(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968103
(24)【登録日】2021年10月28日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】アルミノキサンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07F 5/06 20060101AFI20211108BHJP
C08F 4/642 20060101ALN20211108BHJP
【FI】
C07F5/06 D
!C08F4/642
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-560631(P2018-560631)
(86)(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公表番号】特表2019-516724(P2019-516724A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2017062055
(87)【国際公開番号】WO2017202701
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2019年1月8日
(31)【優先権主張番号】16171007.4
(32)【優先日】2016年5月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル クライス,ピーター
【審査官】
前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/062977(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/123212(WO,A1)
【文献】
特開平03−271295(JP,A)
【文献】
特開平04−049293(JP,A)
【文献】
特開2009−214039(JP,A)
【文献】
米国特許第05663394(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/00
C08F 30/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒の非存在下で、1モル当量のアルキルアルミニウムを、0.1〜0.8モル当量の式
【化1】
[式中、R
1およびR
2は、独立して、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、R
3、R
4およびR
5は、独立して、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および水素原子から選択される]
の置換アリル型アルコールと反応させることによって、アルキルアルミノキサンを調製する、方法。
【請求項2】
アルキルアルミニウム1モル当量当たり0.5〜0.8モル当量の置換アリル型アルコールを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1およびR2が、独立して、20個以下の炭素原子の分岐および直鎖のアルキルまたはアルキレン基から選択され、
R3、R4およびR5が、独立して、20個以下の炭素原子の分岐および直鎖のアルキルおよびアルキレン基ならびに水素原子から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記置換アリル型アルコールが、4−メチル−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−2−ペンテン−1−オール、3−メチル−2−ヘキセン−1−オール、3−エチル−2−ペンテン−1−オール、(trans)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オールおよび3−メチル−2−ブテン−1−オールからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R3、R4およびR5が、水素原子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒の非存在下で、アルキルアルミニウムを、式
【化2】
のメタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物
[式中、R
1およびR
2は、独立して、脂肪族炭化水素基から選択され、R
3は脂肪族炭化水素基または水素原子であり、R
4は脂肪族炭化水素基、水素原子、または水酸基であって、
アルキルアルミニウム中のアルミニウム原子1モル当量当たり、前記メタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物の−C=O(R
4)部分で、0.1〜0.8モル当量の酸素原子の割合にある]
と反応させることによって、アルキルアルミノキサンを調製する、方法。
【請求項7】
R1およびR2が、独立して、20個以下の炭素原子の分岐および直鎖の脂肪族アルキルおよびアルキレン基から選択され、R3が20個以下の炭素原子の分岐もしくは直鎖の脂肪族アルキルもしくはアルキレン基または水素原子であり、R4が20個以下の炭素原子の分岐もしくは直鎖の脂肪族アルキルもしくはアルキレン基、水素原子、または水酸基である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
メタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物の1つが、3−メチル−2−ブテン酸、2−メチル−2−プロペン酸、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、3−メチル−2−ブテナールからなる群から選択される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
