(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語には、Fab、Fv、scFv、及びFdフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体(scAb)、単一ドメイン抗体(dAb)、単一ドメイン重鎖抗体、単一ドメイン軽鎖抗体、二重特異性抗体、多特異性抗体、ならびに抗体の抗原−結合(本明細書において抗原結合とも称される)部分及び非抗体タンパク質を含む融合タンパク質を含むがそれらに限定されない、抗体、または任意のアイソタイプの免疫グロブリン、抗原への特異的結合を保持する抗体のフラグメントが含まれる。抗体は、例えば放射性同位体、検出可能な産物を生成する酵素、蛍光タンパク質等で検出可能に標識され得る。抗体は、特異的結合ペアのメンバー、例えばビオチン(ビオチン−アビジン特異的結合ペアのメンバー)など、他の部分にさらに抱合され得る。抗体は、ポリスチレン製プレートまたはビーズを含むがそれらに限定されない固体支持体にも結合され得る。当該用語によって、Fab’、Fv、F(ab’)
2、及び/または抗原への特異的結合を保持する他の抗体フラグメント、ならびにモノクローナル抗体も包含される。本明細書において使用するとき、モノクローナル抗体とは、そのすべてが繰り返しの細胞複製によって単一細胞から産生された同一細胞の群によって産生される抗体である。つまり、細胞のクローンは、単一抗体種のみを産生する。モノクローナル抗体はハイブリドーマ産生技術を用いて産生され得るが、当業者に公知の他の産生法も用いられ得る(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリーに由来する抗体)。抗体は、一価または二価であり得る。抗体は、4本のポリペプチド鎖:ジスルフィド結合によって接続された2本の重鎖及び2本の軽鎖からなる「Y字型」分子である、Ig単量体であり得る。
【0010】
本明細書において用いられる「ヒト化免疫グロブリン」という用語は、異なる起源の免疫グロブリンの部分を含む免疫グロブリンを指し、少なくとも1つの部分はヒト起源のアミノ酸配列を含む。例えば、ヒト化抗体は、従来の技法(例えば、合成的)によって化学的に一つに接合されたまたは遺伝子操作技法を用いて連続ポリペプチドとして調製された、マウスなど、必須の特異性を有する非ヒト起源の免疫グロブリンに由来する部分、及びヒト起源の免疫グロブリン配列に由来する部分を含み得る(例えば、キメラ免疫グロブリン)(例えば、キメラ抗体のタンパク質部分をコードするDNAは、連続ポリペプチド鎖を産生するように発現され得る)。ヒト化免疫グロブリンの別の例は、非ヒト起源の抗体に由来するCDRならびにヒト起源の軽鎖及び/または軽鎖に由来するフレームワーク領域を含む1本または複数本の免疫グロブリン鎖を含有する免疫グロブリンである(例えば、フレームワーク変化の有無にかかわらないCDRグラフト抗体)。キメラまたはCDRグラフト一本鎖抗体も、ヒト化免疫グロブリンという用語によって包含される。例えば、Cabilly et al.,米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.,欧州特許第0,125,023B1号;Boss et al.,米国特許第4,816,397号;Boss et al.,欧州特許第0,120,694B1号;Neuberger,M.S.et al.,WO86/01533;Neuberger,M.S.et al.,欧州特許第0,194,276B1号;Winter,米国特許第5,225,539号;Winter,欧州特許第0,239,400B1号;Padlan,E.A.et al.,欧州特許出願第0,519,596A1号を参照されたい。一本鎖抗体に関して、Ladner et al.,米国特許第4,946,778号;Huston,米国特許第5,476,786号;及びBird,R.E.et al.,Science,242:423−426(1988)も参照されたい。
【0011】
例えば、ヒト化免疫グロブリンを、合成及び/または組換え核酸を用いて産生して、所望のヒト化鎖をコードする遺伝子(例えば、cDNA)を調製し得る。例えば、ヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)配列をPCR突然変異誘発法を用いて構築して、以前のヒト化可変領域由来のDNA鋳型など、ヒトまたはヒト化鎖をコードするDNA配列を変更し得る(例えば、Kamman,M.,et al.,Nucl.Acids Res.,17:5404(1989));Sato,K.,et al.,Cancer Research,53:851−856(1993);Daugherty,B.L.et al.,Nucleic Acids Res.,19(9):2471−2476(1991);及びLewis,A.P.and J.S.Crowe,Gene,101:297−302(1991)を参照されたい)。これらまたは他の適切な方法を用いて、変種も容易に産生され得る。例えば、クローン化された可変領域を突然変異させ得、所望の特異性を有する変種をコードする配列を選択し得る(例えば、ファージライブラリーから;例えば、Krebber et al.,米国特許第5,514,548号;Hoogenboom et al.,1993年4月1日に公開されたWO93/06213)を参照されたい)。
【0012】
「抗体フラグメント」は、無傷抗体の一部分、例えば無傷抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)
2、及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057−1062(1995));ドメイン抗体(dAb;Holt et al.(2003)Trends Biotechnol.21:484);一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントを産生し、それぞれは、単一の抗原結合部位、及び容易に結晶化する能力を反映した名称である残部「Fc」フラグメントを有する。ペプシン処理は、2つの抗原連結部位を有し及び依然として抗原と架橋し得るF(ab’)
2フラグメントを産出する。
【0013】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小抗体フラグメントである。この領域は、硬い非共有結合性の結び付きの1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。それは、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV
H−V
L二量体の表面上の抗原結合部位を規定する、この立体配置にある。集合して、6つのCDRは、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低いアフィニティーではあるものの、抗原を認識し及び結合する能力を有する。
【0014】
「Fab」フラグメントは、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一の定常ドメイン(CH
1)も含有する。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1個または複数個のシステインを含む重鎖CH
1ドメインのカルボキシル末端における数個の残基の付加によって、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’に対する本明細書における名称である。F(ab’)
2抗体フラグメントは、Fab’フラグメントのペアとしてもともと産生され、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
【0015】
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ及びラムダと呼ばれる2つのはっきりと区別できるタイプの一方に割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのクラスのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに細分され得る。サブクラスは、タイプ、例えばIgG2a及びIgG2bにさらに細分され得る。
【0016】
「一本鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のV
H及びV
Lドメインを含み、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖に存在する。一部の場合において、Fvポリペプチドは、V
H及びV
Lドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にする。sFvの総説に関しては、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照されたい。
【0017】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、そのフラグメントは、同じポリペプチド鎖内に軽鎖可変ドメイン(V
L)に接続された重鎖可変ドメイン(V
H)を含む(V
H−V
L)。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、当該ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合することを強いられ、2つの抗原結合部位を創出する。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448により十分に記載されている。
【0018】
本明細書において使用するとき、「アフィニティー」という用語は、2種の作用物質(例えば、抗体及び抗原)の可逆的結合に対する平衡定数を指し、解離定数(K
D)として表現される。アフィニティーは、非関連アミノ酸配列に対する抗体のアフィニティーよりも、少なくとも1倍大きく、少なくとも2倍大きく、少なくとも3倍大きく、少なくとも4倍大きく、少なくとも5倍大きく、少なくとも6倍大きく、少なくとも7倍大きく、少なくとも8倍大きく、少なくとも9倍大きく、少なくとも10倍大きく、少なくとも20倍大きく、少なくとも30倍大きく、少なくとも40倍大きく、少なくとも50倍大きく、少なくとも60倍大きく、少なくとも70倍大きく、少なくとも80倍大きく、少なくとも90倍大きく、少なくとも100倍大きく、もしくは少なくとも1,000倍大きく、またはそれよりも大きくあり得る。標的タンパク質に対する抗体のアフィニティーは、例えば約100ナノモーラー(nM)〜約0.1nM、約100nM〜約1ピコモーラー(pM)、もしくは約100nM〜約1フェムトモーラー(fM)、またはそれよりも大きくあり得る。本明細書において使用するとき、「アビディティー」という用語は、希釈後の解離に対する、2種またはそれを上回る種類の作用物質の複合体の抵抗性を指す。「免疫反応性」及び「優先的に結合する」という用語は、抗体及び/または抗原結合フラグメントに関して、本明細書において互換可能に用いられる。
【0019】
「結合」という用語は、塩橋及び水架橋などの相互作用を含めた、例えば共有結合性、静電性、疎水性、ならびにイオン性及び/または水素結合の相互作用による、2つの分子間の直接的結び付きを指す。本開示の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質内のエピトープに特異的に結合する。「特異的結合」とは、少なくとも約10
−7Mまたはそれよりも大きい、例えば5×10
−7M、10
−8M、5×10
−8M、及びそれよりも大きいアフィニティーでの結合を指す。「非特異的結合」とは、約10
−7M未満のアフィニティーでの結合、例えば10
−6M、10
−5M、10
−4M等のアフィニティーでの結合を指す。
【0020】
本明細書において使用するとき、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見い出される非連続抗原連結部位を意味することを意図される。CDRは、Lefranc et al.(2003)Developmental and Comparative Immunology 27:55(本明細書において「Lefranc 2003」とも称される);Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609−6616(1977);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of proteins of immunological interest」(1991)(本明細書においてKabat 1991とも称される);Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901−917(1987)(本明細書においてChothia 1987とも称される);及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732−745(1996)によって記載されており、定義は、互いと比較した場合、アミノ酸残基の重複または部分集合を含む。それにもかかわらず、抗体またはグラフト抗体またはそれらの変種のCDRを指すいずれかの定義の適用は、本明細書において定義され及び用いられる用語の範囲内にあることが意図される。上で引用された参考文献のそれぞれによって定義される、CDRを包含するアミノ酸残基が、比較として下記の表2に明記される。表1に挙げられる(
図12A〜12Fに提供される)CDRは、Lefranc 2003に従って定義された。
【表2】
【0021】
本明細書において使用するとき、「CDR−L1」、「CDR−L2」、及び「CDR−L3」という用語は、軽鎖可変領域における第一、第二、及び第三のCDRをそれぞれ指す。本明細書において使用するとき、「CDR−H1」、「CDR−H2」、及び「CDR−H3」という用語は、重鎖可変領域における第一、第二、及び第三のCDRをそれぞれ指す。本明細書において使用するとき、「CDR−1」、「CDR−2」、及び「CDR−3」という用語は、いずれかの鎖の可変領域の第一、第二、及び第三のCDRをそれぞれ指す。
【0022】
本明細書において使用するとき、「フレームワーク」という用語は、抗体可変領域に関して用いられる場合、抗体の可変領域内のCDR領域の外側にあるすべてのアミノ酸残基を意味することを意図される。可変領域フレームワークは、一般的に、長さが約100〜120アミノ酸の非連続的アミノ酸配列であるが、CDRの外側にあるそうしたアミノ酸のみに言及することを意図される。本明細書において使用するとき、「フレームワーク領域」という用語は、CDRによって分離されているフレームワークの各ドメインを意味することを意図される。
【0023】
「単離された」抗体とは、同定され、その天然環境の構成成分から分離され及び/または回収されているものである。その天然環境の混入した構成成分は、抗体に対する診断的または治療的使用に干渉するであろう材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。一部の場合において、抗体は、(1)ローリー法によって決定される抗体の、90重量%を上回る、95重量%を上回る、もしくは98重量%を上回る割合まで、例えば99重量%を上回る割合まで、(2)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)の使用によって、N末もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を獲得するのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーもしくは銀染色を用いて、還元もしくは非還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による均一性まで、精製される。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイチューでの抗体が含まれる、というのも抗体の天然環境の少なくとも1つの構成成分も存在しないであろうためである。ある場合には、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0024】
本明細書において互換可能に用いられる「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、それには、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に改変されたまたは誘導体化されたアミノ酸、ならびに改変されたペプチド骨格を有するポリペプチドが含まれ得る。当該用語には、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末メチオニン残基の有無にかかわらない異種及び同種リーダー配列を有する融合体;免疫学的にタグ付けされたタンパク質等を含むがそれらに限定されない、融合タンパク質が含まれる。
【0025】
本明細書において使用するとき、「治療」、「治療すること」、「治療する」等の用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的な効果を獲得することを指す。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に阻止するという点において予防的であり得、及び/または疾患及び/または疾患に起因する悪影響に対する部分的もしくは完全な治癒という点において治療的であり得る。本明細書において用いられる「治療」は、哺乳類における、特にヒトにおける疾患の任意の治療を網羅し、(a)疾患にかかりやすくあり得るがそれを有するとはまだ診断されていない対象において、疾患が生じるのを阻止すること;(b)疾患を阻害すること、すなわちその発症を止めること;及び(c)疾患を軽減すること、すなわち疾患の退行を引き起こすこと、を含む。
【0026】
本明細書において互換可能に用いられる「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)等を含むがそれらに限定されない、哺乳類を指す。これらの用語によって、哺乳類、魚類、及び一部の無脊椎動物など、補体系を有する任意の動物も包含される。そのようなものとして、これらの用語には、補体系を含有する哺乳類、魚類、及び無脊椎動物の伴侶動物、農業用動物、労働用動物、動物園用動物、及び実験室動物が含まれる。
【0027】
「治療上有効な量」または「効果的な量」とは、疾患を治療するために哺乳類または他の対象に投与された場合に、当該疾患に対してそのような治療をもたらすのに十分である、抗補体Bb抗体の量を指す。「治療上有効な量」は、抗補体Bb抗体、疾患及びその重症度、ならびに治療されるべき対象の年齢、重量等に応じて変動する。
【0028】
「生物学的サンプル」は、個体から獲得された多様なサンプルタイプを包含し、診断用アッセイまたはモニタリングアッセイにおいて用いられ得る。当該定義には、生物学的起源の血液及び他の液体サンプル、生検標本または組織培養物またはそれらに由来する細胞及びそれらの子孫などの固体組織サンプルが包含される。当該定義には、試薬による処理、可溶化、またはポリヌクレオチドなどのある特定の構成成分についての富化などによる、それらの調達後に任意のやり方で取り扱われているサンプルも含まれる。「生物学的サンプル」という用語には臨床サンプルが包含され、培養下の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体、及び組織サンプルも含まれる。「生物学的サンプル」という用語には、尿、唾液、脳脊髄液、間質液、眼液、滑液、血漿及び血清などの血液画分等が含まれる。「生物学的サンプル」という用語には、固体組織サンプル、組織培養サンプル、及び細胞サンプルも含まれる。
【0029】
本発明をさらに記載する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして当然変動し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において用いられる術語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、限定的であることを意図されないことも理解されるべきである。
【0030】
値の値域が提供される場合、その値域の上限と下限の間にある、文脈上はっきりと別様に述べられていない限りは下限の単位の10分の1までの各介在値、及びその記述される値域における他の任意の記述される値または介在値は、本発明の内に包含されると理解される。これらのより小さな値域の上限及び下限は、当該より小さな値域内に独立して含まれ得、記述される値域において具体的に除外される任意の限度次第で、本発明の内にも包含される。記述される値域が限度の一方または両方を含む場合、そうした含まれる限度のいずれかまたは両方を除外する値域も本発明に含まれる。
【0031】
別様に定義されていない限り、本明細書において用いられるすべての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料も、本発明の実践または試験において用いられ得るものの、好ましい方法及び材料がここに記載される。それと関連して刊行物が引用されている方法及び/または材料を開示し及び記載するために、本明細書において言及されるすべての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈上はっきりと別様に述べられていない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。ゆえに、例えば、「抗Bb抗体(an anti−Bb antibody)」への言及には、複数のそのような抗体が含まれ、「組成物(the composition)」への言及には、1つまたは複数の組成物、及び当業者に公知のその同等物などへの言及が含まれる。特許請求の範囲は、任意の随意的要素を除外するように起草され得ることがさらに留意される。そのようなものとして、本記述は、特許請求の範囲の要素についての列挙に関連した「だけ」、「のみ」等のような排他的術語の使用、または「消極的」限定の使用に対して、先行詞として働くことが意図される。
【0033】
明確性のために別個の実施形態の文脈で記載される本発明のある特定の特質は、単一の実施形態において組み合わせでも提供され得ることが解される。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特質は、別個にまたは任意の適切な部分的組み合わせでも提供され得る。本発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に内包され、まさにあたかもありとあらゆる組み合わせが個々にかつ明示的に開示されているかのように本明細書において開示される。加えて、様々な実施形態及びその要素のすべての部分的組み合わせも、本発明によって具体的に内包され、まさにあたかもありとあらゆるそのような部分的組み合わせが本明細書において個々にかつ明示的に開示されているかのように本明細書において開示される。
【0034】
本明細書において論じられる刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示に対してだけ提供される。本明細書におけるいかなるものも、先行発明という理由で、本発明がそのような刊行物に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるべきでない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の刊行日とは異なり得、それは独立して確認される必要があり得る。
【0035】
詳細な説明
本開示は、抗補体Bb因子抗体、及び当該抗体を含む組成物を提供する。抗Bb抗体は、補体媒介性障害を治療するのに有用である。本開示は、補体媒介性障害を治療する方法を提供する。
【0036】
抗補体Bb抗体
本開示は、抗補体Bb抗体、及びそのような抗体を含む薬学的組成物を提供する。本開示の抗補体Bb抗体は、本明細書において「抗Bb」抗体または「抗Bb因子」抗体とも称される。一部の場合において、本開示の抗補体Bb抗体はヒト化されている。一部の場合において、本開示の抗補体Bb抗体は、少なくとも1つのヒト化軽鎖可変領域(VL)フレームワーク領域を含む。一部の場合において、本開示の抗補体Bb抗体は、少なくとも1つのヒト化重鎖可変領域(VH)フレームワーク領域を含む。一部の場合において、本開示の抗補体Bb抗体は、少なくとも1つのヒト化VLフレームワーク領域及び少なくとも1つのヒト化VHフレームワーク領域を含む。
【0037】
フレームワーク領域(複数可)のヒト化は、抗体がヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を引き出す危険性を低下させる。免疫応答を判定する当技術分野において認められている方法を実施して、特定の患者におけるまたは臨床試験の間のHAMA応答をモニターし得る。ヒト化抗体を投与された患者は、療法の投与の開始時に及び投与を通じて免疫原性査定を与えられ得る。HAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)及び/または固相酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)解析を含めた当業者に公知の方法を用いて、患者由来の血清サンプルにおいてヒト化治療用試薬に対する抗体を検出することによって測定される。多くの場合、本開示のヒト化抗Bb抗体は、ヒト対象においてHAMA応答を実質的に引き出さない。
【0038】
ヒト可変領域フレームワーク残基由来のある特定のアミノ酸は、CDR立体構造及び/または結合抗原に対するそれらの考え得る影響に基づいて置換に選択される。マウスCDR領域とヒト可変フレームワーク領域との非天然の並列は、非天然の立体構造制限をもたらし得、それは、ある特定のアミノ酸残基の置換によって修正されない限り、結合アフィニティーの喪失につながる。
【0039】
置換のためのアミノ酸残基の選択は、一部には、コンピューターモデリングによって決定され得る。免疫グロブリン分子の三次元画像を作り出すためのコンピューターハードウェア及びソフトウェアは、当技術分野において公知である。一般的に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそのドメインに対する解明された構造から作り出される。モデル化される対象となる鎖は、解明された三次元構造の鎖またはドメインとアミノ酸配列類似性について比較され、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインが、分子モデルの構築のための開始点として選択される。少なくとも50%の配列同一性を共有する鎖またはドメインがモデル化に選択され、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の配列同一性またはそれを上回る割合を共有するものがモデル化に選択される。解明された開始構造は、モデル化されている免疫グロブリン鎖またはドメインにおける実際のアミノ酸と開始構造におけるものとの間の差を許容するように改変される。次いで、改変された構造は、混成免疫グロブリンに組み立てられる。最後に、モデルは、エネルギー最小化によって、ならびにすべての原子が互いから適当な距離内にあること、及び結合の長さと角度が化学的に許容される限度内にあることを検証することによって精密化される。
【0040】
CDR及びフレームワーク領域は、Lefranc et al.(2003)Developmental and Comparative Immunology 27:55(本明細書において「Lefranc 2003」とも称される);Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987及び1991)によって定義されるとおりである。代替的な構造定義は、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901(1987);Nature 342:878(1989);及びJ.Mol.Biol.186:651(1989)(まとめて「Chothia」と称される)によって提案されている。上記Kabatによって定義されるフレームワーク残基が、上記Chothiaによって定義される構造的ループ残基をなす場合、マウス抗体に存在するアミノ酸は、ヒト化抗体への置換に選択され得る。「CDR領域に近接」している残基には、ヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列におけるCDRのうちの1つまたは複数にすぐ近接した箇所における、例えばKabatによって定義されるCDRまたはChothiaによって定義されるCDRにすぐ近接した箇所におけるアミノ酸残基が含まれる(例えば、Chothia and Lesk JMB 196:901(1987)を参照されたい)。これらのアミノ酸は、特に、CDRにおけるアミノ酸と相互作用し、アクセプターから選定された場合にはドナーCDRを変形させ及びアフィニティーを低下させる可能性がある。さらには、近接アミノ酸は抗原と直接相互作用し得(Amit et al.,Science,233:747(1986))、ドナーからこれらのアミノ酸を選択することは、元の抗体におけるアフィニティーを提供するすべての抗原接触を保つために望ましくあり得る。
