特許第6967526号(P6967526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967526
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
   F03D 5/00 20060101AFI20211108BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20211108BHJP
   F03D 5/06 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   F03D5/00
   F03B17/06
   F03D5/06
【請求項の数】22
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-550412(P2018-550412)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公表番号】特表2019-510920(P2019-510920A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2017058166
(87)【国際公開番号】WO2017174685
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年4月2日
(31)【優先権主張番号】16382155.6
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517073384
【氏名又は名称】ヴォーテックス・ブレードレス・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】VORTEX BLADELESS, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤニェス・ビジャレアル,ダビド・ヘスス
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−535613(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0013737(US,A1)
【文献】 特開2003−164136(JP,A)
【文献】 独国特許発明第00495303(DE,C2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0176430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 5/00
F03D 5/06
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機であって、
長尺形状を有し、第1の端部(11)と第2の端部(12)とを有する第1の部分(1)を備え、前記第1の部分は前記第1の端部(11)の側において基部(1000)に取付けられるために配置されており、前記第1の部分は、流体内に位置するように構成され、前記流体が移動すると前記第1の部分(1)の振動運動を生成する揚力が前記第1の部分(1)に発生するように、前記第1の部分が前記流体に渦を生じるように構成されており、
前記発電機はさらに、前記第1の部分の前記振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム(3)を備え、
前記サブシステム(3)は、前記第1の部分(1)内に少なくとも部分的に収容されており、
前記第1の端部から軸方向に延在する第2の部分(2)をさらに備え、前記サブシステム(3)は少なくとも1つの第1のサブシステム要素および少なくとも1つの第2のサブシステム要素(32)を含み、前記第1のサブシステム要素(31)および前記第2のサブシステム要素(32)は、前記第1のサブシステム要素(31)の前記第2のサブシステム要素(32)に対する運動によって電力を生成するために配置されており、前記第1のサブシステム要素(31)は前記第1の部分(1)に取付けられ前記第2のサブシステム要素(32)は前記第2の部分(2)に取付けられて、前記第1の部分(1)の前記振動運動によって前記第1のサブシステム要素(31)の前記第2のサブシステム要素(32)に対する振動運動を生成し、
前記第1の部分は、前記第1の部分の前記振動運動によって繰り返し変形または変位されるように配置された取付け要素(5)を介して前記基部に取付けられており、前記取付け要素(5)は前記第1の部分内へと延在しており、前記第2の部分(5)は前記第1の部分内へと延在しており、前記第2の部分(2)は前記第1の部分(1)内で少なくとも部分的に前記取付け要素(5)を取り囲む、ことを特徴とする、発電機。
【請求項2】
発電機であって、
長尺形状を有し、第1の端部(11)と第2の端部(12)とを有する第1の部分(1)を備え、前記第1の部分は前記第1の端部(11)に対応して基部(1000)に取付けられるために配置されており、前記第1の部分は、流体内に位置するように構成され、前記流体が移動すると前記第1の部分(1)の振動運動を生成する揚力が前記第1の部分(1)に発生するように、前記第1の部分が前記流体に渦を生じるように構成されており、
前記発電機はさらに、前記第1の部分の前記振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム(3)を備え、
前記サブシステム(3)は、前記第1の部分(1)内に少なくとも部分的に収容されており、
前記第1の端部から軸方向に延在する第2の部分(2)をさらに備え、前記サブシステム(3)は少なくとも1つの第1のサブシステム要素および少なくとも1つの第2のサブシステム要素(32)を含み、前記第1のサブシステム要素(31)および前記第2のサブシステム要素(32)は、前記第1のサブシステム要素(31)の前記第2のサブシステム要素(32)に対する運動によって電力を生成するために配置されており、前記第1のサブシステム要素(31)は前記第1の部分(1)に取付けられ前記第2のサブシステム要素(32)は前記第2の部分(2)に取付けられて、前記第1の部分(1)の前記振動運動によって前記第1のサブシステム要素(31)の前記第2のサブシステム要素(32)に対する振動運動を生成し、
前記第1の部分は、前記基部(1000)から前記第1の部分(1)内に延在するロッド部材(5)を介して前記基部に取付けられており、前記第2の部分(2)は、前記ロッド部材(5)を軸方向に越えた位置まで前記第1の部分(1)内へと延在する、ことを特徴とする、発電機。
【請求項3】
前記サブシステム(3)は前記第1の部分(1)内に完全に収容されている、請求項1または請求項2に記載の発電機。
【請求項4】
前記第2の端部(2)は前記第1の端部の上方で距離Hの位置にあり、前記サブシステム(3)は前記第1の端部の上方で0.05Hより大きな距離にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項5】
前記サブシステム(3)は、前記第2の端部の下方より少なくとも0.1Hの距離の位置にある、請求項4に記載の発電機。
【請求項6】
前記第1のサブシステム要素(31)と前記第2のサブシステム要素(32)とのうちの少なくとも一方は少なくとも1つの磁石(311、312)を含み、前記第1のサブシステム要素(31)と前記第2のサブシステム要素(32)とのうちの少なくとも他方は少なくとも1つのコイル(321、322、323)を含み、前記少なくとも1つのコイルは、前記少なくとも1つの磁石と前記少なくとも1つのコイルとの間の相対変位によって、前記第1のサブシステム要素(31)の前記第2のサブシステム要素(32)に対する前記振動運動によって前記少なくとも1つのコイルに起電力が生成されるように配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコイルは、共通の平面に配置され前記第2の部分の軸を取り囲む2つのコイル(321、322)を含み、前記コイルのうちの一方(321)は前記コイルのうちの他方(322)の外側に位置し、前記2つのコイルは、電流が時計回り方向に前記コイルのうちの一方を循環すると電流が前記コイルのうちの他方を通って反時計回り方向に流れるように、および逆の場合も同様になるように直列に接続されている、請求項に記載の発電機。
【請求項8】
前記サブシステムは、前記第1の部分(1)の長手方向軸(2000)に垂直な平面に配置された少なくとも1つの環状磁石または少なくとも1つの環状コイル(323)を含み、前記環状磁石または前記環状コイルは前記長手方向軸に対して非対称的に位置決めされている、請求項1〜のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項9】
発電機であって、
第1の端部(11)および第2の端部(12)を有する第1の部分(1)を備え、前記第1の部分は、流体内に位置するように構成され、前記流体が移動すると前記第1の部分(1)の振動運動を生成する揚力が前記第1の部分(1)に発生するように、前記第1の部分が前記流体に渦を生じるように構成されており、前記振動運動は振幅を有し、
前記発電機はさらに、前記第1の部分(1)内で少なくとも部分的に配置された第2の部分(2)を備え、
前記発電機は、前記第1の部分(1)と前記第2の部分(2)との間に磁気反発力を生成する磁場を発生させる手段(41、311;42、312)を備え、前記磁気反発力は、前記第1の部分(1)の前記振動運動とともに変動し、前記第1の部分(1)の前記振動運動の前記振幅が増加すると増加する最大値を有し、
前記発電機は少なくとも1つのコイル(321、322、323)を含み、前記磁場を発生させる手段と前記少なくとも1つのコイルとの間の相対変位によって、前記第1の部分(1)の振動運動が前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)に起電力を生じさせるように、前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)が構成される、発電機。
【請求項10】
前記磁場を発生させる手段は、前記第1の部分(1)と関連付けられた少なくとも1つの第1の磁石(311、312)と前記第2の部分(2)と関連付けられた少なくとも1つの第2の磁石(41、42)とを含み、
前記少なくとも1つの第1の磁石(311、312)および前記少なくとも1つの第2の磁石(41、42)は、互いに反発し合うような態様で、および、前記第1の部分が振動運動を行なうと前記少なくとも1つの第1の磁石(311、312)と前記少なくとも1つの第2の磁石(41、42)との間の距離が前記振動運動に従って変動するような態様で配置されている、請求項に記載の発電機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の磁石は直径方向に対向する少なくとも2つの部分を含み、前記少なくとも1つの第2の磁石は、前記少なくとも1つの第1の磁石の前記直径方向に対向する少なくとも2つの部分に対向する、直径方向に対向する少なくとも2つの部分を含み、前記少なくとも1つの第1の磁石および/または前記少なくとも1つの第2の磁石は少なくとも1つのリングとして構成されている、請求項10に記載の発電機。
【請求項12】
前記第1の部分(1)は、前記振動運動の前記振幅が少なくとも速度の特定の範囲内で前記流体の速度とともに増加するように配置されており、前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石との間の前記磁気反発力は前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の距離の二乗に反比例し、前記流体の速度が増加すると、前記振動運動の前記振幅は増加する傾向にあり、それによって、前記磁石は各振動周期のうちの最も接近する部分の間により接近し、各振動周期において前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石との間で生成される最大反発力はそれに応じて増加し、前記磁気反発力の増加によって前記第1の部分の共振振動数が増加し、前記発電機の構造が、前記流体の速度が増加すると前記第1の部分の前記共振振動数の自動的な増加に寄与する、および逆の場合も同様である、請求項10または11に記載の発電機。
