(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抽出部は、前記各種信号のうち、前記映像情報の変化前後で前記変化が前記閾値を超える信号であって、最も前記変化が大きい信号を抽出することを特徴とする、請求項1に記載の映像表示装置。
前記抽出部は、前記映像情報に変化があった後に、前記操作受付部により前記操作が受け付けられた場合には、前記各種信号のうち、前記映像情報の変化前後で信号値の変化が閾値を超える信号を抽出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の映像表示装置。
前記調整部は、前記抽出部により抽出された信号の変化率に基づいて、前記特定部により特定された前記調整項目の設定値を調整することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の映像表示装置。
前記設定値が高くなる方向である第1の方向と、前記設定値が低くなる方向である第2の方向と、のいずれかを選択させる選択画面を前記表示画面に表示する表示制御部を備え、
前記調整部は、前記選択画面により選択された方向に前記設定値を調整することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の映像表示装置。
前記調整部は、前記選択画面により選択された方向が前記第1の方向である場合には、前記抽出部により抽出された信号の変化率にプラスの符号を付した値を前記設定値に乗算し、前記選択画面により選択された方向が前記第2の方向である場合には、前記変化率にマイナスの符号を付した値を前記設定値に乗算することで、前記設定値を調整することを特徴とする、請求項8に記載の映像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る映像表示装置を、図面を用いて説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る映像表示装置を備えた映像表示システムAの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、映像表示システムAは、外部装置1及び映像表示装置2を備える。
【0020】
外部装置1は、例えば、PC(personal computer)であって、映像表示装置2と有線又は無線で接続されている。外部装置1は、映像表示装置2に対して映像信号を有線又は無線で出力する。この映像信号とは、映像表示装置2の表示画面に映像を表示するに必要な各種信号を含む。例えば、映像信号は、輝度値を示す輝度信号や色度を示す色度信号等の映像情報を含む。
【0021】
より具体的には、外部装置1は、演算部3及び出力制御部4を備える。
【0022】
演算部3は、映像表示装置2の表示画面に表示する映像情報に基づいて映像信号を生成して出力制御部4に出力する。
【0023】
出力制御部4は、演算部3で生成された映像信号を映像表示装置2に出力する。例えば、出力制御部4は、演算部3で生成された映像信号を映像表示装置2に伝送するためのスタンバイの処理を行った後に、映像表示装置2に映像信号を伝送(出力)する。
【0024】
映像表示装置2は、出力制御部4から伝送された映像信号に基づく映像を自装置の表示画面に表示する。以下に、本発明の一実施形態に係る映像表示装置2の概略構成を説明する。
【0025】
映像表示装置2は、入力制御部5、映像信号処理部6、操作受付部7、操作処理部8、演算制御部9、記憶部10、表示制御部11、及び表示部12を備える。
【0026】
入力制御部5は、出力制御部4から伝送された映像信号を取得して、映像信号処理部6に入力する。
【0027】
映像信号処理部6は、入力制御部5から入力された映像信号を解析して、その解析結果を演算制御部9に送信する。例えば、映像信号処理部6は、入力制御部5から入力された映像信号を解析することで、その映像信号に含まれている映像情報、すなわち各種信号の信号値を抽出する。例えば、映像信号処理部6は、映像信号に含まれる輝度信号の信号値としての輝度値や映像信号に含まれる色度信号の信号値としての色度を映像情報として抽出する。そして、映像信号処理部6は、抽出した映像情報を演算制御部9に出力する。
