特許第6967595号(P6967595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6967595インデックス可能な正面フライスインサート及び該インサートを用いた正面フライスカッティングヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967595
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】インデックス可能な正面フライスインサート及び該インサートを用いた正面フライスカッティングヘッド
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/20 20060101AFI20211108BHJP
   B23C 5/24 20060101ALI20211108BHJP
   B23C 5/06 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   B23C5/20
   B23C5/24
   B23C5/06 A
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-538323(P2019-538323)
(86)(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公表番号】特表2020-504024(P2020-504024A)
(43)【公表日】2020年2月6日
(86)【国際出願番号】CN2017115596
(87)【国際公開番号】WO2019010915
(87)【国際公開日】20190117
【審査請求日】2019年7月10日
(31)【優先権主張番号】201710567057.3
(32)【優先日】2017年7月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201710566456.8
(32)【優先日】2017年7月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519251793
【氏名又は名称】北京沃爾徳金剛石工具股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WORLDIA DIAMOND TOOLS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】張 宗超
(72)【発明者】
【氏名】韓 ▲チィ▼
(72)【発明者】
【氏名】範 笑顔
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−294917(JP,A)
【文献】 特開2017−071056(JP,A)
【文献】 特開平05−253730(JP,A)
【文献】 特許第6119916(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0129166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/20
B23C 5/24
B23C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ンデックス可能な正面フライスインサートが設けられている正面フライスカッティングヘッドであって、
該正面フライスインサートは、インサートベース(1)とその上に積層された切削体(2)とを含み、
前記インデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、
前記インサートベース(1)と前記切削体(2)とは円滑に遷移し、
前記インサートベース(1)は位置決め側面(11)、上平面(12)及び位置決め底面(13)を含み、前記切削体(2)がインサートベース(1)の上平面(12)に積層され、前記上平面(12)の面積が前記位置決め底面(13)の面積より大きく、前記位置決め底面(13)のエッジ又はその延長線のすくい面(21)での投影(l2)が前記すくい面(21)の対応するエッジ又はその延長線(l3)と交差し、面偏角(23)を形成し、
前記インデックス可能な正面フライスインサートにおいて、前記上平面(12)は、位置決め底面(13)に対して前記インデックス可能な正面フライスインサートの中心軸(l1)の周りに時計回りまたは反時計回りに回転し、
前記正面フライスカッティングヘッドは、前記インデックス可能な正面フライスインサートを係着するための正面フライスカッターヘッドをさらに含み、
前記正面フライスカッターヘッドに複数の正面フライスインサート係止溝(111a)が開設され、
前記正面フライスインサート係止溝(111a)は、外形が正面フライスインサートの外形とマッチングし、事前位置決め面(114a)、第1の位置決め側面(115a)及び第2の位置決め側面(116a)を含み、
前記正面フライスカッターヘッドは、ホーン状のカッターヘッド本体(1a)、カッターヘッド本体(1a)に設けられた調整ブロック(2a)及びロックウェッジブロック(3a)を含み、
前記カッターヘッド本体(1a)は、フライスインサートホルダ(11a)、カッターステム接続部(12a)、及び前記フライスインサートホルダ(11a)と前記カッターステム接続部(12a)との間に設けられた遷移部(13a)を含み、
前記フライスインサートホルダ(11a)は、円筒形又は中空の円錐台形であり、その作業端面に、前記正面フライスインサート係止溝(111a)と、隣接した前記正面フライスインサート係止溝(111a)に連通する複数のウェッジブロック取付屑排出溝(112a)とが開設され、複数のフライスインサート支持座(113a)が形成され、
前記第2の位置決め側面(116a)と前記フライスインサートホルダ(11a)の端面がある平面とは第1の所定角度をなし、前記第1の位置決め側面(115a)と前記フライスインサートホルダ(11a)の端面とは径方向すくい角(1151a)を形成し、前記第1の位置決め側面(115a)と前記フライスインサートホルダ(11a)の軸線とは軸方向すくい角(1152a)を形成し、
前記ウェッジブロック取付屑排出溝(112a)には、軸線が第1の位置決め側面(115a)と第2の所定角度をなすウェッジブロック取付孔(118a)が前記フライスインサートホルダ(11a)の径方向に沿って開設されていることを特徴とする正面フライスカッティングヘッド。
【請求項2】
前記正面フライスインサート係止溝(111a)は前記フライスインサートホルダ(11a)の内部に傾くことを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項3】
前記第1の所定角度は、87〜90度であり、好ましくは89度であることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項4】
前記第2の所定角度は、8〜12度であり、好ましくは10度であることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項5】
前記正面フライスインサート係止溝(111a)の上方には、前記フライスインサートホルダ(11a)の径方向に沿って、調整ブロック取付孔(119a)が前記フライスインサートホルダ(11a)の外壁からその内部に向けて開設されており、
前記フライスインサート支持座(113a)には、前記調整ブロック取付孔(119a)の軸線に垂直な方向に沿って、ロック孔(23a)が前記フライスインサートホルダ(11a)の作業端面からその内部に向けて開設されていることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項6】
