(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先に前記刺激を前記複数のストレージノードに印加した後、前記制御回路は、前記複数のストレージノードの選択されたストレージノードに信号を印加するように構成されており、前記信号は、前記選択されたストレージノードの閾値スイッチングセレクタを非導電状態から導電状態に切り替えるために前記動作閾値電圧よりも高い大きさの電圧を有し、かつ前記選択されたストレージノードの選択されたメモリセルの抵抗を切り替える電流プロファイルを有する、請求項1に記載の装置。
前記複数のストレージノードの前記閾値スイッチングセレクタの前記初期状態から前記動作状態への前記遷移が、通常の動作/ストレージ条件において不可逆的である、請求項1に記載の装置。
前記形成電圧が、通常の動作/ストレージ条件において、前記閾値スイッチングセレクタを、前記初期閾値電圧を有する第1の非晶質状態から、前記動作閾値電圧を有する第2の非晶質状態に不可逆的に変換する、請求項13に記載の方法。
前記ストレージノードが、複数のストレージノードを含むクロスポイントメモリアレイ内にあり、各ストレージノードは、メモリセルと直列した閾値スイッチングセレクタを含み、
前記形成電圧を含む信号が、前記複数のストレージノードの異なるサブセットに1サブセットずつ印加されて、ピーク電流消費を最大許容レベル未満に維持しながら、前記異なるサブセットの前記閾値スイッチングセレクタの閾値電圧を低減させる、請求項13に記載の方法。
前記制御回路が、前記クロスポイントメモリアレイのワード線及び/又はビット線の異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、請求項16に記載の装置。
前記制御回路が、前記クロスポイントメモリアレイの前記閾値スイッチングセレクタの異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
クロスポイントメモリアレイなどのメモリデバイス内にセレクタを形成するための装置及び技術が記載される。
【0025】
クロスポイントメモリアレイは、高い密度を有する不揮発性メモリの高速ランダムアクセスなどの利点により、ますます普及してきている。クロスポイントメモリアレイは、グリッド内に、行及び列に、ワード線とビット線との交点に配置されたメモリセルを含む。メモリセルは、1つ以上のレベルに配置することができる。例えば、
図1B、
図1C、
図3及び
図9を参照されたい。メモリセルの一部分には、行及び/又は列のサブセットを選択することによってアクセスすることができる。
【0026】
各メモリセルは、アレイのストレージノード内のセレクタと直列である。例えば、
図1Aを参照されたい。セレクタは、プログラム又は読み出し動作中の選択されたメモリセルへのアクセスを可能にすると同時に、回り込み電流が他の選択されていないメモリセルを通過することを防止する。動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)及びフラッシュメモリなど、低電流で読み出し及び書き込みを行うことができるメモリセルの場合、比較的小さい電界効果トランジスタ(FET)をセレクタとして使用することができる。
【0027】
しかしながら、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、相変化メモリ(PCM)、及び抵抗変化型メモリ(RRAM)などの新たなメモリ技術は、動作するためにより高い電流を必要とする。これらのタイプのメモリセルのそれぞれは、メモリセルの切り替え可能な抵抗状態によってデータを記憶する。典型的には、セルごとに1つのビットが記憶されるが、いくつかの技術は、セルごとに2つ以上のビットを可能にする。MRAMセルは、異なる磁区内にデータを記憶する。
【0028】
PCMセルは、異なる抵抗レベルを有する異なる相又は状態に設定することができる相変化材料を含む。状態は、電力が供給されていないときに維持され、その結果、メモリセルは不揮発性である。相変化材料としては、カルコゲニド、カーボンポリマー、ペロブスカイト、並びに特定の金属酸化物(MeOx)及び金属窒化物(MeN)が挙げられる。PCMセル用のスイッチング機構は、非晶質から結晶への相変化(設定動作)又は結晶から非晶質への相変化(リセット動作)を引き起こすために十分なジュール加熱を発生させることを伴う。PCMセルは、結晶状態にある間は比較的低い抵抗を有し、非晶質状態にある間は比較的高い抵抗を有する。ReRAMセル用のスイッチング機構は、薄い酸化物層内にフィラメント又は導電経路を形成してセルの抵抗を低下させる電圧をセルに印加することを伴う。メモリセルがプログラミングされた後、読み出し動作を実施して、メモリセル内に記憶されたデータ状態を判定することができる。
【0029】
新たなメモリ技術のより高い電流を取り扱うために、各ストレージノードにおいてそのような電流を駆動することができる大きなセレクタを使用することは実用的ではない。代わりに、閾値スイッチングセレクタは、メモリセルと同じフォームファクタで製造することができ、比較的高い電流を取り扱うこともできるため、より良好な候補であると考えられる。閾値スイッチングセレクタは、その閾値電圧よりも低い電圧にバイアスされると高い抵抗を有し(オフ又は非導電状態にある)、その閾値電圧よりも高い電圧にバイアスされると低い抵抗を有する(オン又は導電状態にある)。閾値スイッチングセレクタは、その電流が保持電流未満に低下させられるか、又は電圧が保持電圧未満に低下させられるまで、オンのままである。これが起こると、閾値スイッチングセレクタはオフ状態に戻る。したがって、ストレージノード内のメモリセルをプログラミングするために、関連する閾値スイッチングセレクタをオンにし、かつメモリセルを設定又はリセットするのに十分な電圧が印加される。
図6A〜
図6Cを参照されたい。
【0030】
しかしながら、メモリデバイスが製造された後、典型的には製造業者による試験中に、閾値スイッチングセレクタがメモリデバイスの寿命内で初めてオンにされるとき、閾値電圧は、セレクタの後続の使用におけるものよりも実質的に高い。1回目の使用中にセレクタをオンにするために必要とされる電圧(初回発火電圧と称される)は、2回目及び他の以降の使用中にセレクタをオンにするために必要とされる電圧よりも実質的に高い。これは、閾値スイッチングセレクタが初めてオンにされるときに起こる変換に起因する。セレクタの状態は、初期閾値電圧(Vinit)を有する初期非晶質状態から、初期閾値電圧よりも低い動作閾値電圧(Vop)を有する動作状態に変換される。変換は、セレクタの閾値電圧の恒久的かつ不可逆的な減少をもたらす。変換(形成プロセスと称される)は、セレクタ材料の熱効果に起因し得る構造変化である。
【0031】
