特許第6967564号(P6967564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6967564-バッテリパック 図000002
  • 特許6967564-バッテリパック 図000003
  • 特許6967564-バッテリパック 図000004
  • 特許6967564-バッテリパック 図000005
  • 特許6967564-バッテリパック 図000006
  • 特許6967564-バッテリパック 図000007
  • 特許6967564-バッテリパック 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967564
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20211108BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20211108BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20211108BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20211108BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20211108BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20211108BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20211108BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20211108BHJP
【FI】
   H01M50/262 P
   H01M50/271 S
   H01M50/204 401H
   H01M50/249
   H01M10/613
   H01M10/6566
   H01M10/6567
   H01M10/625
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-167668(P2019-167668)
(22)【出願日】2019年9月13日
(65)【公開番号】特開2021-44228(P2021-44228A)
(43)【公開日】2021年3月18日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 知史
(72)【発明者】
【氏名】北野 亮
(72)【発明者】
【氏名】因 和久
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3172086(JP,U)
【文献】 特開2014−035971(JP,A)
【文献】 特開2013−122821(JP,A)
【文献】 特開2017−010648(JP,A)
【文献】 特開2008−184015(JP,A)
【文献】 特開2005−050616(JP,A)
【文献】 特開2016−072171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/204,50/244、50/249、50/262,50/271、50/289
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルが積層された下バッテリモジュールと、
複数のバッテリセルが積層された上バッテリモジュールと、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部と、を備えるバッテリパックであって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置し、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバーと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケースと、をさらに備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレートとから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成され、
前記結合部は、前記第1ケース本体に固定されている、バッテリパック。
【請求項2】
複数のバッテリセルが積層された下バッテリモジュールと、
複数のバッテリセルが積層された上バッテリモジュールと、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部と、を備えるバッテリパックであって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置し、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバーと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケースと、をさらに備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレートとから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成され、
前記結合部は、端子台を介して前記第1ケース本体の端子台固定部に固定されており、
前記端子台固定部は、前記第1ケース本体の底面から上方に突出し、
前記端子台の上面は、前記カバー側開口部の周縁部よりも上方に位置する、バッテリパック。
【請求項3】
請求項に記載のバッテリパックであって、
前記ボトムプレート側開口部には、止水壁が設けられ、
前記止水壁には、前記端子台を避けて前記第1ケースの内部に水分を案内する排水ガイド部が設けられている、バッテリパック。
【請求項4】
請求項に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリパックは、
前記第2ケースの内部から前記開口部に向かって延びる上部ハーネスと、
前記第1ケースの内部から前記開口部に向かって延びる下部ハーネスと、を備え、
