(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
[洗剤用ビルダー]
本発明の洗剤用ビルダーは、以下に示す(A)成分と、(B)成分とを含有する。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、炭素数4〜12の炭化水素及びアクリル酸から選択される1種以上とマレイン酸との共重合体、並びにその塩から選択される1種以上である。
炭素数4〜12の炭化水素としては、マレイン酸と共重合可能なものであればよく、原料のハンドリング性の観点から炭素数10以下の炭化水素が好ましく、炭素数4〜10の炭化水素がより好ましく、炭素数4〜9の炭化水素がさらに好ましく、炭素数8の炭化水素が特に好ましい。このような炭化水素としては、例えば、二重結合を有する不飽和鎖式炭化水素が挙げられる。
塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン等の有機アミン塩などが挙げられる。
【0011】
(A)成分としては、炭素数4〜12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上、又はアクリル酸とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上が好ましい。これらの中でも特に、液体洗浄剤としたときに洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になることから、炭素数4〜12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上が好ましい。
【0012】
炭素数4〜12の炭化水素とマレイン酸との共重合体の質量平均分子量は、1000〜100000が好ましく、3000〜50000がより好ましい。質量平均分子量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤としたときに洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になる。加えて、再汚染の防止効果が得られる。質量平均分子量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤としたときに液体洗浄剤の安定性(以下、「液安定性」ともいう。)がより向上する。
なお、本明細書において、(A)成分の質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求め値である。
【0013】
アクリル酸とマレイン酸との共重合体において、アクリル酸とマレイン酸とのモル比(アクリル酸:マレイン酸)は、50:50〜80:20が好ましく、50:50〜70:30がより好ましく、55:45〜65:35がさらに好ましい。アクリル酸の割合が多くなると、液体洗浄剤中での溶解性がより高まる。加えて、重合性が高まり共重合体の製造が容易となる。マレイン酸の割合が多くなると、不溶化した変成デンプンとカルシウムの複合体を分解する能力が向上して洗浄力がより高まる。
【0014】
アクリル酸とマレイン酸との共重合体の質量平均分子量は、5000〜100000が好ましく、5000〜50000がより好ましい。質量平均分子量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤としたときに洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になる。加えて、再汚染の防止効果が得られる。質量平均分子量が上記上限値以下であれば、液安定性がより向上する。
【0015】
(A)成分としては、市販品を用いることができる。
炭素数4〜12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩の市販品としては、例えば日本ゼオン株式会社製の商品名「クインフロー540(ナトリウム塩)」、「クインフロー542(ナトリウム塩)」、「クインフロー543(アンモニウム塩)」、「クインフロー640(ナトリウム塩)」;BASF社製の商品名「Sokalan CP9(ナトリウム塩)」などが挙げられる。
アクリル酸とマレイン酸との共重合体及びその塩の市販品としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan CP7(ナトリウム塩)」;株式会社日本触媒製の商品名「アクアリックTL−400(ナトリウム塩)」などが挙げられる。
(A)成分は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体である。
本発明の液体洗浄剤は、(B)成分と(A)成分とが併用されることで、液体洗浄剤としたときに高い洗浄力を発揮しつつ、洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しが容易となる。
(B)成分としては、例えば、下記の(B1)成分と(B2)成分とが挙げられる。
【0017】
((B1)成分)
(B1)成分は、ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体である。
ポリアルキレンイミンは、下記一般式(1)で表される。
NH
2−R
21−(NA−R
21)
n−NH
2 ・・・(I)
(式(I)中、R
21は、それぞれ独立して炭素数2〜6のアルキレン基であり、Aは、水素原子又は分岐による別のポリアミン鎖を示し、nは、1以上の数である。ただし、前記Aがすべて水素原子であることはない。)
すなわち、(I)式で表されるポリアルキレンイミンは、構造中に分岐したポリアミン鎖を有する。
【0018】
R
21は、炭素数2〜6の直鎖アルキレン基又は炭素数3〜6の分岐アルキレン基である。R
21は、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
ポリアルキレンイミンは、炭素数2〜6のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる。炭素数2〜6のアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリプロピレンイミンが好ましく、PEIがより好ましい。PEIは、エチレンイミンを重合することによって得られ、その構造中に、1級、2級及び3級アミン窒素原子を含む分岐鎖構造を有している。
【0019】
ポリアルキレンイミンの質量平均分子量は、200〜2000が好ましく、300〜1500がより好ましく、400〜1000がさらに好ましく、500〜800が特に好ましい。
なお、本明細書において、(B)成分の質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質として、GPCにより求め値である。
【0020】
ポリアルキレンイミンとしては、その1分子中に活性水素を5〜30個有するものが好ましく、7〜25個有するものがより好ましく、10〜20個有するものがさらに好ましい。
【0021】
(B1)成分は、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加して得られる。この方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒の存在下、出発物質であるポリアルキレンイミンに対して、100〜180℃でエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させる方法等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
【0022】
(B1)成分としては、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのプロピレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド−プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。なお、前記ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド−プロピレンオキシド付加体は、ポリアルキレンイミンにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加したものであり、ポリアルキレンイミンに対するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加順序や付加形態(ブロック状、ランダム状)は任意である。
