(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量が、前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し20質量部未満であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
前記硬化物の周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件下で25℃〜300℃まで動的粘弾性測定した場合における、150℃の貯蔵弾性率が1GPa以上であり、且つ、25℃〜150℃までの貯蔵弾性率の変化率が70%以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の硬化性樹脂組成物は、25〜300℃の温度範囲で硬化物のTanδの最大値が0.15以下となるものであり、このような物性であれば、硬化膜の温度が低温から高温まで曝されても安定したクラック耐性を得ることができる。
尚、本明細書において、Tanδ等の硬化物の物性は、特に断りが無い限り、樹脂組成物の乾燥後の樹脂層に対し、約500mJ/cm
2で紫外線を照射後、さらに高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cm
2の露光量で照射した後、160℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化させて得られる厚さ40μmの硬化物の物性を意味する。また、紫外線とは波長が10〜400nmの電磁波である。Tanδは、動的粘弾性測定で測定した損失弾性率を貯蔵弾性率で除した値、即ち、損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)であり、本明細書において動的粘弾性測定で測定されるTanδ等の物性は、周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件下で25℃〜300℃まで測定して得られるチャート図に基づくものである。
【0024】
Tanδ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)が小さい硬化物を得るためには、損失弾性率(粘性成分)を低下させるか、貯蔵弾性率(弾性成分)を増加させるか、その両方を行えばよく、言い換えると、硬化物中で粘性成分よりも弾性成分をできる限り多くすればよい。
Tanδの最大値を0.15以下とするための手段は特に限定されないが、平均粒径が100nm〜1μmであり、且つ、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)熱硬化成分および(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の少なくともいずれか1種と反応可能な反応性基を有する表面処理された無機充填剤を使用し、かつ、(B)熱硬化成分としてエポキシ当量300g/eq.以下のエポキシ樹脂を使用することが効果的である。
(E)無機充填剤の平均粒径が1μm以下であると、体積当たりの表面積が大きく、前記反応性基を多く有することができる。一方、平均粒径が100nm以上であると、硬化物の収縮を抑えてクラック耐性が向上する。
また、(B)熱硬化成分としてエポキシ当量が300g/eq.以下のエポキシ樹脂を含むことにより、(A)アルカリ可溶性樹脂との架橋点が多くなるため、架橋密度が上がり、また、未反応の(A)アルカリ可溶性樹脂等を低減することができる。このことから、Tanδの最大値が小さくなり、硬化物が150℃付近の高温時に急激な弾性率変化しにくくなり、クラック耐性がより向上する。
したがって、上記のような(E)無機充填剤とエポキシ当量が300g/eq.以下のエポキシ樹脂を含む組成物を硬化することにより、25〜300℃の範囲で硬化物のTanδの最大値が0.15以下となり、安定したクラック耐性を得ることができる。Tanδの最大値が0.13以下であると、クラック耐性がさらに向上するので好ましい。
【0025】
また、後述するように、(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量を少量にしたりすることによっても、硬化物のTanδを小さくすることができる。
【0026】
硬化物のTanδの最大値が大きい場合、硬化物が高温に曝されると硬化物中の粘性成分が動きやすく物性が大きく変化するが、Tanδの最大値が0.15以下の硬化物であれば、硬化物のTgに近い高温状態となったとしても粘性成分がほとんど動かずに物性変化が小さく、クラックの発生が抑えられる。
【0027】
また、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の150℃における貯蔵弾性率は、硬化物のTanδの最大値が0.15以下となればどのような値でもよいが、1GPa以上であることが好ましい。より好ましくは、2GPa以上である。貯蔵弾性率が1GPa以上であると、パッケージ内部の水蒸気圧力に対する硬化物の耐性が向上し、クラック耐性や絶縁信頼性が向上する。
また、従来は高温時のクラック耐性を得るためには応力吸収のために貯蔵弾性率の変化が大きいことが好ましいとされていた。
しかしながら、本発明の硬化性樹脂組成物おいては逆に貯蔵弾性率の変化率を小さくして高温時でも強靭性を維持させて、応力の発生を抑制しクラックの発生を抑えようとするものである。
本発明においては、貯蔵弾性率の変化率が小さい方が好ましく、25℃〜150℃における貯蔵弾性率の変化率が70%以内であることが好ましい。より好ましくは65%以内である。
【0028】
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物のCTEα2が110ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下である。CTEα2が小さいほど、高温でも物性変化を少なくすることができる。
【0029】
本発明の硬化性樹脂組成物は、Tg(ガラス転移温度)が160℃以上であることが好ましい。より好ましくは165℃以上である。Tgが高いほど、高温での物性変化を少なくすることができる。
【0030】
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
【0031】
[(A)アルカリ可溶性樹脂]
(A)アルカリ可溶性樹脂は、例えばフェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上のアルカリ可溶性基を含有する樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。(A)アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂やフェノール系水酸基含有樹脂を用いることができるが、(B)熱硬化成分および(E)無機充填剤との反応性の観点からカルボキシル基含有樹脂が好ましい。