前記調整ブロック(2a)は、ガイドトラック部(21a)及び調整台(22a)を含み、
調整ブロック取付孔(119a)の軸線と事前位置決め面(114a)とは第3の所定角度をなし、
前記第3の所定角度は8〜12度であり、好ましくは10度であることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項7】
前記ガイドトラック部(21a)の外壁には、その軸方向に沿って、ロック部材と係合するための調整ブロックロック位置決め面(221a)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項8】
前記ロックウェッジブロック(3a)は、偏心円筒であり、ウェッジブロックの外壁に退避溝(31a)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド。
【請求項9】
前記面偏角(23)は、±(0〜3)度であることを特徴とする請求項1に記載の正面フライスカッティングヘッド
【請求項10】
面偏角(23)は、±1度であることを特徴とする請求項に記載の正面フライスカッティングヘッド
【請求項11】
前記切削体(2)の被加工ワークと接触する面はすくい面(21)であり、
前記すくい面(21)の各稜角が面取り加工され、面取り加工された半径がカッターチップの半径であり、前記カッターチップの半径が0〜1.8mmであることを特徴とする請求項1、9または10に記載の正面フライスカッティングヘッド
【請求項12】
前記切削体(2)はインサートベース(1)の上平面(12)をカバーし、インサートベース(1)に対応する多角形であるか、又は
前記切削体(2)はストリップ状としてインサートベース(1)のエッジに沿って設けられるか、又は
前記切削体(2)はカッターチップに設けられ、三角形又は平行四辺形に近似することを特徴とする請求項1、9または10に記載の正面フライスカッティングヘッド
【請求項13】
前記すくい面(21)と前記位置決め側面(11)との間に逃げ面(3)が設けられ、
前記逃げ面(3)と前記すくい面(21)は交差して、前記位置決め側面(11)と前記すくい面(21)との夾角より大きい所定角度の夾角を形成することを特徴とする請求項1、9または10に記載の正面フライスカッティングヘッド
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、正面フライスカッタの分野に関し、特にインデックス可能な正面フライスインサート及び該インサートを用いた正面フライスカッティングヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
正面フライスカッタは面積の大きい金属平面を加工するための工具であり、そのカッティングヘッドが一般的にカッターヘッド及びカッターヘッドに設けられたインサートという2つの主要部品を含み、インサートは金属表面の切削加工に用いられる。
【0003】
一般的に、正面フライスカッタの切削加工を行う部品、すなわちインサートは、刃部に使われる切削用材料が主に多結晶ダイヤモンドと多結晶立方晶窒化硼素などが挙げられるが、これらの切削用材料は一般的に高価で、単価が平方ミリメートルを単位として計算される。正面フライスカッタのコストを削減するために、従来の技術では、一般的にインサートの合金ベースに前記切削用材料を積層することにより、複合インサートを得る。合金ベースと切削用材料とは円滑に遷移し、例えば、合金ベースは、一般的に角錐台又は直方体であり、その側面及び/又は底面により正面フライスカッターヘッドに正確に位置決められ、取付精度が保証され、合金ベースに積層された切削用材料は切削に用いられる。
【0004】
金属表面を長時間切削したら、上記切削用材料で形成された刃先には必然的に摩耗が発生し、そのまま廃棄すれば、材料の浪費になるだけでなく、生産コストが激増するので、フライス加工企業は一般的に正面フライスインサートをポリシングし、刃先の切れ味を増すことにより、正面フライスインサートを繰り返し利用する。
【0005】
しかしながら、ポリシング過程で、合金ベースもポリシングされ、位置決め作用を果たす側面がそれによって変形し、位置決め作用が無効となることで、フライス加工過程でインサートが振動し、さらにフライス加工の精度が大幅に落ちる。
【0006】
また、フライス加工の精度及び効果の違いによって、正面フライスカッタは、切削インサートに対応する切削用正面フライスカッタと、ワイパーインサートに対応するワイパー用正面フライスカッタと、に分けられ、フライス加工の過程で、切削インサートの刃先と被加工面との角度と、ワイパーインサートの刃先と被加工面との角度とが違うため、従来の技術において用途に応じて構造が違う2種の正面フライスインサートが用いられ、すなわち、切削用正面フライスカッタのカッターヘッドとワイパー用正面フライスカッタのカッターヘッドとは汎用性がなく、カッターヘッドに切削用正面フライスカッタとワイパー用正面フライスカッタとを共に取り付ける必要がある場合、切削インサート係止溝とワイパーインサート係止溝の両方を備えるカッターヘッドを特別に設ける必要がある。したがって、該カッターヘッドには、切削用正面フライスカッタとワイパー用正面フライスカッタを係着するための係止溝の位置及び数はいずれも一定であり、必要に応じて柔軟に調整することができない。
【0007】
したがって、位置決めの無効を回避するだけでなく、同じインサート係止溝を通用する切削用正面フライスインサート、ワイパー用正面フライスインサート及び正面フライスカッティングヘッドを早急に開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本願は正面フライスインサート及び該正面フライスインサートを用いた正面フライスカッティングヘッドを提供し、正面フライスインサートをポリシングすることによる位置決めの無効、及び、切削用正面フライスカッタとワイパー用正面フライスカッタとのカッターヘッドの通用不可という問題を解決する。
【0009】
第1の様態では、本願は、インサートベース1とその上に積層された切削体2とを含む正面フライスインサートであって、前記インデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、前記インサートベース1と前記切削体2とは円滑に遷移し、前記インサートベース1は位置決め側面11、上平面12及び位置決め底面13を含み、前記切削体2はインサートベース1の上平面12に積層され、前記上平面12の面積は前記位置決め底面13の面積より大きく、前記位置決め底面13のエッジ又はその延長線のすくい面21での投影l2は前記すくい面21の対応するエッジ又はその延長線l3と交差し、面偏角23を形成する。
【0010】
好ましくは、前記インデックス可能な正面フライスインサートにおいて、前記上平面12は、位置決め底面13に対して前記インデックス可能な正面フライスインサートの中心軸の周りに時計回り又は反時計回りに回転する。
【0011】
好ましくは、前記切削体2の被加工ワークに接触する端面はすくい面21であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートの位置決め側面11の前端に逃げ面3が設けられ、前記位置決め側面11、前記逃げ面3及び前記すくい面21は順次連なり、より好ましくは、前記逃げ面3と前記すくい面21との夾角の角度は位置決め側面11と前記すくい面21との夾角の角度より大きい。
【0012】