(B1)成分としては、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド−プロピレンオキシド付加体が好ましく、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体がより好ましい。
【0023】
(B1)成分としては、原料であるポリアルキレンイミンが有する活性水素1原子に対し、平均5〜40個のアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10〜30個のアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましい。すなわち、原料であるポリアルキレンイミンが有する活性水素1モルあたりに、平均5〜40モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10〜30モルのアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましい。
【0024】
(B1)成分の質量平均分子量は、1000〜80000が好ましく、2000〜50000がより好ましく、5000〜30000がさらに好ましく、10000〜20000が特に好ましい。
ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体としては、例えば、式(I−b)で示される化合物が挙げられる。
【0026】
式(I−b)中、R
22は、それぞれ独立に炭素数2〜6のアルキレン基であり、mは、それぞれ独立に1以上の数である。
R
22は、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
mは、(R
22O)の平均繰り返し数であり、5〜40が好ましく、10〜30がより好ましい。
(B1)成分としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。市販品としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan HP20」などが挙げられる。
【0027】
((B2)成分)
(B2)成分は、下記式(II)で表されるポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体である。
NH
2(R
31NH)
lH ・・・(II)
(式(II)中、R
31は、炭素数2〜6のアルキレン基であり、lは、1以上の数である。)
【0028】
R
31は、炭素数2〜6の直鎖アルキレン基又は炭素数3〜6の分岐アルキレン基である。R
31は、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
ポリアルキレンアミンとしては、ポリエチレンアミンが好ましい。ポリエチレンアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。なお、これらのポリエチレンアミンは、公知の製造方法、例えばアンモニア及びエチレンジクロリドを反応させることで得られる。
【0029】
ポリアルキレンアミンの質量平均分子量は、60〜1800が好ましく、60〜1000がより好ましく、60〜800がさらに好ましい。
【0030】
ポリアルキレンアミンとしては、その1分子中に活性水素を6〜30個有するものが好ましく、7〜20個有するものがさらに好ましい。
【0031】
(B2)成分は、ポリアルキレンアミンにアルキレンオキシドを付加して得られる。この反応は、(B1)成分と同様に行える。アルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
【0032】
(B2)成分としては、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのプロピレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド−プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。
ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体としては、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド−プロピレンオキシド付加体が好ましく、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド付加体がより好ましい。
【0033】
(B2)成分としては、原料であるポリアルキレンアミンが有する活性水素1原子に対し、平均5〜40個のアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10〜30個のアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましい。すなわち、原料であるポリアルキレンアミンが有する活性水素1モルあたりに、平均5〜40モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10〜30モルのアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましい。
【0034】
(B2)成分の質量平均分子量は、1000〜80000が好ましく、2000〜50000がより好ましく、5000〜30000がさらに好ましく、10000〜20000が特に好ましい。
【0035】
(B)成分としては、(B1)成分が好ましい。(B1)成分の中でも、式(I−b)で表されるポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体が特に好ましい。
(B)成分は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0036】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「A/B比」ともいう。)は0.01〜99が好ましく、0.02〜50がより好ましく、0.05〜20がさらに好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、液体洗浄剤としたときに洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になる。
【0037】
<任意成分>
洗剤用ビルダーは、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(A)成分及び(B)成分以外の成分(任意成分)を含んでもよい。
任意成分としては、衣料用等の液体洗浄剤に通常用いられている成分を配合することができ、例えば酵素、有機溶剤、キレート剤、ハイドロトロープ剤(例えば、ポリエチレングリコール、芳香族スルホン酸又はその塩など)、洗浄性ビルダー、安定化剤、アルカリ剤(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン等)、抗菌剤、シリコーン等の風合い向上剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、酵素安定剤、着色剤として汎用の色素又は顔料、乳濁化剤、香料、pH調整剤などが挙げられる。
これら任意成分は、後述する液体洗浄剤の任意成分として配合されてもよい。
【0038】
なお、洗剤用ビルダーに含まれる(A)成分及び(B)成分の含有量の合計が、洗剤用ビルダーの総質量に対して100質量%を超えないものとする。洗剤用ビルダーが任意成分を含有する場合、洗剤用ビルダーに含まれる(A)成分、(B)成分及び任意成分の含有量の合計が、洗剤用ビルダーの総質量に対して100質量%を超えないものとする。
また、洗剤用ビルダーに含まれる全ての成分の含有量の合計が、100質量%となるものとする。
【0039】
<製造方法>
