特許第6968334号(P6968334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968334
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】昆虫捕獲
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20211108BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20211108BHJP
   A01M 1/14 20060101ALI20211108BHJP
   A01M 1/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   A01M1/10 A
   A01M1/02 C
   A01M1/14 E
   A01M1/00 G
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-540854(P2020-540854)
(86)(22)【出願日】2018年10月9日
(65)【公表番号】特表2020-536583(P2020-536583A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(86)【国際出願番号】GB2018052879
(87)【国際公開番号】WO2019073215
(87)【国際公開日】20190418
【審査請求日】2020年5月26日
(31)【優先権主張番号】1716504.4
(32)【優先日】2017年10月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520122747
【氏名又は名称】プラウト ルドルフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラウト ルドルフ
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−154553(JP,A)
【文献】 特開2006−051016(JP,A)
【文献】 特開2017−007897(JP,A)
【文献】 特開2015−216877(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0242888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫(I)がハウジングに入ることができる開口部(120)を有する前記ハウジング(110)と、
前記ハウジング内で昆虫を捕獲する捕獲手段(130)と、
誘引剤供給源(170)と、
前記誘引剤供給源(170)から供給される誘引剤(160)の前記ハウジング内への流れを調節する調節手段と、
前記誘引剤の少なくとも一部を前記開口部を介して前記ハウジング内から排出する推進手段(150)と、
前記調節手段及び前記推進手段と通信可能に連結された制御手段と、
を備える昆虫捕獲装置(100)であって、
前記制御手段は、閾値容量の前記誘引剤が前記ハウジング内に蓄積すると前記推進手段を作動させるように構成された、昆虫捕獲装置(100)。
【請求項2】
電源をさらに備える、請求項1に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項3】
前記捕獲手段が、粘着性トラップを備える、請求項1又は2に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項4】
前記ハウジング内にさらなる捕獲手段(140)を備える、請求項2に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項5】
前記さらなる捕獲手段が、前記電源によって電力を供給される帯電トラップを備える、請求項4に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項6】
前記推進手段(150)が、ファン又はインペラである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項7】
前記誘引剤供給源が、COの供給源を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項8】
前記誘引剤供給源(170)が、入口を介して前記ハウジングに流体連結している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項9】
前記調節手段が、前記入口内に配置されている、請求項8に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項10】
前記調節手段が、前記誘引剤を可変流量で前記ハウジング内に放出するように構成された、請求項9に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項11】
前記調節手段が、半透膜を備える、請求項10に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項12】
前記制御手段が、タイマーを備え、かつ時間的な間隔を空けて前記推進手段を作動させるように構成された、請求項1〜11のいずれか1項に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項13】
前記制御手段が、タイマーを備え、所定の時間の間、前記推進手段を作動させるように構成された、請求項1〜11のいずれか1項に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項14】
