(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正面フライスインサート係止溝(111a)の上方には、前記フライスインサートホルダ(11a)の径方向に沿って、調整ブロック取付孔(119a)が前記フライスインサートホルダ(11a)の外壁からその内部に向けて開設されており、
前記フライスインサート支持座(113a)には、前記調整ブロック取付孔(119a)の軸線に垂直な方向に沿って、ロック孔(23a)が前記フライスインサートホルダ(11a)の作業端面からその内部に向けて開設されていることを特徴とする請求項1に記載の正面フライスカッティングヘッド。
前記ガイドトラック部(21a)の外壁には、その軸方向に沿って、ロック部材と係合するための調整ブロックロック位置決め面(221a)が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明の特徴と利点は、これらの説明により明らかかつ明確になる。
【0024】
ここで用いた単語"例示的"とは"例、実施例として、又は説明のために用いられる"ことである。ここで"例示的"に示されるいずれかの実施例は、他の実施例より優れるものと解釈すべきではない。図面において実施例の様々な態様が示されているが、特に説明がない限り、図面は一定の縮尺で描写される必要がない。
【0025】
本発明において、説明すべきことは、用語「上」、「下」、「内」、「外」、「前」、「後」、「左」及び「右」等が示す方位又は位置関係は、本発明の作動状態に基づいた方位又は位置関係であり、本発明を便利かつ簡単に説明するためのものに過ぎず、示した装置又は部品が必ず特定な方位を有し、特定な方位で構成又は操作することを指示又は暗示することではないので、本発明を制限するものと理解すべきではない。また、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」及び「第4の」は、説明のために用いた用語に過ぎず、重要性を指示又は暗示するものと理解すべきではない。
【0027】
本発明の第1の様態では、インデックス可能な正面フライスインサートを提供し、該正面フライスインサートはインサートベース1とその上に積層された切削体2とを含み、前記インデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、前記インサートベース1と前記切削体2とは円滑に遷移し、前記インサートベース1は位置決め側面11、上平面12及び位置決め底面13を含み、前記切削体2はインサートベース1の上平面12に積層され、前記上平面12の面積は前記位置決め底面13の面積より大きく、前記位置決め底面13のエッジ又はその延長線のすくい面21での投影l
2は前記すくい面21の対応するエッジ又はその延長線l
3と交差し、面偏角23を形成することを特徴とする。
【0028】
本発明において、前記インサートベース1は金属製であり、好ましくは硬質合金製である。
【0029】
本発明において、前記切削体2は高硬度切削用材料で製造され、前記高硬度切削用材料は立方晶窒化ホウ素(CBN)、多結晶ダイヤモンド(CVD)又は多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)から選択された一種又は多種であり、好ましくは多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)である。
【0030】
本発明において、前記インサートベース1と前記切削体2は固定的に接続される。
【0031】
本発明において、インデックス可能な正面フライスインサートは切削体2によって一体に加工されてもよい。
【0032】
本発明において、前記インデックス可能な正面フライスインサートは四角錐台、五角錐台、六角錐台、七角錐台又は八角錐台に近似し、好ましくは四角錐台、五角錐台又は六角錐台である。
【0033】
インデックス可能な正面フライスインサートが4〜8角錐台である場合、同一のインサートに複数の刃先を設けることができ、1つの刃先が摩耗したら、正面フライスインサートを回転させることで刃先を交換することができ、インサートの多角形構造を十分に利用し、インサートの耐用年数を延長する。
【0034】
本発明者らは、前記インデックス可能な正面フライスインサートが四角錐台である場合、正面フライスインサートのカッターヘッドでの安定した固定に有利であるとともに、刃先の長さが適切で、切削の精度だけでなく、切削の効率も保証できることを発見した。
【0035】
本発明において、前記上平面12は、インサートベース1の切削体2に接する頂面であり、前記すくい面21は、切削体2の頂面であり、
図1〜
