以下、より好ましくは、0.05以下である。上記した比が上記した上限以下であれば、シード層19を迅速に除去できながら、コイルパターン5およびシード層19を第1剥離層2が確実に支持することができる。
【0060】
第1剥離層2の上面に配置されたシード層19を準備するには、まず、第1剥離層2を準備する。次いで、例えば、スパッタリング、例えば、電解めっきまたは無電解めっきなどのめっきにより、シード層19を第1剥離層2の上面に形成する。好ましくは、めっき、より好ましくは、電解めっきにより、シード層19を第1剥離層2の上面に形成する。
【0061】
あるいは、第1剥離層2およびシード層19を備える積層体を準備することもできる。
【0062】
3.第2工程
図2Dに示すように、第2工程では、シード層19から給電するめっきにより、コイルパターン5をシード層19の上面(厚み方向一方面の一例)に形成する。具体的には、アディティブ法によって、コイルパターン5を形成する。
【0063】
図2Bに示すように、アディティブ法では、めっきレジスト29を、シード層19の上面に配置する。例えば、まず、シート形状を有するドライフィルムレジストなどのフォトレジストを、シード層19の上面全面に配置し、次いで、フォト加工によって、コイルパターン5(図1参照)と反転パターンのめっきレジスト29を形成する。
【0064】
図2Cに示すように、次いで、シード層19から給電するめっきにより、めっきレジスト29から露出するシード層19の上面に、コイルパターン5を形成する。
【0065】
具体的には、第1剥離層2、シード層19およびめっきレジスト29を、例えば、めっき浴に浸漬し、シード層19から給電する。すると、コイルパターン5が、めっきレジスト29から露出するシード層19上面に積層(形成)される。
【0066】
めっき条件は、特に限定されず、めっき浴の種類などによって、適宜調整される。
【0067】
これにより、コイルパターン5を、めっきレジスト29の反転パターンで形成する。
【0068】
その後、図2Dに示すように、めっきレジスト29を除去する。例えば、めっきレジスト29を剥離液によって剥離する。
【0069】
一方、シード層19は、上記しためっきレジスト29の除去によっても除去されず、第1剥離層2の上面全面に残存する。
【0070】
これによって、シード層19の上面に配置されたコイルパターン5を得る。
【0071】
図1に示すように、コイルパターン5は、コイル部6と、端子部7とを連続して有する。
【0072】
コイル部6は、後端部が切り欠かれた平面視略円環形状、または、平面視略矩形枠形状を有する。例えば、具体的には、コイル部6は、後側が開放された平面視略C字形状を有する。
【0073】
端子部7は、コイルパターン5の2つの後端部のそれぞれから後側に延びる平面視略直線形状を有する。
【0074】
コイルパターン5の寸法は、特に限定されない。コイル部6の幅W1は、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、100mm以下、好ましくは、1000μm以下である。コイル部6の内寸(内径)L1は、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500mm以下、好ましくは、5mm以下である。コイル部6の外寸(外径)L2は、例えば、60μm以上、好ましくは、150μm以上でありまた、例えば、500mm以下、好ましくは、5mm以下である。コイル部6の左右方向における2つの後端部間の距離L3は、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、300mm以下、好ましくは、2mm以下である。コイルパターン5の断面積Sは、例えば、20μm2以上、好ましくは、2500μm2以上であり、また、例えば、20mm2以下、好ましくは、0.1mm2以下である。
【0075】
端子部7の左右方向長さ(幅)W2は、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。端子部7の前後方向長さL4は、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。隣接する端子部7間の間隔は、上記したコイル部6の後端部間の距離L3と同一である。
【0076】
4.第3工程
図2Fに示すように、第3工程では、コイルパターン5を、第1接着層11に押し込む。
【0077】
具体的には、シード層19を第1接着層11に対して圧着して、コイルパターン5を第1接着層11に押し込む。
【0078】
図2Dに示すように、第3工程では、まず、第1接着層11を準備する。
【0079】
第1接着層11は、面方向に延びる略平板形状を有する。
【0080】
第1接着層11は、第1の磁性粒子および第1の樹脂成分を含有する。具体的には、第1接着層11は、第1の磁性粒子および第1の樹脂成分を含有する第1接着樹脂組成物から調製される。
【0081】
第1の磁性粒子としては、例えば、軟磁性粒子、強磁性粒子が挙げられ、好ましくは、軟磁性粒子が挙げられる。軟磁性粒子としては、例えば、鉄および鉄合金から選択される少なくとも1種からなる粒子が挙げられる。そのような軟磁性粒子としては、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)粒子、センダスト(Fe−Si−A1合金)粒子、パーマロイ(Fe−Ni合金)粒子、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)粒子、Fe−Si合金粒子、Fe−Si―B(−Cu−Nb)合金粒子、Fe−Si−Cr合金粒子、Fe−Si−Cr−Ni合金粒子、Fe−Si−Cr合金粒子、Fe−Si−Al−Ni−Cr合金粒子、フェライト粒子(具体的には、Ni−Zn系フェライト粒子など)、カルボニル鉄粒子などが挙げられる。これらの中でも、磁気特性の観点から、好ましくは、Fe−Si−Cr合金粒子、Ni−Zn系フェライト粒子が挙げられる。なお、軟磁性粒子としては、例えば、特開2016−108561号公報、特開2016−006853号公報、特開2016−6852号公報、特開2016−006163号公報などの公知文献に記載される軟磁性粒子が挙げられる。
【0082】
第1の磁性粒子の形状、保持力、平均粒子径、平均厚みなどの物性として、上記した公知文献に記載される物性が採用される。
【0083】
