(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967561
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】車両用LEDランプ装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/19 20180101AFI20211108BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20211108BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20211108BHJP
【FI】
F21S41/19
F21S45/47
F21Y115:10
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-160259(P2019-160259)
(22)【出願日】2019年9月3日
(65)【公開番号】特開2020-38830(P2020-38830A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年9月3日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0105211
(32)【優先日】2018年9月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒュン ウー
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−135145(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0225533(US,A1)
【文献】
特開2015−088707(JP,A)
【文献】
特表2014−502062(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0086249(US,A1)
【文献】
特開2015−037056(JP,A)
【文献】
特開2018−092847(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/061868(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/19
F21S 45/47
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクと、
電気回路を備えて、前記ヒートシンクに配置される回路基板と、
前記ヒートシンクと前記回路基板との間に配置され、前記ヒートシンクと接するLEDと、
前記回路基板を通過して前記LEDまで延び、前記回路基板と前記LEDとを電気的に連結する電極接合材とを含み、
前記LEDは、外周端部の一部である第1端部及び前記外周端部の他の一部である第2端部を有し、
前記第1端部は、前記回路基板の外周端部の一部に重なり、
前記第2端部は、前記回路基板に重ならないことを特徴とする車両用LEDランプ装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、
前記回路基板が装着される基板装着部と、
前記基板装着部と一部が重なって形成され、前記LEDが装着されるLED装着部と、
前記LED装着部と連結され、前記LED装着部を介して伝わる熱を放出する延長放熱部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、
前記LED装着部の一側または両側に形成され、前記LEDの設置位置を決定するための指標をなすLED指標部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項4】
前記LED指標部は、
前記LED装着部の一側に形成される第1基準ホール部と、
前記第1基準ホール部との延長線の中間部に前記LEDが位置するように、前記LED装着部を挟んで前記第1基準ホール部に対向して配置される第2基準ホール部とを含むことを特徴とする請求項3に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクは、
前記基板装着部上に前記LEDに対応する高さに上方突出して形成され、前記回路基板を下端支持するたわみ防止支持部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項6】
前記たわみ防止支持部は、
前記回路基板に作用する衝撃力を緩衝可能に上側にエンボシングされた形状を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項7】
前記回路基板は、
前記電気回路が形成される基板本体部と、
