特許第6968258号(P6968258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968258
(24)【登録日】2021年10月28日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】運転支援装置および運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20211108BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20211108BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60W50/08
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-504583(P2020-504583)
(86)(22)【出願日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】JP2018008970
(87)【国際公開番号】WO2019171528
(87)【国際公開日】20190912
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】若柳 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】下谷 光生
【審査官】 佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−222153(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/079623(WO,A1)
【文献】 特開2015−197706(JP,A)
【文献】 特開2001−134900(JP,A)
【文献】 特開平10−281795(JP,A)
【文献】 特開2005−078414(JP,A)
【文献】 特開2007−147317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−10/30
B60W 30/00−60/00
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、
他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得する他車両情報取得部と、
前記自車両が、速度を変更せずに前記自車両が走行している車線から前記他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、前記自車両情報取得部が取得した前記自車両情報と、前記他車両情報取得部が取得した前記他車両情報とに基づいて、前記自車両が前記速度を変更せずに前記合流または前記車線変更した場合に前記他車両と接触しない現在走行すべき位置および前記自車両が前記速度を変更せずに前記合流または前記車線変更した場合に前記他車両と接触する現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成するオブジェクト生成部と、
前記オブジェクト生成部が生成した前記走行位置オブジェクトを、前記自車両の進行に従って前記自車両の周辺の景色に重畳して表示する制御を行う表示制御部と、
を備える、運転支援装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記自車両が走行している車線を構成する区画線上に前記走行位置オブジェクトを重畳して表示する制御を行うことを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記自車両が走行している車線上に前記走行位置オブジェクトを重畳して表示する制御を行うことを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記オブジェクト生成部は、前記現在走行すべき位置と前記現在走行すべきでない位置とを区別した前記走行位置オブジェクトを生成することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記オブジェクト生成部は、前記合流または前記車線変更が可能な程度に応じた前記走行位置オブジェクトを生成することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記自車両が走行している車線を構成する区画線のうちの前記合流または前記車線変更する方向に位置する区画線上に前記走行位置オブジェクトを重畳して表示する制御を行うことを特徴とする、請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、予め定められたイベントに応じて前記走行位置オブジェクトの表示または非表示の制御を行うことを特徴とする、請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記オブジェクト生成部は、現在加速または減速すべきことを文字または記号で示す加減速オブジェクトを生成することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記走行位置オブジェクトは、前記自車両の現在位置から前記自車両が前記合流または前記車線変更することが可能な地点までの経路を示し、
前記オブジェクト生成部は、前記地点に位置する仮想的な前記自車両である仮想自車両を示すオブジェクトを生成することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記オブジェクト生成部は、前記地点で前記仮想自車両と、仮想的な前記他車両である仮想他車両とが接触していることを示すオブジェクトを生成することを特徴とする、請求項9に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記合流または前記車線変更することが可能な地点が複数あるとき、前記走行位置オブジェクトは、前記自車両の現在位置から各前記地点までの経路を示すことを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記合流または前記車線変更する車線が渋滞のときは各前記オブジェクトを表示しない制御を行い、前記渋滞のとき以外は各前記オブジェクトを表示する制御を行うことを特徴とする、請求項11に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記自車両の後方であり、かつ前記自車両が走行している車線上に前記走行位置オブジェクトを重畳して表示する制御を行うことを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記オブジェクト生成部は、前記自車両の現在位置から前記自車両が前記合流または前記車線変更することが可能な地点までの間における前記走行位置オブジェクトを生成する、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項15】
自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得し、