【請求項13】
前記第2の端部(2)は前記第1の端部(11)の上方で距離Hの位置にあり、前記磁場を発生させる手段(41、311;42、312)は、前記第1の端部の上方で0.05Hより大きな距離にある、請求項12のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項14】
前記磁場を発生させる手段(41、311;42、312)は、前記第2の端部(12)の下方で少なくとも0.1Hの距離の位置にある、請求項13に記載の発電機。
【請求項15】
前記第1の部分は、前記第1の部分の前記振動運動によって繰り返し変形または変位されるように配置された取付け要素(5)を介して基部に取付けられており、前記取付け要素(5)は前記第1の部分内へと延在しており、前記第2の部分(5)は前記第1の部分内へと延在しており、前記第2の部分(2)は前記第1の部分(1)内で少なくとも部分的に前記取付け要素(5)を取り囲む、請求項14のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項16】
前記第1の部分は、基部(1000)から前記第1の部分(1)内に延在するロッド部材(5)を介して前記基部に取付けられており、前記第2の部分(2)は、前記ロッド部材(5)を軸方向に越えた位置まで前記第1の部分(1)内へと延在する、請求項14のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項17】
発電機であって、
長尺形状を有し、第1の端部(11)と第2の端部(12)とを有する第1の部分(1)を備え、前記第1の部分は前記第1の端部(11)の側において基部(1000)に取付けられるために配置されており、前記第1の部分は流体内に位置するように構成され、前記流体が移動すると前記第1の部分(1)の振動運動を生成する揚力が前記第1の部分(1)に発生するように、前記第1の部分が前記流体に渦を生じるように構成されており、
前記発電機はさらに、前記第1の部分の前記振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム(3)を備え、
前記第1の部分は前記第1の端部と前記第2の端部との間の高さ(H)を有し、
前記第1の部分は直径を有する実質的に円形の断面を有し、
前記直径は前記第1の端部から前記第2の端部に向かって、前記第1の端部から前記第2の端部に向かう前記第1の端部の前記高さの少なくとも70%に沿って増加し、
前記第1の端部よりも前記第2の端部に近い位置から、前記第1の部分の前記直径は前記第1の端部から前記第2の端部への方向に減少し始め、前記第1の部分の長手方向の断面は、前記位置において外側に向かう凸部(121)を特徴として有し、前記凸部の後に前記凸部と前記第2の端部(12)との間の凹部(122)が続くことを特徴とする、発電機。
【請求項18】
前記第1の部分(1)と前記第2の部分(2)との間に磁気反発力を生成する磁場を生成する手段の一部を形成する少なくとも1つの磁石(311、312)は、前記第1の部分の前記振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム(3)の一部も形成する、請求項16のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項19】
前記第1の部分(1)は、前記第1の端部(11)と前記第2の端部(12)との間の前記第1の部分の少なくとも主要部分に沿って、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記第1の部分の少なくとも60%に沿って、前記第1の端部(11)からの距離とともに増加する直径を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項20】
前記第1の部分(1)は前記第1の端部(11)と前記第2の端部(12)との間で前記第1の部分(1)に沿って変動する、前記第1の部分(1)の断面方向の直径を有し、前記直径の最大値は前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離の20%以下である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項21】
発電機を風速と同調させるための方法であって、前記発電機は、
第1の部分(1)を含み、前記第1の部分(1)は、流体内に位置するように構成され、前記流体が移動すると前記第1の部分(1)の振動運動を生成する揚力が前記第1の部分(1)に発生するように、前記第1の部分が前記流体に渦を生じるように構成されており、
前記発電機はさらに、前記第1の部分内で少なくとも部分的に延在する第2の部分(2)と、少なくとも1つのコイル(321、322、323)とを含み、前記第1の部分(1)と前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)との間の相対変位によって、前記第1の部分(1)の振動運動が前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)に起電力を生じさせるように、前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)が構成され、
前記方法は、少なくとも1つの第1の磁石(311、312)および少なくとも1つの第2の磁石(41、42)が互いに反発するように、前記第1の部分の上に前記少なくとも1つの第1の磁石(311、312)を、前記第2の部分(2)の上に前記少なくとも1つの第2の磁石(41、42)を配置するステップを備える、方法。
【請求項22】
発電機における複数の磁石の使用であって、前記発電機は第1の部分(1)と第2の部分(2)と、少なくとも1つのコイル(321、322、323)とを備え、前記第1の部分(1)は流体内に位置するように構成され、前記流体が移動すると前記第1の部分(1)の振動運動を生成する揚力が前記第1の部分(1)に生じるように、前記第1の部分が前記流体に渦を発生させるように構成されており、前記第2の部分(2)は前記第1の部分内で少なくとも部分的に延在しており、前記第1の部分(1)と前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)との間の相対変位によって、前記第1の部分(1)の振動運動が前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)に起電力を生じさせるように、前記少なくとも1つのコイル(321、322、323)が構成され、
少なくとも1つの第1の磁石(311、312)および少なくとも1つの第2の磁石(41、42)が互いに反発するように、前記第1の部分(1)の上に前記少なくとも1つの第1の磁石(311、312)を、前記第2の部分(2)の上に前記少なくとも1つの第2の磁石(41、42)を配置して、それによって、前記第1の部分(1)の固有振動数を風速に自動的に適合させるための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギーの分野に関し、より具体的には、カルマン渦に基づく電力発電の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
化石燃料の燃焼または核エネルギーに基づくものなど再生不能エネルギーには欠点があるために、太陽熱発電および風力などのいわゆる再生可能エネルギーの開発に多大な労力がなされてきた。
【0003】
これまでのところ最も普及している風力発電機は、多羽根水平軸風力タービンである。ここでは、風によって複数の羽根を有するロータが回転し、このロータは発電機または交流発電機のロータに、場合によってはギアボックスを介して接続されている。そのため、電力を生じるように交流発電機のロータを回転させるように配置された多羽根ロータ、典型的には3枚羽根ロータを回転させるために風が用いられる。この種類の風力タービンに伴なう欠点は、可動部の数が多いことであり、これらの可動部の多くは、多かれ少なかれ精巧な軸受によって回転可能に配置されている。それゆえ、たとえば部品の摩耗、潤滑油の消費などによって、維持費が高額になる場合がある。加えて、羽根の速度が速いため、騒音および鳥の生態に及ぼす影響の観点から問題になる場合もある。
【0004】
回転交流発電機を有する多羽根風力タービンに代わるものとして、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための圧電素子または材料を用いることが知られている。たとえば、FR−2922607−A1では、ある種類のポールが圧電素子の上で支持されている発電機が開示されている。この発電機では、ポールが風によって駆動または移動されると、圧電素子によってポールの運動が電気エネルギーに変換される。
【0005】
JP−2006−158113−Aでは、磁石に取付けられた圧電素子を用いて機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための機構について記載されている。
【0006】
また、従来技術では、いわゆる「フォン・カルマン渦」または略して「カルマン渦」を使用して発電機を駆動することが知られている。たとえば、JP−2006−132397−Aでは、圧電板に連結された支柱を振動させるために水中でカルマン渦を用いることについて記載されている。同様に、JP−2006−226221−AおよびEP−2602483−A1では、カルマン渦に基づく発電機について記載されている。
【0007】
たとえば、EP−2602483−A1では、空気の静止した層流を乱流に意図的に変換するように構成されたポールを備える発電機について記載されている。この発電機では、ポールの長さにわたって同期された態様で渦流または渦が発生する。したがって、ポールは2つの力、すなわち、風と同じ方向の抗力および風の方向に対して垂直な方向に生成される揚力を支える。風の方向は、新しい渦の発生頻度に対応する振動数を有する符号を変え、これは以下の式から計算可能である。
【0008】
【数1】
【0009】
式中、Fは渦の発生頻度であり、Vは空気の速度であり、dはポールの特性寸法であり、たとえば、円形の断面を有するポールの場合はポールの直径である。Sは、ストローハル無次元数である。空気の速度が高さとともに増加するものとして、ヘルマン指数法則によると、渦の発生を同期させるために、EP−2602483−A1は、高さの増加とともにポールの直径が増加すると提案している。EP−2602483−A1では、ポールの運動が電気エネルギーに変換される態様について詳細に記載されていないが、高い電気機械結合を有する要素について言及されている。一方、EP−2602483−A1では、高い電気機械結合を有する要素が受ける電圧を変動させることによって見掛のヤング係数またはポールの見掛の弾性率を積極的に変調することについて提示されている。
【0010】
引用により本明細書中に援用されるWO−2014/135551−A1は、カルマン渦に基づく発電機の他の例を開示しており、この発電機では、圧電システムによってポールの振動運動が電気エネルギーに変換される。また、WO−2014/135551−A1では、ポールの弾性コアを囲む圧電材料に電圧を印加することによってポールの振動の固有振動数を修正可能な態様について記載されている。
【0011】
カルマン渦に基づくこの種類の発電機の利点は、発電機が軸受、ギア、および潤滑油なしで動作し、発電機を起動する他の手段を必要としないことである。
【0012】