本発明の洗剤用ビルダーは、例えば、上述した(A)成分及び(B)成分と、必要に応じて任意成分とを混合することで製造できる。
【0040】
<作用効果>
以上説明した本発明の洗剤用ビルダーにおいては、上述した(A)成分と(B)成分とを含有するので、液体洗浄剤としたときに洗浄力及び液安定性に優れる。加えて、本発明の洗剤用ビルダーを含有する液体洗浄剤を用いて衣料等(被洗物)を洗濯すれば、洗濯後の被洗物を洗濯機から取り出しやすくなる。
本発明の洗剤用ビルダーは、衣料用の液体洗浄剤の助剤として好適である。特に、被洗物をつめこみ洗いやまとめ洗いする際の液体洗浄剤の助剤として好適である。
【0041】
[液体洗浄剤]
本発明の液体洗浄剤は、上述した本発明の洗剤用ビルダーと、以下に示す(C)成分を含有する。
【0042】
液体洗浄剤中の洗剤用ビルダーの含有量は、液体洗浄剤中の(A)成分及び(B)成分の含有量が以下に示す範囲内となる量が好ましい。
すなわち、(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.05〜2質量%がさらに好ましく、0.05〜1.5質量%が特に好ましく、0.1〜1質量%が最も好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になる。加えて、洗浄力がより向上する。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液安定性がより向上する。
【0043】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.05〜2質量%がさらに好ましく、0.05〜1.5質量%が特に好ましく、0.1〜1質量%が最も好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液安定性がより向上する。
【0044】
(A)成分と(B)成分の含有量の合計は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。(A)成分と(B)成分の含有量の合計が上記下限値以上であれば、(A)成分及び(B)成分の効果が充分に得られる。(A)成分及び(B)成分の効果はこれらの含有量が増えるほど高くなる傾向にあるが、15質量%を超えても期待された以上の効果を発現しにくい。また、被洗物にごわつきが生じることがある。
【0045】
<(C)成分>
(C)成分は、界面活性剤である。
(C)成分は、洗浄成分として機能する。また、液体洗浄剤が(C)成分を含有することで、(A)成分及び(B)成分の分散安定性が高まる。
(C)成分として、公知の洗剤の洗浄成分として使用されている公知の界面活性剤、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が適用可能である。
これらの中でも、洗浄性能に優れる点では、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が好ましい。(A)成分及び(B)成分の分散安定性がより高められる点では、ノニオン界面活性剤が好ましい。液体洗浄剤の液安定性と洗浄力とのバランスに優れる点では、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用することが好ましい。
【0046】
(ノニオン界面活性剤)
ノニオン界面活性剤(以下、「(C1)成分」ともいう。)としては、例えば以下の(1)〜(8)が挙げられる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の1価脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル、さらに好ましくは5〜20モル付加した、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される1価脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0047】
(C1)成分としては、上記(1)又は(3)のものが好ましく、中でも、下記一般式(III)又は(IV)で表されるものが好ましい。
R
2−C(=O)O−[(EO)
s/(PO)
t]−(EO)
u−R
3 ・・・(III)
R
4−O−[(EO)
v/(PO)
w]−(EO)
x−H ・・・(IV)
(式(III)中、R
2は炭素数7〜22の炭化水素基であり、R
3は炭素数1〜6のアルキル基であり、sはEOの平均繰り返し数を表し、6〜20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0〜6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を表し、0〜20の数であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。
式(IV)中、R
4は炭素数6〜22の炭化水素であり、vはEOの平均繰り返し数を表し、3〜20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を表し、0〜6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を表し、0〜20の数であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。)
【0048】
式(III)において、R
2は、炭素数7〜22の炭化水素基である。R
2の炭素数は、9〜21が好ましく、11〜21がより好ましい。
R
2は、アルキル基、アルケニル基が好ましい。
R
2は直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。
洗浄力のさらなる向上を図る観点から、R
2は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数7〜22のアルキル基、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数7〜22のアルケニル基が好ましい。
R
3は、炭素数1〜6のアルキル基であり、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。これらの中でもメチル基及びエチル基が好ましい。
式(III)中、s、uは、それぞれ独立にEOの平均繰り返し数を表す数である。
s+uは6〜20であることが好ましく、6〜18がより好ましく、11〜18がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、液安定性がより向上しやすくなる。上記上限値以下であれば、洗浄力がより向上しやすくなる。
式(III)中、tは、POの平均繰り返し数を表す数である。
tは0〜6の数であり、0〜3が好ましい。上記上限値以下であれば、液安定性がより向上しやすくなる。
t>0の場合、[(EO)
s/(PO)
t]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム状に配列してもよいし、ブロック状に配列してもよい。一般式(III)中の[(EO)
s/(PO)
t]はEOとPOがランダム状又はブロック状に混在することを意味する。
なお、本明細書において平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0049】
式(IV)において、R
4は、炭素数6〜22の炭化水素基である。
式(IV)において、R
4の炭素数は、洗浄力のさらなる向上を図る観点から、10〜22が好ましく、10〜20がより好ましく、10〜18がさらに好ましい。
R
4は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
好ましいR
4−O−としては、下記一般式(V)で表される基が挙げられる。
(R
101)(R
102)CH−O−・・・(V)
(式(V)中、R
101及びR
102は、それぞれ独立して水素原子、又は鎖状の炭化水素基を表し、R
101とR
102の合計の炭素数は5〜21である。)
【0050】
R
101とR
102との合計の炭素数は、9〜21が好ましく、9〜19より好ましく、9〜17がさらに好ましい。
R
101及びR