前記基板本体部上に貫通して形成され、前記基板本体部の上部から前記基板本体部の下部に位置する前記LEDの電極に向かって延び、前記電極接合材が流入する電極連結ホール部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項8】
前記電極連結ホール部は、
一対の前記電極のうち正極に対応する位置に形成され、相互離隔した複数の第1ホール部がグループをなして配置される第1ホールグループ部を含むことを特徴とする請求項7に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項9】
前記電極連結ホール部は、
一対の前記電極のうち負極に対応する位置に形成され、相互離隔した複数の第2ホール部がグループをなして配置される第2ホールグループ部を含むことを特徴とする請求項7に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項10】
前記電極接合材は、
前記電極連結ホール部の上側に位置した接合素材が高温雰囲気に露出して溶融し、前記電極連結ホール部を介して前記LEDまで下方流動した後、硬化されて形成されることを特徴とする請求項7に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項11】
前記電極接合材は、
前記電極連結ホール部の内部に充填され、上部が前記回路基板と電気的に連結され、下部が前記電極と電気的に連結されることを特徴とする請求項7に記載の車両用LEDランプ装置。
【請求項12】
前記LEDは、
ベース部と、
前記ベース部の上面部に形成され、前記回路基板に対向する基板連結部と、
前記基板連結部上に形成され、前記電極接合材によって前記回路基板と電気的に連結される電極と、
前記ベース部に設けられ、前記電極を介して電気が供給されて光を放出する発光部と、
前記ベース部の底面部に形成され、前記ヒートシンクに接合されるヒートシンク接合部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用LEDランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用LEDランプ装置に関し、より詳細には、車両のヘッドランプに適用できる車両用LEDランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ランプは、特定の目的のために光を供給したり調節する装置をいい、車両装着時、ヘッドランプ(head lamp)、バックライト(backlight)、照明灯、表示灯の機能を行うことができる。LEDを光源としてランプを構成すれば、ランプのデザイン自由度が大きく向上し、長寿命、環境配慮性、低電力などの様々な利点がある。これによって、車両の商品性向上のために車両用ヘッドランプの光源としてLEDが広く適用されている。
【0003】
本発明の背景技術は、大韓民国登録特許第1848557号(2018.04.06.登録、発明の名称:車両用LEDランプユニット)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、車両用LEDランプ装置を製造するにあたっては、回路基板にLEDを接合する表面実装工程を経た後、ワイヤボンディング(wire bonding)、ウェッジボンディング(wedge bonding)などによって、LEDの電極を回路基板と連結する工程を追加的に経ている。これによって、生産性が低下し、工程費用が上昇する問題点があった。また、LEDから放出された熱が回路基板を介してヒートシンクに伝わることにより熱伝導効率が低くなり、冷却性能を確保するためにヒートシンクの大きさが肥大になる問題点があった。
【0005】
したがって、これを改善する必要性が要請される。
【0006】
本発明は、LEDの電極を連結する工程を別途に行う必要がなくて生産性をより向上させることができ、LEDから放出される熱の熱伝導効率をより上昇させてヒートシンクの小型化を実現することができる車両用LEDランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用LEDランプ装置は、ヒートシンクと、電気回路を備えて、前記ヒートシンクに配置される回路基板と、前記ヒートシンクと前記回路基板との間に配置され、前記ヒートシンクと接するLEDと、前記回路基板を通過して前記LEDまで延び、前記回路基板と前記LEDとを電気的に連結する電極接合材とを含むことを特徴とする。
【0008】
前記ヒートシンクは、前記回路基板が装着される基板装着部と、前記基板装着部と一部が重なって形成され、前記LEDが装着されるLED装着部と、前記LED装着部と連結され、前記LED装着部を介して伝わる熱を放出する延長放熱部とを含むことを特徴とする。
【0009】