他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得し、
前記自車両が、速度を変更せずに前記自車両が走行している車線から前記他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、前記取得した前記自車両情報と、前記取得した前記他車両情報とに基づいて、前記自車両が前記速度を変更せずに前記合流または前記車線変更した場合に前記他車両と接触しない現在走行すべき位置および前記自車両が前記速度を変更せずに前記合流または前記車線変更した場合に前記他車両と接触する現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成し、
前記生成した前記走行位置オブジェクトを、前記自車両の進行に従って前記自車両の周辺の景色に重畳して表示する制御を行う、運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するときに自車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援装置および運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両を走行中に高速道路などに合流する、または隣接する車線に車線変更する際、自車両の運転者は合流先の道路の車線または車線変更先の車線を走行中の他車両の動向に注意する必要がある。
【0003】
従来、自車両を他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定し、自車両を合流部に合流させるための操舵を行うべき路面上の位置を運転者に提示する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、合流地点および合流地点に到達するまでの時間を自車両の乗員に提示する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−151507号公報
【特許文献2】特開2017−102739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自車両を合流または車線変更するときに、自車両が現在どの位置を走行していればスムーズに合流または車線変更することができるのかを運転者が知ることは有用である。一方、特許文献1,2では、自車両が現在どの位置を走行していれば合流部でスムーズに合流することができるのかについて言及されていない。従って、合流または車線変更するときの運転者に対する運転支援には改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能な運転支援装置および運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明による運転支援装置は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得する他車両情報取得部と、自車両が、速度を変更せずに自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、自車両情報取得部が取得した自車両情報と、他車両情報取得部が取得した他車両情報とに基づいて、自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触しない現在走行すべき位置および自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触する現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成するオブジェクト生成部と、オブジェクト生成部が生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示する制御を行う表示制御部とを備える。
【0008】
また、本発明による運転支援方法は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得し、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得し、自車両が、速度を変更せずに自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、取得した自車両情報と、取得した他車両情報とに基づいて、自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触しない現在走行すべき位置および自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触する現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成し、生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、運転支援装置は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得する他車両情報取得部と、自車両が、速度を変更せずに自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、自車両情報取得部が取得した自車両情報と、他車両情報取得部が取得した他車両情報とに基づいて、自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触しない現在走行すべき位置および自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触する現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成するオブジェクト生成部と、オブジェクト生成部が生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示する制御を行う表示制御部とを備えるため、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0010】
また、運転支援方法は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得し、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得し、自車両が、速度を変更せずに自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、取得した自車両情報と、取得した他車両情報とに基づいて、自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触しない現在走行すべき位置および自車両が速度を変更せずに合流または車線変更した場合に他車両と接触する現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成し、生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示するため、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0011】
