特許第6967559号(P6967559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967559
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】ペットフード
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/48 20160101AFI20211108BHJP
   A23K 40/20 20160101ALI20211108BHJP
   A23K 10/22 20160101ALI20211108BHJP
【FI】
   A23K50/48
   A23K40/20
   A23K10/22
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-152926(P2019-152926)
(22)【出願日】2019年8月23日
(65)【公開番号】特開2020-36587(P2020-36587A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2020年4月21日
(31)【優先権主張番号】特願2018-162754(P2018-162754)
(32)【優先日】2018年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230076
【氏名又は名称】日本ペットフード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河井 美里
(72)【発明者】
【氏名】安達 昌宏
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−515378(JP,A)
【文献】 特開平09−107889(JP,A)
【文献】 特表2015−526061(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3134051(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01527699(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方が開口した容器本体及び前記容器本体の開口縁部に取り外し可能に接合された蓋体を含む容器内に食材を収容されたペットフードであって、
前記容器本体の前記蓋体の側に配置された第1層と前記第1層上に積層された第2層とを有し、
前記第1層は第1の母材を含み、
前記第2層は前記第1の母材とは異なる第2の母材を含み、
前記第1層は前記第1の母材中に第1の固形食材を含み、前記第2層は前記第2の母材中に前記第1の固形食材とは異なる第2の固形食材を含み、
前記第1の固形食材は前記第1の母材の全体に亘って分散し、前記第2の固形食材は前記第1層との境界部或いは当該境界部の近傍に設けられているペットフード。
【請求項2】
前記第1の母材は気泡を含むムース状であり、前記第2の母材はゲル状である請求項1に記載のペットフード。
【請求項3】
前記第1の母材及び前記第2の母材はゲル化剤を含み、前記第1の母材の前記ゲル化剤の含有量が前記第2の母材の前記ゲル化剤の含有量より大きい請求項1又は2に記載のペットフード。
【請求項4】
前記第1の母材は前記第2の母材と同じ硬さ或いは前記第2の母材より硬い請求項1から3の何れか一項に記載のペットフード。
【請求項5】
前記第2の母材は鰹節の出汁或いは鰹節エキスの少なくとも一つを含む請求項1から4の何れか一項に記載のペットフード。
【請求項6】
前記第1の固形食材は、魚肉或いは鶏肉の少なくとも一つをボイルしたものを含み、
前記第2の固形食材は、鰹節、鮪節、しらす、鮭、舌平目、海老等の魚肉や海老をボイルしたもの、鶏肉をボイルしたもの、蒲鉾、チーズ、麩の少なくとも一つを含む請求項1から5の何れか一項に記載のペットフード。
【請求項7】
前記第1層の母材と前記第2の母材とで光透過性が互いに異なる請求項1から6の何れか一項に記載のペットフード。
【請求項8】
前記容器本体は光透過性の材料により構成されている請求項1から7の何れか一項に記載のペットフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフードに関し、更に詳細には、キャット用に適したウェットタイプのペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットタイプのペットフードとして、健康上の1回の摂食に適した容量の密閉蓋付きのカップ形状の容器にウェットタイプの食物が収納されたペットフードが知られている(例えば、特許文献1)。