特許第6967587号(P6967587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォーゲルザンク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフトの特許一覧

特許6967587封止室シールを有するロータリーピストンポンプ
<>
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000002
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000003
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000004
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000005
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000006
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000007
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000008
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000009
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000010
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000011
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000012
  • 特許6967587-封止室シールを有するロータリーピストンポンプ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967587
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】封止室シールを有するロータリーピストンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/16 20060101AFI20211108BHJP
   F04C 2/18 20060101ALI20211108BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   F16J15/16 E
   F04C2/18 321D
   F04C15/00 C
   F16J15/16 B
【請求項の数】24
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-522985(P2019-522985)
(86)(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公表番号】特表2019-536954(P2019-536954A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2017076956
(87)【国際公開番号】WO2018077778
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】202016106107.5
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518285555
【氏名又は名称】フォーゲルザンク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Vogelsang GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】パウル・クランペ
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・ブルホルスト
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/082814(WO,A1)
【文献】 特開2009−299584(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19806657(DE,A1)
【文献】 西独国特許出願公開第03007267(DE,A1)
【文献】 米国特許第04313714(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/16−15/32
F04C 2/18
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ搬送流体を搬送するように構成されたロータリーピストンポンプ内のポンプシャフトを封止するためのシールアセンブリであって、
・ポンプ入口およびポンプ出口を有する封止流体ポンプ装置と、
・ポンプ出口に接続された遮断室であって、ロータリーピストンポンプのポンプ室に近接するように配置され、ポンプシャフトを包囲する第1シャフトシールによってポンプ室に対して封止される遮断室とを備え、
・遮断室は、ポンプ出口を介して、封止流体ポンプ装置によって発生する流体圧力差から生じる流体圧力が作用し、第1シールアセンブリと相互作用する前記流体圧力によって、ポンプ室からポンプシャフトに沿ってポンプ搬送される流体の流出に対してポンプ室を封止し、
・ポンプ装置は、遮断室内の予め定めた流体圧力を超えた場合、ポンプ出口からポンプ入口への流体の通過を解放して、遮断室から封止流体ポンプ装置を通る流体の流出を開放するように構成される、シールアセンブリ。
【請求項2】
封止流体ポンプ装置は、
・回転軸に対して偏心している包囲偏心円周面を有する偏心エレメントと、
・偏心エレメントに連結されたフランジコネクタであって、ロータリーピストンポンプのポンプ室から延びるロータリーピストンポンプのポンプシャフトへのトルクロック接続用に構成されたフランジコネクタと、
・偏心エレメントに連結されたポンプユニットであって、ポンプ入口およびポンプ出口を有し、偏心エレメントの回転時にポンプ入口とポンプ出口との間で流体圧力差を封止流体中に発生するように構成されたポンプユニットとを備える、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
ポンプユニットは、
・第1偏心ピン端部において偏心エレメントの偏心円周面に当接する偏心ピンと、
・第2偏心ピン端部と相互作用し、ポンプ出口に接続されたポンプ空間を画定する第1ピストン面を有するポンプピストンと、
・ピストン長手方向軸において第1ピストン面に対向するように配置された第2ピストン面と相互作用する予張力エレメントであって、偏心円周面に向かう方向に半径方向にポンプピストンを弾性的に予張力を付与する予張力エレメントと、
・ポンプピストンを通る通路ダクトであって、第1ピストン面を第2ピストン面に接続し、閉止位置に予張力が付与されているポンプピストン弁によって閉止される通路ダクトとを備え、
ポンプピストン弁は、負圧を用いた第1ピストン面への作用時に、閉止位置に作用する予張力に抗して仕向けられる弁体に開放力を生じさせる、弁体面を有する弁体を有し、
そして、予張力エレメントの弾性力は、ポンプピストンに作用し、且つ、ポンプ空間内に位置する流体に流体圧力を作用する力を作用する、請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
遮断室は、貫通流遮断室として構成され、少なくとも1つのメカニカルシールを有し、
メカニカルシールは、流体圧力から生じる封止流体の流体流によって潤滑される、請求項1,2または3に記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
遮断室は、閉止遮断室として構成され、遮断室内の予め定めた流体圧力は、封止流体ポンプ装置によって発生する流体圧力差によって維持される請求項1,2または3に記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