形成プロセスは、Vinitよりも大きい初回発火電圧を必要とするので、メモリデバイスの回路は、形成に伴う比較的大きな電圧/電流を取り扱うようにサイズ決定されなければならない。これは、形成プロセスがメモリデバイスの寿命内で1回限りのイベントである場合であっても当てはまる。アレイの行及び列を駆動するドライバ回路は、ターゲットセルの電圧及び電流、並びに選択された行及び列に対する全ての漏れ電流の合計を運ぶようにサイズ決定されなければならないので、この必要条件は、メモリデバイスのサイズを増大させる。これらのドライバは、シリコン基板の比較的大きな面積を占め、メモリデバイスの容量を制限する。
【0032】
本明細書で提供される技術は、上記及び他の問題に対処する。1つのアプローチでは、セレクタに印加される電圧が初期閾値電圧及び/又は動作閾値電圧未満である、閾値スイッチングセレクタのための形成プロセスが提供される。形成プロセスは、プログラミング及び読み出しなどの通常の動作がアレイのメモリセルに対して実施される前に、所定の持続時間にわたって閾値下電圧/電流などの刺激又はストレスをセレクタに印加することを伴う。
【0033】
形成プロセスは、セレクタの閾値電圧を初期閾値電圧から動作閾値電圧まで低下させる。このプロセスは、動作閾値電圧に基づいてセレクタをオンにするように回路をサイズ決定することができるので、回路の小型化を可能にする。特定の特性を有する刺激信号をセレクタに印加することができる。特定の特性は、初期閾値電圧及び/又は動作閾値電圧未満に電圧を維持しながら形成プロセスを完了するのに十分な特定の期間、電圧及び電流を含むことができる。
図8Aを参照されたい。
【0034】
1つのアプローチでは、アレイ内の各セレクタは、アレイの行及び列の全てに同時に刺激を印加することによって、同時に形成することができる。又は、形成に使用される電流を低減するために、アレイ内のセレクタの異なるサブセットを1サブセットずつ異なる時間に形成することができる。例えば、刺激は、行のサブセット及び列の全て、行の全て及び列のサブセット、又は行のサブセット及び列のサブセットに印加することができる。
図8B及び
図9を参照されたい。
【0035】
これら及び他の特徴は、以下で更に説明される。
【0036】
図1Aは、セレクタと直列したメモリセルを含む例示的なストレージノードの断面図を示す。メモリアレイは、多数のストレージノードから構成することができる。例示的なストレージノード100は、電極102と電極103との間のメモリセル101、及び電極103と電極105との間のセレクタ104を含む。セレクタは、上方、下方、又は側方など、メモリセルに対して任意の位置にあることができる。セレクタは、メモリセルと直列である。
【0037】
上述のように、メモリセルは、2つ以上の状態の間で可逆的に切り替えられてもよい。例えば、メモリセルは、第1の電圧及び/又は電流を印加すると低抵抗性状態に切り替え可能な、製造時の初期高抵抗性(高抵抗)状態であってもよい。第2の電圧及び/又は電流の印加が、メモリセルを高抵抗性状態に戻してもよい。代替的に、メモリセルは、適切な電圧及び/又は電流を印加すると高抵抗状態に可逆的に切り替え可能な、製造時の初期低抵抗状態であってもよい。ある抵抗状態はバイナリ「0」を表してもよく、同時に別の抵抗状態はバイナリ「1」を表してもよい。しかしながら、3つ以上のデータ/抵抗状態が使用されてもよい。メモリは、1つ以上の可逆的な抵抗変化材料を含んでもよい。カルコゲニド、カーボンポリマー、ペロブスカイト、並びに、例えば、NiO、Nb2O5、TiO2、HfO2、Al2O3、MgOx、CrO2、VO、BN、及びAlNなど、金属酸化物又は窒化物などの特定の金属酸化物及び窒化物を含む、様々な材料が、可逆的な抵抗スイッチング挙動を示す。カルコゲニドの例としては、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)の任意の好適な化合物が挙げられる。一例は、Ge2Sb2Te5である。
【0038】
電極は、チタン(Ti)又は窒化チタン(TiN)などの金属で形成されてもよい。
【0039】
セレクタは、例えば、オボニック閾値スイッチング材料を含むことができる。
図5に提供される例としては、Ge−Se、Ge−Se−N、Ge−Se−As、Ge−Se−Sb−N、Ge58Se42、GeTe
6、Si−Te、Zn−Te、C−Te、B−Te、Ge−As−Te−Si−N、Ge−As−Se−Te−Si及びGe−Se−As−Teが挙げられる。
【0040】
セレクタは、メモリセルへのアクセスを制御する。具体的には、電圧又は電流をメモリセルに印加してその抵抗状態を変化させるために、対応するセレクタは、最初に、十分に高い電圧、例えば、動作閾値電圧よりも高い大きさの電圧を印加することによって導電状態に切り替えられなければならない。
図6A〜
図6Cも参照されたい。セレクタが非導電状態にあるとき、例えば、セレクタの両端電圧が動作閾値電圧よりも低い大きさのとき、メモリセルは分離され、その既存の抵抗状態を維持する。
【0041】
図1Bは、2D構成におけるメモリセルの例示的なクロスポイントメモリアレイ110の斜視図を示し、各ストレージノードは、ワード線及びビット線に接続されている。ストレージノードは、この例では単一のレベルに配置されている。この簡略化された例では、4本のワード線WL0〜WL3及び4本のビット線BL0〜BL3が存在する。ストレージノードの行は、WL3に関連付けられた行120を含む、各ワード線に関連付けられている。ストレージノードの列は、BL0に関連付けられた列130を含む、各ビット線に関連付けられている。
【0042】
ワード線及びビット線は、タングステン若しくは銅(任意の適切な金属)が高濃度ドーピングされた半導体材料、導電性シリサイド、導電性シリサイド−ゲルマニド、又は導電性ゲルマニドなどの導電材料を含む。この例では、導体はレール形状であり、ワード線は互いに平行に延在し、ビット線は互いに平行に延在する。加えて、ワード線は、ビット線に対して垂直に延在する。
【0043】
各ストレージノードは、それぞれのワード線とビット線との交点に位置する。例えば、ストレージノード100は、WL3とBL3との交点に位置する。電圧をストレージノードの両端に印加するために、制御回路はWL3及びBL3にわたって電圧を印加する。
【0044】
図1Cは、3D構成における2つのレベルに配置されたメモリセルの例示的なクロスポイントメモリアレイの斜視図を示す。ストレージノードは、この例では、下側レベル140及び上側レベル150を含む、2つのレベルに配置されている。3つ以上のレベルが使用されてもよい。
【0045】
各レベルは、クロスポイントメモリアレイ内の複数のストレージノードを含む。加えて、ビット線BL0〜BL3は、例えば、下側及び上側レベルによって共有されてもよい。下側レベルはワード線WL0_1〜WL3_1を含み、上側レベルはワード線WL0_2〜WL3_2を含む。
【0046】