図3dに示すように、切削体2が上平面12上に積層され、好ましくは、すくい面21は上平面12の露出部分と面一である。
【0036】
本発明の一実施形態において、
図1に示すように、前記切削体2は、インサートベース1の上平面12をカバーし、インサートベース1に対応する多角形である。
【0037】
本実施形態において、
図2a〜
図2dに示すように、前記切削体2は、ストリップ状としてインサートベース1のエッジに沿って設けられ、好ましくは、前記切削体2はインサートベース1の一辺に沿って設けられるか、又はそれぞれインサートベース1の互いに平行な二辺に沿って設けられる。
【0038】
本発明者らは、上記切削体2によって、前記インサートベース1と前記切削体2を簡単に固定的に接続するだけでなく、切削用材料を節約することができることを発見した。
【0039】
本発明の1つ別の好ましい実施形態において、
図3a〜
図3dに示すように、前記切削体2は三角形又は四角形に近似して、刃先に設けられる。
【0040】
本発明者らは、上記切削体2は、切削用材料を最大限節約し、製造コストを大幅に低減することができることを発見した。
【0041】
本発明において、前記切削体2の被加工ワークと接触する面はすくい面21である。
【0042】
本発明において、前記インデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、上平面12の面積は位置決め底面13の面積より大きく、すくい面21と位置決め底面13との間には少なくとも逃げ面3と位置決め側面11が含まれ、
図7に示すように、逃げ面3とすくい面21とは刃後角θを形成し、位置決め側面11とすくい面21とは位置決め角θ1を形成し、かつ、θ>θ1であり、これで分かるように、位置決め側面11は、逃げ面3よりも正面フライスインサートの軸線方向に傾くことにより、正面フライスインサートがカッターヘッドに係着された場合、位置決め側面11と被加工金属表面との接触が回避され、位置決め基準は安定し、長時間有効であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートと被加工金属表面との摩擦力が低下し、すなわち、切削の抵抗力が低下し、さらにフライス加工の精度、効率及び加工範囲が向上する。
【0043】
本発明において、前記ベースの上平面12は、前記角錐台に対応する多角形であり、例えば正三角形、正方形、菱形、平行四辺形、正八角形又は他の特定の形状であり、前記ベースが四角柱である場合、上平面12は正方形である。
【0044】
本発明において、
図1及び
図6に示すように、前記インデックス可能な正面フライスインサートは、正角錐台の上平面がその中心軸l
1の周りに回転した形状であり、すなわち、前記位置決め底面13のエッジ又はその延長線のすくい面21での投影l
2は、前記すくい面21の対応するエッジ又はその延長線l
3と交差し、面偏角23を形成する。
【0045】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記面偏角は±(0〜3)度であり、好ましくは±1度であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートにおける前記上平面12がその中心軸l
1の周りに時計回りに回転したものである場合、面偏角は+(0〜3)度であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートにおける前記上平面12がその中心軸l
1の周りに反時計回りに回転したものである場合、面偏角は−(0〜3)度である。
【0046】
本発明者らは、面偏角23が±(0〜3)度である場合、前記インデックス可能な正面フライスインサートがカッターヘッドの係止溝に取り付けられると、被加工表面と所定角度を形成して、被加工表面をフライス加工することができ、また、該回転角度では、前記正面フライスインサートの位置決め側面11に逃げ面3を加工することができ、面偏角23の角度が±3度より大きい場合、逃げ面3を加工すれば、位置決め側面11の面積が小さくなり、位置決めが不正確になり、インデックス可能な正面フライスインサートが無効となることを発見した。本発明において、フライス加工する時、ワイパー刃と被加工ワークの表面が面合わせられ、すなわち、ワイパー刃と被加工ワークの表面との夾角は0度である。
【0047】
本発明において、ワイパー用正面フライスインサートはその上平面12がその中心軸の周りに反時計回りに回転したものであり、−3°<面偏角23<0°である。
【0048】
本発明において、フライス加工する時、切削刃と被加工ワークの表面との夾角が0度より大きいため、切削刃先とワーク表面との夾角は0〜3°であり、切削用正面フライスインサートは上平面12がその中心軸の周りに時計回りに回転したものであり、0°≦面偏角23<3°である。