第1接着層11における第1の磁性粒子の容量割合は、例えば、15容量%以上、好ましくは、20容量%以上、より好ましくは、30容量%以上、さらに好ましくは、40容量%以上である。第1の磁性粒子の容量割合が上記した下限以上であれば、第1のモジュール1のインダクタンスの向上を図ることができる。また、第1接着層11における第1の磁性粒子の容量割合は、例えば、80容量%以下、好ましくは、70容量%以下、65容量%以下、好ましくは、60容量%以下である。第1の磁性粒子の容量割合が上記した上限以下であれば、コイルパターン5の第1接着層11に対する押し込みを確実に実施することができるとともに、第1接着樹脂組成物の成膜性に優れる。
【0084】
また、第1接着層11における第1の磁性粒子の質量割合は、例えば、44質量%以上、好ましくは、53質量%以上、より好ましくは、66質量%以上、さらに好ましくは、75質量%以上である。第1の磁性粒子の質量割合が上記した下限以上であれば、第1のモジュール1のインダクタンスの向上を図ることができる。
【0085】
第1接着層11における第1の磁性粒子の質量割合は、例えば、96質量%以下、好ましくは、94質量%以下である。第1の磁性粒子の質量割合が上記した上限以下であれば、第1接着層11の感圧接着性の向上を図ることができるとともに、第1接着樹脂組成物の成膜性に優れる。
【0086】
第1の樹脂成分としては、例えば、上記した公知文献に記載される樹脂成分が挙げられる。樹脂成分は、単独使用および併用することができる。好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂の併用が挙げられる。第1の樹脂成分として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を併用すれば、コイルパターン5を第1接着層11に確実に押し込むことができるとともに、優れた柔軟性および優れた耐熱性を第1接着層11に付与することができる。
【0087】
なお、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂のそれぞれの種類、物性および割合などは、上記した公知文献に記載されている。
【0088】
第1接着層11を準備するには、第1の粒子および第1の樹脂成分を配合して第1接着樹脂組成物を調製する。なお、第1接着樹脂組成物には、上記した公知文献に記載の添加剤(熱硬化触媒、分散剤、レオロジーコントロール剤など)を配合することもできる。また、第1接着樹脂組成物を、さらに溶媒を含有する第1接着樹脂組成物溶液として調製することもできる。そして、第1接着樹脂組成物溶液を剥離層10の表面(図2Dにおける下面)に塗布する。その後、加熱により第1接着樹脂組成物溶液を乾燥させて、溶媒を除去する。これによって、第1接着層11を剥離層10の下面に配置する。好ましくは、Bステージの第1接着層11を剥離層10の下面に配置する。具体的には、第1接着樹脂組成物溶液の乾燥によって、Aステージの第1接着樹脂組成物がBステージとなる。
【0089】
剥離層10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子材料から、面方向に延びる略平板形状を有する可撓性のセパレータである。また、剥離層10の表面(下面)は、例えば、適宜の剥離処理が施されている。剥離層10の厚みは、例えば、15μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、75μm以下である。
【0090】
第1接着層11は、好ましくは、感圧接着性(タック性)を有する。
【0091】
シード層19は、第1接着層11に対してまだ接触していない(後述)が、シード層19の第1接着層11に対する感圧接着力PS3(次の工程の図2F参照)は、比較的高い。そのため、第1剥離層2をシード層19から確実に剥離することができる。
【0092】
従って、以下の感圧接着力PSは、例えば、以下の式を満足する。
【0093】
PS1<PS2≦PS3
PS1:シード層19の第1剥離層2に対する感圧接着力
PS2:第1接着層11のコイルパターン5に対する感圧接着力
PS3:シード層19の第1接着層11に対する感圧接着力
これにより、図2Dに示すように、剥離層10の下面に配置された第1接着層11を形成する。
【0094】
次いで、第1接着層11がコイルパターン5に向くように、剥離層10および第1接着層11をコイルパターン5の上側に対向配置し、続いて、図2Eに示すように、第1接着層11の下面をコイルパターン5の上面に接触させる。この際、第1接着層11の下面と、シード層19の上面とが、コイルパターン5の厚み分だけ隔てられるように、第1接着層11をコイルパターン5に対して載置する。つまり、シード層19は、第1接着層11に対して接触しない。
【0095】
その後、シード層19を第1接着層11に対して圧着して、コイルパターン5を第1接着層11に押し込む。例えば、真空プレス機などのプレス機を用いて、シード層19を第1接着層11に対して圧着する。
【0096】
具体的には、剥離層10および第1接着層11、コイルパターン5、シード層19および第1剥離層2を、上板および下板を備えるプレス機(図示せず)に設置する。詳しくは、例えば、剥離層10および第1接着層11を上板に設置するとともに、第1剥離層2、シード層19およびコイルパターン5を下板に設置する。次いで、プレス機を駆動して、図2Dの矢印および図2Fに示すように、シード層19を第1接着層11に対して圧着して、コイルパターン5を第1接着層11に押し込む。これによって、第3工程を実施する。
【0097】
シード層19の第1接着層11に対する圧着において、図2Eに示すように、コイルパターン5の上面は、一旦、第1接着層11の下面に接触し、連続して、図2Hに示すように、第1接着層11内に押し込まれる。
【0098】
この際、コイルパターン5が第1接着層11内にめり込み、第1接着層11においてコイルパターン5に厚み方向に対向する部分が、コイルパターン5の側方に回り込む。そして、コイルパターン5の側面が、第1接着層11に被覆される。
【0099】
これと同時に、シード層19の上面と、第1接着層11の下面とは、コイルパターン5以外の部分において、互いに接触する。
【0100】
この際、シード層19の第1接着層11に対する感圧接着力PS3が、比較的高いことから、シード層19と第1接着層11とは、感圧接着する。
【0101】
これによって、コイルパターン5の下面、および、第1接着層11の下面は、面一となり、面方向に連続する。
【0102】
その後、図2Fの仮想線および矢印で示すように、剥離層10を第1接着層11から剥離する。
【0103】
