特許第6967897号(P6967897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967897
(24)【登録日】2021年10月28日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】ダンパを備える、機械の遠隔制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/00 20060101AFI20211108BHJP
   F16F 15/023 20060101ALI20211108BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20211108BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   G05G5/00 Z
   F16F15/023 A
   G05G25/00 Z
   E02F9/20 B
   E02F9/20 H
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-136242(P2017-136242)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-10635(P2018-10635A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2020年3月19日
(31)【優先権主張番号】1656695
(32)【優先日】2016年7月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−リュク ブドゥー
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ブランコ
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−048860(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0178854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/00
F16F 15/00
G05G 25/00
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械、特に建設機械の液圧回路の遠隔制御装置であって、
ボディ(1)であって、前記ボディ(1)は、複数の制御機構(5)を有し、前記制御機構(5)は、制御すべき前記液圧回路に接続され、前記ボディ(1)に接続された支持台(2)に回動可能に取り付けられた少なくとも1つのカム(3)により作動させられる、ボディ(1)と、
前記カム(3)であって、前記カム(3)は、オペレータにより操作され、1つまたはそれ以上の前記制御機構(5)に支持され、前記制御機構(5)自体は、ばね(52)によりニュートラル位置に戻される、カム(3)と、
を有する、遠隔制御装置において、
前記遠隔制御装置は、一方で前記制御機構(5)から独立しかつ他方で前記カム(3)の動作に従動する少なくとも1つのダンパ(4)を有し、前記ダンパ(4)の動作線(ZZ)が、前記カム(3)の回動軸線(XX)に垂直であり、
前記支持台(2)は、プレートから構成され、前記プレートの上に、前記カム(3)の回動軸(31)を取り付ける前記回動軸線(XX)のユニット(21)が備えられ、前記プレートの下に、前記ダンパ(4)を収容するための複数の筒部(25)が設けられることを特徴とする、遠隔制御装置。
【請求項2】
前記支持台(2)は、前記ユニット(21)の前記回動軸線(XX)の両側に、各カム(3)に割り当てられた2つの筒部(25)を有することを特徴とする、請求項記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記カム(3)は、前記ユニット(21)の軸受(211)に組み付けられる前記回動軸(31)を取り付けるための、幾何学的な前記回動軸線(XX)に従って方向づけられた通路(34)を備えるボディ(32)から構成され、
前記ボディ(32)は、各側において、前記支持台(2)の支持部(22)に接触するためのストロークエンドストッパ(33)により終端し、
前記ボディ(32)は、前記回動軸線(XX)の各側において、各前記ダンパ(4)の動作線(ZZ)上で各筒部(25)の延長上に、前記カム(3)と前記ダンパ(4)との間の支持部として用いられる着脱可能な留め具(41)を取り付けるための開いた取付け部(36)を有することを特徴とする、請求項記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
前記留め具(41)は、U字形の部材であり、前記U字形の部材の2つの脚部(411)が、柱脚(413)を備えるプレート(412)を有し、