102は直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0051】
R
4としては、具体的には、炭素数12〜14の第2級アルコール由来のアルキル基が好ましい。
式(IV)中、v、xは、それぞれ独立にEOの平均繰り返し数を表す数である。
v+xは3〜20であることが好ましく、5〜18がより好ましく、6〜18がさらに好ましく、11〜18が特に好ましい。上記下限値以上であれば、液安定性がより向上しやすくなる。上記上限値以下であれば、洗浄力がより向上しやすくなる。
式(IV)中、wは、POの平均繰り返し数を表す数である。
wは0〜6の数であり、0〜3が好ましい。上記上限値以下であれば、液安定性がより向上しやすくなる。
w>0の場合、[(EO)
v/(PO)
w]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム状に配列してもよいし、ブロック状に配列してもよい。一般式(IV)中の[(EO)
v/(PO)
w]はEOとPOがランダム状又はブロック状に混在することを意味する。
式(IV)中のEO又はPOの分布は、製造する際の反応方法によって変動する。例えば、一般的なアルカリ触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いて、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを原料に付加した場合には、v又はwの分布は、比較的広くなる。特公平6−15038号公報に記載のAl
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いてエチレンオキシドやプロピレンオキシドを原料に付加した場合には、v又はwの分布は、比較的狭くなる。
【0052】
式(III)で表されるノニオン界面活性剤(以下、(C11)成分ともいう)、及び式(IV)で表されるノニオン界面活性剤(以下、(C12)成分ともいう)は、ナロー率が20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。当該ナロー率が高いほど、良好な洗浄力が得られる。また、当該ナロー率が20質量%以上、特に25質量%以上であると、界面活性剤の原料臭気の少ない液体洗浄剤が得られやすくなる。
(C11)成分を常法により製造した場合、生成物中には、(C11)成分とともに、洗浄力に寄与しない成分、例えば(C11)成分の原料である脂肪酸エステルや、(C11)成分のsが1又は2であるエチレンオキシド付加体が共存し、ナロー率を低下させる。そのためナロー率が高いと、共存する成分が充分に少なく、洗浄力の低下、原料臭気の問題が生じにくくなる。(C12)成分の場合も同様である。
前記ナロー率の上限値としては特に限定されないが、実質的には80質量%以下であることが好ましい。
前記ナロー率としては、液安定性と溶解性が向上するため、20〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
ここで、本明細書において「ナロー率」とは、EOの付加モル数が異なるエチレンオキシド付加体の分布の割合を示し、下記の数式(S)で表される。
【0054】
式中、p
maxは、全体のエチレンオキシド付加体中に最も多く存在するエチレンオキシド付加体のEOの付加モル数を示す。iはEOの付加モル数を示す。Yiは全体のエチレンオキシド付加体中に存在する、EOの付加モル数がiであるエチレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
【0055】
前記ナロー率は、例えば(C11)成分又は(C12)成分の製造方法等によって制御することができる。(C11)成分の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにエチレンオキシドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。(C12)成分の製造方法としては、例えば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、炭素数6〜22のアルコールにエチレンオキシドを付加重合させる方法により製造することができる。
かかる方法に用いられる表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものとしては、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された金属イオン(Al
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や金属水酸化物及び/又は金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒が挙げられる。
前記複合金属酸化物触媒を用いた表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドとを併用することが好ましい。この場合、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドの割合を0.5〜10質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
【0056】
(C1)成分としては、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法で製造したものを用いてもよい。公知の製造方法として、(C11)成分は、例えば脂肪酸アルキルエステルにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加重合させる方法により製造することができる。(C12)成分は、例えば炭素数6〜22のアルコールにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加重合させる方法により製造することができる。
【0057】
(C1)成分は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C1)成分としては、(C11)成分が好ましく、式(III)中のtが0である化合物(すなわち、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル)がさらに好ましく、式(III)中のR
3がメチル基であるポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(脂肪酸メチルエステルエトキシレート)(以下、「MEE」と表記する。)が、洗浄力や液体洗浄剤の溶解性の向上の点から特に好ましい。MEEの含有量は、(C1)成分の総質量に対し、10質量%以上が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。
【0058】
(C)成分中の(C11)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、20質量%が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。(C11)成分の含有量が上記範囲内であれば、洗浄力及び液安定性により優れる液体洗浄剤が得られやすくなる。
【0059】
本発明の液体洗浄剤は、(C11)成分と(C12)成分とを組み合わせて使用することが好ましい。
(C11)成分/(C12)成分で表される質量比(以下、「C11/C12比」ともいう)は、0.1〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。C11/C12比が上記数値範囲内であれば、洗浄力がより高まる。
【0060】
(C1)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、45〜70質量%がさらに好ましい。(C1)成分の含有量が上記範囲内であれば、液安定性により優れる液体洗浄剤が得られやすくなる。
【0061】
(アニオン界面活性剤)
アニオン界面活性剤(以下、「(C2)成分」ともいう。)としては、例えば以下の(9)〜(20)が挙げられる。
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩。