前記制御手段が、タイマーを備え、所定の時間の間、時間的な間隔を空けて前記推進手段を作動させるように構成された、請求項1〜11のいずれか1項に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項15】
前記誘引剤供給源、前記調節手段、前記捕獲手段、前記電源及び前記推進手段が、取り外し可能に交換可能である、請求項2に記載の昆虫捕獲装置。
【請求項16】
誘引剤供給源から昆虫捕獲装置への誘引剤の放出を制御及び調節するステップ(101)と、
前記昆虫捕獲装置内に誘引剤を蓄積するステップ(102)と、
閾値容量の誘引剤が蓄積すると、推進手段を作動させて、前記誘引剤を前記昆虫捕獲装置から環境に放出するステップ(103)と
を含む、昆虫を捕獲する方法。
【請求項17】
前記誘引剤を蓄積するステップ(102)が、可変の速度で行われる、請求項16に記載の昆虫を捕獲する方法。
【請求項18】
前記昆虫捕獲装置のハウジング内への前記誘引剤の流量が、前記ハウジングの内部容量に依存する、請求項17に記載の昆虫を捕獲する方法。
【請求項19】
前記推進手段を作動させる前記ステップ(103)が、構成可能な時間的な間隔を空けて、及び/又は所定の時間の間、前記推進手段を作動させることをさらに含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の昆虫を捕獲する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫捕獲のための改善された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を使用した昆虫の捕獲は、昆虫、特にトコジラミを誘引及び捕獲するより効果的な手法を提供する。この手法は、要素を相乗的に組み合わせることにより、いくつかのより効果的な収集及び排除技術を組み合わせている。また、誘引剤を計画的かつ制御して放出するので、使用される噴霧又は散布化学物質の量も削減される。
【0003】
世界的な旅行の増加がトコジラミの増加をもたらしたことを示唆する証拠がある。ホテルの運営者は、受け入れる大量の人の往来により、トコジラミ蔓延の蓄積及び拡散の両方の危険にさらされている。したがって、蔓延と戦うための改善された手段が常に必要とされている。手段は、自分で行うキットから高度な技術的装置まで様々であるが、これらはすべて個別の問題を抱えており、効率の悪さから不釣り合いなコストに至るまで、商業的な欠点がある。
【0004】
昆虫を捕獲する手法の1つは、落とし穴トラップの使用である。落とし穴トラップの本質的な構成要素は、昆虫がよじ登ることができない内壁を備えた容器又は落とし穴である。例えば、トラップに落ちた昆虫は、内壁を登ることができないため、逃げられない。
【0005】
別の手法は、例えば視界、匂い、又は音によって昆虫を誘引する感覚的ルアーを使用することである。捕虫器で使用される化学誘引剤の1つは二酸化炭素である。二酸化炭素は呼吸している動物から吐き出され、大気中に遍在する気体である。しかしながら、人間によって吐き出される空気には、吸い込まれる空気と比較してより高い濃度の二酸化炭素が含まれており、昆虫はこの上昇した二酸化炭素濃度を検出できる。感覚的ルアーは、昆虫を誘引する二酸化炭素の供給源を模倣できる。昆虫種の多くがCOを使用して食物源を追跡しているため、COは多くのトラップに好ましい誘引剤である。しかしながら、人間/動物の呼気濃度に相当する、昆虫を刺激するのに必要な閾値を超える十分な量のCOを、一定の期間にわたって供給することは困難である。C0は、大規模な製造施設で大量方式で生産されるのが最も一般的であり、このC0は、適切な容器内で加圧下で配布できる。大量の加圧C0使用に関連する別の問題は、そのような容器からの放出が断続的な騒音公害を引き起こし、現在この騒音を制御し得る手段が、不経済で昆虫捕獲の環境に供給するのが困難なC0の量にのみ関連していることである。
【0006】
これらの手法を組み合わせて、改善されたトラップが開発されてきた。しかしながら、昆虫を誘引するのに十分な量の誘引剤、特に二酸化炭素の放出を実行及び制御することは困難であることがわかっている。一貫した、適応性のある効果的なトラップを作製する必要がある。したがって、従来技術の問題を克服するのに効率的かつ効果的な、改善された捕獲方法及び装置が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、昆虫がハウジングに入ることができる開口部を有するハウジングと、ハウジング内で昆虫を捕獲する捕獲手段と、誘引剤供給源、及び誘引剤のハウジング内への流れを調節する調節手段と、誘引剤の少なくとも一部を開口部を介してハウジング内から排出する推進手段と、調節手段及び推進手段と通信可能に連結された制御手段とを備え、制御手段が、閾値容量の誘引剤がハウジング内に蓄積すると推進手段を作動させるように構成された、昆虫捕獲装置が提供される。
【0008】
有利には、本発明の装置は、誘引剤の放出を効果的、一貫して静かに制御でき、推進手段が開口部を通して誘引剤を送出するまで誘引剤はハウジング内に留まる。これにより、誘引剤は特定のレベルの容量まで蓄積し、効率的に分散されて、昆虫がトラップに追従するための効果的なルアーを作製することを可能にする。
【0009】
一実施形態では、昆虫捕獲装置は、バッテリーなどの電源をさらに含むことができる。
【0010】
一実施形態では、捕獲手段は、粘着性トラップを含むことができる。昆虫捕獲装置は、ハウジング内にさらなる捕獲手段を含むことができ、さらなる捕獲手段は、帯電トラップを含む。さらなる捕獲手段は、電源によって電力を供給されてもよい。
【0011】
一実施形態では、推進手段は、ファン又はインペラを含むことができる。
【0012】
一実施形態では、誘引剤は、CO容器、カートリッジ又はキャニスタなどの二酸化炭素(CO)供給源を含み得る誘引剤供給源から提供される。
【0013】
一実施形態では、誘引剤供給源は、入口を介してハウジングに流体連結される。調節手段は、入口内に配置されてもよい。調節手段は、誘引剤を可変流量でハウジング内に放出するように構成できる。放出調節手段は、半透膜を含んでもよい。
