特許第6968269号(P6968269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968269
(24)【登録日】2021年10月28日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】アセンブリ、エネルギ蓄積器
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20211108BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20211108BHJP
【FI】
   H05K1/02 K
   H01M50/50 201A
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-517156(P2020-517156)
(86)(22)【出願日】2018年9月4日
(65)【公表番号】特表2020-535650(P2020-535650A)
(43)【公表日】2020年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2018073699
(87)【国際公開番号】WO2019057479
(87)【国際公開日】20190328
【審査請求日】2020年3月24日
(31)【優先権主張番号】102017216912.5
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント テパス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ヴェルシュ
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−151071(JP,A)
【文献】 特開2006−100481(JP,A)
【文献】 特開2003−168759(JP,A)
【文献】 特開2008−34472(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0097618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの導電性のコンタクト端子(8,9)を有する少なくとも1つの電気/電子コンポーネント(7)を備えるアセンブリ(1)、特に電気エネルギ蓄積器(2)であって、
前記2つの導電性のコンタクト端子(8,9)は、少なくとも1つの基板のそれぞれ1つの導電性のコンタクト箇所(10,11)の上に、銀を含有する導電性接着剤(19)を用いて固定されており、
前記コンタクト箇所(10,11)のうちの第1のコンタクト箇所(10)が、アノード(3)に対応付けられており、前記コンタクト箇所のうちの第2のコンタクト箇所(11)が、カソード(4)に対応付けられている、
アセンブリ(1)において、
前記基板は、少なくとも部分的に前記2つのコンタクト箇所(10,11)の間に配置された少なくとも1つの装置(15)を有し、
当該装置(15)は、前記2つのコンタクト箇所(10,11)のうちの少なくとも一方において前記導電性接着剤(19)に対して作用する電界を中和するために使用され
前記基板は、リードフレーム(5,6)であり、前記装置(15)は、前記第1のコンタクト箇所(10)に対応付けられた少なくとも1つの切欠部(17)を有し、前記切欠部(17)は、前記第1のコンタクト箇所(10)から離間されて形成されており、それにより、電界を中和するためのウェブが残留しており、
又は、
前記装置(15)は、前記第1のコンタクト箇所(10)をリング状に包囲する導体路(16)を有する、
ことを特徴とする、アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記導体路(16)は、前記第1のコンタクト箇所(10)に電気的に接続されている、
請求項に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記導体路(16)は、前記第1のコンタクト箇所(10)と一体的に形成されている、
請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記基板は、プリント基板(12,13)である、
請求項1乃至のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
アノード(3)及びカソード(4)を有する少なくとも1つのガルバニ電池と、請求項1乃至のいずれか一項に記載の、少なくとも1つのアセンブリ(1)と、を備える電気エネルギ蓄積器(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの導電性のコンタクト端子を有する少なくとも1つの電気/電子コンポーネントを備えるアセンブリ、特に電気エネルギ蓄積器であって、2つの導電性のコンタクト端子は、少なくとも1つの基板のそれぞれ1つの導電性のコンタクト箇所の上に、銀を含有する導電性接着剤を用いて固定されている、アセンブリに関する。