これによって、第1剥離層2、シード層19、コイルパターン5および第1接着層11を備える第1積層体23が得られる。
【0104】
5.第4工程
図2Hに示すように、第4工程では、コイルパターン5および第1接着層11の下面を露出する。
【0105】
第4工程は、第1剥離層2をシード層19から剥離する第5工程(図2G参照)、および、シード層19を除去する第6工程(図2H参照)を備える。第5工程および第6工程は、この順で順次実施される。以下、第5工程および第6工程のそれぞれを順に説明する。
【0106】
5−1.第5工程
第5工程では、図2Gに示すように、第1剥離層2をシード層19から剥離する。
【0107】
具体的には、第1剥離層2およびシード層19の界面において、第1剥離層2をシード層19から剥離する(界面剥離)。第1剥離層2のシード層19に対する感圧接着力PS1が上記したように比較的低いことから、第1剥離層2の上面が、シード層19の下面から容易に分離される。
【0108】
これにより、シード層19、コイルパターン5および第1接着層11の第2積層体24が得られる。
【0109】
5−2.第6工程
第6工程では、図2Hに示すように、シード層19を除去する。
【0110】
シード層19を除去するには、例えば、シード層19をエッチングする。
【0111】
エッチングとしては、例えば、ウエットエッチング、ドライエッチングなどが挙げられる。生産性の観点から、好ましくは、ウエットエッチングが挙げられる。ウエットエッチングでは、上記した第2積層体24を、エッチング液に浸漬する。
【0112】
エッチング液は、シード層19をエッチング(腐食)できる液であれば特に限定されず、例えば、塩化第二鉄溶液、硫酸および過酸化水素の混合溶液などが挙げられ、好ましくは、シード層19をエッチングする一方、コイルパターン5の下面のエッチングを抑制する観点から、硫酸および過酸化水素の混合溶液が挙げられる。
【0113】
エッチング時間は、例えば、1分以上、好ましくは、シード層19を確実に除去する観点から、2分以上であり、また、例えば、10分以下、好ましくは、コイルパターン5の下面のエッチングを抑制する観点から、5分以下である。
【0114】
シード層19のエッチングにおいて、コイルパターン5の下面は、実質的にエッチングによって除去されない。なお、コイルパターン5のわずかなエッチングは、許容され、例えば、コイルパターン5の下端縁が、1μm以下、さらには、0.1μm以下のエッチングは、許容される。
【0115】
第2積層体24からシード層19を除去することによって、コイルパターン5および第1接着層11の下面を露出する。
【0116】
コイルパターン5の下面および第1接着層11の下面は、下側に露出する露出面を形成する。また、コイルパターン5の下面は、第1接着層11から下側に露出する。
【0117】
これによって、第1接着層11およびコイルパターン5を備える第1のモジュール1が製造される。第1のモジュール1の下面、つまり、第1接着層11およびコイルパターン5の下面は、下側に露出している。また、第1のモジュール1の上面、つまり、第1接着層11の上面は、上側に露出している。第1のモジュール1は、好ましくは、第1接着層11およびコイルパターン5のみからなる。
【0118】
なお、第1実施形態の第1のモジュール1は、第2実施形態における第2のモジュール31(後述)の中間部材であって、第2接着層12(後述、図4B参照)を含まず、第1のモジュール1単独で産業上利用できる部材である。
【0119】
その後、必要により、第1接着層11がBステージであれば、第1のモジュール1を加熱して、第1接着層11をCステージにする。
【0120】
第1のモジュール1の厚みは、例えば、750μm以下、好ましくは、500μm以下、より好ましくは、300μm以下であり、また、例えば、10μm以上である。なお、第1のモジュール1の厚みは、コイルパターン5の下面と、第1接着層11の上面との距離である。第1のモジュール1の厚みが上記した上限以下であれば、第1のモジュール1を薄型化することができる。
【0121】
第1のモジュール1のインダクタンスは、例えば、0.1nH以上、好ましくは、0.5nH以上、より好ましくは、1nH以上である。インダクタンスは、インピーダンスアナライザー(KEYSIGHT社製 E4991B 1GHz)により測定される。以降のインダクタンスは、上記と同様の方法によって測定される。
【0122】
<第1のモジュールの用途>
第1のモジュール1の製造方法により得られた第1のモジュール1は、例えば、無線電力伝送(無線給電)、無線通信、センサなどに用いられる。この第1のモジュール1は、コイルパターン5の下面が露出していることから、好ましくは、無線電力伝送、無線通信に用いられる。
【0123】
<第1実施形態の作用効果>
(1)この第1のモジュール1の製造方法によれば、特許文献1のような第1絶縁層を備えない第1のモジュール1を製造することができる。そのため、第1のモジュール1の薄型化を図ることができる。
【0124】
また、この第1のモジュール1の製造方法の第3工程では、図2Fに示すように、コイルパターン5を、第1の磁性粒子を含有する第1接着層11に押し込むので、第1のモジュール1のさらなる薄型化を図りつつ、高いインダクタンスを確保することができる。
【0125】
さらに、この第1のモジュール1の製造方法では、図2Fに示すように、第3工程において、シード層19の上面に形成されたコイルパターン5を第1接着層11に押し込み、その際、たとえ、シード層19の上面が第1接着層11に感圧接着しても、図2Gおよび図2Hに示すように、第4工程において、第1剥離層2をシード層19から剥離し、シード層19をエッチングすれば、コイルパターン5および第1接着層11の下面を確実かつ円滑に露出させることができる。
【0126】
(2)この第1のモジュール1の製造方法によれば、図2Fに示すように、第3工程において、シード層19を第1接着層11に対して圧着して、シード層19が第1接着層11に感圧接着しても、図2Gに示すように、第5工程において、第1剥離層2をシード層19から剥離し、図2Hに示すように、第6工程において、シード層19を除去するので、コイルパターン5および第1接着層11の下面をより一層確実かつ円滑に露出させることができる。
【0127】
(3)この第1のモジュール1の製造方法によれば、図2Fに示すように、第3工程において、シード層19の上面に形成されたコイルパターン5を第1接着層11に押し込み、その際、たとえ、シード層19の上面が第1接着層11に密着しても、図2Hに示すように、第6工程で、シード層19をエッチングするので、シード層19を確実かつ円滑に除去して、コイルパターン5および第1接着層11の下面をより一層確実かつ円滑に露出させることができる。