封止流体ポンプ装置は、遮断室内に発生する流体圧力を画定するための設定装置を有する、請求項15のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
ポンプ入口は、流体リザーバに接続される、請求項1〜6のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
流体リザーバは、圧力制御弁を介して遮断室に接続される、請求項に記載のシールアセンブリ。
【請求項9】
他の離間した場所で、ポンプ搬送流体の流出に対してポンプ室を封止する第2遮断室によって特徴付けられ、
・封止流体ポンプ装置のポンプ入口は、流体リザーバに接続され、
・遮断室は、第2遮断室に接続され、
・遮断室または第2遮断室は、逆止弁を介してリザーバに接続される、請求項1〜8のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項10】
遮断室内の圧力を制御するための制御ユニットによって特徴付けられる、請求項1〜9のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項11】
制御ユニットは、遮断室または複数の遮断室内に、ポンプ室内に存在する圧力よりも高い圧力を設定するように構成される、請求項1〜10のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項12】
制御ユニットは、予め定めた時間間隔での予め定めた期間で、または予め定めた動作状態で、特にポンプ室内に存在する圧力を介して、遮断室内の圧力を増加させるように構成される、請求項10または11に記載のシールアセンブリ。
【請求項13】
遮断室または複数の遮断室からの漏れを検出するための漏れセンサが設けられ、
制御ユニットは、信号伝達技術の観点で漏れセンサと接続され、そして漏れセンサのセンサ信号の関数として、遮断室または複数の遮断室での圧力を設定するように構成され、特に、
・漏れが予め定めた漏れ下限値より小さい場合、遮断室/複数の遮断室内の圧力を増加させ、及び/又は、
・漏れが予め定めた漏れ限界値より大きい場合、遮断室/複数の遮断室内の圧力を減少させることによって設定する、請求項10〜12のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項14】
第1シャフトシールは、メカニカルシールであり、特に流体力学的に形成された潤滑膜を形成するように構成されたメカニカルシールである、請求項1〜13のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項15】
ポンプシャフトを包囲し、第1シャフトシールとは反対側にある遮断室を封止する第2シャフトシールによって特徴付けられる、請求項1〜14のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項16】
第2シャフトシールは、ラジアルシャフトシールリングである、請求項1〜15のいずれかに記載のシールアセンブリ。
【請求項17】
ロータリーピストンポンプであって、
・ポンプ室入口開口部およびポンプ室出口開口部を有するポンプ室と、
・互いに平行になるように対応して延びる2つのポンプシャフトに固定され、互いに反対方向の回転でポンプ搬送流体をポンプ室入口開口部からポンプ室出口開口部に搬送する、2つの相互に噛合するロータリーピストンと、
・ロータリーピストンを駆動するために、2つのポンプシャフトのうちの少なくとも一方に連結されている駆動機構とを備え、
請求項1〜16のいずれかに記載の、遮断室を有するシールアセンブリによって特徴付けられ、
前記遮断室は、駆動機構とポンプ室との間を封止するために配置される、ロータリーピストンポンプ。
【請求項18】
駆動機構は、2つのポンプシャフトの回転を同期させるためにギア機構空間に配置された同期ギア機構を有し、
シールアセンブリは、ポンプ室に対してギア機構空間を封止する、請求項17に記載のロータリーピストンポンプ。
【請求項19】
遮断室は、2つのポンプシャフトに沿ったポンプ搬送流体の通過に対して封止する、請求項17または18に記載のロータリーピストンポンプ。
【請求項20】
遮断室とは反対側にある第2遮断室は、2つのポンプシャフトに沿ったポンプ搬送流体の通過に対して封止する、請求項に記載のシールアセンブリを有する、請求項19に記載のロータリーピストンポンプ。
【請求項21】
第2遮断室は、ロータリーピストンポンプのポンプ室と、ロータリーピストンポンプのポンプシャフトのための取り付けユニットとの間に配置され、ポンプ室に対して取り付けユニットを封止し、
封止流体ポンプ装置によって搬送される封止潤滑流体は、遮断室内に配置され、封止潤滑流体を取り付けユニットに搬送するための封止流体ポンプ装置のポンプ出口は、取り付けユニットに続される、請求項20に記載のロータリーピストンポンプ。
【請求項22】
・ポンプシャフト用の通路開口部を包囲し、ポンプシャフトの周りの相対移動の様式で封止された配置のために構成された内周面を有する第1シャフトシールと、
・ポンプシャフト用の通路開口部を包囲し、ポンプシャフトの周りの相対運動の様式で封止された配置のために構成された内周面を有する第2シャフトシールと、
・第1シャフトシールと第2シャフトシールとの間に配置され、ポンプシャフトにトルクロック式で連結可能であり、封止流体ポンプ装置用の作動面を有する作動エレメントとを備える、請求項1〜19のいずれかに記載のシールアセンブリ用のシールカートリッジ。
【請求項23】
第1シールアセンブリは、メカニカルシールとして構成され、及び/又は、第2シールアセンブリは、ラジアルシャフトシールリングとして構成される、請求項22に記載のシールカートリッジ。
【請求項24】
封止液体ポンプ装置は、請求項2,3または6の封止液体ポンプ装置に従って構成される、請求項22または23に記載のシールカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーピストンポンプ用のシールシールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーピストンポンプは、変位の原理に従って作動し、これは、略平行な離間した軸の周りで互いに係合して回転する2つのロータリーピストンによって、ロータリーピストン間で圧送される流体の変位を生じさせ、ロータリーピストンの互いに対向する外周領域で流体を搬送する。ロータリーピストンは、ポンプハウジング内に配置される。前記ロータリーピストンは回転可能に搭載される。典型的には、ロータリーピストンは、少なくとも片側、典型的には両側にベアリング、例えば、ローラベアリングまたは摩擦ベアリングに回転可能に搭載されたシャフトに固定される。ロータリーピストンの駆動は、前記シャフトが駆動手段に連結されることで、2つのシャフトのうちの一方または両方のシャフトによって行われる。例えば、一方のシャフトがハウジングから延びて、PTOシャフトに接続でき、あるいは外向きに延びるシャフトが、ポンプ専用の駆動モータに直接または間接的に連結できる。ロータリーピストンポンプは、しばしば同期ギア機構がさらに装備される。後者は、ここでは2つのギアホイールであり、これらは互いに係合し、シャフトに固定され、そして2つのロータリーピストンの同期回転運動を確立する。
【0003】
ロータリーピストンポンプは、粒子含有液体、例えば、砂粒子または他の固体を粒子形態または比較的粗い形態で混入する液体のためにしばしば使用される。ここでのポンプハウジングには、出力ラインでの逆圧の形態であるポンプ抵抗に応じて、相当な陽圧が生じることがある。一般に、こうした圧力条件下でポンプ搬送される流体が、ポンプハウジングから取り付け部(Lagerungen:ベアリング)、駆動手段または同期ギア機構の領域内に進行できる場合、シャフトの取り付け部、駆動手段および同期ギア機構の両方の耐用年数の点で不都合である。同期ギア機構、また時には取り付け部も、特殊な潤滑媒体によって潤滑されており、前記コンポーネントの非常に高い耐用年数を保証する。耐用寿命は、ポンプ搬送される流体または前記潤滑剤中の前記搬送流体からの粒子の侵入のために、著しく減少するであろう。