本発明の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1による運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1による合流前の一例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1による合流後の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1による運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態1による運転支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態1による運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態1による運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図14】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図15】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図16】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図17】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図18】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図19】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図20】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図21】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図22】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図23】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図24】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図25】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図26】本発明の実施の形態1による運転支援の表示の一例を示す図である。
図27】本発明の実施の形態2による運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図28】本発明の実施の形態2による運転支援の表示の一例を示す図である。
図29】本発明の実施の形態2による運転支援の表示の一例を示す図である。
図30】本発明の実施の形態3による運転支援の表示の一例を示す図である。
図31】本発明の実施の形態3による運転支援の表示の一例を示す図である。
図32】本発明の実施の形態4による運転支援装置の動作の一例を説明するための図である。
図33】本発明の実施の形態4による運転支援の表示の一例を示す図である。
図34】本発明の実施の形態5による運転支援装置の動作の一例を説明するための図である。
図35】本発明の実施の形態5による運転支援の表示の一例を示す図である。
図36】本発明の実施の形態による運転支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0014】
<実施の形態1>
<構成>
図1は、本発明の実施の形態1による運転支援装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、図1では、本実施の形態による運転支援装置を構成する必要最小限の構成を示している。運転支援装置1は、自車両に設置されているものとする。
【0015】
図1に示すように、運転支援装置1は、自車両情報取得部2と、他車両情報取得部3と、オブジェクト生成部4と、表示制御部5とを備えている。自車両情報取得部2は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する。他車両情報取得部3は、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得する。オブジェクト生成部4は、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、自車両情報取得部2が取得した自車両情報と、他車両情報取得部3が取得した他車両情報とに基づいて、自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成する。表示制御部5は、オブジェクト生成部4が生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示する制御を行う。
【0016】
ここで、合流および車線変更について説明する。
【0017】
合流とは、例えば図2,3に示すように、自車両6が、当該自車両6が走行している車線から他車両7〜9が走行している車線に移動することをいう。図2,3の例では、自車両6が、ランプから、他車両7〜9が走行している車線であって他車両8と他車両9との間に合流している。また、車線変更とは、自車両が、当該自車両が走行している車線から隣接する車線に移動することをいう。
【0018】
次に、図1に示す運転支援装置1を含む運転支援装置の他の構成について説明する。
【0019】
図4は、他の構成に係る運転支援装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図4に示すように、運転支援装置10は、自車両情報取得部2と、他車両情報取得部3と、オブジェクト生成部4と、表示制御部5と、地図情報取得部13と、全体制御部14とを備えている。他車両情報取得部3および全体制御部14は撮影装置15に接続され、地図情報取得部13は地図情報記憶装置16に接続され、表示制御部5は表示装置17に接続されている。
【0021】
自車両情報取得部2は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する。自車両の現在位置は、例えば、GPS(Global Positioning System)信号に含まれる自車両の絶対的な位置である。なお、GPS信号に含まれる自車両の絶対位置と、自車両の速度、移動距離、および操舵方向などとに基づいて、より自車両のより正確な現在位置を求めてもよい。この場合、自車両の移動距離および操舵方向の情報は、自車両情報取得部2が取得する自車両情報に含まれているものとする。
【0022】
他車両情報取得部3は、他車両位置算出部11と他車両速度算出部12とを有している。他車両位置算出部11は、撮影装置15が撮影した画像を取得し、当該画像を画像処理することによって自車両に対する他車両の相対的な位置を算出する。他車両速度算出部12は、撮影装置15が撮影した画像を取得し、当該画像を画像処理することによって自車両に対する他車両の相対的な速度を算出する。撮影装置15は、自車両に設置されており、自車両の周辺を撮影する。具体的には、撮影装置15は、自車両が走行中の車線と、自車両が合流または車線変更する車線とが画像に含まれるように撮影する。