【0028】
操作受付部7は、映像表示装置2への操作を受け付ける。この操作とは、映像表示装置2の表示画面の自動調整に関する操作であって、例えば、ユーザによる操作である。本実施形態では、操作受付部7は、ユーザが映像表示装置2の表示画面の調整を行うためのインタフェースである。例えば、操作受付部7は、複数のボタンやタッチパネル等の操作部を備え、当該操作部がユーザにより操作されたことを検出することで、ユーザによる操作を受け付ける。また、操作受付部7は、通信部を備え、当該通信部が、映像表示装置2の表示画面の調整に関する操作を示す信号を外部から有線又は無線で受信することでユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0029】
操作処理部8は、操作受付部7が受け付けたユーザによる操作の内容(以下、「ユーザの操作内容」という。)を解析して、その解析結果を演算制御部9に伝送する。例えば、ユーザの操作内容としては、映像表示装置2における表示画面の自動調整を指示することや、当該自動調整の指示がプラス方向(第1の方向)に調整すること、又はマイナス方向(第2の方向)に調整すること、等である。
【0030】
演算制御部9は、映像信号処理部6から映像情報を取得し、その取得した映像情報を表示制御部11に伝送することで、当該映像情報に基づく映像を表示画面に表示させる。また、新たな映像信号が映像表示装置2に入力されることで新たな映像情報が演算制御部9に入力された場合には、演算制御部9は、表示画面に表示されている現在の映像情報を記憶部10に格納する。そして、演算制御部9は、現在の映像情報を記憶部10に格納した後に、新たに入力された映像情報を表示制御部11に伝送することで、当該新たに入力された映像情報に基づく映像を表示画面に表示させる。ただし、現在の映像情報と新たに入力された映像情報とが同一であって、映像情報に変化がない場合には、現在の映像情報を記憶部10に格納しなくてもよい。
【0031】
ここで、演算制御部9は、現在の映像情報に対して変化がある映像情報が新たに入力された後に操作受付部7がユーザによる操作を受け付けた場合には、ユーザの操作内容を反映させて、映像表示装置2の表示画面に対して最適な調整を自動で行う。
【0032】
以下、第1の実施形態に係る映像表示装置2における表示画面の調整方法について、説明する。
図2は、第1の実施形態に係る演算制御部9の表示画面を調整する機能ブロック図である。
【0033】
図2に示すように、演算制御部9は、信号処理部91、抽出部92、特定部93、及び調整部94を備える。
【0034】
信号処理部91は、新たに入力された映像情報が現在の映像情報と異なる場合には、記憶部10に現在の映像情報を格納して、新たに入力された映像情報を表示制御部11に伝送して当該新たに入力された映像情報を表示画面に表示させる。
【0035】
ここで、信号処理部91は、新たに入力された映像情報が表示画面に表示されている状態において、操作受付部7がユーザによる操作を受け付けた場合には、その新たに入力された映像情報(すなわち、表示画面に表示されている映像情報)と、記憶部10に格納されている映像情報とを比較し、映像情報に含まれている各種信号の信号値の変化率ΔHを算出する。この変化率ΔHは、映像情報が変化した場合に、信号値がどのくらい変化したかを示すものであって、例えば、0〜100%の割合である。
【0036】
抽出部92は、信号処理部91により抽出された各信号の変化率ΔHのうち、所定の閾値を超える変化率ΔHがあるか否かを判定し、閾値を超える変化率ΔHがあると判定した場合には、その変化率ΔHの信号を抽出する。すなわち、抽出部92は、各種信号のうち、映像情報の変化前後で信号の変化率ΔHが閾値を超える信号を抽出する。
【0037】
なお、抽出部92は、信号値の変化率ΔHが所定の閾値を超える信号が複数ある場合には、変化率ΔHが所定の閾値を超える信号すべての信号を抽出してもよいし、変化率ΔHが所定の閾値を超える複数の信号のうち、変化率ΔHが最も大きい信号を抽出してもよい。また、抽出部92は、信号値の変化率ΔHが所定の閾値を超える信号が複数ある場合には、変化率ΔHが所定の閾値を超える複数の信号のうち、任意の信号を一又は複数抽出してもよい。
