(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の測定部は、前記第2の測定部によって測定された前記体の距離を含む距離範囲内の、レーダ測定によって取得されたスペクトルの部分に基づいて前記バイタルデータを抽出するように構成される、
請求項5に記載の測定装置。
前記動き検出部は、奥行き方向の情報を含む前記画像中の、オブジェクト平面に平行な方向及び奥行き方向の前記関心領域の前記動作に基づいて前記動きを検出するように構成される、
請求項7に記載の測定装置。
前記選択部は、前記第1の測定部によって測定された前記バイタルデータと、前記第2の測定部によって測定された前記バイタルデータとのいずれが前記有効なデータとして設定されているかを示すラベルを前記有効なデータに付すように構成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の測定装置。
前記選択部は、前記動きが、前記第1の基準値以上になっていた後に、前記第1の基準値よりも小さい第2の基準値未満になるように戻るのに応じて、前記第1の測定部によって測定された前記バイタルデータを前記有効なデータになるように設定するように構成される、
請求項9に記載の測定装置。
前記第1の測定部のセンサ部分を、前記第1の測定部が前記体の前記バイタルデータを測定することができる位置及び向きに、前記第2の測定部によって測定された前記動きに含まれる前記体の前記位置と前記向きとの少なくとも一方の変化に応じて相対的に動かすように構成される駆動部
をさらに備える請求項1から12のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの実施形態を説明する。実施形態は請求項に係る発明を限定せず、実施形態で説明されている特徴のすべての組み合せが本発明の態様によって提供される手段に必ずしも必須である訳ではない。
【0011】
(1.測定装置の構成)
図1は本実施形態に係る測定装置1を示す。
測定装置1は被検対象の体9のバイタルデータを測定する装置であり、第1の測定部10、第2の測定部20、検出部30、選択部40、駆動部50、ディスプレイ60及び記憶部70を含む。駆動部50、ディスプレイ60及び記憶部70のうちの少なくとも1つは測定装置1に含まれる必要はない。測定装置1の各部が一体的に形成されてもよく、たとえば据置きされる装置であってもよい。被検対象は人間や動物であってもよい。
【0012】
(1‐1第1の測定部及び第2の測定部)
第1の測定部10は体9のバイタルデータの非接触測定を実行する。たとえば、第1の測定部10は0.2m〜3.0m(例として1m〜1.5m)の距離から体9のバイタルデータを測定してもよい。第1の測定部10は体9の心拍数と呼吸数との少なくとも一方を示すバイタルデータを測定してもよい。第1の測定部10は、体9に対する第1の測定部10の向きと、体9からの第1の測定部10の距離との少なくとも一方を調節するように動作可能であってもよい。例として、第1の測定部10は可動アームに設けられてもよい。第1の測定部10は測定されたバイタルデータを選択部40に提供してもよい。
【0013】
第2の測定部20は第1の測定部10に対する体9の動きを測定する。第1の測定部10に対する体9の動きは第1の測定部10と体9との相対位置及び/又は向きの変化を表わすといえる。たとえば、第1の測定部10に対する体9の動きが、体9及び/又は第1の測定部10の位置及び/又は向きの変化に起因する場合がある。第2の測定部20は体9に接触せずに相対的な動きを測定してもよく、たとえば、体9から1m〜1.5mの距離でこの測定を実行してもよい。第2の測定部20は検出部30に測定された動きデータを供給してもよい。
【0014】
ここで、第1の測定部10がバイタルデータを測定する方法と、第2の測定部20が動きを測定する方法とが互いに異なってもよい。たとえば、第1の測定部10は、体9が動いているときよりも体9が沈静状態であるときにより正確度の高い測定方法を用いて測定を実行してもよい。第2の測定部20は、体9が動いているときでも、正確度がほぼ変わらない測定方法を用いて測定を実行してもよい。以降で詳細にさらに説明されているが、例として、第1の測定部10はレーダを用いて測定を実行してもよく、第2の測定部20は体9の画像を用いて測定を実行してもよい。
【0015】
第2の測定部20は体9のバイタルデータの非接触測定を実行してもよい。第2の測定部20は、体9のバイタルデータと、第1の測定部10に対する体9の動きとを測定するのに同じセンサを用いてもよい。第2の測定部20によって測定されるバイタルデータが第1の測定部10によって測定されるバイタルデータと同じであっても異なってもよい。第2の測定部20によるバイタルデータの測定値の正確度は、体9の動きが第1の基準値未満である場合には、第1の測定部10の正確度よりも低くてもよく、体9の動きが第1の基準値以上である場合には、第1の測定部10の正確度よりも高くてもよい。第2の測定部20は測定されたバイタルデータを選択部40に供給してもよい。