【0023】
なお、図4の例では、撮影装置15が撮影した画像を画像処理することによって他車両の相対的な位置および速度を算出する場合について説明したが、これに限るものではない。他車両情報取得部3は、他車両の絶対的な位置の情報、および他車両の速度情報を当該他車両から取得してもよい。この場合、他車両位置算出部11および他車両速度算出部12は不要となる。
【0024】
地図情報取得部13は、自車両情報取得部2が取得した自車両の現在位置に基づいて、少なくとも車線情報を含む地図情報を地図情報記憶装置16から取得する。車線情報には、区画線の情報が含まれている。地図情報記憶装置16は、例えばハードディスク(Hard Disk Drive:HDD)または半導体メモリ等の記憶装置から構成されており、少なくとも車線情報を含む地図情報を記憶している。地図情報記憶装置16は、自車両内に設置してもよく、自車両外に設置してもよい。また、地図情報記憶装置16は、運転支援装置10が備えてもよい。
【0025】
全体制御部14は、自車両情報取得部2が取得した自車両の現在位置および速度と、他車両情報取得部3が取得した他車両の現在位置および速度とに基づいて、自車両が合流または車線変更することが可能な地点を算出する。なお、自車両が合流または車線変更することが可能な地点は、例えば特許文献1などの周知の技術を用いて算出することができる。また、全体制御部14は、自車両が合流または車線変更することが可能な地点に到達するために現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を算出する。さらに、全体制御部14は、撮影装置15が撮影した画像を画像処理することによって、自車両が走行している車線を構成する区画線を検出することができる。
【0026】
オブジェクト生成部4は、全体制御部14が算出した自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成する。このとき、オブジェクト生成部4は、撮影装置15が撮影した画像に基づいて走行位置オブジェクトの形状を決める。
【0027】
表示制御部5は、オブジェクト生成部4が生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示装置17に表示する制御を行う。表示装置17は、例えばHUD(Head Up Display)、インストルメントパネル内に設けられたモニタ、またはセンターコンソールに設けられたモニタなどである。例えば、表示装置17がHUDである場合、表示制御部5は、フロントガラス越しに見える実際の景色に走行位置オブジェクトを重畳して表示する制御を行う。また、表示装置17がモニタである場合、表示制御部5は、撮影装置15が撮影した画像に走行位置オブジェクトを重畳して表示する制御を行う。
【0028】
図5は、運転支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図1に示す運転支援装置1についても同様である。
【0029】
運転支援装置10における自車両情報取得部2、他車両情報取得部3、オブジェクト生成部4、表示制御部5、他車両位置算出部11、他車両速度算出部12、地図情報取得部13、および全体制御部14の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、運転支援装置10は、自車両情報を取得し、他車両情報を取得し、オブジェクトを生成し、オブジェクトを表示する制御を行い、他車両の位置を算出し、他車両の速度を算出し、地図情報を取得し、自車両が合流または車線変更することが可能な地点を算出し、自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を算出し、区画線を検出するための処理回路を備える。処理回路は、メモリ19に格納されたプログラムを実行するプロセッサ18(中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)である。
【0030】
運転支援装置10における自車両情報取得部2、他車両情報取得部3、オブジェクト生成部4、表示制御部5、他車両位置算出部11、他車両速度算出部12、地図情報取得部13、および全体制御部14の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ19に格納される。処理回路は、メモリ19に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、運転支援装置10は、自車両情報を取得するステップ、他車両情報を取得するステップ、オブジェクトを生成するステップ、オブジェクトを表示する制御を行うステップ、他車両の位置を算出するステップ、他車両の速度を算出するステップ、地図情報を取得するステップ、自車両が合流または車線変更することが可能な地点を算出するステップ、自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を算出するステップ、区画線を検出するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ19を備える。また、これらのプログラムは、自車両情報取得部2、他車両情報取得部3、オブジェクト生成部4、表示制御部5、他車両位置算出部11、他車両速度算出部12、地図情報取得部13、および全体制御部14の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0031】
<動作>
図6は、図1に示す運転支援装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS101において、自車両情報取得部2は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する。
【0033】
ステップS102において、他車両情報取得部3は、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得する。
【0034】
ステップS103において、オブジェクト生成部4は、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、自車両情報取得部2が取得した自車両情報と、他車両情報取得部3が取得した他車両情報とに基づいて、自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成する。
【0035】
ステップS104において、表示制御部5は、オブジェクト生成部4が生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示する制御を行う。
【0036】
ステップS105において、表示制御部5は、走行位置オブジェクトの表示を終了するか否かを判断する。走行位置オブジェクトの表示を終了する場合は、処理を終了する。一方、走行位置オブジェクトの表示を終了しない場合は、ステップS101に戻る。
【0037】