【0004】
原則として、ラジアルシャフトシールリングおよび任意には追加の機械的シールアセンブリを配置することによって、汚染に敏感な領域、例えば、取り付け部、同期ギア機構および駆動手段などへのポンプ搬送流体の侵入を未然に防ぐことが知られている。こうしたシールアセンブリは、低い差圧でのポンプの動作において依然として充分な封止を達成できるが、取り付け部コンポーネント、同期ギア機構、またはロータリーピストンの駆動装置へのポンプ搬送液体およびそこに含まれる粒子の侵入が、こうした通常の条件下で、特にポンプハウジングでの高い差圧および陽圧でも既に生じている。これは前記コンポーネントの耐用年数を著しく損なう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ロータリーピストンポンプのポンプハウジングでの特に高い陽圧の場合でも、改善された耐用年数を有するロータリーピストンポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、ポンプ搬送流体を搬送するように構成されたロータリーピストンポンプ用のシールアセンブリによって達成される。前記シールアセンブリは、
ポンプ入口およびポンプ出口を有する封止流体ポンプ装置と、
回転軸に対して偏心している包囲偏心円周面を有する偏心エレメントと、
ポンプ出口に接続され、ロータリーピストンポンプのポンプ室に近接するように配置された遮断室とを備え、
遮断室は、ポンプ出口を介して、封止流体ポンプ装置によって発生する流体圧力差から生じる流体圧力が作用し、前記流体圧力によって、ポンプ室からポンプシャフトに沿ってポンプ搬送流体の流出に対してポンプ室を封止する。
【0007】
本発明によれば、ポンプ搬送流体と、取り付け、同期および駆動を担うコンポーネントとの間の領域の確実な封止を達成するシールアセンブリが提供される。このシール効果は、ポンプシャフトに沿って達成され、これは、ポンプシャフト表面に沿って、または、ポンプシャフトと共に回転するコンポーネントの表面に沿って流体の流出に関して封止しているものと理解すべきである。本発明に係るシールアセンブリは、種々の方法で構成可能な封止流体ポンプ装置を備える。一般に、封止流体ポンプ装置は、ポンプ入口およびポンプ出口を有し、流体圧力差は、前記入口と出口との間の封止流体ポンプ装置の機能によって発生する。封止流体ポンプ装置は、例えば、2つの逆止弁を介してポンプの入口からポンプ供給流体を吸引し、同時にポンプ入口へまたはポンプ出口からの戻りフロー方向を阻止するピストンによって形成できる。同様に偏心エレメントを介して移動する制御ロッドによって動かされる制御弁、または他の実施形態もまた、こうした逆止弁の代わりに実装できる。
【0008】
封止流体ポンプ装置は、流体圧力を発生し、任意には封止液体の流体フローを発生する。前記封止液体はまた、ポンプ出口に接続された遮断室内にも存在し、そのため前記遮断室内に流体圧力を発生する。遮断室は、ポンプ室と、ポンプ搬送流体に対して封止すべき空間、特に取り付け部領域、同期ギア機構、または駆動エレメントとの間のシールバリアとして配置される。圧力室は、封止エレメントによって少なくともポンプ室に対して封止される。
【0009】
ポンプ搬送流体の流出に関してポンプ室の特に確実な封止を達成する安心が、加圧された遮断室のこの設計実施例のために発生し、同時にロータリーピストンのドライブシャフトを介して遮断室に圧力を発生するポンプユニットを駆動する。続いて、遮断室は、圧力充填空間を形成し、その内圧はさらにポンプの動作状態の関数として生成できる。例えば、圧力増大レート、遮断室内の封止流体の体積フロー、または遮断室内の圧力は、ロータリーピストンポンプの回転速度の関数として制御することが可能である。従って、ポンプ室が高抵抗力に抗して搬送するときも、遮断室とポンプ室との間の高い圧力差は回避できる。代わりに、ポンプ室と遮断室との間の圧力差は、遮断室内に生じる圧力によって小さくなるように維持される。これにより、ポンプ室を確実な封止を達成する。
【0010】
遮断室は、特に両側にシールを有することもでき、こうしてポンプ室に対して封止し、ポンプ室に対して封止すべきコンポーネント、例えば、取り付け部コンポーネント、同期ギア機構または駆動エレメントに対して封止することができる。そのため、遮断室から封止すべきコンポーネントへの封止流体の流出も防止され、反対にその側から遮断室への流体または粒子の侵入も防止される。しかしながら、原理上、遮断室は、個々のコンポーネントの潤滑剤に対応する封止流体、例えば、同期ギア機構または取り付け部コンポーネント内のトランスミッションオイルで充填できることも理解すべきであり、そのため遮断室と前記コンポーネントとの間の別個の封止は、特定の用途においては省略することもできる。
【0011】
封止流体ポンプ装置は、回転軸に対して偏心している包囲偏心円周面を有する偏心エレメントと、
偏心エレメントに連結され、ロータリーピストンポンプのポンプ室から延びるロータリーピストンポンプのポンプシャフトへのトルクロック(torque-locking)接続用に構成されたフランジコネクタと、
偏心エレメントに連結され、ポンプ入口およびポンプ出口を有し、偏心エレメントの回転時にポンプ入口とポンプ出口との間で流体圧力差を封止流体中に発生するように構成されたポンプユニットとを備えることが特に好ましい。
【0012】
この実施形態に係る封止流体ポンプ装置は、回転軸に対して偏心している包囲偏心円周面を有する偏心エレメントを備える。前記偏心エレメントは、例えば、あるカム高さ、即ち、他の円周領域に対してより大きい円周半径を有する領域を有するカムエレメントで形成できる。偏心エレメントはまた、回転対称本体、例えば、周方向に180°オフセットしたカムエレメント、マルチカムエレメントのような3つまたは4つのこうしたカムエレメント、またはカムディスクを有するコンポーネントによっても実現できる。偏心エレメントはまた、円形の円周部分を有し、そして回転軸に固定され、または前記ディスクの中心に対して偏心するようなディスクによって形成でき、そのために前記ディスクの円周面は偏心経路を描く。偏心エレメントの機能に関して、前記偏心エレメントの回転の際、偏心エレメントの面に周期的な運動が達成されることが適切であり、前記面は、特に円周面、または軸方向面、または軸方向ラジアル面によって形成できる。
【0013】
偏心エレメントは、フランジコネクタに連結され、例えば、こうしたフランジコネクタと一体化するように構成され、または別個のフランジにトルクロック方式で固定される。前記フランジコネクタは、偏心エレメントがロータリーピストンポンプのポンプシャフトにトルクロック式に接続されることを可能にし、ポンプシャフトの回転のため、偏心エレメントもまた回転するように設定される。偏心エレメントは、ポンプシャフトに直接固定でき、またはトランスミッションなどを介してトルクロック方式でポンプシャフトに連結できる。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、ポンプユニットは、
第1偏心ピン端部において偏心エレメントの偏心周面に当接している偏心ピンと、
第2偏心ピン端部と相互作用し、ポンプ出口に接続されるポンプ空間を画定する第1ピストン面を有するポンプピストンと、
ピストン長手方向軸において第1ピストン面に対向するように配置された第2ピストン面と相互作用する予張力エレメントであって、偏心円周面に向かう方向に半径方向にポンプピストンを弾性的に予張力を付与する予張力エレメントと、
ポンプピストンを通る通路ダクトであって、第1ピストン面を第2ピストン面に接続し、閉止位置に予張力が付与されているポンプピストン弁によって閉止される通路ダクトとを備え、
ポンプピストン弁は、負圧を用いた第1ピストン面への作用時に、閉止位置に作用する予張力に抗して仕向けられる弁体に開放力を生じさせる、弁体面を有する弁体を有し、
そして、予張力エレメントの弾性力は、ポンプピストンに作用し、且つ、ポンプ空間内に位置する流体に流体圧力を作用する力を作用する。
