特許第6967532号(P6967532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967532
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】付加的抗うつ剤組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/135 20060101AFI20211108BHJP
   A61K 31/205 20060101ALI20211108BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20211108BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20211108BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20211108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   A61K31/135
   A61K31/205
   A61P25/24
   A61P25/18
   A61P25/30
   A61P43/00 121
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-561696(P2018-561696)
(86)(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公表番号】特表2019-517468(P2019-517468A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】US2017034542
(87)【国際公開番号】WO2017205666
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2020年3月6日
(31)【優先権主張番号】62/341,278
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512175133
【氏名又は名称】ナショナル ヘルス リサーチ インスティテューツ
【氏名又は名称原語表記】National Health Research Institutes
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ‐シエン
【審査官】 六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−530385(JP,A)
【文献】 特表2002−511409(JP,A)
【文献】 Neuroscience Letters,2010年,469(1),p.127-130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/327
A61P 25/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のケタミン及び少なくとも二つのメチル基を有するメチルグリシン誘導体を含む付加的抗うつ剤組成物であって、
前記メチルグリシン誘導体は、ベタイン、または、N,N−ジメチルグリシン(DMG)であり、ケタミンの依存症の副作用を減少させることが可能な付加的抗うつ剤組成物
【請求項2】
統合失調症を有し、うつ症状を呈する投与対象に投与されることを特徴とする請求項1に記載の付加的抗うつ剤組成物。
【請求項3】
ケタミンが誘発する精神病的副作用を呈する投与対象に投与されることを特徴とする請求項1に記載の付加的抗うつ剤組成物。
【請求項4】
ケタミン依存症を有する投与対象に投与されることを特徴とする請求項1に記載の付加的抗うつ剤組成物。
【請求項5】
有効量のケタミン及び少なくとも二つのメチル基を有する前記メチルグリシン誘導体を含む組成物を投与対象(ヒトを除く)に投与することを特徴とする請求項1に記載の付加的抗うつ剤組成物の使用方法であって、
前記メチルグリシン誘導体は、ベタイン、または、N,N−ジメチルグリシン(DMG)であり、ケタミンの依存症の副作用を減少させることが可能な付加的抗うつ剤組成物の使用方法
【請求項6】
統合失調症を有し、うつ症状を呈する投与対象(ヒトを除く)に投与することを特徴とする請求項に記載の付加的抗うつ剤組成物の使用方法。
【請求項7】
難治性のうつ病を有する投与対象(ヒトを除く)に投与することを特徴とする請求項に記載の付加的抗うつ剤組成物の使用方法。
【請求項8】
ケタミン依存症を有する投与対象(ヒトを除く)に投与することを特徴とする請求項に記載の付加的抗うつ剤組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベタインまたはベタイン代謝物を用いて、ケタミンが誘発する精神病的副作用及び依存症を低減する組成物に関する。特に、本発明は、うつ病の症状軽減方法に関し、ケタミンと、ベタインまたはベタイン代謝物であるN,N−ジメチルグリシン(DMG)との組み合わせを投薬することを含む。
【背景技術】
【0002】
ケタミン(Ketamine)は解離性麻酔剤であり、中枢神経系に対する多重作用を有する。
最近、多くの証拠より、ケタミンは迅速かつ持続的な抗うつ効果を有することが示されている(非特許文献1、2)。
臨床試験により、ケタミンは難治性のうつ病投与対象に対する著しい症状軽減効果を有することが示されている(非特許文献3−6)。
これらの観察結果は、ケタミンが異なる作用部位及び神経回路を介して、作用を発揮することを暗示するものである。
【0003】
ケタミンは抗うつ効果を迅速に発揮するが、精神病、解離、幻覚、及び忘却効果(非特許文献7、8)を含む、ケタミン使用に関連する(ケタミン使用が誘発する)悪い精神状態が、ケタミンの抗うつ効果の中断を招く。
よって、現在、さらに特化した即効性を有する抑うつ症状軽減効果(抗うつ効果)を有し、ケタミンの不良作用を有しない化合物(非特許文献9、10)の開発努力に関心が集まっている。
または、ケタミンの症状軽減効果を促進し、その有害作用を避ける補助症状軽減(非特許文献11、12)が試みられている。
【0004】
ケタミンの抗うつ作用及び精神病誘発作用のメカニズムは、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体(NMDAR)の阻害と関連することが文献に開示されている。多くの研究により、グリシン結合部位の活性化、あるいはグルタミン酸受容体の調整により、NMDARの機能を増強することが、ケタミンの精神病誘発作用を逆転させる有望な方法であることが示されている。(非特許文献13−16)。
【0005】