【0128】
(4)この第1のモジュール1の製造方法であれば、第1接着層11における第1の磁性粒子の含有割合が、15容量%以上であれば、インダクタンスの向上を図ることができる。また、第1接着層11における第1の磁性粒子の含有割合が、80容量%以下であれば、コイルパターン5を第1接着層11に対する押し込みを確実に実施することができる。そのため、インダクタンスの向上と、コイルパターン5の第1接着層11に対する押込性の向上との両立を図ることができる。
【0129】
(5)この第1のモジュール1の製造方法であれば、第1の樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂であれば、第3工程において、図2Fに示すように、コイルパターン5を第1接着層11に確実に押し込むことができるとともに、優れた柔軟性および優れた耐熱性を有する第1のモジュール1を製造することができる。
【0130】
<第1実施形態の変形例>
この変形例において、第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0131】
第1実施形態では、図1に示すように、コイルパターン5の数を1としているが、その数は、特に限定されず、例えば、複数であってもよい。
【0132】
また、図2Gおよび図2Hの仮想線で示すように、この第1のモジュール1の製造方法は、磁性層18を、第1接着層11の上面(厚み方向他方面の一例)に配置する第7工程をさらに備えることができる。
【0133】
第7工程では、まず、磁性層18を準備する。
【0134】
磁性層18は、コイルパターン5にて発生する磁界を集束させ、磁束を増幅させるためのコア材であり、かつ、コイルパターン5外部への磁束漏れを防ぐ(あるいはコイルパターン5外部からのノイズをコイルパターン5に対してシールドする)ためのシールド材である。磁性層18は、面方向に延びる略平板(シート)形状を有する。
【0135】
磁性層18は、第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を含有する。具体的には、磁性層18は、第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を含有する磁性樹脂組成物から形成される。
【0136】
第2の磁性粒子としては、第1の磁性粒子の同様の磁性粒子が挙げられ、好ましくは、磁気特性の観点から、センダスト(Fe−Si−A1合金)粒子が挙げられる。第2の磁性粒子の形状、保持力、平均粒子径、平均厚みなどの物性として、上記した公知文献に記載される物性が採用される。
【0137】
磁性層18における第2の磁性粒子の容量割合は、例えば、40容量%以上、好ましくは、45容量%以上、より好ましくは、48容量%以上、さらに好ましくは、60容量%以上であり、例えば、90容量%以下、好ましくは、85容量%以下、より好ましくは、80容量%以下である。第2の磁性粒子の容量割合が上記した下限以上であれば、第1のモジュール1のインダクタンスの向上をより一層図ることができる。第2の磁性粒子の容量割合が上記した上限以下であれば、磁性樹脂組成物の成膜性に優れる。
【0138】
また、磁性層18における第2の磁性粒子の質量割合は、例えば、80質量%以上であり、好ましくは、83質量%以上、より好ましくは、85質量%以上であり、また、例えば、98質量%以下、好ましくは、95質量%以下、より好ましくは、90質量%以下である。第2の磁性粒子の質量割合が上記した下限以上であれば、第1のモジュール1の磁気特性が優れる。第2の磁性粒子の質量割合が上記した上限以下であれば、磁性樹脂組成物が優れる。
【0139】
第2の樹脂成分としては、第1の樹脂成分の同様の樹脂成分が挙げられ、好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂の併用が挙げられる。第2の樹脂成分として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を併用すれば、優れた柔軟性および優れた耐熱性を磁性層18に付与することができる。
【0140】
磁性層18を準備するには、第2の磁性粒子および第2の樹脂成分を配合して磁性樹脂組成物を調製する。なお、磁性樹脂組成物には、上記した公知文献に記載の添加剤(熱硬化触媒、分散剤、レオロジーコントロール剤など)を配合することもできる。磁性樹脂組成物を、さらに溶媒を含有する磁性樹脂組成物溶液として調製することもできる。そして、磁性樹脂組成物溶液を図示しない剥離基材の表面に塗布する。その後、加熱により磁性樹脂組成物溶液を乾燥させて、溶媒を除去する。これによって、磁性層18を準備する。好ましくは、Bステージの磁性層18を準備する。
【0141】
続いて、磁性層18がBステージであれば、複数の磁性層18を厚み方向に積層し、それらを厚み方向に熱プレスして、Cステージの磁性層18を形成する。磁性層18の積層数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、5以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、10以下である。熱プレスの条件は、上記した公知文献に記載された条件が適宜採用される。
【0142】
磁性層18の平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
【0143】
そして、図2Gおよび図2Hの仮想線で示すように、磁性層18を、第1接着層11の上面に接触させる。好ましくは、磁性層18を第1接着層11に対して圧着する。例えば、真空プレス機などのプレス機を用いて、磁性層18を第1接着層11に対して貼着する。
【0144】
また、第1接着層11がBステージであれば、磁性層18を第1接着層11の上面に感圧接着する。その後、必要により、第1接着層11をCステージ化して、磁性層18を第1接着層11に対して接着する。
【0145】
図2Hの仮想線で示すように、この変形例の第1のモジュール1は、第1接着層11、コイルパターン5および磁性層18を備える。好ましくは、第1のモジュール1は、第1接着層11、コイルパターン5および磁性層18のみからなる。
【0146】
また、第7工程は、図2Gに示す第2積層体24の第1接着層11に対して配置することができ、あるいは、図2Hに示す第1接着層11に対して配置することもできる。
【0147】