【0041】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM10抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域(FR)を含む。
【0042】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM10抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0043】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M10抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM10抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0044】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0045】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0046】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0047】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0048】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0049】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M4抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM4抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0050】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM20抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0051】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM20抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0052】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M20抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM20抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0053】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM17抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはLefranc 2003によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0054】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM17抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはKabat 1991によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0055】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、M17抗体の1つ、2つ、または3つのVL CDRを含む軽鎖可変領域;及びM17抗体の1つ、2つ、または3つのVH CDRを含む重鎖可変領域を含み、当該CDRはChothia 1987によって定義されるとおりである。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0056】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:3より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、a)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:3より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域;ならびにb)SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0057】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びSEQ ID NO:11より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、a)SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びSEQ ID NO:11より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域;ならびにb)SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0058】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、及びSEQ ID NO:19より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、a)SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、及びSEQ ID NO:19より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域;ならびにb)SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0059】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:26より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、a)SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:26より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む軽鎖領域;ならびにb)SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29より選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗Bb抗体は、ヒト化V
H及び/またはV
Lフレームワーク領域を含む。
【0060】
一部の場合において、ヒト化V
HフレームワークまたはV
Lフレームワークは、コンセンサスヒトフレームワークである。コンセンサスヒト化フレームワークは、ヒト免疫グロブリンV
LまたはV
Hフレームワーク配列の選択において最も多く存在するアミノ酸残基を表し得る。
【0061】
本明細書において記載されるV
H CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Hフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIIIコンセンサス)。
【0062】
a)V
H FR1:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(SEQ ID NO:50);
【0063】
b)V
H FR2:WVRQAPGKGLEWV(SEQ ID NO:51);
【0064】
c)V
H FR3:RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYC(SEQ ID NO:52);及び
【0065】
d)V
H FR4:WGQGTLVTVSS(SEQ ID NO:54)。
【0066】
一部の場合において、V
H FR3は、71、73、及び/または78の位置にアミノ酸置換を含む;例えば、
【化1】
における下線付きで太字のRは、アミノ酸71(Kabat番号付け)であり;
【化2】
における下線付きで太字のNは、アミノ酸73(Kabat番号付け)であり;及び
【化3】
における下線付きで太字のLは、アミノ酸78(Kabat番号付け)である。例えば、一部の場合において、アミノ酸71はAであり;及び/またはアミノ酸73はTであり;及び/またはアミノ酸78はAである。一例として、一部の場合において、適切なコンセンサスヒト化V
H FR3は、アミノ酸配列:
【化4】
を含む。
【0067】
本明細書において記載されるV
H CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Hフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIコンセンサス)。
【0068】
a)V
H FR1:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKAS(SEQ ID NO:55);
【0069】
b)V
H FR2:WVRQAPGQGLEWM(SEQ ID NO:56);
【0070】
c)V
H FR3:RVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYC(SEQ ID NO:57);及び
【0071】
d)V
H FR4:WGQGTLVTVSS(SEQ ID NO:58)。
【0072】
本明細書において記載されるV
H CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Hフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIIコンセンサス)。
【0073】
a)V
H FR1:QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVS(SEQ ID NO:59);
【0074】
b)V
H FR2:WIRQPPGKGLEWI(SEQ ID NO:60);
【0075】
c)V
H FR3:RVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYC(SEQ ID NO:61);及び
【0076】
d)V
H FR4:WGQGTLVTVSS(SEQ ID NO:62)。
【0077】
本明細書において記載されるV
L CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Lフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIコンセンサス)。
【0078】
a)V
L FR1:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(SEQ ID NO:63);
【0079】
b)V
L FR2:WYQQKPGKAPKLLIY(SEQ ID NO:64);
【0080】
c)V
L FR3:GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(SEQ ID NO:65);及び
【0081】
d)V
L FR4:FGQGTKVEIK(SEQ ID NO:66)。
【0082】
本明細書において記載されるV
L CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Lフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIIコンセンサス)。
【0083】
a)V
L FR1:DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISC(SEQ ID NO:67);
【0084】
b)V
L FR2:WYLQKPGQSPQLLIY(SEQ ID NO:68);
【0085】
c)V
L FR3:GVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYC(SEQ ID NO:69);及び
【0086】
d)V
L FR4:FGQGTKVEIK(SEQ ID NO:70)。
【0087】
本明細書において記載されるV
L CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Lフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIIIコンセンサス)。
【0088】
a)V
L FR1:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(SEQ ID NO:71);
【0089】
b)V
L FR2:WYQQKPGQPPKLLIY(SEQ ID NO:72);
【0090】
c)V
L FR3:GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDFAVYYC(SEQ ID NO:73);及び
【0091】
d)V
L FR4:FGQGTKVEIK(SEQ ID NO:74)。
【0092】
本明細書において記載されるV
L CDRとの使用に適切なコンセンサスヒトV
Lフレームワーク領域の非限定的な例には、以下が含まれる(サブグループIVコンセンサス)。
【0093】
a)V
L FR1:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(SEQ ID NO:71);
【0094】
b)V
L FR2:WYQQKPGQPPKLLIY(SEQ ID NO:72);
【0095】
c)V
L FR3:GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDFAVYYC(SEQ ID NO:73);及び
【0096】
d)V
L FR4:FGQGTKVEIK(SEQ ID NO:74)。
【0097】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0098】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6を含む重鎖可変領域を含む。
【0099】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びSEQ ID NO:11を含む軽鎖可変領域を含む。
【0100】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14を含む重鎖可変領域を含む。
【0101】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、及びSEQ ID NO:19を含む軽鎖可変領域を含む。
【0102】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22を含む重鎖可変領域を含む。
【0103】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:26を含む軽鎖可変領域を含む。
【0104】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29を含む重鎖可変領域を含む。
【0105】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を有するCDR−L1、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を有するCDR−L2、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を有するCDR−L3、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を有するCDR−H1、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を有するCDR−H2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:6を有するCDR−H3を含む。
【0106】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を有するCDR−L1、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を有するCDR−L2、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を有するCDR−L3、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を有するCDR−H1、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を有するCDR−H2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:14を有するCDR−H3を含む。
【0107】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を有するCDR−L1、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を有するCDR−L2、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を有するCDR−L3、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を有するCDR−H1、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を有するCDR−H2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:22を有するCDR−H3を含む。
【0108】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を有するCDR−L1、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を有するCDR−L2、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を有するCDR−L3、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を有するCDR−H1、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を有するCDR−H2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:29を有するCDR−H3を含む。
【0109】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:23、及びSEQ ID NO:30からなる群より選択されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0110】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:7に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0111】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:15に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0112】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:23に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0113】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:30に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0114】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:24、及びSEQ ID NO:31からなる群より選択されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0115】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:8に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0116】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:16に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0117】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:24に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0118】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、SEQ ID NO:31に明記されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0119】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0120】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0121】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0122】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0123】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:8と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0124】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:16と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0125】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:24と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0126】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:31と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0127】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0128】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0129】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0130】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0131】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:8と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0132】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:16と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0133】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:24と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0134】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:31と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0135】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含む軽鎖可変領域を含む。
【0136】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含む重鎖可変領域を含む。
【0137】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含む軽鎖可変領域を含む。
【0138】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含む重鎖可変領域を含む。
【0139】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含む軽鎖可変領域を含む。
【0140】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含む重鎖可変領域を含む。
【0141】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含む軽鎖可変領域を含む。
【0142】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含む重鎖可変領域を含む。
【0143】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:8と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0144】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:16と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0145】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:24と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0146】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30と90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:31と90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0147】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:8と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0148】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:16と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0149】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:24と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0150】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30と95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:31と95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0151】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:8を含む重鎖可変領域を含む。
