(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塩基性クエンチャーが、前記フォトレジスト層と前記フォトレジスト上塗り組成物との間の界面において段階的なもしくは分離した層を形成する、請求項1または2に記載の方法。
前記フォトレジスト上塗り組成物の前記有機溶媒が、アルキルブチラート、アルキルプロピオナート、またはケトンから選択される溶媒を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業においては、フォトレジスト材料は、半導体基体上に配置される金属、半導体および誘電体層のような1以上の下層に、並びに基体自体に像を転写するために使用される。半導体デバイスの集積密度を増大させかつナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像能を有するフォトリソグラフィ処理ツールおよびフォトレジストが開発されてきており、かつ開発され続けている。
【0003】
ポジティブトーン化学増幅型フォトレジストは、従来、高解像処理のために使用されている。このレジストは典型的には酸不安定脱離基を有する樹脂および光酸発生剤を使用する。化学線への露光は酸発生剤に酸を形成させ、この酸は露光後ベーク中に、樹脂中の酸不安定基の開裂を引き起こす。このことが、水性アルカリ現像剤溶液中で、レジストの露光領域と未露光領域との間の溶解度特性の差を造り出す。このレジストの露光領域は水性アルカリ現像剤中で可溶性であって、そして基体表面から除去されるが、この現像剤中で不溶性である未露光領域は現像後に残ってポジティブ像を形成する。
【0004】
半導体デバイスにおいてnmスケールのフィーチャサイズを達成するための1つの手法は、化学増幅型フォトレジストの露光の際の短波長、例えば、193nm以下の光の使用である。リソグラフィ性能をさらに向上させるために、像形成装置、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数(NA)を効果的に増大させる液浸リソグラフィツールが開発されてきた。これは、像形成装置の最終面と半導体ウェハの上面との間に、比較的高い屈折率の流体(すなわち、液浸流体)を使用することにより達成される。液浸流体は、空気または不活性ガス媒体を用いて起こるであろうよりも、より多量の光がレジスト層に焦点を合わせられることを可能にする。液浸流体として水を使用する場合には、最大開口数は、例えば、1.2から1.35に増大されうる。開口数のこのような増大によって、単一の露光プロセスにおいて40nmハーフピッチ解像度を達成することを可能にし、それにより向上したデザイン収縮を可能にする。しかし、この標準の液浸リソグラフィ方法は概して、より高い解像度を必要とするデバイスの製造に、例えば、32nmおよび22nmハーフピッチノードに適していない。
【0005】
材料および処理の双方の観点から、ポジティブトーン現像で達成されるのを超えて実際の解像能を拡大させるためにかなりの努力がなされてきた。そのような例の1つは従来のポジ型化学増幅型フォトレジストのネガティブトーン現像(NTD)を伴う。このNTDプロセスは限界的な暗いフィールド層を印刷するための明るいフィールドマスクを用いて得られる優れた像形成品質の使用により、標準のポジティブトーン像形成と比較して向上した解像度およびプロセスウインドウを可能にする。NTDレジストは典型的には酸不安定(acid−labile)(または、酸により開裂可能な)基を有する樹脂と光酸発生剤とを使用する。化学線への露光は光酸発生剤に酸を形成させ、この酸は、露光後ベーキング中に酸不安定基の開裂をもたらし、露光領域における極性切り替えを引き起こす。その結果、そのレジストの未露光領域が有機現像剤、例えば、ケトン、エステルもしくはエーテルによって除去されることができ、不溶性の露光領域によって作られるパターンを残すことができるように、そのレジストの露光領域と未露光領域との間に溶解度特性の差がつくり出される。
【0006】
フォトレジスト成分の漏出および露光光学ツールの汚染を回避し、並びに反射防止特性を提供するための、液浸リソグラフィにおけるフォトレジストと液浸流体との間の保護バリア材料の使用が知られている。このバリア層は、スピンコーティングプロセス中にレジスト層上面に自己分離するフォトレジスト組成物に添加される成分から形成されうる。あるいは、フォトレジスト層の上に上塗りもしくはトップコート層を形成するために、フォトレジストとは別の組成物が使用されうる。米国特許出願公開第2011/0020755A1号は、レジスト膜を露光する前にレジスト膜上に保護膜を形成し、このレジスト膜を液浸媒体を介して露光し、そしてネガティブ現像剤で現像を行うことを伴うNTD方法を開示する。この保護膜組成物は、レジスト膜を溶解することなくレジスト膜の上にこの保護膜を均一に適用するための溶媒と、193nmの光に対して透明性を有する芳香族基を有さない樹脂と、場合によっては界面活性剤とを含む。
【0007】
本発明者によって、NTDプロセスから生じる現像されたレジストパターンにおいてコンタクトホールの「ネッキング(necking)」またはラインおよび溝パターンにおける「T−トッピング(T−topping)」が起こりうることが観察された。コンタクトホールパターン形成の場合におけるこの結果は
図1に示される。基体100はパターン形成される1以上の層102、フォトレジスト層104および液浸トップコート層106で覆われた。
図1Aに示されるように露光領域および未露光領域間に溶解度の差を作り出すために、フォトレジスト層は活性化放射線108でフォトマスク110を通して露光される。このフォトマスクは光学的に透明な領域112および光学的に不透明な領域114を有し、これらはそれぞれ、後の現像工程において残るレジスト層の領域、および除去されるレジスト層の領域に対応する。露光後ベーク(PEB)の後で、
図1Bに示されるように、極性切り替えされた領域と切り替えされていない領域との間の境界(破線116)によって画定される潜像がフォトレジスト中に形成される。この極性切り替えは、望ましくないことに、レジスト表面においては、露光工程中に不透明マスクパターン114の下にある領域118まで広がる。これは、フォトマスク不透明パターンの端の下の迷光の拡散の結果であると考えられている。有機現像剤での現像中に、
図1Cに示されるように、トップコート層106およびフォトレジスト層104の未露光(切り替えされていない)領域が除去されて、コンタクトホールパターン120を形成する。この得られたパターンは、レジスト層上面において、極性切り替えされたレジスト領域118が除去されていないネッキングを示す。「ネッキング」または「T−トッピング」の発生は、概して、劣ったプロセスウインドウ、例えば、焦点深度および露光寛容度を生じさせる。これらの問題は、例えば、ランダムなコンタクトホール欠失を導くか、または狭い溝もしくはラインパターン形成の場合のマイクロブリッジ欠陥を導く場合があり、それによりデバイス収率に悪影響を及ぼしうる。上記米国特許出願公開第2011/0020755A1号文献は、形成されたレジストパターンにおけるT−トッピングもしくはネッキングの問題、またはそれに対する解決策を認識していない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において使用される場合、「g」はグラムを意味し;「重量%」は重量パーセントを意味し;「L」はリットルを意味し;「mL」はミリリットルを意味し;「nm」はナノメートルを意味し;「mm」はミリメートルを意味し;「min」は分を意味し;「h」は時間を意味し;「Å」はオングストロームを意味し;「モル%」はモルパーセントを意味し;「Mw」は重量平均分子量を意味し;「Mn」は数平均分子量を意味し;「PDI」は多分散度=Mw/Mnを意味し;「コポリマー」は2種以上の異なる種類の重合単位を含むポリマーを含み;「アルキル」は線状、分岐および環式アルキル構造を含み;「脂肪族」は線状、分岐および環式脂肪族構造を含む。
【0014】
本発明は添付の図面を参照して説明され、この図面においては同様の参照番号が同様のフィーチャに付与される。
【0015】
フォトレジスト上塗り(overcoat)組成物
本発明において有用な組成物は、ネガティブトーン現像プロセスにおいてフォトレジスト層の上にコーティングされる場合に、様々な恩恵、例えば、幾何学的に均一なレジストパターン、レジスト露光中での低減された反射率、改良された焦点寛容度(focus latitude)、改良された露光寛容度および低減された欠陥率の1以上を提供しうる。これら恩恵はドライリソグラフィまたは液浸リソグラフィプロセスにおいてこの組成物を使用する場合に達成されうる。液浸リソグラフィに使用される場合には、この上塗り組成物はフォトレジスト成分が液浸流体に漏出するのを回避するのに効果的なバリア層を形成するために、および増大した露光スキャン速度を可能にするための液浸流体との望ましい接触角特性を提供するために使用されうる。
【0016】