この変形例によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0148】
(6)そして、この第1のモジュール1の製造方法によれば、図2Gの仮想線および図2Hの仮想線で示すように、第7工程において、磁性層18を、第1接着層11の上面に配置するので、第1のモジュール1のインダクタンスをより一層向上させることができる。
【0149】
また、第1実施形態の第3工程では、剥離層10および第1接着層11を上板に設置するとともに、第1剥離層2、シード層19およびコイルパターン5を下板に設置している。しかし、これに限定されない。例えば、剥離層10、第1接着層11、第1剥離層2、シード層19およびコイルパターン5の全てを上板のみに設置することができる。または、剥離層10、第1接着層11、第1剥離層2、シード層19およびコイルパターン5の全てを下板のみに設置することもできる。
【0150】
<第2実施形態>
第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0151】
図2Hの実線で示すように、第1実施形態では、コイルパターン5の下面が露出する第1のモジュール1を製造している。
【0152】
しかし、図4Bに示すように、第2実施形態の第2のモジュール31の製造方法は、コイルパターン5の下面を第2接着層12によって被覆することにより、第1接着層11および第2接着層12を備える接着層13によって、コイルパターン5を埋設する第8工程をさらに備える。
【0153】
さらに、図4Dに示すように、第2実施形態の第2のモジュール31の製造方法は、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面および下面のそれぞれに配置する第9工程をさらに備える。
【0154】
以下、図3および図4A図4Dを参照して、第8工程および第9工程を順に説明する。
【0155】
6.第8工程
図4Bに示すように、第8工程では、コイルパターン5の下面を第2接着層12によって被覆する。
【0156】
図4Aに示すように、第2接着層12は、面方向に延びる略平板形状を有する。第2接着層12は、第1接着層11と同様の第1の磁性粒子および第1の樹脂成分を含有する。具体的には、第2接着層12は、第1の磁性粒子および第1の樹脂成分を含有する第2接着樹脂組成物から形成される。第2接着層12における第1の磁性粒子、第1の樹脂成分および添加剤の種類、割合などは、第1接着層11における第1の磁性粒子および第1の樹脂成分のそれらと同一である。
【0157】
第2接着層12の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0158】
第2接着層12を準備するには、第2接着樹脂組成物を調製する。第2接着樹脂組成物を、さらに溶媒を含有する第2接着樹脂組成物溶液として調製することもできる。そして、第2接着樹脂組成物溶液を第2剥離層15の表面(図4Aにおける上面)に塗布する。その後、加熱により第2接着樹脂組成物溶液を乾燥させて、溶媒を除去する。これによって、第2接着層12を第2剥離層15の上面に配置する。好ましくは、Bステージの第2接着層12を第2剥離層15の上面に配置する。第2剥離層15は、上記した剥離層10と同一の形状、種類および物性を有する。
【0159】
図4Aに示すように、これにより、第2剥離層15の上面に配置された第2接着層12を形成する。
【0160】
次いで、第2接着層12がコイルパターン5の下面(露出面)および第1接着層11の下面に向くように、第2剥離層15および第2接着層12を、第1接着層11およびコイルパターン5の下側に対向配置する。続いて、図4Bに示すように、第2接着層12の上面をコイルパターン5の下面(露出面)および第1接着層11の下面に接触させる。具体的には、第2接着層12がBステージであれば、第2接着層12をコイルパターン5の下面(露出面)および第1接着層11の下面に感圧接着する。
【0161】
これによって、第1接着層11および第2接着層12を備える接着層13を得る。接着層13における第1の磁性粒子の含有割合は、第1接着層11における第1の磁性粒子の容量割合と同一である。
【0162】
接着層13は、コイルパターン5(具体的には、図3の仮想線で示すコイル部6)を埋設する。
【0163】
但し、図3に示すように、接着層13は、コイル部6の下面を被覆する一方、端子部7の下面を露出している。つまり、第2接着層12は、コイルパターン5におけるコイル部6のみを被覆する。他方、端子部7は、第2接着層12から下側に露出し、第1接着層11に依然押し込まれた状態である。
【0164】
また、図4Bにおいて、第1接着層11および第2接着層12の境界は、破線で描画している通り、視認(目視)あるいは顕微鏡などによって観察することができる。あるいは、上記した境界は、視認あるいは観察されることができない場合もある。
【0165】
これによって、接着層13によって、コイルパターン5を埋設する第8工程を実施する。
【0166】
その後、図4Bの矢印および図4Cで示すように、第2剥離層15を第2接着層12(接着層13の下面)から剥離する。これとともに、剥離層10を第2接着層12(第1接着層11の上面)から剥離する。
【0167】
7.第9工程
図4Dに示すように、第9工程では、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面および下面のそれぞれに配置する。
【0168】
磁性層18は、第1実施形態の変形例の第7工程(図2Hの仮想線参照)で示した磁性層18が挙げられる。
【0169】
第9工程では、図4Cに示すように、2つの磁性層18を準備する。
【0170】
また、磁性層18における第2の磁性粒子の容量割合は、接着層13における第1の磁性粒子の容量割合に対して、高い。この場合であっても、図2Fに示すように、コイルパターン5を接着層13に確実に押し込むことができる一方、図4Cに示すように、磁性層18をシート形状(好ましくは、Cステージのシート形状)に形成した後に、図4Dに示すように、かかる磁性層18を、接着層13(好ましくは、Bステージの接着層13)の上面および下面に対して貼着することができる。
【0171】
続いて、接着層13がBステージであれば、図4Cの矢印で示すように、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面および下面のそれぞれに感圧接着する。
【0172】
その後、必要により、接着層13がBステージであれば、第2のモジュール31を加熱して、接着層13をCステージにする。