圧電素子の使用は、流体の移動速度、たとえば風速の変化にポールを同調させることに関する問題にとって、かつ、たとえばカルマン渦によって自然に生成される運動などの振動性の非回転の運動を電気に変換するために理想的な解決策のように思えるかもしれないが、技術的および経済的に多量の圧電材料の使用に代わるものを探すことが興味深いであろうことが分かっている。
【0013】
US−2008/0048455−A1では、ジャイロスコープ発電機を利用した、カルマン渦で駆動される発電機の他の例について記載されている。しかしながら、この種類の機構は回転素子を伴なうため、上述の保守に関する問題も伴なう。
【0014】
WO−2012/066550−A1では、渦流形成の頻度の積極的な制御によってそれを取込み要素の振動の固有振動数に合わせて調節する、カルマン渦の使用に基づく他の発電機について記載されている。
【0015】
US−2005/0230973−A1では、渦離脱装置を備える、他の振動を利用した発電機が開示されている。記載されている実施形態は、形成物から生成される流体を利用した、井戸におけるエネルギー生成の文脈に関連する。圧電手段およびコイルと相互作用する磁石を備える、振動を電力に変換するための異なる手段が開示されている。
【0016】
JP−2012−151985−AおよびJP−2012−151982−Aでは、コイルに対して振動する磁石を利用した、共振振動数を変更する手段を備える振動発電機が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の説明
本発明の第1の態様は、長尺形状を有し、第1の端部と第2の端部とを有する第1の部分を備える発電機に関する。たとえば、第1の部分は、標柱、柱、またはポール状に形成され得る。第1の端部は、第1の端部に対応して、すなわち、第1の端部が基部に向けてまたはこれに対向するように向けられ第2の端部が基部よりさらに離れた状態で、基部に取付けられるために配置されている。しかしながら、第1の端部は必ずしも基部に取付けられているわけではなく、多くの実施形態では、第1の端部は実質的に基部と間隔を置いて配置されている。
【0018】
第1の部分は、流体内に、たとえば、大気中に位置するように構成されているが、水中など他の可能性もある。流体は実質的に静止した層流、すなわち、通常風に存在する特徴を有し得る。第1の部分は、たとえばWO−2014/135551−A1に記載されているように、流体が移動すると、第1の部分の振動運動を生成する揚力が第1の部分上に発生するような態様で流体に渦を発生させるように構成されている。第1の部分はその第1の端部に対応して基部に取付けられているため、振動の振幅は、第1の端部に対応している場合よりも第2の端部に対応している場合の方が大きくなる。本出願では、「基部」という用語は、振動が起こる地点、すなわち、「固定取付け」の地点を指す。たとえば、第1の部分が可撓性要素を介して基部に取付けられている場合、可撓性要素の固定された構造および/または剛性構造内への挿入場所は基部だと考えられる。
【0019】
発電機はさらに、第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムを備える。このサブシステムは、その第1の端部と第2の端部との間で第1の部分内に少なくとも部分的に収容されている。いくつかの実施形態では、サブシステムは第1の部分内に完全に収容されている。
【0020】
従来、多くのいわゆる渦発電機は基本的に、基部に対して振動するように配置され、振動運動を電気エネルギーに変換するための何らかの種類の外部のサブシステムと関連付けられた取込み要素に基づいていた。WO−2014/135551−A1では、この種類の装置の例が開示されている。この装置では、第1の部分またはポールは、基部に対して片持ち梁の態様で振動するように配置されており、基部に対応して、運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムは基本的に第1の要素を囲んでいる。すなわち、第1の部分は、渦が第1の部分の振動を引き起こしこれを維持する態様のために風からエネルギーを取込むと考えられる取込み要素であり、この取込み要素は、エネルギー変換のための外部のサブシステムと連結されている。同じようなアプローチが、たとえばWO−2012/066550−A1およびUS−2008/0048455−A1において採用されており、いずれの場合でも、何らかの種類の基部に対して振動するように配置された要素が、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための外部のサブシステムに連結されている。
【0021】
しかしながら、第1の部分の運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムを取込み要素内に少なくとも部分的に配設することには多くの利点があり得ることが分かっている。これらの利点のうちの1つは、エネルギー変換手段の配置が小型であることである。材料コストおよび重量を最小限にしつつエネルギーの取込みを最大限にするために、第1の部分、すなわち、取込み要素と考え得る部分は実質的に中空の部分であると有利である。第1の部分の運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムを第1の部分内に少なくとも部分的に配置することによって、たとえば長尺のポール形状の小型で洗練された配置が、WO−2012/066550−A1、US−2008/0048455−A1、およびWO−2014/135551−A1で知られる従来技術のシステムに見られるように、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための、基部を取り囲むかさばるサブシステムを用いることなく提供される。
【0022】
他の利点は、WO−2014/135551−A1で教示されているように、長尺の第1の部分がたとえば何らかの弾性要素を介して第1の端部に対応して取付けられた基部に対して振動すると、振動運動の振幅および変位の最大速度は振動要素の軸方向に第1の端部から第2の端部へと増加することであり得る。多くのエネルギー変換システムの場合、たとえば、磁石とコイルとの間の相互作用を利用した変換システムについては、振幅と速度との双方は、第1の部分の運動によって表されるエネルギーを電気エネルギーに効率よく変換するために重要な場合がある。したがって、たとえば磁石とコイルとを基部から離して配設することは、効率的なエネルギー変換という点で有利であり得る。たとえば、変換が磁石とコイルとの間の相対運動によって生じる場合、コイル内で生じる起電力がコイルを横切る磁場の変化に比例するため、速度が速いことが好ましい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の端部は第1の端部の上方で距離Hの位置にあり、サブシステムは、第1の端部の上方で0.05Hより大きな距離、好ましくは第1の端部の上方で0.1Hより大きな距離、さらに好ましくは、第1の端部の上方でたとえば0.3Hより大きなまたは0.4Hより大きな距離など、0.2Hより大きな距離の位置、必要に応じて、第2の端部下方で0.2Hより大きな、0.3Hより大きな、または0.4Hより大きな距離など、第2の端部の下方で少なくとも0.1Hの距離の位置にある。たとえば、いくつかの実施形態では、サブシステムは、第1の端部の上方で0.2Hより大きな距離および第2の端部の下方で0.2Hより大きな距離の位置など、第1の端部の上方で0.1Hより大きな距離および第2の端部の下方で0.1Hより大きな距離にあり、たとえば、第1の部分の長手方向中央部分に向かって、たとえば第1の端部の上方で0.3Hより大きな距離で、かつ第2の端部の下方で0.3Hより大きな距離の位置にある。他の実施形態では、サブシステムは、第1の端部(たとえば、第1の端部の長手方向延在部の底部10%または20%に)に近接して位置決め可能であり、他の実施形態では、第2の端部においてまたはこれに近接して(たとえば、第1の部分の長手方向延在部の上部10%または20%に)配設可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の端部は基部の上方に位置する。他の実施形態では、第1の端部は基部の下方に位置する。いくつかの実施形態では、第1の部分は、第1の部分の長手方向延在部、すなわち、第1の部分の第1の端部と第2の端部との間の距離の5%〜40%の間、たとえば10%〜30%の間に対応する基部の上方に距離を設けて配設されている。
【0025】
サブシステムを基部から実質的な距離を設けて、好ましくは第1の部分の第1の端部から実質的な距離を設けて配設することは(第1の端部から0.1H、0.2H、0.3H、0.4H、またはそれより大きな距離を設けて)、サブシステムが配設される場合の振動運動の実質的な振幅および最大速度を意味している場合があり、これによって、サブシステムの部分間、たとえば磁石とコイルとの間の相対運動に、これと対応して実質的な振幅および速度をもたらすことが可能であり、効率的なエネルギー変換という点でサブシステムの性能を向上し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の端部に対応する運動の振幅によって、たとえば第1の部分の内壁とサブシステムまたはサブシステムを支持する構造との間の衝突を回避することが困難に、または不可能になることがあるため、サブシステムが第1の部分の第2の端部から特定の距離を設けて配設されていることが好ましい。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、発電機はさらに軸方向に基部から延在する第2の部分を備え、サブシステムは、少なくとも1つの第1のサブシステム要素と少なくとも1つの第2のサブシステム要素とを含む。少なくとも1つの第1のサブシステム要素および少なくとも1つの第2のサブシステム要素は、第2のサブシステム要素に関して第1のサブシステム要素の運動によって電力を生成するために配置されている。第1のサブシステム要素は第1の部分に取付けられ第2のサブシステム要素は第2の部分に取付けられて、第1の部分の振動運動によって、第2のサブシステム要素に対する第1のサブシステム要素の振動運動が発生する。すなわち、サブシステムのある部分は、第1の部分内で相対的に固定され静止した構造上に、たとえば何らかの種類の管状構造またはタワー構造上にたとえば配置可能である一方で、サブシステムの他の部分は第1の部分に固定可能である。このため、第1の部分の振動運動によって、サブシステムの2つの部分は互いに相対的に移動する。この移動は、たとえば交流発電機を動作させることによって電力を生成するために使用可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム要素と第2のサブシステム要素とのうちの少なくとも一方は少なくとも1つの磁石を含み、第1のサブシステム要素と第2のサブシステム要素とのうちの少なくとも他方は少なくとも1つのコイルを含む。少なくとも1つのコイルは、振動運動によって、少なくとも1つの磁石と少なくとも1つのコイルとの間の相対変位によって少なくとも1つのコイル内で起電力が発生するように配置されている。第1の部分の振動運動によって、1つまたは複数のコイルがさらされる磁場が変動して、第1の部分の振動運動が電気エネルギーに変換される。
【0028】
電力変換効率はコイルを通過する磁場の変化の速度に関連するため、サブシステムが基部から実質的に軸方向に距離を置いて設けられていることによって得られる、磁石または磁石の組立品と1つまたは複数のコイルとの間の相対運動の比較的速い速度によって、発電機の性能が向上する。
【0029】
磁石とコイルとの任意の好適な構成を用いることが可能である。1つまたは複数のコイルが第2のサブシステム要素の一部であることが好ましい場合がある。なぜなら、これにより、ケーブルまたは類似のものを振動している第1の部分に取付けることなく、電流を取り出しやすくなることがあるからである。すなわち、外部の電気システムへの接続は振動するように配置されている第1の部分に接続することなく設けることができるため、コイルを好ましくは静止している第2の部分上に配置することは有利であり得る。コイルが第1の部分内にある場合、エネルギーを取り除く導体は疲労による劣化にさらされることがあり、粘性の損失が不必要に増加することがある。