【0049】
本発明において、前記位置決め側面11と前記逃げ面3が交差して所定角度を形成し、刃先をポリシングする時に位置決め側面11を傷つけることを回避する。
【0050】
刃後角θと面偏角23との作用により、前記正面フライスカッタの面に様々な位置決め面、逃げ面及び刃先の構造が形成され、具体的には
図4a〜4fに示すとおりである。
【0051】
本発明の1つの好ましい実施形態において、
図4aに示すように、前記切削体2における隣接した2つの位置決め側面11は刃先偏角22を形成し、本発明では、刃先偏角22の角度は0〜75度であり、刃先偏角が0〜45度である場合、径方向の力が大きく、軸方向の力が小さく、刃先偏角が45度である場合、フライスインサートホルダの径方向の力が軸方向の力と等しく、刃先偏角が45〜75度である場合、フライスインサートホルダの径方向の力が小さくなり、軸方向の力が大きくなる。径方向の切削力が小さいほど、ワークの変形への影響が小さいので、異なる被加工ワークに対して異なる刃先偏角を選択することができる。
【0052】
本発明者らは、ワイパー刃の長さが被加工表面の粗さ及び加工効率と直結し、ワイパー刃の刃先が長ければ長いほど、正面フライス加工による表面の粗さが高く、加工効率が高く、刃先が短ければ短いほど、正面フライス加工による表面の粗さが低く、加工効率が低下することを発見した。本発明者らはまた、インデックス可能な正面フライスインサートが所定の仕様では、インデックス可能な正面フライスインサートが4〜8角錐台である場合、その刃先の長さは、正面フライス加工の精度に求められる要件を満たせるとともに、加工効率が高いことを発見した。
【0053】
本願において、
図4a〜
図4fに示すように、BSはワイパー刃の長さであり、ワイパー刃の種類は主に幅広円弧状ワイパー刃、幅狭円弧状ワイパー刃、偏角ワイパー刃の3つがある。
図4a、
図4bは、幅広円弧状ワイパーインサートの上面図を示し、ここで、BSの範囲が2〜7mmであり、ワイパー刃の円弧の半径Rの範囲が20〜500mmである。
図4c、
図4dは、幅狭円弧状ワイパーインサートを示し、ここで、BSの範囲が0.2〜2mmであり、ワイパー刃の円弧の半径Rの範囲が3〜20mmであり、
図4e、
図4fは、偏角ワイパーインサートを示し、ここで、BSの範囲が0.2〜2mmであり、偏角φの範囲が0〜2°である。
【0054】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記すくい面21の各稜角が刃先であり、好ましくは、前記刃先は円弧形であり、該円弧の半径が刃先の半径であり、前記刃先の半径は0〜2.0mmであり、好ましくは0.8mmである。本発明者らは、刃先の半径が0.8mmである場合、前記インデックス可能な正面フライスインサートの刃先の有効長さが大きく、刃先の強度が高く、被加工金属の表面にボーダー傷を形成しにくいことを発見した。
【0055】
本発明の1つ別の実施例において、
図5a、
図5b及び
図5cに示すように、前記刃先は接続された少なくとも一つの線形刃及び半径が0〜2.0mmである少なくとも一つの円弧刃を含む。
【0056】
本発明の一実施形態において、
図5aに示すように、前記すくい面21の刃先は一つの線形刃及び一つの円弧刃を含み、第1の刃先偏角aが45〜90度である。
【0057】
本発明の1つ別の実施形態において、
図5bに示すように、前記すくい面21の刃先は二つの線形刃を含み、隣接した二つの線形刃の間に円滑に遷移するための円弧刃が設けられ、第1の刃先偏角aが45〜90度であり、第2の刃先偏角a1が15〜45度である。
【0058】
本発明の1つ別の実施形態において、
図5cに示すように、前記すくい面21の刃先は三つの線形刃を含み、隣接した二つの線形刃の間に円滑に遷移するための円弧刃が設けられ、第1の刃先偏角aが45〜90度であり、第2の刃先偏角a1が15〜45度であり、第3の刃先偏角a2が60〜90度である。
【0059】
本発明において、
図7に示すように、すくい面21と位置決め底面13との間の側面は逃げ面3と位置決め側面11という2つの面を含み、逃げ面3とすくい面21とは刃後角θを形成し、位置決め側面11とすくい面21とは位置決め角θ1を形成し、θ>θ1である。これで分かるように、位置決め側面11は逃げ面3よりも内部に傾き、これにより、正面フライスインサートがカッターヘッドに係着された後、ワークを加工する過程で、位置決め側面11と被加工金属表面とは接触せず、加工する過程で、すくい面21及び逃げ面3が摩耗するが、このような構造では、位置決め側面11と被加工金属表面とは接触せず、摩耗がないため、位置決め側面の破損で位置決めが不正確になることが発生しない。さらに、刃先をポリシングする時に位置決め側面11を傷つけることを回避することにより、位置決め基準が安定し、長時間有効であることを保証する。ここで、刃後角θの範囲は77〜82°で、好ましくは79°であり、刃後角θが小さければ小さいほど、刃先が鋭く、位置決め角θ1の範囲は73〜77°で、好ましくは75°である。