このフォトレジスト上塗り組成物は塩基性クエンチャー、ポリマー、有機溶媒を含み、かつ追加の任意成分を含むことができる。この上塗り組成物はこの組成物から形成される層に、液浸流体へのフォトレジスト成分の移動を最小限にするかもしくは妨げるのに有益なバリア特性と、上塗り/液浸流体界面での高い液浸流体後退接触角を提供し、それによりより速い露光ツール走査速度を可能にするのに有益な接触角特性とを付与するポリマーを含む。上塗り組成物の層は乾燥状態で、典型的には、70°〜85°、好ましくは75°〜80°の水後退接触角を有する。語句「乾燥状態」とは、全組成物に基づいて8重量%以下の溶媒を含むことを意味する。
【0017】
このポリマーは、フォトリソグラフィ処理の前および後で、非常に良好な現像性を有するべきである。上塗り材料に由来する残留物欠陥を最小限にするために、パターン形成プロセスにおいて使用される現像剤中での上塗り組成物の乾燥した層の溶解速度は、下にあるフォトレジスト層の溶解速度よりも大きいべきである。このポリマーは典型的には、100Å/秒以上、好ましくは1000Å/秒以上の現像剤溶解速度を示す。このポリマーはケイ素およびフッ素を含まなくても良い。このポリマーは、本明細書に記載される上塗り組成物の有機溶媒中に可溶性であり、かつネガティブトーン現像プロセスにおいて使用される有機現像剤に可溶性である。このポリマーは好ましくは、以下に説明される塩基性クエンチャーと比べて低い表面エネルギーを有する。
【0018】
このポリマーは好ましくは以下の一般式(I)を有するモノマーから形成される:
【化1】
式中、R
1は水素および置換もしくは非置換C1〜C3アルキルから選択され、好ましくは水素もしくはメチルから選択され;R
2は置換および非置換C1〜C15アルキル、好ましくはC4〜C8アルキル、より好ましくはC4〜C6アルキルから選択され、この置換アルキルには、例えば、ハロアルキルおよびハロアルコール、例えば、フルオロアルキルおよびフルオロアルコールが挙げられ、並びに好ましくはより高い後退接触角を提供するように分岐しており;Xは酸素、硫黄であるか、または式NR
3で表され、式中R
3は水素並びに置換および非置換C1〜C10アルキル、好ましくはC1〜C5アルキルから選択され;並びに、Zは単結合であるか、または置換および非置換脂肪族(C1〜C6アルキレンなど)および芳香族炭化水素、並びにこれらの組み合わせから選択されるスペーサーユニットであって、場合によっては、−O−、−S−、−COO−および−CONR
4−(式中、R
4は水素並びに置換および非置換C1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C6アルキルから選択される)から選択される1以上の連結部分を伴う。
【0019】
一般式(I)の典型的な適するモノマーは以下に記載されるが、これら構造に限定されない。これら構造について、「R
1」および「X」は上で特定された通りである。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0020】
一般式(I)のモノマーは好ましくは以下の一般式(II)のものである:
【化7】
式中、R
1およびZは上で特定された通りであり、R
5、R
6およびR
7は独立して水素、またはC
1〜C
3アルキル、フルオロアルキルもしくはフルオロアルコール基を表す。一般式(II)の適するモノマーは上で例示された構造の中に記載されている。
【0021】
このポリマーの含有量は、例えば、リソグラフィがドライ型であるかまたは液浸型プロセスであるかに応じて変化しうる。例えば、液浸リソグラフィのためのポリマー下限は、概して、レジスト成分の漏出を妨げるための必要性によって決定される。より高いポリマー含有量は、典型的には、パターン崩壊をもたらすであろう。このポリマーは典型的には、上塗り組成物の全固形分を基準にして80〜99重量%、より典型的には90〜98重量%の量で組成物中に存在する。このポリマーの重量平均分子量は典型的には400,000未満、好ましくは5000〜50,000、より好ましくは5000〜25,000である。
【0022】
上塗り組成物に有用なポリマーは一般式(I)のモノマーから形成されるホモポリマーであって良く、または複数種の異なる繰り返し単位、例えば、2、3または4種類の異なる繰り返し単位を有するコポリマーであってよい。この異なる単位には、例えば、一般式(I)の異なるモノマーの重合単位が挙げられうる。上塗り組成物においてこのポリマーとして有用な典型的なコポリマーには以下のコポリマーが挙げられる:
【化8】
【0023】
上塗り組成物は典型的には単一種のポリマーを含むが、場合によっては、一般式(I)の1種以上の追加のポリマーまたは他のポリマーを含むことができる。上塗り組成物における使用に適するポリマーおよびモノマーは商業的に入手可能であり、および/または当業者によって容易に製造されうる。
【0024】
上塗り組成物は、有機溶媒または有機溶媒の混合物をさらに含む。上塗り組成物を配合しおよびキャストするのに適する溶媒材料は、上塗り組成物の非溶媒成分に対する優れた溶解特性を示すが、下にあるフォトレジスト層を感知できるほどに溶解しない。上塗り組成物に適する有機溶媒には、例えば、アルキルエステル、例えば、アルキルプロピオナート、例えば、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸n−ペンチル、プロピオン酸n−ヘキシル、およびプロピオン酸n−ヘプチル、並びにアルキルブチラート、例えば、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチルおよびイソ酪酸イソブチル;ケトン、例えば、2,5−ジメチル−4−ヘキサノン、および2,6−ジメチル−4−ヘプタノン;脂肪族炭化水素、例えば、n−ヘプタン、n−ノナン、n−オクタン、n−デカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、3,3−ジメチルヘキサン、および2,3,4−トリメチルペンタン、およびフッ素化脂肪族炭化水素、例えば、ペルフルオロヘプタン;並びにアルコール、例えば、直鎖、分岐または環式C
4−C
9一価アルコール、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノールおよび4−オクタノール;2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールおよび2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−ヘキサノール、並びにC
5−C
9フッ素化ジオール、例えば、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、および2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール;並びに、これら溶媒の1種以上を含む混合物が挙げられる。これら有機溶媒の中では、アルキルプロピオナート、アルキルブチラートおよびケトン、好ましくは分岐ケトンが好ましく、より好ましくは、C
8−C
9アルキルプロピオナート、C
8−C
9アルキルプロピオナート、C
8−C
9ケトン、並びにこれら溶媒の1種以上を含む混合物である。適する混合溶媒には、例えば、上記アルキルケトンおよびアルキルプロピオナートのようなアルキルケトンとアルキルプロピオナートとの混合物が挙げられる。上塗り組成物の溶媒成分は、典型的には、上塗り組成物を基準にして90〜99重量%の量で存在する。
【0025】
フォトレジスト上塗り組成物は塩基性クエンチャーをさらに含む。塩基性クエンチャーは、フォトレジスト層の未露光(暗)領域であることが意図される部分に到達する迷光によって下にあるフォトレジスト層の表面領域に発生した酸を中和する目的で存在する。これは未露光領域における望まれない脱保護反応を制御することにより、デフォーカス(defocus)領域における焦点深度および露光寛容度の向上を可能にする。その結果、形成されたレジストパターンにおけるプロファイルの不規則さ、例えば、ネッキングおよびT−トッピングが最小限にされうるかまたは回避されうる。
【0026】
下にあるフォトレジスト層の暗領域において発生した酸と塩基性クエンチャーとの間での効果的な相互作用を可能にするために、塩基性クエンチャーは非界面活性剤型のものであるべきである。すなわち、塩基性クエンチャーは、例えば、上塗り組成物の他の成分と比べて低い表面自由エネルギーのせいで上塗り層の上面に移動するタイプのものであるべきではない。この場合において、塩基性クエンチャーは、酸による脱保護を妨げるための、発生した酸との相互作用のために、フォトレジスト層界面に感知できるほどに存在しないであろう。よって、塩基性クエンチャーは、上塗り層全体に均一に分散されているか、または上塗り層/フォトレジスト層界面において段階的なもしくは分離した層を形成しているかどうかに関わらず、上塗り層/フォトレジスト層界面に存在するタイプのものであるべきである。この分離した層は、上塗り組成物の他の成分と比べて高い表面自由エネルギーを有する塩基性クエンチャーを選択することによって達成されうる。
【0027】