よって、本発明では、メチルグリシン誘導体、すなわちベタインまたはベタイン代謝物であるN,N−ジメチルグリシン(DMG)が、ケタミンの抗うつ剤に類似する効果を促進し、ケタミンの精神病誘発作用に対抗する効果について評価した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Koike et al., Behav Brain Res 224:107-11, 2011
【非特許文献2】Maeng and Zarate, Curr Psychiatry Rep 9:467-74, 2007
【非特許文献3】Diamond et al., Journal of Psychopharmacology 28: 536-44, 2014
【非特許文献4】Kallmunzer et al., Journal of Neural Transmission 123:549-52, 2016
【非特許文献5】Messer et al., Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences 22:442-4, 2010
【非特許文献6】Singh et al., The American Journal of Psychiatry appiajp201616010037, 2016
【非特許文献7】Krystal et al, Arch Gen Psychiatry 51:199-214, 1994
【非特許文献8】Perry et al., Psychopharmacology (Berl) 192:253-60, 2007
【非特許文献9】Browne and Lucki, Front Pharmaco l4:161, 2013
【非特許文献10】Burgdorf et al., Neuropsychopharmacology: Official Publication of the American College of Neuropsychopharmacology 38:729-42, 2013
【非特許文献11】Chiu et al., Int J Neuropsychopharmacol 18:1_13, 2015
【非特許文献12】Ibrahim et al., Neuropsychopharmacology: Official Publication of the American College of Neuropsychopharmacology 37:1526-33, 2012
【非特許文献13】Chan, Psychopharmacology (Berl) 198:141-8, 2008
【非特許文献14】Krystal et al., Psychopharmacology 179:303-9, 2005
【非特許文献15】Roberts et al., Neuroreport 21:390-4, 2010
【非特許文献16】Yang et al., Neurosci Lett 469:127-30, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(研究により)本発明のメチルグリシン誘導体、ベタインまたはベタイン代謝物であるN,N−ジメチルグリシン(N,N-dimethylglycine、DMG)が、ケタミンの精神病誘発作用に対抗し得ること、また、ケタミンとともに付加的な抗うつ剤的効果を生じ得ることが見出された。この発見により、上記のメチルグリシン誘導体は、抗精神病薬としての可能性を有し、症状軽減抵抗性うつ病を有する投与対象向けのケタミン症状軽減への追加症状軽減薬として適している可能性があることが示唆される。
【0008】
ある側面では、本発明は、有効量のケタミン、及び、少なくとも二つのメチル基を有するメチルグリシン誘導体を含む付加的抗うつ剤組成物であって、メチルグリシン誘導体は、ベタイン、または、N,N−ジメチルグリシン(DMG)であり、ケタミンの依存症の副作用を減少させることが可能な付加的抗うつ剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態では、上記組成物は、統合失調症を有する投与対象のうつ症状の症状軽減に用いられる。本発明の他の実施形態では、上記組成物は、ケタミンが誘発する精神病誘発性の副作用を低減するのに用いられる。
【0011】
好ましくは、上記組成物に用いられるケタミンの有効量は、うつ病の症状軽減に用いられる1投与対象分の投与量より少ない。また、上記組成物は、ケタミン依存症を予防または症状軽減するのに用いられる。
【0012】
他方、本発明は、うつ病を有する投与対象(ヒトを除く)の症状を軽減する方法に関し
、有効量のケタミン及び少なくとも二つのメチル基を有するメチルグリシン誘導体を含む
組成物であって、メチルグリシン誘導体は、ベタイン、または、N,N−ジメチルグリシン(DMG)であり、ケタミンの依存症の副作用を減少させることが可能な付加的抗うつ剤組成物を需要のある投与対象に投与する。
【0013】
本発明の実施形態では、投与対象(ヒトを除く)は、うつ病状を有する統合失調症を有する投与対象(ヒトを除く)である。本発明の別の実施形態では、投与対象は、難治性のうつ病を有する投与対象(ヒトを除く)である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】時間−サンプリング方法により点数化された強制水泳試験(Forced swimming test、FST)に対するケタミン及びベタイン投与量依存性への影響の評価結果を無動数(動かなくなった試験動物の数)で示す。様々な量のケタミン(3、10、15mg/kg)及びベタイン(10、20、30mg/kg)が投与されたときのFSTに対する急性及び持続性の影響を分析した1日目(A)の結果を示す。全ての値はそれぞれコントロールグループ(対照群)と比較した平均値±SEM(平均値の標準誤差)で、有意差*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001で、表示する。
図1B】同上、8日目(B)の結果を示す。
図2A】ケタミン及びベタインの新規性抑制摂食試験(Novelty suppressed feeding test、NSF)への影響を示す。動物への餌投与を24時間制限し、試験開始1時間前にベタイン(0、10、20及び30mg/kg, i.p.(腹腔内注射))またはケタミン(10mg/kg)を投与し、NSF試験にて餌を摂食するまでにかかった時間(A)を測定した結果を示す。全ての値は、それぞれ食塩水グループと比較した平均値±SEMで、有意差*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001で、表示する。
図2B】ケタミン及びベタインの出現試験(Emergence test)への影響を示す。動物への餌投与を24時間制限し、試験開始1時間前にベタイン(0、10、20及び30mg/kg, i.p.(腹腔内注射))またはケタミン(10mg/kg)を投与し、出現試験にて円筒から離れるまでにかかった時間(B)を測定した結果を示す。全ての値はそれぞれ食塩水グループと比較した平均値±SEMで、有意差*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001で、表示する。