【0060】
本発明において、前記インデックス可能な正面フライスインサートが使用される場合、前記インデックス可能な正面フライスインサートが位置決め側面11及び位置決め底面13によって、カッターヘッドの係止溝に係着され、切削用とワイパー用の正面フライスインサートの外形が近く、その上平面がその中心軸の周りに回転する方向だけが異なるため、回転方向の異なる正面フライスインサートは同一の正面フライスカッターヘッドに通用し、すなわち、同一のカッターヘッドの係止溝に用途の異なる上記2種のインデックス可能な正面フライスインサートが用いられることができ、カッターヘッドにワイパー用正面フライスカッタを係着するための係止溝を特別に開設する必要がない。
【0061】
本発明の第2の形態によれば、上記インデックス可能な正面フライスインサートを用いた正面フライスカッティングヘッドがさらに提供され、前記正面フライスカッティングヘッドに本発明の第1の形態に係るインデックス可能な正面フライスインサートが設けられている。
【0062】
本発明において、前記正面フライスカッティングヘッドは、さらに上記インデックス可能な正面フライスインサートを係着するための正面フライスカッターヘッドを含む。
【0063】
前記正面フライスカッターヘッドは、ホーン状のカッターヘッド本体1a、カッターヘッド本体1aに設けられた調整ブロック2a及びロックウェッジブロック3aを含む。
【0064】
本発明において、
図8に示すように、前記カッターヘッド本体1aはフライスインサートホルダ11a、カッターステム接続部12a及び前記フライスインサートホルダ11aと前記カッターステム接続部12aとの間に設けられた遷移部13aを含み、前記フライスインサートホルダ11aは円筒形又は中空の円錐台形であり、前記カッターステム接続部12aも円筒形であり、前記遷移部13aは中空の円錐台であり、前記フライスインサートホルダ11aの外径は前記カッターステム接続部12aの外径より大きく、等しく又は小さくてもよく、好ましくは、前記フライスインサートホルダ11aの外径は前記カッターステム接続部12aの外径より大きい。
【0065】
本発明において、
図8に示すように、カッターステム接続部12aの先端にキー溝121aが開設され、カッターヘッドがカッターステムに接続されている時、カッターステムのキーブロックはカッターヘッドのキー溝121aに係合し、ねじり力を伝達する。
【0066】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記カッターヘッド本体1aは一体に成形されるものである。
【0067】
本発明において、前記フライスインサートホルダ11aは円筒形又は中空の円錐台形であり、その作業端面に複数の正面フライスインサート係止溝111aと、隣接した正面フライスインサート係止溝111aに連通する複数のウェッジブロック取付屑排出溝112aとが開設され、前記フライスインサートホルダ11aの作業端面に複数のフライスインサート支持座113aが形成され、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aの数は1〜50個であり、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aの数は、異なるカッターヘッドの直径により決められる。
【0068】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記フライスインサート支持座113aは前記フライスインサートホルダ11aに均一に分布する。
【0069】
本発明において、前記正面フライスインサート係止溝111aの外形は、用いた正面フライスインサートの外形とマッチングし、
図9に示すように、前記正面フライスインサート係止溝111aは、事前位置決め面114a、第1の位置決め側面115a及び第2の位置決め側面116aを含み、前記第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面とは第1の所定角度をなし、前記第1の位置決め側面115aは、カッターヘッドの軸線とは軸方向すくい角を形成し、カッターヘッドの端面とは径方向すくい角を形成し、
図15〜
図18に示すように、前記軸方向すくい角は5°であり、前記径方向すくい角は3°である。
