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特許6968281ステアリングシステムを動作させるための方法及びステアリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968281
(24)【登録日】2021年10月28日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】ステアリングシステムを動作させるための方法及びステアリングシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20211108BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20211108BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20211108BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20211108BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20211108BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D5/04
   B62D101:00
   B62D113:00
   B62D119:00
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-528259(P2020-528259)
(86)(22)【出願日】2018年10月12日
(65)【公表番号】特表2021-504216(P2021-504216A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2018077894
(87)【国際公開番号】WO2019101430
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2020年5月22日
(31)【優先権主張番号】102017220929.1
(32)【優先日】2017年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ボース
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−051420(JP,A)
【文献】 特開2015−058903(JP,A)
【文献】 特開2017−077849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 101/00
B62D 113/00
B62D 119/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のステアリングシステム(2)を動作させるための方法であって、
・閉ループ制御回路(208)により、目標ラック位置と実際ラック位置とに依存して第1のトルク(36_1)を求めることと、
・予調整部(210)により、目標ラック位置と実際ラック位置と車両速度とに依存して第2のトルク(36_2)を求めることと、
・前記第1のトルク(36_1)と前記第2のトルク(36_2)とに依存して支援トルク(36)を求めることと、
・前記支援トルク(36)を前記ステアリングシステム(2)のステアリングギヤ(8)に導入することと、
を含み、
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求めることは、
・前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、実際ラック速度又は目標ラック速度と前記車両速度とに依存する路面タイヤ間摩擦補償用部分トルク(36_2_b)を求めること
を含む、方法。
【請求項2】
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求めることは、
前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、前記実際ラック位置と前記車両速度とに依存する、定速度定ラック位置走行時の前記ステアリングギヤ(8)の軸に作用する反力補償用部分トルク(36_2_a)を求めること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求めることは、
前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、実際ラック加速度又は目標ラック加速度と予め求められた第1の係数との積に依存する補助力操舵部慣性補償用部分トルク(36_2_c)を求めること
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求めることは、
前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、実際トーションバートルクと予め求められた第2の係数との積に依存するステアリングコラム回転慣性及び摩擦補償用部分トルク(36_2_d)を求めること
を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
閉ループ制御回路(208)及び予調整部(210)を有する制御装置(26)と、駆動ユニット(22)と、ステアリングギヤ(8)とを含む、自動車のステアリングシステム(2)であって、
・前記閉ループ制御回路(208)により、第1のトルク(36_1)を、目標ラック位置と、位置センサ(38)によって測定可能な実際ラック位置とに依存して求め、
・前記予調整部(210)により、第2のトルク(36_2)を、目標ラック位置と、実際ラック位置と、速度センサ(42)によって測定可能な車両速度とに依存して求め、
・前記制御装置(26)により、支援トルク(36)を、前記第1のトルク(36_1)と前記第2のトルク(36_2)とに依存して求め、
・前記駆動ユニット(22)により、前記支援トルク(36)を、前記ステアリングシステム(2)の前記ステアリングギヤ(8)へ導入する、