図2C】同上、出現試験にて円筒に入った回数(C)を測定した結果を示す。
図2D】同上、出現試験にて円筒内で過ごした時間(D)を測定した結果を示す。
図3A】ケタミン及びベタインの強制水泳試験(FST)による無動持続時間、奮闘時間、水泳時間への影響を示す。この試験は、異なる投与量のケタミン(3、10、15mg/kg)及びベタイン(10、20、30mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(固定量)投与前にベタイン(10、20、30mg/kg)を投与するグループを含む。1日目及び7日目にて試験を行い、無動持続時間(A)を記録した結果を示す。全ての値は平均値±SEMで、食塩水/食塩水グル−プの有意差は*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001で、食塩水/ケタミングル−プの有意差は#p<0.05で、それぞれ表示する。
図3B】同上、奮闘時間(B)を記録した結果を示す。
図3C】同上、水泳時間(C)を記録した結果を示す。
図4A】ベタインが、ケタミンが誘発する、ローターロッド(Rotarod)試験中の協調運動失調(A)に与える影響を示す。異なる投与量のベタイン(0、30、100mg/kg, i.p.)でマウスの前処理(ベタイン投与)を行い、ケタミン(30mg/kg, i.p.)投与後の10、15、20、25、及び30分後のローターロッド試験において、転落するまでにかかった時間(A)を記録した結果を示す。全ての値は平均値±SEMで、食塩水/食塩水グル−プの有意差は*p<0.05,***p<0.001で、食塩水/ケタミングル−プの有意差は#p<0.05,###p<0.001で、それぞれ表示する。
図4B】ベタインが、ケタミンが誘発するプレパルス抑制(Prepulse inhibition test、PPI)欠陥試験中の聴覚性驚愕反応(B)に与える影響を示す。異なる投与量のベタイン(0、30、100mg/kg, i.p.)でマウスの前処理(ベタイン投与)を行い、ケタミン(30mg/kg, i.p.)投与後の10、15、20、25、及び30分後の聴覚性驚愕反応前のプレパルス抑制(PPI)欠陥(B)を測定した結果を示す。全ての値は平均値±SEMで、食塩水/食塩水グル−プの有意差は*p<0.05,***p<0.001で、食塩水/ケタミングル−プの有意差は#p<0.05,###p<0.001で、それぞれ表示する。
図5】新物体識別試験(Novel object recognition test、NORT)に対する、ケタミンが誘発する(行動上の)欠陥に対するベタインの影響を示す。ケタミン(30mg/kg)投与の30分前に、食塩水及びケタミン(0、30、及び100mg/kg, i.p.)でマウスに対し前処理(食塩水及びケタミン投与)を行い、5分経過後、新物体識別試験中のトレ−ニング期を行い、さらに24時間後、記憶保持試験を行って、新物体を探索するのに必要とした時間及び総探索時間を測定した結果を示す。全ての値は、平均値±SEMで表示し、食塩水/食塩水グル−プの有意差は***p<0.001で、食塩水/ケタミングル−プの有意差は#p<0.05,###p<0.001で、それぞれ表示する。
図6】社会的行動試験の中で、ケタミンが誘発する(行動上の)欠陥に対するベタインの影響を示す。社会的行動試験は、同じ処理がされ、異なる籠から出したマウスを試験エリアに入れ、マウスが社会的行動に費やす時間を記録するものである。全ての値は平均値±SEMで、食塩水/食塩水グル−プの有意差は***p<0.001で、食塩水/ケタミングル−プの有意差は#p<0.05,###p<0.001で、それぞれ表示する。
図7A】ケタミンが誘発する立ち直り反射(正向反射)消失に対するベタインの影響を示す。麻酔量ケタミン(100mg/kg)の投与30分前に、ベタイン(0、300、または600mg/kg)でマウスを処理(ベタイン投与)し、立ち直り反射消失までにかかった時間を記録した結果を示す。全ての値は、平均値±SEMで表示する(n=7)。
図7B】同上、立ち直り反射消失の継続時間を記録した結果を示す。
図8A】は、オープンフィールド試験における自発運動性、及びケタミンが誘発する自発運動性亢進に対するベタインの影響を示す。自発的運動性を2時間記録後、ベタイン(0、30、100mg/kg, i.p.)投与し、移動距離(図8A)を60分記録した結果を示す。全ての値は平均値±SEMで、食塩水/食塩水グループの有意差は*p<0.05,**p<0.01で表示する。
図8B】同上、ベタイン(0、30、100mg/kg, i.p.)投与後、中央にいた時間(図8B)を60分記録した結果を示す。
図8C】同上、ベタイン(0、30、100mg/kg, i.p.)投与の30分後にケタミン(30mg/kg)投与し、ケタミンが誘発する自発運動性亢進に対するベタインの影響を測定した結果を示す(図8C)。
図8D】同上、ベタイン(0、30、100mg/kg, i.p.)投与の30分後にケタミン(30mg/kg)投与した後の総移動距離を30分測定する(図8D)。
図9】ケタミン及びDMGのFST試験中の無動持続時間への影響を示す。マウスは1日目に予備試験を15分間受け、次の日、食塩水またはケタミン(10mg/kg)投与の30分前にDMG(0、10、20または30mg/kg)投与され、ケタミン投与された30分後、マウスに対して本試験が6分間行われ、最後の4分間の無動継続時間を記録した結果を示す。全ての値は平均値±SEM(n=7−8/グループ)で、表示する。使用されたマウスの数は括弧内に表示する。食塩水/食塩水グループに対する有意差は*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001で、食塩水/ケタミングループの有意差は#p<0.05である。
図10】ローターロッド試験の中で、ケタミンが誘発巣る協調運動失調に対するDMGの影響を示す。マウスは予めDMG(0、30及び100mg/kg)で予備処理(DMG投与)を受け、食塩水またはケタミン(30mg/kg)投与の10、15、20、25及び30分後に、ローターロッド試験中、転落するまでの時間を記録した結果を示す。全ての値は、平均値±SEMで、食塩水/ケタミングループの有意差は#p<0.05で、表示する。
図11】ケタミンが誘発する聴覚性驚愕反応のプレパルス抑制(PPI)欠陥試験に与えるDMGの影響を示す。食塩水またはケタミン(30mg/kg)投与の30分前に、予めDMG(0、30及び100mg/kg)でマウスに対して予備処理(DMG投与)を行い、PPIを測定したものを示す。全ての値は、平均値±SEMで(n=10−12/グループ)、食塩水/食塩水グループの有意差は*p<0.05,***p<0.001で、食塩水/ケタミングループの有意差は###p<0.001で、表示する。