【0032】
また、(A)アルカリ可溶性樹脂は重量平均分子量が小さい方が、アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性基の割合が増加し、硬化物の架橋密度が増加するため好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂は重量平均分子量は、重量平均分子量(Mw)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合のポリスチレン換算で、10,000以下であることが好ましい。
【0033】
(A)アルカリ可溶性樹脂は、現像性、光硬化性、耐現像性の観点から、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和基を有することが好ましい。なお、エチレン性不飽和基を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを使用してもよい。エチレン性不飽和基としては、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来のものが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーまたはポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
【0034】
(1)2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
【0035】
(2)2官能エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
【0036】
(3)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0037】
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等の1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0038】
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0039】
(6)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0040】
(7)後述するような多官能オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0041】
(8)上述した(1)〜(7)等のカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0042】
エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂(カルボキシル基含有感光性樹脂ともいう)としては、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等に由来する主鎖と側鎖のエチレン性不飽和基とが離れた構造であることが好ましい。言い換えると、側鎖にエチレン性不飽和基を導入する際、主鎖とエチレン性不飽和基との間にある程度の距離が生じるように鎖延長構造を導入することが好ましい。そのような構造であると、側鎖のエチレン性不飽和基同士の反応性が向上するための好ましい。鎖延長構造とエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂としては、例えば、上記(3)、(4)、(5)、(8)に記載のカルボキシル基含有樹脂が好ましい。
【0043】
(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、40〜150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることで、正常な硬化物パターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50〜130mgKOH/gである。
【0044】
(A)アルカリ可溶性樹脂の配合量は、溶剤を除いた組成物の固形分全量基準で、例えば、15〜60質量%であり、20〜60質量%であることが好ましい。15質量%以上、好ましくは20質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり加工性が向上する。より好ましくは、30〜50質量%である。
【0045】
[(B)熱硬化成分]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(B)熱硬化成分として、エポキシ当量が300g/eq.以下のエポキシ樹脂を含むものであり、架橋密度を向上させてさらにクラック耐性を向上させる観点からより好ましくは、200g/eq.以下である。
【0046】
エポキシ樹脂は、上記エポキシ当量を満たせば特に限定されない。エポキシ樹脂としては、エポキシ化植物油;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂;チオエーテル型エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキルフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂);ビフェノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;ジグリシジルフタレート樹脂;テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ナフタレン基含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体;CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂、およびトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の少なくともいずれか1種が好ましい。
【0047】
エポキシ当量が300g/eq.以下のエポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEXP7241(トリフェニルメタン型エポキシ樹脂)、HP6000(ナフタレン基を有するエポキシ樹脂)、エピクロンN−740(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製のエポトートYDC−1312(ハイドロキノン型エポキシ樹脂)、YSLV−80XY(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
【0048】