(10)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(11)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(12)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(13)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(14)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(15)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(16)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(17)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(18)長鎖(炭素数8〜20の)モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(19)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(20)高級脂肪酸又はその塩。平均炭素数が10〜20(好ましくは炭素数12〜18)の高級脂肪酸又はその塩。
【0062】
上記で例示した以外のアニオン界面活性剤を用いてもよい。例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩又はアルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
(C2)成分としては、上記(10)又は(14)のものが好ましい。
【0063】
(14)のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、具体的には一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
R
40−O−[(EO)
y/(PO)
z]−SO
3−M
+・・・(VI)
(式(VI)中、R
40は炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である。EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。yは、EOの平均繰り返し数を表し、1以上の数である。zは、POの平均繰り返し数を表し、0〜6の数である。M
+は対カチオンである。)
【0064】
z>0の場合、[(EO)
y/(PO)
z]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム状に配列してもよいし、ブロック状に配列してもよい。一般式(VI)中の[(EO)
v/(PO)
w]はEOとPOがランダム状又はブロック状に混在することを意味する。また、POとEOは、POが「R
40−O−」に結合してもよいし、EOが「R
40−O−」に結合してもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有し、平均1〜5モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。
アルキル基の炭素数としては、10〜20が好ましく、12〜14がより好ましい。具体的には、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。なかでもドデシル基が好ましい。
EOの平均繰り返し数(y)は、1〜5であることが好ましく、1〜3がより好ましい。
POの平均繰り返し数(z)は、0〜3であることが好ましい。
式(VI)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩全体に対して、上記式(VI)におけるy=0、z=0の化合物を35〜55質量%含有することが好ましい。
【0065】
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩が好ましい。
【0066】
(C2)成分の製造方法としては、例えば、LASの場合、アルキルベンゼンを無水硫酸でスルホン化し、アルカリで中和する方法で製造することができる。例えば、AESの場合、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに、無水硫酸を反応させるか、クロルスルホン酸を反応させてスルホン化し、アルカリで中和する方法により製造することができる。
【0067】
本発明の液体洗浄剤は、AESとLASと高級脂肪酸又はその塩とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0068】
(C2)成分は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C2)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。(C2)成分の含有量が上記下限値以上であれば、再汚染防止性に優れる。(C2)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液安定性がより向上する。
【0069】
(C1)成分/(C2)成分で表される質量比(以下、「C1/C2比」ともいう)は、1.0以上が好ましく、1.0超がより好ましく、1.5以上がさらに好ましい。また、C1/C2比は20以下が好ましく、9以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、4以下が特に好ましい。C1/C2比が上記範囲内であれば、(A)成分及び(B)成分の分散安定性がより向上し、洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しがより容易になる。加えて、洗浄力がより向上する。
【0070】
(カチオン界面活性剤)
カチオン界面活性剤(以下、「(C3)成分」ともいう。)としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミドアミン型、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0071】
(C3)成分は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C3)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
【0072】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤(以下、「(C4)成分」ともいう。)としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0073】
(C4)成分は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C4)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
【0074】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上が特に好ましく、40質量%以上が最も好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高められる。
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液安定性がより高められる。
(C)成分の含有量は、15〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、35〜60質量%がさらに好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。
なお、各界面活性剤の含有量の合計は、(C)成分の総質量に対して100質量%を超えない。
【0075】
<水>
本発明の液体洗浄剤は、製造時のハンドリングのし易さ、使用する際の水への溶解性等の観点から、水を含有することが好ましい。
水としては、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水などが挙げられる。