【0030】
したがって、多くの実施形態では、第1のサブシステム要素は、たとえば1つまたは複数のコイルの上方および下方で平面に配置された1つ以上の磁石を含む一方で、第2のサブシステム要素は、1つ以上のコイルを含む。磁石は1つまたは複数のコイルの上方および下方で磁石のリングを形成して配置可能である。それゆえ、たとえば、磁石のリングを2つ以上の平面に配置可能であり、1つ以上のたとえばリング形状のコイルを、磁石のリングによって画定される平面間で1つ以上の平面に設けることが可能である。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコイルは共通の平面に配置され第2の部分の軸を取り囲む少なくとも2つのコイルを含み、これらのうち一方のコイルは他方のコイルの外部に位置し、2つのコイルは、電流が一方のコイルを時計回り方向に循環するときに電流が他方のコイルを反時計回り方向に循環するように、および逆の場合も同様になるように、直列に接続されている。たとえば、2つのコイルは第2の部分の垂直軸に対して垂直な平面に配置可能であり、環状磁石などの磁石は2つの隣接する平面に配設可能であり、2つのコイルは磁石を有する平面に挟まれている。環状磁石は、振動している間に第1の部分が一方向に振動すると、磁石のうちの一方の部分がコイルのうちの外部のコイルの上方/下方を通過し、磁石の正反対の部分がコイルのうちの内部のコイルの上方および/下方を通過して、コイルの相互接続によって磁石の双方の部分がコイルを流れる電流の増加に寄与するように、配置可能である。いくつかの実施形態では、1つのコイルのみが各平面に位置しており、上述のように相互接続されていない複数の個別のコイルが使用される。
【0032】
強磁性体材料を磁石に対応して、たとえば環状磁石に対応して設けることは有利であり得る。これらの強磁性体材料は、たとえば、磁場を所望の方向に向けさせるために磁石の径方向外側に配置された強磁性体材料を含む。これは、磁石が個別のコイルと相互作用するように意図されている場合に特に便利であり得る。追加的にまたは代替的に、強磁性体材料はコイルに対応して、たとえば、コイル間(たとえば、相互接続されたコイル間)および/またはコイルの径方向外側および/または内側のコイル間にも配置可能である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、サブシステムは、第1の部分の長手方向軸に垂直な平面に配置された少なくとも1つの環状磁石または少なくとも1つの環状コイルを含み、該環状磁石または環状コイルは、長手方向軸に対して非対称的に位置決めされている。なぜなら、少なくともいくつかの実施形態においては、第1の部分の振動運動がただ1つの垂直平面上にない場合がしばしばあると分かっているが、特に回転する磁石が存在する場合は(そのような回転する磁石については以下で説明する)、円形または湾曲した構成要素が実際に得られるからである。そのような円形または湾曲した構成要素が存在する場合、その中央地点がシステムと第1の部分との長手方向軸から実質的に距離をおいて配置されるように少なくとも1つのコイルを変位させることによって(ここで、第1の部分が静止している、すなわち振動していない場合、第1の部分の長手方向軸を参照)、エネルギー生産を増加させることができる。なぜなら、非対称的に配設されたコイルと対照的に配設された磁石のリングとの間の相対移動を増加させることが可能になる、または、逆の場合も同様になるからである。たとえば、非対称的に配置された複数のコイルを上下に複数の平面に配置可能であり、長手方向軸に対するそれらの中央地点の変位は、長手方向軸から異なる径方向であり得る。たとえば、1つの考えられる実施形態では、3つの非対称的に配設されたコイルを上下に3つの異なる平面に配置可能であり、それらの中央地点は、互いにたとえば120度の角度で距離をおいて設けられた3つの異なる方向に長手方向軸から変位されている。非対称的に配置されたコイルが用いられる場合、環状磁石は長手方向軸に対して対称的に配設可能であり(すなわち、長手方向軸は環状磁石の中心を通過する)、逆の場合も同様である。この解決策は、コイルを有する単数(または複数の)平面が1つ以上の個別のコイルを含む場合だけでなく、たとえば、上述のように1つ以上の平面の各々が直列に接続された2つのコイルを含む場合にも適用可能である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、磁石は、第1の部分が振動運動中に中立位置から最大傾斜位置まで移動するときに該少なくとも1つのコイルが磁場の極性または方向の少なくとも1つの変化、好ましくは磁場の方向の複数の変化を受けるように配置されている。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、たとえば上下に配置された複数のリングとして基部の上方に異なる高さで異なる平面に配置された磁石の複数の部分集合が設けられており、コイルは磁石を有する平面間で平面に配置されている。
【0036】
本発明の第2の態様は、たとえば標柱、柱、またはポールの形状の、流体中に、たとえば大気中に位置するように構成された第1の部分を備える発電機に関するが、たとえば水など他の可能性もある。流体は、風の場合にはよくあることたが、実質的に静止した層流を有し得る。たとえばWO−2014/135551/A1に記載されているように、第1の部分は、流体が移動すると第1の部分上に第1の部分の振動運動を生成する揚力が生成される態様で第1の部分が流体内に渦を生じるように構成されている。振動運動は特定の態様で風速に関連する振幅を有する。
【0037】
さらに、発電機は第1の部分内に少なくとも部分的に配置された第2の部分を有する。第1の部分が固定地点または基部に関して振動、揺動、または揺れ運動を行ない得るように、第1の部分を、直接またはロッドもしくは類似したものなどの他の要素を介して基部に固定することが可能である。第2の部分は第1の部分内に、たとえば第1の部分の内壁によって区切られた中空の空間などに少なくとも部分的に配置されている。第1の部分が基部に対して振動運動を行なうことにより、第1の部分の内壁は第2の部分の一方の側に接近し、その後他方の側に接近する。そのため、第2の部分の少なくとも一部を取り囲む第1の部分の内壁は、振動の半周期ごとに一度、第2の部分に接近する。
【0038】
本発明のこの態様によると、発電機は第1の部分と第2の部分との間に磁気反発力、すなわち、第1の部分の振動運動と共に変動する最大値(つまり、第1の部分、すなわち、むしろ第1の部分の内面が第2の部分に最も近接する位置に達する場合に、振動運動の半周期ごとに一度発生する最大値)を有する反発力を生成する磁場を発生させる手段を備える。第1の部分の振動運動の振幅が増加すると、この位置は第2の部分にますます接近し、それゆえ、これに応じて反発力の最大レベルは増加する。
【0039】
したがって、第1の部分と第2の部分との間の磁気反発力は、振動運動の振幅が増加すると増加し、振動運動の振幅が減少すると減少する。風速が増加すると第1の部分の振動運動の振幅も増加し、反発力の最大値も増加することが観察されている。風速が増加し続けると、振幅が増加するペースは減少するが、反発力はこれに反してきわめて急速に増加する。なぜなら、この増加は第1の部分と第2の部分との関連する部分間の距離の二乗に反比例することが好ましいからである。これにより、システムは、第1の部分が曲げゼロの中立位置を通過するときに完全にまたは実質的に運動エネルギー(速度)に変換される位置エネルギーを磁石内に蓄えることができる。これにより、第1の部分の固有振動数が増加する。換言すると、まるで第1の部分のヤング率または弾性率が可変であるかのように、反発力によって第1の部分の挙動が修正される。したがって、風速が増加すると、第1の部分の固有振動数も自動的に増加し、逆の場合も同様である。そのため、風速の関数として第1の部分の共振振動数の受動的適応または受動的制御が可能になり、WO−2014/135551−A1に記載されている電圧の圧電材料への印加に基づくもののような、積極的適用の代替物または補足物としての役割を果たし得る。
【0040】
たとえば、共振振動数を適合させるためのシステムを有さないポール形状の第1の部分の場合、風速があまりに低いとポールは振動しない。風速が増加し渦の発生頻度が構造の固有振動数と一致する速度に近づくと、ポールの振動の振幅は最大値に達するまで増加する。風速が増加し続けると、振幅は減少し始める。なぜなら、構造の固有振動数が一定である一方で、渦はきわめて急速に発生し始めるからである。最終的に、風速がさらに増加し続けると、ポールは振動を停止する。ポールが振動し始める速度からポールが振動を停止する速度までの狭い風速範囲は、「ロックイン」範囲と呼ばれる。本発明の1つの効果は、システムの固有振動数の適応によって、ロックイン範囲を広げることが可能なことである。
【0041】
システムの固有振動数のこの種類の適応は、第1の部分の外側に配置され、たとえば第1の部分を完全にまたは部分的に取り囲む第2の部分で実現することも可能であるが(たとえば、同時継続出願中のPCT/EP2015/072802に記載されているように)、第2の部分を第1の部分内に配置することには特定の利点がある。たとえば、きわめてコンパクトな配置が可能になり、特に発電機の最大径方向での延在という点において、外側寸法が第1の部分の寸法に実質的に対応する。空間の効率的な使用も可能になり、たとえば、第1の部分内の空いている空間が使用される。第1の部分の寸法は、空気と相互作用する必要性および第1の部分に沿って渦の生成を同期させる必要性によって少なくとも部分的に決定される。それゆえ、第1の部分の所与の所望の高さに関して、第1の部分の直径は特定の範囲内である(および、一般に第1の部分の軸方向において変動する)ことが好ましい。WO−2014/135551−A1に記載されているような従来技術の配置では、第1の部分内の空間―第1の部分は、材料の使用および/または重量を最小限にするために中空になるように選択されている―が、しばしば無駄になっている。
【0042】
したがって、第1の部分の振動の固有振動数を受動的に同調させるためのシステムを組み込むためのこの空間の利用は、物流の観点から有利であるだけでなく、洗練された設計のこの種類の発電機を、たとえば第1の部分の径方向外側でまたは第1の部分の下方でたとえば第1の部分を支持するロッドから径方向に距離を置いて設けられた磁石を支持する外部構造を必要とすることなく(またはその必要性が低減された状態で)製作することが可能になる。
【0043】