上記の例は、メモリセルを円筒形状又は柱形状で、導体をレール形状で示している。しかしながら、他の選択肢もあり得る。
【0047】
図2は、
図1B及び
図1Cのメモリセルのクロスポイントメモリアレイを使用することができる例示的なメモリシステムのブロック図を示す。メモリシステム200は、上述したようなメモリセルの2又は3次元アレイとすることができるメモリアレイ202を含む。一実施形態では、メモリアレイ202は、モノリシック3次元メモリアレイであり、例えば、ウェハなどの単一の基板の上方に介在基板なしで複数のメモリレベルが形成されているアレイである。1つのメモリレベルを形成する層は、既存のレベルの層の上に直接堆積又は成長させられる。対照的に、積層メモリは、別個の基板上にメモリレベルを形成し、メモリレベルを互いの上に接着することによって構築されてきた。
【0048】
メモリアレイ202のアレイ端子線は、行として編成されたワード線の様々な層、及び列として編成されたビット線の様々な層を含む。ただし、他の配向もまた、実施することができる。
【0049】
メモリシステムは、行制御回路220を含み、その出力208は、メモリアレイ202のそれぞれのワード線に接続されている。行制御回路220は、システム制御論理回路230から行アドレス信号及び様々な制御信号を受信し、また典型的には、読み出し動作及びプログラミング(例えば、設定及びリセット)動作の両方のために、行デコーダ222、アレイ端子ドライバ224、及びブロック選択回路226のような回路を含み得る。メモリシステムはまた、列制御回路210も含み、その入力/出力206は、メモリアレイ202のそれぞれのビット線に接続されている。列制御回路210は、システム制御論理230から列アドレス信号及び様々な制御信号を受信し、また典型的には、列デコーダ212、アレイ端子レシーバ又はドライバ214、ブロック選択回路216、及び読み出し/書き込み回路(センスアンプ及びI/Oマルチプレクサを含む)のような回路を含み得る。システム制御論理230は、ホストからデータ及び命令を受信し、出力データをホストに提供する。他の実施形態では、システム制御論理230は、別個のコントローラ回路からデータ及び命令を受信し、出力データをそのコントローラ回路に提供し、コントローラ回路がホストと通信する。システム制御論理230は、メモリシステム200の動作を制御するために1つ以上の状態マシン、レジスタ、及び他の制御論理を含んでもよい。
【0050】
一実施形態では、
図2に描写した全ての構成要素は、単一の集積回路上に配置されている。例えば、システム制御論理230,列制御回路210及び行制御回路220は、基板の表面上に形成することができ、モノリシック3次元メモリアレイ内のメモリアレイ202は、基板の上方(並びに、したがって、システム制御論理230、列制御回路210及び行制御回路220の上方)に形成することができる。場合によっては、制御回路の一部分は、メモリアレイの一部と同じ層上に形成することができる。
【0051】
メモリシステム内の回路と一緒に、外部試験機器が、メモリシステムに接続されて、セレクタの形成を含む、本明細書に記載の技術を実施することができる。又は、技術は、完全にメモリシステム内で実施されてもよい。
【0052】
図3は、
図2のメモリシステムの詳細の例示的な構成を示す。回路は、
図1Bの例示的なアレイと一致する。上述のように、この簡略化された例では、アレイ110は、4つの行及び4つの列に配置された16個の例示的なストレージノードを含んでおり、各行はそれぞれのワード線WL0〜WL3に接続され、各列はそれぞれのビット線BL0〜BL3に接続されている。各ストレージノードは、1つの端子が第1の制御線(例えば、ワード線)に接続され、別の端子が第2の制御線(例えば、ビット線)に接続されている、2端子デバイスであってもよい。
【0053】
例えば、ストレージノードM00、M01、M02及びM03は、WL0に、並びにそれぞれ、ビット線B0、B1、B2及びB3に接続され、ストレージノードM10、M11、M12及びM13は、WL1に、並びにそれぞれ、ビット線B0、B1、B2及びB3に接続され、ストレージノードM20、M21、M22及びM23は、WL2に、並びにそれぞれ、ビット線B0、B1、B2及びB3に接続され、ストレージノードM30、M31、M32及びM33は、WL3に、並びにそれぞれ、ビット線B0、B1、B2及びB3に接続されている。
【0054】
各ビット線及びワード線は、1つのアプローチでは、BL0及びWL2に対する例示的な端子317及び318を含む円形端子によってそれぞれ示されるように、開回路によって終端することができる。
【0055】
1つのアプローチでは、選択されていないワード線及び選択されていないビット線の両方に接続されている選択されていないストレージノードは、それらの端子の両方において、読み出し又は書き込み動作中に等しい正の電圧(分離電圧)でバイアスされて、選択されていないメモリセルが読み出される又は書き込まれるのを防止することができる。選択されていないストレージノードは、読み出し又は書き込み動作に対して選択されていないストレージノードである。選択されたメモリセルは、読み出し又は書き込み(プログラム)動作に対して選択されているメモリセルである。WL3及びBL3に接続されている、M33は、
図1Bのストレージノード100に対応する例示的な選択されたストレージノードである。選択されたストレージノード又はメモリセルは、選択されたビット線又は列と選択されたワード線又は行との交点にある。選択されていないストレージノードのうちのいくつか(例えば、M30、M31及びM32)は、選択されたワード線(WL3)及び選択されていないビット線(BL0、BL1、及びBL2)に接続されるが、他の選択されていないストレージノード(M03、M13、M23)は、選択されていないワード線(WL0、WL1及びWL2)及び選択されたビット線(BL3)に接続されている。
【0056】
ワード線へのアクセスは、ワード線デコーダトランジスタ及びワード線分離トランジスタによって制御される。回路は、ユニポーラモード又はバイポーラモードで動作することができる。以下の説明は、ユニポーラモードを、又はバイポーラモードの1つのスイッチング方向又は極性を指す。バイポーラモードの反対のスイッチング方向又は極性の場合、WL電圧ドライバ260及びWLデコーダトランジスタドライバ261の役割は、それぞれ、WL分離電圧ソース263及びWL分離トランジスタドライバ262の役割と交換される。同様に、BL電圧ドライバ264及びBLデコーダトランジスタドライバ265の役割は、それぞれ、BL分離電圧ソース267及びBL分離トランジスタドライバ266の役割と交換される。
【0057】