【0002】
本発明はさらに、アノード及びカソードを有する少なくとも1つのガルバニ電池と、上述したような少なくとも1つのアセンブリとを備えるエネルギ蓄積器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術
冒頭に述べた形式のアセンブリは、従来技術から公知である。電気コンポーネントは、プリント基板又は基板の上に電気伝導性の接着材料又は導電性接着剤を用いて固定されることが多い。技術的及び商業的な理由から、銀が、導電性接着剤の成分の1つとなっていることが多い。しかしながら、銀は、水分又は水が存在する場合には、電圧が印加されるとイオン化する。印加される電圧に応じて、第1のコンタクト箇所から第2のコンタクト箇所へと銀イオンが移動し始め、第2のコンタクト箇所において銀が中性銀に還元される。その結果、銀材料は、第2のコンタクト箇所にますます堆積することとなる。第1のコンタクト箇所と第2のコンタクト箇所との間に十分な銀材料が存在する場合には、コンポーネントに対する分路、すなわち、第1のコンタクト箇所から第2のコンタクト箇所への並列抵抗が形成され、この分路によって、コンポーネントの機能が阻害されるおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
請求項1の特徴を有する電気アセンブリは、分路が防止されると共に、ひいてはコンポーネントの電気機能の阻害が防止されるという利点を有する。本発明によれば、有利な手段によって、導電性接着剤からの銀の移行が阻止される。基板が、少なくとも部分的に2つのコンタクト箇所の間に配置された少なくとも1つの装置を有し、当該装置が、2つのコンタクト箇所のうちの少なくとも一方において導電性接着剤に対して作用する電界を中和するために使用されることによって、このことが達成される。電界を中和することにより、銀イオンが第1のコンタクト箇所から第2のコンタクト箇所に移行する契機をもはや有さなくなる。その結果、第2のコンタクト箇所において銀材料が堆積しなくなり、分路が確実に防止される。特に、コンタクト箇所は、コンポーネントが載着されているコンタクト面として形成されている。
【0005】
好ましくは、コンタクト箇所のうちの第1のコンタクト箇所が、アノードに対応付けられており、コンタクト箇所のうちの第2のコンタクト箇所が、カソードに対応付けられており、装置は、第1のコンタクト箇所に対応付けられている。アノード及びカソードは、ガルバニ電池のアノード又はカソードであってもよいが、アノード及びカソードは、一般に、銀イオンの発生源(アノード)及び銀イオンの受容体(カソード)として理解されてもよい。装置が第1のコンタクト箇所に対応付けられていることによって、銀イオンが第2のコンタクト箇所の方向に移行可能となることが防止されるので、既に発生源において、銀イオンの移行が有利にも防止される。
【0006】
さらに好ましくは、装置は、コンタクト箇所を少なくとも実質的にリング状に包囲する導体路を有する。アセンブリの本来の電界を打ち消すことによってこの本来の電界を中和する電界が、導体路によって生成される。これによって、第1のコンタクト箇所から第2のコンタクト箇所への銀イオンの移行が生じないことが、特に簡単な手法で保証されている。
【0007】
特に、導体路は、第1のコンタクト箇所に電気的に接続されている。これによって、第1のコンタクト箇所は、電界を中和するために必要な電圧電位を獲得する。
【0008】
さらに好ましくは、導体路は、第1のコンタクト箇所と一体的に形成されている。したがって、第1のコンタクト箇所は、例えば、第1のリング状の導体路から半径方向内側に突出するコンタクトタブ又はコンタクト舌部として、第1の導体路によって一緒に形成される。これによって、分路に対する保護が簡単かつ低コストに実現されることが保証されている。
【0009】
好ましくは、基板は、プリント基板である。この場合、導体路は、有利にはプリント基板の場合に通例であるように、プリント基板の上に印刷又は被着されている。これによって、導体路又は装置が低コストに集積されることが保証されている。
【0010】
本発明の代替的な実施形態によれば、好ましくは、基板は、導電性のリードフレームであり、装置は、第1のコンタクト箇所に対応付けられた少なくとも1つの切欠部を有し、切欠部は、第1のコンタクト箇所から離間されて形成されている。切欠部が第1のコンタクト箇所から離間されて配置されていることによって、切欠部と第1のコンタクト箇所との間にウェブが残留する。このウェブは、プリント基板の上の導体路に対して相応に作用し、銀イオンに対して作用する電界を中和する。これによっても、コンタクト箇所同士の間の分路が簡単かつ確実に防止されることが保証されている。
【0011】
請求項8の特徴を有する電気エネルギ蓄積器は、本発明に係るアセンブリを特徴としている。これにより、既に述べた利点が得られる。さらなる利点及び好ましい特徴は、特に、上述の説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【0012】