適切な塩基性クエンチャーには、例えば、線状および環式アミドおよびその誘導体、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オン、およびtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イルカルバマート;芳香族アミン、例えば、ピリジン、およびジ−tert−ブチルピリジン;脂肪族アミン、例えば、トリイソプロパノールアミン、n−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、および2−(ブチルアミノ)エタノール、2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール;環式脂肪族アミン、例えば、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシラート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシラート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシラート、およびN(2−アセトキシ−エチル)モルホリンが挙げられる。これら塩基性クエンチャーの中で、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、およびトリイソプロパノールアミンが好ましい。塩基性クエンチャーの含有量は、例えば、下にあるフォトレジスト層における光酸発生剤の含有量に応じて変化するであろうが、典型的には、それは上塗り組成物の全固形分を基準にして0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは1〜3重量%の量で存在する。
【0028】
フォトレジスト上塗り組成物は1種以上の任意材料を含むことができる。例えば、この組成物は、化学線およびコントラスト染料(actinic and contrast dyes)、抗ストリエーション剤(anti−striation agent)などの1種以上を含むことができる。これらのなかでは、この組成物から形成される層の反射防止特性を増強させるためには、化学線およびコントラスト染料が好ましい。このような任意の添加剤は、使用される場合には、典型的には、上塗り組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%のような少量で組成物中に存在する。上塗り組成物は好ましくは酸発生剤化合物、例えば、熱酸発生剤化合物および光酸発生剤化合物を含まないが、これはこのような化合物が上塗り組成物中の塩基性クエンチャーの効果を中和しうるからである。
【0029】
フォトレジスト上塗り組成物は既知の手順に従って製造されうる。例えば、この組成物は組成物の固体成分を溶媒成分に溶解させることによって製造されうる。この組成物の望まれる全固形分量は、この組成物中の具体的なポリマーおよび望まれる最終層厚さのような要因に応じて変化するであろう。好ましくは、上塗り組成物の固形分量は、組成物の全重量を基準にして1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0030】
この組成物から形成されるレジスト上塗り層は、典型的には、193nmで1.4以上、好ましくは193nmで1.47以上の屈折率を有する。屈折率は、上塗り組成物のポリマーまたは他の成分の組成を変えることによって調節されうる。例えば、上塗り組成物中の有機物含有量の相対量を増大させることはこの層の増大した屈折率を提供しうる。好ましい上塗り組成物層は、ターゲット露光波長でのフォトレジストの屈折率と液浸流体の屈折率との間の屈折率を有するであろう。
【0031】
上塗り層の屈折率(n
1)が、いずれかの面における材料の屈折率の幾何平均(n
1=√(n
0n
2))(式中、n
0は液浸リソグラフィグラフィの場合には水の屈折率またはドライリソグラフィについては空気の屈折率であり、およびn
2はフォトレジストの屈折率である)である場合には、上塗り層の反射率が低減されうる。また、この上塗り組成物から形成される層の反射防止特性を増大させるために、上塗りにおける波長が入射波の波長(λ
0)の1/4であるように、上塗りの厚さ(d
1)が選択されるのが好ましい。屈折率(n
1)を有する上塗り組成物の1/4波長の反射防止コーティングについては、最小限の反射を与える厚さd
1はd
1=λ
0/(4n
1)によって計算される。
【0032】
フォトレジスト組成物
本発明において有用なフォトレジスト組成物には、酸感受性であるマトリックスポリマーを含む化学増幅型フォトレジスト組成物が挙げられ、この酸感受性とは、ソフトベーク、活性化放射線への露光および露光後ベークの後で光酸発生剤によって生じた酸との反応の結果として、フォトレジスト組成物の層の一部として、ポリマーおよび組成物層が有機現像剤中での溶解度の変化を受けることを意味する。マトリックスポリマーにおける光酸不安定エステルもしくはアセタール基のような酸不安定基が活性化放射線への露光および熱処理における光酸促進脱保護反応を受ける場合に、溶解度の変化がもたらされる。本発明に有用な適切なフォトレジスト組成物は市販されている。
【0033】
サブ(sub)−200nm波長、例えば、193nmでの像形成のために、マトリックスポリマーは典型的には、フェニル、ベンジルまたは他の芳香族基を実質的に含まず(例えば、15モル%未満)、このような基はこの放射線を非常に吸収する。芳香族基を実質的にまたは完全に含まない適するポリマーが欧州特許出願公開第930542A1号、並びに米国特許第6,692,888号および第6,680,159号(全てシプレイカンパニー)に開示されている。好ましい酸不安定基には、例えば、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合している第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)もしくは第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むアセタール基またはエステル基が挙げられる。
【0034】
適するマトリックスポリマーには、アクリル酸アルキル単位、好ましくは、酸不安定アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、アクリル酸エチルフェンキル、メタクリル酸エチルフェンキルなど、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アルキルアクリラートなどを含むポリマーがさらに挙げられる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第6,057,083号、欧州特許出願公開第01008913A1号および第00930542A1号、並びに米国特許第6,136,501号に説明されている。
【0035】
他の適するマトリックスポリマーには、例えば、非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンなどの重合単位を含むもの、例えば、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に開示されているポリマーが挙げられる。
【0036】
さらに他の適するマトリックスポリマーには、重合された無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば、欧州特許出願公開第01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されているポリマーが挙げられる。
【0037】
また、マトリックスポリマーとして適するのはヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(しかし、無水物以外、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含む樹脂である。ヘテロ脂環式単位はポリマー骨格に縮合されることができ、かつノルボルネン基の重合によって提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の重合により提供されるような無水物単位を含むことができる。このようなポリマーは国際出願第US01/14914号および米国特許第6,306,554号に開示されている。他の適するヘテロ原子基含有マトリックスポリマーには、1種以上のヘテロ原子(例えば、酸素もしくは硫黄)含有基で置換された重合された炭素環式アリール単位、例えば、ヒドロキシナフチル基を含むポリマー、例えば、米国特許第7,244,542号に開示されるポリマーが挙げられる。
【0038】
上記マトリックスポリマーの2種以上のブレンドがフォトレジスト組成物に適切に使用されうる。
【0039】