pチャネルMOSFETなどのワード線デコーダトランジスタWd0〜Wd3はそれぞれ、それぞれのワード線を選択又は選択解除するように、WL0〜WL3に連続的に接続されている。ワード線デコーダトランジスタは、メモリセルとWL電圧ドライバ260との間に接続されている。例示的な選択されたストレージノードM33では、デコーダトランジスタWd3は、WLデコーダトランジスタドライバ261から0Vなどの低い制御ゲート電圧を印加することによって、選択されるか、又は導電状態で提供される。この場合、Wd3は、WL電圧ドライバからの電圧がWL3に到達することを可能にする。同時に、ワード線デコーダトランジスタWd0、Wd1及びWd2は、WLデコーダトランジスタドライバ261から8Vなどのより高い制御ゲート電圧を印加することによって、選択解除されるか、又は非導電状態で提供され得る。この場合、Wd0、Wd1及びWd2は、それぞれ、電圧がWL0、WL1及びWL2に到達するのを防止する。WLデコーダトランジスタWd0〜Wd3のソースは、経路360を介して互いに接続することができる。
【0058】
各ワード線WL0〜WL3はまた、それぞれ、ワード線分離トランジスタW0〜W3に並列に接続されており、これらのワード線分離トランジスタは、分離電圧、例えば、経路363上の4Vを、WL分離電圧ソース263から、選択されていないワード線に渡すように導電状態で提供することができる。これらのトランジスタは、1つのアプローチでは、nチャネルMOSFETであってもよく、経路363上の共通電圧に接続されたソースを有する。選択されたワード線WL3の場合、W3は、例えば、4Vの制御ゲート電圧を印加することによって、非導電状態で提供されて、分離電圧をワード線から切り離す。選択されていないワード線WL0、WL1及びWL2の場合、W0、W1及びW2は、例えば、8Vの制御ゲート電圧を印加することによって、導電状態で提供されて、分離電圧をそれぞれのワード線に接続する。
【0059】
ビット線へのアクセスは、ビット線デコーダトランジスタ及びビット線分離トランジスタによって制御される。
【0060】
nチャネルMOSFETなどのビット線デコーダトランジスタBd0〜Bd3はそれぞれ、それぞれのビット線を選択又は選択解除するように、BL0〜BL3に連続的に接続されている。ビット線デコーダトランジスタは、メモリセルとBL電圧ドライバ264との間に接続されている。読み出し又は書き込み動作中、選択されたビット線は、それぞれのデコーダトランジスタを導電状態で提供することによって、経路364を介してビット線電圧ドライバ264に接続することができる。例えば、BL3は、Bd3を導電状態で提供することによって、例えば、その制御ゲートに4Vを印加することによって、電圧ドライバ264に接続することができる。BL0〜BL2は、Bd0〜Bd2を非導電状態で提供することによって、例えば、それらの制御ゲートに0Vを印加することによって、電圧ドライバ264から切り離すことができる。Bd0〜Bd3のドレインは、経路364を介して互いに接続することができる。
【0061】
pチャネルMOSFETであってもよい、ビット線分離トランジスタB0〜B3はそれぞれ、分離又は選択解除電圧をビット線に渡すか、又は分離電圧をビット線から切り離すように、ビット線BL0〜BL3に接続されている。BL3などの選択されたビット線の場合、対応の分離トランジスタB3は、制御ゲート上に4Vなどの高い電圧を提供することによって、非導電状態で提供される。これは、経路321上の分離電圧がBL3に到達するのを防止する。BL0〜BL2などの選択されていないビット線の場合、それぞれの分離トランジスタB0〜B2は、それらの制御ゲート上に0Vなどの低い電圧を提供することによって、導電状態で提供される。これは、経路321上の分離電圧を、BL1〜BL3のそれぞれに、及びそれらのビット線に接続された選択されていないメモリセルに接続する。
【0062】
形成動作もまた、アレイ内の全てのストレージノード上で、又はアレイのストレージノードの異なるサブセット上で、同時に実施することができる。例えば、WL3に接続されたストレージノードM30〜M33を含むサブセットに対する形成動作を考える。これらのストレージノードに形成電圧を印加するために、デコーダトランジスタWd3は、WL電圧ドライバからの電圧がWL3に到達することを可能にするように選択される。同時に、ワード線デコーダトランジスタWd0、Wd1及びWd2は、それぞれ、電圧がWL0、WL1及びWL2に到達するのを防止するように選択解除され得る。各ビット線BL0〜BL3は、それぞれのデコーダトランジスタを導電状態で提供することによって、経路364を介してビット線電圧ドライバ264に接続される。それぞれの分離トランジスタは非導電状態で提供される。様々なドライバは、
図2のアレイドライバ224の一部とすることができる。
【0063】
回路245は、様々な電圧ドライバに接続されている。例えば、WL電圧ドライバ260は、WLデコーダトランジスタのそれぞれに接続されている経路360上に電圧を提供することができる。WLデコーダトランジスタドライバ261は、経路361を介してWLデコーダトランジスタに別個の電圧信号を提供することができる。WL分離トランジスタドライバ262は、経路362を介してWL分離トランジスタに別個の電圧信号を提供することができる。WL分離電圧ソース263は、経路363を介してWL分離電圧トランジスタに4Vなどの分離電圧を提供することができる。
【0064】
BL電圧ドライバ264は、BLデコーダトランジスタのそれぞれに接続されている経路364上に電圧を提供することができる。BLデコーダトランジスタドライバ265は、経路365を介してBLデコーダトランジスタに別個の電圧信号を提供することができる。BL分離トランジスタドライバ266は、経路366を介してBL分離トランジスタに別個の電圧信号を提供することができる。BL分離電圧ソース267は、経路321を介してBL分離電圧トランジスタに4Vなどの分離電圧を提供することができる。
【0065】
WL及びBL電圧ドライバに加えて、WL及びBLプログラム電圧ドライバが、プログラム動作のために同様に提供され得る。これらのドライバはまた、本明細書に記載されるような形成プロセスのために使用することもできる。
【0066】
図4Aは、刺激なしの第1のスイッチング動作(プロット400)及び第2のスイッチング動作(プロット401)中のセレクタのI−Vプロットを示す。
図4A〜
図4Hでは、縦軸は電流(I)を示し、横軸は電圧(V)を示す。加えて、縦軸では共通の線形スケールが使用され、横軸でも共通の線形スケールが使用されている。
【0067】
最初に述べたように、本明細書に記載されるような刺激なしでは、セレクタは、メモリアレイ内の第1の動作中に、比較的高い初期閾値電圧Vinitを有する。Vinitを超える電圧がセレクタに印加されると、セレクタは、プロット400によって示されるように、オンになる。また、この時間の間に、セレクタは、その閾値電圧(Vth)が動作Vth(Vop)と称されるより低いレベルにまで不可逆的に低下させられる形成プロセスを受ける。Vthの変化は、メモリデバイスの通常の動作/ストレージ条件において不可逆的である。これには、例えば、−40C〜85Cの温度のストレージ、10〜2,000Hzで最大20Gの振動、及び0.5ミリ秒間の最大1500Gの衝撃を含むことができる。