図12A】ケタミンが誘発する自発運動性亢進に与えるDMGの影響を示す。自発運動性を2時間記録後、120分経過時点でDMG(0、30及び100mg/kg)投与し、150分経過時点でケタミン(30mg/kg)投与した結果を示す。食塩水/食塩水グループをコントロールグループとする。全ての値は、平均値±SEM(n=9/グループ)で、表示する。食塩水/食塩水グループの有意差は***p<0.001で、食塩水/ケタミングループの有意差は###p<0.001で、それぞれ示す。
図12B】同上、ケタミン投与30分後時点での総移動距離を測定した結果を示す。
図13】新物体識別試験の中で、ケタミンが誘発する(行動上の)欠陥に対するDMGの影響を示す。食塩水またはケタミン(30mg/kg)投与30分前に、DMG(0、30及び100mg/kg)でマウスに対して前処理(DMG投与)を行い、開始30分後及び24時間後に(移動した後の)新位置及び新物体識別試験プログラムを行った結果を示す。新位置及び新物体探索に必要とした時間及び総探索時間を測定した。全ての値は、平均値±SEM(n=8/グループ)で、食塩水/食塩水グループの有意差は*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001で、食塩水/ケタミングループの有意差は###p<0.001。
図14A】ケタミンが誘発する立ち直り反射消失に対するDMGの影響を示す。麻酔量ケタミン(100mg/kg)投与30分前に、DMG(0、100または300mg/kg)でマウスを処理(DMG投与)した。立ち直り反射消失にかかった時間を記録した結果をする。全ての値は、平均値±SEMで表示する(n=8/グループ)。
図14B】同上、立ち直り反射消失継続時間を記録した結果を示す。
図15】比率累進(Progressive Ratio schedule、PR)試験において、ある投与量範囲で(0.1−0.5mg/kg)、(マウスによる)ケタミン自己投与(self-administration)に対するベタイン処理(投与)の影響を示す。ラテン方角法のデザインを使用し、ラットはベタイン(0、30、及び100mg/kg)で前処理を行い、投与回数、限界点(breaking point)、及びレバー押し反応を記録した結果を示す。全ての値は、平均値±SEMで(n=8/グループ)、被投与グループに対する有意差は*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001で、表示する。
図16】PR試験における、DMG(100mg/kg)前処理のケタミン(0.3mg/kg)自己投与への影響を示す。ラテン方角法を使用し、ラットはベタイン(0、及び100mg/kg)で前処理(ベタイン投与)を行い、投与回数、限界点、及びレバー押し反応を記録した結果を示す。平均値±SEMで表示する(n=4/グループ)。
【0015】
(実施形態)
本明細書では、「メチルグリシン誘導体」は、少なくとも二つのメチル基を有するメチルグリシン誘導体である。
メチルグリシン誘導体の例として、ベタイン、及びベタイン代謝物N,N−ジメチルグリシン(DMG)が挙げられる。
メチルグリシン誘導体の例として、ベタイン、または、N,N−ジメチルグリシン(DMG)の医薬として使用可能なその塩類を含む。
【0016】
ケタミン(または、RS−ケタミン)は、同等分量のR−ケタミン及びS−ケタミンを含むセラミ混合物である。
よって、本明細書では、「ケタミン」とは、ケタミン、または、その異性体を言う。
「ケタミン」は、ケタミンと類似し、抗うつ効果を有し、医薬として使用可能な塩類及び活性代謝物を含む。
【0017】
本発明は、症状軽減を必要とする投与対象のうつ症状症状軽減のための、有効量のケタミンとメチルグリシン誘導体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の抗うつ剤の組成物は、ケタミンの副作用を低減する、ケタミンの症状軽減効果を強化する、及び/または、ケタミン依存症を予防または症状軽減することに用いられる。
【0018】
本明細書で使われている「症状軽減」とは、うつ病投与対象、またはケタミンの副作用を患っている投与対象に対し、有効量のケタミン及び/またはメチルグリシン誘導体を投与し、病気またはその症状を症状軽減治癒、症状軽減、緩和、軽減、または、改善する目的を達成することである。
「有効量」は、ケタミンとメチルグリシン誘導体が投与対象に対して望ましい効果を生じさせる量である。当業者ならばわかるように、有効量は、投与経路、賦形剤などの使用によって変化する。
【0019】
例えば、ケタミンとメチルグリシン誘導体とを、うつ病を有する、またはケタミンの誘発作用により損傷された試験動物(例えば、一つのマウスモデル)に投与して、その症状軽減効果を分析することができる。これらの結果に基づき、適切な投与量の範囲、及び投与経路を決定することができる。
こうして得られた対試験動物投与量は、体重に基づく単純換算によって外挿(補外)してヒト等価用量(HED)とすべきではない。
食品医薬品局(FDA)は、通常mg/m2で表示されるBSAへの正規化によってのみ、対試験動物投与量からHEDへの補外を正確に行うことができると示唆している。
以下の公式を用いて、HEDをより適切に算出できる。
HED(mg/kg)=動物分量(mg/kg)×動物Km/人間Km。
【0020】
本発明の他の特徴及びメリットは、下記の実施形態の中でさらに例示され、かつ説明される。この実施形態は、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0021】
(材料及び方法)
(動物)
雄ICRマウス(8−10週、30−45g)は、BioLASCO Charles River Technology(台湾)により提供されており、箱毎に4−6匹を飼育し、12h光/闇サイクルを実施した。餌と水の摂取は制限しなかった。
雄ラット(300−350g)はBioLASCO Charles River Technology(台湾)により提供され、ケタミンの静脈内の自己投与試験に用いられた。
全ての試験は、中華民国動物保護法に基づき(第三章、動物の科学応用)、(試験実施日の)10:00−17:00の間に行った。台湾慈済大学及び国家衛生研究院の機構である動物配慮及び使用委員会審査委員会による許可の下で行った。
【0022】
(強制水泳試験(FST))
FSTは連続二日行った。マウスを水温が25±2℃であり、高さが18−20cmであるPlexiglasガラス筒(高さ33.5cm,直径20cm)中に入れた。
一回目は、マウスを水の中に15分入れ(予備試験時間)、そして、一週間の間隔を空けて後続試験を二回行った。
24時間後(試験時間第1日)、ケタミン(10mg/kg)または食塩水投与30分前に、異なる量(0、30及び100mg/kg)で測定薬物を投与した。
ケタミンを注射した30分後にマウスに対して試験を行った。再びマウスを水の中に6分間(試験時間)入れ、2分経過した後、マウスの頭が水面以上の所要の位置に保持される以外の活動がない時、これを無動として記録する。