フォトレジスト組成物に使用するのに適するマトリックスポリマーは市販されており、かつ当業者によって容易に製造されうる。マトリックスポリマーは、露光されたレジストの塗膜層を適切な現像剤溶液に現像可能にするのに充分な量で、レジスト組成物中に存在する。典型的には、マトリックスポリマーはレジスト組成物の全固形分を基準にして50〜95重量%の量で組成物中に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量Mwは典型的には100,000未満、例えば、5000〜100,000、より典型的には5000〜15,000である。
【0040】
感光性組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層中に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光酸発生剤(PAG)のような光活性成分をさらに含む。例えば、光酸発生剤はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして約1〜20重量%の量で好適に存在しうる。典型的には、より少ない量のPAGは、化学増幅型でない材料と比べて化学増幅型レジストに適しているであろう。
【0041】
好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野で知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されてもよい。
【0042】
フォトレジスト組成物に適する溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸メチルおよび乳酸エチル;プロピオン酸エステル、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチルエトキシプロピオナート、およびメチル−2−ヒドロキシイソブチラート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンおよびキシレン;並びにケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。溶媒のブレンド、例えば、上述の溶媒の2種類、3種類もしくはそれより多い種類のブレンドも好適である。溶媒はフォトレジスト組成物の全重量を基準にして典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0043】
フォトレジスト組成物は他の任意材料をさらに含むこともできる。例えば、ネガ型レジスト組成物は典型的には架橋剤成分も含む。適する架橋剤成分には、例えば、アミンベースの材料、例えば、メラミン樹脂が挙げられ、これは光酸発生剤を活性化放射線に露光する際の酸への曝露によって硬化、架橋もしくは固化するであろう。好ましい架橋剤には、アミンベースの材料、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン−ベースの材料および尿素ベースの材料が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、一般的に最も好ましい。このような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、サイメル(Cymel)300、301および303の商品名で、アメリカンシアナミドにより販売されているメラミン樹脂がある。グリコールウリル樹脂はアメリカンシアナミドによって、サイメル1170、1171、1172の商品名で販売されており、尿素ベースの樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名で販売されており、並びにベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名で販売されている。サブ−200nmの波長、例えば、193nmで像形成するために、好ましいネガ型フォトレジストはシプレイカンパニーへの国際公開第03077029号に開示されている。
【0044】
フォトレジスト組成物は他の任意材料を含むこともできる。例えば、組成物は化学線およびコントラスト染料、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤などの1種以上を含むことができる。このような任意の添加剤は、使用される場合には、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%のような少量で組成物中に存在する。
【0045】
レジスト組成物の好ましい任意の添加剤は追加塩基である。適する塩基は、上塗り組成物に置いて塩基性クエンチャーに関して上述されている。この追加塩基は適切には比較的少量で、例えば、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%で使用される。
【0046】
フォトレジストは既知の手順に従って製造されうる。例えば、レジストは、例えば、以下の1種以上の適切な溶媒中にフォトレジストの成分を溶解させることによりコーティング組成物として製造されうる:グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルもしくは乳酸メチル、乳酸エチルが好ましい;プロピオン酸エステル、特に、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン。フォトレジストの望まれる全固形分量は組成物中の具体的なポリマー、最終層厚さおよび露光波長のような要因に応じて変化するであろう。典型的にはフォトレジストの固形分量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%で変化する。
【0047】
ネガティブトーン現像方法
ネガティブトーン現像によってフォトリソグラフィパターンを形成する典型的なプロセスフローを説明する
図2A〜Cを参照して本発明の方法がここで説明される。
【0048】
図2Aは様々な層およびフィーチャを含むことができる基体100の断面を描いている。基体は、半導体、例えばケイ素、または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などの材料のものであることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコン、または化合物半導体ウェハであり、基体はその表面上に形成された1以上の層およびパターン形成されたフィーチャを有することができる。パターン形成される1以上の層102が基体100上に提供されうる。場合によっては、例えば、基体材料に溝を形成することが望まれる場合には、下にあるベース基体材料自体がパターン形成されてよい。ベース基体材料自体をパターン形成する場合には、このパターンは基体の層に形成されると見なされるものとする。
【0049】
この層には、例えば、1以上の導電体層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物もしくはケイ化物、ドープされた非晶質ケイ素、またはドープされたポリシリコンの層、1以上の誘電体層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、もしくは金属酸化物の層、半導体層、例えば、単結晶シリコン、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。エッチングされる層は様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマ援用CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長、物理蒸着(PVD)、例えばスパッタリングもしくは蒸発、または電気めっきによって形成されうる。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、材料および形成される具体的なデバイスに応じて変化しうる。
【0050】
エッチングされる具体的な層、膜厚および使用されるフォトリソグラフィ材料およびプロセスに応じて、層102上に、フォトレジスト層104がこの上にコーティングされる反射防止塗膜(bottom antireflective coating;BARC)および/またはハードマスク層を配置することが望まれる場合がある。例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とし、および/または具体的なエッチング剤がレジスト選択性に劣り、非常に薄いレジスト層を使用する場合には、ハードマスク層の使用が望まれる場合がある。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に移されることができ、これはひいては、下にある層102をエッチングするためのマスクとして使用されうる。適するハードマスク材料および形成方法は当該技術分野において知られている。典型的な材料には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層は単一層を構成するか、または異なる材料の複数の層を含むことができる。
ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成されうる。
【0051】
反射防止塗膜がなければ基体および/または下にある層が、フォトレジスト露光中に有意な量の入射放射線を反射し、その結果、形成されたパターンの品質が悪影響を受けるであろう場合には、反射防止塗膜が望まれる場合がある。このような塗膜は焦点深度、露光寛容度、ライン幅均一性およびCD制御を向上させうる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)、もしくはArFエキシマレーザー光(193nm)に露光される場合には、反射防止塗膜が典型的に使用される。反射防止塗膜は単一層を構成するか、または複数の異なる層を含むことができる。適切な反射防止材料および形成方法は当該技術分野において知られている。反射防止材料は市販されており、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシー(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)により、AR
(商標)40AおよびAR
(商標)124反射防止材料などのAR
(商標)商標の下で販売されているものがある。
【0052】
本明細書に記載されるような組成物から形成されるフォトレジスト層104が基体上に、(存在する場合には)反射防止層上に配置される。フォトレジスト組成物はスピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。これらのなかで、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングについては、コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節されうる。フォトレジスト層104の典型的な厚みは約500〜3000Åである。
【0053】
フォトレジスト層は、次いで、ソフトベークされることができ、層内の溶媒含量を最小限にすることができ、それにより、粘着性のない塗膜を形成し、この層の基体に対する接着性を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、フォトレジストの具体的な材料および厚みに応じて変動しうる。典型的なソフトベークは約90〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0054】
本明細書に記載される上塗り組成物から形成されるフォトレジスト上塗り層206がフォトレジスト層104上に形成される。上塗り組成物は典型的にはスピンコーティングによって基体に適用される。このコーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節されうる。上塗り層の反射率を低減させるために、この厚さは、この上塗りにおける波長が入射波の波長の1/4であるように好ましくは選択される。フォトレジスト上塗り層206の典型的な厚さは200〜1000Åである。
【0055】
次いで、フォトレジスト上塗り層は、この層における溶媒含有量を除去するか、最小限にするためにベークされうる。ベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われることができ、ホットプレートが典型的である。典型的なベークは約80〜120℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。塩基性クエンチャーが上塗り層206に、上塗り層全体にわたって均一に分散して存在していてよく、または分離したもしくは段階的なクエンチャー領域207として存在していてよい。
【0056】
次いで、フォトレジスト層104は、第1のフォトマスク110を通った活性化放射線108に露光されて、露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出す。本明細書において、フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト組成物を露光することについての言及は、その放射線がフォトレジスト組成物中に潜像を形成することができることを示す。フォトマスクは、その後の現像工程で残るレジスト層の領域および除去されるレジスト層の領域にそれぞれ対応する、光学的に透明な領域112および光学的に不透明な領域114を有する。露光波長は典型的には、サブ400nm、サブ300nmまたはサブ200nmであり、248nmおよび193nmが典型的である。本方法は液浸もしくはドライ(非液浸)リソグラフィ技術における用途を見いだす。露光エネルギーは、露光ツールおよび感光性組成物の成分に応じて、典型的には約10〜80mJ/cm
2である。
【0057】
フォトレジスト層104の露光の後で、露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン中で行われることができる。PEBの条件は、例えば、具体的なフォトレジスト組成物および層厚さに応じて変化しうる。PEBは、典型的には、約80〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。露光後ベークの後で、塩基性クエンチャーは破線209によって示されるように、フォトレジスト層104の表面領域に拡散すると考えられる。
図2Bに示されるように、フォトレジスト中に、極性切り替えされた領域と切り替えされていない領域(それぞれ、露光領域と未露光領域とに対応する)との間の境界(破線)によって画定される潜像216が形成される。フォトレジスト中に拡散した塩基性クエンチャーは、フォトレジスト層の望まれない暗領域における極性切り替えを妨げて、垂直壁を有する潜像を生じさせると考えられる。
【0058】
上塗り層206および露光されたフォトレジスト層は次いで現像されて、フォトレジスト層104の未露光領域を除去し、露光領域を残して、
図2Cに示されるような垂直側壁を有するコンタクトホールパターン220を有する開口レジストパターン104’を形成する。現像剤は典型的には有機現像剤、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素およびこれらの混合物から選択される溶媒である。好適なケトン溶媒には、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適なエステル溶媒には、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチル−3−エトキシプロピオナート、3−メトキシブチルアセタート、3−メチル−3−メトキシブチルアセタート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチルおよび乳酸プロピルが挙げられる。好適なエーテル溶媒には、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびグリコールエーテル溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびメトキシメチルブタノールが挙げられる。好適なアミド溶媒には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。好適な炭化水素溶媒には、例えば、芳香族炭化水素溶媒、例えば、トルエンおよびキシレンが挙げられる。さらに、これらの溶媒の混合物、または上記以外の溶媒と混合された1種以上の上記溶媒、または水と混合された1種以上の上記溶媒が使用されても良い。他の適する溶媒には、フォトレジスト組成物に使用される溶媒が挙げられる。現像剤は好ましくは、2−ヘプタノンまたは酢酸ブチル、例えば、酢酸n−ブチルである。
【0059】
有機溶媒の混合物、例えば、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との混合物が現像剤として好ましくは使用されうる。第1の有機溶媒はヒドロキシアルキルエステル、例えば、メチル−2−ヒドロキシイソブチラートおよび乳酸エチル;並びに、線状もしくは分岐C
5〜C
6アルコキシアルキルアセタート、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)から選択されうる。第1の有機溶媒のものでは、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノンが好ましい。第2の有機溶媒は線状もしくは分岐非置換C
6〜C
8アルキルエステル、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、酪酸n−ブチル、および酪酸イソブチル;並びに線状もしくは分岐C
8〜C