本発明の組成物は、架橋密度をより高くすることができるため、低Tanδ化の観点から、(B)熱硬化成分として、2種類以上の多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましい。本明細書において、「多官能」とは2官能以上を意味する。また、本発明の組成物は、(B)熱硬化成分として、(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、(B−1)成分と、(B−2)軟化点が40℃を超える2官能以上のエポキシ樹脂との混合物を含むことが好ましい。(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂を含むことにより、(E)無機充填剤の高充填化が可能となり低CTE、低Tanδとなり、サーマルサイクル試験において、クラック耐性が向上する。さらに、(B−2)軟化点が40℃を超える2官能以上のエポキシ樹脂も含むことにより、硬化性樹脂組成物全体のガラス転移温度(Tg)を上げることもできる。その結果、PCT耐性などの耐熱性、サーマルサイクル試験におけるクラック耐性などの信頼性をより向上させることができる。ここで、軟化点は、JIS K 7234に記載の方法に従い測定される値を意味する。
【0049】
(B−1)軟化点40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂としては、公知の樹脂でよいが、例えば、室温で液状であることが好ましい。(B−1)軟化点40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート834、828(三菱化学社製)、YD−128(新日鉄住金化学社製)、840、850(DIC社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、806、807(三菱化学社製)、YDF−170(新日鉄住金化学社製)、830、835、N−730A(DIC社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、ZX−1059(新日鉄住金化学社製)などのビスフェノールAとビスフェノールFの混合物、YX−8000、8034(三菱化学社製)ST−3000(新日鉄住金化学社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、日本化薬社製のRE−306CA90、ダウケミカル社製のDEN431、DEN438等のノボラック型エポキシ樹脂、DIC社製のエピクロンHP−820等のアルキルフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0050】
(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性基1当量に対して、(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂のエポキシ基が好ましくは0.2〜1.8当量となる範囲である。(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂における軟化点は、−80〜30℃が好ましく、−70〜20℃がより好ましい。Tanδの低下に効果がある(E)無機充填剤の高充填化において、軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂を用いると配合設計の自由度を広げることができ、接着強度を増すことができる。
【0051】
(B−2)軟化点が40℃を超える2官能以上のエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、日産化学社製のICTEP−S(軟化点:110℃)、TEPIC−H、N870、DIC社製のHP−7200(軟化点:60℃)、HP−4700(軟化点:90℃)、HP−4710(軟化点:96℃)、EXA−7241(軟化点:70℃)、三菱化学社製のYX−4000(軟化点:105℃)、日本化薬社製のNC−3000L(軟化点:52℃)、NC−7000L(軟化点:86℃)、CER−3000L(軟化点:93℃)、EPPN−502H(軟化点:67℃)、新日鉄住金化学社製のエポトートYSLV−80XY(軟化点:80℃)、EPICLON−N660(軟化点:61〜69℃)、新日鉄住金化学社製エポトートYDC−1312(軟化点:140℃)等が挙げられる。
【0052】
(B−2)軟化点が40℃を超える2官能以上のエポキシ樹脂における軟化点は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。なお、(B−2)軟化点が40℃を超える2官能以上のエポキシ樹脂における軟化点の上限は、特に制限されないが、約400℃以下である。ドライフィルム化した際の加工性の観点から80℃以下であることが好ましい。
【0053】
(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂と(B−2)軟化点が40℃を超えるエポキシ樹脂の配合比は、(B−1)軟化点が40℃以下の2官能以上のエポキシ樹脂のエポキシ基(b−1)と(B−2)軟化点が60℃を超える2官能以上のエポキシ樹脂のエポキシ基(b−2)との当量比(b−1):(b−2)が、3:7〜9:1であることが好ましく、さらに好ましくは、4:6〜8:2である。エポキシ基(b−1)の比率が3〜9であることにより、低Tanδ化と高Tg化の両立が図れる。
【0054】
エポキシ当量が300g/eq.以下のエポキシ樹脂として、エポキシ樹脂の中でも、架橋密度を上げる観点から、3官能以上のエポキシ樹脂を含むことが特に好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂の構造は特に限定されず、3個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂であればよい。それらの中でも、架橋密度を更に上げる観点からエポキシ当量が200g/eq.以下の3官能以上のエポキシ樹脂であることがより好ましい。
【0055】