第2の様態では、本願はさらに上記正面フライスインサートを用いた正面フライスカッティングヘッドを提供し、前記正面フライスカッティングヘッドに本発明の第1の様態に記載のインデックス可能な正面フライスインサートが設けられている。
【0013】
好ましくは、前記正面フライスカッティングヘッドは、上記インデックス可能な正面フライスインサートを係着するための正面フライスカッターヘッドをさらに含み、前記正面フライスカッターヘッドに複数の正面フライスインサート係止溝111aが開設され、前記正面フライスインサート係止溝111aは外形が正面フライスインサートの外形とマッチングし、事前位置決め面114a、第1の位置決め側面115a及び第2の位置決め側面116aを含む。
【0014】
好ましくは、前記正面フライスカッターヘッドは、ホーン状のカッターヘッド本体1a、カッターヘッド本体1aに設けられた調整ブロック2a及びロックウェッジブロック3aを含み、
前記カッターヘッド本体1aは、フライスインサートホルダ11a、カッターステム接続部12a及び前記フライスインサートホルダ11aと前記カッターステム接続部12aとの間に設けられた遷移部13aを含み、
前記フライスインサートホルダ11aは、円筒形又は中空の円錐台形であり、その作業端面に前記正面フライスインサート係止溝111aと、隣接した前記正面フライスインサート係止溝111aに連通する複数のウェッジブロック取付屑排出溝112aとが開設され、前記フライスインサートホルダ11aの作業端面に複数のフライスインサート支持座113aが形成される。
【0015】
前記第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面とは第1の所定角度をなし、前記第1の位置決め側面115aと前記フライスインサートホルダ11aの端面とは径方向すくい角1151aを形成し、前記第1の位置決め側面115aと前記フライスインサートホルダ11aの軸線とは軸方向すくい角1152aを形成する。
【0016】
好ましくは、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aには、段付孔であるウェッジブロック取付孔118aが前記フライスインサートホルダ11aの径方向に沿って開設され、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aに近接する孔はウェッジブロック伸縮調整孔1181aであり、前記ロックウェッジブロック3aと整合し、その孔径が前記ロックウェッジブロック3aの外径よりわずかに大きく、前記フライスインサートホルダ11aの中心に近接する孔はウェッジブロックねじロック孔1182aであり、雌ねじを有する。
【0017】
前記正面フライスインサート係止溝111aの上方には、前記フライスインサートホルダ11aの径方向に沿って、段付孔である調整ブロック取付孔119aが前記フライスインサートホルダ11aの外壁からその内部に向けて開設されており、前記フライスインサートホルダ11aの外壁に近接する孔は調整ブロック伸縮調整孔1191aであり、前記調整ブロック2aと整合し、その孔径が前記調整ブロック2aよりわずかに大きく、フライスインサートホルダ11aの中心に近接する孔は調整ブロックねじロック孔1192aであり、雌ねじを有する。
【0018】
前記フライスインサート支持座113aには、前記調整ブロック取付孔119aの軸線に垂直な方向に沿って、ロック孔23aが前記フライスインサートホルダ11aの作業端面からその内部に向けて開設されている。
【0019】
前記ロックウェッジブロック3aは偏心円筒であり、外壁に退避溝31aが設けられている。
【0020】
前記調整ブロック2aは、ガイドトラック部21a及び調整台22aを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例に使用される図面を簡単に説明するが、当然ながら、当業者であれば,創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到しうる。
【0022】
図1図1は、本願の好ましいインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図2a図2aは、本願に係る一本の切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図2b図2bは、本願に係る二本の規則的な切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図2c図2cは、本願に係る一本の異形切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図2d図2dは、本願に係る二本の異形切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図3a図3aは、本願に係る1つの切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図3b図3bは、本願に係る2つの切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図3c図3cは、本願に係る三つの切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図3d図3dは、本願に係る四つの切削体を有するインデックス可能な正面フライスインサートの構造概略図である。
図4a図4aは、本願に係るインデックス可能な幅広円弧状のワイパー用正面フライスインサートの上面図である。
図4b図4bは、本願に係るインデックス可能な幅広円弧状のワイパー用正面フライスインサートの側面図である。
図4c図4cは、本願に係るインデックス可能な幅狭円弧状のワイパー用正面フライスインサートの上面図である。
図4d図4dは、本願に係るインデックス可能な幅狭円弧状のワイパー用正面フライスインサートの側面図である。
図4e図4eは、本願に係るインデックス可能な偏角付きワイパー用正面フライスインサートの上面図である。
図4f図4fは、本願に係るインデックス可能な偏角付きワイパー用正面フライスインサートの側面図である。
図5a図5aは、本願に係るインデックス可能な正面フライスインサートの上面図である。
図5b図5bは、本願に係るインデックス可能な正面フライスインサートの上面図である。
図5c図5cは、本願に係るインデックス可能な正面フライスインサートの上面図である。
図6図6は、本願に係るインデックス可能な正面フライスインサートの底面図である。
図7図7は、本願に係るインデックス可能な正面フライスインサートの側面図である。
図8図8は、本願に係る正面フライスカッターヘッドの構造概略図である。
図9図9は、図8におけるZ箇所の拡大図である。
図10図10は、本願に係る正面フライスカッターヘッドの断面概略図である。
図11図11は、図8におけるZ箇所の分解組立図である。
図12図12は、一実施形態に係る調整ブロックの上面図である。
図13図13は、一実施形態に係る調整ブロックの正面図である。
図14図14は、一実施形態に係るロックウェッジブロックの断面図である。
図15図15は、一実施形態に係るカッターヘッドの側面図である。
図16図16は、図15におけるX箇所の拡大図である。
図17図17は、一実施形態に係るカッターヘッドの上面図である。
図18図18は、図17におけるY箇所の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明の特徴と利点は、これらの説明により明らかかつ明確になる。
【0024】