【0038】
特定部93は、抽出部92により抽出された信号に対応する表示画面の調整項目を特定する。ここで、調整項目とは、表示画面に対して調整可能な項目であって、例えば、コントラスト、明るさ、色の濃さ、色合い及び画質等がある。特定部93は、特定した調整項目を調整部94に出力する。
【0039】
調整部94は、特定部93が特定した調整項目における現在の設定値Sを取得する。
調整部94は、操作処理部8から「表示画面の調整方向がプラス方向である」というユーザの操作内容を取得した場合には、抽出部92で抽出された信号の変化率ΔHにプラスの符号を付与する。一方、調整部94は、操作処理部8から「表示画面の調整方向がマイナス方向である」というユーザの操作内容を取得した場合には、抽出部92で抽出された信号の変化率ΔHにマイナスの符号を付与する。
【0040】
調整部94は、変化率ΔHに符号を付与した後、事前に取得した設定値Sに符号付きの変化率を乗算することで調整値を算出する。そして、調整部94は、この算出した調整値を表示部12に送信することで、現在の表示画面の設定値が調整値に更新される。すなわち、調整部94は、事前に取得した設定値Sに符号付きの変化率を乗算して得た調整値に基づいて設定値Sを調整する。
【0041】
表示制御部11は、演算制御部9から伝送された映像情報を取得し、その映像情報に基づく映像を表示部12に表示する。また、表示制御部11は、調整方向として、プラス方向とマイナス方向とのいずれかをユーザに選択させる選択画面を表示画面に表示する。
表示制御部11は、調整部94により送信された調整値に基づいて、特定部93が特定した調整項目における現在の設定値Sを更新する。
【0042】
表示部12は、映像表示装置2の表示画面であって、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はEL(Electroluminescence)パネルである。
【0043】
次に、第1の実施形態に係る映像表示装置2の動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態に係る映像表示装置2の動作を説明する図である。
【0044】
映像表示装置2は、外部装置1から入力された映像信号を取得する(ステップS101)。そして、映像表示装置2は、その取得した映像信号を解析し、その解析の結果から得られた映像情報をもとに映像を表示画面に表示する(ステップS102)。
【0045】
ここで、映像表示装置2の信号処理部91は、新たに外部装置1から映像信号が入力され、当該映像信号の映像情報(新たな映像情報)が現在の映像情報に対して変化があるか否かを判定し(ステップS103)、変化があると判定した場合には、現在の映像情報を保存する。そして、信号処理部91は、新たな映像情報をもとに映像を表示画面に表示する。すなわち、信号処理部91は、映像情報に変化があった場合には、変化前の映像情報を記憶部10に格納し(ステップS104)、変化後の映像情報を表示画面に表示する(ステップS105)。
【0046】
次に、信号処理部91は、表示部12の自動調整を適用するか否かを判定する(ステップS106)。表示部12の自動調整を適用する場合とは、例えば、ユーザが現在の表示画面に表示された映像(例えば、明るさや色度等)に不満を持ち、その映像の変更を望む場合である。
【0047】
具体的には、例えば、ユーザが映像表示装置2に設けられたボタンやマウス等の操作部を操作することで、表示部12に自動調整を選択可能なメニュー画面を表示させる。そして、ユーザがそのメニュー画面で表示部12の自動調整を実施することを選択する操作を行った場合には、操作受付部7は、当該操作を受け付けることで表示画面(表示部12)の自動調整を適用すると判定する。
【0048】