水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、10〜70質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜45質量%がさらに好ましい。
【0076】
<任意成分>
液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、本発明の洗剤用ビルダー、(C)成分及び水以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、衣料用等の液体洗浄剤に通常用いられている成分を配合することができ、具体的には本発明の洗剤用ビルダーの説明において先に例示した任意成分が挙げられる。
【0077】
なお、液体洗浄剤に含まれる洗剤用ビルダー及び(C)成分の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して100質量%を超えないものとする。液体洗浄剤が水及び任意成分を含有する場合、液体洗浄剤に含まれる洗剤用ビルダー、(C)成分、水及び任意成分の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して100質量%を超えないものとする。
また、液体洗浄剤に含まれる全ての成分の含有量の合計が、100質量%となるものとする。
【0078】
<製造方法>
本発明の液体洗浄剤は、例えば、上述した(A)成分及び(B)成分と、必要に応じて(C)成分や任意成分とを、水に溶解し、必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpHに調整することによって製造できる。
なお、予め(A)成分と(B)成分とを混合して洗剤用ビルダーを調製しておき、得られた洗剤用ビルダーと(C)成分と、必要に応じて任意成分とを、水に溶解しもよい。
pH調整剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて制限されないが、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが、液安定性の面から好ましい。
【0079】
<pH>
本発明の液体洗浄剤の25℃でのpHは、4〜9が好ましく、6〜9がより好ましい。
液体洗浄剤の25℃でのpHが上記範囲内であれば、液体洗浄剤の保存安定性が良好に維持される。
本発明において、液体洗浄剤のpHは、液体洗浄剤を25℃に調整し、pHメーター等により測定される値を示す。
【0080】
<作用効果>
以上説明した本発明の液体洗浄剤においては、上述した本発明の洗剤用ビルダーを含有するので、洗浄力及び液安定性に優れる。加えて、本発明の液体洗浄剤を用いて衣料等(被洗物)を洗濯すれば、洗濯後の被洗物を洗濯機から取り出しやすくなる。
【0081】
本発明の液体洗浄剤は、衣料用の液体洗浄剤として好適である。特に、被洗物をつめこみ洗いやまとめ洗いする際の液体洗浄剤として好適である。
本発明の液体洗浄剤の使用方法は、通常の液体洗浄剤の使用方法と同様である。すなわち本発明の液体洗浄剤(本発明品)を、洗濯時に被洗物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに本発明品を直接塗布する方法、本発明品を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、本発明品を被洗物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。その際、本発明品の使用量は、従来の液体洗浄剤の使用量よりも、実質上量以下に少なくすることができる。
洗浄対象となる被洗物の種類は、家庭における洗濯で洗浄対象とされているものと同様のものが挙げられ、例えば衣料、布巾、タオル類、シーツ等の繊維製品などが挙げられる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、各例で用いた成分の配合量は、特に断りのない限り純分換算値である。
また、実施例8、15は参考例である。
【0083】
「使用原料」
(A)成分及びその代替品((A’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:炭素数5のオレフィンとマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(日本ゼオン(株)製、商品名「クインフロー542」、質量平均分子量:8000)。
・A−2:オレフィンとマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(BASF社製、商品名「Sokalan CP9」、質量平均分子量:12000)。
・A−3:アクリル酸とマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(BASF社製、商品名「Sokalan CP7」、アクリル酸とマレイン酸とのモル比60:40、質量平均分子量:50000)。
・A−4:アクリル酸とマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(株式会社日本触媒製、商品名「アクアリックTL−400」、アクリル酸とマレイン酸とのモル比60:40、質量平均分子量:50000)。
・A’−1:ポリアクリル酸(BASF社製、商品名「Sokalan PA30CL」)。
・A’−2:エチレンジアミン四酢酸(EDTA)。
【0084】
(B)成分及びその代替品((B’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・B−1:ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体(BASF社製、商品名「Sokalan HP20」)。上記一般式(I−b)中、R
22=エチレン基、m=20であるもの。
・B’−1:ポリエチレンイミン(BASF社製、商品名「ルパゾールP」:質量平均分子量:約750000)。
【0085】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C−1:MEE(ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル)。ヤシ脂肪酸メチル(質量比でラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=74/26の混合物)に対して、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。上記一般式(III)中、R
2=炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基、R
3=メチル基、s=15、t=0、u=0であるもの。下記合成方法により合成されたもの。
・C−2:MEE。ヤシ脂肪酸メチル(質量比でラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=8/2の混合物)に、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。上記一般式(III)中、R
2=炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基、R
3=メチル基、s=15、t=0、u=0であるもの。下記合成方法により合成されたもの。
・C−3:炭素数12〜14の第2級アルコールに、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(株式会社日本触媒製、商品名「ソフタノール70」)。上記一般式(IV)中、R
4=炭素数12〜14の分岐鎖のアルキル基、v=7、w=0、x=0であるもの。
・C−4:ポリオキシエチレンアルキルエーテル。炭素数12及び14の天然アルコール(第1級アルコール)に対して、15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。下記合成方法により合成されたもの。
・C−5:EPノニオン。天然アルコール(質量比で炭素数12の第1級アルコール/炭素数14の第1級アルコール=7/3)に、8モルのエチレンオキシド、2モルのプロピレンオキシド、8モルのエチレンオキシドの順にブロック付加させて得られたノニオン界面活性剤。