この実施形態によれば、ポンプユニットは、互いに当接するように実現される偏心ピンおよびポンプピストンの配置によって実現され、偏心ピンは、偏心エレメントの偏心円周面に当接する。この機械的連鎖は、偏心円周面上での当接が予張力によって実現されるように予張力エレメントによって予張力が付与される。ポンプピストンは、ここではポンプピストンの往復ストローク運動において交互的に封止流体がポンプ空間内に吸引されることを可能にするポンプピストン弁を有する。前記ポンプピストン弁は、ポンプピストンのストロークによって発生する負圧のために開放し、続いてポンプ空間内での圧力の増大を許容し、往復運動するポンプピストンの運動の結果として、負圧が低下して陽圧が増加すると、前記ポンプピストン弁は閉止する。この実施形態は、一方では、確実で堅牢な搬送効果および、それに対応して封止流体での確実な圧力増大を可能にし、すでにポンプピストン弁の効果によって圧力の画定を生じさせることができ、他方では、ポンプ内の陽圧の増大における搬送効果は、この場合、今は存在しない封止流体の吸引のために防止される。
【0015】
更に好ましい一実施形態によれば、シールアセンブリは、遮断室が貫通流(throughflow)遮断室として構成され、少なくとも1つのメカニカルシールを有し、メカニカルシールは、流体圧力から生じる封止流体の流体流(stream)によって潤滑されることで、改良される。この実施形態によれば、封止流体は、遮断室を通って流れる。ここでの貫通流は、一方では、封止流体が、封止流体ポンプ装置によって回路内を搬送できるように、遮断室には流入および流出が装備できるというように理解すべきである。しかしながら、貫通流は、ここでは遮断室が、流入と、遮断室を封止するシールを介して外に出る少量の漏れとだけを有するようにも理解すべきである。このことは、例えば、確実な漏れ方向を確立するようなメカニカルシールの場合に好都合であり、これによりポンプ搬送流体およびその中に含まれる粒子がメカニカルシールの領域に入り込み、後者を損傷させ、後者のシール効果を低減することが防止される。ここで、シールアセンブリは、リザーバからの封止流体の連続的な補給を装備できることを理解すべきである。さらに、ごく少量の体積フローによる遮断室の貫通流は、主に所望の効果、詳細には粒子またはポンプ搬送流体の中への侵入の防止のために、そして遮断室を通る封止流体の連続的なスループットのために、典型的な特定の用途には十分であることを理解すべきである。原則として、遮断室を通る体積フローは、体積に関して制御される圧力に関して制御されるように実現できる。封止流体ポンプ装置は、単位時間当たりに予め定めた体積を搬送するように、または予め定めた圧力を維持するように、対応する方法で構成できる。
【0016】
更に好ましい一実施形態によれば、遮断室は、閉止遮断室として構成され、遮断室内の予め定めた流体圧力は、封止流体ポンプ装置によって発生する流体圧力差によって維持されることが提供される。この実施形態の場合、遮断室の貫通流は設けられず、封止流体ポンプ装置は、ここでは封止流体を体積フローとして搬送し循環することなく、遮断室内で一定の圧力を維持する。この実施形態は、環境またはポンプ搬送流体の汚染も回避するために、遮断室からシールを通る漏れの通過が望ましくない用途に特に適している。この実施形態の場合、封止流体の補給が必要でないことが同様に好都合であるが、シールアセンブリの動作は、封止流体の永久的な充填を用いて実行できる。
【0017】
更に好ましい一実施形態によれば、封止流体ポンプ装置は、遮断室内に発生する流体圧力を画定するための設定装置を有することが提供される。流体圧力を制限するためのこうした装置は、圧力逃し弁、好ましくは調節可能な圧力逃し弁によって実現でき、これは、封止流体がバイパスダクト内を通過することを可能にする。他の実施形態では、設定装置は、封止流体ポンプ装置と相互作用し、そのため例えば、ポンプピストンのストロークが封止流体内の流体圧力の関数として影響を受け、または調整されることで、封止流体内の特定の流体圧力が達成またはそれを超過した場合、封止流体ポンプ装置のポンピング効果が低減またはゼロに設定されるようにすることが好都合である。この改良のため、動作中に封止流体内の予め定めた圧力、特に設定可能な圧力が優勢となり、そのため封止の効果が、特定のロータリーピストンポンプ、またはロータリーピストンポンプでの特定の動作状態に最適に適合できる。
【0018】
封止流体ポンプ装置は、遮断室内の予め定めた流体圧力を超えた場合、ポンプ出口からポンプ入口への流体の通過を解放し、こうして封止流体ポンプ装置をバイパスしながら、遮断室から封止流体ポンプ装置を通る流体の戻りフローを開放するように構成されることがさらにさらに好ましい。この実施例によって、封止流体の圧力の確実な制御が達成され、所定の圧力にそれぞれ到達しまたはそれを超えた場合、封止流体ポンプ装置の出口から入口への戻りフローが解放され、それぞれ圧力降下または圧力画定をもたらす。この実施形態は、例えば、封止流体ポンプ装置に組み込まれ、出口を入口に接続する対応するラインに挿入された逆止弁によって実装でき、前記逆止弁は、特定の圧力で開放し、そして前記ラインを解放する。
【0019】
ポンプ入口は、流体リザーバに接続されることがさらに好ましい。こうした流体リザーバを設けることによって、ある予備量の封止流体を利用可能に維持でき、漏れによる封止流体の潜在的な損失をそのために未然に防止できる。ここでは、ポンプ入口は、一方では、流体リザーバに接続できるが、他方では、特に封止流体の対応する回路が設けられた場合、遮断室からの流入にも接続できることは理解すべきである。リザーバは、ここでは前記リザーバが遮断室からの戻りの開口場所の上流側に配置されるように配置できる。封止流体ポンプ装置および遮断室を通るサイクルが行われる場合、遮断室からの戻りも同様にリザーバの中に開放でき、リザーバではフローが連続的に通過する。
【0020】
このための更なる一改良によれば、流体リザーバは、圧力制御弁を介して遮断室に接続される。この実施形態によれば、封止流体ポンプ装置は、流体を遮断室を通じて圧力制御弁を介して流体リザーバに、または、流体リザーバに接続されたラインに搬送し、前記ラインは、潜在的に流体リザーバからポンプ入口に延びている。予め定めた流体圧力、特に圧力制御弁を調整することによって設定可能な流体圧力は、封止流体ポンプ装置が封止流体を搬送する場合、または封止流体内の圧力を増大させる場合に、そこに存在する特定の圧力でのみ開放するこうした圧力制御弁を設けることによって、遮断室内で維持できる。圧力制御弁のトリガー閾値は、ここでは典型的にはポンプユニットに組み込まれている圧力調整弁のトリガー閾値より低い。
【0021】
原理的には、ロータリーピストンポンプのポンプシャフトの回転による封止流体ポンプ装置の起動により、封止流体ポンプ装置の動作状態がロータリーピストンポンプの動作状態に適合され、そのため封止流体ポンプ装置によって発生する搬送レートまたは遮断室内に発生する圧力は、それぞれ搬送レートまたは、ポンプ室に存在する圧力の関数であり、いずれもロータリーピストンポンプによって発生することは理解すべきである。これと独立して、好ましい実施形態のために、遮断室圧力及び/又は封止流体ポンプ装置の搬送体積に関する設定可能性が提供されることが有利である。この設定可能性は、例えば、封止流体ポンプ装置によって発生する圧力差に影響を与え、最大圧力または最大圧力差も同様に設定によってそれぞれ決定できる。さらに、封止流体ポンプ装置によって遮断室内に発生する圧力と、ロータリーピストンポンプによってポンプ室内に発生する圧力との間の比例係数、あるいは、封止流体ポンプ装置によって発生する搬送体積と、ロータリーピストンポンプによって発生する搬送体積との間の比例係数は、設定能力によって定義できる。遮断室内の圧力は、ロータリーピストンポンプのいずれの動作状態においても、ポンプ室の出力圧力および入力圧力から計算される合計の半分未満に低下しないように設定されることが特に好ましい。そのため遮断室圧力が常にポンプ室内の平均圧力を上回ることが保証される。漏れに関して特に安全である運転のために、これら2つの圧力のどちらが高いかに応じて、遮断室内の圧力は、ポンプ室の入口または出口での圧力よりも高く設定することが好都合である。
【0022】