前記筒部(25)は、上部で中間ピストン(26)により占められており、前記中間ピストン(26)は、前記ダンパ(4)を収容する前記筒部(25)内で摺動し、前記ダンパ(4)は、ばね(43)により力が加えられるピストン(42)を有し、前記ピストン(42)の頭部(421)が、前記中間ピストン(26)により前記カム(3)の前記柱脚(413)に支持されることを特徴とする、請求項記載の遠隔制御装置。
【請求項5】
横方向に開いた取付け部(36)は、留め具(41)の2つの脚部(411)を取り付ける2つの引掛け止め部(361)により縁取られることを特徴とする、請求項記載の遠隔制御装置。
【請求項6】
前記カム(3)の前記ボディ(32)は、前記回動軸(31)の前記通路(34)の下側に、感磁検出器と協働する磁石を収容するための取付け部(341)を有し、前記感磁検出器は、前記支持台(2)に支持され、前記液圧回路の分配器に割り当てられた電子式の制御機構(100A)のために、前記カム(3)の回動位置を検出することを特徴とする、請求項記載の遠隔制御装置。
【請求項7】
前記ダンパ(4)は、シリコーンオイル式のダンパであることを特徴とする、請求項1記載の遠隔制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械、特に建設機械の液圧回路の遠隔制御装置であって、
ボディであって、前記ボディは、複数の制御機構を有し、前記制御機構は、制御すべき前記液圧回路に接続され、前記ボディに接続された支持台に回動可能に取り付けられかつオペレータにより操作される少なくとも1つのカムにより作動させられる、ボディと、
前記カムであって、前記カムは、1つまたはそれ以上の前記制御機構に支持され、前記制御機構自体は、ばねによりニュートラル位置に戻される、カムと、
を有する、遠隔制御装置に関する。
【0002】
このような遠隔制御装置は、手動式の遠隔制御装置の形態をとる場合には「マニピュレータ」と呼ばれ、片足または両足により作動させられる場合には「ペディビュレータ」と呼ばれる。
【0003】
液圧式の消費器のこのような遠隔制御装置自体は、液圧式であってもよいし、電子式であってもよい。
【0004】
背景技術
このような遠隔制御装置は、たとえばドキュメントカタログ「Rexroth RE64535, 08/2010版,<<Hydraulic pilot control device with 2 pedals and damping system>>」によりすでに公知である。
【0005】
この公知の遠隔制御装置は、2つのペダルと1つの緩衝システムとを有している。遠隔制御装置は、運転者の片足または両足により作動させられるので、機械の基礎部分、たとえば運転箇所の床に設置するための支持台に取り付けられる。遠隔制御装置は、足で作動させられるので、ペディビュレータとも呼ばれる。
【0006】
遠隔制御装置は、機械の2つのキャタピラの駆動回路を管理して、前進/停止/後退をそれぞれ独立して制御し、前進移動、後退移動、回転運動という様々な操作を実行する。
【0007】
遠隔制御装置は、2対のプランジャ式の分配器を有しており、1対は、並行して機能する分配器のプランジャを制御するシーソの形の各ペダルまたは各カムに割り当てられる。
【0008】
プランジャ式の分配器は、1つまたはそれ以上の戻しばねを有しているだけでなく、液圧式のダンパをも組み込んでいる。
【0009】
このタイプの遠隔制御装置は、がたつきも振動もなければ、ニュートラル位置に戻ることもなしに、操作を緩衝して平滑に制御するために定められた目標に見合ったものではあるが、ダンパの動作故障の場合に、遠隔制御装置を完全に取り外して、液圧回路に介入する必要があるという不都合がある。このような介入は複雑であると共に時間を要し、したがって、それ自体でコストがかかり、機械の休止によってもコストがかかってしまう。
【0010】
発明の目的
本発明の課題は、上述したタイプの遠隔制御装置を改良して、構造のレベルでも、機械の液圧回路への設置に対しても、あるいは、保守および故障部分の修理へのあり得る介入に対しても、実施が簡単であり、また、液圧式の遠隔制御装置の事例では液圧式のレギュレータから、電子式の遠隔制御装置に対してはニュートラル戻しシステムから、緩衝システムが独立しているようにすることである。
【0011】
発明の概要および利点
このために、本発明は、以下に規定するタイプの遠隔制御装置、つまり、一方で制御機構から独立しかつ他方でカムの動作に従動する少なくとも1つのダンパを有し、このダンパの動作線が、カムの回動軸線に垂直である、遠隔制御装置を対象としている。
【0012】
遠隔制御装置のこの構造、特に直接的にまたは間接的に液圧回路を制御する、特に液圧式の分配器である制御機構と協働する複数のカムの構造により、液圧式であれ、電子式であれ、故障または摩耗の際にダンパを交換するために、制御機構に介入する必要なく、ダンパに介入することができる。取外し/再度の取付けによるこの介入は、ダンパにアクセスするために1つまたはそれ以上のカムを取り外しさえすればよいので、非常に簡単である。
【0013】