ように構成されており、さらに、
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求める際に、
・前記予調整部(210)により、前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、実際ラック速度又は目標ラック速度と前記車両速度とに依存する路面タイヤ間摩擦補償用部分トルク(36_2_b)を求める、
ように構成されているステアリングシステム(2)。
【請求項6】
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求める際に、
・前記予調整部(210)により、前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、前記実際ラック位置と前記車両速度とに依存する、定速度定ラック位置走行時の前記ステアリングギヤ(8)の軸に作用する反力補償用部分トルク(36_2_a)を求める、
ように構成されている、請求項に記載のステアリングシステム(2)。
【請求項7】
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求める際に、
・前記予調整部(210)により、前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、実際ラック加速度又は目標ラック加速度と予め求められた第1の係数との積に依存する補助力操舵部慣性補償用部分トルク(36_2_c)を求める、
ように構成されている、請求項5又は6に記載のステアリングシステム(2)。
【請求項8】
前記予調整部(210)により前記第2のトルク(36_2)を求める際に、
・前記予調整部(210)により、前記第2のトルク(36_2)の部分トルクとして、実際トーションバートルクと予め求められた第2の係数との積に依存するステアリングコラム回転慣性及び摩擦補償用部分トルク(36_2_d)を求める、
ように構成されている、請求項乃至のいずれか一項に記載のステアリングシステム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
請求する本発明は、ステアリングシステムを動作させるための方法及びステアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラック位置の閉ループ制御のための閉ループ制御区間は高度に非線形であることが知られている。作用する反力は、実際の走行条件に強く依存して変化する。例えば、車輪の摩擦は静止状態で最大であり、車両速度が増大するにつれて低下する。また、軸の構造は、反力の特性に強く影響し得る。さらに、ステアリングホイール及びステアリングコラムに基づく反力と慣性とがステアリングシステムに導入され、軸と相互作用する。従って、今日のラック位置閉ループ制御回路は、全ての動作点に対する妥結をもたらすものとして構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明の基礎とする課題は、請求項1に記載のステアリングシステムを動作させるための方法、及び、後続の請求項に記載のステアリングシステムにより解決される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該方法は、目標ラック位置と実際ラック位置とに依存して第1のトルクを求めることと、車両速度に依存して第2のトルクを求めることと、第1のトルクと第2のトルクとに依存して支援トルクを求めることと、支援トルクをステアリングシステムのステアリングギヤに導入することと、を含む。
【0005】
提案の方法によって、閉ループ制御回路の構成が著しく簡単化され、閉ループ制御と予調整との組合せによって、全ての動作点において、閉ループ制御回路の高い性能が保証される。
【0006】
有利な一実施形態は、当該方法が、実際ラック位置と実際車両速度とに依存して、第2のトルクの第1の部分トルクを求めることを含むことを特徴とする。こうした手法により、静的条件において作用する反力、即ち、車両速度が一定でありかつラック位置が一定である場合に作用する反力が第1の部分トルクとして予調整される。
【0007】
有利な一実施形態は、当該方法が、実際ラック速度又は目標ラック速度と車両速度とに依存して、第2のトルクの第2の部分トルクを求めることを含むことを特徴とする。ラック速度を考慮することにより、車両速度を用いて、予調整の際にタイヤと道路との間の摩擦を考慮することができる。
【0008】
有利な一実施形態は、当該方法が、実際ラック加速度又は目標ラック加速度と、予め求められた、特には先行して求められた第1の係数との積に依存して、第2のトルクの第3の部分トルクを求めることを含むことを特徴とする。ラック加速度を考慮することにより、補助力操舵部の慣性を考慮し、補償することができる。
【0009】
有利な一実施形態は、当該方法が、実際トーションバートルクと、予め求められた、特には先行して求められた第2の係数との積に依存して、第2のトルクの第4の部分トルクを求めることを含むことを特徴とする。実際トーションバートルクを考慮することにより、ステアリングコラムからのステアリングホイールに基づく慣性及び摩擦が考慮され、補償される。
【0010】
他の態様は、制御装置、駆動ユニット及びステアリングギヤを含む、ステアリングシステムに関する。第1のトルクは、目標ラック位置と位置センサの実際ラック位置とに依存して求めることができる。第2のトルクは、速度センサの車両速度に依存して求めることができる。支援トルクは、第1のトルクと第2のトルクとに依存して求めることができる。駆動ユニットにより、支援トルクは、ステアリングシステムのステアリングギヤへ導入可能である。
【0011】
本発明の他の実施形態及び特徴は、さらに、以下の実施例の説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ステアリングシステムの概略的な形態を示す図である。