一方、第1の部分と第2の部分との間の反発を第1の部分内にもたらすことにより、基部から実質的な距離を置いて反発をもたらすことが可能になり、これは、「レバー効果」を利用して磁性材料を効率的に用いるために有利であり得る。すなわち、第1の部分の振動の固有振動数を風速に同調させるために必要な磁性材料の効率的な使用が可能になる。磁石がもたらす所与の反発力は、第1の部分の角運動量が比較的小さい位置において印加されると、振動の固有振動数により大きな影響を有する。したがって、第1の部分が固定されている地点から比較的長い距離を置いて、すなわち、基部から比較的長い距離を置いてこの反発を生じるための磁石を設けることが有利である。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、磁場を生成する手段は、第1の部分と関連した(たとえば、取付けられた)少なくとも1つの第1の磁石(たとえば、第1の部分内で1つ以上の高さで連続または非連続のリングを形成する、たとえば、第1の部分上で2つ以上の地点に配置された、好ましくは正反対の、1つ以上の環状磁石または複数の磁石)と、第2の部分と関連する(たとえば、取付けられた)少なくとも1つの第2の磁石(たとえば、第2の部分の1つ以上の高さで連続または非連続のリングを形成する、たとえば、第2の部分の2つ以上の地点に対応して配置された、好ましくは正反対の、1つ以上の環状磁石または複数の磁石)とを含む。該少なくとも1つの第1の磁石および該少なくとも1つの第2の磁石は、互いに反発する態様で、かつ、第1の部分が振動運動すると該少なくとも1つの第1の磁石と該少なくとも1つの第2の磁石との間の距離が振動運動に従って変動するような態様で配置されている。2つの磁石間の反発力は磁石間の距離の二乗に反比例するため、第1の部分の振動中は反発力が大幅に変動し、その最大値は振動運動の振幅に大きく左右される。したがって、第1の部分の振動の振幅の変動は、最大反発力の変動、それゆえ、第1の部分の固有振動数の変動に対応する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の磁石は少なくとも2つの正反対の部分を含み、少なくとも1つの第2の磁石は、少なくとも1つの第1の磁石の少なくとも2つの正反対の部分に対向する少なくとも2つの正反対の部分を含む。このように、第1の部分の揺動または振動運動が生じると、第1および第2の磁石は正反対の側から遠ざかるように移動しつつ第2の部分の一方の側で互いに接近し、振動力が第1の部分上で生成され、その符号および振幅は磁石間の距離によって周期的に変動する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の磁石は、少なくとも1つのリングとして、たとえば、異なる高さの複数のリングとして構成されている、および/または、少なくとも1つの第2の磁石は、少なくとも1つのリングとして、たとえば、異なる高さの複数のリングとして構成されている。これらのリングは、並列に並べられた個別の磁石で形成可能である。リング形状の磁石、たとえば水平リングの使用は、発電機が風の方向に関係なく同じように動作するために便利であり得る。しかしながら、たとえば、風が限定された範囲の方向にしか吹かない(または他の流体が流れる)場所では、第1の部分の振動の予測可能な垂直平面に配置された第1および第2の磁石の対を有していれば十分であり得る。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の磁石は、発電機の基部の上方で異なる高さに配置された複数の第1の磁石を含み、少なくとも1つの第2の磁石は、発電機の基部の上方で異なる高さに配置された複数の第2の磁石を含む。
【0048】
磁石のサイズおよび強さ、磁石の数および垂直方向の磁石の列の数、ならびに磁石の位置を選択することによって、第1の部分と関連する磁石と第2の部分と関連する磁石との間の相互作用を設定可能であり、これは、第1の部分の固有振動数が渦の発生頻度と可能な限り最も調整された態様で変動するために役立ち、これは、流体(たとえば空気)と第1の部分との間の相対速度に従って変動する。
【0049】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の磁石は、たとえば水平面で上下にまたは並んで、実質的に互いに隣接して配置された第1の複数の磁石を含み、それらの極性は、第1の複数の磁石によって生成される磁場が少なくとも1つの第2の磁石に対向する磁石の側において反対側よりも強くなるように配置されており(たとえば、ハルバッハ配列に従って)、および/または、少なくとも1つの第2の磁石は、たとえば上下にまたは並んで実質的に互いに隣接して配置された第2の複数の磁石を含み、それらの極性は、第2の複数の磁石で生成される磁場が少なくとも1つの第1の磁石に対向する側において反対側よりも強くなるように配置されている(たとえば、ハルバッハ配列に従って)。この配列は、流体の速度が増加すると第1の部分の共振振動数の増加に寄与し、逆の場合も同様であるという点で、磁石の効率を高める役割を果たす。すなわち、基本的に、たとえば、ハルバッハ配列のレイアウトに従ってこのように磁石を配列すると、すなわち、配列の一方側で磁場を増加しつつ反対側で磁場をほぼゼロになるように打ち消すことが知られているこの方法で磁石を配列すると、磁場は第1および第2の磁石が互いに対向する側で最大になり、磁石の効率的な使用が可能になる。
【0050】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の磁石および少なくとも1つの第2の磁石が第1の部分の長手方向軸、たとえば垂直軸に対して傾斜するように配置されている。いくつかの実施形態では、磁石間の距離および第1の部分の対称軸または長手方向軸が第1の部分の端部または基部の上方の高さの関数として増加するように傾斜している。たとえば、第1および第2の磁石を、円錐台形状または円錐台として形成された少なくとも1つの面を有する磁石のリングとして配置可能である。この傾斜は、第1の部分が振動の固有振動数に対応する共振モードと異なる共振モードに入る傾向を抑制または排除するのに役立ち得るトルクを導入するために有用であることが分かった。
【0051】
いくつかの実施形態または態様では、第1の部分は、振動運動の振幅が流体の速度とともに、たとえば、風速の増加とともに、少なくとも速度の特定の範囲内でまたは特定の範囲にわたって増加するように配置されている。
【0052】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態における動作の原則は次の通りであり得る。すなわち、第1の1つまたは複数の磁石と第2の1つまたは複数の磁石との間の反発力は、第1の1つ/複数の磁石と第2の1つ/複数の磁石との間の距離の二乗に反比例する。また、流体の速度(たとえば風速)が増加すると、振動運動の振幅は増加する傾向にあるため、磁石は各振動周期のうちの最も接近する部分の間に接近する傾向にあり、各振動周期における第1の1つ(または複数)の磁石と第2の1つ(または複数)の磁石との間で生じる最大反発力は、これに応じて増加する。反発力が増加すると第1の部分の共振振動数は増加して、流体の速度が増加すると発電機の構造は第1の部分の共振振動数の自動的な増加に寄与し、逆の場合も同様である。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の端部は第1の端部の上方で距離Hの位置にあり、磁場を生成する手段は第1の端部の上方で0.05Hより大きな距離、好ましくは第1の端部の上方で0.1Hより大きな距離、さらに好ましくは、たとえば第1の端部の上方で0.3Hより大きなまたは0.4Hより大きな距離などの0.2Hより大きな距離で、場合によっては、第2の端部の下方で0.2Hより大きな距離、0.3Hよりもより大きな距離、または0.4Hより大きな距離などの、第2の端部の下方で少なくとも0.1Hの距離の位置にある。
【0054】
基部の上方で実質的な高さで反発磁場を生成する手段を配設することは、振動の固有振動数の必要な適応または同調を実現するために必要な、ネオジム合金などの磁性材料の量の削減に役立ち得るという点で有利であり得る。これは、少なくとも部分的にレバー効果によるものであると思われている。上述のように、所与の反発力は、角運動量が小さい地点において印加された場合に振動の固有振動数に対してより大きな影響を有する。ポールの一端が固定されている基部に対して揺動する態様で振動するポールの角運動量は基部までの距離とともに減少する、すなわち、基部に近接するのではなく基部から遠ざかる方向により小さくなる。
【0055】
本発明の他の態様は、上述の態様の双方に係る発電機に対応する。ここで、たとえば、第1の部分と第2の部分との間に磁気反発力を生成する磁場を発生させる手段の一部を形成する1つ以上の磁石は、第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムの一部も形成し得る。それによって、磁性材料が効率的に使用され、発電機のコストのさらなる低減に役立つ。
【0056】
本発明の他の態様は発電機に関する。発電機は、流体、たとえば大気中に位置するように構成された標柱、柱、またはポール形状の、第1の端部と第2の端部とを有する長尺の第1の部分を含むが、水中など他の可能性もある。流体は、実質的に静止した層流、すなわち、通常風に存在する特徴を有し得る。たとえばWO−2014/135551−A1に記載されているように、第1の部分は、流体が移動すると、第1の部分上に第1の部分の振動運動を生成する揚力が生成されるような態様で第1の部分が流体に渦を生成するように構成されている。発電機はさらに、第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムを備える。本発明のこの態様では、第1の部分は、第1の端部から第2の端部に向かう第1の部分の高さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%に沿って、第1の端部から第2の端部に向けて増加する直径を有する実質的に円形の断面を有する。第1の端部よりも第2の端部により近い位置から、第1の部分の直径は第1の端部から第2の端部に向かう方向に減少し始め、第1の部分の長手方向断面は、該位置で、凸部と第2の端部との間の凹部が後に続く、外部に向かう凸部を有することを特徴とする。
【0057】
凹部が後に続く凸部を有する構成を含む直径のこのような減少が、望ましい渦を歪ませる第1の要素の上端部の渦、すなわち、振動運動に寄与する渦の発生を回避するまたは最小限にするために役立つことが分かっている。それゆえ、第1の部分の上端部のこのような形状は、第1の部分が風からエネルギーを取込む効率の向上に寄与する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明は上述の態様のうちの2つ以上に従う。
本発明の他の態様は、発電機を風速に同調させるための方法に関する。本方法は、流体、たとえば大気中に位置するように構成された標柱、柱、またはポールの形状の第1の部分を備える発電機に応用可能であるが、水中など他の可能性もある。流体は、通常風である実質的に静止した層流を有し得る。たとえばEP−2602483−A1またはWO−2014/135551−A1に記載されているように、第1の部分は、流体が移動すると、第1の部分上に第1の部分の振動運動を生成する揚力が発生する態様で第1の部分が流体に渦を発生させるように構成されている。発電機はまた、たとえば特定の高さまで第1の部分の長手方向軸と平行に第1の部分内で少なくとも部分的に延在する第2の部分を備える。
【0059】
この方法は、少なくとも1つの第1の磁石と少なくとも1つの第2の磁石とが互いに反発するように第1の部分上に少なくとも1つの第1の磁石を、第2の部分上に少なくとも1つの第2の磁石を設けるステップを備える。この配置によって達成される効果については上述している。この効果は、第1の部分の固有振動数を渦の発生頻度に自動的に適応させるために役立つ。
【0060】