ダンパは、制御機構、特に液圧式の制御機構、とりわけ1つまたはそれ以上の消費器の液圧回路から独立しているだけでなく、作動液の温度または粘度のような、液圧回路の作動パラメータからも独立しており、したがって、遠隔制御装置とその緩衝とが、消費器の液圧回路の作業サイクルから独立して、極めて規則的にかつ一定に機能する。
【0014】
有利な特徴によれば、支持台が、プレートから構成され、このプレートの上に、カムの回動軸を取り付けるユニット(chape)が備えられ、プレートの下に、ダンパを収容するための複数の筒部が設けられる。
【0015】
特に支持台が、ユニットの軸線の両側に、各カムに割り当てられた2つの筒部を有する。
【0016】
これらの条件において、カムは各回動方向で二重に緩衝されており、こうして、1つのカムの2つのダンパの各々は、単にカムの下の支持部を成している。
【0017】
このような支持台の形態により、遠隔制御装置は、そのボディに直接的に割り当てられた弁または分配器により制御されるものであれ、電子式の制御機構に関するものであれ、特に液圧回路の全ての構造に適用可能となる。
【0018】
遠隔制御装置の作動によりやむを得ない場合には、カムまたは支持台の変更を必要とすることなしに、ダンパを単に取り除くことも可能である。
【0019】
これにより、様々な用途に対して、1つの同じ基本形態の遠隔制御装置を使用することができる。
【0020】
特に別の有利な特徴によれば、ダンパが、オイル式のダンパであり、特にシリコーンオイル式のダンパである。
【0021】
シリコーンオイル式のダンパにより、消費器の液圧回路のパラメータからのカムの独立に加えて、カムの作動が、その動きの緩衝に関して、外気温から完全に独立したものとなる。
【0022】
別の有利な特徴によれば、カムが、ユニットの軸受に組み付けられる軸を取り付けるための、幾何学的な軸線に従って方向づけられた通路を備えるボディから構成され、このボディが、各側において、支持台の支持部に接触するためのストロークエンドストッパにより終端し、ボディが、軸線の各側において、各ダンパの動作線上で各筒部の延長上に、カムとダンパとの間の支持部として用いられる着脱可能な留め具を取り付けるための開いた取付け部(logement)を有する。
【0023】
このカムの形態は可逆式である。その実施は簡単であり、その取付けも同様である。この形態により、取付け部の留め具を取り外すだけで、ダンパを作動させるインタフェースの交換が可能となる。カムがダンパを必要とすることなしに制御機構を作動させる場合には、取付け部は空いたままであってもよい。
【0024】
別の有利な特徴によれば、留め具が、U字形の部材であり、このU字形の部材の2つの脚部が、柱脚を備えるプレートを有し、筒部が、上部で中間ピストンにより占められており、この中間ピストンが、ダンパを収容する筒部内で摺動し、ダンパが、ばねにより力が加えられるピストンを有し、このピストンの頭部が、中間ピストンによりカムの柱脚に支持される。
【0025】
留め具と筒部とのこの形態により、全体が非常に単純なものとなり、保守が容易となる。なぜならば、この構造のその他の全ての要素を維持したまま、ダンパを交換すれば充分であるからである。
【0026】
有利な特徴によれば、横方向に開いた取付け部が、留め具の2つの脚部を取り付ける2つの引掛け止め部により縁取られる。これにより、横方向に作業して留め具を取り付けることが可能となる。摩耗した留め具または遠隔制御装置に必要でない場合の留め具の取外しが容易になる。
【0027】
別の特徴によれば、カムのボディが、軸の通路の下側に、感磁検出器と協働する磁石を収容するための取付け部を有し、感磁検出器が、支持台に支持され、液圧回路の分配器に割り当てられた電子式の制御機構のために、カムの回動位置を検出する。
【0028】
この実施の形態により、カムの動きに関連して磁石と協働する電磁式の制御機構、たとえばホール効果センサに遠隔制御装置を適用することができる。
【0029】
このことは、液圧式の遠隔制御装置と電子式の遠隔制御装置とを組み合わせた複合形態にも当てはまる。なぜならば、カムの回動位置の検出に使用され、特に電子式の遠隔制御装置に割り当てられた電子カードにより使用される磁石が、遠隔制御装置に割り当てられた液圧式の分配器が電子カードに接続される場合に、カムの位置の検出にも使用されるからである。
【0030】
以下に、本発明を、添付の図面に示した本発明に係る遠隔制御装置の一例を用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】被覆体なしの遠隔制御装置の実施の形態の斜視図である。
図2図1の遠隔制御装置の支持台の斜視図である。
図3図1の遠隔制御装置のカムの斜視図である。
図4】ダンパを備えたカムを下方から見た斜視図である。
図4A】ダンパを備えた遠隔制御装置の2つのカムの下面図である。
図5】ダンパが配置された支持台の断面図である。
図6】ダンパの斜視図である。
図7】カムの回動軸線XXに平行な平面により切断された、液圧式のレギュレータのボディの断面図である。
図8】液圧回路用の電子式の遠隔制御装置の図1に類似の斜視図である。