前記ヒートシンクは、前記LED装着部の一側または両側に形成され、前記LEDの設置位置を決定するための指標をなすLED指標部をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
前記LED指標部は、前記LED装着部の一側に形成される第1基準ホール部と、前記第1基準ホール部との延長線の中間部に前記LEDが位置するように、前記LED装着部を挟んで前記第1基準ホール部に対向して配置される第2基準ホール部とを含むことを特徴とする。
【0011】
前記ヒートシンクは、前記基板装着部上に前記LEDに対応する高さに上方突出して形成され、前記回路基板を下端支持するたわみ防止支持部をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
前記たわみ防止支持部は、前記回路基板に作用する衝撃力を緩衝可能に上側にエンボシングされた形状を有することを特徴とする。
【0013】
前記回路基板は、前記電気回路が形成される基板本体部と、前記基板本体部上に貫通して形成され、前記基板本体部の上部から前記基板本体部の下部に位置する前記LEDの電極に向かって延び、前記電極接合材が流入する電極連結ホール部とを含むことを特徴とする。
【0014】
前記電極連結ホール部は、一対の前記電極のうち正極に対応する位置に形成され、相互離隔した複数の第1ホール部がグループをなして配置される第1ホールグループ部を含むことを特徴とする。
【0015】
前記電極連結ホール部は、一対の前記電極のうち負極に対応する位置に形成され、相互離隔した複数の第2ホール部がグループをなして配置される第2ホールグループ部を含むことを特徴とする。
【0016】
前記電極接合材は、前記電極連結ホール部の上側に位置した接合素材が高温雰囲気に露出して溶融し、前記電極連結ホール部を介して前記LEDまで下方流動した後、硬化されて形成されることを特徴とする。
【0017】
前記電極接合材は、前記電極連結ホール部の内部に充填され、上部が前記回路基板と電気的に連結され、下部が前記電極と電気的に連結されることを特徴とする。
【0018】
前記LEDは、ベース部と、前記ベース部の上面部に形成され、前記回路基板に対向する基板連結部と、前記基板連結部上に形成され、前記電極接合材によって前記回路基板と電気的に連結される電極と、前記ベース部に設けられ、前記電極を介して電気が供給されて光を放出する発光部と、前記ベース部の底面部に形成され、前記ヒートシンクに接合されるヒートシンク接合部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る車両用LEDランプ装置は、LEDがヒートシンクと回路基板との間に配置されることにより、LEDから発生した熱が回路基板を経ずにヒートシンクに直接伝わる。これによって、LEDから発生した熱がヒートシンクに伝わる過程で受ける熱抵抗を最小化することができる。
【0020】
本発明は、前記のように熱抵抗を最小化することにより、同一の熱放出および冷却性能条件を満足させるにあたり、ヒートシンクの幅をより縮小させることが可能である。これによって、ヒートシンクの小型化を実現することができ、さらに、ヒートシンクが装着される車両用LEDランプ装置製品の小型化、軽量化を実現することができる。
【0021】
また、本発明は、電極接合材が回路基板を通過してLEDまで下方延長されながら回路基板とLEDとを電気的に連結するが、このような工程は、表面実装用部品を回路基板に装着する表面実装工程中に同時に行われる。したがって、LEDの電極を回路基板と連結する工程を、表面実装工程と独立して順次に行う必要がなくて生産性をより向上させることができ、これによるコスト節減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置を概略的に示す要部分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置のLEDの電極を回路基板と連結する工程を説明するために示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る車両用LEDランプ装置の実施例を説明する。この過程において、図面に示された線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上誇張されて示されていてもよい。また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者、運用者の意図または慣例によって異なる。そのため、このような用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行われなければならない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1のA部分拡大図であり、
図3は、
図2のB部分拡大図である。
【0025】
図1〜