本発明の他の態様は、流体、たとえば大気中に位置するように構成された標柱、柱、またはポールの形状の第1の部分を備える発電機における複数の磁石の使用に関するが、水中など他の可能性もある。流体は、しばしば風である実質的に静止した層流を有し得る。たとえば、EP−2602483−A1またはWO−2014/135551−A1に記載されているように、第1の部分は、流体が移動すると、第1の部分上で第1の部分の振動運動を生成する揚力が発生するような態様で第1の部分が流体に渦を発生させるように構成されている。発電機はまた、たとえば特定の高さまで第1の部分の長手方向軸と平行に第1の部分内に少なくとも部分的に延在する第2の部分を備える。磁石の使用は、第1の部分の固有振動数を風速に自動的に適応させるように意図されている。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の部分の長手方向軸は第1の部分が振動していないときに略垂直に延在するように配置されている。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態は、上述の第1の態様および第2の態様の双方を組み込んでいる。本発明のこれらの実施形態のいくつかでは、コイル内に電流を発生させることによって第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムの一部である複数のまたは全ての磁石は、第1の部分の固有振動数を風速に同調させる少なくとも一部として役立ち得る。たとえば、第1の磁石の少なくともいくつかは、コイルに電流を発生させるために使用されるサブシステムの一部であり得る。これが、これらの磁石が二重の機能を有し得る理由であり、そのため、磁性材料の効率的な使用が可能になる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の部分はカルマン渦の影響下で振動できるように構成された振動ポールを含み得、第2の部分は、たとえば基部から上方向に延在するポール内に実質的に位置する静止構造を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、第1の部分は少なくとも1メートル、たとえば、2、5、10、15、60、100、または200メートルより大きい高さを有する。本発明の他の実施形態では、ポールはより小さくてもよく、たとえば、1mよりも低い高さ、たとえば、10cmよりも低い、1cmよりも低い、さらにはもっと低い高さを有し得る。速い振動数を与えられると風(乱気流)の変化に早く適応することが可能になるため、さらにきわめて小さな機器も適切に動作できることが分かっている。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、たとえば円形の断面を有する実質的に長尺の形状を有している。第1の部分は第1の端部と第2の端部との間で延在し、第1の部分は、基部に対して振動運動を行なうために第1の端部に対応して該基部に取付けられるように意図されている。第1の部分の幅または直径は、一般に第1の端部と第2の端部との間の第1の部分の延在部の少なくとも主な部分に沿って、たとえば、この距離の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上に沿って、第1の端部からの距離とともに増加する。この理由は少なくとも部分的に、同時継続出願中の国際出願PCT/EP2015/072802において説明されており、その内容は援用によってここに参照される(たとえば、PCT/EP2015/072802の図13A図15に関する説明を参照)。直径がこのように増加する目的は、確実に渦が第1の部分にわたって同期的に生成されるようにすることである。EP−2602483−A1で説明されているように、このような同期を得るために直径を増加させる必要性は、風速が高さとともに増加するということによる場合もある。しかしながら、これが唯一の理由ではなく、特に第1の部分が比較的短い場合、もう一つの、さらにしばしばより重要な理由は、同時継続中の国際出願PCT/EP2015/072802で説明されているように、第1の部分の振動運動の速度は基部からの距離とともに増加するということである。上述のように、EP−2602483−A1(国際公開WO−2012/017106−A1が参照された)では、ポールのまさしくその移動によるポールに対する風の相対速度の変動を考慮に入れていなかった。同時継続中の国際出願PCT/EP2015/072802で説明されているように、第1の部分の形状寸法は、特定の高さで生成される渦の影響が異なる高さで生成される渦によって完全にまたは部分的に打ち消されるのを防ぐように、生成された渦が第1の部分の長さにわたって同期して作用するように注意して設計されるべきである。ポールの振動が異なる高さで大気とポールとの間の相対速度に影響を及ぼすことを考慮すると、ポールの外形形状が適切なまたは最適な性能を有するために、装置の作業領域内の対気速度プロファイルを考慮することが必要なだけでなく、ポール自体の振動も考慮に入れる必要がある。
【0065】
しかしながら、直径の増加にもかかわらず、第1の部分を比較的細く保つことが可能である。第1の部分の最大直径を第1の部分の第1の端部と第1の部分の第2の端部との間の距離の25%、20%、15%、またはそれ以下に保ちつつ、ポールに沿った渦の良好な同期を実現することが可能であると分かっている。しかしながら、多くの実施形態では、第1の部分の最大直径は第1の部分の第1の端部と第1の部分の第2の端部との間の距離の少なくとも5%であり、実質的にそれより大きい場合がある。
【0066】
しかしながら、上述のように、第1の端部からの方向で第2の端部に接近すると、いくつかの実施形態では、直径は、たとえば第1の部分の長手方向断面の凸部に対応して減少し始めることが可能であり、場合によっては、第2の端部に到達する前に凹部が後に続く。
【0067】
本発明の多くの実施形態では、第1の部分は、たとえば弾性変形によって、基部に接続されるような態様または他の好適な態様で第1の部分の振動運動を可能にするために配置されたロッド、バー、または類似のものなどの取付け要素を介して基部に取付けられている。取付要素は第1の部分内へと延在し得、第2の部分は第1の部分内へと延在し得、第2の部分は第1の部分内で少なくとも部分的に取付け要素を囲み得る。たとえば、取付け要素は、第1の部分および基部に取付けられた、弾性ロッドなどのポール、バー、ロッド、または類似のものを含み得る。第2の部分はたとえば、円形状の部分、および/または、複数の垂直バー、ロッド、または脚部を含み得、複数の垂直バー、ロッド、または脚部は、取付け要素と、たとえば、円形状の部分の中央にまたはこれらのバー、ロッド、脚部の中央に配置された取付け要素と平行に延在する。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の部分は、第1の端部と第2の端部との間の距離の5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上の第1の端部からの距離まで基部から第1の部分内に延在するロッド部材または類似のものを介して、たとえば、弾性ロッド部材を介して、基部に取付けられている。一方、これらの実施形態のいくつかでは、第2の部分は、ロッド部材を越えた軸方向位置まで第1の部分内へと延在する。
【0069】
構造上の視点から、特に第2の部分がロッド部材の径方向外側にある、たとえばロッド部材を取り囲む場合は、ロッド部材を第2の部分の末端を越えた軸方向に第1の部分に取付けることが容易であり得る。しかしながら、ロッド部材によって占められている空間および第1の部分の振動中にその移動のために必要とされる空間によって、ロッド部材と一致する軸方向の位置、すなわち、ロッド部材が設けられている軸方向の位置において、振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムのインストール、および/または、上述のように反発磁力を使用して第1の部分の振動の固有振動数を同調させるためのシステムのインストールが困難になる場合がある。したがって、ロッド部材が第1の部分に取付けられている軸方向の位置を越える場合も含め、第2の部分をロッド部材を越えて延在させることが好ましいことがある。
【0070】
いくつかの実施形態では、アーム、ロッドもしくは類似のものによって、またはたとえば1つ以上のプレートまたは類似のものによって、たとえば取付け要素のための1つの中央開口部および第2の部分の軸方向延在部が通過可能な開口部を特徴とする円盤形状部材によって、第1の部分は取付け要素、たとえばロッド部材に取付けられており、該開口部は開口部の縁部と第2の部分の軸方向延在部との間で干渉することなく第1の部分と取付け要素/ロッド部材を振動運動させるために十分な大きさである。
【0071】
多くの実施形態では、第1の部分は、比較的剛性で振動運動の間に変形することはない。したがって、揚力が第1の部分に作用するように、第1の部分を設計および配置することが可能であり、いくつかの実施形態では、取付け要素は第1の部分よりも可撓性、および/または弾性を有し得、第1の部分を基部に接続するように配置可能であり、揚力が第1の部分に作用すると、第1の部分は基部に対して、たとえば取付け要素の弾性変形によって揺動する。この配置によって、より安価な材料としてコストの削減が可能になり、および/または、取付け要素に関するよりも第1の部分に関して設計が使用可能であり、高風速を有する期間を含む長時間にわたって風および第1の部分の揺動によって発生した力に耐えるために十分な抵抗を有しつつ、取付け要素を、第1の部分の変位または揺動がサブシステムを介して電力を生じるために十分になるように設計可能である。第1の部分に関して、十分に低い重量と気候が原因の摩耗を含む摩耗に対する十分な抵抗と一緒に最も大切な点は、しばしば形状およびサイズである。それゆえ、たとえば弾性および/または可撓性と見なす異なる特性を有する2つの部分を使用することは有利であり得、コストの削減にとって役立ち得る。取付け要素は第1の部分とは異なる1つまたは複数の材料で形成可能であり、同じ材料で形成されている場合、第1の部分に使用されている割合とは異なる割合でこれらの材料を含み得る。第1の部分は、軽量の材料で形成されていることが好ましく、実質的に中空であり得る。「取付け要素」という用語は、制限的な意味で解釈されるべきではなく、特に1つの単独の要素について必ずしも言及していると解釈されるべきではない。同様に、弾性要素は、たとえば、互いに関連して好適な態様で配置された複数の要素を含み得る。「弾性」という用語は、折り曲げることによって変形した後に元の形状に戻る傾向にあるという意味で要素の弾性特性を指す。「弾性」という用語は、伸びた後の性能という点で弾性特性の必要性を示唆するように意図されてはいない。
【0072】
たとえば、第1の部分は、たとえば炭素繊維、ガラス繊維、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、玄武岩繊維、バルサ材、アルミニウムおよび/またはチタニウムなどの軽量材料で形成されている、または少なくともこれらを含むことが好ましい。この第1の部分は、構造上の剛性をもたらすリブ、ブラケット、または梁などの内部補強要素を含み得る。ロッドなどの取付け部分は、適切な性能をもたらすために好適な任意の材料で形成可能である。炭素繊維またはチタニウムおよび鋼などの材料は、好適な材料の例である。
【0073】
本発明に係る発電機はたとえば、太陽熱発電の代わりとしてまたはその補完物として、田舎の地域および都会の地域の双方でエネルギーを提供するために使用可能である。たとえば、太陽熱発電機器が存在する場合に、本発明に係る1つ以上の発電機は補完物として設置可能であり、たとえば、十分な太陽光がない場合に、たとえば夜またはいわゆる悪天候の間も電力の生成が可能である。ここで、太陽電池によって得られる電力を応用し伝えるために既に設置されている回路を使用することが可能である。つまり、この回路は、本発明に係る発電機からのエネルギーを伝えるためにも使用および/または応用可能である。これらの発電機には小型で洗練された設計を設けることが可能であり、小型で洗練されたポール内のそれらの構成要素の多くは風からエネルギーを取込むために使用されており、この種類の発電機をビルまたは他の場所に設置することは人々にとって魅力的であり得る。
【0074】
上述の実施形態のいくつかで使用される自動同調にもかかわらず、しばしばおよび特に風速が急激に変化する場合は、磁石による自動同調では十分でないことがある。同調の他の方法または補完的な同調は、運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム(1つまたは複数)へのエネルギーの制御された注入/サブシステム(1つまたは複数)からの制御された取出しに基づいたものでもよい。
【0075】
説明を補足するため、および本発明の実際的な実施形態の例に従って本発明の特徴をよりよく理解することを助ける目的で、限定的ではなく例として表わす図面一式が明細書の一体部分として添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1A】発電機の長手方向断面に沿った、本発明の考えられる実施形態に係る発電機のいくつかの構成要素を示す概略立面図である。
図1B図1Aの発電機の概略断面図である。