【0032】
発明の実施の形態の説明
図1には、機械、特に建設機械用の本発明に係る遠隔制御装置100の実施の形態が示してある。この遠隔制御装置100は、これに足または手で作用を及ぼすために使用されるケーシングも被覆要素もなしに図示してある。
【0033】
遠隔制御装置100は、液圧式のポンプの管路P、圧力管路CPまたはタンクへの戻り管路Tのような、詳述されていない液圧回路に対する複数の接続開口11を有するボディ1から構成されている(図7参照)。このボディ1は、遠隔制御装置100の操作機構を構成する1つまたはそれ以上のカム3を取り付ける支持台2により支持されている。この支持台2は、幾何学的な軸線XXを中心として回動するようにユニット21に取り付けられた軸31による揺動機構であるカム3を備えている。各カム3はそのボディ32の両端においてストロークエンドストッパ33で終端している。このストロークエンドストッパ33は支持台2の支持面22に支持されるようになっている。支持台2は、収容支持部、たとえば機械の床または場合により運転箇所の椅子の肘掛けに取り付けるための固定用の切欠き23を有している。
【0034】
図示された例の場合、遠隔制御装置100は、それぞれ軸線XXを中心として揺動するペダルを成す、被覆体を備えたカム3に支持されているオペレータの足により操作される。
【0035】
液圧式の遠隔制御装置100の場合、各カム3は、消費器、たとえば液圧式のシリンダに接続された入口/出口に対する作動液の通過を制御するために、ボディ1に収容された液圧式の分配器のタイプのアクチュエータに支持されている。液圧式の分配器の各々は、軸線XXを中心としたカム3の両回動方向で作用するダンパ4に組み合わされている。液圧式の分配器は、ダンパ4の作用方向でもある作用方向ZZに従って可動である。この例では、作用方向ZZはカム3の軸線XXに垂直である。分配器は、カム3の下側に設けられたボスにより制御される。このボスは、分配器のプランジャの頭部に接触して支持されているに過ぎない。
【0036】
分配器に割り当てられたダンパ4は分配器から独立していて、カム3の回動角がどうであれ、カム3の回動に追従して各ダンパ4のピストンが並進移動することができるように、それぞれカム3に自由に押し付けられている。
【0037】
ダンパ4はオイル式のダンパであり、特にシリコーンオイル式のダンパである。
【0038】
これらの様々な要素を以下でより詳細に説明する。
【0039】
図2は、ボディ1とカム3とを取り付ける支持台2の斜視図である。方形のプレートの形の支持台2はその上面に、幾何学的な軸線XXに関する1つまたはそれ以上のカム3の軸31を取り付けるユニット21を有している。各カム3には、分配器または対になる分配器と、同じ条件において、各カム3の両作動方向につき2つのダンパ4とが割り当てられる。そのために、支持台2は、ユニット21の軸線XXの両側に、液圧式の分配器を収容するためのボディ1に連通する2つの取付け部24と、各カム3に割り当てられる2つのダンパ4を収容するための2つの筒部25とを備えている。
【0040】
図3は、1つのカム3の上部の斜視図である。すでに述べたように、カム3は、ユニット21の軸受211に取り付けられた軸31に組み付けられ、支持台2上で対になる。カム3は、軸31のための通路34により貫通されたてこ状のボディ32である。カム3の上部35は、カム3の被覆体を固定しかつ作動ペダルを形成するための2つの取付け部351を備えている。カム3の端部はストッパ33である。このストッパ33は、それぞれ支持台2の一方または他方の支持面22に当接させて、軸線XXを中心とした回動のストロークを終了させるための支持面331で終端している。
【0041】
図3および図4によれば、カム3の外側の側面が、軸線XXの両側に、2つの引掛け止め部361により縁取られた開いた取付け部36を有している。各取付け部36には、2つの脚部411を備えたU字形の留め具41が取り付けられている。両脚部411は、止め部361に固定されていて、ダンパ4の頭部に接触した柱脚413を備えたプレート412により止め部361の下側に支持されている。
【0042】
U字形の留め具41は、方向XXで取付け部36内に係合している。
【0043】
止め部361と、この止め部361が画定する開いた取付け部36とは、カム3の外側に露出している。対を成す2つのカム3の場合、取付け部36は、2つのカム3を隔てる中間面の方ではなく、側方からアクセス可能であるように外側に向けられている。カム3の下面は、開いた取付け部36の側方に、対応するスプールに作用するためのボス50を有している(図4)。このボス50はねじの頭部であってもよい。電子式の遠隔制御装置の場合には、センサ、たとえば電子カードのホールセンサと協働するために、カム3が、通路34の下側に、磁石を収容するための方形の断面の取付け部341を有している。センサは磁石の磁場に配置されており、これにより、カム3の揺動位置が検出され、液圧回路のスプールを作動させる制御圧により、分配器が運転される。
【0044】