更に好ましい一実施形態によれば、シールアセンブリは、他の離間した場所でポンプ搬送流体の流出に対してポンプ室を封止する第2遮断室によって改良されることが提供され、封止流体ポンプ装置のポンプ入口は流体リザーバに接続され、遮断室は第2遮断室に接続され、遮断室または第2遮断室は、逆止弁を介して流体リザーバに接続される。この実施形態によれば、2つの遮断室によるロータリーピストンポンプの封止は、単一のシールアセンブリによって実現される。2つの遮断室は、ここではポンプシャフトの2つの対向端部、即ち、ロータリーピストンポンプのポンプ室の両側においてロータリーピストンポンプを封止できる。この配置は、例えば、ポンプ室の両側、即ち、ポンプ室ハウジングがポンプシャフトによって貫通される両方の場所においても確実な封止が達成される場合に好都合であり、そこに配置されたコンポーネントを、ポンプ搬送流体および特にその中に含まれる粒子の侵入に対して保護する。遮断室は、ここでは第2遮断室に接続され、これは、遮断室と第2遮断室との間の流体接続として理解されるべきである。この流体接続は、第2遮断室に到達すべき流体が遮断室を最初に通過するように、遮断室と第2遮断室とが互いに直列に接続されるように実現できる。代替として、この接続は、遮断室と第2遮断室との間の並列接続としても実現でき、こうした並列接続の場合、遮断室および第2遮断室は、封止流体ポンプ装置に直接に接続され、封止流体ポンプ装置からの流体は、遮断室に直接に、そして第2遮断室に直接に搬送できるようになる。さらに、遮断室および第2遮断室から封止流体ポンプ装置へ、または前記封止流体ポンプ装置に接続されるリザーバへの任意に設けられる戻りフローは、直列または並列のある配置で実行できることは理解すべきである。
【0023】
更に好ましい一実施形態によれば、本発明に係るシールアセンブリは、遮断室内の圧力を制御するための制御ユニットによって改良される。原則として、前述したように、遮断室の圧力は、一方では、ロータリーピストンのポンプシャフトの回転速度の関数となるように、特に回転速度の増加と共に増加するように制御でき、そのためロータリーピストンポンプのポンプ室内の増加した圧力に抗して機能して、シール効果を維持するように、それぞれ遮断室または複数の遮断室内の相応に増加した反対圧力も有する。制御ユニットは、この場合、回転速度に依存した搬送レートおよび対応する回転速度に依存した圧力増大が前記封止流体ポンプ内で行われるという点で、封止流体ポンプ装置内で実現または一体化できる。制御ユニットは、それから独立した制御エレメントまたは設備によって、あるいは追加の制御エレメントまたは設備によっても実装できる。制御はまた、例えば、遮断室内の圧力を設定可能にする圧力逃し弁の形態である制御ユニットによっても実行できる。制御ユニットはまた、特に、ロータリーピストンポンプのポンプ室内の圧力を検出し、遮断室内の圧力をポンプチャンバ内の前記圧力の関数として設定するように実現できる。
【0024】
実施形態は、制御ユニットは、遮断室または複数の遮断室内に、ポンプ室内に存在する圧力よりも高い圧力をそれぞれ設定するように構成されることでさらに改良できる。ポンプ室内での現在の支配的な圧力、即ち、しばしば脈動する圧力プロファイルの間にポンプ室内に構成される個々の現在の圧力は、ここでは、例えば、ポンプ室内の支配的な圧力として理解されるべきである。しかしながら、例えば、経時的に平均したときに得られる平均圧力は同様に、ポンプ室内に存在する圧力であると理解できる。ロータリーピストンポンプのポンプ室内の圧力は、ポンプ室出口開口部およびポンプ室入口開口部での圧力から計算される合計の半分であると理解でき、前記2つの圧力の比は、体積搬送移送ポンプとしてのロータリーピストンポンプの動作原理のために、動作状態および外部条件に応じて非常に異なることがある。遮断室内の圧力をポンプ室内の圧力よりも高く設定することによって、ポンプ室内から遮断室内への遮断室内への流体の望ましくない漏れを確実に防止できる。ポンプ室内の圧力は、ここでは特にポンプ室内の最大圧力、即ち、短時間だけ任意に生じるピーク圧力であると理解できるが、この場合、相応の漏れを生じさせることがある。
【0025】
遮断室内の圧力を制御するための制御ユニットによる改良は、予め定めた時間間隔での予め定めた期間、または予め定めた動作状態で、特にポンプ室内に存在する圧力によって、制御ユニットは、遮断室内の圧力を増加させるように構成されているという点でさらに改良できる。この形態で圧力を増大させることによって、封止流体がロータリーピストンポンプのポンプ室の方向に遮断室から流れ、そのためポンプ室から潜在的に侵入した流体からシャフトシールを清掃し、前記流体が既に遮断室内に侵入していた場合でも、こうした流体をポンプ室に送り返すことが達成される。この圧力増加は、規則的な時間間隔で実施でき、そして所望の効果が達成されるために数秒の期間だけ実行する必要があることが多い。圧力の増加は、例えば、ポンプのスイッチオン手順またはポンプのスイッチオフ手順においても規則的に実行でき、あるいは、制御技術の点で他のイベントの関数として行うこともできる。圧力の規則的増加は、極めて可変の圧力条件がポンプ室に存在する場合、例えば、ポンプ入口開口部またはポンプ出口開口部での対応する可変の外部圧力条件のため、そしてポンプ室での極めて可変の圧力条件への遮断室での圧力の確実な制御および適合が確実な方法では可能でない場合、特に好ましい。この場合、少量の搬送流体が遮断室の方向に進行するが許容でき、そして、遮断室内の圧力が規則的な増加のため、前記少量の流体は押し戻される。
【0026】
更なる一改良によれば、遮断室または複数の遮断室からの漏れをそれぞれ検出するための漏れセンサが設けられ、制御ユニットは、信号伝達技術の観点で漏れセンサに接続され、漏れセンサのセンサ信号の関数として、遮断室または複数の遮断室での圧力を設定するように構成され、特に、漏れが予め定めた漏れ下限値より小さい場合、遮断室/複数の遮断室内の圧力を増加させ、及び/又は、漏れが予め定めた漏れ上限値より大きい場合、遮断室/複数の遮断室内の圧力を減少させることによって設定する。原則として、遮断室からの永久的な少量漏れは、遮断室の所望のシール効果が達成され維持されることの指標である。従って、この実施形態によれば、前記漏れが監視され、そのため漏れセンサは別個の構成エレメントとして具体化でき、または封止液体ポンプ装置に一体化でき、前記漏れを検出し、その結果、遮断室内の圧力が、前記漏れの関数として設定されるように制御することが可能になる。原則として、これは、増加する漏れの場合には圧力が減少し、減少する漏れの場合には圧力が増加するように実施され、圧力は、ここではとりわけ、漏れが予め定めた間隔で存在するように、従って下限を超え、そして上限を下回るように調整できる。制御ユニットは、ここでは同様に封止液体ポンプ装置に一体化でき、例えば、前記制御ユニットは、強制的な体積搬送が遮断室内で行われるように具体化され、これは、個々の体積流出を遮断室からの漏れの形態で強制する。
【0027】
更に好ましい一実施形態によれば、第1シャフトシールは、メカニカルシール、特に流体力学的に形成された潤滑膜を形成するように構成されたメカニカルシールであることが提供される。メカニカルシールは、封止領域への固形物または粒子の偶発的または一時的な侵入が起こり得る場合でも確実な封止を達成するために、特にこの封止場所において極めて適切である。こうした固形物または粒子は、構造原理の問題として専用のシールリップを有するラジアルシャフトシールの場合、封止エッジの損傷、そして封止の不可逆的な気密性損失をもたらすことがあるためである。メカニカルシールは、こでは特に流体力学的に形成された潤滑膜を形成でき、よってポンプシャフトと封止表面との間の相対運動に起因して生じるメカニカルシール内の圧力増大をもたらす。流体力学的に形成された前記潤滑膜は、ポンプシャフト、またはポンプシャフトに接続された回転コンポーネントと、静止した封止表面との間の確実な分離をもたらし、流体力学的に形成された潤滑膜は、これらの間に位置する。
【0028】