ここで用いた単語"例示的"とは"例、実施例として、又は説明のために用いられる"ことである。ここで"例示的"に示されるいずれかの実施例は、他の実施例より優れるものと解釈すべきではない。図面において実施例の様々な態様が示されているが、特に説明がない限り、図面は一定の縮尺で描写される必要がない。
【0025】
本発明において、説明すべきことは、用語「上」、「下」、「内」、「外」、「前」、「後」、「左」及び「右」等が示す方位又は位置関係は、本発明の作動状態に基づいた方位又は位置関係であり、本発明を便利かつ簡単に説明するためのものに過ぎず、示した装置又は部品が必ず特定な方位を有し、特定な方位で構成又は操作することを指示又は暗示することではないので、本発明を制限するものと理解すべきではない。また、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」及び「第4の」は、説明のために用いた用語に過ぎず、重要性を指示又は暗示するものと理解すべきではない。
【0026】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0027】
本発明の第1の様態では、インデックス可能な正面フライスインサートを提供し、該正面フライスインサートはインサートベース1とその上に積層された切削体2とを含み、前記インデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、前記インサートベース1と前記切削体2とは円滑に遷移し、前記インサートベース1は位置決め側面11、上平面12及び位置決め底面13を含み、前記切削体2はインサートベース1の上平面12に積層され、前記上平面12の面積は前記位置決め底面13の面積より大きく、前記位置決め底面13のエッジ又はその延長線のすくい面21での投影l2は前記すくい面21の対応するエッジ又はその延長線l3と交差し、面偏角23を形成することを特徴とする。
【0028】
本発明において、前記インサートベース1は金属製であり、好ましくは硬質合金製である。
【0029】
本発明において、前記切削体2は高硬度切削用材料で製造され、前記高硬度切削用材料は立方晶窒化ホウ素(CBN)、多結晶ダイヤモンド(CVD)又は多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)から選択された一種又は多種であり、好ましくは多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)である。
【0030】
本発明において、前記インサートベース1と前記切削体2は固定的に接続される。
【0031】
本発明において、インデックス可能な正面フライスインサートは切削体2によって一体に加工されてもよい。
【0032】
本発明において、前記インデックス可能な正面フライスインサートは四角錐台、五角錐台、六角錐台、七角錐台又は八角錐台に近似し、好ましくは四角錐台、五角錐台又は六角錐台である。
【0033】
インデックス可能な正面フライスインサートが4〜8角錐台である場合、同一のインサートに複数の刃先を設けることができ、1つの刃先が摩耗したら、正面フライスインサートを回転させることで刃先を交換することができ、インサートの多角形構造を十分に利用し、インサートの耐用年数を延長する。
【0034】
本発明者らは、前記インデックス可能な正面フライスインサートが四角錐台である場合、正面フライスインサートのカッターヘッドでの安定した固定に有利であるとともに、刃先の長さが適切で、切削の精度だけでなく、切削の効率も保証できることを発見した。
【0035】
本発明において、前記上平面12は、インサートベース1の切削体2に接する頂面であり、前記すくい面21は、切削体2の頂面であり、図1図3dに示すように、切削体2が上平面12上に積層され、好ましくは、すくい面21は上平面12の露出部分と面一である。
【0036】
本発明の一実施形態において、図1に示すように、前記切削体2は、インサートベース1の上平面12をカバーし、インサートベース1に対応する多角形である。
【0037】
本実施形態において、図2a〜図2dに示すように、前記切削体2は、ストリップ状としてインサートベース1のエッジに沿って設けられ、好ましくは、前記切削体2はインサートベース1の一辺に沿って設けられるか、又はそれぞれインサートベース1の互いに平行な二辺に沿って設けられる。
【0038】
本発明者らは、上記切削体2によって、前記インサートベース1と前記切削体2を簡単に固定的に接続するだけでなく、切削用材料を節約することができることを発見した。
【0039】
本発明の1つ別の好ましい実施形態において、図3a〜図3dに示すように、前記切削体2は三角形又は四角形に近似して、刃先に設けられる。
【0040】
本発明者らは、上記切削体2は、切削用材料を最大限節約し、製造コストを大幅に低減することができることを発見した。
【0041】
本発明において、前記切削体2の被加工ワークと接触する面はすくい面21である。
【0042】
本発明において、前記インデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、上平面12の面積は位置決め底面13の面積より大きく、すくい面21と位置決め底面13との間には少なくとも逃げ面3と位置決め側面11が含まれ、図7に示すように、逃げ面3とすくい面21とは刃後角θを形成し、位置決め側面11とすくい面21とは位置決め角θ1を形成し、かつ、θ>θ1であり、これで分かるように、位置決め側面11は、逃げ面3よりも正面フライスインサートの軸線方向に傾くことにより、正面フライスインサートがカッターヘッドに係着された場合、位置決め側面11と被加工金属表面との接触が回避され、位置決め基準は安定し、長時間有効であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートと被加工金属表面との摩擦力が低下し、すなわち、切削の抵抗力が低下し、さらにフライス加工の精度、効率及び加工範囲が向上する。
【0043】
本発明において、前記ベースの上平面12は、前記角錐台に対応する多角形であり、例えば正三角形、正方形、菱形、平行四辺形、正八角形又は他の特定の形状であり、前記ベースが四角柱である場合、上平面12は正方形である。
【0044】
本発明において、図1及び図6に示すように、前記インデックス可能な正面フライスインサートは、正角錐台の上平面がその中心軸l1の周りに回転した形状であり、すなわち、前記位置決め底面13のエッジ又はその延長線のすくい面21での投影l2は、前記すくい面21の対応するエッジ又はその延長線l3と交差し、面偏角23を形成する。
【0045】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記面偏角は±(0〜3)度であり、好ましくは±1度であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートにおける前記上平面12がその中心軸l1の周りに時計回りに回転したものである場合、面偏角は+(0〜3)度であり、前記インデックス可能な正面フライスインサートにおける前記上平面12がその中心軸l1の周りに反時計回りに回転したものである場合、面偏角は−(0〜3)度である。
【0046】
本発明者らは、面偏角23が±(0〜3)度である場合、前記インデックス可能な正面フライスインサートがカッターヘッドの係止溝に取り付けられると、被加工表面と所定角度を形成して、被加工表面をフライス加工することができ、また、該回転角度では、前記正面フライスインサートの位置決め側面11に逃げ面3を加工することができ、面偏角23の角度が±3度より大きい場合、逃げ面3を加工すれば、位置決め側面11の面積が小さくなり、位置決めが不正確になり、インデックス可能な正面フライスインサートが無効となることを発見した。本発明において、フライス加工する時、ワイパー刃と被加工ワークの表面が面合わせられ、すなわち、ワイパー刃と被加工ワークの表面との夾角は0度である。