表示画面(表示部12)の自動調整を適用すると判定した場合には、信号処理部91は、変化前後の映像情報(すなわち、記憶部に格納されている映像情報)と、変化後の映像情報(例えば、表示部12に表示中の映像情報)とを比較する(ステップS107)。そして、映像表示装置2は、比較した結果、信号値の変化率ΔHが閾値を超える信号を抽出する(ステップS108)。例えば、映像表示装置2の抽出部92は、変化前の映像情報から変化後の映像情報になった場合における各信号の変化率をグラフ化する。そして、抽出部92は、変化率が所定の閾値を超える信号を抽出する。ここで、映像表示装置2は、この抽出部92で抽出された信号が、映像情報の前後で変化したことがユーザを不快に感じさせた原因であると判定する。
【0049】
特定部93は、抽出部92により抽出された信号に対応する表示画面の調整項目を特定する(ステップS109)。そして、調整部94は、特定部93が特定した調整項目における現在の設定値Sを読み出す(ステップS110)。本実施形態に係る調整項目とは、例えば、コントラスト、明るさ、色の濃さ、色合い及び画質等である。
【0050】
ここで、映像表示装置2は、ユーザに対して表示画面の調整方向をプラス方向にするかマイナス方向にするかを選択させる。例えば、映像表示装置2の表示制御部11は、表示画面の調整方向をプラス方向にするかマイナス方向にするかを選択させる選択画面を表示画面に表示する(ステップS111)。なお、本実施形態に係る選択画面は、ステップS106における自動調整を選択するメニュー画面と同じGUIにすることが好ましい。
これにより、ユーザは、マウスなどのポインティング・デバイスやボタン等の操作部を操作することで上記選択画面から表示画面の調整方向を選択することができる(ステップS112)。
【0051】
例えば、ユーザは、映像表示装置2の表示画面に表示されている映像情報が変化して明るさが低下した、すなわち暗くなったことを不快に思って自動調整の実施を選択したとする。この場合には、ユーザは、ステップS112において、明るさを向上させる方向、すなわちプラス方向を選択することで、自身が望む調整方向を選択することができる。一方、ユーザは、映像表示装置2の表示画面に表示されている映像情報が変化し表示画面が明るすぎることを不快に思って自動調整の実施を選択したとする。この場合には、ユーザは、ステップS112において、明るさを低下させる方向、すなわちマイナス方向を選択することで、自身が望む調整方向を選択することができる。なお、上記の一例では、ユーザが明るさに不快に思った場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、コントラストや色度等に不快に思った場合にも同様である。
【0052】
ただし、ユーザの中には、表示画面に表示されている映像情報が変化したことで表示画面の映像に対して不快に思ったとしも、その原因がコントラストなのか、色度なのか等の具体的な調整項目までは判断できない場合がある。したがって、本実施形態では、ユーザに対して調整項目までは選択させず、調整方向のみを選択させることとした。すなわち、現在の映像に対して、何かしらの調整項目の設定値を高くする方向であるプラス方向か、何かしらの調整項目の設定値を低くする方向であるマイナス方向かのみをユーザに選択させる。これにより、ユーザは、どの調整項目を調整すればよいのか悩むことがなく、感覚的に調整方向を選択するだけで表示画面に対して最適な調整を行うことが可能となる。
【0053】
調整部94は、ユーザにより、表示画面の調整方向としてプラス方向が選択された場合には、抽出部92で抽出された信号の変化率ΔHにプラスの符号を付与する(ステップS113)。一方、調整部94は、表示画面の調整方向としてマイナス方向が選択された場合には、抽出部92で抽出された信号の変化率ΔHにマイナスの符号を付与する(ステップS114)。
【0054】
調整部94は、変化率ΔHにプラス又はマイナスの符号の付与した後、事前に取得した設定値Sに符号付きの変化率ΔHを乗算することで調整値を算出する(ステップS115)。そして、調整部94は、この算出した調整値を表示部12に送信する。これにより、現在の表示画面の設定値Sが更新する(ステップS116)。例えば、変化率ΔHが40%、設定値Sが20であって、ユーザにより、表示画面の調整方向としてプラス方向が選択された場合には、調整部94は、設定値である20を+40%することで、調整値=「28」(=20×1.4)を得る。そして、調整部94は、この調整値=「28」を表示制御部11に送信する。したがって、表示制御部11は、調整値=「28」を新たな設定値Sとして更新する。すなわち、調整部94は、表示画面の調整項目の設定値を調整することになる。そして、設定値Sが更新されると、ステップS103の処理に戻る。