更に好ましい一実施形態によれば、シールアセンブリは、ポンプシャフトを包囲し、第1シャフトシールとは反対側で遮断室を封止する第2シャフトシールによって改良される。第1シャフトシールと同様に、この第2シャフトシールは、ポンプシャフトを包囲しており、その結果、第1シャフトシールと同軸になるように位置する。遮断室は、第1シャフトシールと第2シャフトシールとの間に配置され、そのため、例えば、ロータリーピストンポンプのギア機構空間に関してロータリーピストンポンプのポンプ室を封止することは、遮断室を介して達成でき、第1シールアセンブリは、ポンプ室に対して遮断室を封止し、第2シールアセンブリは、ギア機構空間に対して遮断室を封止する。ポンプシャフトは、ここでは遮断室を貫通し、その結果、2つのシャフトシールも貫通する。
【0029】
第2シャフトシールはここでは、好ましくは、ラジアルシャフトシールリング、即ち、包囲する螺旋スプリングによって張力付与され、かつ、ポンプシャフト上、またはポンプシャフトと共に回転するシェルなどの上に封止状態で存在するシールリップによるシールエレメントでもよい。ラジアルシャフトシールリングは、実質的にU字形断面を有し、シールリップは、前記U字形断面の一方の脚端部に配置され、前記U字形脚の脚部は、より高い圧力を有する、互いに封止すべき2つの空間のうちの該空間の方向を向いており、そのため、前記圧力が増加した場合、シールリップが接触圧力によって回転コンポーネント上に位置するようになる。
【0030】
本発明の更なる態様は、ロータリーピストンポンプに関し、該ロータリーピストンポンプは、
ポンプ室入口開口部およびポンプ室出口開口部を有するポンプ室と、
互いに平行になるように対応して延びる2つのポンプシャフトに固定され、互いに反対方向の回転でポンプ搬送流体をポンプ室入口開口部からポンプ室出口開口部に搬送する、2つの相互に噛合するロータリーピストンと、
ロータリーピストンを駆動するために、2つのポンプシャフトのうちの少なくとも一方に連結されている駆動機構とを備え、
前記ロータリーピストンポンプは、上述したタイプの、遮断室を有するシールアセンブリを有し、
遮断室は、ポンプ室を封止するために配置される。
【0031】
ロータリーピストンポンプのこの設計実施形態により、上述したシールアセンブリの好都合なシールは、本発明に係る方法で、ポンプ室から、例えば、ロータリーピストンポンプの駆動機構、または取り付け部、または同期ギア機構の中へのポンプ搬送流体または粒子の流出を防止するために利用される。
【0032】
ここで、駆動機構は、2つのポンプシャフトの回転を同期させるためにギア機構空間に配置された同期ギア機構を有することが特に好ましく、シールアセンブリは、ポンプ室に対してギア機構空間を封止する。ポンプ空間に近接するように配置された同期ギア機構を有するロータリーピストンポンプの好都合な構成は、本発明に係るロータリーピストンポンプの前記実施形態によって実装され、そしてポンプ室と同期ギア機構との間の確実なシールが実装される。
【0033】
遮断室は、2つのポンプシャフトに沿ったポンプ搬送流体の通過に対して封止することがさらに好ましい。この実施形態によれば、ロータリーピストンポンプの両方のポンプシャフトに沿ったシールは、遮断室によって実現され、即ち、一方のシャフトに沿って、そして第2シャフトに沿って駆動機構へのポンプ搬送流体の通過は、遮断室によって防止される。遮断室は、ここでは2つのポンプシャフトの両方の通過場所を包囲する遮断室として構成され、このことは、前記遮断室が互いに接続された2つの遮断室部分によっても形成できることと理解すべきである。
【0034】
最後に、本発明に係るロータリーピストンポンプは、シールアセンブリに関して上述したように第2遮断室を備えることがさらに好ましく、第2遮断室は、遮断室に対向して、2つのポンプシャフトに沿ったポンプ搬送流体の通過に対して封止する。ポンプ室の両側にあるポンプシャフトに沿ったポンプ室の確実なシールは、前記実施形態のために遮断室および第2遮断室によって達成される。第2遮断室は、ここでは、そのためにポンプシャフトの両方の通過場所の封止を達成するように互いに流体的に接続される2つの遮断室部分によって形成できることは再び理解すべきである。
【0035】
第2遮断室は、ロータリーピストンポンプのポンプ室とロータリーピストンポンプのポンプシャフトのための取り付けユニットとの間に配置され、ポンプチャンバに対して前記取り付けユニットを封止することがさらに好ましく、封止流体ポンプ装置によって搬送される封止潤滑流体が遮断室に配置され、封止潤滑流体を取り付けユニットユニットに搬送するための封止流体ポンプ装置のポンプ出口は、取り付けユニットに流体的に接続される。第1遮断室および第2遮断室は、ロータリーピストンポンプのポンプ室の両側に配置され、そのため前記ポンプ室は、2つの遮断室の間に位置し、その結果、一方の側では第1遮断室を越えて、ポンプシャフトの取り付け部と、他方の側では第2遮断室を越えて、ポンプシャフトの取り付け部との間に配置される。第2遮断室を越えたポンプシャフトの取り付け部は、原理上は、多くのタイプの用途において潤滑媒体の耐用年数の充填物を提供できるが、潤滑媒体の回路を設けること、あるいは、潤滑媒体が、対応する搬送装置を介して前記取り付け部に供給されることが、他の用途にとって好都合である。このために、特にこの実施形態に従って封止流体ポンプ装置を使用でき、この場合、封止流体ポンプ装置は、潤滑媒体としても適している封止流体、即ち、封止/潤滑流体を搬送する。後者を第1遮断室から第2遮断室へ、そしてこれらから保管ユニットへ搬送することができ、あるいは、バイパスラインを介して前記保管ユニットに直接に封止/潤滑流体を作用できる。
【0036】
本発明の更なる態様は、シールカートリッジに関し、これは、上述したタイプのシールアセンブリまたはロータリーピストンポンプ用にそれぞれ構成され、
ポンプシャフト用の通路開口部を包囲し、ポンプシャフトの周りの相対移動の様式で封止された配置のために構成された内周面を有する、第1シャフトシールと、
ポンプシャフト用の通路開口部を包囲し、ポンプシャフトの周りの相対運動の様式で封止された配置のために構成された内周面を有する、第2シャフトシールと、
第1シャフトシールと第2シャフトシールとの間に配置され、ポンプシャフトにトルクロック式で連結可能であり、封止流体ポンプ装置用の作動面を有する作動エレメントとを備える。特に、研磨性かつ侵略的な媒体を搬送するために使用されるロータリーピストンポンプの場合、ロータリーピストンポンプの封止エレメントは、定期的なメンテナンス作業の過程で交換することができ、かつ前記メンテナンス作業は迅速な方法で実行できることが望ましい。この目的のために、本発明によれば、こうした交換に関連するコンポーネント、即ち、特に磨耗に曝されるコンポーネントは、1つの関連する一体型構成エレメントとして交換でき、ロータリーピストンポンプに設置できるシールカートリッジに組み合わされ、このようにして本発明に係るシールアセンブリを確立する。シールカートリッジは、ここでは、ポンプシャフト、または、ポンプエレメントに接続された、例えば、スリーブなどの回転構成エレメントを封止するのに役立つ、第1シールアセンブリおよび第2シールアセンブリを備える。シールカートリッジはさらに、前記2つのシャフトシールの間に配置され、ポンプシャフトの回転に固定式に接続されるように構成された作動エレメントを備える。前記作動エレメントは、ポンプシャフトの回転で共に回転し、角度に関して前記回転に対して静止している封止流体ポンプ装置を駆動するように、例えば、カム、偏心エレメント、カムディスク、多重カムなどとして具体化できる。1つの好ましい実施形態によれば、例えば、上述のように構成された前記封止流体ポンプ装置は、同様にシールカートリッジのコンポーネント部品でもよく、よってロータリーピストンポンプのシールカートリッジがメンテナンスの間に交換される場合も交換できる。原則として、シールカートリッジは、好ましくは、例えば、対応する円周面または軸方向端面を介してロータリーピストンポンプ内に固定され封止できる、本質的に閉止した構成コンポーネントを表現することと理解すべきである。前記シールカートリッジは、この場合、ポンプ室と、前記ポンプ室に対して封止すべきロータリーピストンポンプの空間、例えば、ギア機構空間または取り付け部領域との間の封止を達成する。こうした2つのシールカートリッジの使用は、ロータリーピストンポンプのポンプ室が2つの軸方向反対側で封止されるべき場合、例えば、2つの対応するロッキング室シールアセンブリを提供するように、原則として必要とされる。