【0047】
本発明において、ワイパー用正面フライスインサートはその上平面12がその中心軸の周りに反時計回りに回転したものであり、−3°<面偏角23<0°である。
【0048】
本発明において、フライス加工する時、切削刃と被加工ワークの表面との夾角が0度より大きいため、切削刃先とワーク表面との夾角は0〜3°であり、切削用正面フライスインサートは上平面12がその中心軸の周りに時計回りに回転したものであり、0°≦面偏角23<3°である。
【0049】
本発明において、前記位置決め側面11と前記逃げ面3が交差して所定角度を形成し、刃先をポリシングする時に位置決め側面11を傷つけることを回避する。
【0050】
刃後角θと面偏角23との作用により、前記正面フライスカッタの面に様々な位置決め面、逃げ面及び刃先の構造が形成され、具体的には図4a〜4fに示すとおりである。
【0051】
本発明の1つの好ましい実施形態において、図4aに示すように、前記切削体2における隣接した2つの位置決め側面11は刃先偏角22を形成し、本発明では、刃先偏角22の角度は0〜75度であり、刃先偏角が0〜45度である場合、径方向の力が大きく、軸方向の力が小さく、刃先偏角が45度である場合、フライスインサートホルダの径方向の力が軸方向の力と等しく、刃先偏角が45〜75度である場合、フライスインサートホルダの径方向の力が小さくなり、軸方向の力が大きくなる。径方向の切削力が小さいほど、ワークの変形への影響が小さいので、異なる被加工ワークに対して異なる刃先偏角を選択することができる。
【0052】
本発明者らは、ワイパー刃の長さが被加工表面の粗さ及び加工効率と直結し、ワイパー刃の刃先が長ければ長いほど、正面フライス加工による表面の粗さが高く、加工効率が高く、刃先が短ければ短いほど、正面フライス加工による表面の粗さが低く、加工効率が低下することを発見した。本発明者らはまた、インデックス可能な正面フライスインサートが所定の仕様では、インデックス可能な正面フライスインサートが4〜8角錐台である場合、その刃先の長さは、正面フライス加工の精度に求められる要件を満たせるとともに、加工効率が高いことを発見した。
【0053】
本願において、図4a〜図4fに示すように、BSはワイパー刃の長さであり、ワイパー刃の種類は主に幅広円弧状ワイパー刃、幅狭円弧状ワイパー刃、偏角ワイパー刃の3つがある。図4a、図4bは、幅広円弧状ワイパーインサートの上面図を示し、ここで、BSの範囲が2〜7mmであり、ワイパー刃の円弧の半径Rの範囲が20〜500mmである。図4c、図4dは、幅狭円弧状ワイパーインサートを示し、ここで、BSの範囲が0.2〜2mmであり、ワイパー刃の円弧の半径Rの範囲が3〜20mmであり、図4e、図4fは、偏角ワイパーインサートを示し、ここで、BSの範囲が0.2〜2mmであり、偏角φの範囲が0〜2°である。
【0054】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記すくい面21の各稜角が刃先であり、好ましくは、前記刃先は円弧形であり、該円弧の半径が刃先の半径であり、前記刃先の半径は0〜2.0mmであり、好ましくは0.8mmである。本発明者らは、刃先の半径が0.8mmである場合、前記インデックス可能な正面フライスインサートの刃先の有効長さが大きく、刃先の強度が高く、被加工金属の表面にボーダー傷を形成しにくいことを発見した。
【0055】
本発明の1つ別の実施例において、図5a、図5b及び図5cに示すように、前記刃先は接続された少なくとも一つの線形刃及び半径が0〜2.0mmである少なくとも一つの円弧刃を含む。
【0056】
本発明の一実施形態において、図5aに示すように、前記すくい面21の刃先は一つの線形刃及び一つの円弧刃を含み、第1の刃先偏角aが45〜90度である。
【0057】
本発明の1つ別の実施形態において、図5bに示すように、前記すくい面21の刃先は二つの線形刃を含み、隣接した二つの線形刃の間に円滑に遷移するための円弧刃が設けられ、第1の刃先偏角aが45〜90度であり、第2の刃先偏角a1が15〜45度である。
【0058】
本発明の1つ別の実施形態において、図5cに示すように、前記すくい面21の刃先は三つの線形刃を含み、隣接した二つの線形刃の間に円滑に遷移するための円弧刃が設けられ、第1の刃先偏角aが45〜90度であり、第2の刃先偏角a1が15〜45度であり、第3の刃先偏角a2が60〜90度である。
【0059】
本発明において、図7に示すように、すくい面21と位置決め底面13との間の側面は逃げ面3と位置決め側面11という2つの面を含み、逃げ面3とすくい面21とは刃後角θを形成し、位置決め側面11とすくい面21とは位置決め角θ1を形成し、θ>θ1である。これで分かるように、位置決め側面11は逃げ面3よりも内部に傾き、これにより、正面フライスインサートがカッターヘッドに係着された後、ワークを加工する過程で、位置決め側面11と被加工金属表面とは接触せず、加工する過程で、すくい面21及び逃げ面3が摩耗するが、このような構造では、位置決め側面11と被加工金属表面とは接触せず、摩耗がないため、位置決め側面の破損で位置決めが不正確になることが発生しない。さらに、刃先をポリシングする時に位置決め側面11を傷つけることを回避することにより、位置決め基準が安定し、長時間有効であることを保証する。ここで、刃後角θの範囲は77〜82°で、好ましくは79°であり、刃後角θが小さければ小さいほど、刃先が鋭く、位置決め角θ1の範囲は73〜77°で、好ましくは75°である。
【0060】
本発明において、前記インデックス可能な正面フライスインサートが使用される場合、前記インデックス可能な正面フライスインサートが位置決め側面11及び位置決め底面13によって、カッターヘッドの係止溝に係着され、切削用とワイパー用の正面フライスインサートの外形が近く、その上平面がその中心軸の周りに回転する方向だけが異なるため、回転方向の異なる正面フライスインサートは同一の正面フライスカッターヘッドに通用し、すなわち、同一のカッターヘッドの係止溝に用途の異なる上記2種のインデックス可能な正面フライスインサートが用いられることができ、カッターヘッドにワイパー用正面フライスカッタを係着するための係止溝を特別に開設する必要がない。
【0061】
本発明の第2の形態によれば、上記インデックス可能な正面フライスインサートを用いた正面フライスカッティングヘッドがさらに提供され、前記正面フライスカッティングヘッドに本発明の第1の形態に係るインデックス可能な正面フライスインサートが設けられている。
【0062】
本発明において、前記正面フライスカッティングヘッドは、さらに上記インデックス可能な正面フライスインサートを係着するための正面フライスカッターヘッドを含む。
【0063】
前記正面フライスカッターヘッドは、ホーン状のカッターヘッド本体1a、カッターヘッド本体1aに設けられた調整ブロック2a及びロックウェッジブロック3aを含む。
【0064】
本発明において、図8に示すように、前記カッターヘッド本体1aはフライスインサートホルダ11a、カッターステム接続部12a及び前記フライスインサートホルダ11aと前記カッターステム接続部12aとの間に設けられた遷移部13aを含み、前記フライスインサートホルダ11aは円筒形又は中空の円錐台形であり、前記カッターステム接続部12aも円筒形であり、前記遷移部13aは中空の円錐台であり、前記フライスインサートホルダ11aの外径は前記カッターステム接続部12aの外径より大きく、等しく又は小さくてもよく、好ましくは、前記フライスインサートホルダ11aの外径は前記カッターステム接続部12aの外径より大きい。