【0173】
これによって、図4Dに示すように、接着層13と、接着層13に埋設されたコイル部6を有するコイルパターン5と、接着層13の上面および下面に配置された磁性層18とを備える第2のモジュール31を製造する。
【0174】
第2のモジュール31の厚みは、例えば、1000μm以下、好ましくは、700μm以下、より、好ましくは、500μm以下であり、また、例えば、50μm以上である。第2のモジュール31の厚みは、接着層13の上面と下面との距離である。また、第2のモジュール31の厚みは、第1実施形態の第1のモジュール1の厚みと、第2接着層12の厚みと総和である。さらに、第2のモジュール31の厚みは、コイルパターン5の厚みと、コイルパターン5の上面および第1接着層11(接着層13)の上面間の距離と、コイルパターン5の下面および第2接着層12(接着層13)の下面間の距離との総和である。
【0175】
第2のモジュール31のインダクタンスは、例えば、0.1nH以上、好ましくは、0.5nH以上、より好ましくは、1nH以上である。
【0176】
8.第2実施形態の第2のモジュールの用途
第2実施形態の第2のモジュール31は、コイルパターン5が接着層13に埋設されていることから、好ましくは、センサに用いられる。
【0177】
<第2実施形態の作用効果>
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる((8)、(9)、(12)および(13)の作用効果)。
【0178】
(7)この第2のモジュール31の製造方法によれば、図4Bに示すように、第8工程において、コイルパターン5を埋設する接着層13を形成するので、第2のモジュール31のインダクタンスをより一層向上させることができる。
【0179】
(10)この第2のモジュール31の製造方法によれば、図4Dに示すように、第9工程において、磁性層18を、接着層13の上面および下面に配置するので、第2のモジュール31のインダクタンスをより一層向上させることができる。
【0180】
(11)この第2のモジュール31の製造方法によれば、磁性層18における第2の磁性粒子の含有割合が、40容量%以上と高ければ、磁性層18によって、インダクタンスの向上をより一層図ることができる。
【0181】
なお、図4Cの中央図に示すように、第2のモジュール31を、磁性層18を備えず、コイルパターン5と、コイルパターン5を埋設する接着層13とから第2のモジュール31を構成することもできる。その際には、第2のモジュール31の製造方法は、図4Dに示す第9工程を備えない。
【0182】
<第2実施形態の変形例>
この変形例において、第1および第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0183】
第2実施形態では、図3に示すように、コイルパターン5の数を1としているが、その数は、特に限定されず、例えば、複数であってもよい。コイルパターン5の数が複数であれば、第2のモジュール31をセンサとして好適に用いることができる。
【0184】
<第3実施形態>
第3実施形態において、第1および第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。第3実施形態は、上記と同一の作用効果を奏することができる。
【0185】
図5Aに示すように、第3実施形態では、第3のモジュール33は、コイルパターン5および第1接着層11の他に、支持層14を備える。
【0186】
支持層14は、コイルパターン5をその下側から支持する基材シート(薄膜)である。支持層14は、平面視略矩形シート形状を有する。支持層14は、第3のモジュール33における下面を形成する。支持層14は、コイルパターン5の下面および第1接着層11の下面に接触している。
【0187】
支持層14の材料は、靱性を有する材料であって、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン、フッ素樹脂などの樹脂が挙げられ、好ましくは、ポリイミドが挙げられる。支持層14の厚みは、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下であり、また、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上である。
【0188】
第3のモジュール33を得るには、図2Hで示される第1実施形態の第1のモジュール1の下面に、支持層14を配置(貼り付ける)。
【0189】
その後、第1接着層11がBステージであれば、第3のモジュール33を加熱、または、加圧しながら加熱して、第1接着層11をCステージにする。
【0190】
なお、第3実施形態の第3のモジュール33は、第4実施形態における第4のモジュール34(後述)の中間部材であって、第2接着層12(後述、図5B参照)を含まず、第3のモジュール33単独で産業上利用できる部材である。
【0191】
<第3実施形態の作用効果>
第1接着層11がBステージであり、第3のモジュール33を加熱して、第1接着層11をCステージにするときに、コイルパターン5に第1接着層11から応力(熱収縮力)や加圧による外部からの応力が付与され、そのため、コイルパターン5の面方向における位置ずれを生じ易い。この場合には、コイルパターン5の位置ずれに起因して、当初設計していたインダクタンスからずれたインダクタンスを有する第3のモジュール33となる。
【0192】
しかし、この第3のモジュール33の製造方法によれば、コイルパターン5が支持層14によって支持されるので、上記したCステージ化プロセス中でのコイルパターン5の位置ずれを抑制でき、コイルパターン5の位置精度を向上させることができる。そのため、上記したインダクタンスのずれを防止して、設計通りのインダクタンスを有する第3のモジュール33を製造することができる。
【0193】
<第4実施形態>
第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。第4実施形態は、上記と同一の作用効果を奏することができる。
【0194】
図5Aに示すように、第3実施形態では、支持層14の下面が露出する第3のモジュール33を製造している。
【0195】
しかし、図5Dに示すように、第4実施形態の第4のモジュール34の製造方法は、支持層14の下面を第2接着層12によって被覆することにより、第1接着層11および第2接着層12を備える接着層13によって、コイルパターン5および支持層14を厚み方向に挟む第11工程をさらに備える。