図2】この好ましい実施形態に係る発電機の振動ポールと、それを取り囲む流体に生じる渦との概略断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る、振動運動を電力に変換するためのサブシステムの一部を示す概略断面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る、振動運動を電力に変換するためのサブシステムの一部を示す概略上面図である。
図3C】本発明の一実施形態に係る、振動運動を電力に変換するためのサブシステムの一部を示す概略上面図である。
図3D】本発明の一実施形態に係る、振動運動を電力に変換するためのサブシステムの一部を示す概略上面図である。
図3E好適な態様で力線を通すために強磁性体材料が追加された代替的な配置を概略的に示す図である。
図4A】同調システムを有さない第1の部分の挙動の簡易モデルを示す図である。
図4B】同調システムを有する第1の部分の挙動の簡易モデルを示す図である。
図5】ばね力(F)と磁気反発力(F)との変位(x)に対する推移を示す図である。
図6】最初に瞬間力の作用を受けたときの、同調されていない装置(I)および同調された装置(II)(磁気反発を伴なう振動)の振幅(変位x)および振動数(時間軸tに沿った振動)の経時変化を示す図である。
図7A図3Aに類似するもののコイルおよび磁石の代替的な配置を有する図である。
図7B図3Bに類似するもののコイルおよび磁石の代替的な配置を有する図である。
図7C図3Cに類似するもののコイルおよび磁石の代替的な配置を有する図である。
図7D図3Dに類似するもののコイルおよび磁石の代替的な配置を有する図である。
図7E上下に軸方向に配置されたポールを有する磁石を概略的に示す図である。
図8A】本発明のある実施形態またはある動作モードにおける第1の部分の振動運動を概略的に示す図である。
図8B】本発明の他の実施形態または他の動作モードにおける第1の部分の振動運動を概略的に示す図である。
図8C】本発明の代替実施形態に係る発電機の長手方向軸に対するコイルの配置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
発明の実施形態の説明
図1は、本発明の1つの考えられる実施形態に係る発電機を概略的に示す図である。発電機は、第1の端部11(図1Aに示すように配置された場合、第1の部分の底部)と第2の端部12(図1Aに示すように配置された場合、第1の部分の上部)とを有する、垂直に配置されたポール(すなわち、垂直に配置された長手方向軸2000を有する)の形状の第1の部分1を備える。第1の部分は円形断面を有し、この断面は、発電機を風の方向と独立して同じように動作させるという点でしばしば利点がある。第1の部分1は、第1の端部11、すなわち、基部に向けられた第1の端部に対応して基部1000に取付けられている。より詳細に、第1の部分1は、基部に挿入された弾性ロッド5を介して基部1000に取付けられている。「弾性」という用語は、比較的剛性のロッドを使用する可能性を除外するわけではなく、単に、基部に対する第1の部分1の振動運動、すなわち、第1の部分がまず一方の側に傾斜して次に他方の側に傾斜する振動運動などを可能にするために横方向に屈曲/傾斜する能力を十分に有しているべきであるということを示唆する。本実施形態において、基部は第2の部分2の底部を含む。第2の部分2は、地面、建物または他の任意の好適な支持部に好適な態様で固定し得る。
【0078】
図2に示すように、風の層流3001が長尺のポール形状の第1の部分1に当たると、一連の渦3002が生じる。層流3001は、一連の渦3002を、ポール1の一方の側および他方の側で、ポールの各側において連続する渦の間に一定の距離3003をおいて生成する。したがって、風の方向の実質的に一定の抗力3004と、風の一般的な方向および抗力の方向に実質的に垂直な揚力3005とがポール1に生成される。揚力3005は、渦の始まりに対応する頻度で周期的に符号を切り替え、この揚力は、ポール1を一方の側および他方の側に向かって振動させる。本発明の本実施形態では、ポール1は円形断面を有しており、風からのエネルギーを取込むと考えられる性能は風の方向に依存しないが、これは時間の経過とともに変わり得る。本発明の他の実施形態では、たとえば、流体の運動の1つのきわめて支配的な方向がある場合にポールは他の種類の断面を有することがあるが、円形断面は最も適切であることが多い。
【0079】
渦の発生頻度は風速に左右される。ポールのエネルギーの取込みを最大限にするために、渦がポール1に沿って同期された態様で現れることが望ましい。ヘルマンの指数則に従って風速が高さとともに増加し渦の発生頻度が空気とポールとの間の相対速度(これは風速に左右される)とポールの特徴寸法(この場合、ポールの直径)との双方に左右されるとすると、空気とポールとの間の相対速度が高さとともに速くなるにつれてポールの直径が増加すると適切な場合がある。しかしながら、これだけが高さとともに増加する直径を有するポールを使用する唯一の理由ではない。そうではなく、上述のように第2の端部に向けて、軸方向に第1の部分の直径を増加させるもう一つの理由は、同時継続国際出願PCT/EP2015/072802において説明されているように、第1の部分の振動運動の速度が基部からの距離とともに増加するということである。既に説明したように、第1の部分の振動が第1の部分と周囲の空気との間の相対速度に影響を与えることを考えると、ポールの形状寸法が適切または最適な性能を有するためには、装置の作業領域における空気速度の特色を考慮する必要があるだけでなく、第1の部分自体の振動も考慮する必要がある。これが、第1の部分1が基部からの距離とともに増加する直径を一般に特徴としている理由である。しかしながら、上述のように、上端部において第1の部分が突然終端することによって、振動運動を引き起こす渦を乱す付加的な渦が生じる可能性があることが分かっている。第2の端部に向かって直径が減少する第1の部分の上部を設けることが有利であると分かっている。より詳細に、図1Aに概略的に示すように、最大直径に達すると、第1の部分の長手方向断面は第2の端部に向けて直径が減少し始め、(第2の端部に向かう方向において)その後に凹部122が続く凸部121を特徴とする。これは、風からのエネルギーを取込む能力という点で、発電機の効率を改善することが分かっている。
【0080】
発電機はさらに、第2の部分2、この場合は、ロッド5の端部の上方の位置に達するまで第1の部分1の長手方向軸2000と同軸状に延在する略円形の構造を備える。本実施形態では、第2の部分2の底部は、ロッド部材5が固定されている基部1000を構成する。基部1000から、第2の部分は、ロッド部材が横方向に振動可能な空間200を画成するロッド部材を取り囲む、上方向に延在する第1の部分を含む。上部に向かって、第2の部分2の略円形状の本体部は、さらに第1の部分内へと軸方向に延在する、3つの別々の軸方向に延在する脚部または部分21で終端する。そこで、第2の部分は、第1の部分1の振動運動を電力に変換するためのサブシステム3を支持するために配置された、軸方向に突出する部材23が設けられたプラットフォーム22において終端する。このサブシステムは、振動動作中に磁石が1つ以上のコイルを含む第2のサブシステム要素32に対して配設されるように配置された磁石を有する第1のサブシステム要素31を含む。本実施形態では、上述のように、第1の部分の振動の固有振動数を同調させる目的で、さらに磁石42が設けられている。これらの磁石42は、軸方向に突出する部材23に配設されている。透磁率の低い材料を軸方向に突出する部材23に使用して、少なくともある程度、磁石42の磁場がこの突出部材を通って向けられることを防ぐことが好ましい場合がある。これは、第1の部分1の振動の固有振動数の同調に寄与するという点で、磁石の効率の損失をもたらす可能性がある。
【0081】
第1の部分1は、2つの実質的に円盤形状の部材51によってロッド5に固定されている。円盤形状部材51は、図1Aおよび図1Bに概略的に示すように、第1の部分1をロッド5に取付けるように配置されている。円盤形状部材51は、円盤形状部材51の中央開口部を通過するロッド5に固定されている。円盤形状部材はさらに、円盤形状部材の中央から径方向に間隔を置いて配置された3つの大径開口部52を含む。図1Aおよび図1Bに示すように、第2の部分の脚部または軸方向延在部21は、これらの開口部52を通って延在する。開口部52は、円盤形状部材が脚部21と干渉することなくロッド5とともに振動するような大きさである。このように、第2の部分2はロッド5の軸方向端部の上方で終了しており、第1の部分の振動運動を電力に変換するための機器またはサブシステム3および振動の固有振動数を同調するための機器は、ロッド5の上方に配設可能である、すなわち、振動の間にそれと干渉するリスクがない。
【0082】
図3Aは、第1の部分1の運動を電力に変換するためのサブシステムの一部を概略的に示す図である。サブシステムは2つのコイル321および322を含み、これらのコイルは、一方のコイルにおいて一方向(たとえば、時計回り)に電流が流れると他方のコイルにおいて反対方向に電流が流れるように相互接続されている。これらのコイルは第2の部分2に、より詳細に、図1に関して説明された突出部材23に取付けられている。導電性ワイヤ350が、第2の部分に沿ってコイルから遠ざかる方向に生成された電流を伝えるために配置されている。
【0083】
一方、環状磁石311(たとえば、各々がリングにおいて交互に配置された複数の個別の磁石から形成されている)がコイルの上方および下方に設けられている。この場合、双方の環状磁石311のN極(黒)は上方向に向けられており、S極(白)は下方向に向けられている。上部環状磁石と下部環状磁石との間に磁場が形成されており、第1の部分が振動すると、磁石は固定されたコイルに対して移動して、コイルは変動する磁場にさらされる。図3Aから容易に理解できるように、第1の部分1が一方向に傾斜すると最も外側のコイル321において発生する起電力は同時に最も内側のコイル322において発生する起電力と反対方向になるが、コイルが相互接続されている態様によって(上述のように、図3Cも参照)、発生した電流は2つのコイルにおいて発生した起電力の合計に対応する。図3Bおよび図3D図3Aの磁石の分布を概略的に示す図であり、図3Cはコイルの配置を概略的に示す図である。図3Eは、好適な態様で力線を通すために強磁性体材料360が追加された代替的な配置を示す図である。
【0084】
さらに、他の環状磁石41が、固定された第2の部分、すなわち突出部23上に設けられている。図3Aから理解できるように、方向によって、これらの磁石41と第1の部分に取付けられた磁石311との間に反発力が生じ、上述のように、振動運動の間に磁石が互いに接近するとこの反発力は増加する。したがって、上述のように、これらの磁石は第1の部分の振動の固有振動数を風速に適合させるための受動的なシステムを構成する役割を果たし得る。より詳細に、第1の部分1が基部に対して振動すると、第1の部分に搭載された環状磁石311の一部が静止している構造2に搭載された環状磁石41の一部に接近する一方で、第1の部分の正反対の側では、磁石311の一部が磁石41の対応する部分から遠ざかる。磁石311と磁石41との間の反発力は、磁石311と磁石41との間の距離の二乗に反比例する。風が強くなると、第1の部分の振動運動の振幅は増加する傾向にあり、それによって、磁石311と磁石41とは各振動周期のうちで最も接近する部分の間にますます接近し、そのため、各振動周期において磁石311と磁石41との間で生じる最大反発力がこれに応じて増加する。この反発力の増加によって、構造の共振振動数が増加する。このように、磁石311および磁石41を有する図3Aの発電機のまさにその構造が、風速が増加するとポールの共振振動数の自動的な増加に寄与し、逆の場合も同様である。このように、磁石311および磁石41の適切な選択および配置によって、試行錯誤の試験で何かをなすことが可能になり、および/または、コンピュータ・シミュレーションによって、風速に対してポールの固有振動数を自動的に調節することが可能になり、ポールの固有振動数が常に渦の発生頻度で同調されて、流体の運動からエネルギーを好適に取込むことができる。換言すると、磁石311および磁石41の機能は、ポールの固有振動数と渦の発生頻度との間の自動的な同調を可能にすることであり得る。