【0016】
(1‐3検出部)
検出部30は、第2の測定部20によって測定された動きが第1の基準値未満であるか否かを検出する。たとえば、検出部30は、測定された動きの指数値が第1の基準値未満であるか否かを検出してもよい。指数値は、たとえば、第1の測定部10と体9との相対位置及び/又は向きの変化量、速度の変化、又は加速度の変化であってもよい。第1の基準値は、第1の測定部10の測定正確度が許容正確度範囲外にある場合の動きの下限値であってもよいし、この下限値にマージンを足すことによって得られる値であってもよい。
【0017】
検出部30は、動きが第1の基準値以上になった後に第2の基準値未満になるように戻っていたか否かを検出してもよい。第2の基準値は第1の基準値未満であってもよい。たとえば、第2の基準値は、第1の測定部10の測定正確度が許容正確度範囲内にある場合の動きの上限値であってもよいし、この上限値からマージンを差し引くことによって得られる値であってもよい。検出部30は検出結果を示す検出信号を選択部40に供給してもよい。
【0018】
(1‐4選択部)
選択部40は、検出部30からの検出信号に基づいた、第2の測定部20によって測定された動きが第1の基準値未満であるという条件で、第1の測定部10によって取得されたバイタルデータを有効なデータになるように設定する。ここで、動きが第1の基準値未満である場合にバイタルデータを有効なデータになるように設定することは、動きが第1の基準値以上である場合のバイタルデータを無効にすることにより、残りのバイタルデータを有効なデータになるように設定することを表わすといえる。たとえば、選択部40は、無効なデータを示し、動きが第1の基準値以上であることに関するラベルをバイタルデータに付してもよい。さらに、選択部40は、動きが第1の基準値以上である場合に無効な値を出力することを第1の測定部10に行なわせてもよい。さらにまた、選択部40は、動きが第1の基準値以上である場合に第1の測定部10を無効化してバイタルデータの供給を停止させてもよく、第1の測定部10からバイタルデータを受けるのを止めてもよい。選択部40は、動きが第1の基準値以上になった後に第2の基準値未満になるように戻るのに応じて、第1の測定部10によって測定されたバイタルデータをバイタルデータになるように設定してもよい。
【0019】
第2の測定部20がバイタルデータを測定するとき、選択部40は、動きが第1の基準値以上であるという条件で、第2の測定部20によって測定されたバイタルデータを有効なデータになるように設定してもよい。たとえば、選択部40は、第1の測定部10からのバイタルデータを有効なデータになるように設定するのに用いられる方法と同様の方法を用いて、第2の測定部20からのバイタルデータを有効なデータになるように設定してもよい。さらに、選択部40は、第1の測定部10によって測定されたバイタルデータと、第2の測定部20によって測定されたバイタルデータとのいずれが有効なデータであるかを示すラベルを有効なデータに付してもよい。
【0020】
選択部40は、有効なデータとして設定されたバイタルデータをディスプレイ60に供給してもよい。選択部40はバイタルデータを記憶部70に供給してもよい。
【0021】
(1‐5駆動部)
駆動部50は、第2の測定部20によって測定された動きに含まれる体9の位置と向きとの少なくとも一方の変化に応じて、第1の測定部10のセンサ部分を所定の位置及び向きに動かして体9のバイタルデータの測定を可能にする。例として、駆動部50は、第1の測定部10が設けられた可動アームを駆動してもよい。第1の測定部10が動かされることが可能であるのであれば、別の方法を用いて駆動部50が第1の測定部10のセンサ部分を動かしてもよい点に留意するべきである。
【0022】
(1‐6ディスプレイ)
ディスプレイ60は、有効になるように設定されたバイタルデータを表示する。たとえば、ディスプレイ60は、第1の測定部10からのバイタルデータが有効である間に第1の測定部10からのバイタルデータを表示し、第2の測定部20からのバイタルデータが有効である間に第2の測定部20からのバイタルデータを表示する。ディスプレイ60は、測定されたバイタルデータをリアルタイムで表示してもよいし、測定が完了したバイタルデータをグラフやチャートに時系列で表示してもよい。複数のタイプのバイタルデータが測定される場合、ディスプレイ60は各タイプのバイタルデータを表示してもよい。ディスプレイ60は、被検対象の識別情報、たとえば体9の画像とともにバイタルデータを表示してもよい。ディスプレイ60は、タッチパネルであってもよいし、タッチによって操作されることが可能であるユーザインタフェースを表示してもよい。