3官能以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂の市販品の具体例としては、3官能アミノフェノール型エポキシ樹脂の商品名「jER−630」(三菱化学社製)、3官能トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の商品名「TEPIC−SP」(日産化学工業社製)、3官能芳香族エポキシ樹脂の商品名「テクモアVG3101」(プリンテック社製)、4官能芳香族エポキシ樹脂の商品名「GTR−1800」(日本化薬社製)、変性ノボラック型エポキシ樹脂の商品名「EPICLON−N740」(DIC社製)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の商品名「EPICLON−HP7200H−75M」(DIC社製)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の商品名「EPICLON−N660」(DIC社製)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の商品名「jER−152」(三菱化学社製)、ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂の商品名「NC3000」(日本化薬社製)、「NC3000H」(日本化薬社製)、「NC3000L」(日本化薬社製)、ナフタレン型エポキシ樹脂の商品名「ESN−175S」(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
【0056】
(B)熱硬化成分として、上記エポキシ樹脂の中でも、シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂をより好適に用いることができる。シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂を配合することにより、組成物の無機成分の割合が増加し、粘性成分が減少する。これにより、Tanδの最大値が小さくなり、硬化物が高温時に硬化収縮しにくくなる。シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂としては、シルセスキオキサン、即ち、3官能性シランを加水分解することで得られる(RSiO
1.5)
nの構造を持つネットワーク型ポリマーまたは多面体クラスターであって、エポキシ基を含む基を有する化合物であれば特に限定されない。シルセスキオキサンの各シリコンは平均1.5個の酸素原子と1つの炭化水素基と結合している。
【0057】
シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン骨格を有することが好ましい。
(式中、R
1〜R
4は、それぞれ独立して、SiO結合を有する基または有機基であり、R
1〜R
4のうち少なくとも一つがエポキシ基を有する基である。)ここで、有機基とは、炭素原子を含む基のことを言う。
【0058】
前記シルセスキオキサンの構造は特に限定されず、ランダム構造、ハシゴ構造、完全カゴ型構造、不完全カゴ型構造等の公知慣用の構造のシルセスキオキサンを用いることができる。
【0059】
R
1〜R
4がとり得るSiO結合を有する基としては、特に限定されず、SiO結合と脂肪族骨格を有する基、SiO結合と芳香族骨格を有する基、SiO結合とヘテロ原子を有する基等が挙げられ、上記熱硬化性の官能基(エポキシ基)の当量の範囲内となるものであることが好ましい。
【0060】
R
1〜R
4がとり得る炭素原子を含む有機基としては、特に限定されず、メチル基等の脂肪族基、フェニル基等の芳香族基、ヘテロ原子を有する基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜30の有機基であり、上記熱硬化性の官能基(エポキシ基)の当量の範囲内となるものであることが好ましい。
【0061】
R
1〜R
4のうち少なくとも一つはエポキシ基を有する基であり、ここでエポキシ基を有する基としては、特に限定されず、SiO結合を有する基または有機基がエポキシ基を有すればよい。
【0062】
(B)熱硬化成分の配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、例えば、1〜100質量部であり、10〜80質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましい。(B)熱硬化成分の配合量が1質量部以上であると、クラック耐性および絶縁信頼性が向上し、100質量部以下であると、保存安定性が向上する。
【0063】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ当量が300g/eq.以下のエポキシ樹脂以外の公知の熱硬化成分を含有してもよい。例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ当量が300g/eq.を超えるエポキシ樹脂、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の化合物を使用することができる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する化合物である。上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する化合物は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわち多官能エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0064】
[(C)エチレン性不飽和基を有する化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(C)エチレン性不飽和基を有する化合物を含有する。(C)エチレン性不飽和基を有する化合物としては、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく用いられる。エチレン性不飽和基を有する化合物としては、公知慣用のエチレン性不飽和基を有する化合物である光重合性オリゴマー、光重合性ビニルモノマー等を用いることができる。なお、ここで言う(C)エチレン性不飽和基を有する化合物には、エチレン性不飽和基を有する(A)アルカリ可溶性樹脂および(E)表面処理された無機充填剤は含まれないものとする。
【0065】
光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して20質量部未満であることが好ましく、より好ましくは5〜18質量部であり、さらにより好ましくは10〜15質量部である。(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量を少なくすることにより、硬化物中の未反応のエチレン性不飽和基を有する化合物を低減し、損失弾性率(粘性成分)を低下させることができる。
【0068】
[(D)光重合開始剤]
(D)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
【0069】
光重合開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもモノアシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類が好ましく、高感度であるオキシムエステル類が最も好ましい。オキシムエステル類としては、オキシムエステル基を1つまたは2個以上有することが好ましく、例えば、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)がより好ましい。