カム3は、好ましくは射出成形部材であり、軸31の通路34をカム3のボディ32に接合するためのリブ37の形の補強部を有している。ストッパ33についても同じことが云える。凹状にされた中央の部分の上部35もリブ37を備えている。
【0045】
ダンパ4を備えたカム3を下方から見た斜視図(図4)には、通路34に係合した軸31と、2つのボス50とが示してある。両ボス50は、実際には支持台2の筒部25に配置される2つのダンパ4と対を成している。ダンパ4の方向Zに整合して、カム3の留め具41の2つのプレート412が柱脚413でもって2つのダンパ4の中間ピストンに面している。実際には、カム3は、各ダンパ4の中間ピストンから独立しており、以下の図5および図6で詳述するように、各ダンパ4は、カム3にも、筒部25にも、固く結合されていない。
【0046】
カム3とその留め具41とは、両者が作動させる分配器/レギュレータおよび動きを調整するダンパ4から独立したアッセンブリを構成している。こうして、カム3がユニット21から取り外され、ダンパ4へのアクセスが可能となる。このダンパ4は、特殊な取外しなしにかつ分配器/レギュレータへの介入を必要とすることなしに交換される。
【0047】
図4Aには、図4のカムのような2つのカム3と、対応するダンパ4とが、下から見た斜視図で示してある。遠隔制御装置のボディは図示していない。
【0048】
こうして、ダンパ4を、交換または必要な場合には除去のために、カム3から容易に取り外すことができる。
【0049】
図5は、2つの筒部25を通る平面によるカム3の断面図である。各筒部25は、この筒部25内で摺動する外側ピストン26を収容している。この外側ピストン26の閉鎖された上部は、動きを緩衝するために、カム3の留め具41のプレート412の柱脚413に支持されている。筒部25は、図6に示したダンパのようなダンパ4を自由に収容している。このダンパ4は、頭部421がばね43に支持されたピストン42を収容するボディ41から構成されている。
【0050】
図7には、カム3のボス50が支持されるプランジャ51により上部で終端する2つの分配器5を備えた遠隔制御装置のボディ1の一例が、概略的な断面図で示してある。
【0051】
この断面図はその他の断面図に対して垂直であるので、2つの分配器5は、それぞれ1つのカム3に割り当てられていて、同一のカム3には割り当てられていない。
【0052】
各分配器5の上部は、単なる圧入により支持台2の取付け部24に係合される。遠隔制御装置のボディ1については自体公知であるので、これ以上詳細に説明しない。
【0053】
図8には、上述した支持台と同一の支持台2を有する電子式の遠隔制御装置100Aが斜視図で示してある。この遠隔制御装置100Aのボディ1Aは、液圧式の遠隔制御装置100のボディ1よりも単純である。ボディ1Aは、ボディ1のように、支持台2に固定され、各カム3の取付け部341に固定された磁石と協働する感磁センサを有する電子回路を有している。この電子回路に接続された電気ケーブル27は、支持台2の下側で電子的なボディ1Aに到達する。取付け/取外しは、上述した条件と同じ条件で行われる。すなわち、1つまたはそれ以上のカム3がユニット2から取り外され、これにより、外側ピストン26を取り外して、ダンパ4への直接的なアクセスが可能となる。ダンパ4を交換するためには、ダンパ4を筒部25から取り出し、その代わりに、新しいダンパを導入して、2つのカム3を元の位置に戻しさえすればよい。
【0054】
遠隔制御装置は、電子式と液圧式との複合形態にも適用される。こうして、この形態(図示せず)によれば、遠隔制御装置に割り当てられた液圧回路の分配器が電子カードに接続される場合に、磁石がカムの位置の検出に使われる。
【0055】
要するに、本発明に係る遠隔制御装置は、同じ基本構造を単純に適用するだけで、液圧式の制御機構だけでなく、電子式の制御機構、電子式と液圧式との複合形態など、様々な用途への適用を可能にする単一構造を特徴としている。
【0056】
さらに、遠隔制御装置の構造は、ダンパを必要としないかまたはダンパを装備してはならない遠隔制御装置にも適用することができる。こうして、これら全ての用途に遠隔制御装置の単一形態が適う。これにより、製造ならびにストックおよび摩耗部材の管理の問題が単純になる。
【符号の説明】
【0057】
1 ボディ
11 接続開口
2 支持台
21 ユニット
211 軸受
22 支持面
23 切欠き
24 取付け部
25 筒部
26 内側ピストン
27 ケーブル
3 カム
31 軸
32 てこ状のボディ
33 ストッパ
331 支持面
34 通路
341 取付け部
35 上部
351 取付け部
36 開いた取付け部
361 引掛け止め部
37 リブ/補強部
4 ダンパ
41 留め具
411 脚部
412 プレート
413 柱脚
5 制御機構/分配器
51 プランジャ
52 ばね(単数形)/ばね(複数形)
100 液圧式の遠隔制御装置
100A 電子式の遠隔制御装置
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8