9ケトン、例えば、4−オクタノン、2,5−ジメチル−4−ヘキサノンおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンから選択されうる。第2の有機溶媒の中では、酢酸n−ブチル、プロピオン酸n−ブチルおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンが好ましい。第1の有機溶媒および第2の有機溶媒の好ましい組み合わせには、2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル、シクロヘキサノン/プロピオン酸n−ブチル、PGMEA/プロピオン酸n−ブチル、5−メチル−2−ヘキサノン/プロピオン酸n−ブチル、2−ヘプタノン/2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、および2−ヘプタノン/酢酸n−ブチルが挙げられる。これらのなかでは、2−へプタノン/酢酸n−ブチル、および2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチルが特に好ましい。
【0060】
有機溶媒は現像剤中に、現像剤の全重量を基準にして、典型的には90重量%〜100重量%、より典型的には95重量%より多く、98重量%より多く、99重量%より多く、または100重量%の合計量で存在する。
【0061】
現像剤材料は、フォトレジストに関して上述したような界面活性剤など任意の添加剤を含むことができる。このような任意の添加剤は、典型的には低濃度で、例えば、現像剤の全重量を基準にして約0.01〜5重量%の量で存在することができる。
【0062】
現像剤は既知の技術で、例えば、スピンコーティングもしくはパドルコーティングで基体に適用されることができる。現像時間はフォトレジストの未露光領域を除去するのに有効な期間であり、5〜30秒の時間が典型的である。現像は典型的には室温で行われる。現像プロセスは現像の後にクリーニングすすぎを使用することなく行われうる。これに関して、この現像プロセスが、このような追加のすすぎ工程を不要にする残留物非含有ウェハ面を生じさせうることが見いだされた。
【0063】
レジストパターン104’をエッチングマスクとして用いて、存在する場合には、BARC層が選択的にエッチングされて、下にあるハードマスク層を露出させる。このハードマスク層は、次いで、レジストパターン104’を再びエッチングマスクとして使用して、選択的にエッチングされて、結果として、パターン形成されたBARCおよびハードマスク層を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は、当該技術分野において知られており、かつ、例えば、これらの層の具体的な物質に応じて変化するであろう。反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。レジストパターン104’およびパターン形成されたBARC層は、次いで、既知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを用いて、基体から除去される。
【0064】
ハードマスクパターンをエッチングマスクとして使用して、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下にある層102をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。パターン形成されたハードマスク層は、次いで、既知の技術、例えば、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスを用いて、基体表面から除去されうる。得られる構造はエッチングされたフィーチャのパターンである。別の典型的な方法においては、ハードマスク層を使用することなく、レジストパターン104’を用いて直接に、層102をパターン形成することが望ましい場合がある。直接パターニングが使用されうるかどうかは、関連する物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法などの要因に応じて定まるであろう。
【0065】
本発明のネガティブトーン現像方法は上述の代表的な方法に限定されない。例えば、フォトレジスト上塗り組成物は、コンタクトホールを製造するためのネガティブトーン現像二重露光方法において使用されうる。代表的なこのような方法は
図2を参照して説明される技術のバリエーションであるが、第1の露光とは異なるパターンでのフォトレジスト層のさらなる露光を使用する。このプロセスにおいては、フォトレジスト層は第1の露光工程でフォトマスクを通して化学線に露光される。フォトマスクは、マスクの不透明な領域を形成する一連の平行線を含む。第1の露光の後で、フォトレジスト層の第2の露光が、第1のフォトマスクの方向と直交する方向の一連の線を含む第2のフォトマスクを通して行われる。得られるフォトレジスト層は未露光領域、1回露光された領域および2回露光された領域を含む。第2の露光の後で、フォトレジスト層は上述のように、露光後ベークされ、そして現像剤を用いて現像される。2つのマスクの線の交点に対応する未露光領域が除去され、レジストの1回および2回露光された領域を残す。得られる構造は、次いで、
図2に関して上述したようにパターン形成されうる。
【0066】
NTD過剰露光(overexposure)プロセスを用いて、コンタクトホールおよび溝パターンのようなフィーチャのためのさらに改良された解像度が達成されうる。このプロセスにおいては、フォトマスクはウェハ上に印刷されるものよりも大きなパターンを有する。露光条件は、光がフォトマスクパターンの端部の下に拡散して、レジストにおける極性切り替えをこれら端部領域の下まで広がらせるように選択される。
【実施例】
【0067】
フォトレジストポリマー(PP)の合成
フォトレジスト組成物のための実施例において使用されたフォトレジストポリマー(PP)の合成において、以下のモノマーが使用された:
【化9】
【0068】
ポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)(PP−1)の合成
ECPMA(5.092g)、MCPMA(10.967g)、MNLMA(15.661g)およびHADA(8.280g)のモノマーを60gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(27.335g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)(0.858g)を8gのPGMEAに溶解させ、この開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。この開始剤溶液は上記反応フラスコに入れられ、次いで激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液が3時間にわたってこの反応器に滴下で供給された。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間、80℃でそのまま置いておいた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温まで冷却させた。メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1634g)中で沈殿が行われた。沈殿した粉体がろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのテトラヒドロフラン(THF)中に再溶解させられ、そしてMTBE(1634g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下、60℃で、48時間乾燥させられて、31.0gのポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)(15/35/30/20)コポリマー(PP−1)(Mw=20,120およびMw/Mn=1.59)を得た。
【0069】
ポリ(MCPMA/NLM)(PP−2)の合成
MCPMA(17.234g)およびNLM(22.766g)のモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(31.938g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度にした。V601(2.831g)を8gのPGMEAに溶解させ、この開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。この開始剤溶液が前記反応フラスコに入れられ、次いで激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液が3時間にわたってこの反応器に滴下で供給された。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間、80℃でそのまま置いておいた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温まで冷却させた。MTBE(1713g)中で沈殿が行われた。沈殿した粉体がろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてMTBE(1713g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下、60℃で、48時間乾燥させられて、32gのポリ(MCPMA/NLM)(50/50)コポリマー(PP−2)(Mw=8,060およびMw/Mn=1.46)を得た。