図7は、図4に示す運転支援装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS201において、自車両情報取得部2は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得する。
【0039】
ステップS202において、他車両情報取得部3および全体制御部14は、撮影装置15が撮影した自車両周辺の画像を取得する。自車両周辺の画像には、自車両が走行中の車線と、自車両が合流または車線変更する車線とが含まれている。
【0040】
ステップS203において、他車両位置算出部11は、撮影装置15から取得した画像を画像処理することによって、自車両に対する他車両の相対的な位置を算出する。他車両速度算出部12は、撮影装置15から取得した画像を画像処理することによって、自車両に対する他車両の相対的な速度を算出する。
【0041】
ステップS204において、全体制御部14は、撮影装置15から取得した画像を画像処理することによって、自車両が走行している車線を構成する区画線を検出したか否かを判断する。区画線を検出していない場合は、ステップS205に移行する。一方、区画線を検出した場合は、ステップS206に移行する。
【0042】
ステップS205において、地図情報取得部13は、全体制御部14の指示に従って、自車両の位置に基づいて、車線情報を含む地図情報を地図情報記憶装置16から取得する。
【0043】
ステップS206において、地図情報取得部13は、全体制御部14の指示に従って、自車両の位置に基づいて、車線情報を含む地図情報を地図情報記憶装置16から取得する。この場合、自車両が走行する車線を構成する区画線は、全体制御部14が撮影装置15から取得した画像から検出した区画線と、地図情報記憶装置16から取得した車線情報に含まれる区画線とから得られることになり、区画線の検出精度をより向上させることができる。なお、ステップS206の処理はなくてもよい。
【0044】
ステップS207において、オブジェクト生成部4は、全体制御部14で算出された自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成する。このとき、オブジェクト生成部4は、撮影装置15が撮影した画像に基づいて走行位置オブジェクトの形状を決める。
【0045】
ステップS208において、表示制御部5は、オブジェクト生成部4が生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示装置17に表示する制御を行う。
【0046】
ステップS209において、全体制御部14は、走行位置オブジェクトの表示を終了するか否かを判断する。走行位置オブジェクトの表示を終了する場合は、処理を終了する。一方、走行位置オブジェクトの表示を終了しない場合は、ステップS201に戻る。
【0047】
<表示>
図8〜26は、運転支援の表示の一例を示す図であり、走行位置オブジェクトの表示の一例を示している。なお、図8〜26では、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両21が走行している車線に合流する場合について示しているが、車線変更する場合も同様である。また、図8〜26における表示装置17はHUDである。
【0048】
図8に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線を構成する区画線のうちの左側の区画線上に走行位置オブジェクト20を重畳して表示している。なお、走行位置オブジェクト20のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。すなわち、自車両が現在走行すべき位置と、自車両が現在走行すべきでない位置とは区別して表示されている。図8に示すように、自車両が現在走行すべき位置は、自車両の現在位置よりも少し前方に位置している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。なお、図8では、自車両の左側の区画線上に走行位置オブジェクト20を重畳しているが、自車両の右側の区画線上、すなわち合流する方向に位置する区画線上に走行位置オブジェクト20を重畳してもよい。
【0049】
図9は、自車両が現在走行すべき位置が、自車両の現在位置にある。その他の表示は図8と同様である。この場合、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0050】
図10に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線上に走行位置オブジェクト20を重畳して表示している。走行位置オブジェクト20は、自車両の現在位置から、自車両が合流することが可能な地点まで延在している。なお、走行位置オブジェクト20のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。図10に示すように、自車両が現在走行すべき位置は、自車両の現在位置よりも少し前方に位置している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。
【0051】
図11は、自車両が現在走行すべき位置が、自車両の現在位置にある。その他の表示は図10と同様である。この場合、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0052】
図12に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線上の全体に走行位置オブジェクト20を重畳して表示している。なお、走行位置オブジェクト20のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。図12に示すように、自車両が現在走行すべき位置は、自車両の現在位置よりも少し前方に位置している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。
【0053】
図13は、自車両が現在走行すべき位置が、自車両の現在位置にある。その他の表示は図12と同様である。この場合、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0054】
図14に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線上の全体に走行位置オブジェクト20を重畳して表示している。なお、走行位置オブジェクト20は、砂地ハッチングが施された自車両が現在走行すべき位置のみを示している。図14に示すように、自車両が現在走行すべき位置は、自車両の現在位置よりも少し前方に位置している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。
【0055】
図15は、自車両が現在走行すべき位置が、自車両の現在位置にある。その他の表示は図14と同様である。この場合、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0056】