【0070】
本発明において、本発明に係る正面フライスカッターヘッドに合わせて使用される正面フライスインサートは角柱又は角錐台形であり、被加工ワークと接触する面はすくい面であり、すくい面と平行に対向する面が位置決め底面13であり、すくい面と位置決め底面l3との間に設けられる側面は逃げ面及び位置決め側面を含み、すなわち、正面フライスインサートが前記正面フライスカッターヘッドに取り付けられた後、正面フライスインサートの位置決め底面13が前記正面フライスカッターヘッドの第1の位置決め側面115aに密着され、正面フライスインサートの位置決め側面が前記正面フライスカッターヘッドの事前位置決め面114aに密着される。
【0071】
本発明において、前記事前位置決め面114aの加工精度が高く、使用される正面フライスインサートの精度も高い状況において、正面フライスインサートが取り付けられると、校正しなくても、正面フライスインサート全体で一般的なフライス加工の精度要件を満たすことができ、すなわち、直接使用することができ、校正の作業を低減し、便利かつ迅速に使用できる。
【0072】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記正面フライスインサート係止溝111aはその中心軸の周りに前記フライスインサートホルダ11aの内部に傾く。
【0073】
本発明者らは、前記正面フライスインサート係止溝111aが前記フライスインサートホルダ11aの内部へ傾く場合、前記正面フライスインサート係止溝111aのスペースが大きく、正面フライスインサートと前記第1の位置決め側面115aとの密着面積が大きく、正面フライスインサートが前記正面フライスインサート係止溝111aに確実に固定され、緩めにくく、フライス加工の安定性が保証されることを発見した。
【0074】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記第1の所定角度は、87〜90度であり、好ましくは89度である。
【0075】
本発明者らは、第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面との角度を87〜90度とすることにより、前記正面フライスインサート係止溝111aを容易に加工でき、さらに、この条件で、正面フライスインサートのすくい面をその位置決め底面13に対してその軸の周りに時計回り又は反時計回りに0〜3度回すだけで、構造の異なる刃先と位置決め側面を形成することができ、さらに、刃先と被加工作業面とは角度の異なる夾角を形成することができ、異なるフライス加工の効果、すなわち、切削の効果又はワイパーの効果が実現され、0〜3度の範囲内の回転角度により正面フライスインサートの刃先の長さを保証し、刃先の不足を回避し、不正確な位置決めを回避する十分な位置決め面積を保証するだけでなく、異なるフライス加工プロセスに求められる要件を満たせることを発見したので、本発明では、前記第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面との角度として87〜90度を選択する。
【0076】
本発明の1つ別の好ましい実施形態において、前記正面フライスインサート係止溝111aは、正面フライスインサートの刃先と接触する部分に、例えば弧形溝や、長方形溝のような第1のクリアランス溝1171aが開設されることにより、正面フライスインサートの刃先と前記フライスインサートホルダ11aとの直接接触を回避し、刃先を傷つける可能性を低減し、正面フライスインサートを取り付けやすく、より安全で確実に使用できる。前記正面フライスインサート係止溝111a内において、第2の位置決め側面116aと事前位置決め面114aとの交差箇所に、第2のクリアランス溝1172aが開設されて、インサートを取り付け、精度を調整し、伸縮運動する過程で、調整隙間が確保される。
【0077】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aは曲面の溝であり、隣接した2つのフライスインサート支持座113aの間に設けられ、1つのフライスインサート支持座113aの裏面から隣接したフライスインサート支持座113aの前へ延び、前記正面フライスインサート係止溝111aと交差する。インサートを取り付けてロックしたら、曲面とロックウェッジブロックの上表面、すなわち、弧状面とは、一体化の屑排出溝、屑排出スペースを形成し、切削しながら屑を排出することができる。
【0078】