【0023】
(プレパルス抑制(PPI)試験)
プレパルス抑制試験の操作は、本発明の発明者の以前の研究の記述通り(Chen et al., 2102aを参考)である。
簡単に述べると、まず、動物を飼育箱から取り出し、重量をはかり、SR-LAB (San Diego Instruments, San Diego, CA, USA)音声驚愕室の安定保持器に入れ、30分間慣れさせた。ケタミン((30mg/kg))または食塩水を注射する30分前に、投薬(0、30及び100mg/kg)した。ケタミンまたは食塩水を投与後、試験を開始し、5分間の適応させる期間を与え、この期間中において、67−dBのバックグラウンドホワイトノイズを動物に聴かせ、試験中においても継続的に聴かせた。
5回の初期驚愕刺激(120dBの連続パルスであるホワイトノイズ、持続時間40ms)から開始し、下記の適応させる期間の聴覚性驚愕試験を行う。
第一回の5分間初期刺激を受けた後、マウスは、5つの異なる試験を受ける。パルス単独試験(120dBの連続パルスであるホワイトノイズ、持続時間40ms)、3種類のプレパルス及びパルス試験(120dBのパルスを与える前に、20ms継続的に76、81または86dBのホワイトノイズ連続パルス(背景より9、14及び19dB高い)を与え、予備パルスとパルス開始までが100msである試験)、及び、期間中にバックグラウンドノイズのみ与える無刺激試験である。
これらの試験は、ランダムに5回実行される。試験間隔は7_23sであり、全試験とも15分継続する。プレパルス抑制は、パルス単独刺激による驚愕振幅の抑制比率をパーセントで計算する。すなわち、%PPI=(パルス単独試験の値−プレパルス+パルス試験の値/パルス単独試験の値)×100である。
【0024】
(ローターロッド試験)
自動回転棒装置(Singa Technology Co., Ltd.、台湾)を使い、運動協調性を測定した。最大でマウス六匹を用いた。コンピューターで、転落までにかかった時間を測定した(秒単位で)。二、三日の訓練期間内において、まず、一定速度20回転/分(rpm)に設定された回転棒の上でマウスを訓練し、全てのマウスが回転棒の上で3分間止まれるようにした。ケタミン(30mg/kg)または食塩水を注射する30分前に、投薬(0、30及び100mg/kg)し薬物を測定した。そして、ケタミンを注射した10、15、20、25、及び30分後に、マウスの運動協調性を測定した。
【0025】
(オープンフィールド試験)
ケタミンが誘発する自発運動性へのDMGの影響を評価するために、動物を箱の中から取り出し、体重を計り、試験箱(Columbus Auto-Track System, Version 3.0A, Columbus Institute, Columbus, OH, USA)の中に2時間入れた後、ケタミン(30mg/kg)または食塩水を注射する30分前に投薬(0、30及び100mg/kg)し、ケタミンまたは食塩水を注射後に移動距離(cm)を180分間測定した。各試験の間には、70%アルコールを使って測定装置の内面または表面を清潔にし、マウスの残留臭をなくし、(後続の試験への)干渉を抑制した。
【0026】
(新規性抑制摂食試験(NSF))
NSF試験では、マウスに一晩(24時間)餌を与えない期間が設けられる。試験の1時間前に、投薬(0、30及び100mg/kg)し、ケタミンまたは食塩水を投与後、試験中において、単一の餌を新規環境(テスト箱40×40×40cm)に置く。餌を取るまでにかかった時間でうつまたは不安に類似する行為を測定する。
【0027】
(出現試験)
出現試験は、壁に沿って開口端部が曲り角から10cm離れているアルミ筒(深さ10cm×直径6.5cm)を有するテスト箱(35×35×30cm)の中で行った。試験開始の30分前に測定薬物(0,30及び100mg/kg)またはケタミン(10mg/kg)を投与した。マウスを筒の中に入れ、出現試験を10分間行い、三つの行動パラメータ、すなわちアルミ筒から離れるまでにかかった時間、アルミ筒に入った回数、及び、アルミ筒の中での滞在に費やされた総時間を記録した。
【0028】
(新位置及び新物体識別試験)
新位置識別試験(New Location Recognition test, NLRT)及び新物体識別試験(NORT)は、一つの音響減衰室の中で、20Wの電球で照らすPlexiglasガラスオープン箱3×35×30cm)中で行った。
新位置識別及び新物体識別試験は、適応期、訓練期、及び測定期から構成される。
適応期は、毎日二回連続して行われる試験の中で、マウスが物体のない箱の中を20分探索するようにして行われた。そして、マウスをこの箱から出し、元の箱の中に入れた。
訓練期においては、各マウスをこの箱の中に入れて、5分経過後、二つの同じサンプル目標(A+A)を、同時に二つのコーナーに入れた。各マウスがこのサンプル目標を5分間探索するようにした。マウスの頭部と物体との間の距離が1cmまたはもっと小さい距離でこの物体に対面したとき、あるいは、動物が物体に接触または物体をスニッフィングしたとき、動物が物体を探索したと判断される。処理条件を知らされていない試験者が、コード表を使い、(マウスが)物体を探索するのに必要とした時間を記録した。
【0029】
訓練期の後、すぐにマウスを元の箱の中に戻した。訓練期の終了1時間後、新位置識別試験を行った。訓練期と同じの箱の中にマウスを戻し、サンプル目標の一方を新位置(A+A’)に位置させ、位置に対する識別記憶力を測定した。
24時間後、新物体識別試験を行った。マウスが、訓練期と同じ物体及び一つの新物体を有するオープンフィールドを探索するようにし、新物体に対する識別記憶力(A+B)を分析する。マウスが箱を5分間自由に探索するようにさせ、各新物体を探索するのに使われた時間を記録した。(箱は)毎回使用後、70%のアルコールを使ってサンプル目標、及び箱を清潔にした。
好みインデックス(元の物体または新位置/物体を探索するのに使われる時間と使われた全部の時間との比率)を使って、識別記憶力を評価した。
ケタミン(30mg/kg)または食塩水投与30分前に薬物(0,30及び100mg/kg)を投与した。訓練期間中は、ケタミンを投与した30分後に試験を行った。
【0030】
(立ち直り反射の消失(Loss of Righting Reflex、LORR))
麻酔分量のケタミン(100mg/kg)投与30分前に、ベタイン(0,300及び600mg/kg)またはDMG(0,100及び300mg/kg)を投与し、立ち直り反射が消失するまで、マウスを清潔な箱に置いた。その後、(立ち直り反射から)回復するまでマウスをあおむけにし、立ち直り反射消失の発生時間及び継続時間を記録した。立ち直り反射からの回復は、3回連続立ち直りが可能であることと定義される(3回連続立ち直りが可能である場合に立ち直り反射から回復した、と判断される)。
【0031】
(社会的行動試験)
この試験は従来の社会的行動試験(Lin et al., 2010、Qiao et al., 2001)を修正したものである。