図16に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線上に加減速オブジェクト22を重畳して表示している。加減速オブジェクト22は、自車両が現在加速または減速すべきことを文字または記号で示すオブジェクトである。なお、図16において、加減速オブジェクト22は、その矢印の先端が、自車両が現在走行すべき位置を指している。また、加減速オブジェクト22は点滅してもよい。図16に示すように、自車両が現在走行すべき位置は、自車両の現在位置よりも少し前方に位置している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。
【0057】
図17に示すように、表示装置17は、図8に示す走行位置オブジェクト20と、図16に示す加減速オブジェクト22とを表示している。走行位置オブジェクト20における自車両が現在走行すべき位置と、加減速オブジェクト22の矢印の先端の位置とは、自車両の進行方向において一致している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。
【0058】
図18に示すように、表示装置17は、図9に示す走行位置オブジェクト20と、「OK」の文字で示される加減速オブジェクト22とを表示している。これにより、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0059】
図19に示すように、表示装置17は、図10に示す走行位置オブジェクト20と、図16に示す加減速オブジェクト22とを表示している。走行位置オブジェクト20における自車両が現在走行すべき位置と、加減速オブジェクト22の矢印の先端の位置とは、自車両の進行方向において一致している。これにより、運転者は、自車両をもう少し加速させる必要があると判断することができる。
【0060】
図20に示すように、表示装置17は、図11に示す走行位置オブジェクト20と、「OK」の文字で示される加減速オブジェクト22とを表示している。これにより、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0061】
図21に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線を構成する区画線のうちの左側の区画線上に走行位置オブジェクト20を重畳するとともに、「+10Km/m」の文字で示される加減速オブジェクト22を表示している。なお、走行位置オブジェクト20のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。自車両が現在走行すべき位置は、図8に示す自車両が現在走行すべき位置よりも前方に位置している。これにより、運転者は、自車両を現在の速度よりも10Km/h速くなるまで加速させる必要があると判断することができる。
【0062】
図22に示すように、表示装置17は、図8に示す走行位置オブジェクト20と、「+5Km/m」の文字で示される加減速オブジェクト22とを表示している。これにより、運転者は、自車両を現在の速度よりも5Km/h速くなるまで加速させる必要があると判断することができる。
【0063】
図23に示すように、表示装置17は、図9に示す走行位置オブジェクト20と、「OK」の文字で示される加減速オブジェクト22とを表示している。これにより、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0064】
図24に示すように、表示装置17は、自車両が走行する車線上の全体に走行位置オブジェクト20を重畳するとともに、「+10Km/m」の文字で示される加減速オブジェクト22を表示している。なお、走行位置オブジェクト20のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。自車両が現在走行すべき位置は、図12に示す自車両の現在位置よりも前方に位置している。これにより、運転者は、自車両を現在の速度よりも10Km/h速くなるまで加速させる必要があると判断することができる。
【0065】
図25に示すように、表示装置17は、図12に示す走行位置オブジェクト20と、「+5Km/m」の文字で示される加減速オブジェクト22とを表示している。これにより、運転者は、自車両を現在の速度よりも5Km/h速くなるまで加速させる必要があると判断することができる。
【0066】
図26に示すように、表示装置17は、図13に示す走行位置オブジェクト20と、「OK」の文字で示される加減速オブジェクト22とを表示している。これにより、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0067】
以上のことから、本実施の形態1によれば、合流または車線変更するときに自車両が現在走行すべき位置を表示装置17に表示している。従って、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0068】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2による運転支援装置の構成は、実施の形態1による運転支援装置10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0069】
図27は、本実施の形態2による運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図27のステップS301〜ステップS306は、図7のステップS201〜ステップS206に対応しているため、ここでは説明を省略する。以下では、ステップS307〜ステップS310について説明する。
【0070】
ステップS307において、オブジェクト生成部4は、自車両の現在位置から、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な地点までの経路を示す走行位置オブジェクトを生成する。
【0071】
ステップS308において、オブジェクト生成部4は、合流予想オブジェクトを生成する。具体的には、全体制御部14は、自車両が現在の速度で合流する地点まで走行したときにおける自車両の位置および他車両の位置を算出する。オブジェクト生成部4は、自車両が現在の速度で合流する地点まで走行したときにおける自車両の位置および他車両の位置のそれぞれに、仮想的な自車両である仮想自車両と、仮想的な他車両である仮想他車両とを示すオブジェクトを生成する。この仮想自車両および仮想他車両のオブジェクトを示すオブジェクトが合流予想オブジェクトに相当する。
【0072】
ステップS309において、表示制御部5は、ステップS307でオブジェクト生成部4が生成した走行位置オブジェクトと、ステップS308でオブジェクト生成部4が生成した合流予想オブジェクトとを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示装置17に表示する制御を行う。
【0073】
ステップS310において、全体制御部14は、走行位置オブジェクトおよび合流予想オブジェクトの表示を終了するか否かを判断する。走行位置オブジェクトおよび合流予想オブジェクトの表示を終了する場合は、処理を終了する。一方、走行位置オブジェクトおよび合流予想オブジェクトの表示を終了しない場合は、ステップS301に戻る。
【0074】