【0055】
このように、ユーザが現在の表示画面に表示された映像の明るさや色度の変更を望む場合、表示画面の調整画面(メニュー画面)から自動調整の実施の選択と、画面の調整方向をプラス方向又はマイナス方向のどちらにするか選択を行えば、映像表示装置2がユーザに最も影響を及ぼす変化のあった信号に対応する画面の設定値の調整を動的に行う。すなわち、映像情報が変化したことでユーザが不快に思って自動調整の実施を選択したとすると、映像表示装置2は、映像情報の変化前後で、変化率が閾値を超えた信号や閾値を超え最も変化率が大きい信号がユーザを不快に感じさせた原因であるとして、その変化分を動的に調整する。そのため、ユーザは自身の望む調整が必要な調整項目及びその項目の設定値を思案することが不要となる。その結果、表示画面に対して最適な調整を行うことができる。
【0056】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態に係る映像表示装置2Bについて説明する。第2の実施形態に係る映像表示装置2Bは、第1の実施形態と比較して、映像表示装置2における表示画面の調整方法において、映像情報に含まれる各種信号を複数のグループに分類して、各グループで変化率ΔHが最大である信号を抽出する点で相違し、その他の構成については第1の実施形態と同様である。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0057】
図4は、第2の実施形態に係る映像表示装置を備えた映像表示システムBの概略構成の一例を示す図である。
図4に示すように、映像表示システムBは、外部装置1及び映像表示装置2Bを備える。
【0058】
映像表示装置2Bは、外部装置1から伝送された映像信号に基づく映像を自装置の表示画面に表示する。以下に、第2の実施形態に係る映像表示装置2Bの概略構成を説明する。
【0059】
映像表示装置2Bは、入力制御部5、映像信号処理部6、操作受付部7、操作処理部8、演算制御部9B、記憶部10、表示制御部11、及び表示部12を備える。
【0060】
演算制御部9Bは、映像信号処理部6から映像情報を取得し、その取得した映像情報を表示制御部11に伝送することで、当該映像情報に基づく映像を表示画面に表示させる。また、新たな映像信号が映像表示装置2Bに入力されることで新たな映像情報が演算制御部9Bに入力された場合には、演算制御部9Bは、表示画面に表示されている現在の映像情報を記憶部10に格納する。そして、演算制御部9Bは、現在の映像情報を記憶部10に格納した後に、新たに入力された映像情報を表示制御部11に伝送することで、当該新たに入力された映像情報に基づく映像を表示画面に表示させる。ただし、第1の実施形態と同様に、現在の映像情報と新たに入力された映像情報とが同一であって、映像情報に変化がない場合には、現在の映像情報を記憶部10に格納しなくてもよい。
【0061】
演算制御部9Bは、現在の映像情報に対して変化がある映像情報が新たに入力された後に操作受付部7がユーザによる操作を受け付けた場合には、ユーザの操作内容に反映させて、映像表示装置2Bの表示画面に対して最適な調整を自動で行う。
以下、第2の実施形態に係る映像表示装置2Bにおける表示画面の調整方法について、説明する。
図5は、第2の実施形態に係る演算制御部9Bの表示画面を調整する機能ブロック図である。
【0062】
図5に示すように、演算制御部9Bは、信号処理部91、分類部100、抽出部92B、特定部93、及び調整部94を備える。
【0063】
分類部100は、信号処理部91により各信号の変化率ΔHが算出されると、映像情報に含まれる各種信号のうち、表示画面の明るさに影響する信号を第1のグループとし、映像の色彩に影響する信号を第2のグループとして分類する。
【0064】
抽出部92Bは、分類部100で分類された各グループにおいて、閾値以上であって、変化率ΔHが最大である信号を抽出する。