【0070】
光重合開始剤の配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。0.5質量部以上の場合、表面硬化性が良好となり、20質量部以下の場合、ハレーションが生じにくく良好な解像性が得られる。
【0071】
[(E)表面処理された無機充填剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、平均粒径100nm〜1μmで且つ(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)熱硬化成分および(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の少なくともいずれか1種と反応可能な反応性基を有する(E)表面処理された無機充填剤を含有する。
【0072】
無機充填剤としては、特に限定されず、公知慣用の充填剤、例えばシリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等の無機フィラーを用いることができる。中でも、シリカが好ましく、表面積が小さく、応力が全体に分散するためクラックの起点になりにくいことから、また、解像性に優れることから、球状シリカであることがより好ましい。
【0073】
(E)表面処理された無機充填剤の反応性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、環状(チオ)エーテル基、酸性基、塩基性基が挙げられる。
環状(チオ)エーテル基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、エピスルフィド基等が挙げられる。
酸性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、チオール基、スルホン基、リン酸基等が挙げられる。
塩基性基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アンモニウム基等が挙げられる。
(E)表面処理された無機充填剤の反応性基は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基および環状(チオ)エーテル基のいずれか1種であることが好ましい。(E)表面処理された無機充填剤の反応性基が環状(チオ)エーテル基であると(A)アルカリ可溶性樹脂との反応性に優れ、(メタ)アクリロイル基またはビニル基であると(A)アルカリ可溶性樹脂のエチレン性不飽和基等との反応性に優れる。
【0074】
無機充填剤に前記反応性基を導入する方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いて導入すればよく、前記反応性基を有する表面処理剤、例えば、前記反応性基を有するカップリング剤等で無機充填剤の表面を処理すればよい。
【0075】
無機充填剤の表面処理としては、カップリング剤による表面処理が好ましい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を用いることができる。中でも、シランカップリング剤が好ましい。
【0076】
前記反応性基を無機充填剤に導入可能なシランカップリング剤としては、ビニル基を有するシランカップリング剤、メタクリル基を有するシランカップリング剤、アクリル基を有するシランカップリング剤、エポキシ基を有するシランカップリング剤、カルボキシル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル基およびビニル基の少なくともいずれかを有するシランカップリング剤が好ましい。
【0077】
(E)表面処理された無機充填剤は、表面処理された状態で本発明の硬化性樹脂組成物に配合されていればよく、表面未処理の無機充填剤と表面処理剤とを別々に配合して組成物中で無機充填剤が表面処理されてもよいが、予め表面処理した無機充填剤を配合することが好ましい。予め表面処理した無機充填剤を配合することによって、別々に配合した場合に残存しうる表面処理で消費されなかった表面処理剤によるクラック耐性等の低下を防ぐことができる。予め表面処理する場合は、溶剤や樹脂成分に無機充填剤を予備分散した予備分散液を配合することが好ましく、表面処理した無機充填剤を溶剤に予備分散し、該予備分散液を組成物に配合するか、表面未処理の無機充填剤を溶剤に予備分散する際に十分に表面処理した後、該予備分散液を組成物に配合することがより好ましい。
【0078】
(E)表面処理された無機充填剤の平均粒径は100〜800nmであることが好ましく、100〜700nmであることがより好ましく、200〜700nmであることがさらにより好ましい。なお、本明細書において、(E)表面処理された無機充填剤の平均粒径は、一次粒子の粒径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒径も含めた平均粒径(D50)である。平均粒径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。レーザー回折法による測定装置としては、日機装社製Nanotrac waveなどが挙げられる。
【0079】
(E)表面処理された無機充填剤の配合量が多いほど貯蔵弾性率が増加し、Tanδが小さくなり、硬化物が膨張しにくくなることから、(E)表面処理された無機充填剤の配合量は、硬化性樹脂組成物の固形分の全量あたり35質量%以上であることが好ましい。より好ましくは38〜80質量%である。
【0080】
(熱硬化触媒)
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
【0081】
熱硬化触媒の配合量は、(B)熱硬化成分100質量部に対して、好ましくは0.05〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部である。
【0082】
(硬化剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂、マレイミド化合物、脂環式オレフィン重合体等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
(着色剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0084】
着色剤の添加量は特に制限はないが、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、特に好ましくは0.1〜7質量部の割合で充分である。
【0085】
(有機溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0086】
(その他の任意成分)