本発明において、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aに、段付孔であるウェッジブロック取付孔118aが前記フライスインサートホルダ11aの径方向に沿って開設され、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aの一端に近接する孔は、ウェッジブロック伸縮調整孔1181aであり、前記ロックウェッジブロック3aと整合し、その孔径が前記ロックウェッジブロック3aの外径よりわずかに大きく、前記フライスインサートホルダ11aの中心に近接する孔はウェッジブロックねじロック孔1182aであり、雌ねじを有する。
【0079】
本発明において、前記ウェッジブロック取付孔118aと前記正面フライスインサート係止溝111aとは交差し、前記ロックウェッジブロック3aが取り付けられた後、前記ロックウェッジブロック3aの一部が前記正面フライスインサート係止溝111aに露出する。
【0080】
本発明において、前記ウェッジブロック取付孔118aの軸線と前記第1の位置決め側面115aとは第2の所定角度をなす。
【0081】
本発明において、前記第2の所定角度をロックウェッジブロック取付孔118aの軸線とロックウェッジブロックのウェッジブロックロック面32aとの夾角として表すことができる。
【0082】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記第2の所定角度は、8〜12度であり、好ましくは10度である。
【0083】
本発明者らは、前記第2の所定角度が8〜12度である場合、前記ロックウェッジブロック3aがその軸方向に沿って前記フライスインサートホルダ11aの内部に移動すると、それが前記正面フライスインサート係止溝111a内に係合された正面フライスインサートにそのすくい面に垂直な圧力を加え、前記ロックウェッジブロック3aが前記フライスインサートホルダ11aの内部に移動するに伴い、該圧力が増大して、正面フライスインサートをロックする作用を果たすことを発見した。本発明の1つ別の好ましい実施形態において、前記第2の所定角度を前記ロックウェッジブロック3aの軸線と前記ロックウェッジブロックのウェッジブロックロック面32aとの夾角として表すことができる。
【0084】
本発明者らは、正面フライスインサートが前記ロックウェッジブロック3aにより前記フライスインサート支持座113aに係合された後、インサートの底部刃と被加工ワークの表面とは0°の角度をなし、切削又はワイパーが容易になり、ワイパー加工を行う場合、ワイパーインサートのワイパー刃が被加工ワークの表面に密着され、すなわち、ワイパー刃と被加工ワークの表面との夾角が0度であり、切削加工を行う場合、切削インサートの切削刃と被加工ワークの表面との夾角が0度より大きく、切削刃先とワークの表面との夾角が0〜3°であることをさらに発見した。
【0085】
本発明において、
図14に示すように、前記ロックウェッジブロック3aは偏心円筒であり、前記ロックウェッジブロック3aの外壁には前記ロックウェッジブロック3aの軸方向に沿って、互いに接続される退避溝31a及びウェッジブロックロック面32aが開設され、前記退避溝31aは弧状面であり、ウェッジブロックロック面32aと退避溝31aの弧状面とは相接関係ではなく、退避溝31aの末端にウェッジブロックロック面32aが突起して形成され、弧状面の接線とウェッジブロックロック面32aとのロック距離が0.1mmであることにより、カッターチップとウェッジとの接触によるカッターチップの破損を防止する。好ましくは、ロックウェッジブロック3aは雌ねじを有し、より好ましくは、取り付けられた後、前記ロックウェッジブロック3aの外端面とカッターヘッド本体1aの外壁とは円滑に遷移する。
【0086】
本発明者らは、前記ロックウェッジブロック3aが偏心円筒である場合、前記ロックウェッジブロック3aがその軸方向に沿って伸縮しながらその軸線の周りに回転することを回避することができ、すなわち、前記ロックウェッジブロック3aの伸縮が無効となることを回避することができることを発見した。
【0087】
本発明において、前記ロックウェッジブロック3aは接続部材を介して前記ウェッジブロック取付孔118aに取り付けられ、前記接続部材はツインスレッドスクリューであり、一端がウェッジブロックねじロック孔1182aに装着され、他端が前記ロックウェッジブロック3aの内孔に装着されてもよい。
【0088】
本発明において、前記ツインスレッドスクリューは、両端のねじ山の方向が反対である。
【0089】