【0152】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:16を含む重鎖可変領域を含む。
【0153】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:24を含む重鎖可変領域を含む。
【0154】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含む軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:31を含む重鎖可変領域を含む。
【0155】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質内のエピトープに特異的に結合し、当該抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:8を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む抗体と、当該エピトープに結合することを競合する。
【0156】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質内のエピトープに特異的に結合し、当該抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:16を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む抗体と、当該エピトープに結合することを競合する。
【0157】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質内のエピトープに特異的に結合し、当該抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:24を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む抗体と、当該エピトープに結合することを競合する。
【0158】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質内のエピトープに特異的に結合し、当該抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:31を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む抗体と、当該エピトープに結合することを競合する。
【0159】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:8を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0160】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:16を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0161】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:24を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0162】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:31を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0163】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、補体系を有する個体由来の補体Bbタンパク質に結合する。一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、補体系を有する哺乳類、魚類、または無脊椎動物由来の補体Bbタンパク質に結合する。一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、哺乳動物補体Bbタンパク質に結合する。一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、ヒト補体Bbタンパク質に結合する。一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、
図13に描写されるアミノ酸配列のアミノ酸26〜259を有する補体Bbタンパク質に結合する。
図13は、Homo sapiens補体Bbタンパク質のアミノ酸配列を提供しており;アミノ酸26〜259は成熟タンパク質である。
【0164】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−8M〜10
−9M、10
−9M〜10
−10M、または10
−10M〜10
−11Mのアフィニティーで補体Bbタンパク質に結合する。
【0165】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、B因子に対する当該抗Bb抗体の結合と比較して、Bb因子に対する優先的な結合を呈する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、Bb因子に結合するが、可溶性B因子には実質的に結合しない。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、B因子に対する当該抗体のアフィニティーよりも、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7.5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも75倍、または少なくとも100倍高いアフィニティーでBb因子に結合する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、B因子に対する当該抗体のアフィニティーよりも、2倍〜2.5倍、2.5倍〜5倍、5倍〜10倍、10倍〜15倍、15倍〜20倍、20倍〜25倍、25倍〜50倍、50倍〜75倍、または75倍〜100倍高いアフィニティーでBb因子に結合する。一部の場合において、i)Bb因子への本開示の抗Bb抗体の結合対ii)B因子への本開示の抗Bb抗体の結合の比率は、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも75:1、または少なくとも100:1である。一部の場合において、i)Bb因子への本開示の抗Bb抗体の結合対ii)B因子への本開示の抗Bb抗体の結合の比率は、2:1〜5:1、5:1〜10:1、10:1〜25:1、25:1〜50:1、50:1〜75:1、または75:1〜100:1である。
【0166】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、B因子及びBb因子の両方に結合する。
【0167】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下におけるAP活性のレベルと比較して、代替経路(AP)活性を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でAP活性を阻害する。
【0168】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下において形成されるMACの量と比較して、膜侵襲複合体(MAC)の形成を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。
【0169】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害する。C3b/Bbは、「C3転換酵素」としても知られる。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下におけるC3の切断と比較して、C3のC3b/Bb媒介性切断を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でC3のC3b/Bb媒介性切断を阻害する。
【0170】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害し、それによってC3切断産物の産生を低下させる。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害し、それによって、当該抗Bb抗体の非存在下におけるC3切断産物の産生と比較して、C3切断産物(例えば、C3a及び/またはC3b)の産生を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低下させる。一部の場合において、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害する本開示の抗Bb抗体は、それぞれM17 VH及びVLに存在するVH及びVL CDRを含む。一部の場合において、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害する本開示の抗Bb抗体は、それぞれM10 VH及びVLに存在するVH及びVL CDRを含む。
【0171】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、B因子に結合し及びB因子の切断を阻害する。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下におけるB因子切断と比較して、B因子切断を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%を上回って阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、C3b/Bb形成を阻害する。
【0172】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下における細胞溶解の程度と比較して、補体AP媒介性細胞溶解を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。細胞溶解アッセイを用いて、AP媒介性細胞溶解の阻害の程度を判定し得る。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でAP媒介性細胞溶解を阻害する。
【0173】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下における溶血の程度と比較して、補体AP媒介性溶血を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。ウサギ赤血球(RBC)溶血アッセイを用いて、AP媒介性溶血の阻害の程度を判定し得る。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でAP媒介性溶血を阻害する。
【0174】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を阻害する。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物の堆積の量と比較して、細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を阻害する。
【0175】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下における細胞または組織上へのC3b堆積の量と比較して、細胞または組織上へのAP媒介性C3b堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、細胞または組織上へのAP媒介性C3b堆積を阻害する。
【0176】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下におけるRBC上へのC3b堆積の量と比較して、赤血球(RBC)上へのAP媒介性C3b堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、RBC上へのAP媒介性C3b堆積を阻害する。
【0177】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与された場合、当該個体における循環中のBb因子の量を低下させる。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与された場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、当該個体における循環中のBb因子の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。
【0178】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、C3bBb(補体代替経路C3転換酵素)とのH因子(fH)相互作用を阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下におけるC3bBbへのfHの相互作用と比較して、C3bBbとのfH相互作用を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%阻害する。一部の場合において、C3bBbとのfH相互作用を阻害する本開示の抗Bb抗体は、それぞれM4 VH及びVLに存在するVH及びVL CDRを含む。
【0179】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、C3bBb(補体代替経路C3転換酵素)へのH因子(fH)結合を阻害する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、当該抗Bb抗体の非存在下におけるC3bBbへのfHの結合と比較して、C3bBbへのfH結合を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%阻害する。一部の場合において、C3bBbへのfH結合を阻害する本開示の抗Bb抗体は、それぞれM4 VH及びVLに存在するVH及びVL CDRを含む。
【0180】
一部の場合において、C3bBbとのfH相互作用を阻害する本開示の抗Bb抗体は、C3の分解を誘導する。一部の場合において、C3bBbとのfH相互作用を阻害する本開示の抗Bb抗体は、そのような抗体が投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与される場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における体液もしくは組織中のC3の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、当該個体の体液または組織中のC3の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。体液には、例えば血清、血漿、リンパ液、細胞外液、血液等が含まれる。
【0181】
一部の場合において、C3bBbへのfH結合を阻害する本開示の抗Bb抗体は、C3の分解を誘導する。一部の場合において、C3bBbへのfH結合を阻害する本開示の抗Bb抗体は、そのような抗体が投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与される場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における体液もしくは組織中のC3の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、当該個体の体液または組織中のC3の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。体液には、例えば血清、血漿、リンパ液、細胞外液、血液等が含まれる。
【0182】
一部の場合において、C3bBbとのfH相互作用を阻害する本開示の抗Bb抗体は、そのような抗体が、劇症性抗リン脂質症候群を有する個体に1回または複数回の用量で投与される場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における体液もしくは組織中のC3の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、当該個体の体液または組織中のC3の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。
【0183】
一部の場合において、C3bBbへのfH結合を阻害する本開示の抗Bb抗体は、そのような抗体が、劇症性抗リン脂質症候群を有する個体に1回または複数回の用量で投与される場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における体液もしくは組織中のC3の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、当該個体の体液または組織中のC3の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。
【0184】
本開示は、ヒト化される対象となる、実施形態の任意の抗Bb抗体を提供する。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、ヒト化フレームワーク領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、ヒト化軽鎖フレームワーク領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、ヒト化重鎖フレームワーク領域を含む。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、ヒト化軽鎖フレームワーク領域及びヒト化重鎖フレームワーク領域を含む。
【0185】
一部の場合において、対象の抗Bb抗体は、1つまたは複数のヒト化フレームワーク領域(FR)を含む。一部の場合において、対象の抗Bb抗体は、ヒト化されている1つ、2つ、3つ、または4つの軽鎖FRを含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、対象の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:ヒト化軽鎖FR1;本明細書において明記されるCDR−L1;ヒト化軽鎖FR2;本明細書において明記されるCDR−L2;ヒト化軽鎖FR3;本明細書において明記されるCDR−L3;及びヒト化軽鎖FR4、を含む軽鎖可変領域を含む。一部の場合において、CDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3のそれぞれのアミノ酸配列は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:3;SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びSEQ ID NO:11;SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、及びSEQ ID NO:19;ならびにSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:26のうちの1つである。
【0186】
例えば、本開示の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:ヒト化軽鎖FR1;アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むCDR−L1;ヒト化軽鎖FR2;アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むCDR−L2;ヒト化軽鎖FR3;アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むCDR−L3;及びヒト化軽鎖FR4、を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0187】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、ヒト化されている1つ、2つ、3つ、または4つの重鎖FRを含む重鎖可変領域を含む。一部の場合において、対象の抗体は、N末からC末への順序で:ヒト化重鎖FR1;本明細書において明記されるCDR−H1;ヒト化重鎖FR2;本明細書において明記されるCDR−H2;ヒト化重鎖FR3;本明細書において明記されるCDR−H3;及びヒト化重鎖FR4、を含む重鎖可変領域を含む。例えば、対象の抗体は、N末からC末への順序で:ヒト化重鎖FR1;アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むCDR−H1;ヒト化重鎖FR2;アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むCDR−H2;ヒト化重鎖FR3;アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むCDR−H3;及びヒト化重鎖FR4、を含む重鎖可変領域を含み得る。一部の実施形態において、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3のそれぞれのアミノ酸配列は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6;SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22;ならびにSEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29のうちの1つである。
【0188】
例えば、本開示の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:ヒト化重鎖FR1;アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むCDR−L1;ヒト化重鎖FR2;アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むCDR−L2;ヒト化重鎖FR3;アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むCDR−L3;及びヒト化重鎖FR4、を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0189】
一部の実施形態において、ヒト補体Bbタンパク質に結合する本開示の抗Bb抗体は、別の種の補体Bbタンパク質にも結合する。一部の実施形態において、ヒト補体Bbタンパク質に結合する本開示の抗Bb抗体は、非ヒト霊長類補体Bbタンパク質にも結合する。一部の実施形態において、ヒト補体Bbタンパク質に結合する本開示の抗Bb抗体は、齧歯類補体Bbタンパク質にも結合する。齧歯類補体Bbタンパク質の例には、モルモットBbタンパク質、ハムスターBbタンパク質、マウスBbタンパク質、及びラットBbタンパク質が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、そのような交差反応性抗体は、当該抗体がヒト補体Bbタンパク質に結合するのと同程度の桁のK
Dで、別の種の補体Bbタンパク質に結合する。
【0190】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、Ig単量体、または補体Bbタンパク質に結合するその抗原結合フラグメントである。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体はIg単量体である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質に結合する、Ig単量体の抗原結合フラグメントである。
【0191】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、Ig単量体、Fabフラグメント、F(ab’)
2フラグメント、Fdフラグメント、scFv、scAb、dAb、Fv、単一ドメイン重鎖抗体、及び単一ドメイン軽鎖抗体からなる群より選択される。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、一本鎖Fv(scFv)抗体である。
【0192】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、別個のポリペプチドに存在する軽鎖領域及び重鎖領域を含む。
【0193】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、単一ポリペプチドに存在する軽鎖領域及び重鎖領域を含む。
【0194】
一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、単一ポリペプチド鎖に抗Bb重鎖CDR及び抗Bb軽鎖CDRを含み、例えば一部の実施形態において、対象の抗体はscFvである。一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第一のアミノ酸配列;CDR−L1;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第二のアミノ酸配列;CDR−L2;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第三のアミノ酸配列;CDR−L3;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第四のアミノ酸配列;CDR−H1;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第五のアミノ酸配列;CDR−H2;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第六のアミノ酸配列;CDR−H3;及び長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第七のアミノ酸配列、を含む。一部の場合において、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3のそれぞれのアミノ酸配列は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6;SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22;ならびにSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29のうちの1つである。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第一のアミノ酸配列;SEQ ID NO:1に明記されるアミノ酸配列を含むCDR−L1;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第二のアミノ酸配列;SEQ ID NO:2に明記されるアミノ酸配列を含むCDR−L2;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第三のアミノ酸配列;SEQ ID NO:3に明記されるアミノ酸配列を含むCDR−L3;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第四のアミノ酸配列;SEQ ID NO:4に明記されるアミノ酸配列を含むCDR−H1;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第五のアミノ酸配列;SEQ ID NO:5に明記されるアミノ酸配列を含むCDR−H2;長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第六のアミノ酸配列;SEQ ID NO:6に明記されるアミノ酸配列を含むCDR−H3;及び長さが約5アミノ酸〜約25アミノ酸の第七のアミノ酸配列、を含む。
【0195】