・C−6:AES。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムとの混合物、EOの平均付加モル数1)。一般式(VI)中、R
40=炭素数12、及び14の直鎖状のアルキル基、y=1、z=0、M=ナトリウムであり、C−6全体に対するy=0、z=0の化合物の割合=43質量%であるもの。下記合成方法により合成されたもの。
・C−7:AEPS。ポリオキシエチレンポリオキシプロパン−1,2−ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩。一般式(VI)中、R
40=炭素数12の直鎖状のアルキル基、y=2、z=1、M=モノエタノールアミンであるもの。下記合成方法により合成されたもの。
・C−8:LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)(ライオン株式会社製、商品名「ライポンLH−200」)。
・C−9:ヤシ脂肪酸(日油株式会社製、商品名「ヤシ脂肪酸」)。
・C−10:塩化アルキル(炭素数12)トリメチルアンモニウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「アーカード12−37W」)。
・C−11:アルキルアミドアミン(東邦化学工業株式会社製、商品名「カチナールMPAS−R」)。
なお、C−1〜C−5はノニオン界面活性剤((C1)成分)に相当する。これらのうち、C−1、C−2は(C11)成分に該当し、C−3〜C−5は(C12)成分に該当する。C−6〜C−9はアニオン界面活性剤((C2)成分)に相当し、C−10、C−11はカチオン界面活性剤((C3)成分)に相当する。
【0086】
(C−1の合成方法)
特開2000−144179号公報に記載の合成方法に準じて合成した。
組成が2.5MgO・Al
2O
3・wH
2O(w:水和水のモル数)である水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業株式会社製、商品名「キョーワード300」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して、焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒を得た。焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
得られた反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gとを添加し混合した後、触媒を濾別し、C−1を得た。
C−1のナロー率は30質量%であった。
【0087】
(C−2の合成方法)
500mLビーカーに、2−エチルヘキサノール(一級試薬、関東化学株式会社製)137gと、酢酸カルシウム一水和物(特級試薬、関東化学株式会社製)41.7gを入れ、パドル攪拌翼により室温(25℃)で混合して分散物を得た(分散工程)。前記分散物を攪拌しながら、滴下ロートによって、硫酸(特級試薬、関東化学株式会社製)20.9gを10分間かけて添加し混合した(混合工程)。混合工程では硫酸の添加で発熱するので、ビーカーを水浴して冷却し、反応温度を30〜50℃に制御した。硫酸を添加した後、50℃に保ちながら、さらに2時間攪拌し(触媒熟成工程)、アルコキシル化触媒を得た。
オートクレーブに、上記アルコキシル化触媒12.5gと、ラウリン酸メチル(ライオンケミカル株式会社製、商品名「パステルM12」)462gと、ミリスチン酸メチル(パステルM14、ライオンケミカル株式会社製)166gとを入れ、攪拌した。攪拌しながら、オートクレーブ内を窒素置換し、100℃に昇温し、1.3kPa以下の減圧条件で30分間、脱水を行った。次いで、160℃に昇温し、0.1〜0.5MPaの条件で、エチレンオキシド1876g(ラウリン酸メチルとミリスチン酸メチルとの合計の15倍モル)を導入して攪拌した(付加反応工程)。さらに、付加反応温度で0.5時間攪拌した(熟成工程)後、80℃に冷却し、反応粗製物(脂肪酸メチルエステルエトキシレート(MEE)、EO平均付加モル数=15)2516gを得た。前記反応粗製物をろ過して触媒を除去したものをC−2とした。
C−2のナロー率は30質量%であった。
【0088】
(C−4の合成方法)
原料アルコール(プロクター・アンド・ギャンブル社製、商品名「CO−1214」、炭素数12及び14の天然アルコール)224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器内に仕込み、該反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、C−4を得た。
【0089】
(C−6の合成方法)
原料アルコール(プロクター・アンド・ギャンブル社製、商品名「CO1270」、炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの質量比75/25の混合物)400gと、反応用触媒として水酸化カリウム触媒0.8gとを容量4Lのオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内を窒素で置換した後、攪拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しながらエチレンオキシド91gを導入し、反応させることによりアルコールエトキシレートを得た。
ガスクロマトグラフ質量分析計:Hewlett−Packard社製のGC−5890と、検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)と、カラム:Ultra−1(HP社製、L25m×φ0.2mm×T0.11μm)と、を用いて分析した結果、得られたアルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの平均付加モル数が1.0であった。また、エチレンオキシドが付加していない化合物(最終的に成分(b0)となるもの)の量が、得られたアルコールエトキシレート全体に対して43質量%であった。
次に、上記で得たアルコールエトキシレート237gを、攪拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素で置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和し、C−6を得た。
【0090】
(C−7の合成方法)
撹拌装置、温度制御装置及び自動導入装置を備えたオートクレーブ内に、炭素数12の直鎖の第1級アルコール(東京化成工業株式会社製、商品名「1−ドデカノール」、分子量186.33、純度>99%)640gと、KOH1.0gとを仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後、窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロパン−1,2−ジイルオキシド199gを仕込んだ。次いで、120℃にて付加反応・熟成を行った後、145℃に昇温し、エチレンオキシド303gを仕込んだ。次いで、145℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPaで未反応のエチレンオキシドを除去した。未反応のエチレンオキシドを除去した後、酢酸1.0gをオートクレーブ内に加え、80℃で30分間撹拌した後、抜き出しを行い、アルキル基がドデシル基、POの平均付加モル数が1.0、EOの平均付加モル数が2.0であるアルコキシレートを得た。
得られたアルコキシレートを、SO
3ガスを用いて下降薄膜式反応器により硫酸化した。得られた硫酸化物をモノエタノールアミンにて中和し、C−7を含む組成物を得た。
【0091】
任意成分及び水として、以下に示す化合物を用いた。
・アルカラーゼ:ノボザイムズ社製、商品名「アルカラーゼ2.5L」。
・PPG4000:3価アルコールのプロピレンオキシド付加物(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)(三井化学株式会社製、商品名「アクトコールT−4000」、質量平均分子量:4000)。