【0023】
(1‐7記憶部)
記憶部70は、第1の測定部10によって測定されたバイタルデータを記憶する。第2の測定部20がバイタルデータを測定する場合、記憶部70は第1の測定部10によって測定されたバイタルデータの他に第2の測定部20によって測定されたバイタルデータを記憶してもよい。記憶部70は、選択部40によって付された有効なデータ及び/又は無効なデータのラベルに関連づけてバイタルデータを記憶してもよいし、選択部40によって有効なデータとして設定されたバイタルデータのみを記憶してもよい。記憶部70はバイタルデータを被検対象毎に記憶してもよい。
【0024】
上述の測定装置を用いれば、第2の測定部20によって測定された動きが第1の基準値未満であるという条件で、第1の測定部10からのバイタルデータが有効なデータになるように設定される。したがって、体9の動きが第1の基準値未満であるときに測定される正確度の高いバイタルデータのみを収集することができる。
【0025】
体9のバイタルデータ及び動きが異なる測定方法を用いて第1の測定部10及び第2の測定部20によって測定されるので、体9のバイタルデータ及び動きの各々を高い正確度で測定することができる。
【0026】
さらに、体9の動きの測定とバイタルデータの測定との両方が第2の測定部20によって実行されるので、これらの測定が別々の測定部によって実行される場合と比較して測定装置1を単純化することができる。さらにまた、動きが第1の基準値以上であるという条件で第2の測定部20によって測定されたバイタルデータが有効なデータになるように設定されるので、体9の動きが第1の基準値以上の場合でも、正確度の高いバイタルデータを収集することができる。したがって、正確度の高いバイタルデータを確実に収集することができる。
【0027】
第1の測定部10によって測定されたバイタルデータと、第2の測定部20によって測定されたバイタルデータとのいずれが有効なデータとして設定されているのかを示すラベルが有効なデータに付される。したがって、バイタルデータを測定した構成要素が第1の測定部10であるのか第2の測定部20であるのかをチェックしつつ、解析などにバイタルデータを用いることができる。
【0028】
動きが第1の基準値以上になった後、動きが、第1の基準値未満である第2の基準値未満になるのに応じて、第1の測定部10からのバイタルデータが有効なデータになるように設定される。したがって、第2の基準値が第1の基準値以上である場合と比較して、バイタルデータを測定する構成要素を第1の測定部10と第2の測定部20とで頻繁に切り替えることを避けることができる。
【0029】
第2の測定部20によって測定された体9の動作及び/又は向きの変化に応じて第1の測定部10のセンサ部分が動かされるので、第1の測定部10を用いて絶えずバイタルデータを測定することができる。したがって、正確度の高いバイタルデータをより確実に収集することができる。
【0030】
(2.第1の測定部の詳細な例)
図2は、本実施形態に係る第1の測定部10を示す。例として、第1の測定部10はレーダ測定を用いてバイタルデータを測定する。たとえば、第1の測定部10は、レーダ測定を用いて体9の胸部、皮膚表面などの周期的な動きを検出して、複数の信号処理アルゴリズムを用いてHR及び/又はRRを抽出してもよい。第1の測定部10は、レーダ部101、アンプ/フィルタ102、ADC(アナログデジタルコンバータ)103、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)104及びバイタルデータ抽出部105を含んでもよい。
【0031】
レーダ部101は電波を放射してこの電波から生じる反射波を測定する。例として、レーダ部101は、FMCW(周波数変調連続波)レーダ、すなわち連続的な周波数変調された電波を用いて測定を実行してもよい。レーダ部101は、互いに90°位相シフトされるI位相(同相)成分とQ位相(直交位相)成分とを含むIQ信号の電波を用いてもよい。レーダ部101は反射波の波形を示す測定信号、たとえばIQ信号をアンプ/フィルタ102に供給してもよい。
【0032】
アンプ/フィルタ102はレーダ部101からの測定信号の増幅及び/又はフィルタリングを実行してもよい。たとえば、アンプ/フィルタ102はIQ信号のノイズ成分を除いてもよく、例として、レーダ部101のサンプリング周波数に対応するエイリアシングノイズを除いてもよいし、電波の乱反射に起因するノイズを除いてもよい。アンプ/フィルタ102は増幅及び/又はフィルタリングされたIQ信号をADC103に供給してもよい。