一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:軽鎖FR1領域;CDR−L1;軽鎖FR2領域;CDR−L2;軽鎖FR3領域;CDR−L3;任意で軽鎖FR4領域;リンカー領域;任意で重鎖FR1領域;CDR−H1;重鎖FR2領域;CDR−H2;重鎖FR3領域;CDR−H3;及び重鎖FR4領域、を含む。一部の実施形態において、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3のそれぞれのアミノ酸配列は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6;SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22;ならびにSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29のうちの1つである。これらの実施形態の一部において、FR領域の1つまたは複数は、ヒト化FR領域である。これらの実施形態の一部において、FR領域のそれぞれは、ヒト化FR領域である。リンカー領域は、長さが約5アミノ酸(aa)〜約50アミノ酸、例えば長さが約5aa〜約10aa、約10aa〜約15aa、約15aa〜約20aa、約20aa〜約25aa、約25aa〜約30aa、約30aa〜約35aa、約35aa〜約40aa、約40aa〜約45aa、または約45aa〜約50aaであり得る。
【0196】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、N末からC末への順序で:重鎖FR1領域;CDR−H1;重鎖FR2領域;CDR−H2;重鎖FR3領域;CDR−H3;任意で重鎖FR4領域;リンカー;任意で軽鎖FR1領域;CDR−L1;軽鎖FR2領域;CDR−L2;軽鎖FR3領域;CDR−L3;及び軽鎖FR4領域、を含む。一部の実施形態において、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3のそれぞれのアミノ酸配列は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6;SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22;ならびにSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29のうちの1つである。これらの実施形態の一部において、FR領域の1つまたは複数は、ヒト化FR領域である。これらの実施形態の一部において、FR領域のそれぞれは、ヒト化FR領域である。リンカー領域は、長さが約5アミノ酸〜約50アミノ酸、例えば長さが約5aa〜約10aa、約10aa〜約15aa、約15aa〜約20aa、約20aa〜約25aa、約25aa〜約30aa、約30aa〜約35aa、約35aa〜約40aa、約40aa〜約45aa、または約45aa〜約50aaであり得る。
【0197】
対象の抗体との使用に適切なリンカーには、「柔軟なリンカー」が含まれる。存在する場合、リンカー分子は、一般的に、連結された領域間でのいくらかの柔軟な動きを可能にする十分な長さのものである。一部の実施形態において、リンカー分子は、一般的に約6〜50原子長である。リンカー分子は、例えばアリールアセチレン、2〜10個のモノマー単位を含有するエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、またはそれらの組み合わせでもあり得る。ポリペプチドに結合し得る他のリンカー分子が、本開示に照らして用いられ得る。
【0198】
適切なリンカーは容易に選択され得、4アミノ酸〜10アミノ酸、5アミノ酸〜9アミノ酸、6アミノ酸〜8アミノ酸、または7アミノ酸〜8アミノ酸を含めた、1アミノ酸(例えば、Gly)〜20アミノ酸、2アミノ酸〜15アミノ酸、3アミノ酸〜12アミノ酸など、いくつかの適切な長さのいずれかのものであり得、及び1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であり得る。
【0199】
例示的な柔軟なリンカーには、グリシンポリマー(G)
n、グリシン−セリンポリマー(例えば(GS)
n、(GSGGS)
n(SEQ ID NO:75)、及び(GGGS)
n(SEQ ID NO:76)を含み、式中、nは少なくとも1の整数である)、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、及び当技術分野において公知の他の柔軟なリンカーが含まれる。グリシン及びグリシン−セリンポリマーは、これらのアミノ酸の両方とも比較的構造化されておらず、それゆえ構成成分間の中立的拘束として働き得るため、関心対象である。グリシンポリマーは、グリシンがアラニンさえよりも有意にphi−psi空間に接近し、及びより長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されないため、特に関心対象である(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173−142(1992)を参照されたい)。例示的な柔軟なリンカーには、GGSG(SEQ ID NO:77)、GGSGG(SEQ ID NO:78)、GSGSG(SEQ ID NO:79)、GSGGG(SEQ ID NO:80)、GGGSG(SEQ ID NO:81)、GSSSG(SEQ ID NO:82)等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。当業者であれば、上で記載される任意の要素に抱合されるペプチドの設計は、全面的にまたは部分的に柔軟であるリンカーを含み得、それにより当該リンカーは、柔軟なリンカー、ならびに柔軟性の低い構造を付与する1つまたは複数の部分を含み得ることを認識するであろう。
【0200】
一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、scFv多量体を含む。例えば、一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、scFv二量体(例えば、2つの縦列scFv(scFv
2)を含む)、scFv三量体(例えば、3つの縦列scFv(scFv
3)を含む)、scFv四量体(例えば、4つの縦列scFv(scFv
4)を含む)である、または4つを上回る数のscFv(例えば、縦列で)の多量体である。scFv単量体は、長さが約2アミノ酸〜約10アミノ酸(aa)、例えば長さが2aa、3aa、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、または10aaのリンカーを介して縦列で連結され得る。適切なリンカーには、例えば(Gly)
xが含まれ、式中、xは2〜10の整数である。他の適切なリンカーは、上で述べられるものである。一部の実施形態において、上で記載されるように、対象のscFv多量体におけるscFv単量体のそれぞれは、ヒト化されている。
【0201】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、免疫グロブリンの定常領域(例えば、Fc領域)を含む。Fc領域は、存在する場合、ヒトFc領域、または補体系を有する任意の動物由来のFc領域であり得る。一部の実施形態において、Fc領域は、存在する場合、ヒトFc領域である。一部の場合において、Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対するFcのアフィニティーを増加させる1つまたは複数の変異(例えば、アミノ酸置換)を含む;例えば、Monnet et al.(2015)Front.Immunol.6:39を参照されたい。FcRnに対するFcポリペプチドのアフィニティーを増加させるアミノ酸置換の例には、例えばM428L及びN434Sの組み合わせ;M252Y、S254T、及びT256Eの組み合わせが含まれる。定常領域が存在する場合、抗体は、軽鎖及び重鎖定常領域の両方を含有し得る。適切な重鎖定常領域には、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域が含まれる。本明細書において記載される抗体には、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgE、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含めた任意のアイソタイプを含めた、すべてのタイプの定常領域を有する抗体が含まれる。適切な重鎖Fc領域の一例は、ヒトアイソタイプIgG1 Fcである。適切な重鎖Fc領域の別の例は、ヒトアイソタイプIgG2a Fcである。適切な重鎖Fc領域のなお別の例は、ヒトアイソタイプIgG2b Fcである。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであり得る。対象の抗体(例えば、対象のヒト化抗体)は、1種を上回る種類のクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含み得る。抗体は、2本の軽鎖及び2本の重鎖を含有する四量体として、別個の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’、F(ab’)
2、及びFvとして、または重鎖及び軽鎖可変ドメインがスペーサーを通じて連結されている一本鎖抗体として発現され得る。
【0202】
一部の場合において、重鎖領域はアイソタイプIgG4のものである。これらの実施形態の一部において、ヒンジ領域はS241P置換を含む。例えば、Angal et al.(1993)Mol.Immunol.30:105を参照されたい。これらの実施形態の一部において、ヒンジ領域はL236E置換を含む。例えば、Reddy et al.(2000)J.Immunol.164:1925;及びKlechevsky et al.(2010)Blood 116:1685を参照されたい。これらの実施形態の一部において、ヒンジ領域は、S241P置換及びL236E置換を含む。
【0203】
対象の抗体は、カルボキシル末端に遊離チオール(−SH)基を含み得、当該遊離チオール基を用いて、第二のポリペプチド(例えば、対象の抗体を含めた別の抗体)、足場、キャリア等に当該抗体を付着させ得る。
【0204】
一部の実施形態において、対象の抗体は、1つまたは複数の天然に存在しないアミノ酸を含む。一部の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む。適切な天然に存在しないアミノ酸に関しては、例えば米国特許第7,632,924号を参照されたい。天然に存在しないアミノ酸の内包は、ポリマー、第二のポリペプチド、足場等への連結を提供し得る。例えば、水溶性ポリマーに連結された対象の抗体は、カルボニル基を含む水溶性ポリマー(例えば、PEG)を当該抗体に反応させることによって作製され得、当該抗体は、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジド、またはセミカルバジド基を含む天然にコードされないアミノ酸を含む。別の例として、水溶性ポリマーに連結された対象の抗体は、アルキン含有アミノ酸を含む対象の抗体を、アジド部分を含む水溶性ポリマー(例えば、PEG)と反応させることによって作製され得;一部の場合において、アジドまたはアルキン基は、アミド連結を通じてPEG分子に連結される。「天然にコードされないアミノ酸」とは、20種の一般的アミノ酸のうちの1つ、またはピロリシンもしくはセレノシステインではないアミノ酸を指す。「天然にコードされないアミノ酸」という用語と同義的に用いられ得る他の用語は、「天然でないアミノ酸」、「非天然アミノ酸」、「天然に存在しないアミノ酸」、ならびにそれらの様々にハイフンでつながれた及びハイフンでつながれていないバージョンである。「天然にコードされないアミノ酸」という用語には、天然にコードされるアミノ酸(20種の一般的アミノ酸またはピロリシン及びセレノシステインを含むがそれらに限定されない)の修飾(例えば、翻訳後修飾)によって生じるが、翻訳複合体によってそれら自身は成長中のポリペプチド鎖内に天然に組み入れられないアミノ酸も含まれるがそれらに限定されるわけではない。そのような天然に存在しないアミノ酸の例には、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−トレオニン、及びO−ホスホチロシンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0205】
一部の実施形態において、対象の抗体は、ポリマー(例えば、ポリペプチド以外のポリマー)に連結される(例えば、共有結合的に連結される)。適切なポリマーには、例えば生体適合性ポリマー、及び水溶性生体適合性ポリマーが含まれる。適切なポリマーには、合成ポリマー及び天然に存在するポリマーが含まれる。適切なポリマーには、例えば置換型または非置換型の直鎖または分岐鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレン、もしくはポリオキシアルキレンポリマー、または分岐もしくは非分岐多糖、例えばホモもしくはヘテロ多糖が含まれる。適切なポリマーには、例えばエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOHという総称で、またはEVALという商品名で一般に知られる);ポリブチルメタクリレート;ポリ(ヒドロキシバレレート);ポリ(L−乳酸);ポリカプロラクトン;ポリ(ラクチド−コ−グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−バレレート);ポリジオキサノン;ポリオルトエステル;ポリ無水物;ポリ(グリコール酸);ポリ(D,L−乳酸);ポリ(グリコール酸−コ−炭酸トリメチレン);ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリ(アミノ酸);シアノアクリレート;ポリ(炭酸トリメチレン);ポリ(イミノカーボネート);コポリ(エーテル−エステル)(例えば、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(乳酸)(PEO/PLA)コポリマー);シュウ酸ポリアルキレン;ポリホスファゼン;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、及びヒアルロン酸など、生体分子;ポリウレタン;シリコーン;ポリエステル;ポリオレフィン;ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンコポリマー;アクリルポリマー及びコポリマー;ポリ塩化ビニルなど、ハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー;ポリビニルメチルエーテルなど、ポリビニルエーテル;ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデンなど、ハロゲン化ポリビニリデン;ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;ポリスチレンなど、ポリビニル芳香族;ポリ酢酸ビニルなど、ポリビニルエステル;エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン−酢酸ビニルコポリマーなど、互い及びオレフィンとのビニルモノマーのコポリマー;ナイロン66及びポリカプロラクタムなど、ポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;セルロース;酢酸セルロース;酪酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;セロファン;硝酸セルロース;プロピオン酸セルロース;セルロースエーテル;非晶質テフロン(登録商標);ポリ(エチレングリコール);ならびにカルボキシメチルセルロースが含まれる。
【0206】
適切な合成ポリマーには、非置換型及び置換型の直鎖または分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、及びそれらの誘導体、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)などの置換型ポリ(エチレングリコール)、及びそれらの誘導体が含まれる。適切な天然に存在するポリマーには、例えばアルブミン、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、及びそれらの誘導体が含まれる。
【0207】
適切なポリマーは、500Da〜50,000Da、例えば5,000Da〜40,000Da、または25,000〜40,000Daの値域内の平均分子量を有し得る。例えば、一部の実施形態において、対象の抗体がポリ(エチレングリコール)(PEG)またはメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む場合、当該PEGまたはメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーは、約0.5キロダルトン(kDa)〜1kDa、約1kDa〜5kDa、5kDa〜10kDa、10kDa〜25kDa、25kDa〜40kDa、または40kDa〜60kDaの値域内の分子量を有し得る。
【0208】
上述のように、一部の実施形態において、対象の抗体は、非ペプチド性合成ポリマーに共有結合的に連結される。一部の実施形態において、対象の抗体は、PEGポリマーに共有結合的に連結される。一部の実施形態において、対象のscFv多量体は、PEGポリマーに共有結合的に連結される。例えば、Albrecht et al.(2006)J.Immunol.Methods 310:100を参照されたい。タンパク質のPEG化に適切な方法及び試薬は、当技術分野において周知であり、例えば米国特許第5,849,860号に見い出され得る。タンパク質への抱合に適切なPEGは、一般的に室温で水に可溶性であり、一般式R(O−CH
2−CH
2)
nO−Rを有し、式中、Rは水素、またはアルキルもしくはアルカノール基などの保護基であり、式中、nは1〜1,000の整数である。Rが保護基である場合、それは一般的に1〜8個の炭素を有する。
【0209】
一部の実施形態において、対象の抗体に抱合されるPEGは線状である。一部の実施形態において、対象の抗体に抱合されるPEGは分岐している。米国特許第5,643,575号に記載されるものなどの分岐PEG誘導体、Shearwater Polymers,Inc.カタログ「Polyethylene Glycol Derivatives 1997−1998」に記載されるものなどの「星状PEG(star−PEG)」及びマルチアームPEG。星状PEGは、例えば米国特許第6,046,305号を含めて、当技術分野において記載されている。
【0210】
対象の抗体はグリコシル化され得、例えば対象の抗体は、共有結合的に連結された糖質または多糖部分を含み得る。抗体のグリコシル化は、典型的にN−連結型またはO−連結型のいずれかである。N−連結型とは、アスパラギン残基の側鎖への糖質部分の付着を指す。Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニンというトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖質部分の酵素的付着のための認識配列である。ゆえに、ポリペプチドにおけるこれらトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を創出する。O−連結型グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの糖類N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの付着を指すが、とはいえ5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも用いられ得る。
【0211】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、それが上記のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含有するように変更することによって好都合に達成される(N−連結型グリコシル化部位に関して)。変更は、元の抗体の配列への1つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基の付加またはそれらによる置換によってもなされ得る(O−連結型グリコシル化部位に関して)。同様に、グリコシル化部位の除去は、抗体の天然のグリコシル化部位内のアミノ酸変更によって達成され得る。
【0212】
対象の抗体は、一部の実施形態において、「放射線不透過性」標識、例えば、例えばx線を用いて容易に可視化され得る標識を含む。放射線不透過性材料は、当業者に周知である。最も一般的な放射線不透過性材料には、ヨウ化物、臭化物、またはバリウム塩が含まれる。他の放射線不透過性材料も公知であり、有機的ビスマス誘導体(例えば、米国特許第5,939,045号を参照されたい)、放射線不透過性マルチウレタン(米国特許第5,346,981号を参照されたい)、有機ビスマス混成物(例えば、米国特許第5,256,334号を参照されたい)、放射線不透過性バリウム多量体複合体(例えば、米国特許第4,866,132号を参照されたい)等を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0213】
対象の抗体は、例えばグルタルアルデヒド、ホモ二官能性架橋剤、またはヘテロ二官能性架橋剤を用いて、第二の部分(例えば、脂質、対象の抗体以外のポリペプチド、合成ポリマー、糖質等)に共有結合的に連結され得る。グルタルアルデヒドは、それらのアミノ部分を介してポリペプチドを架橋する。ホモ二官能性架橋剤(例えば、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、またはホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤)は、2つまたはそれを上回る数の同一の反応性部分を含有し、連結される対象となるポリペプチドの混合物を含有する溶液に架橋剤が添加される1ステップ反応手順において用いられ得る。ホモ二官能性NHSエステル及びイミドエステルは、アミン含有ポリペプチドを架橋する。弱アルカリpHにおいて、イミドエステルは第一級アミンとのみ反応してイミドアミドを形成し、架橋されたポリペプチドの全体的電荷は影響を受けない。ホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤には、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(DFDNB)、及び1,4−ジ−(3’,2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミドブタン(DPDPB)が含まれる。
【0214】
ヘテロ二官能性架橋剤は、2つまたはそれを上回る数の異なる反応性部分(例えば、アミン反応性部分及びスルフヒドリル反応性部分)を有し、アミンまたはスルフヒドリル反応性部分を介してポリペプチドの一方と架橋され、次いで反応していない部分を介して他方のポリペプチドと反応する。ピリジルジスルフィド架橋剤がそうであるように、多数のヘテロ二官能性ハロアセチル架橋剤が使用可能である。カルボジイミドは、アミンにカルボキシルをカップリングするためのヘテロ二官能性架橋試薬の代表的な例であり、それはアミド結合をもたらす。
【0215】
対象の抗体は、固体支持体に固定され得る。適切な支持体は当技術分野において周知であり、とりわけ、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス製及び/またはシリコン製のチップ及び表面、ニトロセルロースストリップ、ナイロン膜、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレイ(例えば、マルチウェルプレート)のウェル、プラスチックチューブ等を含む。固体支持体は、例えばガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、並びにマグネタイトを含めた、多様な物質のうちのいずれかを含み得る。固体支持体上に対象の抗体を固定するための適切な方法は周知であり、イオン性、疎水性、共有結合性の相互作用等を含むが、それらに限定されるわけではない。固体支持体は、例えば水溶液中に、可溶性または不溶性であり得る。一部の実施形態において、適切な固体支持体は、一般的に水溶液中に不溶性である。
【0216】
対象の抗体は、一部の実施形態において、検出可能な標識を含む。適切な検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段によって検出可能な任意の組成を含む。適切なものには、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、texas red、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質等)、放射性標識(例えば、
3H、
125I、
35S、
14C、または
32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において一般に用いられる他のもの)、及びコロイド金または着色されたガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)製ビーズなどの比色標識が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0217】
一部の実施形態において、対象の抗体は造影剤または放射性同位体を含み、当該造影剤または放射性同位体は、イメージング、例えばヒトに対して行われるイメージング手順における使用に適切であるものである。標識の非限定的な例には、
1231I(ヨウ素)、
18F(フッ素)、
99Tc(テクネチウム)、
111In(インジウム)、及び
67Ga(ガリウム)などの放射性同位体、ならびにガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム、及び鉄などの造影剤が含まれる。放射性Gd同位体(
153Gd)も、非ヒト哺乳類におけるイメージング手順に使用可能であり及び適切である。対象の抗体は、標準的技法を用いて標識され得る。例えば、対象の抗体は、クロラミンTまたは1,3,4,6−テトラクロロ−3α,6α−ジフェニルグリコウリルを用いてヨウ素化され得る。フッ素化に関して、フッ化物イオン置き換え反応による合成の間に、フッ素は対象の抗体に付加される。そのような放射性同位体を有するタンパク質の合成についての総説に関しては、Muller−Gartner,H.,TIB Tech.,16:122−130(1998)及びSaji,H.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.,16(2):209−244(1999)を参照されたい。対象の抗体は、標準的技法により造影剤でも標識され得る。例えば、対象の抗体は、当該抗体に、Gdジエチレントリアミン五酢酸(GdDTPA)またはGdテトラアザシクロドデカン四酢酸(GdDOTA)などの低分子Gdキレートを抱合することによって、Gdで標識され得る。Caravan et al.,Chem.Rev.99:2293−2352(1999)及びLauffer et al.,J.Magn.Reson.Imaging,3:11−16(1985)を参照されたい。対象の抗体は、当該抗体に、例えばポリリジン−Gdキレートを抱合することによって、Gdで標識され得る。例えば、Curtet et al.,Invest.Radiol.,33(10):752−761(1998)を参照されたい。あるいは、対象の抗体は、Gdキレート剤脂質を含む常磁性重合リポソームとアビジン及びビオチン化抗体とをインキュベートすることによって、Gdで標識され得る。例えば、Sipkins et al.,Nature Med.,4:623−626(1998)を参照されたい。
【0218】