【0065】
特定部93は、抽出部92により第1のグループと第2のグループとのそれぞれで抽出された各信号に対応する表示画面の調整項目をそれぞれ特定する。そして、特定部93は、特定した2つの調整項目を調整部94に出力する。
【0066】
調整部94は、特定部93が特定した各調整項目における現在の設定値S
1、S
2を取得する。そして、調整部94は、操作処理部8から「表示画面の調整方向がプラス方向である」というユーザの操作内容を取得した場合には、抽出部92で抽出された各信号の変化率ΔHのそれぞれにプラスの符号を付与する。一方、調整部94は、操作処理部8から「表示画面の調整方向がマイナス方向である」というユーザの操作内容を取得した場合には、抽出部92で抽出された各信号の変化率ΔHのそれぞれにマイナスの符号を付与する。
【0067】
調整部94は、各変化率ΔHに符号の付与した後、事前に取得した設定値設定値S
1、S
2に符号付きの各変化率を乗算することで調整値を算出して、表示制御部11に送信する。
【0068】
次に、第2の実施形態に係る映像表示装置2Bの動作について、
図6を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態に係る映像表示装置2Bの動作を説明する図である。
【0069】
映像表示装置2Bは、外部装置1から入力された映像信号を取得する(ステップS201)。そして、映像表示装置2は、その取得した映像信号を解析し、その解析の結果から得られた映像情報をもとに映像を表示画面に表示する(ステップS202)。
【0070】
ここで、映像表示装置2Bは、新たに外部装置1から映像信号が入力され、当該映像信号の映像情報(新たな映像情報)が現在の映像情報に対して変化があるか否かを判定し(ステップS203)、変化があると判定した場合には、現在の映像情報を保存する。そして、映像表示装置2Bは、新たな映像情報をもとに映像を表示画面に表示する。すなわち、映像表示装置2Bは、映像情報に変化があった場合には、変化前の映像情報を記憶部10に格納し(ステップS204)、変化後の映像情報を表示画面に表示する(ステップS205)。
【0071】
次に、映像表示装置2Bは、第1の実施形態に係るステップS106の処理と同様に、表示部12の自動調整を適用するか否かを判定する(ステップS206)。
【0072】
表示画面(表示部12)の自動調整を適用すると判定した場合には、映像表示装置2Bは、変化前後の映像情報(すなわち、記憶部に格納されている映像情報)と、変化後の映像情報(すなわち表示部12に表示中の映像情報)とを比較する(ステップS207)。そして、映像表示装置2Bは、映像情報に含まれる各種信号の信号値の変化率ΔHを信号ごとに算出する。
【0073】
分類部100は、信号値の変化率ΔHが信号ごとに算出されると、表示画面の明るさに影響する信号を第1のグループに分類し(ステップS208)、色彩に影響する信号を第2のグループに分類する(ステップS209)。そして、抽出部92Bは、各グループにおいて変化率ΔHが最も大きい信号を抽出する(ステップS210)。この抽出部92Bにより抽出された信号は、ユーザによる表示画面の調整理由であると判定される。
【0074】
特定部93は、抽出部92により抽出された信号に対応する表示画面の各調整項目を特定する(ステップS211)。そして、調整部94は、特定部93が特定した調整項目における現在の設定値S
1,設定値S
2を読み出す(ステップS212)。ここで、第1のグループから抽出された信号の変化率ΔHをΔH
1とし、その信号に対応する設定項目の設定値を設定値S
1とする。また、第2のグループから抽出された信号の変化率ΔHをΔH
2とし、その信号に対応する設定項目の設定値を設定値S
2とする。
【0075】
映像表示装置2Bは、表示画面の調整方向をプラス方向にするかマイナス方向にするかを選択させる選択画面を表示画面に表示する(ステップS213)。なお、本実施形態に係る選択画面は、ステップS206における自動調整を選択するメニュー画面と同じGUIにすることが好ましい。これにより、ユーザは、マウスなどのポインティング・デバイスやボタン等の操作部を操作することで上記選択画面から表示画面の調整方向を選択することができる(ステップS214)。