【0033】
ADC103はIQ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。ADC103は信号処理されたIQ信号をDSP104に供給する。
【0034】
DSP104はデジタル化されたIQ信号に様々な信号処理を実行する。たとえば、DSP104はIQ信号のDC成分を除いてもよい。DSP104は信号処理されたIQ信号をバイタルデータ抽出部105に供給する。
【0035】
バイタルデータ抽出部105は、体9からの反射波がレーダ部101によって測定される場合に、供給された信号から体9のバイタルデータを抽出する。たとえば、バイタルデータ抽出部105は体9のHR及び/又はRRを抽出してもよい。例として、バイタルデータ抽出部105はIQ信号の位相角を計算し、送信信号及び受信信号の位相角からビート周波数を計算し、ビート周波数をFFTに入力し、レーダ部101から反射面までの距離、ドップラシフト周波数及び信号強度の関係を示すスペクトルを生成してもよい。その後、バイタルデータ抽出部105はスペクトルから体9の胸部、皮膚表面などでの往復運動を検出することによってバイタルデータを抽出してもよい。バイタルデータ抽出部105はバイタルデータを選択部40に供給してもよい。ここで、ドップラシフト周波数は、レーダ部101に対して動いており、電波を反射する反射面によって生じる周波数のシフト量であってもよい。バイタルデータ抽出部105は、スペクトルを生成するのにSTFT(短時間フーリエ変換)又はDWT(離散ウェーブレット変換)を用いてもよい。IQ信号の位相角の計算がDSP104によって実行されてもよい。
【0036】
上述の第1の測定部10を用いれば、レーダ測定を用いてバイタルデータが測定され、したがって、体9がほとんど動きを示さない場合に正確度の高いバイタルデータを測定することができる。
【0037】
第1の測定部10は別の構成を有してもよい。たとえば、レーダ測定を用いてバイタルデータを測定することができるのであれば、第1の測定部10についてアンプ/フィルタ102、ADC103及びDSP104のうちの1つ以上を省略してもよい。
【0038】
(3.第2の測定部の詳細な例)
図3は、本実施形態に係る第2の測定部20を示す。第2の測定部20は、たとえば、体9の画像を撮像することによって取得された結果に基づいて動きを測定する。さらに、第2の測定部20は、体9のバイタルデータの非接触測定を実行してもよく、たとえば、HR及び/又はRRを測定してもよい。第2の測定部20は、画像センサ201、奥行きセンサ202、ROI(関心領域(Region Of Interest))抽出部203、動き検出部204及びバイタルデータ抽出部205を含んでもよい。
【0039】
画像センサ201は体のビデオ画像を取得してもよく、たとえば、15〜60fpsのフレームレートで画像を取得してもよい。画像センサ201は少なくとも頭部又は上体を含む画像を取得してもよい。画像センサ201はRGBカラー画像を取得してもよい。画像センサ201は取得された画像データをROI抽出部203に供給してもよい。
【0040】
奥行きセンサ202は視野の奥行き方向の情報を取得してもよい。奥行きセンサ202は画像センサ201と同じ画角で奥行きデータを取得してもよく、たとえば、画像センサ201の各画素の奥行きを含む奥行き画像を取得してもよい。奥行きセンサ202は画像センサ201と同じフレームレートで奥行きデータを取得してもよい。奥行きセンサ202はマルチレンズカメラを用いて奥行きを検出してもよいし、パルスレーザ光を発光してこれにより生じる反射光を受光することによって奥行きを計算してもよい。奥行きを検出する技術は上記に限定されない点に留意するべきである。
【0041】
奥行きセンサ202は奥行きデータをROI抽出部203に供給してもよい。本実施形態の例として、奥行きセンサ202に画像センサ201を一体的に設けて、奥行き方向の情報を含むRGB‐D画像を撮像するRGB‐Dセンサを形成してもよく、奥行きセンサ202はこのRGB‐D画像をROI抽出部203に供給してもよい。奥行き方向は、画像センサを含む光学系の光軸方向であってもよい。
【0042】
ROI抽出部203は、画像中の体9の少なくとも一部に対応するROIをRGB‐D画像データから抽出する。ROIは、輪郭(contour)内に含まれる体9の全部であってもよいし、体9の一部であってもよい。ROIである体9の部分は、バイタルデータが第1の測定部10によって測定される部分(たとえば胸部や皮膚表面)と、バイタルデータが第2の測定部20によって測定される部分(たとえば頭部や上体)との少なくとも一方であってもよい。ROI抽出部203は画像センサ201からの画像データのみからROIを抽出してもよいし、奥行きセンサ202からの奥行き画像データのみからROIを抽出してもよい。ROI抽出部203はセグメンテーションアルゴリズム及びパターン照合を用いてROIを抽出してもよい。