【0068】
メモリアレイ内での後続の動作中、セレクタは、プロット401によって示されるように、Vopを超える電圧がセレクタに印加されるとオンになる。プロット401aは、メモリセルの抵抗状態を切り替えるために、必要に応じてストレージノードの両端電圧の増加を表す。
【0069】
セレクタは、以下で更に説明するように、電圧が保持電圧Vholdを下回るとオフになる。
【0070】
これは、アレイの第1の動作において少なくともVinitの高電圧が必要とされる比較例である。
【0071】
図4Bは、第1の刺激後の第1のスイッチング動作(プロット430)及び第2のスイッチング動作(プロット431)中のセレクタのI−Vプロットを示す。刺激は、特定の電流、Vop未満の特定の電圧、及び特定の持続時間を有する信号を含む。持続時間は、ストレージノードのスイッチング動作のための時間と比較して比較的長い。例えば、持続時間は、通常のプログラム又は読み出し動作、例えば、形成プロセスの後に起こるプログラム又は読み出し動作の持続時間よりも長くてもよい。持続時間は、2分の1秒、1秒、又は数秒、例えば、3、5若しくは10秒であり得る。持続時間は、1マイクロ秒、1ミリ秒、又は1秒より長くてもよい。持続時間は、材料、構造、及び製造プロセスに依存する。刺激は、セレクタにストレスを電流、電圧、及び持続時間に比例して印加する。
【0072】
論じた様々な刺激において、電流、電圧、及び持続時間の具体的な値は、セレクタの組成及び厚さなどの様々な要因に依存する。例えば、厚さがより大きいときは、より強い刺激が適切である。
【0073】
刺激が印加された後、プロットは、第1及び第2の動作の両方についてターンオン電圧がVopに実質的に等しいことを確認している。これは、刺激が、セレクタのVthをVopに低下させることに成功したことを実証している。
【0074】
図4Cは、
図4Aのプロット400及び401(動作前の刺激なし)を
図4Bのプロット430及び431(動作前の刺激あり)と比較する、セレクタのI−Vプロットを示す。プロット401、430及び431は実質的に同じであり、セレクタがVopのVth及びターンオン電圧を有することを示す。
【0075】
図4Dは、第2の刺激後の第1のスイッチング動作(プロット440)及び第2のスイッチング動作(プロット441)、並びに刺激なしの第1のスイッチング動作(プロット442)及び第2のスイッチング動作(プロット443)中のセレクタのI−Vプロットを示す。刺激は、
図4Bの例で使用された電流の1/20である特定の電流及び
図4Bの例で使用された持続時間の4倍の持続時間を有する信号を含む。プロット440、441及び443は実質的に同じであり、セレクタがVopのVth及びターンオン電圧を有することを示す。プロット442は、刺激なしの第1のスイッチング動作におけるVinitのより高いターンオン電圧を示す。
【0076】
刺激が印加された後、プロットは、第1及び第2の動作の両方についてターンオン電圧がVopに実質的に等しいことを確認している。加えて、刺激信号におけるより小さい電流の使用は、より長い持続時間によって補償されている。
【0077】
図4Eは、第3の刺激後の第1のスイッチング動作(プロット450)及び第2のスイッチング動作(プロット451)、並びに刺激なしの第1のスイッチング動作(プロット452)及び第2のスイッチング動作(プロット453)中のセレクタのI−Vプロットを示す。刺激は、Vopの約80〜90%である特定の電圧及び数秒の特定の持続時間を有する信号を含む。プロット450、451及び453は実質的に同じであり、セレクタがVopのVth及びターンオン電圧を有することを示す。プロット452は、刺激なしの第1のスイッチング動作におけるVinitのより高いターンオン電圧を示す。刺激が印加された後、プロットは、第1及び第2の動作の両方についてターンオン電圧がVopに実質的に等しいことを確認している。
【0078】
図4Fは、第5の刺激後の第1のスイッチング動作(プロット460)及び第2のスイッチング動作(プロット461)中のセレクタのI−Vプロットを、それぞれ、
図4Aのプロット400及び401と比較して示す。刺激は、
図4Eの例におけるものと同じ電圧及び
図4Eの例における持続時間の3分の1である特定の持続時間を有する信号を含む。
【0079】
プロット401及び461は実質的に同じであり、セレクタがVopのVth及びターンオン電圧を有することを示す。プロット460はプロット461よりも少し高く、刺激が不完全な形成プロセスをもたらしたことを示している。代わりに、第2のスイッチング動作のプロット461によって実証されるように、形成プロセスは、第1のスイッチング動作によって完了される。プロット400は、刺激なしの第1のスイッチング動作におけるVinitのより高いターンオン電圧を示す。
【0080】
図5は、閾値スイッチングセレクタのための例示的な材料の表を、保持閾値電圧Vhold及び動作閾値電圧Vopと共に示す。これらは、オボニック閾値スイッチングセレクタのための例示的な材料であり、他の材料が使用されてもよい。表の各行は、材料、並びに保持閾値電圧Vhold及び動作閾値電圧Vopの例を識別する。上述のように、Vopはターンオン電圧であり、Vholdはターンオフ電圧である。
図6Bも参照されたい。例示的な材料としては、Vhold=0.5V及びVop=1.4Vを有するGe−Se、Vhold=1.0V及びVop=4.0Vを有するGe−Se−N、Vhold=1.2V及びVop=3.5Vを有するGe−Se−As、Vhold=0.7V及びVop=2.2Vを有するGe−Se−Sb−N、Vhold=1.7V及びVop=3.5Vを有するGe
58Se
42、Vhold=0.7V及びVop=1.6Vを有するGeTe
6、Vhold=n.a(使用不能)及びVop=1.2Vを有するSi−Te、Vhold=0.4V及びVop=0.6Vを有するZn−Te、Vhold=0.3V及びVop=0.6Vを有するC−Te、Vhold=0.3V及びVop=0.7Vを有するB−Te、Vhold=1.5V及びVop=1.8Vを有するGe−As−Te−Si−N、並びにVhold=1.5V及びVop=2.2Vを有するGe−As−Se−Te−Siが挙げられる。
【0081】
図6A〜
図6Cは、電流を対数スケールで、電圧を線形スケールで示す。
【0082】