図28,29は、運転支援の表示の一例を示す図であり、走行位置オブジェクトおよび合流予想オブジェクトの表示の一例を示している。なお、図28,29では、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流する場合について示しているが、車線変更する場合も同様である。また、図28,29における表示装置17はHUDである。
【0075】
図28に示すように、表示装置17は、自車両の現在位置から、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な地点までの経路を示す走行位置オブジェクト25を表示している。なお、走行位置オブジェクト25のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。また、表示装置17は、自車両が現在の速度で合流する地点まで走行したときにおける自車両の位置および他車両の位置のそれぞれに、仮想自車両23と仮想他車両24とを表示する。これにより、運転者は、自車両をこのままの速度で運転すれば合流時に他車両と接触しないと判断することができる。
【0076】
図29に示すように、表示装置17は、自車両の現在位置から、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な地点までの経路を示す走行位置オブジェクト25を表示している。なお、走行位置オブジェクト25のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。また、表示装置17は、自車両が現在の速度で合流する地点まで走行したときにおける自車両の位置および他車両の位置のそれぞれに、仮想自車両23と仮想他車両24とを表示する。仮想自車両23と仮想他車両24とは接触している。このとき、仮想自車両23および仮想他車両24を強調してもよい。これにより、運転者は、このままの速度で運転すれば合流時に他車両と接触するため、自車両を加速または減速させる必要があると判断することができる。
【0077】
以上のことから、本実施の形態2によれば、合流または車線変更するときに自車両が現在走行すべき位置とともに、自車両が現在の速度で合流する地点まで走行したときにおける自車両の位置および他車両の位置のそれぞれに、仮想自車両23と仮想他車両24とを表示している。従って、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0078】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3による運転支援装置の構成は、実施の形態1による運転支援装置10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0079】
図30は、運転支援の表示の一例を示す図であり、走行位置オブジェクトの表示の一例を示している。なお、図30では、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流する場合について示しているが、車線変更する場合も同様である。また、図30における表示装置17はHUDである。
【0080】
図30に示すように、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な地点は、他車両26の前後に2か所存在している。表示装置17は、自車両の現在位置から、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な各地点までの経路を示す走行位置オブジェクト27,28を表示している。なお、走行位置オブジェクト27,28のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。これにより、運転者は、他車両26の前で合流する場合は、自車両を加速させる必要があると判断することができる。また、運転者は、他車両26の後ろで合流する場合は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0081】
図31は、運転支援の表示の一例を示す図であり、走行位置オブジェクトの表示の一例を示している。なお、図31では、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流する場合について示しているが、車線変更する場合も同様である。また、図31における表示装置17はHUDである。
【0082】
図31に示すように、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な地点は、他車両30の前と、他車両30,31間との2か所に存在している。表示装置17は、自車両の現在位置から、全体制御部14によって算出された自車両が合流することが可能な各地点までの経路を示す走行位置オブジェクト32,33を表示している。なお、走行位置オブジェクト32,33のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。図31では、走行位置オブジェクト32が示す経路上に他車両29が存在しているため、自車両は他車両30の前に合流することができない。従って、運転者は、走行位置オブジェクト32を見て、他車両30の前または他車両30,31間に合流する場合は、自車両をこのままの速度で運転すればよいと判断することができる。
【0083】
なお、図31において、合流または車線変更する車線が渋滞している場合は、走行位置オブジェクト32,33を非表示にしてもよい。また、走行位置オブジェクト32は、自車両と同一車線で前方に存在している他車両29と重畳している部分、またはその全体を、半透明または点滅させてもよく、非表示としてもよい。
【0084】
以上のことから、本実施の形態3によれば、自車両が合流することが可能な地点が複数存在するときは、各地点について走行位置オブジェクトを表示している。従って、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0085】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4では、表示装置17が自車両の後方を表示する電子ミラーである場合について説明する。本実施の形態4による運転支援装置の構成は、実施の形態1による運転支援装置10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0086】
図32は、本実施の形態4による運転支援装置の動作の一例を説明するための図である。
【0087】
図32に示すように、自車両34は、他車両35と他車両36との間に合流しようとしている。なお、図32では、自車両が合流する場合について示しているが、車線変更する場合も同様である。
【0088】
図33は、運転支援の表示の一例を示す図であり、走行位置オブジェクトの表示の一例を示している。図33の左図は、電子ミラーである表示装置17が自車両34の左後方を表示している。図33の右図は、電子ミラーである表示装置17が自車両34の右後方を表示している。
【0089】