【0043】
ROI抽出部203は、RGB‐D画像データ中のROIに関するデータを動き検出部204及びバイタルデータ抽出部205に供給してもよい。例として、ROI抽出部203は、体9の部分のうちの、バイタルデータが第1の測定部10によって測定される部分がROIである部分のRGB‐D画像データを動き検出部204に供給してもよい。さらに、ROI抽出部203は、体9の部分のうちの、バイタルデータが第2の測定部20によって測定される部分がROIである部分のRGB‐D画像データをバイタルデータ抽出部205に供給してもよい。ROI抽出部203は、供給されたRGB‐D画像データを、ROI部分に付されたラベルとともに供給してもよいし、供給されたRGB‐D画像データからROI部分のみを抽出してこの部分を供給してもよい。
【0044】
動き検出部204は画像中のROIの動きに基づいて体9の動きを検出する。たとえば、動き検出部204は体9の動きとしてROIの動きを検出してもよい。
【0045】
動き検出部204は、奥行き方向の情報を含むRGB‐D画像に基づいて体9の動きを測定してもよい。たとえば、動き検出部204はRGB‐D画像のオブジェクト平面の平行方向及び/又はRGB‐D画像の奥行き方向のROIの動作に基づいて体9の動きを検出してもよい。動き検出部204は、ROIの形状を含むテンプレートを用いてフレーム画像毎にテンプレート照合を実行して、ROIの位置、角度及び寸法の少なくとも1つの変化を検出することによってROIの動きを検出してもよい。画像センサ201とは別に奥行きセンサ202が設けられる場合、動き検出部204はROI抽出部203からROIのRGB画像を取得し、奥行きセンサ202から奥行き画像を取得し、動き検出のためにこれらの画像を用いてもよい。オブジェクト平面は、たとえば、奥行き方向に直交する平面であってもよい。動き検出部204は測定された動きデータを検出部30に供給してもよい。
【0046】
バイタルデータ抽出部205は、バイタルデータ抽出部205に供給されたビデオ画像から体9のバイタルデータを抽出する。たとえば、バイタルデータ抽出部205はiPPG(画像フォトプレチスモグラム(image photoplethysmogram))法を用いて顔面部分のRGBビデオ画像から顔面の色の周期的な変化を検出することによってHRを測定してもよい。さらに、バイタルデータ抽出部205はRGBビデオ画像中の肩部分や顔面部分のエッジの方向及び勾配の大きさを検出することによってRRを測定してもよい。さらに、バイタルデータ抽出部205は奥行きビデオ画像から奥行き方向の体9の周期的な揺らぎを抽出して、この周期的な揺らぎに基づいて体9のHR及び/又はRRを測定してもよい。たとえば、バイタルデータ抽出部205は奥行きビデオ画像から胸部の往復運動を検出することによってRRを測定してもよい。バイタルデータ抽出部205はビデオ画像中の、ROI抽出部203から供給されたROI部分のビデオ画像からバイタルデータを抽出してもよい。このようにして、バイタルデータの抽出の負荷が削減される。バイタルデータ抽出部205はバイタルデータを選択部40に供給してもよい。
【0047】
上述の第2の測定部20を用いれば、体9の画像に基づいて動きが測定され、したがって、オブジェクト平面内の正確度の高い体9の動きを測定することができる。さらに、第2の測定部20が奥行き方向に関する情報を含む画像に基づいて動きを測定するので、オブジェクト平面内の体9の動きに加えて、奥行き方向の体9の動きを高い正確度で測定することができる。
【0048】
ROI抽出部203及び動き検出部204は、画像中の体9の少なくとも一部に対応するROIを抽出して、画像中のROIの動作に基づいて動きを検出する。したがって、第1の測定部10のバイタルデータ測定正確度が動きの発生によって影響される体9の部分をROIになるように設定することにより第1の測定部10によって正確度の低いバイタルデータを収集することを避けることができる。
【0049】
第2の測定部20は別の構成を有してもよい。たとえば、体9の動きを測定することができるのであれば、第2の測定部20について画像センサ201又は奥行きセンサ202、ROI抽出部203及びバイタルデータ抽出部205のうちの少なくとも1つを省略してもよい。さらに、体9の動きを測定し、バイタルデータを測定することができるのであれば、第2の測定部20について画像センサ201又は奥行きセンサ202及びROI抽出部203のうちの少なくとも1つを省略してもよい。
【0050】