図6Aは、バイポーラスイッチングメモリセルの例示的なI−Vプロットを示す。本明細書に開示される技術は、ユニポーラ及びバイポーラスイッチングメモリセルと共に使用するのに適している。ユニポーラスイッチングメモリセルは、メモリセルの両端に一方向の電圧を印加することによって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えられる。例えば、第1の電圧はメモリセルに対して設定プロセスを実施することができ、第2の電圧はメモリセルに対してリセットプロセスを実施することができる。バイポーラスイッチングメモリセルは、メモリセルの両端に、例えば、正電圧を印加することによって、設定プロセスで高抵抗状態(HRS)から低抵抗状態(LRS)に切り替えられ、またメモリセルの両端に、例えば、負電圧を印加することによって、リセットプロセスでLRSからHRSに切り替えられる。
【0083】
このI−Vプロットは、セレクタとは別の、メモリセルに対するものである。横軸は、Vset(設定動作が起こる電圧)及びVreset(リセット動作が起こる電圧)を示す。Vsetの大きさは、この例ではVresetよりも大きい。
【0084】
設定動作において、メモリセルは、最初はHRSにある。電圧が0VからVsetにまで増加するとき、電流は、プロット600によって示されるように増加する。メモリセルが低抵抗状態(LRS)に切り替えられるときの、設定動作中の電流の増加は、プロット601によって示される。続いて、電圧が0Vに向かって減少すると、電流もまた、プロット602によって示されるように、減少する。
【0085】
リセット動作において、メモリセルは、最初はLRSにある。電圧の大きさが0VからVresetにまで増加するとき、電流は、プロット603によって示されるように増加する。メモリセルが高抵抗状態(HRS)に切り替えられるときの、リセット動作中の電流の減少は、プロット604によって示される。続いて、電圧の大きさが0Vに向かって減少すると、電流もまた、プロット605によって示されるように、減少する。
【0086】
図6Bは、
図6Aのバイポーラスイッチングメモリセルと共に使用するための閾値スイッチングセレクタの例示的なI−Vプロットを示す。このI−Vプロットは、メモリセルとは別の、セレクタに対するものである。横軸は、保持閾値電圧Vhold、動作閾値電圧Vop、及び初期閾値電圧Vinitを示す。これらの電圧の正極性及び負極性は、
図6Aと一致して、設定動作及びリセット動作で使用するために示されている。
【0087】
設定動作において、電圧が0VからVopにまで増加するとき、電流は、プロット610によって示されるように増加する。電圧がVopより上に増加すると、セレクタはオンになり、プロット611によって示されるように電流が急激に増加する。続いて、プロット612は、電圧が、電流のほんのわずかな変化と共に増加又は減少し得ることを示す。これは、メモリセルの抵抗に依存する。ほとんどの場合、電流は電圧と共に線形に増加する。場合によっては、電流コンプライアンス又は最大測定範囲に達したことにより、電流は、弾圧が増加したときに変化しない。設定動作が完了すると、電圧はVholdまで減少し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらす(プロット603)。
【0088】
リセット動作において、電圧の大きさが0Vから−Vopにまで増加するとき、電流は、プロット620によって示されるように増加する。電圧の大きさが−Vopより上に増加すると、セレクタはオンになり、プロット621によって示されるように電流が急激に増加する。続いて、プロット622は、電圧が、電流のほんのわずかな変化と共に増加又は減少し得ることを示す。リセット動作が完了すると、電圧の大きさはVholdまで減少し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらす(プロット623)。
【0089】
図6Cは、
図6Bの閾値スイッチングセレクタと直列した
図6Aのバイポーラスイッチングメモリセルを含むストレージノードの例示的なI−Vプロットを示す。上述のように、電圧及び電流を含む信号は、セレクタがオンになるまでメモリセルに印加することができない。電圧は、セレクタがオンになった後に増加されて、メモリセルの両端に適切な設定電圧Vset又はリセット電圧Vresetを提供することができる。
【0090】
設定動作において、電圧が0VからVopにまで増加するとき、電流は、プロット630によって示されるように増加する。電圧がVopより上に増加すると、セレクタはオンになり、プロット631によって示されるように電流が急激に増加する。電圧は、プロット632によって示されるように、Vsetにまで更に増加することができ、その時点で設定動作が起こり、電流の急激な増加をもたらす(プロット633)。続いて、設定動作が完了すると、プロット634は、電圧がVholdまで減少することを示し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらす(プロット635)。LRSを表すプロット634の傾きは、HRSを表すプロット632の傾きよりも急勾配である。
【0091】
リセット動作において、電圧の大きさが0Vから−Vopにまで増加するとき、電流は、プロット640によって示されるように増加する。電圧の大きさが−Vopより上に増加すると、セレクタはオンになり、プロット641によって示されるように電流が急激に増加する。電圧は、プロット642によって示されるように、Vresetにまで更に増加することができ、その時点でリセット動作が起こり、電流の急激な減少をもたらす(プロット643)。LRSを表すプロット642の傾きは、HRSを表すプロット644の傾きよりも急勾配である。続いて、リセット動作が完了すると、プロット644は、電圧の大きさがVholdまで減少することを示し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらす(プロット645)。
【0092】
図7Aは、形成動作においてストレージノードに印加される刺激の例示的な電圧対時間プロットを示す。上述のように、刺激は、特定の電流、Vop又はVinit未満の特定の電圧、及び特定の持続時間を有する信号を含むことができる。セレクタは、この形成操作においてオンにされない。
【0093】
電圧は、いくつかの例では、Vopの90%以下であってもよい。特定の持続時間は、上述のように、材料、構造、及び製造プロセスに依存する。電圧は、形成電圧Vformと称され、t0〜tformの持続時間を有する。この例では、電圧は、持続時間全体にわたってVopを超えない。別の選択肢では、Vformは、Vinit未満であるが、Vopよりも大きい。
【0094】
図7Bは、形成動作においてストレージノードに印加される刺激の例示的な電流対時間プロットを示す。この例では、電流は、レベルIformを有する。電流は、この例では固定レベルであるが、ランプ信号又は他の変化する信号であってもよい。
【0095】