このペットフードは、1回の摂食毎の食べ切りであるので、常に開封直後の新鮮な食材をキャット等のペットに与えることができると共に衛生的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3134051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャットは、ドッグよりも気まぐれで、食材の嗜好性が高いと言われている。このため、特にキャット用のペットフードとして、1回の摂食量が健康的な量の食物を、途中で飽きることなく、つまり食べ残すことなく積極的に摂食するペットフードの開発が要望されている。このようなペットフードは飼い主のストレスフリーにもなる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、キャット等のペットが1回の摂食量が健康的な量の食物を積極的に摂食するように改善されたペットフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるペットフードは、下方が開口した容器本体(12)及び前記容器本体(12)の開口縁部(12A)に取り外し可能に接合された蓋体(14)を含む容器(16)内に食材(18)を収容されたペットフード(10)であって、前記容器本体(12)の前記蓋体(14)の側に配置された第1層(20)と前記第1層(20)上に積層された第2層(22)とを有し、前記第1層(20)は第1の母材(24)を含み、前記第2層(22)は前記第1の母材(24)とは異なる第2の母材(28)を含む。
【0007】
この構成によれば、摂食の進行に伴って風味や食感等が変化し、1回の摂食量が健康的な量の食材(18)を、単調な摂食に比して飽き難く積極的に摂食するようになる。
【0008】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、第1の母材(24)は気泡を含むムース状であり、前記第2の母材(28)はゲル状である。
【0009】
この構成によれば、第1の母材(24)と第2の母材(28)との相違が明確で、食感が互いに異なったものになる。
【0010】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第2の母材(28)はゲル化剤を含み、前記第1の母材(24)の前記ゲル化剤の含有量が前記第2の母材(28)の前記ゲル化剤の含有量より大きい。
【0011】
この構成によれば、第1の母材24と第2の母材28とで、食感が互いに異なったものになる。
【0012】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1の母材(24)は前記第2の母材(28)と同じ硬さ或いは前記第2の母材(28)より硬い。
【0013】
この構成によれば、第1層(20)と第2層(22)との積層状態が安定する。
【0014】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第2の母材(28)は鰹節の出汁或いは鰹節エキスの少なくとも一つを含む。
【0015】
この構成によれば、第2の母材(28)がキャットにとって嗜好性が高いものになり、キャットが好んで摂食するようになる。
【0016】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1層(20)は前記第1の母材(24)中に第1の固形食材(26)を含み、前記第2層(22)は前記第2の母材(28)中に前記第1の固形食材(26)とは異なる第2の固形食材(30)を含む。
【0017】
この構成によれば、摂食の進行に伴う風味や食感等の変化が顕著になる。
【0018】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1層の母材(24)と前記第2の母材(28)とで光透過性が異なる。
【0019】
この構成によれば、第1層(20)と第2層(22)との相違を明確に目視することができ、意匠性が向上する。
【0020】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記容器本体(12)は光透過性を有する材料により構成されている。
【0021】
この構成によれば、容器本体(12)の収容物、つまり食材(18)を容器(16)の外部から目視によって確認することができる。
【0022】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1の固形食材(26)は、魚肉或いは鶏肉の少なくとも一つをボイルしたものを含み、前記第2の固形食材(30)は、鰹節、鮪節、しらす、鮭、舌平目、海老等の魚肉や海老をボイルしたもの、鶏肉をボイルしたもの、蒲鉾、チーズ、麩の少なくとも一つを含む。
【0023】
この構成によれば、第1の固形食材(26)と第2の固形食材(30)とで風味が互いに異なり、キャットにとって嗜好性が高いものになる。