図3を参照すれば、本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置は、ヒートシンク10と、回路基板(PCB、Printed Circuit Board)20と、LED30と、電極接合材40とを含む。
【0026】
ヒートシンク10は、LED30から伝わる熱を外部に放出してLED30が過熱、損傷するのを防止するための素子で、熱伝導性能を安定的に実現可能な金属材を含む。回路基板20は、車両のバッテリなどから流れる電気をLED30に供給し、LED30の発光性能をサポートするための各種素子と、配線とを含む電気回路(図示せず)を備えて、ヒートシンク10の上部に配置される。
【0027】
LED30は、回路基板20の電気回路を介して供給される電気によって発光する素子で、ヒートシンク10と回路基板20との間に配置される。LED30の下部はヒートシンク10と接し、LED30の上部は回路基板20と接する。電極接合材40は、回路基板20を貫通してLED30まで延びることにより、回路基板20の電気回路(図示せず)とLED30の上部に形成された電極33とを電気的に連結する。
【0028】
図4は、
図1のC−C’線断面図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置を概略的に示す要部分解斜視図である。
【0029】
図1、
図5を参照すれば、本発明の一実施形態に係るヒートシンク10は、基板装着部11と、LED装着部12と、延長放熱部13と、LED指標部14、たわみ防止支持部17とを含む。
【0030】
基板装着部11は、回路基板20が装着される部分で、回路基板20に対応する幅に形成される。LED装着部12は、LED30が装着される部分で、LED30に対応する幅に形成され、基板装着部11と一部が重なる。LED30は、LED装着部12上にボンディング接合される。基板装着部11とLED装着部12とが重なる部分に、回路基板20の電極連結ホール部22とLED30の電極33が位置する。
【0031】
延長放熱部13は、LED装着部12を介して伝わる熱を放出する部分で、基板装着部11、LED装着部12と連続して連結される。延長放熱部13は、周辺素子(図示せず)との組立、設置環境などを考慮して多様な形状を有することができ、多様な方向に折曲げられて形成される。LED30で生成された熱は、LED装着部12に直接伝わり、延長放熱部13を介して大気に放出される。このような作用によって、LED30の過熱を防止することができる。
【0032】
延長放熱部13が拡張された幅を有するほど熱放出および冷却性能を安定的に確保することができるが、本願発明によれば、前記のように、LED30で生成された熱が他の部材(例えば、回路基板20)を経ずにLED装着部12を介して直接ヒートシンク10に伝わる。これによって、LED30が回路基板20の上部に実装される場合と比較して、熱抵抗が著しく減少し、延長放熱部13の幅をより縮小させても、同じ程度の熱放出および冷却性能を実現することができる。
【0033】
実験の結果、LED30が回路基板20の上部に実装された比較対象製品の場合、熱抵抗2.6K/W、放熱面積18138mm
2であり、本願発明に係る試作品の場合、熱抵抗1.1K/W、放熱面積15260mm
2であることを確認した。本願発明によれば、前記のような作用によって延長放熱部13の幅を著しく縮小させることができ、LEDランプ装置のヒートシンク10および車両用LEDランプ装置の小型化、軽量化を実現することができる。
【0034】
LED指標部14は、LED30の設置位置を決定するための指標をなす部分で、LED装着部12の一側または両側に形成される。
図2、
図5を参照すれば、本発明の一実施形態に係るLED指標部14は、第1基準ホール部15と、第2基準ホール部16とを含む。
【0035】
第1基準ホール部15は、LED装着部12の一側に延長放熱部13を上下に貫通して形成される。第2基準ホール部16は、LED装着部12を挟んで第1基準ホール部15に対向して配置される。第2基準ホール部16も、第1基準ホール部15と同じく、延長放熱部13を上下に貫通して形成される。
【0036】
LED30乃至LED装着部12をヒートシンク10上の設定位置に配置するにあたっては、第1基準ホール部15および第2基準ホール部16を第1基準位置として、第1基準ホール部15と第2基準ホール部16とを結ぶ延長線の中間部を第2基準位置として導出した後、x方向(第1基準ホール部15と第2基準ホール部16とを結ぶ延長線と並ぶ方向)、y方向(x方向と直交する方向)の公差±0.05mmをおいて、第2基準位置にLED30乃至LED装着部12を配置することができる。
【0037】
LED30をLED装着部12に配置した後には、PCB検査工程に用いられる位置確認装置(例えば、自動光学検査(AOI)装置)を用いて配置位置を確認することができる。前記のような過程を経て、LED30の配置精度と組立信頼度を安定的に確保することができる。