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、熱可塑性樹脂、有機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体、AB型またはABA型のブロック共重合体等が挙げられる。
【0087】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いても良い。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0088】
次に、本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3〜150μm、好ましくは5〜60μmの範囲で適宜選択される。
【0089】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15〜130μmの範囲である。
【0090】
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0091】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0092】
本発明のプリント配線板は、本発明の硬化性樹脂組成物、または、ドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。本発明のプリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
【0093】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0094】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0095】
プリント配線板上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後加熱硬化(例えば、100〜220℃)、もしくは加熱硬化後活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化)させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
【0096】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10〜1000mJ/cm
2、好ましくは20〜800mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0097】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0098】
本発明の硬化性樹脂組成物は、プリント配線板上に硬化膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイを形成するために使用される。また、高度な信頼性が求められるファインピッチの配線パターンを備えるプリント配線板、例えばパッケージ基板、特にFC−BGA用の永久被膜(特にソルダーレジスト)の形成に好適である。特に、本発明の硬化性樹脂組成物によれば、高温負荷がかかる時におけるクラック耐性に優れた硬化物を得ることができることから、車載用途等の高温状態に晒される用途に好適である。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0100】
[アルカリ可溶性樹脂A−1の合成]
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショーノールCRG951」、昭和高分子社製、OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部およびトルエン119.4部を導入し、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm
2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部およびトルエン252.9部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部およびトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、不揮発分65%、固形物の酸価87.7mgKOH/gのカルボキシル基含有感光性樹脂A−1の溶液を得た。
【0101】
[アルカリ可溶性樹脂A−2の合成]
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート700gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均反応性基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、更にトリフェニルホスフィン1.6gを追加し、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)562g、テトラヒドロ無水フタル酸684g(4.5モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート142.0g(1.0モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行い、カルボキシル基含有感光性樹脂溶液(A−2)を得た。
このようにして得られた感光性樹脂溶液(A−2)の固形分は65%、固形分の酸価は87mgKOH/gであった。
【0102】
[シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂の合成B−1]
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン90.0部、フェニルトリメトキシシラン3.0部、メチルトリメトキシシラン2.0部、メチルイソブチルケトン93部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、0.1重量%水酸化カリウム水溶液21.6部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、生成するメタノールを除去しながら80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することによりシルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂69部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は176g/eq.、重量平均分子量は2200であった。
【0103】
[表面処理された無機充填剤(シリカ)E−1の調整]