(4.測定装置の動作)
図4は測定装置1の動作を示す。測定装置1は、ステップS1からステップS5のプロセスを実行することによって正確度の高い体9のバイタルデータを測定する。
【0051】
まず、ステップS1で、第1の測定部10がバイタルデータを測定し、第2の測定部20が体9の動きを測定する。第2の測定部20はバイタルデータをさらに測定してもよい。
【0052】
たとえば、第2の測定部20の動き検出部204が、RGB‐Dビデオ画像中の、ROI部分(たとえば、第1の測定部10によるバイタルデータ測定のターゲットである部分)のビデオ画像から体9の動きを検出してもよい。さらに、第2の測定部20のバイタルデータ抽出部205が、RGB‐Dビデオ画像中の、ROI部分(たとえば、第2の測定部20によるバイタルデータ測定のターゲットである部分)のビデオ画像からバイタルデータを測定してもよい。
【0053】
さらに、第1の測定部10のバイタルデータ抽出部105が、レーダ部101からの距離、ドップラシフト周波数及び信号強度の関係を示すスペクトルを生成してバイタルデータを測定してもよい。第1の測定部10は、スペクトル中の、第2の測定部20の奥行きセンサ202によって測定された体9の距離を含む距離範囲内の部分に基づいてバイタルデータを測定してもよい。たとえば、第1の測定部10は、体9が含まれる距離範囲中のスペクトルからバイタルデータを抽出してもよい。体9の距離は、奥行き画像の画素の各々の奥行きのうち、ROIの輪郭によって囲まれる部分又は体9の奥行きの平均値であってもよい。第1の測定部10による測定と第2の測定部20による測定との一方が他方の前に実行されてもよい。
【0054】
ここで、第1の測定部10に対する体9の動きが第2の測定部20によって検出される場合、駆動部50が第1の測定部10のセンサ部分を、体9のバイタルデータの測定を可能にする位置及び向きに動かしてもよい。たとえば、体9が第1の測定部10に対して動いていた場合、駆動部50は、この動きが第1の基準値未満になるように、体9の動作に応じて第1の測定部10のセンサ部分の位置及び/又は向きを変更してもよい。さらに、第1の測定部10に対する体9の向きが変化していた場合、駆動部50は、第1の測定部10に対する体9の向きが維持されるように、第1の測定部10のセンサ部分の位置及び向きを変更してもよい。
【0055】
次に、ステップS3で、第2の測定部20によって測定された動きが第1の基準値未満であるか否かを検出部30が検出する。動きが第1の基準値以上であると検出される場合、検出部30は動きが第2の基準値未満になるように戻っていたか否かをさらに検出してもよい。
【0056】
次に、ステップS5で、動きが第1の基準値未満であるという条件で、第1の測定部10からのバイタルデータを有効なデータになるように選択部40が設定する。選択部40は、動きが第1の基準値以上であるという条件で、第2の測定部20からのバイタルデータを有効なデータとして設定してもよい。動きが第1の基準値以上であると検出されていた場合、選択部40は、動きが第2の基準値未満になるように戻っていない場合に限り、第2の測定部20からのバイタルデータを有効なデータになるように設定してもよく、動きが第2の基準値未満になるように戻っているという条件で、第1の測定部10からのバイタルデータを有効なデータになるように設定してもよい。選択部40は有効なバイタルデータをディスプレイ60に表示してもよく、さらに、有効なバイタルデータを記憶部70に記憶することも行なってもよい。
【0057】
上述の動作を用いれば、第2の測定部20によって測定された体9の距離を含む距離範囲内においてレーダ測定を用いて取得されたスペクトルの部分に基づいてバイタルデータが抽出される。したがって、体9が存在しない距離範囲内の情報、たとえば、乱反射によって生じるノイズ情報を排除しつつ、スペクトルからバイタルデータを抽出することができる。
【0058】
(5.変形例)
上述の本実施形態では、測定装置1は据置き型の装置であるように説明されているが、その代わりに移動式であってもよい。たとえば、測定装置1は操作者による外力に応じて体9に対して動いてもよいし、図面に示されていない移動動力源を内蔵して自走してもよい。この場合、移動動力源は駆動部50であってもよく、測定装置1が自走する結果として第1の測定部10が体9に対して動いてもよい。測定装置1が動いている間にバイタルデータ測定正確度が下がる場合に、無効なデータを示すラベルが移動中に取得されたバイタルデータに選択部40によって付されてもよい点に留意するべきである。
【0059】
上記の説明では、体9に対して第1の測定部10のセンサ部分を駆動部50が動かすが、これの代わりに、又はこれに加えて、第1の測定部10に対して体9が動かされてもよい。たとえば、被検対象の体9を支持する支持部材(たとえばスツールや椅子)を駆動することによって第1の測定部10に対して体9を駆動部50が動かしてもよい。