・MEA:モノエタノールアミン(アルカリ剤)(株式会社日本触媒製、商品名「モノエタノールアミン」)。
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)(住友化学株式会社製、商品名「SUMILZER BHT−R」)。
・ソルフィット:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(株式会社クラレ製、商品名「ソルフィット」)。
・BC:ブチルカルビトール(日本乳化剤株式会社製、商品名「ブチルジグリコール」)。
・PEG1000:ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名「PEG#1000−L60」)。
・PG:プロピレングリコール(BASF社製)。
・エタノール:日本アルコール販売株式会社製、商品名「特定アルコール95度合成」。
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(防腐剤)(東亞合成株式会社製、商品名「安息香酸ナトリウム」)。
・CaCl
2:塩化カルシウム(酵素安定化剤)(関東化学株式会社製、商品名「塩化カルシウム」)。
・乳酸Na:乳酸ナトリウム(酵素安定化剤)(関東化学株式会社製、商品名「乳酸ナトリウム」)。
・香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
・色素:癸巳化成株式会社製、商品名「緑色3号」。
・pH調整剤:水酸化ナトリウム(鶴見曹達株式会社製、商品名「水酸化ナトリウム」)。
・水:蒸留水(関東化学株式会社製)。
【0092】
「実施例1〜15、比較例1〜6」
<液体洗浄剤の調製>
表1〜3に示す配合組成に従い、(A)成分又は(A’)成分と、(B)成分又は(B’)成分と、(C)成分と、任意成分(pH調整剤を除く)とを水に加えて混合し、得られた混合液の25℃におけるpHを表1〜3に示す値となるようにpH調整剤を適量添加し、各例の液体洗浄剤を得た。
pHの測定には、pHメーター(東京計器株式会社製、製品名「HM−30G」)を用いた。
得られた各例の液体洗浄剤について、以下のようにして、取り出しやすさ、洗浄力、液安定性を評価した。これらの結果を表1〜3に示す。
【0093】
<評価>
(前処理した綿肌着の調製)
JIS K 3362:1998記載の指標洗剤を用い、洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L、水温20℃、洗浄10分、ためすすぎ2回の条件で、綿肌着(BVD社製、綿100%)10枚を全自動洗濯機(株式会社日立製作所製、製品名「NW−6CY」)で5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去して前処理した綿肌着を調製した。
【0094】
(取り出しやすさの評価)
縦型全自動洗濯機(株式会社東芝製、製品名「TW−8V2」)の洗濯槽に、JIS K 3362:1998記載の使用水55Lと、前処理した綿肌着(10枚、4.5kg)を入れた。さらに、各表に示す液体洗浄剤を使用濃度が0.33g/Lとなるように添加し、標準で洗浄12分、すすぎ1回、脱水6分の条件で洗濯を行った。なお、実施例14、15の場合は、液体洗浄剤を使用濃度が0.83g/Lとなるように添加し、標準で洗浄12分、すすぎ1回、脱水6分の条件で洗濯を行った。
洗濯後、洗濯槽から任意に2枚の綿肌着を取り出した際の取り出しやすさを10人のパネラー(30代男性)が比較例6を標準として比較し、下記判断基準により採点し、パネラー10人の採点結果の平均値を算出した。
<<判断基準>>
−1点:比較例6と比較して取り出しにくい。
0点:比較例6と比較して同等である。
1点:比較例6と比較してやや取り出しやすい。
2点:比較例6と比較して取り出しやすい。
3点:比較例6と比較して非常に取り出しやすい。
【0095】
(洗浄力の評価)
汚垢布として、湿式人工汚垢布(財団法人洗濯科学協会製)を5cm×5cm角に裁断したもの(オレイン酸28.3質量%、トリオレイン15.6質量%、コレステロールオレート12.2質量%、流動パラフィン2.5質量%、スクアレン2.5質量%、コレステロール1.6質量%、ゼラチン7.0質量%、泥29.8質量%、カーボンブラック0.5質量%の組成の汚れが付着した布)を用いた。
ドラム式電気洗濯乾燥機(パナソニック株式会社製、製品名「NA−VX8800」)の自動投入口に各表に示す液体洗浄剤を投入した。さらに、汚垢布10枚を前処理した綿肌着に縫い付けたものを洗濯槽に入れ、標準設定にて洗濯した。なお、実施例1〜13、比較例1〜6の場合は、液体洗浄剤の使用量が0.33g/Lとなるよう設定し、実施例14、15の場合は、液体洗浄剤の使用量が0.83g/Lとなるよう設定した。
評価用布(ここで評価用布とは、汚れの付着していない、基準となる白布をいう。)、洗浄前及び洗浄後の汚垢布について、それぞれ反射率を色差計(日本電色株式会社製、製品名「SE200型」)で測定し、下式により洗浄率(%)を求めた。
洗浄率(%)=(洗浄前の汚垢布のK/S−洗浄後の汚垢布のK/S)/(洗浄前の汚垢布のK/S−評価用布のK/S)×100
ただし、「K/S」は、(1−R/100)
2/(2R/100)で求められる値(Rは、評価用布、洗浄前の汚垢布又は洗浄後の汚垢布の反射率(%)を示す)である。
【0096】
汚垢布10枚について、それぞれ洗浄率(%)を算出し、その平均値を求め、下記基準に基づいて洗浄力を評価した。
○:洗浄率(平均値)が65%以上。
△:洗浄率(平均値)が60%以上65%未満。
×:洗浄率(平均値)が60%未満。
【0097】
(液安定性の評価)
透明のガラス瓶(広口規格びん、PS−NO.11)に、各例の液体洗浄剤100mLを充填し、蓋を閉めて密封した。この状態で5℃又は25℃の恒温槽内に7日間静置して保存した。
かかる保存の後、液の外観を目視で観察し、下記評価基準に従って、各例の液体洗浄剤の外観安定性を評価した。
<<評価基準>>
○:ガラス瓶の底部に沈殿物質が認められず、液の流動性がある。
△:ガラス瓶の底部に沈殿物質が認められるが、ガラス瓶を軽く振ると、その沈殿物質は消失(溶解)する。
×:ガラス瓶の底部に沈殿物質が認められ、ガラス瓶を軽く振ってもその沈殿物質は消失しない、又は、液体洗浄剤の製造直後にゲル化もしくは白濁する。
かかる評価結果を、表1〜3の液安定性(25℃)、液安定性(5℃)の欄にそれぞれ示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
表1〜3中、「バランス」とは、液体洗浄剤全体で100質量%とするのに必要な水(蒸留水)の配合量(質量%)である。
また、「A+B」は、液体洗浄剤の総質量に対する、(A)成分と(B)成分の含有量の合計、又は(A’)成分と(B)成分の含有量の合計、又は(A)成分と(B’)成分の含有量の合計である。「C11/C」は、(C)成分の総質量に対する(C11)成分の含有量である。「C1/C」は、(C)成分の総質量に対する(C1)成分の含有量である。「C2/C」は、(C)成分の総質量に対する(C2)成分の含有量である。「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比、又は(A’)成分/(B)成分で表される質量比、又は(A)成分/(B’)成分で表される質量比である。「C11/C12比」は、(C11)成分/(C12)成分で表される質量比である。「C1/C2比」は、(C1)成分/(C2)成分で表される質量比である。
【0102】
表1、2から明らかなように、各実施例の液体洗浄剤は洗浄力及び液安定性に優れ、かつ洗濯機からの洗濯後の被洗物の取り出しが容易であった。
一方、表3から明らかなように、(B)成分を含まない比較例1の液体洗浄剤は、洗濯機から洗濯後の被洗物を取り出しにくかった。
(A)成分を含まない比較例2の液体洗浄剤は、洗浄力に劣っていた。
(B)成分の代わりにポリエチレンイミンを用いた比較例3の液体洗浄剤は、洗浄力に劣っていた。また、実施例2よりも洗濯機から洗濯後の被洗物を取り出しにくかった。
(A)成分の代わりにポリアクリル酸又はEDTAを用いた比較例4、5の液体洗浄剤は、洗浄力に劣っていた。また、洗濯機から洗濯後の被洗物を取り出しにくかった。
(A)成分及び(B)成分を含まない比較例6の液体洗浄剤は、洗浄力に劣っていた。