図8Aは、メモリアレイ内でセレクタを形成し、メモリセルをプログラミングするための例示的なプロセスのフローチャートを示す。ステップ800は、メモリセルと直列した閾値スイッチングセレクタを含むストレージノードを含むメモリアレイを製造することを含む。ステップ801は、メモリセルをプログラミングする前に、電圧(Vform)を有する刺激をストレージノードに印加することを含み、この刺激は、閾値スイッチングセレクタを、初期閾値電圧(Vinit)を有する初期状態から、初期閾値電圧よりも低い動作閾値電圧(Vop)を有する動作状態に遷移させるものであり、Vform<Vinitである。ステップ802は、選択されたストレージノードに信号を印加することによって、選択されたストレージノードに対してプログラム動作(例えば、設定又はリセット)を実施することを含み、信号は、選択されたストレージノードの閾値スイッチングセレクタを非導電状態から導電状態に切り替えるためのVopより大きい電圧を有し、選択されたストレージノードの選択されたメモリセルの抵抗を切り替える電流プロファイルを有する。刺激の印加は、例えば、製造プロセスのウェハ試験又はパッケージ試験段階中に起こり得る。代替的に、読み出し動作がプログラミング動作の代わりに実施され得、その場合、電流は抵抗の切り替えをもたらさなくてもよい。
【0096】
判定ステップ803は、アレイ内で実施すべき別のプログラム動作があるかどうかを判定する。判定ステップが真である場合、ステップ802は、別の選択されたストレージノードに対して繰り返される。判定ステップが偽である場合、プロセスはステップ804において完了する。
【0097】
一般的に、ステップ801は、閾値スイッチングセレクタを初期状態から動作状態に変換する。これは、例えば、カルコゲニドなどのセレクタ材料の第1の非晶質状態から第2の非晶質状態への変換であり得る。
【0098】
図8Bは、
図8Aのステップ801を実施するための例示的なプロセスのフローチャートを示しており、セレクタの形成は、メモリアレイ内で1サブセットずつ行われる。上述のように、ピーク電流消費は、アレイの異なるサブセット内のセレクタを1サブセットずつ形成することによって、低減され、最大許容レベル未満に維持されることができる。ステップ810は、電圧(Vform)を有する刺激をストレージノードのサブセットに印加することを含み、この刺激は、サブセットの閾値スイッチングセレクタを、初期閾値電圧(Vinit)を有する初期状態から、初期閾値電圧よりも低い動作閾値電圧(Vop)を有する動作状態に遷移させるものであり、Vform<Vinitである。判定ステップ811は、アレイ内に次のサブセットがあるかどうかを判定する。判定ステップが真である場合、ステップ810は、アレイ内のストレージノードの別のサブセットに対して繰り返される。判定ステップが偽である場合、プロセスはステップ812において完了する。
図9も参照されたい。
【0099】
図9は、
図1B、
図3、及び
図8Bと一致するストレージノードの例示的なサブセットを示す。
図1Bのアレイの上面図が示されている。上述のように、ストレージノードのセレクタを形成するための刺激は、アレイの異なるサブセットに対して異なる時間に実施することができる。例えば、サブセット901〜904はそれぞれ、アレイの1つの列を含み、サブセット910及び911はそれぞれ、アレイの2つの列を含む。同様に、サブセット920〜923はそれぞれ、アレイの1つの行を含み、サブセット930及び931はそれぞれ、アレイの2つの行を含む。別の例では、サブセット940〜943はそれぞれ、アレイの2つの列と2つの行との交点にあるストレージノードを含む。サブセットの他の構成も可能である。例えば、サブセットは、1つ以上の列内の全てのストレージノードを含み得るが、1つ以上の行内のストレージノードの一部のみを含み得る。又は、サブセットは、1つ以上の行内の全てのストレージノードを含み得るが、1つ以上の列内のストレージノードの一部のみみを含み得る。
【0100】
別の例では、サブセットは、
図1Cのような複数レベルのデバイスの1つのレベルを含む。制御回路は、複数のレベルに1レベルずつ刺激を印加するように構成することができる。別の例では、サブセットは、複数レベルのデバイス内の各レベルの一部分を含む。
【0101】
したがって、一実施態様では、装置は、複数のストレージノードを含むクロスポイントメモリアレイであって、各ストレージノードが、閾値スイッチングセレクタと直列したメモリセルを含む、クロスポイントメモリアレイと、クロスポイントメモリアレイに接続された制御回路であって、制御回路は、閾値スイッチングセレクタを、初期閾値電圧を有する初期状態から、初期閾値電圧よりも低い動作閾値電圧を有する動作状態に遷移させるために、複数のストレージノードに刺激を印加するように構成されており、制御回路は、複数のストレージノードを同時に選択し、刺激は、初期閾値電圧を超えない形成電圧を含み、刺激は、複数のストレージノードの閾値スイッチングセレクタを形成するために特定の期間にわたって印加される、制御回路と、を備えることがわかる。
【0102】
別の実施態様では、方法は、メモリアレイ内に製造された閾値スイッチングセレクタの初回発火において、閾値スイッチングセレクタが、ストレージノード内のメモリセルと直列であり、閾値スイッチングセレクタに形成電圧を印加することであって、形成電圧は、閾値スイッチングセレクタの閾値電圧を初期閾値電圧から動作閾値電圧まで低下させ、形成電圧は初期閾値電圧よりも低い、ことと、メモリセルのためのプログラム動作において、ストレージノードに信号を印加することであって、信号は、動作閾値電圧を超え、導電状態の閾値スイッチングセレクタを提供する電圧と、メモリセルの抵抗を切り替える電流プロファイルと、を有する、ことと、を含む。
【0103】
別の実施態様では、装置は、クロスポイントメモリアレイの寿命内での第1のスイッチング動作より前にクロスポイントメモリアレイ内の閾値スイッチングセレクタに刺激を印加するように構成された制御回路を備え、刺激は、閾値スイッチングセレクタの閾値電圧を初期閾値電圧から動作閾値電圧まで低減させるように構成されており、刺激は、初期閾値電圧を超えない電圧を含む。
【0104】
本発明の前述の詳細な説明は、例示及び説明の目的のために提示したものである。前述の詳細な説明は、網羅的であること、又は開示した正確な形態に本発明を限定することを意図したものではない。上記の教示に鑑みて多くの修正及び変形が可能である。説明した実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途を最も良く説明するために選択されており、それによって、当業者が様々な実施形態で、企図される特定の使用に適するように様々な修正を伴って、本発明を最も良く利用することを可能にする。本発明の範囲は、本明細書に添付の請求項によって定義されることが意図されている。
【0105】