【0060】
上記の説明では、バイタルデータとしてHR及び/又はRRが測定されるが、これの代わりに、又はこれに加えて、HRV(心拍変動)が測定されてもよい。
【0061】
上記の説明では、第2の測定部20は、動き及び/又はバイタルデータを測定する手段として画像センサ201及び奥行きセンサ202を含むが、これの代わりに、又はこれに加えて、サーモグラフ(thermograph)が含まれてもよい。この場合、第2の測定部20は、熱画像に示された体9の輪郭の位置、角度及び寸法のうちの少なくとも1つの変化から体9の動きを検出してもよい。さらに、第2の測定部20はバイタルデータとして体温を測定してもよい。さらに、また、第2の測定部20は、熱画像中の口部分や鼻部分の体温の周期的な変化や、熱画像中の肩部分や顔面部分のエッジの方向及び勾配の大きさからRRを測定してもよい。さらにまた、第2の測定部20は、血流に起因する熱画像の周期的な変化からHRを測定してもよい。
【0062】
図10は、本発明の実施形態に係る、上述の動作を実行するように構成されているコンピュータの典型的なハードウェアの構成を示す。コンピュータ700にインストールされたプログラムにより、本発明の実施形態の装置又は装置の1つ以上の部分(モジュール、コンポネント、要素などを含む)として機能したり、装置又は装置の1つ以上の部分に関連する動作を実行したりすることをコンピュータ700に行なわせることができ、かつ/又は本発明の実施形態のプロセス又はプロセスのステップを実行することをコンピュータ700に行なわせることができる。このようなプログラムがCPU700‐12によって実行されて、ここで説明されているフローチャート及びブロック図のブロックの一部又は全部に関連するいくつかの動作を実行することをコンピュータ700に行なわせてもよい。
【0063】
本実施形態に係るコンピュータ700は、CPU700‐12、RAM700‐14、グラフィックスコントローラ700‐16及び表示デバイス700‐18を含み、これらはホストコントローラ700‐10によって相互に接続される。コンピュータ700は、通信インタフェース700‐22、ハードディスクドライブ700‐24、DVD‐ROMドライブ700‐26及びICカードドライブなどの入力/出力ユニットも含み、これらは入力/出力コントローラ700‐20を介してホストコントローラ700‐10に接続される。コンピュータは、ROM700‐30及びキーボード700‐42などのレガシ入力/出力ユニットも含み、これらは入力/出力チップ700‐40を介して入力/出力コントローラ700‐20に接続される。
【0064】
CPU700‐12はROM700‐30及びRAM700‐14に記憶されたプログラムにしたがって動作し、これにより、各ユニットを制御する。グラフィックスコントローラ700‐16は、RAM700‐14に設けられたフレームバッファなどにCPU700‐12によって生成されたり、CPU700‐12によってCPU700‐12それ自体に生成されたりする画像データを取得し、画像データが表示デバイス700‐18に表示されるようにする。
【0065】
通信インタフェース700‐22はネットワーク700‐50を介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ700‐24は、コンピュータ700中のCPU700‐12によって用いられるプログラム及びデータを記憶する。DVD‐ROMドライブ700‐26はDVD‐ROM700‐01からプログラムやデータを読み込んで、RAM700‐14を介してハードディスクドライブ700‐24にプログラムやデータを提供する。ICカードドライブはICカードからプログラム及びデータを読み込みかつ/又はICカードにプログラム及びデータを書き込む。
【0066】
ROM700‐30は、起動時にコンピュータ700によって実行されるブートプログラムなど、及び/又はコンピュータ700のハードウェアに応じたプログラムを記憶する。また、入力/出力チップ700‐40は、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポートなどを介して入力/出力コントローラ700‐20に様々な入力/出力ユニットを接続してもよい。
【0067】