一対のマウス間の社会的行動の試験は、一つのオープンフィールドボックス(35×35×30cm)の中で、正常な室内照明の下で行った。二つの異なる箱で飼育され、同じ薬物投与マウスを一対とする。ケタミン(100mg/kg)投与30分前に、薬物(0、100及び300mg/kg)を投与した。5分後、初対面のマウスの各ペアをこの装置に10分入れた。投与条件を知らされていない試験者が、各ペアのマウスの社会的行動に費やした総時間、及び、特定の社会的行動(パートナーをスニッフィングする、付き従う、直立する、及びパートナーの上または下をはう)を記録した。
【0032】
(統計分析)
全ての値は、平均値±SEMで表示する。
ローターロッド試験で得られたデータ、PPI、及び、新位置/新目標識別試験のパーセント比率値は、それぞれ、時間、プレパルス強度、及び測定段階を被験体の内部要因とする双方向反復ANOVA分析(Analysis of Variance、分散分析)を行った。
立ち直り反射消失の継続時間、強制水泳試験での無動時間、及び自発運動性試験での総移動距離から得られたデータは、一方向ANOVAを行った。
Student-Newman-Keuls測定は、事後比較に用いられた。Fisher≡s LSD測定を用い、多重比較を行った。P<0.05は統計上優位と認める。
【0033】
(実施例1.ベタインがケタミン類の抗うつ剤効果を促進する)
(ケタミンとベタインの時間サンプリング方法で評価されたFST試験での投与量依存性への影響)
1日目と8日目において、各種異なる分量のケタミン投与(3、10、15mg/kg)及びベタイン投与(10、20、30mg/kg)のFSTに対する急性及び持続性の影響を分析した結果を示す(図1A及び1B)。
無動性を集計する混合設計ANOVAにより、ケタミン投与(F3,28=13.295,p<0.001)及びベタイン投与(F3,25=11.362,p<0.001)は著しい効果を有し、試験または相関に著しい影響を与えないことが証明された。
事後比較により、ケタミン投与(3、10、15mg/kg)及びベタイン投与(20,30mg/kg)は無動の集計数を著しく減少させることが示された。
【0034】
(ベタインの新規性抑制摂食試験での投与量依存性への影響)
ケタミン(10mg/kg)及びベタイン(10、20、30mg/kg)のNSFに対する影響を試験した(図2A)。
一方向ANOVAの結果が示すように、ケタミン及びベタインの投与が著しい影響(F4,35=5.3,p<0.01)を有することが示された。
事後比較により、ベタイン(30mg/kg)投与マウス及びケタミン(10mg/kg)は、食塩水投与されたマウスに比べ、NSF試験中の摂食までにかかる時間が著しく減少する。
【0035】
(ベタインの出現試験での投与量依存性への影響)
ケタミン(10mg/kg)及びベタイン(30及び100mg/kg)の出現試験に対する影響を試験した(図2B−D)。
一方向ANOVA分析が示すように、筒内での滞在に費やされた総時間において著しい差異(F3,30=4.079,p<0.05)を有するが、筒を離れるまでの時間(F3,30=0.262,p=0.852)及び筒内に入る回数(F3,30=1.592,p=0.212)においては著しい差異がないことが示された。
事後比較により、ケタミンは筒内での滞在に費やされる総時間を著しく低減できることがわかった。
【0036】
上述したように、ベタインは、NSF試験の中の摂食までにかかった時間を減少することができ、これは、抗うつ剤に類似する効果をサポートする。
ケタミンと異なるのは、ベタインは、出現試験の中で、不安を抑制する作用が現れていないことである。
これらのデータが証明できるのは、ベタインと低分量のケタミンとを組み合わせるとき、FST試験の中で相乗効果を発揮するということである。
【0037】
(実施例2.ベタインがケタミンが誘発する精神病状を拮抗する作用)
(ケタミン及びベタインが強制水泳試験(FST)での無動、奮闘、及び水泳継続時間に与える影響)
本試験は、一つのコントロールグループと、それぞれ異なる分量のケタミン(3,10,15mg/kg)、ベタイン(10,20,30mg/kg)、及びケタミン(固定分量10mg/kg)投与前に予めベタイン(10,20,30mg/kg)で投与したグループと、コントロールグループを含む。
無動、奮闘、及び水泳継続時間は図3に示す。混合設計ANOVAが示すように、無動継続時間に対し、著しい影響(F9,75=5.42,p<0.001)を与えることがわかる。試験または相関に著しい影響を与えない。
全ての対毎に行う多重比較は、いずれも、ケタミン(10及び15mg/kg)、ベタイン(20及び30mg/kg)、及びケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(10,20,30mg/kg)投与した組は、無動継続時間が著しく減少したことを示している。
また、ケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(30mg/kg)投与したマウスは、ケタミン(10mg/kg)のみ投与されたマウスに比べ、著しく短い無動継続時間を示した。
【0038】
1日目の試験では、ケタミン(3,10及び15mg/kg)投与グループ、ベタイン(20及び30mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(10,20,30mg/kg)投与を行ったグループは、コントロール(溶媒投与)グループに比べ無動継続時間が著しく減少した。
また、ケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(30mg/kg)投与したマウスは、単にケタミン(10mg/kg)を投与したマウスに比べ無動時間が著しく減少した。
7日目の試験では、ケタミン(15mg/kg)投与グループ、ベタイン(20及び30mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(10,20,30mg/kg)投与を行ったグループでは、コントロール(溶媒投与)グループに比べ無動継続時間が著しく減少した(図3A参照)。
【0039】
奮闘継続時間について、混合設計ANOVA分析が示すように、ベタイン投与(F9,75=2.586,p<0.05)及び試験(F1,75=24.517,p<0.001)で、著しい効果を有する。
全ての対毎に行う多重比較は、いずれも、ケタミン(15mg/kg)投与グループ、ベタイン(20及び30mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(20mg/kg)投与を行ったグループの奮闘継続時間が著しく増加したことを示す。
1日目の試験では、ケタミン(15mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(10mg/kg)投与前に予めベタイン(20mg/kg)投与を行ったグループは、コントロールグループに比べ、奮闘継続時間が著しく増えた。