適切な蛍光タンパク質には、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはその変種、GFPの青色蛍光変種(BFP)、GFPのシアン蛍光変種(CFP)、GFPの黄色蛍光変種(YFP)、増強GFP(EGFP)、増強CFP(ECFP)、増強YFP(EYFP)、GFPS65T、エメラルド、トパーズ(TYFP)、ビーナス、シトリン、mCitrine、GFPuv、不安定化EGFP(dEGFP)、不安定化ECFP(dECFP)、不安定化EYFP(dEYFP)、mCFPm、セルリアン、T−サファイア、CyPet、YPet、mKO、HcRed、t−HcRed、DsRed、DsRed2、DsRed−単量体、J−Red、dimer2、t−dimer2(12)、mRFP1、ポシロポリン(pocilloporin)、ウミシイタケ(Renilla)GFP、モンスター(Monster)GFP、paGFP、カエデタンパク質及びキンドリング(kindling)タンパク質、B−フィコエリスリン、R−フィコエリスリン、及びアロフィコシアニンを含めたフィコビリタンパク質及びフィコビリタンパク質抱合体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。蛍光タンパク質の他の例には、mHoneydew、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mGrape1、mRaspberry、mGrape2、mPlum(Shaner et al.(2005)Nat.Methods 2:905−909)等が含まれる。例えばMatz et al.(1999)Nature Biotechnol.17:969−973に記載されるように、花虫類種由来の多様な蛍光及び着色タンパク質のいずれかは、使用に適切である。
【0219】
一部の実施形態において、対象の抗体は治療用作用物質に抱合される。本明細書において開示される対象の抗体のいずれかを用いて、抗体−作用物質抱合体を形成し得る。作用物質は、軽鎖のN末、軽鎖のC末、重鎖のN末、または重鎖のC末に付着され得る。一部の実施形態において、作用物質は、抗体のヒンジにまたは抗体の1つもしくは複数の他の部位に付着される。一本鎖抗体に関して、作用物質は、一本鎖抗体のNまたはC末に付着され得る。作用物質は、当業者に公知の技法を用いて、直接的にまたはリンカーを介して抗体に抱合され得る。リンカーは切断可能または切断不能であり得る。そのような治療用作用物質(例えば、療法における使用のための)の例は、当業者に公知である。
【0220】
対象の抗体は、一部の実施形態において、融合パートナー、例えばリガンド;エピトープタグ;ペプチド;抗体以外のタンパク質等に連結される(例えば、共有結合的または非共有結合的に連結される)。適切な融合パートナーには、インビボでの増強した安定性(例えば、増強した血清半減期)を付与するペプチド及びポリペプチド;精製の容易さを提供するペプチド及びポリペプチド、例えば(His)
n、例えば6His等;細胞からの融合タンパク質の分泌を提供するペプチド及びポリペプチド;エピトープタグを提供するペプチド及びポリペプチド、例えばGST、ヘマグルチニン(HA;例えば、YPYDVPDYA;SEQ ID NO:83)、FLAG(例えば、DYKDDDDK;SEQ ID NO:84)、c−myc(例えば、EQKLISEEDL;SEQ ID NO:85)等;検出可能なシグナルを提供するペプチド及びポリペプチド、例えば検出可能な産物を生成する酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ)、またはそれ自身が検出可能であるタンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質等;多量体化を提供するペプチド及びポリペプチド、例えば免疫グロブリンのFc部分などの多量体化ドメイン;等が含まれる。
【0221】
融合体は、同定または精製に有用な結合パートナー、例えば固体支持体に固定されたものなど、と相互作用し得るペプチド配列を含むアフィニティードメインも含み得る。ヒスチジンなどの連続した単一アミノ酸は、タンパク質に融合された場合、ニッケルセファロースなどの樹脂カラムへの高アフィニティー結合によって、融合タンパク質の1ステップ精製に用いられ得る。例示的なアフィニティードメインには、His5(HHHHH)(SEQ ID NO:86)、His×6(HHHHHH)(SEQ ID NO:87)、C−myc(EQKLISEEDL)(SEQ ID NO:88)、Flag(DYKDDDDK)(SEQ ID NO:85)、StrepTag(WSHPQFEK)(SEQ ID NO:89)、ヘマグルチニン、例えばHAタグ(YPYDVPDYA;SEQ ID NO:90)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、RYIRS(SEQ ID NO:91)、Phe−His−His−Thr(SEQ ID NO:92)、キチン結合ドメイン、S−ペプチド、T7ペプチド、SH2ドメイン、C末端RNAタグ、WEAAAREACCRECCARA(SEQ ID NO:93)、金属結合ドメイン、例えば亜鉛結合ドメイン、またはカルシウム結合タンパク質、例えばカルモジュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン軽鎖、リカバリン、S−モジュリン、ビジニン、VILIP、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フリクエニン、カルトラクチン、カルパイン大サブユニット、S100タンパク質、パルブアルブミン、カルビンジンD9K、カルビンジンD28K、及びカルレチニン由来のものなどのカルシウム結合ドメイン、インテイン、ビオチン、ストレプトアビジン、MyoD、ロイシンジッパー配列、ならびにマルトース結合タンパク質が含まれる。
【0222】
一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、血液脳関門(BBB)の横断を促す作用物質とともに製剤化される。一部の実施形態において、抗体は、BBBの横断を促進する化合物に、直接的にまたはリンカーを通じて融合される。そのような化合物の例には、キャリア分子、ペプチド、またはタンパク質が含まれるが、それらに限定されるわけではない。本開示の抗Bb抗体は、一部の実施形態において、内因性BBB受容体に結合するポリペプチドに融合される。内因性BBB受容体に結合するポリペプチドに本開示の抗Bb抗体を連結することは、例えば投与を必要としている個体への本開示の抗Bb抗体の投与を伴う対象の治療法(下記を参照されたい)において、BBBの横断を促す。内因性BBB受容体に結合する適切なポリペプチドには、内因性BBB受容体に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントが含まれる。適切な内因性BBB受容体には、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、レプチン受容体、リポタンパク質受容体、及びインスリン様成長因子受容体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、米国特許公報第2009/0156498号を参照されたい。
【0223】
一例として、対象の抗Bb抗体は、補体Bbタンパク質におけるエピトープに特異的に結合する第一の抗原結合部分;及び内因性BBB受容体に結合する第二の抗原結合部分を含む二重特異性抗体であり得る。例えば、ある場合には、対象の抗Bb抗体は、Bbタンパク質におけるエピトープに特異的に結合する第一の抗原結合部分;及びトランスフェリン受容体に結合する第二の抗原結合部分を含む二重特異性抗体である。
【0224】
例えば、本開示の抗Bb抗体は、BBBの横断を促すペプチドに融合され得、当該ペプチドは、約15アミノ酸〜約25アミノ酸の長さを有し、及び以下のペプチド:Angiopep−1(TFFYGGCRGKRNNFKTEEY)(SEQ ID NO:93);Angiopep−2(TFFYGGSRGKRNNFKTEEY)(SEQ ID NO:94);cys−Angiopep−2(CTFFYGGSRGKRNNFKTEEY)(SEQ ID NO:95);Angiopep−2−cys(TFFYGGSRGKRNNFKTEEYC)(SEQ ID NO:96);及びアプロチニンフラグメント(TFVYGGCRAKRNNFKS)(SEQ ID NO:97)のうちの1つと少なくとも約85%アミノ酸配列同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、米国特許公報第2011/0288011号;及び第2009/0016959号を参照されたい。BBBの横断を促すペプチドは、抗Bb軽鎖領域のN末に、抗Bb軽鎖領域のC末に、抗Bb重鎖領域のN末に、抗Bb重鎖領域のC末に、対象の抗Bb一本鎖抗体のN末に、対象の抗Bb一本鎖抗体のC末等に融合され得る。
【0225】
一部の実施形態において、対象の抗体はポリアミン修飾を含む。対象の抗体のポリアミン修飾は、BBBにおける修飾された抗体の透過性を増強する。対象の抗体は、天然に存在するまたは合成であるポリアミンで修飾され得る。例えば、米国特許第5,670,477号を参照されたい。有用な天然に存在するポリアミンには、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、1,3−ジアミノプロパン、ノルスペルミジン、syn−ホモスペルミジン、サーミン(thermine)、サーモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、及びカナバルミンが含まれる。プトレシン、スペルミジン、及びスペルミンは特に有用である。合成ポリアミンは、経験的な式C
XH
YN
Zから構成され、1〜6個のNRまたはN(R)
2部分をさらに含む、環式または非環式の、分岐または非分岐の、3〜12個の炭素原子の炭水化物鎖であり得、式中、RはH、(C
1−C
4)アルキル、フェニル、またはベンジルである。ポリアミンは、任意の標準的架橋法を用いて抗体に連結され得る。
【0226】
一部の実施形態において、対象の抗体は糖質部分を含むように修飾され、当該糖質部分は当該抗体に共有結合的に連結され得る。一部の実施形態において、対象の抗体は脂質部分を含むように修飾され、当該脂質部分は当該抗体に共有結合的に連結され得る。適切な脂質部分には、例えば、N−ラウロイル、N−オレオイルなどのN−脂肪アシル基;ドデシルアミン、オレイルアミンなどの脂肪アミン;C3−C16長鎖脂肪族脂質;等が含まれる。例えば、米国特許第6,638,513号を参照されたい。一部の実施形態において、対象の抗体は、リポソーム内に組み入れられる(例えば、カプセル化される)。
【0227】
対象の抗体を産生する方法
対象の抗体(本開示の抗Bb抗体)は、任意の公知の方法、例えばタンパク質合成のための従来的合成法;組換えDNA法;等によって産生され得る。一部の実施形態において、対象の抗体は、組換え産生及び化学的合成からなる群より選択される方法によって産生される。
【0228】
対象の抗体が一本鎖ポリペプチドである場合、それは、標準的な化学的ペプチド合成技法を用いて合成され得る。ポリペプチドが化学的に合成される場合、合成は、液相または固相により進み得る。配列のC末アミノ酸が不溶性支持体に付着され、その後に配列における残りのアミノ酸の逐次的付加が続く固相ポリペプチド合成(SPPS)は、対象の抗体の化学的合成のための適切な方法の一例である。Fmoc及びBocなど、SPPSの様々な形態が、対象の抗体を合成するために使用可能である。固相合成のための技法は、Barany and Merrifield,Solid−Phase Peptide Synthesis;pp.3−284,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.Vol.2:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,et al.J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2156(1963);Stewart et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);ならびにGanesan A.2006 Mini Rev.Med Chem.6:3−10及びCamarero JA et al.2005 Protein Pept Lett.12:723−8によって記載されている。簡潔には、小さな不溶性の多孔質ビーズを、その上にペプチド鎖が構築される機能ユニットで処理する。カップリング/脱保護の反復サイクルの後、付着された固相の遊離N末アミンを、単一のN−保護されたアミノ酸ユニットにカップリングする。次いで、このユニットを脱保護し、さらなるアミノ酸が付着され得る新たなN末アミンが曝露される。ペプチドは依然として固相に固定されたままであり、切断されて外れる前に濾過工程を経る。
【0229】
標準的な組換え法が、対象の抗体の産生に用いられ得る。例えば、任意で定常領域に連結された、軽鎖及び重鎖可変領域をコードする核酸を発現ベクター内に挿入する。軽鎖及び重鎖は、同じまたは異なる発現ベクター内にクローニングされ得る。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする、発現ベクター(複数可)における制御配列に作動的に連結される。発現制御配列には、プロモーター(例えば、天然に関連するまたは異種のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント、リプレッサーエレメント、及び転写終結配列が含まれるが、それらに限定されるわけではない。発現制御配列は、真核生物宿主細胞(例えば、COSまたはCHO細胞)を形質転換し得るまたはトランスフェクトし得るベクターにおける真核生物プロモーターシステムであり得る。いったんベクターが適当な宿主内に組み入れられると、当該宿主は、ヌクレオチド配列の高レベルの発現、ならびに抗体の回収及び精製に適切な条件下で維持される。
【0230】
コードの縮重が理由で、多様な核酸配列が各免疫グロブリンアミノ酸配列をコードし得る。所望の核酸配列は、デノボ固相DNA合成によって、または所望のポリヌクレオチドのそれより前に調製された変種のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)突然変異誘発によって産生され得る。オリゴヌクレオチド媒介性突然変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの置換、欠失、及び挿入変種を調製するための適切な方法の一例である。Adelman et al.,DNA 2:183(1983)を参照されたい。簡潔には、一本鎖DNA鋳型に所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることによって、標的ポリペプチドDNAを変更する。ハイブリダイゼーションの後、DNAポリメラーゼを用いて、オリゴヌクレオチドプライマーを組み入れ及び標的ポリペプチドDNAにおける選択された変更をコードする、鋳型の第二の相補鎖全体を合成する。
【0231】
適切な発現ベクターは、典型的に、エピソームとしてまたは宿主染色体DNAの不可欠な部分として、宿主生物において複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列を形質転換されたそうした細胞の検出を可能にする、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性、またはネオマイシン耐性)を含有する。
【0232】
Escherichia coliは、対象の抗体をコードするポリヌクレオチドをクローニングするために用いられ得る原核生物宿主細胞の一例である。使用に適切な他の微生物宿主には、Bacillus subtilisなどのbacillus、ならびにSalmonella、Serratia、及び様々なPseudomonas種など、他のenterobacteriaceaeが含まれる。これらの原核生物宿主において、当該宿主細胞と適合する発現制御配列(例えば、複製の起点)を典型的に含有する発現ベクターも作製し得る。加えて、ラクトースプロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、ベータ−ラクタマーゼプロモーターシステム、またはラムダファージ由来のプロモーターシステムなど、いくつもの多様な周知のプロモーターが存在する。プロモーターは、任意でオペレーター配列とともに、典型的に発現を制御し、転写及び翻訳を始動し及び完了するためのリボソーム結合部位配列等を有する。
【0233】
酵母などの他の微生物も発現に有用である。所望される発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製の起点、終結配列等を有する適切なベクターとともに、Saccharomyces(例えば、S.cerevisiae)及びPichiaは、適切な酵母宿主細胞の例である。典型的なプロモーターには、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の糖分解酵素が含まれる。誘導性酵母プロモーターには、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、ならびにマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素由来のプロモーターが含まれる。
【0234】
微生物に加えて、哺乳動物細胞(例えば、インビトロ細胞培養で成長した哺乳動物細胞)を用いても、本開示の抗Bb抗体(例えば、対象の抗Bb抗体をコードするポリヌクレオチド)を発現し得及び産生し得る。Winnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)を参照されたい。適切な哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞株、様々なCos細胞株、HeLa細胞、骨髄腫細胞株、及び形質転換B細胞またはハイブリドーマが含まれる。これらの細胞に対する発現ベクターは、複製の起点、プロモーター、及びエンハンサーなどの発現制御配列(Queen et al.,Immunol.Rev.89:49(1986))、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列などの必要なプロセシング情報部位を含み得る。適切な発現制御配列の例は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルス等に由来するプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149(1992)を参照されたい。
【0235】
いったん合成されると(化学的にまたは組換え的にのいずれかで)、抗体全体、それらの二量体、個々の軽鎖及び重鎖、または対象の抗体の他の形態(例えば、scFv等)は、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動等を含めた、当技術分野の標準的手順に従って精製され得る(全般的に、Scopes,Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.,(1982)を参照されたい)。対象の抗体は、実質的に純粋であり得、例えば少なくとも約80%〜85%純粋、少なくとも約85%〜90%純粋、少なくとも約90%〜95%純粋、または98%〜99%もしくはそれを上回って純粋であり得、例えば細胞残屑、対象の抗体以外の高分子などの混入物を不含であり得る。
【0236】
組成物
本開示は、本開示の抗Bb抗体を含む組成物を提供する。対象の抗体組成物は、対象の抗体に加えて、塩、例えばNaCl、MgCl
2、KCl、MgSO
4等;緩衝剤、例えばTrisバッファー、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス[ヒドロキシメチル]メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)等;可溶化剤;界面活性剤、例えばTween−20などの非イオン性界面活性剤;プロテアーゼ阻害剤;グリセロール;等のうちの1種または複数種を含み得る。
【0237】
核酸分子、発現ベクター、及び宿主細胞
本開示は、本開示の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
【0238】
一部の実施形態において、本開示の核酸は、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:23、及びSEQ ID NO:30からなる群より選択されるアミノ酸配列と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%アミノ酸配列同一である軽鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、本開示の核酸は、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:23、及びSEQ ID NO:30からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0239】
一部の実施形態において、本開示の核酸は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:24、及びSEQ ID NO:31からなる群より選択されるアミノ酸配列と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%アミノ酸配列同一である重鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、本開示の核酸は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:24、及びSEQ ID NO:31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0240】
一部の実施形態において、本開示の核酸は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:3;SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びSEQ ID NO:11;SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、及びSEQ ID NO:19;ならびにSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:2、及びSEQ ID NO:26のうちの1つでのCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0241】
一部の実施形態において、本開示の核酸は、以下の組み合わせ:SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:6;SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、及びSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、及びSEQ ID NO:22;SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、及びSEQ ID NO:29のうちの1つでのCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0242】
一部の実施形態において、本開示の核酸は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む対象の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0243】
対象の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、意図される標的細胞(例えば、コードされた抗体を合成するように遺伝子改変されている細胞)において当該ヌクレオチド配列の発現を可能にする、プロモーター及びエンハンサーなど、1種または複数種の調節エレメントに作動的に連結され得る。
【0244】
適切なプロモーター及びエンハンサーエレメントは、当技術分野において公知である。原核生物宿主細胞における使用のための適切なプロモーターには、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター;T3プロモーター;T5プロモーター;ラムダPプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えばlac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーター等;gptプロモーター;araBADプロモーター;ssaGプロモーターまたは関連プロモーターなど、インビボ調節プロモーター(例えば、米国特許公報第20040131637号を参照されたい)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller,J.Bacteriol.,1991:173(1):86−93;Alpuche−Aranda et al.,PNAS,1992;89(21):10079−83)、nirBプロモーター(Harborne et al.(1992)Mol.Micro.6:2805−2813)、及び同類のもの(例えば、Dunstan et al.(1999)Infect.Immun.67:5133−5141;McKelvie et al.(2004)Vaccine 22:3243−3255;及びChatfield et al.(1992)Biotechnol.10:888−892を参照されたい);sigma70プロモーター、例えばコンセンサスsigma70プロモーター(例えば、GenBankアクセッション番号AX798980、AX798961、及びAX798183を参照されたい);定常期プロモーター、例えばdpsプロモーター、spvプロモーター等;病原性島SPI−2に由来するプロモーター(例えば、WO96/17951を参照されたい);actAプロモーター(例えば、Shetron−Rama et al.(2002)Infect.Immun.70:1087−1096を参照されたい);rpsMプロモーター(例えば、Valdivia and Falkow(1996).Mol.Microbiol.22:367を参照されたい);tetプロモーター(例えば、Hillen,W.and Wissmann,A.(1989)In Saenger,W.and Heinemann,U.(eds),Topics in Molecular and Structural Biology,Protein−Nucleic Acid Interaction.Macmillan,London,UK,Vol.10,pp.143−162);SP6プロモーター(例えば、Melton et al.(1984)Nucl.Acids Res.12:7035を参照されたい);等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。Escherichia coliなどの原核生物における使用のための適切な強力なプロモーターには、Trc、Tac、T5、T7、及びP
ラムダが含まれるが、それらに限定されるわけではない。細菌宿主細胞における使用のためのオペレーターの非限定的な例には、ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質は、ラクトースと接触した場合に立体構造を変化させ、それによって、LacIリプレッサータンパク質がオペレーターに結合するのを阻止する)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合した場合、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合する立体構造を有し;トリプトファンの非存在下では、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合しない立体構造を有する)、及びtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25を参照されたい)が含まれる。
【0245】
一部の実施形態において、例えば酵母細胞における発現に関して、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどの構成的プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、及びAOX1(例えば、Pichiaにおける使用のための)などの調節可能なプロモーターである。
【0246】
真核細胞における発現に関して、適切なプロモーターには、軽鎖及び/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーター及びエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス前初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;初期及び後期SV40プロモーター;レトロウイルス由来の長い末端反復に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン−Iプロモーター;ならびに当技術分野において公知の様々な組織特異的プロモーターが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0247】