【0065】
本発明において、図8に示すように、カッターステム接続部12aの先端にキー溝121aが開設され、カッターヘッドがカッターステムに接続されている時、カッターステムのキーブロックはカッターヘッドのキー溝121aに係合し、ねじり力を伝達する。
【0066】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記カッターヘッド本体1aは一体に成形されるものである。
【0067】
本発明において、前記フライスインサートホルダ11aは円筒形又は中空の円錐台形であり、その作業端面に複数の正面フライスインサート係止溝111aと、隣接した正面フライスインサート係止溝111aに連通する複数のウェッジブロック取付屑排出溝112aとが開設され、前記フライスインサートホルダ11aの作業端面に複数のフライスインサート支持座113aが形成され、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aの数は1〜50個であり、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aの数は、異なるカッターヘッドの直径により決められる。
【0068】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記フライスインサート支持座113aは前記フライスインサートホルダ11aに均一に分布する。
【0069】
本発明において、前記正面フライスインサート係止溝111aの外形は、用いた正面フライスインサートの外形とマッチングし、図9に示すように、前記正面フライスインサート係止溝111aは、事前位置決め面114a、第1の位置決め側面115a及び第2の位置決め側面116aを含み、前記第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面とは第1の所定角度をなし、前記第1の位置決め側面115aは、カッターヘッドの軸線とは軸方向すくい角を形成し、カッターヘッドの端面とは径方向すくい角を形成し、図15図18に示すように、前記軸方向すくい角は5°であり、前記径方向すくい角は3°である。
【0070】
本発明において、本発明に係る正面フライスカッターヘッドに合わせて使用される正面フライスインサートは角柱又は角錐台形であり、被加工ワークと接触する面はすくい面であり、すくい面と平行に対向する面が位置決め底面13であり、すくい面と位置決め底面l3との間に設けられる側面は逃げ面及び位置決め側面を含み、すなわち、正面フライスインサートが前記正面フライスカッターヘッドに取り付けられた後、正面フライスインサートの位置決め底面13が前記正面フライスカッターヘッドの第1の位置決め側面115aに密着され、正面フライスインサートの位置決め側面が前記正面フライスカッターヘッドの事前位置決め面114aに密着される。
【0071】
本発明において、前記事前位置決め面114aの加工精度が高く、使用される正面フライスインサートの精度も高い状況において、正面フライスインサートが取り付けられると、校正しなくても、正面フライスインサート全体で一般的なフライス加工の精度要件を満たすことができ、すなわち、直接使用することができ、校正の作業を低減し、便利かつ迅速に使用できる。
【0072】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記正面フライスインサート係止溝111aはその中心軸の周りに前記フライスインサートホルダ11aの内部に傾く。
【0073】
本発明者らは、前記正面フライスインサート係止溝111aが前記フライスインサートホルダ11aの内部へ傾く場合、前記正面フライスインサート係止溝111aのスペースが大きく、正面フライスインサートと前記第1の位置決め側面115aとの密着面積が大きく、正面フライスインサートが前記正面フライスインサート係止溝111aに確実に固定され、緩めにくく、フライス加工の安定性が保証されることを発見した。
【0074】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記第1の所定角度は、87〜90度であり、好ましくは89度である。
【0075】
本発明者らは、第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面との角度を87〜90度とすることにより、前記正面フライスインサート係止溝111aを容易に加工でき、さらに、この条件で、正面フライスインサートのすくい面をその位置決め底面13に対してその軸の周りに時計回り又は反時計回りに0〜3度回すだけで、構造の異なる刃先と位置決め側面を形成することができ、さらに、刃先と被加工作業面とは角度の異なる夾角を形成することができ、異なるフライス加工の効果、すなわち、切削の効果又はワイパーの効果が実現され、0〜3度の範囲内の回転角度により正面フライスインサートの刃先の長さを保証し、刃先の不足を回避し、不正確な位置決めを回避する十分な位置決め面積を保証するだけでなく、異なるフライス加工プロセスに求められる要件を満たせることを発見したので、本発明では、前記第2の位置決め側面116aと前記フライスインサートホルダ11aの端面がある平面との角度として87〜90度を選択する。
【0076】
本発明の1つ別の好ましい実施形態において、前記正面フライスインサート係止溝111aは、正面フライスインサートの刃先と接触する部分に、例えば弧形溝や、長方形溝のような第1のクリアランス溝1171aが開設されることにより、正面フライスインサートの刃先と前記フライスインサートホルダ11aとの直接接触を回避し、刃先を傷つける可能性を低減し、正面フライスインサートを取り付けやすく、より安全で確実に使用できる。前記正面フライスインサート係止溝111a内において、第2の位置決め側面116aと事前位置決め面114aとの交差箇所に、第2のクリアランス溝1172aが開設されて、インサートを取り付け、精度を調整し、伸縮運動する過程で、調整隙間が確保される。
【0077】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aは曲面の溝であり、隣接した2つのフライスインサート支持座113aの間に設けられ、1つのフライスインサート支持座113aの裏面から隣接したフライスインサート支持座113aの前へ延び、前記正面フライスインサート係止溝111aと交差する。インサートを取り付けてロックしたら、曲面とロックウェッジブロックの上表面、すなわち、弧状面とは、一体化の屑排出溝、屑排出スペースを形成し、切削しながら屑を排出することができる。
【0078】
本発明において、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aに、段付孔であるウェッジブロック取付孔118aが前記フライスインサートホルダ11aの径方向に沿って開設され、前記ウェッジブロック取付屑排出溝112aの一端に近接する孔は、ウェッジブロック伸縮調整孔1181aであり、前記ロックウェッジブロック3aと整合し、その孔径が前記ロックウェッジブロック3aの外径よりわずかに大きく、前記フライスインサートホルダ11aの中心に近接する孔はウェッジブロックねじロック孔1182aであり、雌ねじを有する。
【0079】
本発明において、前記ウェッジブロック取付孔118aと前記正面フライスインサート係止溝111aとは交差し、前記ロックウェッジブロック3aが取り付けられた後、前記ロックウェッジブロック3aの一部が前記正面フライスインサート係止溝111aに露出する。