前記上部ハーネスの上部ハーネスコネクタ及び前記下部ハーネスの下部ハーネスコネクタの一方には、前記端子台に設けられた端子台側固定部に固定されるハーネス側固定部が設けられ、
前記下部ハーネスコネクタには、前記上部ハーネスコネクタが上方から挿入されるハーネス挿入部が設けられ、
前記ハーネス挿入部は、前記ハーネス側固定部が前記端子台側固定部に固定された状態で、前記止水壁の上端よりも上方に位置する、バッテリパック。
【請求項5】
請求項に記載のバッテリパックであって、
前記第1ケース本体には、前記下部ハーネスが固定されるブラケットが設けられ、
前記ブラケットは、上下方向に延びるブラケット壁部を有し、
前記排水ガイド部は、前記ブラケット壁部を挟んで前記下部ハーネスと反対側に位置している、バッテリパック。
【請求項6】
複数のバッテリセルが積層された下バッテリモジュールと、
複数のバッテリセルが積層された上バッテリモジュールと、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部と、を備えるバッテリパックであって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置し、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバーと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケースと、をさらに備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレートとから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成され、
前記第1ケースカバーと前記ボトムプレートとの間には、温調媒体が流れる温調流路が設けられている、バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などに搭載されるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駆動源としてエンジンのみを搭載したガソリン車に代わって、モータを駆動源とする電気自動車、エンジン及びバッテリを駆動源とするハイブリッド自動車等の電動車両が知られている。これらの電動車両では、モータに電力を供給するバッテリを搭載する。
【0003】
このような電動車両では、モータで走行できる走行距離を伸ばすためには、より多くのバッテリを搭載する必要がある。より多くのバッテリを搭載するためには、それぞれバッテリを収容した2つのモジュールをプレート部を挟んで上下方向に重ねて固定することで、1つのバッテリパックを構成することが考えられる(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、特許文献2に記載では、上下方向に重ねて配置されたモジュールのハーネスを冷却ダクトのダクト用開口に挿入して誤配索を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−88312号公報
【特許文献2】特開2017−174702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2に記載のバッテリパックでは、プレート部を挟んで上下方向に重ねて配置されたモジュールの導電部同士を結合する結合作業及びメンテナンス性の点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、プレート部を挟んで上下方向に重ねて配置されたモジュールの導電部同士を結合する結合作業及びメンテナンス作業が容易なバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1は、
複数のバッテリセルが積層された下バッテリモジュールと、
複数のバッテリセルが積層された上バッテリモジュールと、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部と、を備えるバッテリパックであって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置し、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバーと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケースと、をさらに備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレートとから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成され、
前記結合部は、前記第1ケース本体に固定されている。
本発明の第2は、
複数のバッテリセルが積層された下バッテリモジュールと、
複数のバッテリセルが積層された上バッテリモジュールと、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部と、を備えるバッテリパックであって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置し、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバーと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケースと、をさらに備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレートとから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成され、
前記結合部は、端子台を介して前記第1ケース本体の端子台固定部に固定されており、
前記端子台固定部は、前記第1ケース本体の底面から上方に突出し、
前記端子台の上面は、前記カバー側開口部の周縁部よりも上方に位置する。
本発明の第3は、
複数のバッテリセルが積層された下バッテリモジュールと、