【0076】
調整部94は、ユーザにより、表示画面の調整方向としてプラス方向が選択された場合には、変化率ΔH
1及び変化率ΔH
2にプラスの符号を付与する(ステップS215)。一方、調整部94は、表示画面の調整方向としてマイナス方向が選択された場合には、変化率ΔH
1及び変化率ΔH
2にマイナスの符号を付与する(ステップS216)。
【0077】
そして、調整部94は、変化率ΔH
1及び変化率ΔH
2にプラス又はマイナスの符号の付与した後、事前に取得した設定値S
1に符号付きの変化率ΔH
1を乗算し、設定値S
2に符号付きの変化率ΔH
2を乗算することで各調整項目の調整値を算出する(ステップS217)。そして、調整部94は、この算出した各調整値を表示部12に送信する。これにより、現在の表示画面の設定値S
1及び設定値S
2が更新される(ステップS218)。
【0078】
以下に、第2の実施形態の実施例について、説明する。
例えば、ユーザが外部装置1(例えば、PC)の操作により、現在の映像表示装置2の表示部12に表示されている映像Xから映像Yに切り替えられると、映像表示装置2の演算制御部9Bは、映像Xの映像信号(映像情報)を記憶部10に格納し、新たに入力された映像信号(映像情報)から映像Yの表示を行う。
【0079】
ここで、ユーザは映像Y及びそれを表示する表示画面の設定を不快に感じて調整を試みる。ただし、映像表示装置2Bの表示画面の調整項目は種類が多く、自身にとって調整が必要な調整項目を特定できないため、自動調整を選択し、調整方向にプラスを選択する。
この場合において、映像表示装置2Bの信号処理部91は、自動調整に際して、映像X, Yの映像情報内の各信号を比較して、各信号の変化率ΔHを算出する。ここで、分類部100は、表示映像の明るさに影響する信号を第1のグループに分類し、色彩に影響する信号を第として分類する。したがって、例えば、抽出部92Bは、各信号の変化前後における第1のグループの各信号の変化率ΔHをグラフ化し(例えば、
図7)、第2のグループの各信号の変化率ΔHをグラフ化する(例えば、
図8)。
【0080】
図7の例では、映像情報の変化前後で第1のグループの信号(1)〜信号(6)のうち、信号(2)の変化率が40(%)上がっており、変化率が閾値以上であって最大である。また、
図8の例では、第2のグループの信号(8)の変化率が40(%)上がっており、変化率が閾値以上であって最大である。そのため、抽出部92Bは、第1のグループから信号(2)を抽出し、第2のグループから信号(8)を抽出する。
【0081】
したがって、特定部93は、表示部12の調整項目から信号(2)と信号(8)に対応する項目を特定し、その設定値を確認する。例えば、信号(2)に対応する表示部12の設定項目の設定値が「20」であり、信号(8)に対応する表示部12の設定項目の設定値が「10」である場合には、調整部94は、これらの設定値に対して信号(2), 信号(8)の変化率40(%)を適用して調整値を算出する。ここで、ユーザの希望する調整方向はプラス方向であるため、調整部94は、信号(2)に対応する設定項目の設定値「20」を+40(%)に調整し、信号(8)に対応する設定項目の設定値「10」を+40(%)に調整する。すなわち、調整部94は、信号(2)の設定値を「28」(=20×1.4)に調整し、信号(8)の設定値を「14」(=10×1.4)に調整する。
【0082】
このように、第2の実施形態においても、ユーザが現在の表示画面に表示された映像の明るさや色度の変更を望む場合、表示画面の調整画面(メニュー画面)から自動調整の実施の選択と、画面の調整方向をプラス方向又はマイナス方向のどちらにするか選択を行えば、映像表示装置2がユーザに最も影響を及ぼす変化のあった信号に対応する画面の調整値の調整を動的に行う。すなわち、映像情報が変化したことでユーザが不快に思って自動調整の実施を選択したとすると、映像表示装置2Bは、映像情報の変化前後で、各グループで最も変化率が大きい信号がユーザを不快に感じさせた原因であるとして、その変化分を動的に調整する。そのため、ユーザは自身の望む調整が必要な調整項目及びその項目の設定値を思案することが不要となる。その結果、表示画面に対して最適な調整を行うことができる。