【0024】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1の固形食材(26)は前記第1の母材(24)の全体に亘って分散し、前記第2の固形食材(30)は前記第2の母材(28)の全体に亘って分散している。
【0025】
この構成によれば、第1の母材(24)の摂食に伴って第1の固形食材(26)を摂食し、第2の母材(28)の摂食に伴って第2の固形食材(30)を摂食することになる。
【0026】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1の固形食材(26)は前記第1の母材(24)の全体に設けられ、前記第2の固形食材(30)は前記第1層(20)との境界部或いは当該境界部の近傍に局所的に設けられている。
【0027】
この構成によれば、摂食の進行に伴う風味や食感等の変化が顕著になる。
【0028】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記第1層の母材(24)と前記第2の母材(28)とで光透過性が互いに異なる。
【0029】
この構成によれば、第1層(20)と第2層(22)との相違を明確に目視することができ、意匠性が向上する。
【0030】
上記ペットフード(10)において、好ましくは、前記容器本体(12)は光透過性を有する材料により構成されている。
【0031】
この構成によれば、容器本体(12)の収容物、つまり、食材(18)を容器(16)の外部から目視によって確認することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるペットフードによれば、ペットが1回の摂食量が健康的な量の食物を積極的に摂食するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明によるペットフードの一つの実施形態を示す斜視図
図2】本実施形態によるペットフードの縦断面図
図3】本実施形態によるペットフードの摂食時の状態を示す縦断面図
図4】本発明によるペットフードの他の実施形態を示す斜視図
図5】本発明によるペットフードの他の実施形態を示す縦断面図
図6】本発明によるペットフードの第1層及び第2層の最大応力の測定結果(平均値)を示すグラフ
図7】本発明によるペットフードの第1層及び第2層の破断応力の測定結果(平均値)を示すグラフ
図8】本発明によるペットフードの第1層及び第2層の破断歪率の測定結果(平均値)を示すグラフ
図9】本発明によるペットフードの第1層及び第2層の最大応力の測定結果(標準偏差)を示すグラフ
図10】本発明によるペットフードの第1層及び第2層の破断応力の測定結果(標準偏差)を示すグラフ
図11】本発明によるペットフードの第1層及び第2層の破断歪率の測定結果(標準偏差)を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明によるペットフードの一つの実施形態を、図1及び図2を参照して説明する。
【0035】
ペットフード10は、下方が開口した樹脂製の容器本体12及び容器本体12の開口縁部12Aに熱溶着等によって剥離可能に接合された密閉封止用の蓋シート(蓋体)14を含む容器16内に食材18を収容されている。容器本体12は、光透過性を有するポリプロピレン等、収容物である食材18が外部より透視可能な材料により構成されている。蓋シート14は、アルミニウムシートの一方の面に熱可塑性樹脂フィルムをコーデングしたもの等であってよい。
【0036】
食材18は、ペットフード10がキャットフードの場合には、キャット用のものが用いられ、容器本体12の蓋シート14の側に配置された第1層20と、第1層20上に積層された第2層22とによる2層になっている。1つの容器16の食材18の総量は、キャットにとって1回の摂食における量が健康的な量であり、15〜30g程度である。
【0037】
第1層20は気泡を含むムース状の第1の母材24を含む。第1の母材24は、加水の程度によって硬さを調整され、後述する第2の母材28を安定して支えることができ且つ第2の母材28と混じり合わないよう、第2の母材28と同じ硬さ或いは第2の母材28より硬く、且つキャットが食べづらくなく、舐めとれる硬さである。
【0038】
第1の母材24は、総量で0.6〜1.2重量%程度、好ましくは0.9重量%のゲル化剤及び0.7〜1.3重量%程度、好ましくは1.04重量%の増粘剤、0.2〜0.5重量%程度の、昆布エキス、フィッシュエキス、酵母エキス、グルタミン酸、ピロリン酸等を含有し、ゲル化剤の含有量及び加水の程度によって上述の硬さを調整されている。第1の母材24は増粘剤の含有量及び加水の程度によってキャットが舐めとり易い粘度に調整されている。
【0039】