【0080】
本発明において、前記ウェッジブロック取付孔118aの軸線と前記第1の位置決め側面115aとは第2の所定角度をなす。
【0081】
本発明において、前記第2の所定角度をロックウェッジブロック取付孔118aの軸線とロックウェッジブロックのウェッジブロックロック面32aとの夾角として表すことができる。
【0082】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記第2の所定角度は、8〜12度であり、好ましくは10度である。
【0083】
本発明者らは、前記第2の所定角度が8〜12度である場合、前記ロックウェッジブロック3aがその軸方向に沿って前記フライスインサートホルダ11aの内部に移動すると、それが前記正面フライスインサート係止溝111a内に係合された正面フライスインサートにそのすくい面に垂直な圧力を加え、前記ロックウェッジブロック3aが前記フライスインサートホルダ11aの内部に移動するに伴い、該圧力が増大して、正面フライスインサートをロックする作用を果たすことを発見した。本発明の1つ別の好ましい実施形態において、前記第2の所定角度を前記ロックウェッジブロック3aの軸線と前記ロックウェッジブロックのウェッジブロックロック面32aとの夾角として表すことができる。
【0084】
本発明者らは、正面フライスインサートが前記ロックウェッジブロック3aにより前記フライスインサート支持座113aに係合された後、インサートの底部刃と被加工ワークの表面とは0°の角度をなし、切削又はワイパーが容易になり、ワイパー加工を行う場合、ワイパーインサートのワイパー刃が被加工ワークの表面に密着され、すなわち、ワイパー刃と被加工ワークの表面との夾角が0度であり、切削加工を行う場合、切削インサートの切削刃と被加工ワークの表面との夾角が0度より大きく、切削刃先とワークの表面との夾角が0〜3°であることをさらに発見した。
【0085】
本発明において、図14に示すように、前記ロックウェッジブロック3aは偏心円筒であり、前記ロックウェッジブロック3aの外壁には前記ロックウェッジブロック3aの軸方向に沿って、互いに接続される退避溝31a及びウェッジブロックロック面32aが開設され、前記退避溝31aは弧状面であり、ウェッジブロックロック面32aと退避溝31aの弧状面とは相接関係ではなく、退避溝31aの末端にウェッジブロックロック面32aが突起して形成され、弧状面の接線とウェッジブロックロック面32aとのロック距離が0.1mmであることにより、カッターチップとウェッジとの接触によるカッターチップの破損を防止する。好ましくは、ロックウェッジブロック3aは雌ねじを有し、より好ましくは、取り付けられた後、前記ロックウェッジブロック3aの外端面とカッターヘッド本体1aの外壁とは円滑に遷移する。
【0086】
本発明者らは、前記ロックウェッジブロック3aが偏心円筒である場合、前記ロックウェッジブロック3aがその軸方向に沿って伸縮しながらその軸線の周りに回転することを回避することができ、すなわち、前記ロックウェッジブロック3aの伸縮が無効となることを回避することができることを発見した。
【0087】
本発明において、前記ロックウェッジブロック3aは接続部材を介して前記ウェッジブロック取付孔118aに取り付けられ、前記接続部材はツインスレッドスクリューであり、一端がウェッジブロックねじロック孔1182aに装着され、他端が前記ロックウェッジブロック3aの内孔に装着されてもよい。
【0088】
本発明において、前記ツインスレッドスクリューは、両端のねじ山の方向が反対である。
【0089】
本発明者らは、前記ツインスレッドスクリューの両端のねじ山の方向が反対となる場合、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの内部へのねじ込みに連動して、前記ロックウェッジブロック3aが前記フライスインサートホルダ11aの内部へねじ込み、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの外部へのねじ戻しに連動して、前記ロックウェッジブロック3aが前記フライスインサートホルダ11aの外部へねじ戻し、すなわち、ツインスレッドスクリューが前記ロックウェッジブロック3aと共に進退することが実現され、前記ロックウェッジブロック3aが取り付けられやすく、かつ調整されやすいことを発見した。
【0090】
本発明において、前記フライスインサート支持座113aの下部には、前記フライスインサートホルダ11aの径方向に沿って、前記フライスインサートホルダ11aの外壁からその内部に向けて、段付孔である調整ブロック取付孔119aが開設され、前記フライスインサートホルダ11aの外壁に近接する孔は、調整ブロック伸縮調整孔1191aであり、前記調整ブロック2aと整合し、孔径が前記調整ブロック2aよりわずかに大きく、フライスインサートホルダ11aの中心に近接する孔は、調整ブロックねじロック孔1192aであり、雌ねじを有する。
【0091】
本発明において、前記調整ブロック伸縮調整孔1191aは互いに連通するガイドトラック孔11911及び調整台孔11912を含み、前記調整台孔11912は前記正面フライスインサート係止溝111aの底端と連通する。
【0092】
本発明において、図12に示すように、前記調整ブロック2aは、ガイドトラック部21a及び調整台22aを含み、前記ガイドトラック部21aと前記調整台22aが一体に成形されてもよく、前記ガイドトラック部21aは円柱体、角柱体などであり、前記ガイドトラック部21aの中心に、その軸線方向に沿って雌ねじ孔が開設され、前記調整台22aは1つの側面が平面である柱体であり、前記調整台22aの長さが前記ガイドトラック部21aの長さより小さくてもよく、ここで、調整面222aが調整台22aの上平面であり、前記調整ブロック2aが前記調整ブロック取付孔119aに取り付けられた後、前記調整面222aが前記事前位置決め面114aと平行であるか又は同じ平面にあり、正面フライスインサートを支持し、調整する役割を果たす。
【0093】
本発明において、前記事前位置決め面114aと前記調整ブロック取付孔119aの軸線とは第3の所定角度をなし、前記第3の所定角度は8〜12度であり、好ましくは10度である。
【0094】
本発明者らは、前記第3の所定角度が8〜12度である場合、前記調整ブロック2aがその内部で伸縮すると、前記調整ブロック2aの前記フライスインサートホルダ11aの軸方向における高さが変化し、正面フライスインサートの高さを調整する作用を果たし、すなわち、ヘッド表面上のすべての正面フライスインサートの高さを高い精度で校正できることを発見した。
【0095】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記第3の所定角度は前記調整面222aを前記調整ブロック2aの軸孔の軸線と交差させることにより形成されてもよい。
【0096】
本発明の1つ別の好ましい実施形態において、第3の所定角度を調整ブロックの軸孔と調整ブロックのロック位置決め面との夾角として表すことができる。本発明において、前記ガイドトラック部21aの外壁には、その軸方向に沿って、ロック部材と係合するための調整ブロックロック位置決め面221aが設けられ、前記調整ブロックが適切な位置に調整されたら、前記調整ブロックがロックされ、使用過程で正面フライスインサートの精度の安定性が保証される。
【0097】