R3およびR4が、水素原子である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルキルアルミニウムが、アルキル基が8個以下の炭素原子のアルキル基である、トリアルキルアルミニウムである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキルアルミニウムの前記アルキル基の1つまたは複数が、イソブチル、エチルまたはメチルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アルキルアルミニウムが、アルキル基の少なくとも50%がメチルである化合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキルアルミニウムが、トリメチルアルミニウムを含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
得られたアルミノキサンが、続いて脂肪族溶媒に溶解される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記脂肪族溶媒が、ヘキサンまたはヘプタンである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミノキサンの調製に関する。アルミノキサンは、オレフィンを重合またはオリゴマー化するのに使用する、主としてメタロセン触媒中の助触媒としてのそれらの用途によって、産業界で知られている。
【0002】
アルミノキサン(アルモキサンとも呼ばれる)は、2つ以上のアルミニウム原子が酸素架橋を介して連結している、直鎖、環状、オリゴマーまたはポリマーの構造であることができる。例えば、それらはR(−Al(−R)−O)
n−Al−R
2)のような構造を有する[式中、nは整数であり、各Rは独立してアルキルまたはアルコキシ基であることができ、R基の2つ以上は任意選択で一緒に連結して、示された環状構造を与えることができる、すなわち、2つのR基が2つのアルミニウム原子間の酸素架橋になり得る]。少なくともR基の一部がメチル基である場合、アルミノキサンはメチルアルミノキサン(MAO)と呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
米国特許第5,663,394号明細書は、メチルアルミノキサンを調製する方法を開示している。該方法は、有機溶媒中でのトリメチルアルミニウムと水との反応を含む。トリメチルアルミニウムと水との制御しがたい反応性のために、水反応物は過少量投与しかできず、その反応は最初に低い転化率を与え、ステップをリサイクルすることによってのみ転化率を増加することができる。
【0004】
同時に、水とトリメチルアルミニウム(TMAL)との反応は、(水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウムのような)アルミニウム塩沈殿物の形成、およびゲルの形成につながる。TMALおよびH
2Oが等モル比に近く投与される場合に、これらの問題は増大する。
【0005】
トリメチルアルミニウムと水とのこの反応が、有機溶媒がない状態で実施された場合、激しい反応が生じ、固化した反応混合物をもたらす。言い換えれば、この反応は、有機溶媒の非存在下で実施することができない。
【0006】
国際公開第2015/062977号パンフレットは、アルキルアルミニウムを水の代わりに置換アリル型アルコールと反応させることによって、メチルアルミノキサンを調製する方法を開示している。この反応は、不活性な有機溶媒中で実施される。実施例では、トルエンを溶媒として使用している。
【0007】
この文書で開示された反応は、水によるよりも緩やかで良好に制御され、水より高いモル比でアリル型アルコールを投与できることを意味している。この方法は収率の向上およびより低量の副生成物を与える。
【0008】
しかしながら、この方法の欠点は、溶媒が置換アリル型アルコールと置換されて、不純物および転化率の低下につながるようになるおそれがあることである。別の欠点は、トルエンのような芳香族溶媒が最終生成物中に存在することが、生成物のいくつかの用途、特に食品接触の認可を必要とする用途では望まれないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、最終用途の点でより一般的であって、最終用途に応じてどんな溶媒とも組み合わせることができる、メチルアルミノキサン生成物を調製する方法を提供することである。
【0010】
この目的は、アルキルアルミニウムと置換アリル型アルコールとの反応を溶媒の非存在下で実施する、本発明の方法によってかなえられた。これによって、得られたメチルアルミノキサンを、存在する場合はどんな有機溶媒にも溶解させることができる。
【0011】
上で説明したように、アルキルアルミニウムと水との反応が有機溶媒の非存在下で実施することができないので、溶媒の非存在下で反応をうまく実施できるということは、驚くべきことである。同じことは、アルキルアルミニウムと酢酸との反応に適用できる。アルキルアルミニウムとアリル型アルコールとの反応で、溶媒を必要としないということは、したがって予想に反する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、溶媒の非存在下で、1モル当量のアルキルアルミニウムを、0.1〜0.8モル当量の式
【0013】
【化1】
[式中、R
1およびR
2は、独立して、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、R
3、R
4およびR
5は、独立して、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および水素原子から選択される]