7日目の試験では、ケタミン(15mg/kg)投与グループ、及びベタイン(30mg/kg)投与グループは、コントロールグループに比べ、奮闘継続時間が著しく増えた(図3B参照)。
【0040】
混合設計ANOVA分析が示すように、ベタイン投与(F9,75=3.096,p<0.01)及び試験(F1,75=4.918,p<0.05)は、水泳継続時間に対し著しい影響を与える。
全ての対毎に行う多重比較は、いずれも、コントロールグループに比べ、ケタミン(10及び15mg/kg)投与グループ、ベタイン(20及び30mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(10mg/kg)投与前予めベタイン(10、20、30mg/kg)投与を行ったグループの水泳継続時間が著しく増加していることを示す。
また、ケタミン(10mg/kg)投与前予めベタイン(30mg/kg)投与を行ったグループは、ケタミン(10mg/kg)投与グループに比べ、水泳継続時間が比較的に長かった。
7日目の試験では、ケタミン(15mg/kg)投与グループ、及び、ケタミン(10mg/kg)投与前にベタイン(10、20、30mg/kg)投与を行うグループは、コントロールグループに比べ、水泳継続時間が著しく長い(図3C)。
【0041】
(ベタイン及びケタミンがローターロッド試験での運動協調性に与える影響)
ベタイン及びケタミンが運動協調性に対する影響を分析するのに使われる試験の中で、混合設計ANOVA分析が示すように、投与(F4,205=107.477,p<0.001)及び時間(F4,205=23.938,p<0.001)は運動協調性に著しい影響を与え、そして、著しい投与×時間の相関を生じる。事後の比較が示すように、ケタミンはローターロッド棒の上での止まっている時間を著しく減少することができるが、ベタイン(30及び100mg/kg)は、ケタミンが誘発する協調運動障害を低減することができる(図4A)。
【0042】
(ベタインがケタミンが誘発するプレパルス抑制欠陥に与える影響)
プレパルス抑制(PPI)試験について、双方向ANOVA分析が示すように、薬物投与(F4.90=5.338,p=0.001)及びプレパルス強度(F2.90=27.215,p<0.001)が主な影響を有し、著しい投与×プレパルス強度の相関(F8.90=2.292,p<0.05)を有する。
単にケタミン投与するとPPIを著しく低減するが、食塩水の前にベタイン投与された組は違う。
多重比較が示すように、予めベタイン(100mg/kg)投与をするとケタミンが誘発するPPIの破壊を著しく低減する(図4B)。
【0043】
(新物体識別試験の中でベタインがケタミンが誘発する欠陥に与える影響)
混合設計ANOVA分析が示すように、薬物投与(F4,29=7.114,p<0.001)及び試験(F1,29=72.776,p<0.001)は著しい影響を有し、著しい処理×試験の相関を有する(F4,29=3.684,p<0.05)。
訓練の中で、投与組の間の識別係数は著しい差異がない。
事後の測定が示すように、ケタミンは識別係数を著しく低減し、ベタイン(30及び100mg/kg)は識別歴程の中でケタミンが誘発する識別障害作用を著しく反転させることができる(図5)。
【0044】
(ベタインがケタミンが誘発する社交減退に与える影響)
一方向ANOVA分析が示すように、薬物投与(総継続時間、F4,39=6.608,p<0.001)は著しい影響を有する。
事後の測定が示すように、ベタインはケタミンが誘発する社交インタラクティブ時間を著しく減少する(図6)。
【0045】
(ベタインがケタミンが誘発する立ち直り反射の消失に与える影響)
ケタミン(100mg/kg, i.p.)は立ち直り反射の消失(LORR)を生じる。一方向ANOVA分析が示すように、予めベタイン(300及び600mg/kg)投与した場合、ケタミンが誘発する立ち直り反射の消失の開始(F2,18=0.76,p=0.482)及び継続時間(F2,18=0.191,p=0.828)に影響を与えない(図7)。
【0046】
(ベタインが運動活性及びケタミンが誘発する自発運動性亢進に与える影響)
一方向ANOVA分析が示すように、ベタイン(30及び100mg/kg)を投与することにより、移動距離(F2,17=0.862,p=0.44)(図8A)及び中央に滞留する時間(F2,17=0.149,p=0.863)(図8B)に影響を与えない。
ベタイン(30及び100mg/kg, i.p.)を注射した30分後にケタミン(30mg/kg)を投与することで、ベタインがケタミンが誘発する自発運動性亢進に与える影響を検査する(図C)。
一方向ANOVA分析により、投与(F3,32=5.157,p<0.01)はケタミン投与後の総移動距離に著しい影響を与えることが証明される(図8D)。
事後の測定が示すように、ケタミンは総移動距離を増やすが、ケタミンが誘発する自発運動性亢進はベタイン投与(30及び100mg/kg)の影響を受けていない。
【0047】
(実施例3.DMG及びケタミンは抗うつ剤に類似する相乗効果が発生する)
(ケタミン及びDMGがFST試験の中での無動継続時間に与える影響)
無動継続時間は図9に示すとおりである。
一方向ANOVA分析が示すように、投与は無動継続時間に著しい影響(F7,53=8.094,p<0.001)を与える。
Student-Newman-Keuls事後の測定が示すように、ケタミン(10mg/kg)組、DMG(0、10、20及び30mg/kg)組、及びケタミン(10mg/kg)を投与する前に予めDMG(0、10、20及び30mg/kg)投与したグループは、無動継続時間が著しく減少する。
また、ケタミン(10mg/kg)を投与する前に予めDMG(30mg/kg)投与したグループは、単にケタミン(10mg/kg)を投与する組に比べ、無動継続時間が著しく短い。
これらの結果は、DMGが強制水泳試験の中で抗うつ剤に類似する効果を有し、ケタミンと組み合わせるとき相乗効果が発生することを示す。
【0048】
(実施例4.DMGはケタミンが誘発する虚偽性精神病行為反応を著しく弱める)
(DMG及びケタミンがローターロッド試験での運動協調性に与える影響)
DMG及びケタミンが運動協調性に与える影響を分析する試験の中で、双方向反復ANOVA分析が示すように、投与(F4,140=49.628,p<0.001)及び時間(F4,140=37.928,p<0.001)は運動協調性に著しい影響を与え、投与×時間の相関(F16,140=6.988,p<0.001)が発生する。
Student-Newman-Keuls事後測定が示すように、ケタミンはローターロッド棒の上で滞留する遅延時間を著しく減少するが、DMG(30及び100mg/kg)はケタミンが誘発する協調運動障害を低減することができる(図10)。
【0049】
(DMGがケタミンが誘発するプレパルス抑制欠陥に与える影響)