本発明者らは、前記ツインスレッドスクリューの両端のねじ山の方向が反対となる場合、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの内部へのねじ込みに連動して、前記ロックウェッジブロック3aが前記フライスインサートホルダ11aの内部へねじ込み、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの外部へのねじ戻しに連動して、前記ロックウェッジブロック3aが前記フライスインサートホルダ11aの外部へねじ戻し、すなわち、ツインスレッドスクリューが前記ロックウェッジブロック3aと共に進退することが実現され、前記ロックウェッジブロック3aが取り付けられやすく、かつ調整されやすいことを発見した。
【0090】
本発明において、前記フライスインサート支持座113aの下部には、前記フライスインサートホルダ11aの径方向に沿って、前記フライスインサートホルダ11aの外壁からその内部に向けて、段付孔である調整ブロック取付孔119aが開設され、前記フライスインサートホルダ11aの外壁に近接する孔は、調整ブロック伸縮調整孔1191aであり、前記調整ブロック2aと整合し、孔径が前記調整ブロック2aよりわずかに大きく、フライスインサートホルダ11aの中心に近接する孔は、調整ブロックねじロック孔1192aであり、雌ねじを有する。
【0091】
本発明において、前記調整ブロック伸縮調整孔1191aは互いに連通するガイドトラック孔11911及び調整台孔11912を含み、前記調整台孔11912は前記正面フライスインサート係止溝111aの底端と連通する。
【0092】
本発明において、
図12に示すように、前記調整ブロック2aは、ガイドトラック部21a及び調整台22aを含み、前記ガイドトラック部21aと前記調整台22aが一体に成形されてもよく、前記ガイドトラック部21aは円柱体、角柱体などであり、前記ガイドトラック部21aの中心に、その軸線方向に沿って雌ねじ孔が開設され、前記調整台22aは1つの側面が平面である柱体であり、前記調整台22aの長さが前記ガイドトラック部21aの長さより小さくてもよく、ここで、調整面222aが調整台22aの上平面であり、前記調整ブロック2aが前記調整ブロック取付孔119aに取り付けられた後、前記調整面222aが前記事前位置決め面114aと平行であるか又は同じ平面にあり、正面フライスインサートを支持し、調整する役割を果たす。
【0093】
本発明において、前記事前位置決め面114aと前記調整ブロック取付孔119aの軸線とは第3の所定角度をなし、前記第3の所定角度は8〜12度であり、好ましくは10度である。
【0094】
本発明者らは、前記第3の所定角度が8〜12度である場合、前記調整ブロック2aがその内部で伸縮すると、前記調整ブロック2aの前記フライスインサートホルダ11aの軸方向における高さが変化し、正面フライスインサートの高さを調整する作用を果たし、すなわち、ヘッド表面上のすべての正面フライスインサートの高さを高い精度で校正できることを発見した。
【0095】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記第3の所定角度は前記調整面222aを前記調整ブロック2aの軸孔の軸線と交差させることにより形成されてもよい。
【0096】
本発明の1つ別の好ましい実施形態において、第3の所定角度を調整ブロックの軸孔と調整ブロックのロック位置決め面との夾角として表すことができる。本発明において、前記ガイドトラック部21aの外壁には、その軸方向に沿って、ロック部材と係合するための調整ブロックロック位置決め面221aが設けられ、前記調整ブロックが適切な位置に調整されたら、前記調整ブロックがロックされ、使用過程で正面フライスインサートの精度の安定性が保証される。
【0097】
本発明において、前記調整ブロック2aは接続部材を介して前記調整ブロック取付孔119aに取り付けられ、前記接続部材はツインスレッドスクリューであり、一端が調整ブロックねじロック孔1192aに装着され、他端が前記調整ブロック2aのねじ孔に装着されてもよい。
【0098】
本発明において、調整ブロック2aを取り付けるためのツインスレッドスクリューは、両端のねじ山の方向が反対である。
【0099】
本発明者らは、前記ツインスレッドスクリューの両端のねじ山の方向が反対となる場合、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの内部へのねじ込みに連動して、前記調整ブロック2aが前記フライスインサートホルダ11aの内部にねじ込み、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの外部へのねじ戻しに連動して、前記調整ブロック2aが前記フライスインサートホルダ11aの外部へねじ戻し、すなわち、ツインスレッドスクリューが前記調整ブロック2aと共に進退することが実現され、前記調整ブロック2aが取り付けられやすく、かつ調整されやすいことを発見した。
【0100】