【0196】
さらに、図5Dに示すように、第4実施形態の第4のモジュール34の製造方法は、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面および下面のそれぞれに配置する第12工程をさらに備える。
【0197】
図5Aの矢印および図5Bに示すように、第11工程では、支持層14の下面を第2接着層12によって被覆する。第1接着層11および第2接着層12を備える接着層13を得る。これによって、接着層13によって、コイルパターン5および支持層14を上下方向に挟む。
【0198】
その後、図5Bの矢印で示すように、第3剥離層15を第2接着層12(接着層13の下面)から剥離する。これとともに、剥離層10を第1接着層11(接着層13の上面)から剥離する。
【0199】
図5Cの矢印および図5Dに示すように、第12工程では、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面および下面のそれぞれに配置する。
【0200】
第12工程では、図5Cに示すように、2つの磁性層18を準備する。続いて、接着層13がBステージであれば、図5Cの矢印で示すように、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面および下面のそれぞれに感圧接着する。
【0201】
その後、必要により、接着層13がBステージであれば、第4のモジュール34を加熱、または、加圧しながら加熱して、接着層13をCステージにする。
【0202】
これによって、図5Dに示すように、接着層13と、接着層13に厚み方向に挟まれるコイルパターン5および支持層14と、接着層13の上面および下面に配置された磁性層18とを備える第4のモジュール34を製造する。
【0203】
この第4のモジュール34の製造方法によれば、図5Bに示すように、第11工程において、コイルパターン5および支持層14を挟む接着層13を形成するので、コイルパターン5の位置精度を向上させながら、第4のモジュール34のインダクタンスをより一層向上させることができる。
【実施例】
【0204】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0205】
実施例1
(第2実施形態に対応する実施例)
(第1工程)
図2Aに示すように、ステンレス(SUS304)からなる厚み50μmの第1剥離層2の上面に、電解めっきによって、銅からなる厚み1.5μmのシード層19を形成した。
【0206】
これによって、第1剥離層2の上面にされたシード層19を準備する第1工程を実施した。
【0207】
(第2工程)
次いで、図2Dに示すように、シード層19から給電するめっきによって、コイルパターン5を形成した。
【0208】
具体的には、アディティブ法によって、コイルパターン5を形成した。つまり、まず、図2Bに示すように、シード層19の上面全面にフォトレジストを配置し、次いで、フォトレジストをフォト加工することにより、シード層19の上面に、図1Aに示すように、コイルパターン5の反転パターンを有するめっきレジスト29を配置した。続いて、図2Cに示すように、めっきレジスト29から露出するシード層19の上面に、シード層19から給電するめっきによって、コイルパターン5を形成した。続いて、図2Dに示すように、めっきレジスト29を剥離した。
【0209】
これによって、剥離層10をシード層19の上面に形成する第2工程を実施した。
【0210】
なお、図1に示すように、コイルパターン5は、内寸L1:1900μm、外寸L2:3100μm、幅W1:600μm、2つの後端部間の距離L3:600μmのコイル部6と、幅W2:200μmの2つの端子部7とを連続して有する。
【0211】
(第3工程)
図2Fに示すように、次いで、コイルパターン5を第1接着層11に押し込んだ。
【0212】
具体的には、まず、図2Dに示すように、第1接着層11を準備した。
【0213】
第1接着層11を準備するには、まず、表1に従って、各成分を配合して接着樹脂組成物(第1接着樹脂組成物)を調製し、続いて、接着樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度35質量%の接着樹脂組成物溶液を調製した。次いで、接着樹脂組成物溶液を、PETからなる厚み50μmの剥離層10(型番「MRA50」、三菱樹脂社製))の表面に塗布し、その後、110℃で2分間乾燥させた。これにより、図2Dに示すように、平均厚み45μmのBステージの第1接着層11を形成した。
【0214】
次いで、第1接着層11が下を向くように、剥離層10および第1接着層11をコイルパターン5の上側に対向配置した。具体的には、剥離層10および第1接着層11を真空プレス機の上板に配置し、第1剥離層2、シード層19およびコイルパターン5を真空プレス機の下板に配置した。続いて、真空プレス機を駆動して、図2Fに示すように、シード層19を第1接着層11に対して圧着して、コイルパターン5を第1接着層11に押し込んだ。シード層19の第1接着層11に対する圧着において、図2Eに示すように、コイルパターン5の上面は、一旦、第1接着層11の下面に接触し、連続して、図2Fに示すように、第1接着層11に押し込まれた。この際、シード層19および第1接着層11は、コイルパターン5以外の部分において、互いに接触した。
【0215】
(第4工程)
(第5工程および第6工程)
第4工程において、図2Gおよび図2Hに示すように、コイルパターン5および第1接着層11の下面を露出させた。
【0216】
具体的には、まず、図2Gに示すように、第1剥離層2をシード層19から剥離する第5工程(図2G参照)、および、シード層19を除去する第6工程(図2H参照)を順次実施した。
【0217】
第5工程では、第1剥離層2を、第1剥離層2およびシード層19において界面剥離が生じるように、シード層19の下面から引き剥がした。
【0218】
第6工程では、エッチングによって、シード層19を除去した。シード層19のエッチングでは、エッチング液として、硫酸および過酸化水素の混合溶液を用い、エッチング時間は、3分間であった。
【0219】
これによって、図4Aに示すように、コイルパターン5の下面を、第1接着層11から下側に露出させた。
【0220】
このようにして、第4工程を実施した。
【0221】
これによって、図4Aに示すように、第1のモジュール1を、後述する第2のモジュール31を得るための中間部材として得た。第1のモジュール1は、第1接着層11と、第1接着層11に押し込まれたコイルパターン5とを備えており、剥離層10に支持(保護)されている。