【0038】
たわみ防止支持部17は、回路基板20を下端で支持する素子で、基板装着部11上でLED30に対応する高さに上方突出して形成される。
図4、
図5を参照すれば、たわみ防止支持部17は、基板装着部11を横切る線状の形態で、回路基板20の一の側部と他の側部に相当する2箇所で所定の間隔をおいて並ぶように形成され、回路基板20が一方に傾いたり、回路基板20の一部(例えば、LED30と近接した一端部、または中間部)が垂れ下がるのを防止する。
【0039】
LED30は、回路基板20とヒートシンク10の一側に偏重して配置されるが、前記のようにたわみ防止支持部17を形成することにより、回路基板20とヒートシンク10との間にLED30を装着可能な空間部をLED30に対応する高さに安定して形成することができ、LED30によって回路基板20が他の側に傾いたり一部が垂れ下がるにつれて電極接合材40にクラックが発生したり、破断するのを防止することができる。
【0040】
また、たわみ防止支持部17は、上側に凹凸の形状を有することにより、回路基板20に作用する衝撃力を緩衝させるクッションの機能をするので、衝撃力に対する耐久性をより向上させることができる。ヒートシンク10は、アルミニウム(Al)板材を切断、折曲げて製作することができ、プレス加工などによって上方突出した形態のエンボス(embossing)を形成することにより、たわみ防止支持部17を容易に形成することができる。
【0041】
図3、
図5を参照すれば、本発明の一実施形態に係る回路基板20は、基板本体部21と、電極連結ホール部22とを含む。
【0042】
基板本体部21は、車両のバッテリ(図示せず)などから流れる電気をLED30に供給し、LED30の発光性能をサポートするための各種素子と、配線とを含む電気回路(図示せず)が形成される素子で、ヒートシンク10の基板装着部11に配置、及び載置される。基板本体部21には、車両バッテリなどの電源と電気回路とを電気的に連結するためのコネクタ29が装着される。基板本体部21としては、FR(Frame Retadent)4PCBを適用することができる。
【0043】
電極連結ホール部22は、電極接合材40が流入、流動、収容される通路をなす部分で、基板本体部21上に上下に貫通して形成される。電極連結ホール部22は、基板本体部21の上部から基板本体部21の下部に位置するLED30の電極33に向かって延びるように形成される。電極連結ホール部22は、基板装着部11とLED装着部12とが重なる部分に対応する位置に形成される。より具体的には、電極連結ホール部22は、LED30に備えられる一対の電極33のそれぞれに対応する位置に形成される。本発明の一実施形態に係る電極連結ホール部22は、第1ホールグループ部23と、第2ホールグループ部25とを含む。
【0044】
第1ホールグループ部23は、一対の電極33のうち正極34に対応する位置に形成され、相互離隔した複数の第1ホール部24がグループをなして配置された構造を有する。第2ホールグループ部25は、一対の電極33のうち負極35に対応する位置に形成され、相互離隔した複数の第2ホール部26がグループをなして配置された構造を有する。第1ホール部24と第2ホール部26は、マイクロ(micro)サイズに形成される。
【0045】
電極連結ホール部22を形成するにあたり、電極33それぞれに対応する位置に1つのホール部を形成するのではなく、前記のようにより微細な直径を有する複数のホール部(第1ホール部24、第2ホール部26)をグループ化して形成することにより、溶融した形態の電極接合材40が一側に偏重せず、複数のホール部を介して電極33全般にわたって均等に到達可能で、構造的安定性、強固性を確保することができる。また、ホール部の形成による基板本体部21の剛性低下をより低減させることができる。
【0046】
図3、
図5を参照すれば、本発明の一実施形態に係るLED30は、ベース部31と、基板連結部32と、電極33と、発光部36と、ヒートシンク接合部37とを含む。
【0047】
ベース部31は、LED30の基本骨組をなす部分で、ヒートシンク10上の定位置に(すなわち、LED装着部12に)載置されやすい平坦な底面部と、回路基板20の底面部と安定して接することができる平坦な上面部とを有する平らなチップ(chip)形状を有する。基板連結部32は、回路基板20に対向する部分で、ベース部31の上面部に形成される。LED30が基板連結部32を有するというのは、LED30の一部が回路基板20の一部と重なることを意味する。
【0048】
電極33は、電極接合材40によって回路基板20と電気的に連結される部分で、基板連結部32上に形成される。電極33は、正極34と負極35とを含む一対が備えられ、電極33の上部は、第1ホールグループ部23と第2ホールグループ部25とを含む電極連結ホール部22と連通する。
【0049】