【0070】
上塗りポリマー(OP)の合成
レジスト上塗り組成物配合に使用された上塗りポリマー(OP)の合成において、以下のモノマーが使用された:
【化10】
【0071】
ポリ(iBMA)(OP−1)の合成
40gのメタクリル酸イソブチル(iBMA)モノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(32.890g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(3.239g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、34.2gのポリ(iBMA)ポリマー(OP−1)(Mw=8,641およびMw/Mn=1.61)を得た。
【0072】
ポリ(iBMA/nBMA)(75/25)(OP−2)の合成
30gのiBMAおよび10gのnBMAモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(32.890g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(3.239g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、33.1gのポリ(iBMA/nBMA)(75/25)コポリマー(OP−2)(Mw=9,203およびMw/Mn=1.60)を得た。
【0073】
ポリ(iBMA/nBMA)(50/50)(OP−3)の合成
20gのiBMAおよび20gのnBMAモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(32.890g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。その後、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(3.239g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、32.5gのポリ(iBMA/nBMA)(50/50)コポリマー(OP−3)(Mw=8,812およびMw/Mn=1.60)を得た。
【0074】
ポリ(iBMA/nBMA)(25/75)(OP−4)の合成
10グラムのiBMAおよび30グラムのnBMAモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(32.890g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。その後、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(3.239g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、30.2gのポリ(iBMA/nBMA)(25/75)コポリマー(OP−4)(Mw=9,654およびMw/Mn=1.60)を得た。
【0075】
ポリ(nBMA)(OP−5)の合成
40gのnBMAモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(32.890g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(3.239g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、30.8gのポリ(nBMA)コポリマー(OP−5)(Mw=9,194およびMw/Mn=1.60)を得た。
【0076】
ポリ(nBMA/TFEMA)(50/50)(OP−6)の合成
13.747gのnBMAモノマーおよび16.253グラムのメタクリル酸トリフルオロエチル(TFEMA)モノマーを45gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(23.675g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(2.004g)が6gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1280g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、90gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1280g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、25.5gのポリ(nBMA/TFEMA)(50/50)コポリマー(OP−6)(Mw=9,830およびMw/Mn=1.66)を得た。
【0077】
ポリ(TFEMA)(OP−7)の合成
30グラムのTFEMAモノマーを45gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(23.314g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。次いで、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(1.849g)が6gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1274g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、90gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1274g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下25℃で48時間乾燥させられて、22.6gのポリ(TFEMA)ポリマー(OP−7)(Mw=9,895およびMw/Mn=1.59)を得た。
【0078】
上塗りポリマー(OP−8〜OP−19)の合成
上塗りポリマーOP−1〜OP−7について上述されたのと類似の手順を用いて、表1に特定された成分および量を用いてさらなる上塗りポリマーが合成された。これらポリマーについての重量平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn)が決定され、そして表1に示される。
【0079】
【表1】
*重合中のモル供給物比
**モノマーに対するモルパーセント
【0080】
フォトレジスト組成物製造
フォトレジスト組成物1(PC−1)
1.294gのPP−1および1.294gのPP−2を29.633gのPGMEA、19.380gのシクロヘキサノンおよび48.450gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラート中に溶解させた。この混合物に0.484gの以下に記載の「PAG A」、および0.029gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンを添加した。得られた混合物をメカニカルローラー上で3時間にわたってロールし、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン
(登録商標)フィルターを通して濾過した。
【0081】
【化11】
【0082】
フォトレジスト組成物2(PC−2)
1.263gのPP−1および1.263gのPP−2を29.620gのPGMEA、19.385gのシクロヘキサノンおよび48.455gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラート中に溶解させた。この混合物に0.484gのPAG A、0.029gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、および0.062gのOP−10を添加した。得られた混合物をメカニカルローラー上で3時間にわたってロールし、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン
(登録商標)フィルターを通して濾過した。
【0083】
フォトレジスト組成3(PC−3)