適当なベクター及びプロモーターの選択は、十分当業者のレベルの範囲内にある。
【0248】
対象の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、発現ベクター及び/またはクローニングベクター内に存在し得る。本開示は、クローニングベクター内に対象の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、組換えベクターを提供する。本開示は、コードされた抗体の発現を確実にするために、発現ベクターにおける適当な調節配列(複数可)に作動的に連結された、対象の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、組換え分子も提供する。対象の抗体が2つの別個のポリペプチドを含む場合、当該2つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸を、同じまたは別個のベクター内にクローニングして、1つまたは複数の組換えベクターを形成し得る。組換えベクターは、選択可能マーカー、複製の起点、ならびに当該組換えベクターの複製及び/または維持を提供する他の特質を含み得る。
【0249】
多数の適切なベクター及びプロモーターが当業者に公知であり;対象の組換え分子を生成するために、多くのものが市販されている。以下のベクターは、例として提供される。細菌性:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene,La Jolla,Calif.,USA);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、及びpRIT5(Pharmacia,Uppsala,Sweden)。真核性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVL(Pharmacia)。
【0250】
発現ベクターは、一般的に、プロモーター配列の付近に位置する好都合な制限部位を有して、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供する。発現宿主において作動的な選択可能なマーカーが存在し得る。適切な発現ベクターにはウイルスベクターが含まれるが、それらに限定されるわけではない。ウイルスベクターの例には、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994;Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999;Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995;Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999;WO94/12649;WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984;及びWO95/00655を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al.,Hum Gene Ther 9:81 86,1998;Flannery et al.,PNAS 94:6916 6921,1997;Bennett et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863,1997;Jomary et al.,Gene Ther 4:683 690,1997,Rolling et al.,Hum Gene Ther 10:641 648,1999;Ali et al.,Hum Mol Genet 5:591 594,1996;Srivastava,WO93/09239;Samulski et al.,J.Vir.(1989)63:3822−3828;Mendelson et al.,Virol.(1988)166:154−165;及びFlotte et al.,PNAS(1993)90:10613−10617を参照されたい);SV40;単純ヘルペスウイルス、に基づくウイルスベクター;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス)、及びラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al.,PNAS 94:10319 23,1997;Takahashi et al.,J Virol 73:7812 7816,1999を参照されたい)、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳癌ウイルスなど、レトロウイルスに由来するベクター;等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0251】
上述のように、対象の核酸は、本開示の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、対象の核酸は、対象の抗体の重鎖及び軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含み、当該CDRコード配列には、FRコードヌクレオチド配列が散在している。一部の実施形態において、FRコードヌクレオチド配列は、ヒトFRコードヌクレオチド配列である。
【0252】
宿主細胞
本開示は、対象の核酸で遺伝子改変されている、単離された遺伝子改変宿主細胞(例えば、インビトロ細胞)を提供する。本開示は、対象の組換え発現ベクター(複数可)(本開示の抗Bb抗体をコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸を含む)で遺伝子改変されている、単離された遺伝子改変宿主細胞(例えば、インビトロ細胞)を提供する。一部の実施形態において、対象の単離された遺伝子改変宿主細胞は、対象の抗体を産生し得る。そのような細胞は、組換え細胞または遺伝子改変細胞または遺伝子改変宿主細胞と称される。組換え細胞は、対象の抗体をコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む組換え核酸(複数可)(例えば、組換え発現ベクター)を含む。
【0253】
適切な宿主細胞には、哺乳動物細胞、昆虫宿主細胞、酵母細胞などの真核生物宿主細胞;及び細菌細胞などの原核細胞が含まれる。宿主細胞内への対象の核酸の導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、リポソーム媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、または他の公知の方法によってもたらされ得る。
【0254】
適切な哺乳動物細胞には、初代細胞及び不死化細胞株が含まれる。適切な哺乳動物細胞株には、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、齧歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株等が含まれる。適切な哺乳動物細胞株には、HeLa細胞(例えば、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)番号CCL−2)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL−1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL−1658)、Huh−7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS−7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の場合において、細胞はHEK細胞である。一部の場合において、細胞はCHO細胞、例えばCHO−K1細胞(ATCC番号CCL−61)、CHO−M細胞、CHO−DG44細胞(ATCC番号PTA−3356)等である。一部の実施形態において、宿主細胞はCOS細胞である。一部の実施形態において、宿主細胞は293細胞である。一部の実施形態において、宿主細胞はCHO細胞である。
【0255】
適切な酵母細胞には、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia種、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces種、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces種、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium種、Fusarium gramineum、Fusarium venenatum、Neurospora crassa、Chlamydomonas reinhardtii等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、宿主細胞はSaccharomycesである。一部の実施形態において、宿主細胞はPichiaである。
【0256】
適切な原核細胞には、Escherichia coli、Bacillus(例えば、B.subtilis)、Lactobacillus種等の多様な実験室系統のいずれかが含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、Carrier et al.(1992)J.Immunol.148:1176−1181;米国特許第6,447,784号;及びSizemore et al.(1995)Science 270:299−302を参照されたい。典型的に、実験室系統は非病原性であるものである。一部の実施形態において、宿主細胞はEscherichia coliである。一部の実施形態において、宿主細胞はBacillus subtilisである。
【0257】
薬学的組成物
本開示は、本開示の抗Bb抗体を含む薬学的組成物を含めた、組成物を提供する。一般的に、本明細書において製剤とも称される薬学的組成物は、有効量の対象の抗体を含む。「有効量」とは、所望の結果、例えば補体媒介性疾患または障害と関連した有害な症状の低下、補体媒介性疾患または障害の症状の改善、補体媒介性疾患または障害の進行を遅らせること等、をもたらすのに十分な投薬量を意味する。一般的に、所望の結果は、対照と比較した、補体媒介性疾患または障害の症状の少なくとも低下である。一部の実施形態において、対象の抗体は、当該抗体が血液脳関門を横断するのを可能にするように製剤化される及び/または改変される。一部の実施形態において、対象の抗体は、血液脳関門を回避するような様式で送達される。一部の実施形態において、本開示の抗Bb抗体は、血液脳関門の横断を促す作用物質とともに製剤化される。一部の実施形態において、対象の抗体は、血液脳関門の横断を促進する化合物に、直接的にまたはリンカーを通じて融合される。
【0258】
製剤
本開示の方法において、本開示の抗Bb抗体は、所望の治療的効果または診断的効果をもたらし得る任意の好都合な手段を用いて、宿主に投与され得る。ゆえに、抗Bb抗体は、治療的投与のための多様な製剤に組み入れられ得る。より特に、対象の抗体は、適当な、薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容される希釈剤、または他の薬学的に許容される賦形剤との組み合わせによって薬学的組成物中に製剤化され得、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射液、吸入剤、及びエアロゾルなど、固体、半固体、液体、または気体の形態で調製物中に製剤化され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、対象の抗体及び薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0259】
薬学的剤形において、対象の抗体は、それらの薬学的に許容される塩の形態で投与され得る、またはそれらは、単独で、もしくは他の薬学的活性化合物との適当な結び付きならびにそれとの組み合わせでも用いられ得る。以下の方法及び賦形剤は例示的なものにすぎず、決して限定的なものではない。
【0260】
経口調製物に関して、対象の抗体を、単独で、または適当な添加物との、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、もしくはジャガイモデンプンなどの従来的添加物と;結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプン、もしくはゼラチンなどの結合剤と;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤と;タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と;ならびに所望の場合には、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、及び香味剤との組み合わせで用いて、錠剤、粉末、顆粒、またはカプセルを作製し得る。
【0261】
対象の抗体は、植物油または他の同様の油、プロピレングリコール、合成脂肪酸グリセリド、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステルなどの水性または非水性溶媒中に;所望の場合には、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、及び防腐剤などの従来的添加物とともに、当該抗体を溶解する、懸濁する、または乳化することによって、注射のための調製物中に製剤化され得る。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、体液及び栄養素補給剤、電解質補給剤(リンゲルのデキストロースに基づくものなど)等が含まれる。さらに、本開示の薬学的組成物は、当該薬学的組成物の意図される用途に応じて、ドーパミンまたは精神薬理学的薬物など、さらなる作用物質を含み得る。
【0262】
対象の抗体を含む薬学的組成物は、所望の程度の純度を有する対象の抗体と、任意選択の生理学的に許容されるキャリア、他の賦形剤、安定剤、界面活性剤、バッファー、及び/または等張化剤とを混合することによって調製される。許容されるキャリア、他の賦形剤、及び/または安定剤は、採用される投薬量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、及びクエン酸を含めた抗酸化物質;防腐剤(エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、p−クロル−m−クレゾール、メチルもしくはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、またはそれらの組み合わせ);アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン、及びそれらの組み合わせなどのアミノ酸;単糖、二糖、及び他の糖質;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;ゼラチンもしくは血清アルブミンなどのタンパク質;EDTAなどのキレート剤;トレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N−メチルグルコサミン、ガラクトサミン、及びノイラミン酸などの糖類;及び/またはTween、Brij、Pluronic、Triton−X、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0263】
薬学的組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成された液体形態にあり得、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液で再構成されるべきである。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的手順は、ある容積の純水(典型的に、凍結乾燥中に除去された容積と同等)を加え戻すことであるが;しかしながら、非経口投与のための薬学的組成物の産生には、抗細菌剤を含む溶液が用いられ得る;Chen(1992)Drug Dev Ind Pharm 18,1311−54も参照されたい。
【0264】
対象の薬学的組成物における例示的な抗体濃度は、約1mg/mL〜約200mg/mL、または約50mg/mL〜約200mg/mL、または約150mg/mL〜約200mg/mLに及び得る。
【0265】
抗体の水性製剤は、例えば約4.0〜約7.0、または約5.0〜約6.0、あるいは約5.5に及ぶpHで、pH緩衝溶液中に調製され得る。この値域内のpHに適切であるバッファーの例には、ホスフェート、ヒスチジン、シトレート、スクシネート、アセテートバッファー、及び他の有機酸バッファーが含まれる。バッファー濃度は、例えばバッファー、及び製剤の所望の張性に応じて、約1mM〜約100mMまたは約5mM〜約50mMであり得る。
【0266】
製剤の張性を変調するために、等張化剤が抗体製剤中に含まれ得る。例示的な等張化剤には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、及びアミノ酸、糖類の群からの任意の構成成分、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態において、水性製剤は等張性であるが、とはいえ高張性または低張性溶液は適切であり得る。「等張性」という用語は、生理学的塩溶液または血清など、それが比較されるある他の溶液と同じ張性を有する溶液を表す。等張化剤は、約5mM〜約350mMの量で、例えば100mM〜350nMの量で用いられ得る。
【0267】
製剤化された抗体の凝集を低下させる、及び/または製剤中での微粒子の形成を最小限に抑える、及び/または吸着を低下させるために、界面活性剤も抗体製剤中に添加され得る。例示的な界面活性剤には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton−X)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が含まれる。適切なポリオキシエチレンソルビタン−脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート20(Tween20(商標)という商標の下で販売される)及びポリソルベート80(Tween80(商標)という商標の下で販売される)である。適切なポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer188(商標)という名前の下で販売されるものである。適切なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、Brij(商標)という商標の下で販売されるものである。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%〜約1%w/vに及び得る。
【0268】
不安定な活性成分(例えば、タンパク質)を、凍結乾燥工程の間の安定性を損なう条件から保護するために、溶解保護剤(lyoprotectant)も添加され得る。例えば、公知の溶解保護剤には、糖類(グルコース及びスクロースを含む);ポリオール(マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールを含む);及びアミノ酸(アラニン、グリシン、及びグルタミン酸を含む)が含まれる。溶解保護剤は、約10mM〜500nMの量で含まれ得る。
【0269】
一部の実施形態において、対象の製剤は、対象の抗体、及び上で同定される作用物質(例えば、界面活性剤、バッファー、安定剤、等張化剤)のうちの1種または複数種を含み、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、p−クロル−m−クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及びそれらの組み合わせなど、1種または複数種の防腐剤を本質的に不含である。他の実施形態において、防腐剤は、例えば約0.001〜約2%(w/v)に及ぶ濃度で、製剤中に含まれる。
【0270】
例えば、対象の製剤は、非経口投与に適切な液体製剤または凍結乾燥製剤であり得、約1mg/mL〜約200mg/mLの対象の抗体;約0.001%〜約1%の少なくとも1種の界面活性剤;約1mM〜約100mMのバッファー;任意で、約10mM〜約500mMの安定剤;及び約5mM〜約305mMの等張化剤を含み得、約4.0〜約7.0のpHを有する。
【0271】
別の例として、対象の非経口製剤は、約1mg/mL〜約200mg/mLの対象の抗体;0.04%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMスクロースを含む液体製剤または凍結乾燥製剤であり、5.5のpHを有する。
【0272】
別の例として、対象の非経口製剤は、1)15mg/mLの対象の抗体;0.04%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMスクロースを含み、5.5のpHを有する;または2)75mg/mLの対象の抗体;0.04%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMスクロースを含み、5.5のpHを有する;または3)75mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMスクロースを含み、5.5のpHを有する;または4)75mg/mLの対象の抗体;0.04%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMトレハロースを含み、5.5のpHを有する;または5)75mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMトレハロースを含み、5.5のpHを有する、凍結乾燥製剤を含む。
【0273】
別の例として、対象の非経口製剤は、1)7.5mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;120mM L−ヒスチジン;及び250 125mMスクロースを含み、5.5のpHを有する;または2)37.5mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;10mM L−ヒスチジン;及び125mMスクロースを含み、5.5のpHを有する;または3)37.5mg/mLの対象の抗体;0.01%Tween20w/v;10mM L−ヒスチジン;及び125mMスクロースを含み、5.5のpHを有する;または4)37.5mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;10mM L−ヒスチジン;125mMトレハロースを含み、5.5のpHを有する;または5)37.5mg/mLの対象の抗体;0.01%Tween20w/v;10mM L−ヒスチジン;及び125mMトレハロースを含み、5.5のpHを有する;または6)5mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMトレハロースを含み、5.5のpHを有する;または7)75mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMマンニトールを含み、5.5のpHを有する;または8)75mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM Lヒスチジン;及び140mM塩化ナトリウムを含み、5.5のpHを有する;または9)150mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMトレハロースを含み、5.5のpHを有する;または10)150mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び250mMマンニトールを含み、5.5のpHを有する;または11)150mg/mLの対象の抗体;0.02%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び140mM塩化ナトリウムを含み、5.5のpHを有する;または12)10mg/mLの対象の抗体;0.01%Tween20w/v;20mM L−ヒスチジン;及び40mM塩化ナトリウムを含み、5.5のpHを有する、液体製剤である。
【0274】
対象の抗体は、吸入により投与される対象となるエアロゾル製剤において利用され得る。対象の抗体は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など、許容される加圧推進剤中に製剤化され得る。鼻腔用スプレー製剤などのエアロゾル製剤は、防腐剤及び等張剤とともに、活性作用物質の精製された水溶液または他の溶液を含む。そのような製剤は、鼻粘膜と適合するpH及び等張状態に調整される。
【0275】
さらに、対象の抗体は、乳化基剤または水溶性基剤などの多様な基剤と混合することによって、坐薬中に作製され得る。対象の抗体は、坐薬を介して直腸に投与され得る。坐薬は、体温で融解するが室温では固化している、ココアバター、カーボワックス、及びポリエチレングリコールなどのビヒクルを含み得る。
【0276】
シロップ、エリキシル剤、及び懸濁液など、経口または直腸投与のための単位剤形が提供され得、各投薬単位、例えば小さじ1杯分、大さじ1杯分、錠剤、または坐薬は、所定の量の組成物を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、通常生理食塩水、または別の薬学的に許容されるキャリア中の溶液として、組成物中に対象の抗体を含み得る。
【0277】
本明細書において用いられる「単位剤形」という用語は、各単位が、薬学的に許容される希釈剤、キャリア、またはビヒクルを伴って所望の効果をもたらすのに十分な量で、算出された本開示の抗Bb抗体の所定の分量を含有する、ヒト及び動物対象に対する単位投薬量として適切な物理的に別々の単位を指す。対象の抗体に対する仕様は、採用される特定の抗体、及び達成されるべき効果、及び宿主における各抗体と関連した薬力学に依存し得る。
【0278】
投与の他の方式も、本開示の方法との使用を見い出す。例えば、対象の抗体は、坐薬中に、及び一部の場合においてエアロゾル及び鼻腔内組成物中に製剤化され得る。坐薬に関して、ビヒクル組成には、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドなど、伝統的な結合剤及びキャリアが含まれる。そのような坐薬は、約0.5%〜約10%(w/w)、例えば約1%〜約2%の値域内の活性成分を含有する混合物から形成され得る。
【0279】
鼻腔内製剤は、通常、鼻粘膜に刺激をもたらさず線毛機能を有意に妨げないビヒクルを含む。水、水性生理食塩水、または他の公知の物質などの希釈剤が採用され得る。鼻腔製剤は、クロロブタノール及び塩化ベンザルコニウムなどであるがそれらに限定されない防腐剤も含有し得る。界面活性剤は、鼻粘膜による対象の抗体の吸収を増強するために存在し得る。
【0280】
対象の抗体は、注射可能な製剤として投与され得る。典型的に、注射可能な組成物は、溶液または懸濁液として調製され;注射前の液体ビヒクル中での溶液または懸濁液に適切な固体形態も調製され得る。調製物は乳化もされ得る、または抗体はリポソームビヒクル中にカプセル化され得る。
【0281】
適切な賦形剤ビヒクルは、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、及びそれらの組み合わせである。加えて、所望の場合、ビヒクルは、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤など、少量の補助物質を含有し得る。そのような剤形を調製する実際の方法は公知である、または当業者に明白であろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,17th edition,1985を参照されたい。投与される対象となる組成物または製剤は、いずれにしても、治療されている対象において所望の状態を達成するのに充分な対象の抗体の分量を含有する。
【0282】