発光部36は、電極33を介して電気が供給されて光を放出する素子で、ベース部31のうち基板連結部32でない部分に設けられ、回路基板20との干渉なく光を放出する。ヒートシンク接合部37は、ヒートシンク10に接合される部分で、ベース部31の底面部に形成される。発光部36から光を放出しながら生成された熱は、ヒートシンク接合部37を介してヒートシンク10のLED装着部12に直接伝わり、延長放熱部13を介して大気に放出される。
【0050】
前記のようにLED30で生成された熱が回路基板20を経ずに直接ヒートシンク10に伝わることにより熱抵抗を最小化することができ、これによって、熱放出および冷却性能をより向上させることができる。このような作用によって、LED30の過熱を効率的に防止することができ、車両用LEDランプ装置の小型化、軽量化を実現することができる。
【0051】
図6は、本発明の一実施形態に係る車両用LEDランプ装置のLEDの電極を回路基板と連結する工程を説明するために示す概念図である。
【0052】
図3、
図6を参照すれば、電極接合材40は、電極連結ホール部22の内部に充填された状態で、電極連結ホール部22の下部まで延びてLED30と接合された構造を有する。この時、電極接合材40のうち電極連結ホール部22の上部、内部に位置する一部は回路基板20の電気回路(図示せず)と電気的に連結され、下部はLED30の電極33と連結される。
【0053】
電極接合材40の原料になる接合素材40aを、
図6(a)に示されるように、回路基板20の電極連結ホール部22の上部に位置させ、
図6(b)に示されるように、回路基板20の下側にLED30が位置するように配置したまま高温雰囲気に露出させると、高温雰囲気で溶融した接合素材40aが自然と電極連結ホール部22に流入する。電極連結ホール部22に流入した接合素材40aは、
図6(c)に示されるように、電極連結ホール部22の内部を充填させながらLED30の電極33まで下方流動した後、冷却、硬化される。電極接合材40は、前記のような過程を経て形成される。
【0054】
図6(a)に示されるような工程は、PCBインクを回路基板20に転写するシルクスクリーンプリンティング工程中に行われ、
図6(b)に示されるような工程は、ピックアンドプレース(Pick−and−Place)工程中に行われ、
図6(c)に示されるような工程は、リフローソルダリング(reflow soldering)工程中に行われる。すなわち、本発明に係る回路基板20、LED30を電極接合材40で連結する工程は、表面実装技術(SMT、Surface Mount Technology)によって回路基板20上に表面実装型部品を装着、ハンダ付けする工程中にともに行われる。
【0055】
本発明の構成によれば、電極接合材40で回路基板20とLED30とを電気的に連結する工程が、前記のように回路基板20に各種素子とコネクタなどの表面実装型部品を装着する表面実装工程と別途に行われず、同時に実施可能で、表面実装工程と、LED30の電極を形成した工程が、順次、独立して行われていた従来と比較して生産性を著しく向上させることができる。
【0056】
前記のような構成を有する本発明に係る車両用LEDランプ装置によれば、LED30がヒートシンク10と回路基板20との間に配置されることにより、LED30で発生した熱が回路基板20を経ずにヒートシンク10に直接伝わる。これによって、LED30で発生した熱がヒートシンク10に伝わる過程で受ける熱抵抗を最小化することができる。
【0057】
本発明によれば、前記のように熱抵抗を最小化することにより、同一の熱放出および冷却性能条件を満足させるにあたり、ヒートシンク10の幅をより縮小させることが可能である。これによって、ヒートシンク10の小型化を実現することができ、さらに、ヒートシンク10が装着される車両用LEDランプ装置製品の小型化、軽量化を実現することができる。
【0058】
また、本発明によれば、電極接合材40が回路基板20を通過してLED30まで下方延長されながら回路基板20とLED30とを電気的に連結するが、このような工程は、表面実装用部品を回路基板に装着する表面実装工程中に同時に行われる。したがって、LED30の電極33を回路基板20と連結する工程を、表面実装工程と独立して順次に行う必要がなくて生産性をより向上させることができ、これによるコスト節減を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
10:ヒートシンク
11:基板装着部
12:LED装着部
13:延長放熱部
14:LED指標部
15:第1基準ホール部
16:第2基準ホール部
17:たわみ防止支持部
20:回路基板
21:基板本体部
22:電極連結ホール部
23:第1ホールグループ部
24:第1ホール部
25:第2ホールグループ部
26:第2ホール部
30:LED
31:ベース部
32:基板連結部
33:電極
34:正極
35:負極
36:発光部
37:ヒートシンク接合部
40:電極接合材
40a:接合素材