第1層20は第1の母材24中に第1の固形食材26を含む。第1の固形食材26としては、鮪等の魚種の魚肉、牛肉或いは鶏肉をボイルしたものを細く砕いたフレーク状のものが挙げられる。第1の固形食材26は、第1の母材24の全体に満遍なく混練されていている。第1の母材24は第1の固形食材26を混練されることにより気泡を含むムース状になる。第1の固形食材26の混練量は第1の母材24の総量に対して25〜35重量%程度でよい。
【0040】
第2層22は、ゲル状、換言するとゼリー状の第2の母材28を含む。より詳細には、第2の母材28は実質的に気泡を含まないゲル状のものであり、気泡を含むムース状の第1の母材24とは異なった物性を有する。
【0041】
第2の母材28は、総量で、85〜95重量%程度、好ましくは92重量%の加水のもとに、1〜2重量%程度、好ましくは0.74重量%のゲル化剤及び0.1〜0.2重量%程度、好ましくは0.13重量%の増粘剤、2〜4重量%程度の、鰹節、鮪節等の出汁或いはそのエキス、昆布エキス、フィッシュエキス、酵母エキス、グルタミン酸、を含有し、ゲル化剤の含有量及び加水の程度によって硬さを調整されている。第2の母材28の硬さは第1の母材24と同じ硬さ或いは第1の母材24より軟らかい。第1の母材24は増粘剤の含有量及び加水の程度によって第1の母材24とは異なる低い粘度(粘り気が少ない)に調整されている。
【0042】
要約すると、第1の母材24及び第2の母材28はともにゲル化剤を含み、第1の母材24のゲル化剤の含有量が第2の母材28のゲル化剤の含有量より大きい。このゲル化剤の含有量の相違により、第1の母材24と第2の母材28とで、食感が互いに異なったものになる。
【0043】
第2の母材28は、キャットの口腔の体温によって口腔内で溶けて香り立つ、口どけの
よい食感を有する。
【0044】
第2の母材28は第1層20の第1の母材24より高い光透過性、つまり透明性を有し、食用着色剤によって黄色、青色、緑色、赤ワイン色等に薄く着色されていてもよい。
【0045】
第2の母材28は、第1の母材24とは食感及び味覚が異なるもので、鰹節、鮪節等の出汁或いはそのエキスを含むことにより、第1の母材24よりキャットが好む高い香気を有していることが好ましい。
【0046】
第2層22は、第2の母材28中に第1の固形食材26とは異なる食材による第2の固形食材30を含む。第2の固形食材30は、鰹節、鮪節、しらす、鮭、舌平目、海老等の魚肉や海老をボイルしたもの、鶏肉をボイルしたものの、蒲鉾、チーズ、麩等のキャットが好む食材の粉砕物が挙げられ、第2の母材28の全体に満遍なく混練されていている。
【0047】
ペットフード10は、キャットによる摂食に際して、図3に示されているように、蓋シート14が容器本体12より剥離され、開口縁部12Aを下側にして食材18が、第1層20と第2層22との積層状態のまま、容器本体12から皿40上に取り出される。食材18が第1層20と第2層22との積層状態のまま、容器本体12から皿40上に取り出され、層が崩れ難いことは、第1の母材24と第2の母材28とで硬さが同じか或いは第1の母材24が第2の母材28より硬いことにより、保証される。つまり、第1層20と第2層22との積層状態が安定する。
【0048】
尚、第1の母材24は、皿40上に取り出された状態の時に、第2の母材28を支えた状態で、皿40上で崩れることなく初期形状を保つ硬さ及び粘性を有する。第2の母材28は、皿40上に取り出された状態の時に初期形状を保つ硬さ及び粘性を有するものでも、常温で第1の母材24の外周に溶け流れるものであってもよい。
【0049】
キャットは、皿40上の食材18を、キャットが好む高い香気を発して比較的柔らかいゼリーによる第2層22の第2の母材28及び第2の固形食材30から食べ始める。特に、第2の母材28が鰹節の出汁、鰹節エキスを含んでいることにより、第2の母材28がキャットにとって嗜好性が高いものになる。そして、キャットが第2の母材28を舐めることで、第2の母材28中に閉じ込められていた魚風味等による第2の固形食材30が現れることになる。キャットは、第2の母材28及び第2の固形食材30の摂食が進むと、第1の固形食材26を含むムースによる第1の母材24を食べることになる。この場合、第1の母材24の摂食に伴って第1の固形食材26を摂食し、第2の母材28の摂食に伴って第2の固形食材30を摂食することになる。
【0050】
これらのことにより、キャットは、一つの積層体による食材18の摂食において、その摂食の進行に伴って風味、食感、香り、硬さが変化し、1回の摂食量が健康的な量の食材18を、単調な摂食に比して飽き難く積極的に摂食するようになる。この結果、キャットは、1回の摂食における健康的な量の食材18を食べ残すことなく摂食する確率が高くなり、キャットの健康促進と共に食べ残しによる食材の無駄な廃棄が少なくなる。
【0051】
ペットフード10は、容器本体12が光透過性を有して、食材18が外部より透視可能であるので、ペットフード10の販売時に、第1層20と第2層22とによる2層構造が見え、ペットオーナーは食材18の内容を目視によって確認でき、購買意欲を高める効果も生じる。第1の母材24と第2の母材28との光透過性が異なるので、第1層20と第2層22相違を明確に目視することができ、意匠性が向上する。