球状シリカ(デンカ社製SFP−30M、平均粒径:600nm)70gと、溶剤としてPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)28gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM−503)2gとを均一分散させて、シリカ溶剤分散品E−1を得た。
【0104】
[表面処理された無機充填剤(シリカ)E−2の調整]
球状シリカ(デンカ社製SFP−20M、平均粒径:300nm)70gと、溶剤としてPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)28gと、エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM−403)4gとを均一分散させて、シリカ溶剤分散品E−2を得た。
【0105】
[
参考例1〜
9、実施例10〜17、比較例1〜5]
上記の樹脂溶液(ワニス)を、表1〜3に示す種々の成分とともに表1〜3に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0106】
<ドライフィルムの作製>
上記のようにして得られた硬化性樹脂組成物にメチルエチルケトン300gを加えて希釈し、攪拌機で15分間撹拌して塗工液を得た。塗工液を、算術表面粗さRa150nmである厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製エンブレットPTH−25)上に塗布し、通常、80℃の温度で15分間乾燥し、厚み20μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、感光性樹脂層上に、厚み18μmのポリプロピレンフィルム(フタムラ社製OPP−FOA)を貼り合わせて、感光性ドライフィルムを作製した。
【0107】
<硬化塗膜の作製>
ロープロファイルの銅箔上に、上記のようにして得られた感光性ドライフィルムからポリエチレンフィルムを剥離して、銅箔表面側に、感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を貼り合わせ、続いて、真空ラミネーター(名機製作所製 MVLP−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、基板と感光性樹脂層とを密着させた。
次に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、感光性ドライフィルム上から露光(露光量:400〜600mJ/cm
2)した後、感光性ドライフィルムからポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂層を露出させた。その後、1重量%Na
2CO
3水溶液を用いて、30℃、スプレー圧2kg/cm
2の条件で60秒間現像を行い、所定のレジストパターンを有する樹脂層を形成した。続いて、高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cm
2の露光量で樹脂層に照射した後、160℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化させて硬化塗膜を作製した。
【0108】
<Tanδ、Tg、貯蔵弾性率の評価>
上記のようにして得られた硬化塗膜を銅箔より剥離し、測定サイズ(5mm×10mmのサイズ)が得られるようにサンプルを切り出し、日立ハイテック社製DMS6100にて25℃から300℃まで昇温5℃/分、周波数1Hz、引張り正弦波モードで測定した。
Tanδは温度測定領域での最大値をとり、その時の温度をTgとし、貯蔵弾性率(E’)は、25℃(E’1)および150℃(E’2)のデータを取った。
貯蔵弾性率(E’)の変化率は、上記2点の貯蔵弾性率を用い、(E’1−E’2)/E’1より算出して得た。
【0109】
<CTEの評価>
上記のようにして得られた硬化塗膜を銅箔より剥離し、測定サイズ(3mm×10mmのサイズ)が得られるようにサンプルを切り出し、日立ハイテック社製TMA6100にてCTEを測定した。測定条件は、試験荷重5g、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より昇温することを2回繰り返し、2回目におけるTg以上の線膨張係数(CTE(α2))を得た。
【0110】
<クラック耐性(TCT耐性)>
C4接続する250μmバンプピッチの回路形成された基板(50mm×50mm×0.4mmt)表面を化学研磨し、上記のようにして得られた感光性ドライフィルムからポリエチレンフィルムを剥離して、表面研磨された側の面に、感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を貼り合わせ、続いて、真空ラミネーター(名機製作所製 MVLP−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、基板と感光性樹脂層とを密着させた。次に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、直径70μmのネガパターンを有する露光マスクを介して、感光性ドライフィルム上から露光した後、感光性ドライフィルムからポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂層を露出させた。その後、1重量%Na
2CO
3水溶液を用いて、30℃、スプレー圧2kg/cm
2の条件で60秒間現像を行い、所定のレジストパターンを有する樹脂層を形成した。続いて、高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cm
2の露光量で樹脂層に照射した後、160℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化させて硬化被膜を形成し、基板上に硬化被膜が設けられたTST評価基板を作製した。
次に、C4工法により20mm角のチップを実装した後、プレコンディショニングとして125℃24時間で加熱処理し、60℃湿度60%48時間で加湿処理し、リフロー260℃を3回施した。得られた基板を−65℃と175℃の間の温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、300サイクル時、600サイクル時および800サイクル時の外観を観察した。
◎◎:1000サイクル以上で異常なし。
◎:800サイクル以上で異常なし。
○:800サイクルでクラック発生。
△:600サイクルでクラック発生。
×:300サイクルでクラック発生。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
*1:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂A−1(アルカリ可溶性基当量:701.3g/eq.)