の置換アリル型アルコールと反応させることによって、アルキルアルミノキサンを調製する方法に関する。
【0014】
好ましい実施形態では、置換アリル型アルコールは、式
【0015】
【化2】
[式中、R
1およびR
2は、独立して、分岐および直鎖のアルキルまたはアルキレン基、より好ましくは20個以下の炭素原子のアルキルおよびアルキレン基から選択され、R
3、R
4およびR
5は、独立して、水素ならびにR
1および/またはR
2で選択されたものと同じアルキルまたはアルキレン基から選択される]である。
【0016】
より好ましくは、R
4およびR
5が水素基である置換アリル型アルコールである。
【0017】
さらにより好ましい置換アリル型アルコールは、3−メチル−2−ペンテン−1−オール、4−メチル−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−2−ヘキセン−1−オール、3−エチル−2−ペンテン−1−オール、(trans)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール(ゲラニオール)、および3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)である。最も好ましいのは、プレノールである。
【0018】
この無溶媒プロセスは、アリル型アルコールの代わりに、メタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物を使用して行うことができることも見出された。
【0019】
したがって、本発明は、溶媒の非存在下で、アルキルアルミニウムを式
【0020】
【化3】
のメタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物
[式中、R
1およびR
2は、独立して、脂肪族炭化水素基(好ましくは、20個以下の炭素原子のアルキルまたはアルキレン基)から選択され、R
3は脂肪族炭化水素基(好ましくは、20個以下の炭素原子の分岐もしくは直鎖の脂肪族アルキルもしくはアルキレン基)または水素原子であり、R
4は脂肪族炭化水素基(好ましくは、20個以下の炭素原子の分岐もしくは直鎖の脂肪族アルキルもしくはアルキレン基)、水素原子、または水酸基であって、
アルキルアルミニウム中のアルミニウム原子1モル当量当たり、前記メタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物の−C=O(R
4)部分で、0.1〜0.8、好ましくは0.5〜0.8、最も好ましくは0.6〜0.75モル当量の酸素原子の割合にある]
と反応させることによって、アルキルアルミノキサンを調製する方法にも関する。
【0021】
カルボン酸を使用する場合、R
4は酸素原子を含有する必要があるが、この割合は、アルキルアルミニウム1モル当量当たりの共役不飽和カルボニル官能性化合物のモル比が、0.05〜0.4、好ましくは0.25〜0.4、より好ましくは0.3〜0.375モル当量であることを意味する。
【0022】
好ましい共役不飽和カルボニル官能性化合物は、3−メチル−2−ブテン酸、2−メチル−2−プロペン酸、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、および3−メチル−2−ブテナールである。
【発明の効果】
【0023】
上記の方法によって得られたアルキルアルミノキサンは、オレフィン重合またはオリゴマー化のプロセス、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはゴムを調製するプロセスで使用する触媒中の成分として使用することができる。アルミノキサンが成分である触媒は、支持体または担体の有無にかかわらず、均一系または不均一系触媒であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施形態では、アルキルアルミニウムは、アルキル置換基が8個以下の炭素原子のアルキル基、より好ましくはイソブチル、エチルまたはメチルである、トリアルキルアルミニウムである。さらにより好ましいアルキルアルミニウム化合物は、アルキル基の少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも80%がメチルである化合物である。最も好ましくは、トリアルキルアルミニウムはトリメチルアルミニウム(TMAL)である。
【0025】
置換アリル型アルコールを使用する本発明の方法では、反応物の割合は、アルキルアルミニウム1モル当たり0.1〜0.8モルの置換アリル型アルコールである。好ましくは、この割合はアルキルアルミニウム1モル当たり0.5〜0.8モル、より好ましくは0.6〜0.75モルの置換アリル型アルコールである。
【0026】
一実施形態では、該方法は、0.9:1〜1:0.9の置換アリル型アルコールとアルキルアルミニウムとのモル比を使用する第1のステップを含有し、追加のアルキルアルミニウムを添加して、アルミニウムに対して0.6〜0.75のアルコールの全モル比をもたらす第2のステップが続くことができる。
【0027】
また別の好ましい実施形態では、該方法は、アルミノキサンの存在下で、任意選択で連続または半連続モードで作動する。さらにより好ましくは、該方法は、置換アリル型アルコール(またはメタクリル酸もしくは共役不飽和カルボニル官能性化合物)およびアルキルアルミニウムのアルコキシド付加生成物を最初に調製するステップ、ならびに(半連続的または連続的に)この付加物を(前に形成された)アルミノキサンに添加または投与するステップを含む。または、付加物にアルミノキサンを添加または投与ことは、次に反応を制御することがより難しいおそれがあるのであまり好ましくはないが、逆もまた同様である。アルミノキサンは反応を(より)アルミノキサンの方へ触媒する可能性があるので、本発明の方法を実施するこの方策は非常に好ましい。反応をこの方策で実施することは、反応の発熱性をより良好に制御できることを確実にもする。