【0052】
次に、本発明によるペットフードの他の実施形態を、図4及び図5を参照して説明する。尚、図4及び図5において、図1に対応する部分は、図1に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、第2の固形食材30は、上述の実施形態の同等の食材で、一つのピースが第1の固形食材26の一つのピースより大きく、第1層20との境界部或いは境界部の近傍に局所的に配置されている。
【0054】
本実施形態では、キャットは、皿40上の食材18を、キャットが好む高い香気を発して比較的柔らかいゼリーによる第2層22の第2の母材28から食べ始める。キャットは、第2の母材28の摂食が進むと、第2の母材28より硬い第2の固形食材30を食べ、続いて第1の固形食材26を含むムースによる第1の母材24を食べることになる。
【0055】
これにより、本実施形態でも、キャットは、一つの積層体による食材18の摂食において、その摂食の進行に伴って風味、食感、香り、硬さが変化し、1回の摂食量が健康的な量の食材18を、単調な摂食に比して飽き難く積極的に摂食するようになる。この結果、キャットは、1回の摂食における健康的な量の食材18を食べ残すことなく摂食する確率が高くなり、キャットの健康促進と共に食べ残しによる食材の無駄な廃棄が少なくなる。
【0056】
キャットは、第2の固形食材30が、透明度が高い第2の母材28を透して第1の母材24上に載っているように見え、第2の母材28を食べれば、第2の固形食材30を食べられることに気付くと考えられ、高いモチベーションをもって摂食する可能性が高まる効果もある。
【0057】
第1層20及び第2層22の硬さに関連する最大応力、破断応力及び破断歪率の測定を、株式会社山電製のクリープメータ(型番RE−33005)を使用して下記の要領によって行った。
【0058】
第1層20の第1の母材24に相当するムース生地による試料1及び第2層22に相当するゼリーによる試料2として、上面が一辺29mmの正方形且つ底面が一辺36mmの正方形で、高さが17mmの寸法の四角錘台形状の試料を各々15個作成した。試料1(ムース生地)の組成は、魚肉39.79重量%、酵母エキス0.11重量%、グルタミン酸0.11重量%、増粘剤(ガラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、加工澱粉、寒天、発酵セルローズ、グァーガム、ウェランガム)2.04重量%、水57.84重量%とした。試料2(ゼリー)の組成は、鰹だし剤2.06重量%、鰹エキス剤1.05重量%、グルタミン酸0.20重量%、酵母エキス0.11重量%、増粘剤(ガラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム)2.59重量%、水95.25重量%とした。
【0059】
クリープメータの試料台に各試料1、2を個別に乗せ、歪率が95%になるまで、直径20mmの円盤型プランジャを用いて圧縮速度5mm/secで圧縮し、各試料1、2の最大応力、破断応力及び破断歪率を測定した。測定結果の平均値を表1、図6図8に、標準偏差を表2、図9図11に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0063】
例えば、第1の母材24は、18〜20重量%程度の鶏卵(全卵)を60〜70重量%程度、好ましくは66重量%の加水のもとに気泡を含むムース状であってもよい。第1の母材24と第2の母材28とはムースとゼリーとの組み合わせに限られることはなく、例えば、硬さが異なるゼリーの組み合わせ等であってもよい。第1の固形食材26及び第2の固形食材30は必須でなく、第1層20は第1の母材24のみで、第2層22は第2の母材28のみであってもよい。また、第1層20と第2層22の片側にのみが第1の固形食材26或いは第2の固形食材30を含んでいてもよい。
【0064】
第1層20と第2層22の少なくとも一方にサプリメント(栄養補助食品)が添加されていてもよい。このサプリメントは、粉末状で、第1の母材24或いは第2の母材28に分散していていも、第1の母材24或いは第2の母材28に溶解していてもよい。この場合には、食材18の摂食に併せてサプリメントが摂食される。
【0065】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 :ペットフード
12 :容器本体
12A :開口縁部
14 :蓋シート(蓋体)
16 :容器
18 :食材
20 :第1層
22 :第2層
22A :母材
24 :第1の母材
26 :第1の固形食材
28 :第2の母材
30 :第2の固形食材
40 :皿
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11