【0037】
シールカートリッジは、第1シールアセンブリがメカニカルシールとして構成されること、及び/又は、第2シールアセンブリがラジアルシャフトシールリングとして構成さることで改良できる。この実施形態によれば、第1シャフトシールおよび第2シャフトシールは、メカニカルシールとして、およびラジアルシャフトシールリングとして対応して具体化され、これは、特に機能モードおよび上述した前記2つのシールタイプの復元力の観点で、このため該用途の場合、一方では、ロータリーピストンポンプのポンプ室に関して巻き戻し領域において、他方では、ロータリーピストンポンプの取り付け部領域またはギア機構空間に関して、効率的で耐久性のあるシールに最もよく対応している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0039】
図1】本発明の第1実施形態の概略図を示す。
図2】本発明の第2実施形態の概略図を示す。
図3】本発明の第3実施形態の概略図を示す。
図4】本発明の第4実施形態の概略図を示す。
図5】本発明に係るポンプユニット用の駆動ピンを有する偏心エレメントの断面図を示す。
図6図6a〜図6eは、本発明に係るポンプ装置のポンピング機能のシーケンスを示す図を示す。
図7】本発明に係るシールカートリッジの部分断面斜視図を示す。
図8図7によるシールカートリッジの縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
最初に図1を参照すると、本発明の第1実施形態の場合、ポンプハウジング11を有するロータリーピストンポンプ10が示され、2つのポンプシャフト12,13が前記ポンプハウジング11内に配置されている。相互に噛合するロータリーピストンがポンプシャフト12,13に配置されており、前記ロータリーピストンは図1に示す断面上に位置していない。ポンプハウジングは、入口14および出口15を有し、入口および出口はまた、ポンプシャフトの回転方向を反転させることによって、交換可能であることは理解すべきである。
【0041】
下側ポンプシャフト13は、ポンプ装置20を駆動するものであり、これはより詳細に後述する。ポンプ装置20は、封止流体リザーバ30に接続されたポンプ入口21を有する。
【0042】
ポンプ装置20は、リザーバ30から供給され、ポンプ出口22を介して封止流体を遮断室(Sperrkammer: blocking chamber)40内に搬送する。遮断室40は、ポンプハウジング11内の断面全体に渡って延びており、シールを用いて他の断面部分に対して両側で封止される。こうして同期ギア機構または取り付け部(Lagerungen:ベアリング)は、典型的には画像面の前方に位置する断面内に配置でき、ロータリーピストンを有するポンプ内部空間は、画像面の後方に位置する断面内に配置でき、そのため図1の断面図で示す遮断室は、前記ポンプ室を同期ギア機構から分離し、前記ポンプ室を前記同期ギア機構に対して封止する。圧力測定ユニット50は、遮断室の機能を監視することを可能にし、後者に存在する圧力が表示され、上側においてポンプハウジング11の端部でハウジング内の通路を通過するコネクタ51を介して接続される。前記コネクタ51は同時に、試運転時またはメンテンナス作業後に封止流体で完全に充填されるのを確保するように、遮断室を通気するために機能する。
【0043】
図1に係る実施形態は、加圧閉止式遮断室によって区別される。これは、遮断室40は、ポンプ装置20によって陽圧の封止流体で作用を受けるが、ここでは回路内で起こる循環によって前記封止流体が通過しないことと理解すべきである。原理上、これは、封止流体の流体フローが存在しないが、圧力がポンプ装置20によってのみ維持されるように、または、遮断室のシールを介してポンプシャフトの領域内で、封止流体の漏れのために損失を均等にする封止流体の少量のフローが存在するように設計でき、こうして遮断室40内の流体容積および陽圧を維持している。
【0044】
図2は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態は、入口114、出口115およびポンプハウジング111、そして2つのポンプシャフト112,113が配置されたロータリーピストンポンプの構造に関して、第1実施形態と同じように構成される。第1実施形態と同様に、封止流体ポンプ装置120が下側ポンプシャフト113と連結しており、前記ポンプシャフト113の回転の関数として、封止流体の圧力フローおよび体積フローを発生する。封止流体は、ポンプ入口121を介して、再び封止流体リザーバ130からポンプ装置120に供給され、ポンプ出口122を介して陽圧で遮断室140内に運ばれる。
【0045】
図1に係る第1実施形態とは対照的に、図2に係る第2実施形態の場合、通路によって遮断室140に接続された逆止弁160がポンプハウジング111の上端に配置される。スプリング式逆止弁160は、設定可能なあるスプリング圧力で特定の陽圧まで閉鎖されており、この圧力は遮断室140内でも設定可能であり、一方、遮断室140内の前記陽圧を超えると、逆止弁160は開放位置に押され、そのため封止流体が遮断室140から漏出することが可能になる。戻りライン161を介して漏出する封止流体は、封止流体リザーバ130に供給され、封止流体リザーバ130および戻りライン161内の封止流体は、逆止弁160内の絞りのために実質的に周囲圧力であることは理解すべきである。
【0046】
逆止弁160の設定、即ち、後者の圧力トリガー閾値の設定は、スプリングの予張力を調整することによって行われる。遮断室の機能の正確な設定および監視のために、ポンプハウジング111内の通路孔151を介して圧力測定ユニット150も遮断室140に接続される。封止流体リザーバ130とポンプ入口121との間には、オイルフィルタ170が挿入される。
【0047】
図3は、本発明の第3実施形態の縦断面図を示す。先の実施形態の場合のように、ロータリーピストンポンプは、ロータリーピストン216,217がポンプシャフト212,213に配置されたポンプハウジング211から構成される。2つのギアホイールを用いた同期ギア機構280は、2つのポンプシャフト212,213の同期した動作を確保する。第1遮断室シール240は、同期ギヤ機構280とポンプハウジング211内のポンプ室との間に配置され、後者にはロータリーピストンが配置される。ポンプシャフトは、同期ギア機構280とは反対側にある端部でローラベアリング214,215に搭載される。第2遮断室290は、ロータリーピストン216,217が配置されたポンプ室と、ローラベアリング214,215との間に配置され、そのためポンプ室からローラベアリング214,215への流体の通過に対して封止している。
【0048】
第3の実施形態は、第1および第2実施形態と同じ手法で、下側ポンプシャフト213と相互作用するポンプ装置220を有する。ポンプ装置220は、ポンプ入口221を介してポンプリザーバ230から供給され、第1遮断室240内の陽圧を生成する。第1遮断室240は、遮断室接続ライン241によって第2遮断室290に接続される。この接続は、実質的に絞りフリー(絞り無し)であり、そのため第1遮断室240内の封止流体の陽圧および第2遮断室290内の封止流体の陽圧とは同一である。第2遮断室290は、逆止弁260によって戻りライン261に接続される。そのため、第1遮断室240および第2遮断室290の両方が、ポンプ装置のポンプ出口から直列に搬送される封止流体のフローによって通過可能であり、逆止弁260は、圧力制限および、戻りライン261を介して封止流体リザーバ230内への封止流体の排出を行う。圧力測定ユニット250が、第2遮断室290に接続され、2つの遮断室内の陽圧の設定および機能チェックを可能にする。
【0049】
図4は、本発明の第4実施形態を示す。2つの遮断室340,390は、ポンプハウジング311を有するロータリーピストンポンプに配置され、前記2つの遮断室340,390は、ポンプシャフト312,313に沿った同期ギア機構380および取り付け部アセンブリに対して、ロータリーピストン316,317が設置されたポンプ室を封止する。
【0050】