DVD‐ROM700‐01やICカードなどのコンピュータ可読媒体によってプログラムが提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み出されて、ハードディスクドライブ700‐24、RAM700‐14やROM700‐30(これらもコンピュータ可読媒体の例)にインストールされ、CPU700‐12によって実行される。これらのプログラムに記述されている情報処理がコンピュータ700に読み込まれることで、プログラムと上述の様々なタイプのハードウェアリソースとの協働が実現される。コンピュータ700‐の使用に係る動作又は情報の処理を実現することによって装置又は方法が構成されてもよい。
【0068】
たとえば、コンピュータ700と外部デバイスとの間で通信が行なわれるとき、CPU700‐12は、RAM700‐14にロードされた通信プログラムを実行して、通信プログラムに記述された処理に基づいて通信インタフェース700‐22に通信処理を指示してもよい。通信インタフェース700‐22は、CPU700‐12の制御を受けて、RAM700‐14、ハードディスクドライブ700‐24、DVD‐ROM700‐01やICカードなどの記録媒体に設けられた送信バッファリング領域に記憶されている送信データを読み込んで、読み込んだ送信データをネットワーク700‐50に送信したり、ネットワーク700‐50から受けた受信データを記録媒体に設けられた受信バッファリング領域などに書き込んだりする。
【0069】
さらに、CPU700‐12を用いて、ハードディスクドライブ700‐24、DVD‐ROMドライブ700‐26(DVD‐ROM700‐01)、ICカードなどの外部記録媒体に記憶されているファイルやデータベースの全部又は必要な部分をRAM700‐14に読み込んで、RAM700‐14上のデータに様々なタイプの処理を実行してもよい。その後、CPU700‐12は処理されたデータを外部記録媒体に戻して書き込んでもよい。
【0070】
様々なプログラム、データ、テーブル及びデータベースなどの様々な情報が情報処理を受けるように記録媒体に記憶されてもよい。CPU700‐12はRAM700‐14から読み出されたデータに対して、様々なタイプの操作、情報の処理、条件判定、条件付き分岐、無条件分岐、情報の検索/置換などを含む様々なタイプの処理を、本開示にわたって説明され、プログラムの指示列によって指定されているように実行して、結果をRAM700−14に戻して書き込んでもよい。さらに、CPU700‐12は記録媒体中のファイル、データベースなどにある情報を検索してもよい。たとえば、各々が第2の属性の属性値に関連する第1の属性の属性値を有する複数のエントリが、記録媒体に記憶されている場合において、CPU700‐12は、条件に適合するエントリの第1の属性の属性値を指定して、複数のエントリ中から当該条件に適合するエントリを検索してもよく、CPU700‐12は、エントリに記憶されている第2の属性の属性値を読み込むことにより、第1の属性に関連し、既定の条件を満たす第2の属性の属性値を取得する。
【0071】
上記で説明されているプログラムやソフトウェアモジュールはコンピュータ700上のコンピュータ可読媒体や、コンピュータ700の近くにあるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。さらに、専用の通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けられたハードディスクやRAMなどの記録媒体がコンピュータ可読媒体として用いられることで、プログラムをネットワークを介してコンピュータ700に提供することができる。
【0072】
本発明の実施形態が説明されてきたが、本発明の技術的範囲は上記で説明されている実施形態に限定されない。上記の実施形態に様々な変更及び改良が加えられることが可能であることは当業者には明らかである。このような変更又は改良が加えられた実施形態が本発明の技術的範囲に含まれることが可能であることも請求項の範囲から明らかである。
【0073】
請求項、実施形態や図に示されている装置、システム、プログラム及び方法によって実行される各プロセスの動作、手順、ステップ及び段階は、順序が「先立って(prior to)」、「前(before)」などによって明示されない限り、また、前のプロセスからの出力が後のプロセスで使用されない限り、任意の順序で実行されることが可能である。プロセスフローが請求項、実施形態や図において「最初に(first)」、又は、「次に(next)」などの語句を用いて記載されている場合であっても、プロセスがこの順序で実行されなければならないことをプロセスフローが必ずしも意味する訳ではない。
【0074】
正確度の高いバイタルデータのみを収集するための測定装置、コンピュータ実施方法、プログラム及び1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を実現するのに本発明の実施形態が用いられることが可能であることが上記から明らかになる。