以下においては、図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】有利なアセンブリを示す概略図である。
図2】第1の実施例によるアセンブリの有利な発展形態を示す図である。
図3】第2の実施例によるアセンブリの有利な発展形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、アノード3及びカソード4を有する電気蓄積器2の電気アセンブリ1を示す。アノード3及びカソード4には、それぞれリードフレーム5又は6が対応付けられている。リードフレーム5とリードフレーム6とは、アセンブリ1の電気コンポーネント7によって相互に電気的に接続されている。コンポーネント7は、少なくとも2つのコンタクト端子8,9を有し、コンタクト端子8,9は、それぞれのリードフレーム5,6のコンタクト箇所10又は11にそれぞれ対応付けられている。導電性のコンタクト箇所10,11は、リードフレーム5,6に直接的に接するように配置若しくは形成されており、又は、リードフレーム5,6とコンポーネント7との間に挿入されたそれぞれのプリント基板12,13の上に配置若しくは形成されている。したがって、プリント基板12,13又はリードフレーム5,6(lead frame)が、相応にして、それぞれのコンタクト箇所10,11を支持するそれぞれ1つの基板を形成している。
【0015】
特に、プリント基板12,13を1つの共通のプリント基板とすることができるが、図1においては、見やすくするために別々に図示している。
【0016】
コンポーネント7を確実にコンタクトさせかつ固定するために、コンポーネント7は、それぞれ銀成分を含有する導電性接着剤19を用いて、特に、銀導電性接着剤を用いて、又は、銀粒子が充填されたエポキシ接着材料を用いて、コンタクト箇所10,11に固定されている。電圧が印加された場合であって、かつ、水分が存在する場合には、導電性接着剤の銀イオンが、アノードに対応付けられたコンタクト箇所10からカソードに対応付けられたコンタクト箇所11へと移動し始める。カソード4又はコンタクト箇所11において、導電性接着剤が金属銀に還元され、これにより、カソード4又はコンタクト箇所11に位置する銀塊14が形成されて、図1に示されるようにアノード又はコンタクト箇所10の方向に成長する。このことを防止すると共に、これによってコンポーネント7に対して平行な電気分路が形成されるのを防止するために、図2及び図3に提示される解決策が提供され、この解決策によれば、銀イオンがコンタクト箇所10からコンタクト箇所11へと移動することが防止される。
【0017】
このために、アセンブリ1は、銀イオンをカソード4の方向に移動させる図1に矢印で示された電界を、中和する装置15を有する。アノード3に対応付けられたコンタクト箇所10が、自身の比較的近傍の周囲において電界に曝されないようにすることによって、このことが達成される。
【0018】
図2の実施例によれば、このために装置15は、コンタクト箇所10をリング状に包囲する導体路16を有し、これによって、装置15は、少なくとも部分的に2つのコンタクト箇所10,11の間に配置されることとなり、この際、装置15は、コンタクト箇所10の方のより近傍に配置され、これによって、そこで電界が中和される。導体路16は、コンタクト箇所10と一体的に形成されており、コンタクト箇所10は、特に、導体路16と一体的に形成されたコンタクト舌部のコンタクト面として形成されている。これによって、導体路16には、コンタクト箇所10と同等の電位が印加されることとなり、したがって、導電性接着剤19の領域における電界が中和される。
【0019】
導体路16は、コンポーネント又は導電性接着剤19のための支持体として使用される全ての面がコンタクト箇所11から見てリングの後方又は内部に位置するように、配置及び形成されている。リング又は導体路16の接続は、コンポーネント7のアノード3の任意の箇所において実施することができる。有利な実施形態によってアノードに電位差が印加されなくなったことにより、そうでなければ図1の矢印による電界に追従していたであろう銀イオンの移動を、促進する要因は存在しなくなっている。銀イオン電流の阻止により、カソード4における金属銀への還元が生じないので、カソードにおいて銀堆積物又は銀塊14がアノードの方向に成長することもない。したがって、その結果、コンポーネント7に対する電気分路が確実に防止される。
【0020】
図3に示されるようにコンタクト箇所10,11が、リードフレーム5又は6に直接的に接するように形成されている場合には、装置15は、好ましくはリードフレーム5に形成された切欠部17を有し、切欠部17は、コンタクト箇所10から離間されて配置されており、したがって、コンタクト箇所10と切欠部17と間にウェブ18が残留し、このウェブ18は、リング状の導体路16と同様の効果を有する。したがって、図3の第2の実施例においても、カソード又はコンタクト箇所11の方向への銀イオン電流が確実に防止される。
図1
図2
図3