以下の項目は、本出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
装置であって、
複数のストレージノードを含むクロスポイントメモリアレイであって、各ストレージノードが、閾値スイッチングセレクタと直列したメモリセルを含む、クロスポイントメモリアレイと、
前記クロスポイントメモリアレイに接続された制御回路であって、前記制御回路は、前記閾値スイッチングセレクタを、初期閾値電圧を有する初期状態から、前記初期閾値電圧よりも低い動作閾値電圧を有する動作状態に遷移させるために、前記複数のストレージノードに刺激を印加するように構成されており、前記制御回路は、複数のストレージノードを同時に選択し、前記刺激は、前記初期閾値電圧を超えない形成電圧を含み、前記刺激は、前記複数のストレージノードの閾値スイッチングセレクタを形成するために特定の期間にわたって印加される、制御回路と、を備える、装置。
[項目2]
前記形成電圧が前記動作閾値電圧を超えない、項目1に記載の装置。
[項目3]
先に前記刺激を前記複数のストレージノードに印加した後、前記制御回路は、前記複数のストレージノードの選択されたストレージノードに信号を印加するように構成されており、前記信号は、前記選択されたストレージノードの閾値スイッチングセレクタを非導電状態から導電状態に切り替えるために前記動作閾値電圧よりも高い大きさの電圧を有し、かつ前記選択されたストレージノードの選択されたメモリセルの抵抗を切り替える電流プロファイルを有する、項目1に記載の装置。
[項目4]
前記特定の期間が、少なくとも1マイクロ秒である、項目1に記載の装置。
[項目5]
前記特定の期間が、少なくとも1ミリ秒である、項目1に記載の装置。
[項目6]
前記特定の期間が、少なくとも1秒である、項目1に記載の装置。
[項目7]
前記制御回路が、前記複数のストレージノードの異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目8]
前記複数のストレージノードが、複数の行及び複数の列に配置されており、
前記制御回路が、前記行の異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目9]
前記複数のストレージノードが、複数の行及び複数の列に配置されており、
前記制御回路が、前記列の異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目10]
前記複数のストレージノードが、複数のレベルに配置されており、
前記制御回路が、前記複数のレベルに1レベルずつ前記刺激を印加するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目11]
前記複数のストレージノードの前記閾値スイッチングセレクタが、カルコゲニドを含み、
前記初期状態が、前記カルコゲニドの第1の非晶質状態であり、
前記動作状態が、前記カルコゲニドの第2の非晶質状態である、項目1に記載の装置。
[項目12]
前記複数のストレージノードの前記閾値スイッチングセレクタの前記初期状態から前記動作状態への前記遷移が、通常の動作/ストレージ条件において不可逆的である、項目1に記載の装置。
[項目13]
方法であって、
メモリアレイ内に製造された閾値スイッチングセレクタの初回発火において、前記閾値スイッチングセレクタが、ストレージノード内のメモリセルと直列であり、前記閾値スイッチングセレクタに形成電圧を印加することであって、前記形成電圧は、前記閾値スイッチングセレクタの閾値電圧を初期閾値電圧から動作閾値電圧まで低下させ、前記形成電圧は前記初期閾値電圧よりも低い、ことと、
前記メモリセルのためのプログラム動作において、前記ストレージノードに信号を印加することであって、前記信号は、前記動作閾値電圧を超え、導電状態の前記閾値スイッチングセレクタを提供する電圧と、前記メモリセルの抵抗を切り替える電流プロファイルと、を有する、ことと、を含む、方法。
[項目14]
前記形成電圧が、通常の動作/ストレージ条件において、前記閾値スイッチングセレクタを、前記初期閾値電圧を有する第1の非晶質状態から、前記動作閾値電圧を有する第2の非晶質状態に不可逆的に変換する、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記ストレージノードが、複数のストレージノードを含むクロスポイントメモリアレイ内にあり、各ストレージノードは、メモリセルと直列した閾値スイッチングセレクタを含み、
前記形成電圧を含む信号が、前記複数のストレージノードの異なるサブセットに1サブセットずつ印加されて、ピーク電流消費を最大許容レベル未満に維持しながら、前記異なるサブセットの前記閾値スイッチングセレクタの閾値電圧を低減させる、項目13に記載の方法。
[項目16]
装置であって、
クロスポイントメモリアレイの寿命内での第1のスイッチング動作より前に前記クロスポイントメモリアレイ内の閾値スイッチングセレクタに刺激を印加するように構成された制御回路を備え、前記刺激は、前記閾値スイッチングセレクタの閾値電圧を初期閾値電圧から動作閾値電圧まで低減させるように構成されており、前記刺激は、前記初期閾値電圧を超えない電圧を含む、装置。
[項目17]
各閾値スイッチングセレクタが、前記クロスポイントメモリアレイのストレージノード内のメモリセルと直列であり、
前記第1のスイッチング動作を実施するために、前記制御回路が、前記クロスポイントメモリアレイ内の閾値スイッチングセレクタに、前記閾値スイッチングセレクタをオンにする電圧を印加することと、選択されたメモリセルに、前記選択されたメモリセルの抵抗状態を変化させる電流を印加することと、を行うように構成されている、項目16に記載の装置。
[項目18]
前記制御回路が、前記クロスポイントメモリアレイのワード線及び/又はビット線の異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、項目16に記載の装置。
[項目19]
前記制御回路が、前記クロスポイントメモリアレイの前記閾値スイッチングセレクタの異なるサブセットに1サブセットずつ前記刺激を印加するように構成されている、項目16に記載の装置。
[項目20]
前記刺激が、前記動作閾値電圧を超えない電圧を含む、項目16に記載の装置。
【解決手段】ストレージノードを含むメモリアレイにおいて、閾値スイッチングセレクタは、ストレージノード内の抵抗スイッチングメモリセルと直列である。アレイ内での第1のスイッチング動作より前に、セレクタを、初期閾値電圧を有する初期状態から、より低い動作閾値電圧を有する動作状態に変換するために、刺激がストレージノードに印加される。刺激は、動作閾値電圧を超えない電圧を有する信号を含むことができる。ピーク電流消費を制限するために、刺激は、アレイの異なるサブセットに1サブセットずつ印加することができる。