【0085】
換言すると、たとえば、振動ポール1と静止している部分2との双方に、磁石リング形状の磁石またはリング形状に配置された個別の磁石の組が設けられており、これらの磁石は、磁石が互いに反発しやすい態様で同軸状に配置されている。これによって、第1の部分の振動運動は渦だけでなく磁力の影響も受けて、振動の振幅が増加するとポールの固有振動数は増加する。
【0086】
上述の説明から分かるように、図1Aおよび図3のうちの1つとしての本発明の実施形態では、第2の(静止)部分は、軸受または減速ギヤボックスを使用せずにエネルギーを生成するように設計された、一般的でない交流発電機の固定子の機能に対応する機能を有し、ロッド5が曲がる方向に関係なく電力を生成可能である。図3A図3Eのようなコイルおよび磁石の多数の列を設けることが可能であり、これによって、磁石41は電力の生成と発電機の風速に対する自動同調との双方に寄与する。
【0087】
図4Aおよび図4Bは、同調システムを有さないポールまたは第1の部分の挙動(図4A)、および本発明の考えられる実施形態に係る同調システムを有するポールの挙動(図4B)を概略的に示す図である。
【0088】
同調機構の目的は、流体の速度に従って機器の固有振動数を修正することである。装置が同調システムを有していない場合、その運動は減衰単調和振動子(a)の1つとしてモデル化可能である(a)(図4A)。
【0089】
【数2】
【0090】
式中、mは質量であり、cは装置自体の構造減衰、他の損失、および電気エネルギーに変換された機械エネルギーを含む減数定数であり、kは弾性ロッドの弾性定数である。この場合、機器の固有振動数は以下のようになる。
【0091】
【数3】
【0092】
渦が発生するとして、振動しているポールが最大値F(揚力係数の値が一定であると考えられる場合、振動数の二乗に比例する)を有する正弦力F、φの遅延、および振動数w=2・π・f(w[rad/s],f[Hz])の影響を受ける場合、運動は、次のような強制減衰調和振動子の1つとしてモデル化可能である。
【0093】
【数4】
【0094】
振動数wが機器の固有振動数wと一致する場合、後者は共振状態になり、流体からエネルギーを吸収する能力が著しく増加する。
【0095】
装置が固有振動数(第1の振動モード)のみを有しているとすると、原理上、振動数wは流体の速度に比例するため、装置が作動するであろう速度はただ1つになる。しかしながら、たとえば風力発電機によって得られる利得は発動機が稼動し電力を発生する間の時間/年の数と関連する。上述したように、カルマン渦を利用した機器が共振状態を維持可能な風速の範囲(ロックインという空気力学的現象)は狭いが、これは、適度に競争力のある発電機にとって望ましい範囲よりもはるかに小さい。
【0096】
風速のこの範囲を広げることが可能になるように、装置の振動数を修正する同調機構を組み込むことができる。したがって、風速がより速い場合、すなわち、渦の発生頻度が増加する場合、ポールは高頻度で振動する。
【0097】
図4Bの配列は、反発モードの磁石が2組追加されている点で図4Aの配列とは異なる。このモデルの動作は、以下の式で表すことができる。
【0098】
【数5】
【0099】
式中、bは透磁率の逆数および磁気質量の積を含み(磁性のクーロンの法則)、dは磁石の各対の間の静止距離である。
【0100】
図5に示すように、ロッドの変形によって質量に生じるばね力Fの変位xの推移と磁石Fの二対によって生じる連結力の推移とは、非常に異なる。ここで分かるように、および上述のように、質量(ポール)が曲げゼロのその中立位置に近づくにつれて、ばね力は磁力に対して優勢になる。変位が増加するにつれてその影響が等しくなり始め、変位が大きいと、磁性を起点とする力が優勢になる。
【0101】
これにはいくつか示唆がある。
振動しているポールが曲げゼロの中立位置を通過するときの運動エネルギーは、双方の場合において、その質量およびその速度の二乗に左右される。変位が最大になる場合、蓄えられた位置エネルギーについてはそれほどでもない。図4Aに示す場合、位置エネルギーは唯一の弾性位置エネルギーであり、図4Bに示す場合、位置エネルギーは弾性特質および磁性特質の双方を有するが、磁性の起点の位置エネルギーは変位の二乗ではなく三乗とともに増加するという点で相違する。図6に示すように、大きな変位に関する減衰単調和運動(I)と比較すると、磁気反発による運動(II)の軌道は振動の振動数の増加を伴なうという問題がある。ほぼ全ての位置エネルギーが弾性ロッドによって蓄積される、変位が小さい状態では(グラフの右側)、双方の軌道はきわめて類似した大きさの期間を有する。
【0102】
図7A図7Dは、図3A図3Dの図に類似するが、磁石およびコイルの代替的な配置を特徴とする実施形態の図である。ここで、運動を電力に変換するためのサブシステムは、システムの図示されたレベルで、1つのコイル323を含む。このコイルは、2つの環状磁石(他の実施形態では、レベルごとにより多くのコイルがある場合もあり、図1Aで示唆されるように、サブシステムは複数のレベルのコイル323および磁石312を含む)間に配置されている。本実施形態では、図3A図3Dの配置とは異なり、環状磁石にはN極およびS極が上/下ではなく径方向外側または内側に配置されている。図7Aより、振動運動が磁石312を径方向に変位させてコイル323内に起電力を発生させる態様が明らかである。また本実施形態では、磁石42は、第1の部分の振動の固有振動数を「自動同調」するために設けられている。この場合、これらの磁石42も同様に、N極およびS極が垂直ではなく径方向に向けられている。
【0103】
磁石42などの環状磁石に関しては、いくつかの実施形態ではこれらの磁石はリングに配置された複数の個別の磁石によって形成されているが、他の実施形態では、これらの磁石はただ1つのリング形状の磁石から構成されている。そのような場合、N極およびS極が径方向(図7Aの磁石42の場合のように)ではなく軸方向(図3Aの環状磁石41のように)に向けられた、リング形状の磁石を安価で得られることが分かった。したがって、必要なコストを削減するための1つの可能性は、図7Eに概略的に示すように、上下に軸方向に配置されたポールを有する1つの磁石を位置決めすることによって、径方向に向けられたS(またはN)極を有する磁石を得ることであり得る。
【0104】
理論上は、流体が一定の方向に移動する場合、たとえば風が常に1つの方向に吹く場合、水平面上の第1の部分の振動運動の突出部は、図8Aに示すように直線的である。しかしながら、場合によっては、および特に上述のように磁性自動同調配置が用いられるときは、図8Bに概略的に示すように、第1の部分が1つの垂直面だけではなく明らかに無作為の態様で振動することが観察されている。すなわち、運動は、水平面上に投影されると、直線的であるだけでなく回転成分も有する。
【0105】
図8Bのように第1の部分の振動を防止することが望ましいが、この種類の振動モードにおいてもエネルギーを運動から取出せることが分かった。しかしながら、そのような場合におよび図3A図3Eまたは図4A図4Dのように水平面に配置されたコイルを使用するときに電力の取り出しを最適化するために、それらの中心が発電機の長手方向軸2000と一致しないようにコイルを配置することが有利であり得ることが分かった。この種類の配置が図8Cに概略的に示されており、コイル323が突出部23に対して、すなわち、発電機の長手方向軸2000に対して非対称的に配置されている(図1Aを参照)。また、コイル323とは異なる水平面に配置された2つの他のコイル323’および323’’が、図8Cに概略的に示唆されている。これらのコイルはコイル323に対して軸方向に変位される、すなわち、これらは、運動を電力に変換するためのサブシステムの異なる「レベル」に対応する。コイル323’および323’’の中心は突出部23に対して径方向においても変位されている。図8Cに概略的に示すように、3つのコイル323、323’、323’’は、120度の角度間隔で異なる径方向にずれている。
【0106】
一方、たとえば上記に示唆された方法の代替として、第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム(1つまたは複数)3へのエネルギーの制御された注入/サブシステム(1つまたは複数)からの制御された取出しを用いて第1の部分の振動を実質的に1つの垂直面に保つ、すなわち、図8Bのような振動を防止することが可能である。
【0107】
本文中、「サブシステム」という表現は、「第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステム」という表現またはこれと類似の表現は、いかなる制限された意味でも解釈されるべきではない。従来の風力タービンの分野では、「発電機」という表現はしばしば、機械または運動エネルギーを電気エネルギーに変換する総合的な風力タービンの一部のために使用されている。本明細書では、「発電機」という用語は、第1の部分、すなわち、主なエネルギー源、エネルギーを取込むための、たとえば、風と相互作用する部分を含む包括的なシステムを示すために用いられる。混乱を避けるために、「発電機」という用語は、第1の部分の振動運動を電気エネルギーに変換するためのサブシステムのために用いられていない。しかしながら、このサブシステムは、電気エネルギーを生成するため明らかに発電機とみなすことが可能である。また、発電機は、運動を電気エネルギーに変換するための2つ以上のサブシステムを備え得る。2つ以上のサブシステムがある場合、いずれのサブシステムも上述のように配置されている必要はない。
【0108】
本文中、「磁石」という用語は一般に永久磁石を指すが、当業者にとって容易に理解されるように、電磁石を適宜使用してもよい。
【0109】
本文中、磁石に適用される場合、「環状」という用語は、当該磁石がただ1つの環状要素で構成された完全な「環状」磁石であることを必要としない。そうではなく、「環状」という用語は、その構造ではなく磁石の一般的な構成を指す。すなわち、本明細書の本文での「環状磁石」は、個別の磁石間に空間を有する場合、または有さない場合の実質的に円に配置された複数の個別の磁石で形成可能である。空間は、当該磁石の組を略円形の構成の形成から奪わない限り、広くてもよい。当業者であれば、要素のコストおよびそれらの設置のコストなどの側面を考慮して要素を使用するであろう。同じことが「リング」として形成された磁石についての言及にも当てはまる。
【0110】
本文中、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」などの用語は一般に、第1の端部が第2の端部の下方にある状態で、すなわち、一般に、第1の部分の長手方向軸が垂直に延在している状態で、長尺の第1の部分が配置されている状況を指す。しかしながら、これは、第1の部分が常にこのように配置されていなければならないことを意味すると解釈されるべきではない。いくつかの実施では、第1の部分の他の方向も可能である。
【0111】
本文中、「備える(comprises)」という語および(「備えている(comprising)」などの)その派生形は、除外的であると解釈されるべきではない、すなわち、記載または定義されているものが他の要素、ステップなどを含む可能性が本明細書に含まれることを除外するものではない。
【0112】
本発明は、明らかに本明細書で記載された具体的な実施形態に限定されるものではなく、請求項で定義される発明の一般的な範囲内で(たとえば、材料、寸法、構成要素、構成などの選択に関して)当業者が実施できると考えられる変形例も含む。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C-3E】
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C-7E】
図8A
図8B
図8C