本発明において、前記フライスインサート支持座113aには、前記フライスインサートホルダ11aの作業端面からその内部に向けて、ロック孔23aが前記調整ブロック取付孔119aの軸線に垂直な方向に沿って開設されている。
【0101】
本発明において、前記ロック孔23aは、ねじ孔であり、前記調整ブロック取付孔119aと連通する。
【0102】
本発明において、前記ロック孔23a内にはロック部材が設けられ、前記ロック部材はねじジャッキーであることが好ましい。
【0103】
本発明において、前記ロック部材は前記ロック孔23aを挿通して前記調整ブロック2aの調整ブロックロック位置決め面221aに押し付けられ、前記調整ブロック2aが適切な位置に調整されたら、ロック部材がロックされ、前記調整ブロック2aの位置が固定され、さらに加工過程における正面フライスインサートの精度の安定性が保証される。
【0104】
本発明において、前記正面フライスカッターヘッドの中心には、フライス過程で冷却液をスプレーし、フライス加工時の作業面の温度を低減するための冷却液スプレーボード4aが固定的に設けられる。
【0105】
本発明において、本発明の第1の形態に係るインデックス可能な正面フライスインサートは、その回転方向及び回転角度が前記正面フライスカッターヘッド内の正面フライスインサート係止溝の回転角度に整合し、それにより異なる切削機能が実現され、正面フライスインサートが係止溝に対して汎用性を備えるようになる。
【0106】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0107】
(1)本発明に係るインデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、小さい抵抗力で切削することができ、加工範囲がより広い。
【0108】
(2)該インデックス可能な正面フライスインサートの取り付けが容易であり、すくい面の異なる回転方向により切削とワイパーの2つの機能が容易に実現される。
【0109】
(3)該インデックス可能な正面フライスインサートは、位置決め側面とすくい面との間に逃げ面が設けられることによって、刃先をポリシングする場合に位置決め側面を傷つけず、位置決め基準が安定し、長時間有効であることが保証される。
【0110】
(4)該インデックス可能な正面フライスインサートは、繰り返してポリシングされることができ、その経済性が向上する。
【0111】
(5)該インデックス可能な正面フライスインサートのカッターチップは、様々なフライス用途に適用する。
【0112】
(6)該正面フライスカッティングヘッドは、同じインサート係止溝を有するカッターヘッドに、必要に応じた数及び位置で、切削用正面フライスインサートとワイパー用正面フライスインサートを設けることができる。
【0113】
(7)本発明に係る正面フライスカッターヘッドに設けられた事前位置決め面は、インサートを速く位置決めすることができ、位置決めの精度が高く、0.01mまで達し、予め調整せず直接使用することができる。
【0114】
(8)前記正面フライスカッターヘッドの調整ブロックの高さが調整されやすく、正面フライスインサートの高さが速く、正確に調整され、正面フライスインサート全体の精度が0.005mm以内にされることができる。
【0115】
(9)前記正面フライスカッターヘッドの正面フライスインサート係止溝の底面と前記正面フライスカッターヘッドの作業面とは所定角度を成し、回転方向の異なる正面フライスインサートが前記インサート係止溝に係着された後、切削又はワイパーの2つの作用を有することにより、正面フライスカッターヘッドが機能の異なる正面フライスインサートに対して汎用性を有する。
【0116】
(10)前記正面フライスカッターヘッドのインサート係止溝は、異なる回転方向により異なる作用を果たす正面フライスインサートに対して汎用性を有し、すなわち、前記正面フライスカッターヘッドに切削用正面フライスインサートとワイパー用正面フライスインサートの位置及び数を柔軟に設定することができる。
【0117】
(11)ウェッジブロック及び締め具による正面フライスインサートの固定は、正面フライスカッタの使用過程における精度の安定性を向上させる。
【0118】
以上で具体的な実施形態及び例示的な実施例で本発明を詳しく説明したが、これらの説明は本発明を制限するものと理解されるべきではない。当業者でれば理解できるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の技術的解決手段及び実施形態に様々な同等置換、修飾又は改善を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。本発明の保護範囲は特許請求の範囲を基準とする。