図2】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図3】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図4】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図5】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図6】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図7】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図8】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図9】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図10】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
図11】ステアリングシステムを動作させるための方法を示す概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、補助力操舵部4を含むステアリングシステム2の概略的な形態が示されている。また、ステアリングシステム2は、図示のように重畳操舵部6を含むこともできる。ステアリングシステム2は、例えばラック式ステアリングギヤとして構成されたステアリングギヤ8を有する。本明細書においては、主に、ステアリングギヤがピニオン10及びラック12を含むラック式操舵部について説明する。ステアリングギヤ8は、ピニオン10及びラック12を介して車両の両側のステアリングアーム14に接続されており、当該ステアリングアーム14がそれぞれ車輪16と協働する。基本的に、ステアリングシステム2は、本発明に係る方法の実行に適した装置の複数の可能な実施形態のうちの1つである。例えば、駆動ユニットをステアリングコラムに設けることができる。ここで、他の実施形態は、他のステアリングギヤ又は他の配置の駆動部によって実行可能である。特に、一実施形態におけるステアリングシステム2は、ステアバイワイヤ‐ステアリングシステムである。また、他のセンサをステアリングシステムに配置することもできるが、ここでは、その配置及び構成には立ち入らない。
【0014】
トーションバー18には、操舵手段20、例えばステアリングホイールが配置されている。重畳操舵部6により、車両運転者が適用した操舵手段の角度を、ステアリングシステム2の通常動作において、ステアリングギヤ8に対して増大又は低減することができる。重畳操舵部6によってステアリングギヤ8に導入されるこうした操舵角差は、付加操舵角とも称される。もちろん、トーションバー18に代えて、操舵手段20と重畳操舵部6との間にステアリングコラムを配置することもできる。当該実施形態においては、トーションバーは、重畳操舵部6と補助力操舵部4との間に配置されている。
【0015】
補助力操舵部4は、駆動ユニット22とも称され得るモータと、伝動装置24とを含む。制御装置26は補助力操舵部4に配属されている。駆動ユニット22は、伝動装置24を介してラック12に作用する。制御装置26は、データ線路を介してメモリエレメント30に接続されたマイクロプロセッサ28を有する。マイクロプロセッサ28は、本明細書に説明している方法を実行可能なデジタル計算装置とも称され得る。メモリエレメント30は、メモリ媒体とも称され得る。メモリエレメント30には、マイクロプロセッサ28上で実行されるコンピュータプログラムを格納することができる。
【0016】
制御装置26には、センサ32によって求められたトーションバートルク34が供給される。供給されたトーションバートルク34に依存して、制御装置26は、導入すべき支援トルクの目標値を表す支援トルク36を求め、当該支援トルク36を、例えば、対応する調整量として変換して、駆動ユニット22に供給する。
【0017】
補助力操舵部4は、実際ラック位置40を測定してこれを制御装置26に供給する位置センサ38を含む。また、車両は、実際車両速度44を測定してこれを制御装置26へ供給する速度センサ42を含む。代替的に、実際車両速度44は、他の制御装置から制御装置26へ供給されてもよい。
【0018】
図2には、ステアリングシステムを動作させるための方法の概略的なブロック図が示されている。自動車1は、駆動ユニット22並びに位置センサ38及び速度センサ42を含む。ブロック202において目標ラック位置41が求められる。加算点204においては、実際ラック位置40と目標ラック位置41とに依存して制御差206が求められる。制御差206は、閉ループ制御回路208に供給され、当該閉ループ制御回路208により第1のトルク36_1が求められる。
【0019】
予調整部210においては、目標ラック位置41と実際ラック位置40と実際車両速度44とに依存して、第2のトルク36_2が求められる。加算点212によって形成される、第1のトルク36_1と第2のトルク36_2との和に依存して、支援トルク36が求められる。支援トルク36は、駆動ユニット22に信号として供給され、これにより、当該支援トルク36が物理量としてステアリングギヤに導入される。
【0020】
図3には、第2のトルク36_2を求めるための概略的なブロック図が示されている。第1のブロック310において、第2のトルク36_2の第1の部分トルク36_2_aが求められる。第1のブロック310は、予調整のため、静的条件において生じる力に対抗する補償力を求めるために用いられる。当該静的条件には、実質的に一定の車両速度と実質的に一定のラック位置とが含まれる。上述した力は、例えば、カーブ走行時の横方向力、軸の作業及び軸の戻りによって生じるものであり得る。横方向加速度及び車両重量は、カーブ走行時の横方向力への主たる影響量である。操舵過程及び実際ラック位置は、軸のストローク作業に影響する。軸の戻りは、軸の構造的特徴に依存して発生する。軸の種々の構造的構成により、実際ラック位置及び実際車両速度に依存して、種々の戻り力の作用が生じる。上述した力は、実際車両速度及び実際ラック位置に依存しているので、共通に予調整可能であり及び/又は補償可能である。