複数のバッテリセルが積層された上バッテリモジュールと、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部と、を備えるバッテリパックであって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置し、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバーと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケースと、をさらに備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレートとから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成され、
前記第1ケースカバーと前記ボトムプレートとの間には、温調媒体が流れる温調流路が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プレート部を挟んで上下方向に重ねて配置された上バッテリモジュールと下バッテリモジュールの導電部同士を結合する結合作業及びメンテナンス作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のバッテリパックの斜視図である。
図2図1のバッテリパックの分解斜視図である。
図3図1のバッテリパックの内部の要部平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図4の要部拡大図である。
図6図3のB−B断面図である。
図7図6に示す下部ハーネスコネクタ及び上部ハーネスコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のバッテリパックの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図面には、バッテリパックの前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。なお、このバッテリパックの前後左右上下は、バッテリパックが搭載される車両の前後左右上下とは無関係である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態のバッテリパック1は、第1バッテリパック10と、第1バッテリパック10の上部に配置される第2バッテリパック20と、を備える。
【0013】
第1バッテリパック10は、複数(この例では6つ)のバッテリモジュール(以下、「下バッテリモジュール」と称す)11と、下バッテリモジュール11を収容する第1ケース10Aと、を備える。第1ケース10Aは、第1ケース本体12と、第1ケース本体12の上方の開口部を塞ぐ第1ケースカバー13と、により構成される。
【0014】
6つの下バッテリモジュール11のうち、4つの下バッテリモジュール11(11R)は、前後方向に長手方向を一致させて左右方向に並べて配置されている。残りの2つの下バッテリモジュール11(11F)は、左右方向に長手方向を一致させて左右方向に並べて配置されている。この例では、4つの下バッテリモジュール11Rは、第1ケース本体12の後部に配置され、その前方に2つの下バッテリモジュール11Fが配置されている。
【0015】
各下バッテリモジュール11は、複数のバッテリセル11aを長手方向に積層することで構成される下セル積層体4と、下セル積層体4の長手方向の両側に配置された一対のエンドプレート15と、を備える。
【0016】
第2バッテリパック20は、2つのバッテリモジュール(以下、「上バッテリモジュール」と称す)21と、上バッテリモジュール21を収容する第2ケース20Aと、を備える。第2ケース20Aは、2つの上バッテリモジュール21が設置されるボトムプレート23と、ボトムプレート23を覆う第2ケースカバー24と、を備える。
【0017】
上バッテリモジュール21は、左右方向に長手方向を一致させて左右方向に並べて配置されている。各上バッテリモジュール21は、複数のバッテリセル21aを長手方向に積層することで構成される上セル積層体5と、上セル積層体5の長手方向の両側に配置された一対のエンドプレート25と、を備える。
【0018】
第1ケースカバー13の左右方向の両端近傍には、カバー側開口部13aが設けられている。第2バッテリパック20のボトムプレート23の左右方向の両端近傍には、第1ケースカバー13のカバー側開口部13aと上下方向に連通するボトムプレート側開口部23aが設けられている。カバー側開口部13a及びボトムプレート側開口部23aは、上方から見て少なくとも一部が重なることで、開口部30を形成している。なお、開口部30は、第2ケースカバー24で覆われており、外部からはアクセスできないように構成される。
【0019】
第1バッテリパック10に収容された6つの下バッテリモジュール11と第2バッテリパック20に収容された2つの上バッテリモジュール21とは開口部30を挿通する下部バスバー14及び上部バスバー26を介して電気的に接続される。より具体的に説明すると、図3図5に示すように、下バッテリモジュール11には下部バスバー14の一端部が電気的に接続されており、上バッテリモジュール21には上部バスバー26の一端部が電気的に接続されている。また、下部バスバー14の他端部と上部バスバー26の他端部とは、結合部40にて電気的に結合されている。図3に示すように、結合部40は、上方から見て開口部30の内側に位置している。
【0020】
すなわち、本実施形態では、第1ケースカバー13とボトムプレート23とにより構成されたプレート部50を挟んで上バッテリモジュール21と下バッテリモジュール11とが設けられ、プレート部50に上下方向に貫通する開口部30が設けられる。また、開口部30の内側に、下部バスバー14と上部バスバー26とを電気的に結合する結合部40が位置している。
【0021】
上記構成によれば、下バッテリモジュール11と電気的に接続される下部バスバー14と、上バッテリモジュール21と電気的に接続される上部バスバー26と、を電気的に結合する結合部40が、プレート部50に設けられた開口部30の内側に位置するので、下部バスバー14と上部バスバー26との結合作業を容易にできる。これにより、バッテリパック1の組付け及びメンテナンス作業が容易になる。
【0022】