図11は、ケタミンにより誘発するプレパルス抑制欠陥に与えるDMGの影響を示す。
双方向ANOVA分析が示すように、投与(F4,106=7.989,p<0.001)及びプレパルス強度(F2,106=19.288,p<0.001)は主な影響を与え、著しい投与×プレパルスの相関(F8,106=2.812,p<0.01)を有する。
Student-Newman-Keuls事後の測定が示すように、ケタミンはPPIを低減し(p<0.01)、予めのDMG(100mg/kg)投与はケタミンが誘発するPPIに対する破壊を著しく弱める(p<0.001)。
【0050】
(DMGがケタミンが誘発するが誘発する自発運動性亢進に与える影響)
測定された運動活性が180分まで達する(図12A)。
120分後、試験ボックスの中で慣れた後、ケタミン(30mg/kg)を投与する前にDMGを投与する。
ケタミン投与後の総移動距離を30分測定する。
図12Bはケタミン投与後の総移動距離を示す。
一方向ANOVA分析により、薬物処理は著しい影響(F3,32=40.53,p<0.001)を有することが証明される。
事後の測定が示すように、ケタミンは移動距離を増やし、DMG(30及び100mg/kg)により前処理されると、ケタミンが誘発する自発運動性亢進を低減する。
【0051】
(新位置及び新物体識別試験にてDMGがケタミンが誘発する識別記憶欠陥に与える影響) 双方向反復ANOVA分析が示すように、薬物処理(F5,84=9.155,p<0.001)及び測定段階(F2,84=25.106,p<0.001)は著しい影響を有し、著しい処理×測定段階の相関(F10,84=3.331,p=0.001)を有する。
Student-Newman-Keuls事後測定が示すように、NLRT及びNORT試験の中で、DMG前処理(100mg/kg)はいずれも、ケタミンが誘発する識別記憶損傷を著しく弱める(図13)。
【0052】
(DMGがケタミンが誘発する立ち直り反射の消失に与える影響)
ケタミン(100mg/kg, i.p.)は立ち直り反射の消失(LORR)を生じる。
一方向ANOVA分析が示すように、DMG(100 and 300 mg/kg)で前処理する場合、ケタミンが誘発する立ち直り反射の消失の開始(F2,21=1.572,p=0.231)及び継続時間(F2,21=0.0636,p=0.939)に影響を与えない(図14A,B)。
【0053】
上述の結果から証明されたように、DMGは抗うつ剤に類似する効果を有し、ケタミンと組み合わせると相乗効果が生じる。
また、DMGは、ケタミンが誘発する虚偽性精神病行為を反転させ、ケタミンの麻酔作用に影響を与えない。
【0054】
結論を述べると、本発明では、NMDA受容体のグリシン部位が部分的作動薬活性を有するメチルグリシン誘導体(例えば、ベタイン及びDMG)は抗うつ剤に類似する効果を有し、ケタミンと組み合わせると相乗する効果が生じることが証明された。
また、メチルグリシン誘導体は、ケタミンが誘発する虚偽性精神病行為を反転させることができ、ケタミンの麻酔作用に影響を与えない。
ベタイン及びDMGがケタミンが誘発する行為に対する反応効果が異なることに基づき、メチルグリシン誘導体がケタミンの薬物動力の変化を引き起こす可能性が非常に低い。
チルグリシン誘導体は、分量の濃度ケタミンが誘発する行為反応に対し異なる影響を有する。
栄養補充剤として、ベタイン及びDMGは安全かつ毒性がないと考えられる。本発明により掲示されたのは、メチルグリシン誘導体は、統合失調症のうつ症状(特に、うつ症状を有する統合失調症投与対象)を症状軽減する新しい指標に用いられる。
また、メチルグリシン誘導体は、補助剤として、ケタミンによる難治性のうつ病投与対象が生じる精神病の副作用を低減するのに用いられる。
【0055】
(実施例5.ベタイン及びその代謝物DMGによるケタミンの依存症の予防または症状軽減)
静脈内自己投薬(IVSA)する動物モデルを用いて、比率累進(PR)試験にて、ベタイン及びその代謝物DMGがケタミン依存症の投与量依存性に対する作用を評価する。
動物に対し手術を行い、ケタミン(0.5mg/kg/毎回投与、訓練分量という)が充満する留置チューブを埋め、FR1作業計画(一回絞ることで輸液を一回行う)に基づき毎日3時間訓練する。
ラットがケタミンの適当な反応(判別基準は、各ラットが連続3日間に得られたケタミンの総レバー押し回数の平均値の偏差が20%より低い)を得てから、FR2作業計画(二回絞ることで輸液を一回行う)に切り替え、反応の安定化が少なくとも3日になるまで継続する。
そして、PR試験を行う。以下の数式により、輸液に必要とするレバー押し回数を計算する。
5×e(輸液回数×0.2)−5(すなわち,1、2、4、6、9、12、15、20、25、32など)。
動物が1時間以内に別の輸液を取得できない場合、PR試験を停止する。
試験は、個体内のラテン方角法のデザインで行い、ベタイン(30,100mg/kg)が自己投与する各種分量に対するケタミン(0.1−0.5mg/kg/毎回投与)の投与量依存性作用、及び、DMG(100mg/kg)が自己投与ケタミン(0.3mg/kg/毎回投与)に対する影響を分析する。
【0056】
結果は図15及び図16に例示されている。
双方向反復ANOVA分析が示すように、ケタミン(F2,28=15.231,p<0.00)及びベタイン(F2,28=16.596,p<0.001)投与は著しい影響を有し、ケタミンとベタインとの間に著しい相関(F4,28=4.093,p<0.01)を有する。
コントロール(溶媒投与)グループの動物において、ケタミンの消耗量は分量効果を有する。
予めベタイン(100mg/kg)投与する場合、ケタミンの0.3と0.5mg/kgのIVSAの投与回数、限界点、及びレバー押し反応が著しく低減する(図15)。
ケタミンのIVSAが示すように、予めDMG(100mg/kg)投与を行うと、ケタミンにより引き起こすレバー押し反応を40%低減する(図16)。
PR試験において、ベタイン及びDMG前投与はケタミンの自己投与を著しく低減し、ベタイン及びその代謝物DMGはケタミンの増強作用効果(efficacy)を著しく低減することを示し、ケタミンの依存症を予防または症状軽減する潜在的な効果を現すことができる。
【0057】
(他の実施態様)
本明細書の中に開示された全ての特徴は、いかなる形でも組み合わせることができる。
本明細書に開示されているいずれの特徴も、同じ、または、類似する目的の代替特徴により替えることができる。
よって、特別に説明された場合を除き、開示されたいずれの特徴も、一般的に等価である、または、類似する一連の特徴の実施例に過ぎない。
【0058】
上述の説明により、当業者は説明された実施例の基本特徴を容易に確認することができ、本発明の明細書に記載されている範囲を逸脱せずに、各種の改良及び修正を行い、各種の用途及び条件に適応することができる。
よって、他の実施例は特許請求の範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16