ビヒクル、アジュバント、キャリア、または希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は、公的に容易に使用可能である。さらには、pH調整剤及び緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質は、公的に容易に使用可能である。
【0283】
一部の場合において、対象の抗体は、制御放出製剤中に製剤化され得る。持続放出調製物は、当技術分野において周知の方法を用いて調製され得る。持続放出調製物の適切な例には、その中でマトリックスが成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態にある、抗体を含有する疎水性固体ポリマーの半透過性マトリックスが含まれる。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、L−グルタミン酸及びエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、ヒドロゲル、ポリラクチド、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。持続放出調製物中に含まれる抗体の生物学的活性の考え得る喪失及び免疫原性の考え得る変化は、適当な添加物を用いることによって、水分含量を制御することによって、及び特異的ポリマーマトリックス組成物を開発することによって阻止され得る。
【0284】
本開示の範囲内にある制御放出は、数多くの長期放出剤形のうちのいずれか1つを意味するように受け取られ得る。以下の用語は、本開示の目的のために制御放出と実質的に同等であると見なされ得る:連続的放出、制御放出、遅延放出、デポー、長期放出、段階的放出、即時放出、長期間放出、プログラム放出、持効性放出、比例放出、長期的放出、レポジトリー、遅滞、緩徐放出、間隔を置いた放出、持続放出、時間コート(time coat)、時限放出、遅延作用、長期作用、階層化時間作用、長時間作用、持効性作用、反復作用、緩徐作用、持続作用、及び持続作用型医薬。これらの用語のさらなる考察は、Lesczek Krowczynski,Extended−Release Dosage Forms,1987(CRC Press,Inc.)に見い出され得る。
【0285】
様々な制御放出技術は、非常に広範囲の薬物剤形を網羅する。制御放出技術には、物理的システム及び化学的システムが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0286】
物理的システムには、マイクロカプセル化、マクロカプセル化、及び膜システムなど、速度制御膜を有する貯留システム;中空糸、超ミクロ多孔質三酢酸セルロース、ならびに多孔質ポリマー性の基質及び発泡体など、速度制御膜を有しない貯留システム;非多孔質性、ポリマー性、または弾性マトリックス(例えば、非浸食性、浸食性、環境要因移入(environmental agent ingression)、及び分解性)中に物理的に溶解されたそうしたシステム、及び非多孔質性、ポリマー性、または弾性マトリックス(例えば、非浸食性、浸食性、環境要因移入、及び分解性)中に物理的に分散した材料を含めた、一体型システム;外側の制御層に化学的に類似したまたは類似していない貯留層を含めた、積層構造;ならびに浸透圧ポンプ、またはイオン交換樹脂への吸着など、他の物理的方法が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0287】
化学的システムには、ポリマーマトリックスの化学的浸食(例えば、不均一または均一浸食)、またはポリマーマトリックスの生物学的浸食(例えば、不均一または均一)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。制御放出のためのシステムの区分についての付加的な考察は、Agis F.Kydonieus,Controlled Release Technologies:Methods,Theory and Applications,1980(CRC Press,Inc.)に見い出され得る。
【0288】
経口投与のために開発されているいくつかの制御放出薬物製剤がある。これらには、浸透圧制御胃腸送達システム;動水圧制御胃腸送達システム;ミクロ多孔質膜透過制御胃腸送達システムを含めた、膜透過制御胃腸送達システム;胃液耐性腸標的制御放出胃腸送達システム;ゲル拡散制御胃腸送達システム;ならびにカチオン性及びアニオン性薬物を含む、イオン交換制御胃腸送達システムが含まれるが、それらに限定されるわけではない。制御放出薬物送達システムに関する付加的な情報は、Yie W.Chien,Novel Drug Delivery Systems,1992(Marcel Dekker,Inc.)に見い出され得る。
【0289】
投薬量
適切な投薬量は、様々な臨床学的因子に基づき、主治医または他の有資格医療関係者によって決定され得る。医学の技術分野において周知であるように、任意の一患者に対する投薬量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される対象となる特定の化合物、患者の性別、投与の時間及び経路、全般的健康状態、ならびに同時に投与されている他の薬物を含めた、多くの因子に依存する。対象の抗Bb抗体は、投薬あたり1ng/kg体重〜20mg/kg体重、例えば0.1mg/kg体重〜10mg/kg体重、例えば0.5mg/kg体重〜5mg/kg体重の量で投与され得るが;しかしながら、とりわけ前述の因子を考慮して、この例示的な値域を下回るまたは上回る用量が想定される。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投薬あたり20mg/kg体重〜100mg/kgの量で投与され;例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投薬あたり20mg/kg〜25mg/kg、25mg/kg〜30mg/kg、30mg/kg〜35mg/kg、35mg/kg〜40mg/kg、40mg/kg〜45mg/kg、45mg/kg〜50mg/kg、50mg/kg〜55mg/kg、55mg/kg〜60mg/kg、60mg/kg〜65mg/kg、65mg/kg〜70mg/kg、70mg/kg〜75mg/kg、75mg/kg〜80mg/kg、80mg/kg〜85mg/kg、85mg/kg〜90mg/kg、90mg/kg〜95mg/kg、または95mg/kg〜100mg/kg体重の量で投与される。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投薬あたり20mg/kg〜40mg/kg体重の量で投与される。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投薬あたり40mg/kg〜60mg/kg体重の量で投与される。レジメンが連続的注入である場合、それは、1分間あたり体重1キログラムあたり1μg〜10mgの値域内にもあり得る。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、重量とは無関係である量で投与される。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投薬あたりまたは総1日投薬あたり50mg〜500mg;例えば、投薬あたりまたは総1日投薬あたり50mg〜75mg、75mg〜100mg、100mg〜150mg、150mg〜200mg、200mg〜250mg、250mg〜300mg、300mg〜400mg、または400mg〜500mgの量で投与される。
【0290】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の用量は、0.001μg〜1000μgの値域内にあるが;しかしながら、とりわけ前述の因子を考慮して、この例示的な値域を下回るまたは上回る用量が想定される。一部の場合において、投薬量は、例えば約0.0001〜100mg/kg、または約0.01〜5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kg等)体重に及び得る。例えば、投薬量は、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、または1〜10mg/kgの値域内、または少なくとも1mg/kgであり得る。上記の値域内に介在する用量も、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0291】
個体は、そのような用量を、毎日、隔日に、毎週、または経験的分析によって決定される他の任意のスケジュールに従って投与され得る。例示的な治療は、例えば少なくとも6ヶ月間の長期間にわたる複数回の投薬量での投与を伴う。付加的な例示的な治療レジメンは、2週間ごとに1回または1ヶ月に1回または3〜6ヶ月ごとに1回の投与を伴う。例示的な投薬量スケジュールには、連続した日に1〜10mg/kgもしくは15mg/kg、隔日に30mg/kg、または毎週60mg/kgが含まれる。一部の方法において、異なる結合特異性を有する2種またはそれを上回る種類のモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投薬量は示された値域内に入る。進行は、定期的査定によってモニターされ得る。
【0292】
当業者であれば、用量レベル及び投与スケジュールが、特異的抗体、症状の重症度、及び副作用に対する対象の感受性の関数として変動し得ることを容易に解するであろう。所与の化合物に対する好ましい投薬量及び投与スケジュールは、多様な手段によって当業者によって容易に決定できる。
【0293】
投与の経路
対象の抗体は、インビボ及びエクスビボ方法、ならびに投与の全身及び局部経路を含めた、薬物送達に適切な任意の使用可能な方法及び経路を用いて個体に投与される。
【0294】
投与の従来的でかつ薬学的に許容される経路には、鼻腔内、筋肉内、気管内、クモ膜下腔、頭蓋内、皮下、皮内、局所的、静脈内、腹腔内、動脈内(例えば、頸動脈を介した)、脊髄または脳送達、直腸、経鼻、経口、ならびに投与の他の腸内及び非経口経路が含まれる。投与の経路は、抗体及び/または所望の効果に応じて組み合わされ得、所望の場合には調整され得る。対象の抗体組成物は、単回用量でまたは複数回用量で投与され得る。一部の場合において、対象の抗体組成物は経口投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は吸入経路を介して投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は鼻腔内に投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は局部的に投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は頭蓋内に投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は静脈内に投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物はクモ膜下腔に投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は皮下投与される。一部の場合において、対象の抗体組成物は筋肉内に投与される。
【0295】
本開示の抗体は、全身または局部経路を含めた、従来的薬物の送達に適切な任意の使用可能な従来的な方法及び経路を用いて、宿主に投与され得る。一般的に、本発明によって企図される投与の経路には、腸内、非経口、または吸入経路が含まれるが、必ずしもそれらに限定されるわけではない。
【0296】
吸入投与以外の投与の非経口経路には、局所的、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、クモ膜下腔、及び静脈内経路、すなわち消化管を通じた以外の任意の投与の経路が含まれるが、必ずしもそれらに限定されるわけではない。非経口投与は、対象の抗体の全身または局部送達をもたらすために行われ得る。全身送達が望まれる場合、投与は、典型的に、薬学的調製物の侵襲的なまたは全身に吸収される局所的または粘膜投与を伴う。
【0297】
対象の抗体は、腸内投与によっても対象に送達され得る。投与の腸内経路には、経口及び直腸(例えば、坐薬を用いた)送達が含まれるが、必ずしもそれらに限定されるわけではない。
【0298】
治療によって、宿主を苦しめる病的状態と関連した症状の少なくとも改善が意味され、改善は、補体媒介性疾患または障害など、治療されている病的状態と関連したパラメーター、例えば症状、の大きさの少なくとも低下を指すために広い意味で用いられる。そのようなものとして、治療には、宿主が病的状態、または当該病的状態を特徴付けする少なくとも症状にもはや悩まされないように、病的状態またはそれと関連した少なくとも症状が完全に阻害される、例えば生じるのを阻止されるまたは停止する、例えば終結する状況も含まれる。
【0299】
一部の場合において、対象の抗体は、例えば脳動脈内の部位にまたは脳組織内に直接的に、注射及び/または送達によって投与される。対象の抗体は、例えば標的部位への微粒子銃(biolistic)送達によっても、標的部位に直接投与され得る。
【0300】
多様な宿主(「宿主」という用語は、本明細書において、「対象」、「個体」、及び「患者」という用語と互換可能に用いられる)が、対象の方法に従って治療できる。一般的に、そのような宿主は、「哺乳類」または「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食動物(例えば、ネコ)、草食動物(例えば、ウシ、ウマ、及びヒツジ)、雑食動物(イヌ、ヤギ、及びブタ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、及び霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)という目を含めた、哺乳綱の内にある生物を記載するために広く用いられる。一部の場合において、宿主は、哺乳類、魚類、または無脊椎動物など、補体系を有する個体である。一部の場合において、宿主は、補体系を含有する哺乳類、魚類、または無脊椎動物の伴侶動物、農業用動物、労働用動物、動物園用動物、または実験室動物である。一部の場合において、宿主はヒトである。
【0301】
本開示は、個体への投与のための、対象の抗Bb抗体を含む組成物を含有するのに適切な容器を提供する。例えば、対象の抗体は、薬学的組成物を含有するのに適切な容器内に配置され得る。容器は、例えばボトル(例えば、蓋などの密閉装置を有する)、ブリスターパック(例えば、それはブリスターあたり1回または複数回用量の封入を提供し得る)、バイアル、柔軟な包装(例えば、密封型のマイラー袋またはプラスチック袋)、アンプル(溶液中に単回用量のための)、スポイト、シリンジ、薄いフィルム、チューブ等であり得る。一部の場合において、滅菌容器などの容器は、対象の薬学的組成物を含む。一部の場合において、容器はボトルまたはシリンジである。一部の場合において、容器はボトルである。一部の場合において、容器はシリンジである。
【0302】
例えば経口または注射可能な投薬における、単位用量の対象の抗体を有するキットが提供される。そのようなキットには、単位用量を含有する容器に加えて、関心対象の病的状態を治療することにおける抗体の使用及び付随する利益を記載した情報添付文書がある。好ましい化合物及び単位用量は、本明細書において上で記載されるものである。
【0303】
補体媒介性疾患または障害を治療する方法
本開示は、補体媒介性疾患または障害を治療する方法を提供する。方法は、概して、本開示の抗Bb抗体の有効量を投与を必要としている個体に投与することを伴う。一部の場合において、対象の抗Bb抗体の投与は、個体の細胞、組織、または体液におけるAPの活性を変調させ、補体媒介性疾患または障害を治療する。
【0304】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞、組織、または体液におけるAP活性のレベルと比較して、個体の細胞、組織、または体液におけるAP活性を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でAP活性を阻害する。
【0305】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞、組織、または体液において形成されるMACの量と比較して、個体の細胞、組織、または体液におけるMACの形成を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。
【0306】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞、組織、または体液におけるC3の切断と比較して、個体の細胞、組織、または体液におけるC3のC3b/Bb媒介性切断を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でC3のC3b/Bb媒介性切断を阻害する。
【0307】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害し、それによってC3切断産物の産生を低下させるのに有効である量である。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、C3のC3b/Bb媒介性切断を阻害し、それによって、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞、組織、または体液におけるC3の切断産物の産生と比較して、個体の細胞、組織、または体液におけるC3切断産物(例えば、C3a及び/またはC3b)の産生を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低下させるのに有効である量である。
【0308】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の細胞の溶解の程度と比較して、個体における細胞の補体AP媒介性溶解を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でAP媒介性溶解を阻害する。
【0309】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞、組織、または体液における溶血の程度と比較して、個体の細胞、組織、または体液(例えば、RBC含有体液)における補体AP媒介性溶血を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50でAP媒介性溶血を阻害する。
【0310】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、アナフィラトキシンの産生を阻害するのに有効である量である。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下においてまたは当該抗Bb抗体の投与前に産生されるC3a及びC5aの量と比較して、C3a及びC5aの産生を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%を上回って阻害するのに有効である量である。
【0311】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物の堆積の量と比較して、個体における細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、細胞または組織上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を阻害する。
【0312】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、細胞または組織上へのC3b堆積の量と比較して、個体における細胞または組織上へのAP媒介性C3b堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、細胞または組織上へのAP媒介性C3b堆積を阻害する。
【0313】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、個体におけるRBC上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物の堆積の量と比較して、個体におけるRBC上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、RBC上へのC3b、C3d、または他のC3分割産物のAP媒介性堆積を阻害する。
【0314】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体の有効量は、当該抗Bb抗体の投与の非存在下におけるまたは当該抗Bb抗体の投与前の、個体におけるRBC上へのC3b堆積の量と比較して、個体におけるRBC上へのAP媒介性C3b堆積を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%阻害するのに有効である量である。一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、10
−7M〜10
−9MのIC
50、例えば10
−7M〜5×10
−7M、5×10
−7M〜10
−8M、10
−8M〜5×10
−8M、または5×10
−8M〜10
−9MのIC
50で、RBC上へのAP媒介性C3b堆積を阻害する。
【0315】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与された場合、当該個体における循環中のBb因子の量を低下させる。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与された場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における循環中のBb因子の量と比較して、当該個体における循環中のBb因子の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。
【0316】
一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与された場合、当該個体における血漿中のBb因子の量を低下させる。例えば、一部の場合において、本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に1回または複数回の用量で投与された場合、当該抗Bb抗体の投与の非存在下における当該個体における血漿中のBb因子の量と比較して、または当該抗Bb抗体の投与前の当該個体における血漿中のBb因子の量と比較して、当該個体における血漿中のBb因子の量を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下させる。
【0317】
一部の場合において、補体媒介性疾患または障害を有する個体を治療するための本開示の方法は、本開示の抗Bb抗体、またはa)本開示の抗Bb抗体;及びb)そのような個体への投与に適切な薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物、を当該個体に投与することを含む。一部の場合において、個体は哺乳類である。一部の場合において、個体はヒトである。投与は、本明細書において開示されるものを含めた、当業者に公知の任意の経路によるものであり得る。一部の場合において、投与は静脈内へである。一部の場合において、投与はクモ膜下腔へである。一部の場合において、投与は筋肉内へである。一部の場合において、投与は皮下へである。一部の場合において、抗体はヒト化されている。
【0318】
本開示の抗Bb抗体を用いた治療に適切である補体媒介性疾患及び障害には、代替補体経路と関連した疾患及び障害が含まれる。
【0319】
本開示の抗Bb抗体を用いた治療に適切である補体媒介性疾患及び障害には、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、播種性血管内凝固(DIC)、抗リン脂質症候群(APS)、輸血後紫斑病、及び新生児同種免疫性血小板減少症(NAITP)、虚血/再灌流傷害、及び加齢黄斑変性症(AMD)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0320】
本開示の抗Bb抗体を用いた治療に適切である補体媒介性疾患及び障害には、喘息、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、劇症性抗リン脂質症候群(アッシャーソン症候群;またはCAPS)、密沈積症(DDD)、C3糸球体腎炎(C3GN)、加齢黄斑変性症(AMD)、ドライ型AMD、ウェット型AMD、後天性表皮水疱症、関節リウマチ、膜性増殖性糸球体腎炎II型、及び発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0321】
一部の場合において、補体媒介性疾患または障害は、虚血−再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、密沈積症、加齢黄斑変性症、自然流産、寡免疫性(Pauci−immune)血管炎、表皮水疱症、再発性流産、多発性硬化症、外傷性脳損傷、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、デゴス病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、多巣性運動ニューロパチー、視神経脊髄炎、抗リン脂質症候群、及び劇症性抗リン脂質症候群からなる群より選択される。
【0322】
AP関連障害及び古典的経路(CP)関連障害には、例えば虚血−再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、密沈積症、加齢黄斑変性症、自然流産、寡免疫性血管炎、表皮水疱症、再発性流産、多発性硬化症、外傷性脳損傷、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、デゴス病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、多巣性運動ニューロパチー、視神経脊髄炎、抗リン脂質症候群、及び劇症性抗リン脂質症候群が含まれる。
【0323】
補体関連障害には、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患、α−1アンチトリプシン欠損症、肺気腫、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、肺胞炎、サルコイドーシス、肺線維症、及び膠原血管障害などであるがそれらに限定されない補体関連肺障害も含まれる。
【0324】
本開示の抗Bb抗体を用いた治療に適切である補体媒介性疾患及び障害には、加齢黄斑変性症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば、関節リウマチ)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患、バラクワ−サイモン(Barraquer−Simons)症候群、ベーチェット病、英国型アミロイドアンギオパチー、水疱性天疱瘡、バージャー病、C1q腎症、癌、劇症性抗リン脂質症候群、脳アミロイドアンギオパチー、寒冷凝集素症、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト−ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血症性血管炎、ボクサー認知症、レビー小体を伴う認知症(DLB)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化、円板状エリテマトーデス、ダウン症、巣状分節性糸球体硬化症、形式的思考障害、前頭側頭型認知症(FTD)、17番染色体に連鎖したパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン−ストロイスラー−シャインカー病、ギラン−バレー症候群、ハレルフォンデル−スパッツ病、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管性浮腫、低リン血症、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、感染性疾患(例えば、細菌(例えば、Neisseria meningitidisまたはStreptococcus)、ウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、または他の感染性因子によって引き起こされる疾患)、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知障害、免疫性血小板減少症紫斑病(ITP)、モリブデン補因子欠損症(MoCD)A型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II(密沈積症)、膜性腎炎、多発梗塞性認知症、ループス(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋強直性ジストロフィー、視神経脊髄炎、ニーマン−ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素大腸菌(STEC)−HuS、脊髄性筋萎縮症、脳卒中、亜急性硬化性全脳炎、タングルのみの認知症(Tangle only dementia)、移植拒絶、血管炎(例えば、ANCA関連血管炎)、ウェゲナー肉芽腫症、鎌状赤血球病、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、本態性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、ループス腎炎、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、及び血小板不応症が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0325】