【0021】
第2のブロック320においては、第2のトルク36_2の第2の部分トルク36_2_bが求められる。第2の部分トルク36_2_bは、車両速度の増大につれて低下する摩擦の補償のために設けられている。第3のブロック330においては、第2のトルク36_2の第3の部分トルク36_2_cが求められる。第3の部分トルク36_2_cは、操舵部及び/又は補助力操舵部の領域において関与している機械コンポーネントの質量慣性の補償のために設けられている。第4のブロック340においては、第2のトルク36_2の第4の部分トルク36_2_dが求められる。第4の部分トルク36_2_dは、ステアリングコラムに基づく慣性及び摩擦の補償のために設けられている。
【0022】
第2のトルク36_2は、第1の部分トルク36_2_a乃至第4の部分トルク36_2_dが供給される加算点350により形成される。第1の部分トルク36_2_a乃至第4の部分トルク36_2_dは、図示していない実施形態においてフィルタリングされるが、ここで、適当なフィルタは、例えば、移動平均フィルタ又は1次のローパスフィルタである。
【0023】
図4には、図3のブロック310の一実施形態が示されている。特性マップ400を用いて、実際車両速度44と実際ラック位置40とに依存して、第1の部分トルク36_2_aが求められる。特性マップ400は、例えば、予め適用された形式で存在する。他の実施形態においては、特性マップ400に代えて計算プロトコル(例えば、多項式)が使用される。
【0024】
図5には、図3のブロック310の一実施形態が示されている。図4の特性マップ400に代えて、第1の特性マップ500を用いて、実際ラック位置40に依存して、部分トルク536が求められる。第2の特性マップ502を用いて、実際車両速度44に依存して、係数538が求められる。ここで、係数538は、予め求められた係数に相当する。第1の部分トルク36_2_aは、ブロック504での部分トルク536と係数538との積である。他の実施形態においては、特性マップ500,502に代えて各計算プロトコル(例えば、多項式)が使用される。
【0025】
図6には、図3のブロック310の一実施形態が示されている。特性曲線600を用いて、実際車両速度44に依存して、最大トルク36_2_maxが求められる。特性曲線602を用いて、最大トルク36_2_maxに適合するラック位置40_36が求められる。ブロック604において、実際ラック位置40と最大トルク36_2_maxとこれに適合するラック位置40_36とに依存して、第1の部分トルク36_2_aが求められる。他の実施形態においては、特性曲線600,602に代えて各計算プロトコル(例えば、多項式)が使用される。
【0026】
ブロック604においては、反力が、例えば、次のようにして補間される。30km/hの車両速度では、最大反力は2000Nである。2000Nが作用するラック位置は、50mmである。実際ラック位置が25mmであれば、1000N=(25mm/50mm)*2000Nが得られる。実際ラック位置が50mm以上であれば、反力として2000Nが得られる。
【0027】
図7には、図3のブロック320の一実施形態が示されている。特性マップ700を用いて、実際車両速度44とラック速度702とに依存して、第2の部分トルク36_2_bが求められる。これにより、タイヤと道路との間の摩擦をシミュレートする補償力が、第2の部分トルク36_2_bとして求められる。車両速度が増大するにつれて、タイヤと道路との間の摩擦は低下する。ラック速度が増大するにつれて、摩擦は増大する。ラック速度702は、実際値又は目標値として存在してよく、実際ラック位置又は目標ラック位置に依存して求めることができる。他の実施形態においては、特性マップ700に代えて計算プロトコル(例えば、多項式)が使用される。
【0028】
図8には、図3のブロック320の一実施形態が示されている。実際車両速度44から、特性曲線800を用いてスケーリング係数802が求められる。ここで、スケーリング係数802は、予め求められた係数に相当する。ラック速度702に依存して、特性曲線804を用いて、部分トルク806が求められ、当該部分トルク806が乗算点808でスケーリング係数802と乗算されて、ここから第2の部分トルク36_2_bが得られる。他の実施形態においては、特性曲線800,802に代えて計算プロトコル(例えば、多項式)が使用される。
【0029】
図9には、図3のブロック320の一実施形態が示されている。特性曲線900を用いて、実際車両速度44に依存して、部分トルク902が求められる。ラック速度702に依存して、特性曲線904を用いて、スケーリング係数906が求められる。ここで、スケーリング係数906は、予め求められた係数に相当する。乗算点908において、部分トルク902とスケーリング係数906とに依存して、第2の部分トルク36_2_bが求められる。他の実施形態においては、特性曲線900に代えて計算プロトコル(例えば、多項式)が使用される。
【0030】
図10には、図3のブロック330の一実施形態が示されている。第3の部分トルク36_2_cは、乗算点1002でのラック加速度1004と慣性係数1006との乗算から得られる。ここで、慣性係数1006は、予め求められた係数に相当する。ラック加速度1004は、例えば、実際ラック位置又は目標ラック位置に依存して求められる。
【0031】
図11には、図3のブロック340の一実施形態が示されている。点1002での実際トーションバートルク34とスケーリング係数1104との乗算から、第4の部分トルク36_2_dが得られる。ここで、スケーリング係数1104は、予め求められた係数に相当する。
【0032】
ステアリングホイール回転速度を低減するために、図示していない形態において、第4の部分トルク36_2_dが−1と乗算され、即ち、符号が反転される。これにより、補償に代えて増幅が達成される。その結果、加速中のラックが制動され、望ましくない回転速度が低減されて、これにより、閉ループ制御回路の出力が改善される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11