また、第1バッテリパック10と第2バッテリパック20とは、各々別体に構成され、ボルト等の締結部材で互いに固定される。具体的には、第1ケース10Aの第1ケースカバー13と第2ケース20Aのボトムプレート23とが締結部材で固定される。この構成によれば、第1バッテリパック10と第2バッテリパック20とを別々に取り扱うことができるので、バッテリパック1の取り扱い性が向上する。
【0023】
図4及び図5に示すように、結合部40は、端子台41を介して第1ケース本体12の端子台固定部42に固定されている。図4に示すように、端子台固定部42は、第1ケース本体12の底面12aから上方に突出している。図5に示すように、端子台41の上面41aは、カバー側開口部13aの周縁部13bよりも上方に位置している。即ち、端子台41の上面41aは、カバー側開口部13aの周縁部13bよりも高さH1だけ上方に位置している。このように、結合部40を第1ケース本体12に固定することで、部品点数を増やさずに結合部40を保持することができる。また、結合部40を第1ケース本体12に固定する端子台41が、端子台固定部42によってカバー側開口部13aの周縁部13bよりも上方に位置しているので、端子台41への下部バスバー14及び上部バスバー26の固定作業が容易になる。
【0024】
図3図6に示すように、ボトムプレート側開口部23aには、開口部30への水分の浸入を阻害する止水壁27が設けられる。さらに、図3及び図6に示すように、止水壁27には、端子台41を避けて第1ケース10Aの内部に水分を案内する排水ガイド部27aが設けられている。本実施形態では、排水ガイド部27aが端子台41よりも左右方向において右側にオフセットして配置されている。この構成により、水分の排出を制御することができ、端子台41への水の浸入を防止できる。
【0025】
図6に示すように、バッテリパック1は、第2ケース20Aの内部から開口部30に向かって延びる上部ハーネス28と、第1ケース10Aの内部から開口部30に向かって延びる下部ハーネス16と、を備える。上部ハーネス28には上部ハーネスコネクタ43が設けられ、下部ハーネス16には下部ハーネスコネクタ44が設けられている。
【0026】
図4及び図5に示すように、下部ハーネスコネクタ44にはハーネス側固定部29が設けられ、ハーネス側固定部29が端子台41に設けられた端子台側固定部45に固定されている。
【0027】
図7に示すように、下部ハーネスコネクタ44には、上部ハーネスコネクタ43が上方から挿入されるハーネス挿入部44aが設けられている。ハーネス挿入部44aの上端は、ハーネス側固定部29が端子台側固定部45に固定された状態で(図4参照)、止水壁27の上端よりも上方に位置する。
【0028】
このように、端子台41にハーネス側固定部29が固定される端子台側固定部45が設けられていることにより、部品点数を増やすことなく上部ハーネスコネクタ43及び下部ハーネスコネクタ44を保持することができる。また、下部ハーネスコネクタ44には、上部ハーネスコネクタ43が上方から挿入されるハーネス挿入部44aが設けられるので、上部ハーネスコネクタ43と下部ハーネスコネクタ44との結合作業が容易になる。さらに、ハーネス挿入部44aは、ハーネス側固定部29が端子台側固定部45に固定された状態で、止水壁27の上端よりも上方に位置するので、上部ハーネスコネクタ43及び下部ハーネスコネクタ44の内部に水が浸入するのを抑制できる。
【0029】
図6に示すように、第1ケース本体12には、下部ハーネス16が固定されるブラケット46が設けられている。ブラケット46は、後部の下バッテリモジュール11Rと前部の下バッテリモジュール11Fとの間に立設され、上下方向に延びるブラケット壁部46aを有している。下部ハーネス16は、ケーブルクランプ付きのクリップ48によりブラケット壁部46aに保持される。排水ガイド部27aは、下バッテリモジュール11R側に設けられた下部ハーネス16に対し、ブラケット壁部46aを挟んで反対側(下バッテリモジュール11F側)に位置している。このように、排水ガイド部27aが、ブラケット壁部46aを挟んで下部ハーネス16と反対側に位置することで、排水ガイド部27aに案内された排水が下部ハーネス16にかかることを防止できる。
【0030】
図4図6に示すように、第1ケースカバー13とボトムプレート23との間には、温調媒体が流れる温調流路60が設けられている。温調媒体は、水、油、ATF(Automatic Transmission Fluid)等の液状媒体であってもよく、空気等の気体であってもよい。言い換えると、温調流路40は水冷式でもよく、空冷式でもよい。このように、第1ケースカバー13とボトムプレート23との間の空間に温調流路60を設けることで、上バッテリモジュール21内の上セル積層体5を少ない部品点数で効果的に冷却することができる。
【0031】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0032】
例えば、開口部30を構成するカバー側開口部13a及びボトムプレート側開口部23aは、上方から見て完全に重なっている必要はなく、カバー側開口部13a及びボトムプレート側開口部23aの少なくとも一部が重なっていればよい。
【0033】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0034】
(1) 複数のバッテリセル(バッテリセル11a)が積層された下バッテリモジュール(下バッテリモジュール11)と、
複数のバッテリセル(バッテリセル21a)が積層された上バッテリモジュール(上バッテリモジュール21)と、
前記上バッテリモジュールと前記下バッテリモジュールとの間に位置するプレート部(プレート部50)と、
前記下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部(下部バスバー14)と、
前記上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部(上部バスバー26)と、
前記第1導電部と前記第2導電部とを電気的に結合する結合部(結合部40)と、を備えるバッテリパック(バッテリパック1)であって、
前記プレート部は、上下方向に貫通する開口部(開口部30)を有し、
上方から見て、前記結合部は、前記開口部の内側に位置する、バッテリパック。
【0035】