【0083】
次に、本発明の一実施形態に係る映像表示装置2の主要な構成について、説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置2の主要な構成を説明する図である。
図9に示すように、映像表示装置2は、操作受付部7、抽出部92、特定部93、及び調整部94を備える。
【0084】
操作受付部7は、操作を受け付ける。
抽出部92は、映像情報に変化があり、操作受付部7により操作が受け付けられた場合には、各種信号のうち、映像情報の変化前後で信号値の変化が閾値を超える信号を抽出する。
特定部93は、前記抽出部により抽出された信号に対応する前記表示画面の調整項目を特定する。
調整部94は、特定部93により特定された調整項目の設定値を調整する。
【0085】
これにより、映像表示装置2,2Bは、ユーザに最も影響を及ぼす変化のあった信号に対応する画面の調整値の調整を動的に行うため、ユーザは自身の望む調整が必要な調整項目及びその項目の設定値を思案することが不要となる。したがって、表示画面に対して最適な調整を行うことができる。
【0086】
また、抽出部92は、各種信号のうち、映像情報の変化前後で前記変化が閾値を超える信号であって、最も変化が大きい信号を抽出してもよい。
【0087】
また、本発明の一実施形態に係る映像表示装置は、分類部100を備えてもよい。この分類部100は、各種信号のうち、表示画面の明るさに影響する信号を第1のグループとし、映像の色彩に影響する信号を第2のグループとして分類する。そして、抽出部92(92B)は、各グループにおいて、変化が最大である信号を抽出してもよい。
【0088】
例えば、本発明の一実施形態に係る映像表示装置は、映像表示装置2に入力される信号に変化があり、ユーザが調整を試みたことを検出した場合、映像信号の変化前後における各信号の差を検出後、画面の明るさに影響する信号を第1のグループ、色彩に影響する信号を第2のグループに分類し、各グループにおいて変化率が最も大きい信号は、ユーザによる表示画面の調整理由であると判定するステップを有してもよい。そして、ユーザが望む調整方向をプラスかマイナスでユーザ自身に選択させた後、それにより最大である変化率に符号を付与して表示画面の設定値に乗算する調整手段を備えてもよい。
【0089】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0090】
例えば、0〜100が設定値の調整幅であり、現在の設定値が「80」の調整項目に対して、+40(%)の調整を行うとすると、調整した結果の設定値は「112」となる。ここで、100が最大の調整量であるため、実質+40(%)の調整は行えないことなる。ただし、本実施形態では、最も変化率の高い信号の変化がユーザを不快に感じさせた原因であるとするため、本発明の一実施形態に係る映像表示装置は、設定値を調整幅の最大値である「100」に設定してもよい。また、各グループ内で変化率が最大とされる信号が複数存在する場合、変化率が最大である信号の調整項目の設定値をすべて調整してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、映像表示装置2は、ステップS107やS207において、変化後の映像情報として表示部12に表示中の映像情報を用いたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、変化後の映像情報は、表示画面に表示中の映像情報でなくてもよい。
例えば、映像表示装置2の信号処理部91は、ステップS103やステップS203において、新たな映像情報が現在の映像情報に対して変化があると判定した場合には、現在の映像情報と新たな映像情報とを記憶部10に格納してもよい。すなわち、信号処理部91は、変化前の映像情報と変化後の映像情報とを記憶部10に格納してもよい。この場合には、信号処理部91は、ステップS107やS207において、表示画面の自動調整を適用すると判定した場合には、記憶部10から変化前の映像情報と、変化後の映像情報とを読み出して比較する。