本発明において、前記調整ブロック2aは接続部材を介して前記調整ブロック取付孔119aに取り付けられ、前記接続部材はツインスレッドスクリューであり、一端が調整ブロックねじロック孔1192aに装着され、他端が前記調整ブロック2aのねじ孔に装着されてもよい。
【0098】
本発明において、調整ブロック2aを取り付けるためのツインスレッドスクリューは、両端のねじ山の方向が反対である。
【0099】
本発明者らは、前記ツインスレッドスクリューの両端のねじ山の方向が反対となる場合、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの内部へのねじ込みに連動して、前記調整ブロック2aが前記フライスインサートホルダ11aの内部にねじ込み、ツインスレッドスクリューの前記フライスインサートホルダ11aの外部へのねじ戻しに連動して、前記調整ブロック2aが前記フライスインサートホルダ11aの外部へねじ戻し、すなわち、ツインスレッドスクリューが前記調整ブロック2aと共に進退することが実現され、前記調整ブロック2aが取り付けられやすく、かつ調整されやすいことを発見した。
【0100】
本発明において、前記フライスインサート支持座113aには、前記フライスインサートホルダ11aの作業端面からその内部に向けて、ロック孔23aが前記調整ブロック取付孔119aの軸線に垂直な方向に沿って開設されている。
【0101】
本発明において、前記ロック孔23aは、ねじ孔であり、前記調整ブロック取付孔119aと連通する。
【0102】
本発明において、前記ロック孔23a内にはロック部材が設けられ、前記ロック部材はねじジャッキーであることが好ましい。
【0103】
本発明において、前記ロック部材は前記ロック孔23aを挿通して前記調整ブロック2aの調整ブロックロック位置決め面221aに押し付けられ、前記調整ブロック2aが適切な位置に調整されたら、ロック部材がロックされ、前記調整ブロック2aの位置が固定され、さらに加工過程における正面フライスインサートの精度の安定性が保証される。
【0104】
本発明において、前記正面フライスカッターヘッドの中心には、フライス過程で冷却液をスプレーし、フライス加工時の作業面の温度を低減するための冷却液スプレーボード4aが固定的に設けられる。
【0105】
本発明において、本発明の第1の形態に係るインデックス可能な正面フライスインサートは、その回転方向及び回転角度が前記正面フライスカッターヘッド内の正面フライスインサート係止溝の回転角度に整合し、それにより異なる切削機能が実現され、正面フライスインサートが係止溝に対して汎用性を備えるようになる。
【0106】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0107】
(1)本発明に係るインデックス可能な正面フライスインサートは角錐台状に近似し、小さい抵抗力で切削することができ、加工範囲がより広い。
【0108】
(2)該インデックス可能な正面フライスインサートの取り付けが容易であり、すくい面の異なる回転方向により切削とワイパーの2つの機能が容易に実現される。
【0109】
(3)該インデックス可能な正面フライスインサートは、位置決め側面とすくい面との間に逃げ面が設けられることによって、刃先をポリシングする場合に位置決め側面を傷つけず、位置決め基準が安定し、長時間有効であることが保証される。
【0110】
(4)該インデックス可能な正面フライスインサートは、繰り返してポリシングされることができ、その経済性が向上する。
【0111】
(5)該インデックス可能な正面フライスインサートのカッターチップは、様々なフライス用途に適用する。
【0112】
(6)該正面フライスカッティングヘッドは、同じインサート係止溝を有するカッターヘッドに、必要に応じた数及び位置で、切削用正面フライスインサートとワイパー用正面フライスインサートを設けることができる。
【0113】
(7)本発明に係る正面フライスカッターヘッドに設けられた事前位置決め面は、インサートを速く位置決めすることができ、位置決めの精度が高く、0.01mまで達し、予め調整せず直接使用することができる。
【0114】
(8)前記正面フライスカッターヘッドの調整ブロックの高さが調整されやすく、正面フライスインサートの高さが速く、正確に調整され、正面フライスインサート全体の精度が0.005mm以内にされることができる。
【0115】
(9)前記正面フライスカッターヘッドの正面フライスインサート係止溝の底面と前記正面フライスカッターヘッドの作業面とは所定角度を成し、回転方向の異なる正面フライスインサートが前記インサート係止溝に係着された後、切削又はワイパーの2つの作用を有することにより、正面フライスカッターヘッドが機能の異なる正面フライスインサートに対して汎用性を有する。
【0116】
(10)前記正面フライスカッターヘッドのインサート係止溝は、異なる回転方向により異なる作用を果たす正面フライスインサートに対して汎用性を有し、すなわち、前記正面フライスカッターヘッドに切削用正面フライスインサートとワイパー用正面フライスインサートの位置及び数を柔軟に設定することができる。
【0117】
(11)ウェッジブロック及び締め具による正面フライスインサートの固定は、正面フライスカッタの使用過程における精度の安定性を向上させる。
【0118】
以上で具体的な実施形態及び例示的な実施例で本発明を詳しく説明したが、これらの説明は本発明を制限するものと理解されるべきではない。当業者でれば理解できるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の技術的解決手段及び実施形態に様々な同等置換、修飾又は改善を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。本発明の保護範囲は特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0119】
1…インサートベース、11…位置決め側面、12…上平面、13…位置決め底面、2…切削体、21…すくい面、22…刃先偏角、23…面偏角、3…逃げ面、l1…インデックス可能な正面フライスインサートの中心軸、l2…位置決め底面のエッジ又はその延長線のすくい面での投影、l3…すくい面における12に対応するエッジ又はその延長線、BS…ワイパー刃の長さ、R…ワイパー刃の円弧の半径、θ…刃後角、θ1…位置決め角、φ…偏角、a…第1の刃先偏角、a1…第2の刃先偏角、a2…第3の刃先偏角、1a…カッターヘッド本体、11a…フライスインサートホルダ、111a…正面フライスインサート係止溝、112a…ウェッジブロック取付屑排出溝、113a…フライスインサート支持座、114a…事前位置決め面、115a…第1の位置決め位側面、1151a…径方向すくい角、1152a…軸方向すくい角、116a…第2の位置決め位側面、1171a…第1の遊隙、1172a…第2の遊隙、118a…ウェッジブロック取付孔、1181a…ウェッジブロック伸縮調整孔、1182a…ウェッジブロックねじロック孔、119a…調整ブロック取付孔、1191a…調整ブロック伸縮調整孔、1192a…調整ブロックねじロック孔、12a…カッターステム接続部、121a…キー溝、13a…遷移部、2a…調整ブロック、21a…ガイドトラック部、22a…調整台、221a…調整ブロックロック位置決め面、222a…調整面、23a…ロック孔、3a…ロックウェッジブロック、31a…退避溝、32a…ウェッジブロックロック面、4a…冷却液スプレーボード。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5a
図5b
図5c
図6
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