併用療法
本開示の抗Bb抗体は、投与を必要としている個体に、単独で(例えば、単剤療法として);または1種もしくは複数種の付加的な治療用作用物質との併用療法で投与され得る。
【0326】
本明細書において用いられる「と組わせて」とは、例えば、第一の化合物が、第二の化合物の投与の全過程の間に投与される場合;第一の化合物が、第二の化合物の投与と重複している期間に投与される場合、例えば第一の化合物の投与が第二の化合物の投与前に始まり、第一の化合物の投与が第二の化合物の投与が終わる前に終わる場合;第二の化合物の投与が第一の化合物の投与前に始まり、第二の化合物の投与が第一の化合物の投与が終わる前に終わる場合;第一の化合物の投与が第二の化合物の投与が始まる前に始まり、第二の化合物の投与が第一の化合物の投与が終わる前に終わる場合;第二の化合物の投与が第一の化合物の投与が始まる前に始まり、第一の化合物の投与が第二の化合物の投与が終わる前に終わる場合、の使用を指す。そのようなものとして、「組み合わせて」とは、2種またはそれを上回る種類の化合物の投与を伴うレジメンも指し得る。本明細書において用いられる「と組わせて」とは、同じまたは異なる製剤で、同じまたは異なる経路によって、及び同じまたは異なる剤形タイプで投与され得る、2種またはそれを上回る種類の化合物の投与も指す。
【0327】
治療される対象となる個体
対象の抗Bb抗体を用いた治療に適切な個体には、補体媒介性疾患または障害を有すると診断されている個体;補体媒介性疾患または障害を発症することに対して、一般集団よりも高い危険性がある個体(例えば、補体媒介性疾患または障害を発症しやすい遺伝的素因を有する個体);認知症を伴うパーキンソン病(PDD)を有する個体;アルツハイマー病を有する個体;発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する個体;特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を有する個体;血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を有する個体;溶血性尿毒症症候群(HUS)を有する個体;播種性血管内凝固(DIC)を有する個体;抗リン脂質症候群(APS)を有する個体;輸血後紫斑病を有する個体;新生児同種免疫性血小板減少症(NAITP)を有する個体;虚血/再灌流傷害を有する個体;及び加齢黄斑変性症(AMD)を有する個体が含まれる。上で挙げられた補体媒介性疾患または障害のいずれか1つを有する個体も含まれる。
【0328】
一部の場合において、個体は成人である。一部の場合において、成人は、20歳もしくはそれを上回る、30歳もしくはそれを上回る、40歳もしくはそれを上回る、50歳もしくはそれを上回る、60歳もしくはそれを上回る、70歳もしくはそれを上回る、または80歳もしくはそれを上回る。例えば、成人は、20歳〜30歳、30歳〜40歳、40歳〜50歳、50歳〜60歳、60歳〜70歳であり得る、または70歳を上回り得る。一部の場合において、個体はヒト子どもである。一部の場合において、ヒト子どもは、20歳未満、10歳未満、または5歳未満である。
【実施例】
【0329】
以下の実施例は、本発明をどのように行い及び用いるかについての完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明者らが彼らの発明と見なすものの範囲を限定することを意図されず、またはそれらは、下記の実験が、実施されたすべてのもしくは唯一の実験であることを表すことも意図されない。用いられる数(例えば、量、温度等)に関する正確性を保証するために努力がなされたが、いくらかの実験上の誤差及びズレは考慮されるべきである。別様に示されていない限り、部分は重量による部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセ氏温度におけるものであり、及び圧力は大気におけるまたは大気付近のものである。標準的な略語が用いられ得る。例えば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒間(複数可);min、分間(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);kb、キロベース(複数可);bp、塩基対(複数可);nt、ヌクレオチド(複数可);i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に);等。
【0330】
実施例1:抗Bb因子モノクローナル抗体の産生
抗Bb因子モノクローナル抗体(「Bb因子mAb」)のM4、M10、M12、M17、M18、及びM20を以下のとおりに産生した:精製されたヒトBb因子タンパク質でのNZBWマウスの免疫化によりハイブリドーマライブラリーを生成し、それを当業者に公知の技法を用いて標的への結合についてスクリーニングした(抗体溶液;例えば、Galfre et al.,Methods in Enzymology 73:346(1981)を参照されたい)。フローサイトメトリーを用いて、単一細胞クローンを生成し、これら個々のクローン由来の上清を、例えばNix et al.,Immunoassays,A Practical Approach,editor J.P.Gosling,pp.239−261,Oxford University Press(2000)に開示されるものなど、直接酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって、Bb因子対全長B因子への優先的結合についてスクリーニングした。B因子と比べてBb因子に対して様々な程度の特異的結合を示した20個のクローンを選択した。これらのクローンを培養下で拡張し、ハイブリドーマ上清からモノクローナル抗体を精製した。精製されたmAbを、Complement System Alternative Pathway WIESLABキット(Euro Diagnostica,Sweden)を用いて、代替経路(AP)活性の阻害についてさらにスクリーニングした。これらの結果から、6個のクローンをさらなる解析に選定した。
【0331】
実施例2:ヒトBb因子への抗Bb因子mAbの結合
Bb因子mAbに対する相対的EC
50値をELISAによって決定した。非標識の精製されたヒトBb因子(Complement Technologies;1μg/mL)を、高結合ELISAプレートにコートし、漸増量の精製mAb(10μg/mLで始まる3倍連続希釈)とともにインキュベートした。ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)−抱合型ヤギ抗マウス二次抗体(Southern Biotech)を検出に用い、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)1−Step Ultra TMB−ELISA Substrate Solution(Thermo Scientific)と反応させた。反応を等量の1N硫酸で停止させ;OD
450nmにおける吸光度を測定した。データは
図1に示されている。各モノクローナルに対するEC
50を、PRISMソフトウェアを用いて算出し;EC
50値は
図2に挙げられている。すべてのmAbは優れたアフィニティーを示し、ほとんどがサブナノモーラーの値域にあるEC
50を有した。
【0332】
図1.ヒトBb因子への精製抗Bb因子mAbの結合。
【0333】
図2.ヒトBb因子に対する抗Bb因子mAbの結合アフィニティー。
【0334】
実施例3:活性化Bb因子に対する抗Bb因子mAbの特異性
活性化B因子対全長B因子酵素前駆体へのBb因子抗体の優先的結合を、最適化された抗原捕捉ELISAフォーマットで判定して、標的可溶性タンパク質への結合を評価した。1μg/mLの抗体をヤギ抗マウスIgGコーティングプレート(Pierce;Thermo Scientific)に結合させ、その後に1μg/mLのビオチン化Bb因子またはB因子(Complement Technologies)とのインキュベーションが続いた。結合しているBb/B因子タンパク質を、ストレプトアビジン−HRPで検出し、TMB 1−Step Ultra TMB−ELISA Substrate Solution(Thermo Scientific)と反応させた。反応を等量の1N硫酸で停止させ;OD
450nmにおける吸光度を測定した。Bb因子対B因子による結合の吸光度の比率(fBb/B比)を算出し、結果は
図3に示されている。M17は、Bb因子に対して事実上完全な特異性を示し、このアッセイにおいてB因子への検出可能な結合を有しなかった。M10及びM18は、このアッセイにおいて同程度の選好性を示し(それぞれ、fBb/B比5.5及び8.4)、一方でM4、M12、及びM20は、選好性を示さなかった(fBb/B比≧1)。
【0335】
溶液中での全長B因子へのBb因子mAbの結合を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した。SECに関して、100μg/mLの精製B因子を、最高3倍モーラー過剰の精製mAbとともにインキュベートした。室温(RT)で1時間のインキュベーションの後、サンプルをTSKgel G3000SWxlゲル濾過カラムにロードした。クロマトグラムにおける新たなより高分子量のピークの存在、ならびに遊離B因子及び遊離抗体ピークの低下は、抗原:抗体複合体の形成を示した。SECの結果は、抗原捕捉ELISAにおいて判定された結合特異性とよく相関している(
図4)。ELISAによってBb因子に対する特異性を示したM10、M17、及びM18は、SECにおいても全長B因子に結合せず;M4、M12、及びM20は、ELISAによって結合特異性を示さず、同様にSECにおいてすべてが全長B因子に結合する。
【0336】
図3.可溶性B因子及びBb因子への精製抗Bb因子mAbの結合。
【0337】
図4.サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって獲得された結果と比較した、ELISAによって判定されたBb因子対B因子への抗Bb因子mAbの結合の特異性(
図3)。
【0338】
実施例4:カニクイザルタンパク質への抗Bb因子mAbの結合
Bb因子mAbを、カニクイザルB因子またはBb因子に結合するそれらの能力についてELISAによってアッセイした。5μg/mLの各精製タンパク質(Innovative Research;自社精製)を、ELISAプレートにコートし、精製Bb因子mAb(10μg/mLで始まる3倍連続希釈)とともにインキュベートし、結合している抗体を実施例2と同じように検出した。Bb因子対B因子に対するEC
50は、Prismソフトウェアを用いて算出され、
図5に示されている。
【0339】
図5.精製カニクイザルB因子またはBb因子への精製抗Bb因子mAbの結合。
【0340】
実施例5:抗Bb因子mAbによる補体代替経路(AP)の阻害
Bb因子mAbによる補体AP活性の阻害を、Complement System Alternative Pathway WIESLAB(登録商標)キットを用いて測定した。これは、リポ多糖(LPS)を用いて代替経路を特異的に活性化するプレートに基づくアッセイであり、読み出しは、経時的な最終的膜侵襲複合体(MAC)堆積である。11%正常ヒト血清(Complement Technologies)を、200μg/mLで始まるmAbまたはマウスアイソタイプ対照の2倍連続希釈とともにインキュベートした。V
maxを各濃度に対して決定し、結果は
図6に示されている。すべての抗Bb因子モノクローナル抗体は、AP媒介性MAC堆積を阻害することができ、M4/M12>M20>M10/M18>M17であった。
【0341】
Bb因子mAbによるAP経路媒介性溶血及びC3b堆積の阻害を、古典的経路を阻害するEGTAを含有するバッファー中でヒト血清及びウサギ赤血球を用いて判定した。抗Bb因子mAbまたはマウスアイソタイプ対照(100μg/mLで始まる2倍希釈)を、10%ヒト血清及びウサギ赤血球(RBC)とともに37℃で1時間インキュベートした。上清のA
540nmを測定し、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有する対照ウェルにおけるバックグラウンド吸光度を差し引くことによって、溶解の量を決定した。結果は
図7に示されている。すべてのBb因子mAbは、AP媒介性溶血を阻害することができ、M4/M12>M20>M10/M18>M17であった。
【0342】
赤血球(RBC)上へのC3分割産物堆積をアッセイするために、細胞ペレットを抗C3b抗体(6C9;Thermo Scientific)で染色し、陽性細胞をヤギ抗マウスAlexa−647(Thermo Scientific)で検出し、フローサイトメトリーによって解析した。結果は
図8に示されている。すべてのBb因子mAbは、RBC上へのC3堆積を阻害することができ、M4/M12>M20>M10/M18>M17であった。
【0343】
3つすべてのアッセイにおけるBb因子mAbによるAP活性の阻害に対するIC
50値は、Prismソフトウェアを用いて算出され、
図9に示されている。おそらく各アッセイにおいて用いられた血清濃度の変動または評価項目測定の違いに起因して、Wieslabアッセイにおいて生み出されたIC
50値は、溶血/C3b堆積アッセイにおいてよりも一貫して高かった。特に、Bb因子特異的M17は、溶血アッセイと比較して、Wieslabアッセイにおいてあまり有効ではなかった(IC
50の17.7倍の差;他のmAbは、2つのアッセイの間でIC
50の4.4〜5.9倍の差を示した)。しかしながら、すべてのアッセイは、抗Bb因子mAbの間で同じ相対的有効性を報告し、それはBb因子に対するそれらの特異性に反比例した。
【0344】
図6.抗Bb因子mAbによるAP活性の阻害。
【0345】
図7.抗Bb因子mAbによるAP経路媒介性溶血の阻害。
【0346】
図8.抗Bb因子mAbによるAP経路媒介性C3b堆積の阻害。
【0347】
図9.3つの異なるアッセイを用いた、AP活性に対するBb因子mAbの効果の比較。非線形曲線がフィットし、IC
50をPrismソフトウェアを用いて算出した。
【0348】
実施例5:抗Bb因子mAbによるカニクイザルAPの阻害
抗Bb因子mAbのM10による補体代替経路活性(AP)の阻害を、Complement System Alternative Pathway WIESLAB(登録商標)キットを用いて測定した。正常ヒト血清またはカニクイザル(「cyno」)血清(Innovative Research;5.5%)を、100μg/mLで始まるM10またはマウスアイソタイプ対照の2倍連続希釈とともにインキュベートした。V
maxを各濃度に対して決定し、結果は
図10に示されている。この実験におけるM10に対するIC
50は、ヒト及びcyno血清に対して、それぞれ9.79E−8及び3.67E−7Mであった。
【0349】
抗Bb因子mAbによるAP経路媒介性溶血の阻害を、古典的経路を阻害するEGTAを含有するバッファー中でカニクイザル血清及びウサギ赤血球を用いて判定した。抗Bb因子mAbまたはマウスアイソタイプ対照(100μg/mLで始まる2倍希釈)を、5%カニクイザル血清及びウサギRBCとともに37℃で1時間インキュベートした。上清のA
540nmを測定し、EDTAを含有する対照ウェルにおけるバックグラウンド吸光度を差し引くことによって、溶解の量を決定した。結果は
図11に示されている。M17は、ウサギ赤血球のcyno血清媒介性溶血を阻害しない。cyno血清に対するIC
50値は、以下のとおりであった:2.497E−8(M4)、2.202E−7(M10)、2.824E−8(M12)、2.319E−7(M18)、及び7.524E−7M(M20)。
【0350】
図10.抗Bb因子mAbによるヒトまたはサル血清におけるWieslab AP活性の阻害。
【0351】
図11.抗Bb因子mAbによるウサギRBCのcyno AP経路媒介性溶血の阻害。
【0352】
実施例6:抗Bb因子mAbのシーケンシング
Bb因子mAbのVH及びVL領域のアミノ酸シーケンシングを、当業者に公知の技法を用いて行った(LakePharma)。具体的には、ハイブリドーマ細胞株から細胞ペレットを調製し、RNAを抽出した。IgMVH、IgGVH、IgκVL、及びIgλVLに対する定常領域プライマーとともにマウス抗体シグナル配列に対する縮重プライマープールを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって、V領域を増幅した。成功した増幅のそれぞれから獲得されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を精製し、「TA」クローニングベクターシステム内にクローニングし、それから配列を獲得した。Bb因子 mABのVH及びVL領域、ならびにCDRの推定アミノ酸配列は、
図12A〜12Fに提供されている。M10及びM18 VL及びVHは配列が同一であり、M4及びM12 VH及びVLは配列が同一である。
【0353】
実施例7:抗Bb mAbのさらなる特徴付け
CD55/CD59抗体で前処理されたヒトRBCに対する、Bb因子抗体によるAP経路媒介性溶血の阻害(
図14)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する患者は、細胞表面上の補体調節因子(CD55及びCD59)の欠如に起因した、彼らの赤血球(RBC)の補体媒介性溶解に悩まされている。CD55及びCD59に対する中和抗体での前処理は、健常なRBCを補体媒介性溶解に対して感受性にする。
【0354】
抗CD55及びCD59抗体で前処理された正常ヒト赤血球を、様々な濃度のBb因子抗体M4、M10、M17、及びM20、ならびにマウスIgG2a(アイソタイプ対照)を含有する20%正常ヒト血清とともにインキュベートした。反応バッファーは、古典的及びレクチン補体経路を遮断する10mM Mg EGTAを含有した。37℃で120分後、細胞を遠心分離した。上清のA
540nmを測定し、EDTAを含有する対照ウェルにおけるバックグラウンド吸光度を差し引くことによって、溶解の量を決定した。結果は
図14に示されている。溶血の完全な阻害は、M10抗体でのみ得られた。
【0355】
抗Bb因子キメラ抗体の産生
実施例6からのDNA配列を利用して、ハイブリドーマクローンM4及びM10に対する可変ドメインを、クローニングに必要とされる付加的な隣接配列とともに合成した(DNA2.0)。可変ドメインを発現ベクター内にクローニングし、それは、マウス可変領域及びヒトIgG4定常/Fc領域から構成されるキメラ抗体を生成した。構築物をHEK293細胞にトランスフェクトし、プロテインAセファロースを用いて培養上清から精製した。M10の可変領域を含有するキメラ抗体は、「キメラM10」と称される。M4の可変領域を含有するキメラ抗体は、「キメラM4」と称される。
【0356】
Bb因子キメラ抗体による補体代替経路(AP)の阻害(
図15)
Bb因子キメラ抗体のキメラM10及びキメラM4による補体AP活性の阻害を、Complement System Alternative Pathway WIESLAB(登録商標)キットを用いて測定した。11%正常ヒト血清(NHS;Complement Technologies)を、300μg/mlで始まるキメラ抗体またはそれらの親モノクローナルマウス抗体の2倍連続希釈とともにインキュベートした。アッセイの終了時に、A405を測定した。データは
図15に示されている。A405は、プレート上に堆積した最終的膜侵襲複合体(MAC)の量に比例した。A405を抗体濃度に対してプロットした。キメラ抗体は、それらの対応する親モノクローナルマウス抗体と比較した場合、Wieslab Alternative Pathwayアッセイにおいて同程度の効力を有することが見い出された。
【0357】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する患者由来のRBCに対する、Bb因子キメラ抗体によるAP経路媒介性溶血の阻害(
図16)
PNH患者由来のヒト赤血球を、様々な濃度のキメラM10(M10のヒト/マウスキメラ)、抗ヒトC5抗体、またはヒトIgG4(アイソタイプ対照)を含有する20% O+ヒト血清とともにインキュベートした。反応バッファーは、古典的及びレクチン補体経路を遮断する10mM Mg EGTAを含有した。37℃で180分後、細胞を遠心分離した。上清のA
540nmを測定し、EDTAを含有する対照ウェルにおけるバックグラウンド吸光度を差し引くことによって、溶解の量を決定した。結果は
図16に示されている。溶血の完全な阻害は、キメラM10抗体でのみ得られた。
【0358】
カニクイザルにおけるBb因子キメラ抗体の薬物動態(
図17)
カニクイザルにおけるBb因子抗体の薬物動態学的特性を判定するために、キメラM10及びキメラM4をそれぞれ、30mg/kgで3匹のサルに静脈内注射した。注射後の様々な時点で、血漿サンプルを解析のために採取した。希釈された血漿サンプル中の遊離キメラM10またはキメラM4を、高結合酵素免疫アッセイ(EIA)マイクロタイタープレート上にてBb因子(fBb)タンパク質で捕捉した。補足された抗体を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素と抱合されたヤギ抗ヒトIgG二次抗体で検出した。マイクロタイタープレートを洗浄して任意の非結合反応物を除去し、次いで、テトラメチルベンジジン(TMB)基質を、固定化されたHRPと反応させて、発色産物を産出した。450nmの波長におけるこの発色産物の吸光度は、サンプル中のキメラM10またはキメラM4の濃度に正比例した。ELISAからのデータを、GraphPad PrismソフトウェアにおけるXYプロット関数及び4パラメーターロジスティック(4PL)線形回帰関数を用いて解析して、投薬後の各時点に存在する遊離キメラM10またはキメラM4の量を決定した。データは
図17に示されている。
【0359】
カニクイザルにおけるBb因子キメラ抗体の薬力学(
図18及び
図19)
カニクイザルにおけるBb因子抗体の薬力学的特性を判定するために、キメラM10及びキメラM4をそれぞれ、30mg/kgで3匹のサルに静脈内注射した。注射後の様々な時点で、血清サンプルを解析のために採取した。血清サンプルの補体代替経路(CAP)及び古典的経路(CCP)活性を、メーカーの推奨した取扱説明書に従って、それぞれComplement System Alternative Pathway及びClassical Pathway WIESLAB(登録商標)キットを用いて判定した。代替経路及び古典的経路アッセイにおいて、それぞれ5.5%及び0.99%の血清濃度を用いた。
図18及び
図19に提供されるグラフは、抗体注射前の血清の活性に対して正規化されている。
図18に示されるように、キメラM10はCAP活性を阻害するが、CCP活性を阻害しない。
図19に示されるように、キメラM4はCAP活性を阻害し、CAP活性の阻害よりは程度が低いもののCCP活性を阻害する。
【0360】
キメラM4は、インビトロでヒト血清中のC3分解を誘導する(
図20)
キメラM4を、0.1mg/mlの濃度で正常ヒト血清に添加し、37℃でインキュベートした。様々な時点において、ウサギ抗ヒトC3ポリクローナル抗体を用いたウェスタンブロット解析のためにサンプルを採取した。陰性対照として、バッファーを血清に添加した。陽性対照として、C3分解を誘導することが知られるタンパク質のコブラ毒因子(CVF)を、正常ヒト血清に添加した。
図20に示されるように、コブラ毒因子と同程度、キメラM4は時間依存的様式でC3分解を誘導した。
【0361】
キメラM4は、インビボでカニクイザルにおけるC3分解を誘導する(
図21)
キメラM10及びキメラM4の30mg/kg注射からのカニクイザル血清サンプルを、サンドイッチELISAを用いてC3レベルについてアッセイした。簡潔には、精製ヤギ抗ヒトC3抗体を、高結合ELISAプレートにコートした。ブロッキングの後、プレートを、サルへのキメラM10及びキメラM4の注射後の様々な時点から採取された血漿サンプルとともにインキュベートした。洗浄の後、次いでプレートをビオチン化ウサギ抗ヒトC3a抗体とともにインキュベートした。付加的な洗浄の後、プレートをストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)とともにインキュベートした。マイクロタイタープレートを洗浄して任意の非結合反応物を除去し、次いで、テトラメチルベンジジン(TMB)基質を、固定化されたHRPと反応させて、発色産物を産出した。450nmの波長におけるこの発色産物の吸光度は、サンプル中のC3の濃度に正比例した。
図21(上のパネル)に示されるように、キメラM10の注射があっても、C3レベルの変化は観察されなかった。
図21(下のパネル)に示されるように、キメラM4の注射があると、C3の急速な喪失が観察された。
【0362】
B/Bb因子抗体M4は、H因子の崩壊加速因子(DAF)活性を遮断する(
図22)
Octetシステム(Pall ForteBio)を用いて、H因子(FH)によるC3転換酵素の解離速度に対するB/Bb因子抗体M4の効果を検討した。簡潔には、ビオチン化プロパージンを調製し、ストレプトアビジンをコートされたOctetプローブに結合させた。その後、結合しているプロパージンプローブを、C3b、B因子(FB)、及びD因子(FD)を混合することによって調製されたC3転換酵素含有溶液中でインキュベートした。C3転換酵素がプロパージンプローブに結合するにつれて、会合が測定された。次いで、バッファーのみを含有する溶液にプローブを移して、プロパージン結合プローブからのC3転換酵素の解離を測定した。
図22に示されるように、解離ステップ中にH因子を添加した場合、プロパージンプローブからのC3転換酵素の急速な解離が測定され得た(上の右)。
図22に示されるように、M4の存在下でC3転換酵素を調製した場合、H因子によるC3転換酵素の急速な解離は観察されなかった。
【0363】
B/Bb因子抗体M4は、CD55のDAF活性を遮断しない(
図23)
Octetシステム(Pall ForteBio)を用いて、CD55によるC3転換酵素の解離速度に対するB/Bb因子抗体M4の効果を検討した。簡潔には、ビオチン化プロパージンを調製し、ストレプトアビジンをコートされたOctetプローブに結合させた。次いで、結合しているプロパージンプローブを、C3b、B因子、B/Bb因子抗体M4、及びD因子を混合することによって調製されたC3転換酵素(結合しているB/Bb因子抗体M4を有する)含有溶液中でインキュベートした。C3転換酵素(結合している抗体を有する)がプロパージンプローブに結合するにつれて、会合が測定された。次いで、バッファーのみを含有する溶液にプローブを移して、プロパージン結合プローブからのC3転換酵素(結合している抗体を有する)の解離を測定した。
図23に示されるように、解離ステップ中にCD55を添加した場合、プロパージンプローブからのC3転換酵素(結合している抗体を有する)の急速な解離が測定され得た(下)。データは、C3転換酵素へのB/Bb因子抗体の結合が、C3転換酵素複合体を解離させるCD55の能力を遮断しないことを示す。
【0364】
本発明はその具体的な実施形態に関して記載されているものの、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変化が加えられ得、同等物が置換され得ることが当業者によって理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、物の組成、工程、工程の1つまたは複数のステップを、本発明の目的、精神、及び範囲に適応させるために、多くの改変がなされ得る。すべてのそのような改変は、本明細書に添付される特許請求の範囲の内にあることが意図される。