5.061gのPP−1を28.140gのPGMEA、18.760gのシクロヘキサノンおよび46.900gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラート中に溶解させた。この混合物に0.992gのPAG A、0.023gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、および0.124gのOP−10を添加した。得られた混合物をメカニカルローラー上で3時間にわたってロールし、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン
(登録商標)フィルターを通して濾過した。
【0084】
上塗りポリマーの特徴付け
ポリマーをPGMEAに溶解させて10重量%固形分溶液を形成することによって、上塗りポリマーOP−1〜OP−19のそれぞれについての固体溶液が製造された。この溶液は0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通して濾過された。このろ過された溶液は200mmのベアシリコンウェハ上にコーティングされ、このコーティングされたウェハは120℃で60秒間にわたってソフトベークされて、約4000Åの膜厚さをもたらした。溶解速度および接触角測定のために、各ポリマーについて2組のウェハが準備された。上塗りポリマーの溶解速度は、2−ヘプタノンを現像剤として用いて、溶解速度モニター(リソテックジャパンからのRDA−800EUV)で測定された。上塗りポリマーの最大溶解速度は、18の異なるチャンネルによって得られた18例の溶解速度の平均として計算された。
【0085】
上塗りポリマーの光学特性を測定するために、テルクリーントラック(TEL CleanTrack)ACT8コータ/デベロッパにおいて上塗りポリマー溶液(PGMEA中10重量%固形分)が1100rpmで200mmベアシリコンウェハ上にコーティングされ、そして120℃で60秒間にわたってソフトベークされて、〜4000Åの膜厚さを提供した。このコーティングされた膜の光学特性はVUV−VASE VU−302エリプソメータ(J.A.Woollam Co.)において測定された。偏光データは広範囲の波長にわたって3つの角度で集められた。生じたデータは、193nmでのnおよびk値を得るために、分析されそしてモデルに対して適合させられた。
【0086】
2−ヘプタノン中の溶解速度、水接触角、および193nmでの光学特性(nおよびk)を含む上塗りポリマーの特徴付けの結果が表2にまとめられる。
【0087】
【表2】
N/A=測定していない
【0088】
レジスト上塗り組成物製造
表3に示された成分および量を用いて、上塗りポリマーおよび(存在する場合には)塩基性クエンチャーを溶媒に溶解させることによってレジスト上塗り組成物が製造された。得られた混合物はメカニカルローラー上で3時間にわたってロールされ、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン
(登録商標)フィルターを通して濾過された。上塗り表面での反射を低減させるように入射波の波長の1/4に相当する目標厚さ(〜1500rpmでのスピンコート後)に基づいて、この組成物は配合された。
【0089】
【表3】
TBOC−4HP=1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン;
TBPC=tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシラート;
TIPA=トリイソプロパノールアミン
【0090】
液浸リソグラフィプロセス
TEL CLEAN TRACK LITHIUS(テルクリーントラックリシウス)i+コータ/デベロッパにおいて、300mmシリコンウェハがAR
(商標)40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、第1のBARC層を形成した。このウェハは215℃で60秒間にわたってベークされ、840Åの厚さの第1のBARC膜を生じさせた。次いで、この第1のBARC上に、AR
(商標)124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて第2のBARC層がコーティングされ、205℃で60秒間にわたってベークされて、200Åの上部BARC層を生じさせた。次いで、TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コータ/デベロッパにおいて、この二重BARCコートウェハ上にフォトレジスト組成物がコーティングされ、90℃で60秒間にわたってソフトベークされて、〜900Åの厚さのレジスト層を提供した。TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コータ/デベロッパにおいて、このレジストの上に上塗り組成物がコーティングされ、そして90℃で60秒間にわたってソフトベークされて、290または880Åの厚さの上塗りを提供した。
【0091】
ネガティブトーン現像プロセス
ウェハは、ASML TWINSCAN XT:1900i液浸スキャナにおいて、交差セクトラル四重(crossed sectoral quadruple)(C−Quad)照明、1.35NA、0.9アウターシグマ、0.7インナーシグマおよびXY偏光を用いて、マスクを通して露光された。露光されたウェハは、TEL CLEAN TRACK
(商標)LITHIUS
(商標)i+コータ/デベロッパにおいて、90℃で60秒間にわたって露光後ベークされ、次いで2−ヘプタノンとプロピオン酸n−ブチルとの1:1(重量基準)混合物を用いて25秒間にわたって現像されて、ネガティブトーンパターンを生じさせた。日立CG4000CD SEMにおいて測定した、60nm(マスク上での不透明ポストの直径)でのマスクCDおよび90nm(マスクCDと、不透明ポストどうしの間の距離との合計)でのピッチCDを用いて、露光エネルギーの関数としてCD値をプロットすることにより、単一露光NTDプロセスについて45nmホールをプリントするのに最適なエネルギー(E
op)が決定された。ELは45nmコンタクトホールについて上述した様に測定された。240CD値の3σとして、45nmホールのローカルCD均一性が測定された。それぞれのウェハについて、ダイあたり20個の像がとられ、像あたり12個のコンタクトホール測定値が250K倍率でとられた。様々な例について焦点深度(DOF)を試験するために、フォーカスオフセット(focus offset)が50nmの増分で変化させられ、そしてDOFはそのフォーカス変化によってとられたSEM像からのホール忠実度によって決定された。この結果は表4に示される。
【0092】
【表4】
【0093】
リソグラフィプロセスに上塗り層が使用された例10〜13については、上塗り層を含んでいなかった例9と比較して向上した露光寛容度が得られた。DOFは、本発明に従って塩基性クエンチャーを含む上塗り組成物を使用する実施例12および13については、上塗り層を含まない比較例9および塩基性クエンチャーを含まない上塗り組成物を含む例10〜11と比較して、DOFが有意に向上されていた。この向上したDOFはデフォーカス(defocus)領域において開口しているより多くのコンタクトホールの形態のパターンで観察された。
【0094】
ドライリソグラフィプロセス
様々な塩基性クエンチャーの効果を調べるために、ASML/1100スキャナーにリンクしたTEL CleanTrackACT8を用いて、ドライリソグラフィが200mmのシリコンウェハ上で行われた。シリコンウェハはAR
(商標)77反射防止コーティング(BARC)材料(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、205℃で60秒間にわたってベークされ、840Åの膜厚さを生じさせた。フォトレジスト組成物PC−3はTEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて、BARC−コーティングされたウェハ上にコーティングされ、90℃で60秒間にわたってソフトベークされて、1800Åのレジスト層厚さを提供した。表5に示される上塗り組成物がTEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて、このレジスト上にコーティングされ、そして90℃で60秒間にわたってソフトベークされて、880Åの上塗り厚さを提供した。これらウェハは0.75NA、0.89アウターシグマおよび0.64インナーシグマの環状照明条件を用いて露光された。露光されたウェハは、TEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて、85℃で60秒間にわたって露光後ベークされ、そして2−ヘプタノンとプロピオン酸n−ブチルとの50:50現像剤で25秒間にわたって現像された。CDは、100nmのマスクCDを用いて、1500nmピッチで100nm溝で目標とされた。接触角、Eop、およびELの結果が表5に示される。このデータから認められうるように、様々なクエンチャー添加量および様々な極性を有する様々なクエンチャーについて、同様の接触角データが得られた。上塗りの使用によって向上したELが観察された。
【0095】
【表5】