【0222】
(第8工程)
次いで、図4Bに示すように、第2接着層12によって、端子部7の下面を露出させるように、コイルパターン5の下面を被覆した。
【0223】
具体的には、図4Aに示すように、平均厚み40μmのBステージの第1接着層11と同様の方法に従って、第2接着層12を第2剥離層15の上面に調製した。次いで、図4Aの矢印および図4Bに示すように、第2接着層12の上面を、コイル部6の下面および第1接着層11の下面に対して感圧接着した。これによって、第1接着層11および第2接着層12を備え、コイル部6を埋設する接着層13を形成する第8工程を実施した。
【0224】
その後、図4Bの下側の矢印で示すように、剥離層10を第1接着層11から剥離した。また、図4Bの上側の矢印で示すように、第2剥離層15を第2接着層12から剥離した。
【0225】
(第9工程)
図4Dに示すように、磁性層18を接着層13の上面および下面に配置した。
【0226】
具体的には、まず、表1に従って、各成分を配合して磁性樹脂組成物を調製し、続いて、磁性樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度45質量%の磁性樹脂組成物溶液を調製した。次いで、磁性樹脂組成物溶液を図示しない剥離基材に塗布し、その後、110℃で2分間乾燥させた。これにより、Bステージの磁性層18(平均厚み45μm)を調製した。その後、磁性層18を剥離基材から剥離し、かかる磁性層18を8層積層し、175℃、30分、10MPaの条件で熱プレスにて加熱硬化させた。これにより、図4Cに示すように、Cステージの磁性層18(平均厚み200μm)を作製した。
【0227】
真空プレス機を用いて、2つの磁性層18のそれぞれを、接着層13の上面(第1接着層11の上面)および下面(第2接着層12の下面)に感圧接着(貼着)した。これによって、第9工程を実施した。
【0228】
これによって、接着層13と、接着層13に埋設されたコイル部6を有するコイルパターン5と、接着層13の上面および下面に配置される磁性層18とを備える第2のモジュール31を製造した。
【0229】
その後、Bステージの接着層13をCステージにした。
【0230】
(実施例2〜実施例6および比較例1)
接着樹脂組成物を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様に処理して、第1のモジュール1を製造し、続いて、第2のモジュール31を製造した。
【0231】
(比較例2)
図6Aに示すように、剥離層45の上面に、サブトラクティブ法で、コイルパターン5を形成した以外は、実施例1と同様に処理して、第2のモジュール31を製造した。
【0232】
具体的には、図6Aに示すように、まず、感圧接着性の剥離層45を準備し、次いで、銅からなる厚み50μmの導体層を剥離層45の上面に配置し、次いで、エッチングによって、コイルパターン5を形成した。
【0233】
図6Bに示すように、次いで、コイルパターン5を第1接着層11に押し込んだ。その際、剥離層45は、第1接着層11に感圧接着した。
【0234】
図6Bの仮想線で示すように、剥離層45をコイルパターン5および第1接着層11の下面から剥離しようと試みた。
【0235】
しかし、剥離層45および第1接着層11の感圧接着に起因して、上記した剥離を実施できず、剥離層45が凝集破壊された。
【0236】
【表1】
【0237】
表1に記載の各成分の詳細を以下に記載する。
【0238】
Ni−Zn系フェライト粒子 軟磁性粒子、JFEフェライト社製、型番KNI−109、平均粒子径1.5μm
Fe−Si−Cr合金粒子 軟磁性粒子、日本アトマイズ加工社製、平均粒子径8μm、製品名(鉄合金粉 SFR−FeSiCr)
Fe−Si−Al系合金粒子 軟磁性粒子、扁平状、磁化容易方向の保磁力:3.9(Oe)、平均粒子径40μm、平均厚み1μm
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 エポキシ当量199g/eq.、ICI粘度(150℃)0.4Pa・s、比重1.21、商品名「KI−3000−4」、東都化成社製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エポキシ当量180g/eq.、ICI粘度(150℃)0.05Pa・s、比重1.15、商品名「エピコートYL980」、三菱化学社製
フェノールビフェニレン樹脂 水酸基当量203g/eq.、ICI粘度(150℃)0.05Pa・s、比重1.18、商品名「MEH−7851SS」、明和化成社製
アクリル樹脂 カルボキシ基およびヒドロキシ基変性のアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、重量平均分子量900,000、比重1.00、商品名「テイサンレジン SG−70L」(樹脂含有割合12.5質量%)、ナガセケムテックス社製
熱硬化触媒 2−フェニル−1H−イミダゾール4,5−ジメタノール、比重1.33、商品名「キュアゾール2PHZ−PW」、四国化成社製
分散剤 ポリエーテルリン酸エステル、酸価17、比重1.03、商品名「HIPLAAD ED152」、楠本化成社製
表1の記載に従って、接着樹脂組成物を調製した。
【0239】
(評価)
各実施例および各比較例(比較例2を除く)の第2のモジュール31について、各項目を評価した。その結果を、表1に示す。
【0240】
1.コイルパターンの第1接着層に対する押込性
図2Hに示す第3工程におけるコイルパターン5の第1接着層11に対する押込性を、下記の基準で評価した。
○:コイルパターン5を第1接着層11に対して確実に押し込めた。
△:コイルパターン5を第1接着層11に対して押し込めたが、歩留りが50%であった。
【0241】
2.透磁率およびインダクタンス
透磁率を、インピーダンスアナライザー(KEYSIGHT社製、「E4991B」1GHzモデル)を用いる1ターン法(周波数:10MHz)により測定した。
【0242】
インダクタンスを、インピーダンスアナライザー(KEYSIGHT社製、「E4991B」1GHzモデル)により測定した。
【符号の説明】
【0243】
1 第1のモジュール
2 第1剥離層
3 導体層
5 コイルパターン
9 第2剥離層
11 第1接着層
12 第2接着層
13 接着層
18 磁性層
19 シード層19
31 第2のモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6