(1)によれば、下バッテリモジュールと電気的に接続される第1導電部と、上バッテリモジュールと電気的に接続される第2導電部と、を電気的に結合する結合部が、プレート部に設けられた開口部の内側に位置するので、導電部同士の結合作業を容易にできる。これにより、バッテリパックのメンテナンス作業が容易になる。
【0036】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリパックは、
前記下バッテリモジュールを収容する第1ケース本体(第1ケース本体12)と、該第1ケース本体の上方の開口部を覆う第1ケースカバー(第1ケースカバー13)と、を備える第1ケース(第1ケース10A)と、
前記第1ケースカバーの上方に設けられ、且つ、前記上バッテリモジュールを収容する第2ケース(第2ケース20A)と、を備え、
前記プレート部は、前記第1ケースカバーと前記第2ケースのボトムプレート(ボトムプレート23)とから構成されており、
前記第1ケースカバーは、カバー側開口部(カバー側開口部13a)を有し、
前記ボトムプレートは、ボトムプレート側開口部(ボトムプレート側開口部23a)を有し、
上方から見て、前記開口部は、前記カバー側開口部及び前記ボトムプレート側開口部の少なくとも一部が重なることで形成されている、バッテリパック。
【0037】
(2)によれば、第1ケースと第2ケースとが分離されていることにより、第1ケースと第2ケースとを別々に取り扱うことができ、取り扱い性がよい。
【0038】
(3) (2)に記載のバッテリパックであって、
前記結合部は、前記第1ケース本体に固定されている、バッテリパック。
【0039】
(3)によれば、結合部を第1ケースの第1ケース本体に固定することで、部品点数を増やさずに結合部を保持することができる。
【0040】
(4) (2)又は(3)に記載のバッテリパックであって、
前記結合部は、端子台(端子台41)を介して前記第1ケース本体の端子台固定部(端子台固定部42)に固定されており、
前記端子台固定部は、前記第1ケース本体の底面(底面12a)から上方に突出し、
前記端子台の上面(上面41a)は、前記カバー側開口部の周縁部(周縁部13b)よりも上方に位置する、バッテリパック。
【0041】
(4)によれば、端子台を端子台固定部を用いてカバー側開口部の周縁部よりも上方に位置させることで、端子台への第1導電部及び第2導電部の固定を容易にできる。
【0042】
(5) (4)に記載のバッテリパックであって、
前記ボトムプレート側開口部には、止水壁(止水壁27)が設けられ、
前記止水壁には、前記端子台を避けて前記第1ケースの内部に水分を案内する排水ガイド部(排水ガイド部27a)が設けられている、バッテリパック。
【0043】
(5)によれば、ボトムプレート側開口部に設けられる止水壁に、端子台を避けて第1ケースの内部に水分を案内する排水ガイド部が設けられているので、端子台への水の浸入を防止できる。
【0044】
(6) (5)に記載のバッテリパックであって、
前記第2ケースの内部から前記開口部に向かって延びる上部ハーネス(上部ハーネス28)と、
前記第1ケースの内部から前記開口部に向かって延びる下部ハーネス(下部ハーネス16)と、を備え、
前記上部ハーネスの上部ハーネスコネクタ及び前記下部ハーネスの下部ハーネスコネクタの一方には、前記端子台に設けられた端子台側固定部(端子台側固定部45)に固定されるハーネス側固定部(ハーネス側固定部29)が設けられ、
前記下部ハーネスコネクタには、前記上部ハーネスコネクタが上方から挿入されるハーネス挿入部(ハーネス挿入部44a)が設けられ、
前記ハーネス挿入部は、前記ハーネス側固定部が前記端子台側固定部に固定された状態で、前記止水壁の上端よりも上方に位置する、バッテリパック。
【0045】
(6)によれば、端子台にハーネス側固定部が固定される端子台側固定部が設けられているので、部品点数を増やすことなく上部ハーネスコネクタ及び下部ハーネスコネクタを保持することができる。また、下部ハーネスコネクタには、上部ハーネスコネクタが上方から挿入されるハーネス挿入部が設けられるので、上部ハーネスコネクタと下部ハーネスコネクタとの結合作業が容易になる。さらに、ハーネス挿入部は、ハーネス側固定部が端子台側固定部に固定された状態で、止水壁の上端よりも上方に位置するので、コネクタの内部に水が浸入するのを抑制できる。
【0046】
(7) (6)に記載のバッテリパックであって、
前記第1ケース本体には、前記下部ハーネスが固定されるブラケット(ブラケット46)が設けられ、
前記ブラケットは、上下方向に延びるブラケット壁部(ブラケット壁部46a)を有し、
前記排水ガイド部は、前記ブラケット壁部を挟んで前記下部ハーネスと反対側に位置している、バッテリパック。
【0047】
(7)によれば、排水ガイド部は、ブラケット壁部を挟んで下部ハーネスと反対側に位置しているので、排水ガイド部に案内された排水が下部ハーネスにかかることを防止できる。
【0048】
(8) (2)〜(7)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記第1ケースカバーと前記ボトムプレートとの間には、温調媒体が流れる温調流路(温調流路60)が設けられている、バッテリパック。
【0049】
(8)によれば、上バッテリモジュールを少ない部品点数で効果的に冷却することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 バッテリパック
10A 第1ケース
11 下バッテリモジュール
11a バッテリセル
12 第1ケース本体
12a 底面
13 第1ケースカバー
13a カバー側開口部
13b 周縁部
14 下部バスバー(第1導電部)
16 下部ハーネス
20A 第2ケース
21a バッテリセル
21 上バッテリモジュール
23 ボトムプレート
23a ボトムプレート側開口部
26 上部バスバー(第2導電部)
27 止水壁
27a 排水ガイド部
28 上部ハーネス
29 ハーネス側固定部
30 開口部
40 結合部
41 端子台
41a 上面
42 端子台固定部
44a ハーネス挿入部
45 端子台側固定部
50 プレート部
60 温調流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7