【0028】
当業者は知っているように、プロセス中の好適な反応温度は出発物質の選択に依存する。それらは、0℃〜還流温度が好適であり、好ましい実施形態では0℃〜100℃、より好ましくは0℃〜80℃、さらにより好ましくは10℃〜50℃、最も好ましくは20℃〜40℃である。
【0029】
しかしながら、担体が存在する場合、反応混合物は好ましくは80℃を超える温度に加熱され、さらにより好ましくは90℃を超える。温度は、好ましくは200℃未満である。
【0030】
担体の例としては、(多孔質の)無機および有機支持体材料が挙げられる。アルミノキサンはその中にまたはその上に、吸着または吸収され得る。好適な支持体の限定されない例としては、2、3、4、5、13および14族の酸化物および塩化物を含む化合物が挙げられる。好適な支持体としては、例えば、シリカ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト、層状ケイ酸塩、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−クロム、シリカ−チタニア、塩化マグネシウム、黒鉛、マグネシア、チタニア、ジルコニア、等を挙げることができる。例えば、シリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、等を含む支持体の組み合わせも好適であり得る。ヒュームドシリカまたは焼成シリカは、好ましい支持体である。
【0031】
支持体は、約0.1μm〜約90μm、好ましくは約1μm〜約40μm、より好ましくは約5μm〜約40μmの範囲の平均粒径を有することができる。
【0032】
無機酸化物などの支持体は、好ましくは10〜700m
2/g、より好ましくは50〜500m
2/g、最も好ましくは100〜400m
2/gの範囲のBET表面積を有する。支持体の細孔容積は、好ましくは0.1〜4.0ml/g、より好ましくは0.5〜3.5ml/g、最も好ましくは0.8〜3.0ml/gである。支持体の平均粒径は、好ましくは1〜500μm、より好ましくは10〜200μm、最も好ましくは5〜100μmの範囲にある。支持体の平均孔径は、好ましくは1〜5000Å、より好ましくは10〜1000Å、さらにより好ましくは50〜500Å、最も好ましくは75〜350Åの範囲にある。
【0033】
所望される場合は、得られたアルミノキサンを有機溶媒、好ましくは脂肪族溶媒、最も好ましくはヘキサンまたはヘプタンで希釈することができる。
【実施例】
【0034】
[実施例1]
50mlのガラスバイアルに、7g(97.2mmol)のTMAL(例えば、AkzoNobel)を充填した。3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール、例えば、Sigma Aldrich)を0.1ml/minの速度で投与した。
【0035】
69分後に、5.86g(6.91ml、68.1mmol、0.7当量)のプレノールを投与した時、投与を停止した。反応混合物を、1gのポリメチルアルミノキサン(PMAO)を含有する30mlのバイアルに、反応温度を40℃〜60℃に保持しながら徐々に投与した。
【0036】
1H−NMRによって確認されるように、反応はPMAOの形成をもたらした。形成されたPMAOの2グラムの試料に、1.18gのメチルシクロヘキサンを添加し、澄んだわずかに黄色の溶液をもたらした。
【0037】
別の2グラムの試料に、1.2gの1−オクテンを添加し、澄んだわずかに黄色の溶液をもたらした。
【0038】
さらなる2グラムの試料に、1.19gのトルエンを添加し、澄んだわずかに黄色の溶液をもたらした。
【0039】
[実施例2]
30mlのガラスバイアルに3.5g(48.6mmol)のTMAL(例えば、AkzoNobel)を充填した。3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール、例えば、Sigma Aldrich)を、0.1ml/minの速度で投与した。
【0040】
33.5分後に、2.86g(3.36ml、33.0mmol、0.68当量)のプレノールを投与した時、投与を停止した。反応混合物を、1gのポリメチルアルミノキサン(PMAO)を含有する30mlのバイアルに、反応温度を40℃〜60℃に保持しながら徐々に投与した。
【0041】
PMAOの形成は
1H−NMRによって確認された。
【0042】
[実施例3]
磁気撹拌棒を有する20mlのバイアルに、3.5g(48.6mmol)のTMAL(例えば、AkzoNobel)を充填した。
【0043】
次に、メシチルオキシド(4−メチルペンタ−3−エン−2−オン、例えば、Sigma Aldrich;3.30g;33.6mmol;0.69当量)を、47分の期間にわたって投与した。反応温度を50℃未満に保持した。澄んだ、わずかに粘性の中間反応混合物を得た。
【0044】
1gの調製された中間反応混合物を、磁気撹拌棒を装備した20mlのバイアルに充填した。バイアルを加熱ブロックに配置し、100℃に加熱した。100℃で約8分間加熱した後、激しく制御しがたい発熱反応が生じた。反応混合物中に存在するすべての液体は、バイアルの中に泡状の物質を残して沸騰した。
【0045】
発熱反応をより良好に制御するために、磁気撹拌棒を装備した新しい20mlのバイアルに、0.3gの調製した中間反応混合物を充填した。反応混合物を0.7gのTMALで希釈し、100℃に加熱した。13分後に、発熱ではあるが制御可能な反応が生じた。約30分の期間にわたって、残存する中間反応混合物を、20mlのバイアルに投与した。反応は発熱であり、反応温度を80〜90℃に保持した。澄んで、明るい赤色の、わずかに粘性の液体を得た。液体は−20℃で保存すると固化した。