第3実施形態の場合、両方の遮断室240,290は、単一のポンプ装置220からの圧力を受け、それに対応して直列に配置されているが、これは第4実施形態の場合には異なって実装される。第4実施形態は、下側ポンプシャフト313と相互作用し、第1遮断室340に圧力を作用する第1ポンプ装置320aを有する。第1遮断室340は、逆止弁360aを介して第1封止流体リザーバ330aに接続され、後者から第1ポンプ装置320aのポンプ入口321aを介して圧力が作用する。第1圧力測定ユニット350aが、第1遮断室340に接続され、第1遮断室340の圧力設定および機能チェックを可能にする。
【0051】
第2遮断室390はまた、ポンプ室に対して2つのローラベアリング314,315を封止し、第2ポンプ装置320bを介して圧力が作用し、前記ポンプ装置320bは、同様に下側ポンプシャフト313と相互作用する。第1および第2ポンプ装置320a,320bは、相互に離間して独立し、機能的に独立している。前記第1および第2ポンプ装置320a,320bは、個々の場合、個々のポンプ装置のポンプ出口によって加圧される遮断室340または390がそれぞれ直接供給さるように配置される。第2逆止弁360bは、第2遮断室390から第2封止流体リザーバ330bへ余分な封止流体を排出し、第2ポンプ装置320bは、後者の個々のポンプ入口321bを介して前記第2封止流体リザーバ330bから供給される。第2遮断室390はまた、遮断室390内の圧力の設定およびチェックを可能にする別個の圧力測定ユニット350bにも接続される。
【0052】
従って、第2実施形態は、第1および第2遮断室内で独立して異なる圧力設定を可能にする2つの相互に独立した遮断室を有し、一方では、これは特定の応用ケースにおいて好都合である。
【0053】
ポンプ装置の機能は、図5および図6a〜cによって詳細に説明する。
【0054】
図5は、偏心エレメント423の断面図を示し、これは、偏心エレメント423の内部空間を通って突出するポンプシャフトにトルクロック方式で連結できる。偏心エレメント423は、ハウジング424によって包囲され、半径方向孔がポンプピン425を案内可能にする。ポンプピンは、偏心エレメント423の外周面に当接し、偏心によって半径方向に周期的な往復運動式で移動される。
【0055】
ポンプピン425は、ポンプユニット420の一部であり、ポンプユニットハウジング426内で軸方向に移動可能なように案内される。ポンプピン425は、その左側端部425aを介して偏心エレメント423の周面に当接し、反対側の右側端部425bを介してピストンエレメント430と接触する。ピストンエレメント430は、圧縮スプリング440を介してポンプピンの方向に、そして図6aに示すこの吸引段階で予張力が付与され、ポンプピン425の右側端部425bに当接する。ポンプピン425は、この吸引段階において偏心エレメント423によってポンプハウジング426内で半径方向外向きに移動され、従ってスプリング440の予張力に抗してポンプピストン430をポンプハウジング内に押す。この移動のために、封止流体は、軸方向ダクト431を通って入口開口部421から環状中間室427の中に吸引され、後者の容積は、ポンプピン425およびポンプピストン430の動きのために増加する。ポンプピストン430内の軸方向ダクト431は、スプリングによって作用される弁体432によって、ポンプピストン430での圧力条件の関数として、交互式に閉止または開放される。
弁体は、中間室427での負圧の影響下で、スプリング433のスプリング予張力に抗して開放位置に引っ張られ、この吸引段階で、封止流体が軸方向ダクト431を通って、ポンプピン425とピストン要素430との間にある内部中央ダクト部分428へと通過するのを可能にする。
【0056】
図6bは、半径方向外側死点におけるポンプユニットの配置を示す。中間室427は、この位置で最大になり、弁体432を通る軸方向ダクト431は、中間室内の今は存在しない負圧によって閉止される。ピストンエレメント430は、ポンプピン425を介して半径方向に最も外側の位置に、スプリング440の圧力に抗して保持される。
【0057】
図6cは、圧力段階にあるポンプユニットを示す。前記圧力段階にあるポンプピンは、半径方向内側に移動し、そのために半径方向内側に向かう動きのためにポンプピストンを解放する。ポンプピストン430は、スプリング440のスプリング予張力のために半径方向内側に押され、そのために中間室427内に圧力を増大させる。前記陽圧のために、ポンプピン425は、同様に半径方向内側に押され、その結果、偏心円周面を押圧する。ポンプピン425の半径方向外側端部とピストンエレメントとの間の間隙空間は、ポンプピン425と比較して、ポンプピストン430の半径方向内側移動に対抗するより高い抵抗のために生成され、中間室427からの流体は、前記間隙空間を通って中央ダクト部分428を介してポンプ出口422から流出できる。ポンプ出口から流出する流体は、遮断室390を陽圧にする。前記陽圧は、調整ねじ441によってスプリング440に予張力を付与することによって調整できる。
【0058】
図6dは、半径方向内側死点におけるポンプユニットの配置を示す。この位置での中間室427は、完全に空であり、弁体432を通る軸方向ダクト431は、中間室内で未だ存在しない負圧のために依然として閉止される。ピストンエレメント430は、半径方向に最内側にある位置に、スプリング440の圧力によってポンプピン425の半径方向外側端部に直接接触するように保持される。
【0059】
図6eは、遮断室内に陽圧が存在する状況におけるポンプユニットの配置を示す。陽圧は、ポンプ出口422に作用し、そのためポンプピン425を偏心円周面上に半径方向内向きに押し、一方、スプリング440のスプリング予張力に抗してポンプピストン430を半径方向外向きに押す。ポンプピストン430のこの半径方向外向き移動のために、後者は、ポンプピストン430を半径方向外向きに迂回させながら、中間室427からポンプ入口への封止流体の通過が解放されるまで変位する。従って、封止流体は、遮断室440からポンプ入口421の方向に直接流れることが可能であり、陽圧は、前記封止流体をポンプユニットの流入部に排出することによって、例えば、それに接続された封止流体リザーバに排出することによって減少できる。
【0060】
図7図8は、シールカートリッジを示すものであり、これによって本発明に係るシールアセンブリが製造でき、シールアセンブリの消耗部品が簡単かつ迅速な方法でそれぞれ置換または交換できる。シールカートリッジは、内側スリーブ510を備え、これは、このように軸方向に分割され、ロータリーピストンポンプのポンプシャフトに押し嵌め可能であり、例えば、摩擦嵌合(friction-fit)または形状嵌合(form-fit)を用いて、前記ポンプシャフトにトルクロック式で固定できる。スリーブ510は、外周面を有する左軸方向部分510aを有し、その上にラジアルシャフトシールリング520が前記ラジアルシャフトシールリング520の半径方向内側シールリップを介して当接し、相対的に移動可能であるシール効果を達成する。スリーブ510の右軸方向部分510bは、スリーブ510の外周面とメカニカルシール530で相互作用し、これは同様に、スリーブ510の外周面に対して相対的に移動可能であるシール効果を達成する。
【0061】
ラジアルシャフトシールリング520は、両側に作用し、半径方向外向きに静止するようにレセプタクルブッシュ540a内に保持される。メカニカルシール530は、半径方向外向きに静止するようにレセプタクルブッシュ540b内に保持される。レセプタクルブッシュ540a,540bは、相互に整列した外周面を有し、これは、シールリング541,542によって封止され、ロータリーピストンポンプのハウジング内での対応する円筒形レセプタクル内に固定できる。
【0062】
偏心ディスク550が、スリーブ510にトルクロック式に接続され、シールカートリッジがポンプシャフトの周りに組み立てられる場合に前記ポンプシャフトと共に回転し、ラジアルシャフトシールリング520とメカニカルシール530との間に配置される。偏心ディスク550は、ポンプユニットを駆動するために機能し、これによって封止流体は圧力を印加でき、搬送することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8