図33の右図に示すように、表示装置17は、自車両が現在走行すべき位置を示す走行位置オブジェクト37を、自車両34の後方の車線上に表示している。なお、走行位置オブジェクト37のうち、砂地ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべき位置を示し、斜線ハッチングが施された領域は自車両が現在走行すべきでない位置を示している。これにより、運転者は、他車両35と他車両36との間に合流する場合は、自車両34を減速させる必要があると判断することができる。
【0090】
以上のことから、本実施の形態4によれば、自車両の後方を表示する電子ミラーに走行位置オブジェクトを表示している。従って、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0091】
なお、本実施の形態4では、表示装置17が電子ミラーである場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、表示装置17は、自車両の後方を映す鏡の表面上に透明な表示パネルを設けた構成であってもよい。この場合、表示パネルに走行位置オブジェクトを表示することになる。
【0092】
<実施の形態5>
本発明の実施の形態5では、オブジェクト生成部4が、合流または車線変更が可能な程度に応じた走行位置オブジェクトを生成する場合について説明する。本実施の形態5による運転支援装置の構成は、実施の形態1による運転支援装置10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0093】
図34は、本発明の実施の形態5による運転支援装置の動作の一例を説明するための図である。
【0094】
図34に示すように、オブジェクト生成部4は、車線変更可能領域39、車線変更注意領域40、および車線変更不可能領域41を含む走行位置オブジェクトを生成する。車線変更可能領域39および車線変更注意領域40は、自車両38が現在走行すべき位置に相当する。車線変更不可能領域41は、自車両38が現在走行すべきでない位置に相当する。全体制御部14は、自車両の現在位置および速度と、他車両の現在位置および速度とに基づいて、車線変更可能領域39、車線変更注意領域40、および車線変更不可能領域41の各領域を算出する。オブジェクト生成部4は、全体制御部14の算出結果に基づいて、各領域を示すオブジェクトを生成する。
【0095】
図35は、本実施の形態5による運転支援の表示の一例を示す図である。図35において、表示装置17はHUDである。
【0096】
図35に示すように、表示装置17は、車線変更可能領域39、車線変更注意領域40、および車線変更不可能領域41をそれぞれ区別可能に区画線上に重畳して表示している。これにより、運転者は、車線変更するときにどの位置が車線変更可能であるのか判断することができる。
【0097】
なお、表示制御部5は、予め定められたイベントに応じて走行位置オブジェクトの表示または非表示の制御を行ってもよい。ここで、予め定められたイベントとしては、例えば自車両の運転者がウインカーによる指示をしたとき、後方の他車両が自車両に接近したことを検知したとき、または自車両の運転者が車線変更する旨のジェスチャーを行ったときなどが挙げられる。
【0098】
表示制御部5は、車線変更する側の区画線上にのみ走行位置オブジェクトを表示するように制御してもよい。
【0099】
上記では、車線変更する場合について説明したが、合流する場合についても同様である。また、本実施の形態5を実施の形態1〜4に適用することも可能である。
【0100】
以上のことから、本実施の形態5によれば、合流または車線変更が可能な程度に応じた走行位置オブジェクトを表示している。従って、合流または車線変更するときに運転者に対して適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0101】
以上で説明した運転支援装置は、車載用ナビゲーション装置、すなわちカーナビゲーション装置だけでなく、車両に搭載可能なPND(Portable Navigation Device)、および車両の外部に設けられるサーバなどを適宜に組み合わせてシステムとして構築されるナビゲーション装置あるいはナビゲーション装置以外の装置にも適用することができる。この場合、運転支援装置の各機能あるいは各構成要素は、上記システムを構築する各機能に分散して配置される。
【0102】
具体的には、一例として、運転支援装置の機能をサーバに配置することができる。例えば、図36に示すように、ユーザ側は、撮影装置15および表示装置17を備えている。サーバ42は、自車両情報取得部2、他車両情報取得部3、オブジェクト生成部4、表示制御部5、他車両位置算出部11、他車両速度算出部12、地図情報取得部13、および全体制御部14を備えている。地図情報記憶装置16は、サーバ42が備えてもよく、サーバ42の外部に設けてもよい。このような構成とすることによって、運転支援システムを構築することができる。
【0103】
このように、運転支援装置の各機能を、システムを構築する各機能に分散して配置した構成であっても、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0104】
また、上記の実施の形態における動作を実行するソフトウェアを、例えばサーバに組み込んでもよい。このソフトウェアをサーバが実行することにより実現される運転支援方法は、自車両の現在位置および速度を含む自車両情報を取得し、他車両の現在位置および速度を含む他車両情報を取得し、自車両が、当該自車両が走行している車線から他車両が走行している車線に合流または車線変更するとき、取得した自車両情報と、取得した他車両情報とに基づいて、自車両が現在走行すべき位置および現在走行すべきでない位置のうちの少なくとも一方を示す走行位置オブジェクトを生成し、生成した走行位置オブジェクトを、自車両の進行に従って自車両の周辺の景色に重畳して表示することである。
【0105】
このように、上記の実施の形態における動作を実行するソフトウェアをサーバに組み込んで動作させることによって、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0106】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0107】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0108】
1 運転支援装置、2 自車両情報取得部、3 他車両情報取得部、4 オブジェクト生成部、5 表示制御部、6 自車両、7〜9 他車両、10 運転支援装置、11 他車両位置算出部、12 他車両速度算出部、13 地図情報取得部、14 全体制御部、15 撮影装置、16 地図情報記憶装置、17 表示装置、18 プロセッサ、19 メモリ、20 走行位置オブジェクト、21 他車両、22 加減速オブジェクト、23 仮想自車両、24 仮想他車両、25 走行位置オブジェクト、26 他車両、27,28 走行位置オブジェクト、29〜31 他車両、32,33 経路オブジェクト、34 自車両、35,36 他車両、37 走行位置オブジェクト、38 自車両、39 車線変更可能領域、40 車線変更注意領域、41 車線変更不可能領域、42 サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図18
図19
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