【0046】
PMAOの形成は
1H−NMRによって確認された。
【0047】
[実施例4]
磁気撹拌棒を有する20mlのバイアルに、3.5g(48.6mmol)のTMAL(例えば、AkzoNobel)を充填した。
【0048】
72分以内に、1.01g(17mmol、0.35当量(O/Al=0.7))の酢酸を、50℃未満の温度を保持しながらTMALに投与した。
【0049】
反応は激しく、暗褐色の反応混合物を得た。反応混合物はいくつかの薄茶色の固形物を含有していた。
【0050】
試料を採取して、PTFE Millipore(登録商標)フィルターで濾過した。
1H−NMRは、PMAOの形成を示さなかった。
【0051】
次に、反応混合物を100℃に加熱した。発熱反応は観察されなかった。
【0052】
22時間の加熱後、暗褐色で、部分的に固化したゲルを得た。
反応生成物は、部分的にのみTHFに溶解した。
【0053】
PMAOの形成は
1H−NMRによって確認された。
【0054】
[実施例5]
20mlのバイアルに3.5g(48.6mmol)のTMALを充填した。
【0055】
水を、キャピラリ針を有する100μLシリンジを使用して、TMALに徐々に投与した。
【0056】
反応は非常に激しく、固形物が形成された。反応が強烈なため、水の投与を停止することを決定した。
なお、本明細書には以下の態様の発明も開示する。
[1]
溶媒の非存在下で、1モル当量のアルキルアルミニウムを、0.1〜0.8モル当量の式
【化4】
[式中、R1およびR2は、独立して、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、R3、R4およびR5は、独立して、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および水素原子から選択される]
の置換アリル型アルコールと反応させることによって、アルキルアルミノキサンを調製する、方法。
[2]
アルキルアルミニウム1モル当量当たり0.5〜0.8、好ましくは0.6〜0.75モル当量の置換アリル型アルコールを使用する、上記[1]に記載の方法。
[3]
R1およびR2が、独立して、20個以下の炭素原子の分岐および直鎖のアルキルまたはアルキレン基から選択され、
R3、R4およびR5が、独立して、20個以下の炭素原子の分岐および直鎖のアルキルおよびアルキレン基ならびに水素原子から選択される、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]
前記置換アリル型アルコールが、4−メチル−3−ペンテン−2−オール、3−メチル−2−ペンテン−1−オール、3−メチル−2−ヘキセン−1−オール、3−エチル−2−ペンテン−1−オール、(trans)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オールおよび3−メチル−2−ブテン−1−オールからなる群から選択される、上記[3]に記載の方法。
[5]
溶媒の非存在下で、アルキルアルミニウムを、式
【化5】
のメタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物
[式中、R1およびR2は、独立して、脂肪族炭化水素基から選択され、R3は脂肪族炭化水素基または水素原子であり、R4は脂肪族炭化水素基、水素原子、または水酸基であって、
アルキルアルミニウム中のアルミニウム原子1モル当量当たり、前記メタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物の−C=O(R4)部分で、0.1〜0.8モル当量の酸素原子の割合にある]
と反応させることによって、アルキルアルミノキサンを調製する、方法。
[6]
R1およびR2が、独立して、20個以下の炭素原子の分岐および直鎖の脂肪族アルキルおよびアルキレン基から選択され、R3が20個以下の炭素原子の分岐もしくは直鎖の脂肪族アルキルもしくはアルキレン基または水素原子であり、R4が20個以下の炭素原子の分岐もしくは直鎖の脂肪族アルキルもしくはアルキレン基、水素原子、または水酸基である、上記[5]に記載の方法。
[7]
メタクリル酸または共役不飽和カルボニル官能性化合物の1つが、3−メチル−2−ブテン酸、2−メチル−2−プロペン酸、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、3−メチル−2−ブテナールからなる群から選択される、上記[5]または[6]に記載の方法。
[8]
前記アルキルアルミニウムが、アルキル基が8個以下の炭素原子のアルキル基である、トリアルキルアルミニウムである、上記[5]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記アルキルアルミニウムの前記アルキル基の1つまたは複数が、イソブチル、エチルまたはメチルである、上記[8]に記載の方法。
[10]
前記アルキルアルミニウムが、アルキル基の少なくとも50%がメチルである化合物である、上記[5]〜[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記アルキルアルミニウムが、トリメチルアルミニウムを含有する、上記[10]に記載の方法。
[12]
得られたアルミノキサンが、続いて脂肪族溶媒に溶解される、上記[5]〜[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記脂肪族溶媒が、ヘキサンまたはヘプタンである、上記[12]に記載の方法。
[14]
上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の方法によって得られる、アルミノキサン。
[15]
オレフィン重合またはオリゴマー化のプロセスでの使用に好適な触媒中の触媒成分として、上記[14]に記載のアルミノキサンを用いる、使用。