*2:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂A−2(アルカリ可溶性基当量:579g/eq.)
*3:日本化薬社製のPCR−1170H(フェノールノボラック型エポキシ樹脂を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂)(アルカリ可溶性基当量:656g/eq.)
*4:上記で合成したシルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂B−1(エポキシ当量:176g/eq.、2官能、軟化点:−50℃)
*5:DIC社製エピクロンN−740(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq.、3官能、軟化点:30℃)
*6:DIC社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ当量:280g/eq.、2官能、軟化点:75〜90℃)
*7:DIC社製エピクロンHP−820(アルキルフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量:225g/eq.、2官能、液状)
*8:新日鉄住金化学社製エポトートYDC−1312(ハイドロキノン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:178g/eq.、2官能、軟化点:140℃)
*9:新日鉄住金化学社製エポトートYSLV−80XY(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:195g/eq.、2官能、軟化点:80℃)
*10:DIC社製エピクロン152(テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:360g/eq.、2官能、軟化点:56〜66℃)
*11:三菱化学社製jER1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:475g/eq.、2官能、軟化点:64℃)
*12:四国化成社製2PHZ(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)
*13:ジシアンジアミド
*14:日本化薬社製DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
*15:BASFジャパン社製イルガキュアTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)
*16:BASFジャパン社製イルガキュアOXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)
*17:上記で調整した表面処理されたシリカ溶剤分散品E−1(反応性基としてメタクリル基を有するシリカ)(シリカ含有量70質量%(固形分))(平均粒径600nm)(表中の数値は固形分量を示す)
*18:上記で調整した表面処理されたシリカ溶剤分散品E−2(反応性基としてエポキシ基を有するシリカ)(シリカ含有量68.6質量%(固形分))(平均粒径300nm)(表中の数値は固形分量を示す)
*19:アドマテックス社製アドマナノYA050C−SV2(反応性基としてビニル基を有するシリカ)(平均粒径50nm)
*20:アドマテックス社製アドマファインSO−C2(球状シリカ、平均粒径0.5μm)
*21:アドマテックス社製アドマファインSO−C5(球状シリカ、平均粒径1.5μm)
*22:日本化薬社製NC−3000L(ビフェニレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:273g/eq.、2官能、軟化点:52℃)
*23:DIC社製EXA−7241(トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:168g/eq.、3官能、軟化点:70℃)、
*24:DIC社製EPICLON−N660(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:210g/eq.、2官能、軟化点:61〜69℃)
【0114】
上記表中に示す結果から、本発明の
参考例1〜
9、実施例10〜17の硬化性樹脂組成物の硬化物は、クラック耐性に優れることがわかる。これに対し、比較例1〜5の硬化性樹脂組成物の硬化物では、Tanδの最大値が0.15を超えており、クラック耐性を得ることができなかった。