【0014】
一実施形態では、制御手段である昆虫捕獲装置は、時間的な間隔を空けて、及び持続した時間、推進手段を作動させることができ、時間的な間隔を空けてさらなる捕獲手段を作動させることもできる。
【0015】
一実施形態では、誘引剤供給源、調節手段、捕獲手段、電源及び推進手段は、取り外し可能に交換可能である。
【0016】
一実施形態では、制御手段は、タイマーを含むことができ、時間的な間隔を空けて、及び/又は所定の時間の間、ファン推進手段を作動させるように構成される。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、誘引剤供給源から昆虫捕獲装置への誘引剤の放出を制御及び調節するステップと、昆虫捕獲装置内に誘引剤を蓄積するステップと、閾値容量の誘引剤が蓄積すると、推進手段を作動させて、誘引剤を昆虫捕獲装置から環境に放出するステップとを含む、昆虫を捕獲する方法が提供される。
【0018】
ある実施形態では、誘引剤を蓄積するステップは、可変速度で行われ得る。
【0019】
さらに、装置への誘引剤の流量は、昆虫捕獲装置の内部容量に依存する。
【0020】
一実施形態では、推進手段を作動させるステップが、構成可能な時間的な間隔を空けて、及び/又は所定の時間の間、推進手段を作動させることをさらに含む。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様及び実施形態に関連して説明したように、昆虫を捕獲する方法を実装するように構成された昆虫捕獲装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、様々な方法で実施でき、その実施形態は、添付の図面を参照しながら、例としてのみここで説明される。
【0023】
図1】本発明による昆虫捕獲装置の実施形態を示す図である。
図2】本発明による方法の実施形態を示すフロー図である。
図3】本発明の装置及び方法を使用する実験室研究の結果を示す。
図4】本発明の装置及び方法を使用する実験室研究の別の結果を示す。
図5】本発明の装置及び方法を使用する実験室研究のさらに別の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面の図1を参照すると、本発明の実施形態による昆虫捕獲装置(100)が示されている。装置は、実質的に装置の本体を形成するハウジング(110)を有する。ハウジングは、ハウジングの一部に位置する開口部(120)を有し、この開口部を介して昆虫がハウジングの内部容量に入ることができる。ハウジング内には捕獲手段(130)があり、図示の実施形態では粘着性トラップである。同様にハウジング内に位置するさらなる捕獲手段(140)が示されており、捕獲手段(130)と開口部(120)との間に位置し、これは、本実施形態では帯電トラップである。ファンとして例示された推進手段(150)のための手段がハウジングに取り付けられている。誘引剤(160)は、ハウジングの内側に配置されており、使用される誘引剤の例はCOである。誘引剤は、ハウジングの誘引剤入口(180)に接続された誘引剤供給源(170)からハウジング内に提供される。ハウジング内から開口部の外へ、環境内の昆虫(I)に向かう誘引剤及び空気の流路(190)が示されている。
【0025】
昆虫捕獲装置の使用例では、昆虫がいる環境の周りに1つ以上の装置を配置できる。装置は、配置される環境及び状況に適するように構成できる。装置を配置又は取り付けると、すぐに作動させることができる。一定期間、誘引剤は、昆虫の動機付けレベルに関連して、静かなゆっくりとした放出源から十分な濃度レベルになるまでハウジング内に蓄積される。次に、ファンが作動し、誘引剤を開口部から押し進めて昆虫をハウジングに誘引する。昆虫は誘引剤の航跡に追従し、捕獲装置に入る。昆虫は、落とし穴トラップの外壁である開口部から捕獲装置に入る。昆虫が開口部を通過すると、捕獲手段に遭遇し、死滅する。装置の機能の交換が必要になるまで、装置の蓄積及び作動ステップが繰り返される。トラップを空にし、バッテリーを交換し、誘引剤供給源を再充填すると、捕獲装置は作業を続行できる。
【0026】
昆虫捕獲装置(100)は、特定の用途に適するように様々な形状及びサイズを取ることができるハウジング(110)を含み、例えば、より大きな昆虫にはより大きく、より過酷な環境にはより耐久性のある素材で作製されている。ハウジングに装置の機能を収容して、即使用可能な内蔵型の構成で装置を提供できることが想定される。
【0027】
一実施形態では、ハウジングは、装置を様々な表面に取り付ける取付け手段(図示せず)を含み、クリップ、ブラケット、ねじ、接着剤などを含むことができる。ハウジングは、例えばトラップ、電源、誘引剤供給源及び推進手段などの本発明のさらなる構成要素を接続するための様々な接続点をさらに含む。
【0028】
ハウジング(110)は、昆虫(I)が装置に入ることができる開口部(120)を有する。図1に示す開口部は、落とし穴トラップで使用される開口部の例である。この方法では、昆虫が開口部を通過すると、昆虫はもはや開口部を介して装置から逃げることができなくなる。開口部は、例えば、トラップが配置されたハウジングの内部容量に通じる階段状の構成又は迷路状の経路を含む。ハウジングは、昆虫の経路が誘引剤に向かって移動する間にトラップとの相互作用をもたらすように形作られている。ハウジングは、複数の開口部を含むことができ、さらに、開口部は、ジェットノズル又はファンなど分散特性を改善するように形成されてもよい。
【0029】
図1は、例示的な実施形態における捕獲手段(130)及びさらなる捕獲手段(140)を示す。図示の実施形態では、捕獲手段(130)は粘着性トラップを含み、粘着性トラップは、にかわなどの接着剤が配置された表面を有する。昆虫は、接着剤と接触すると、捕獲される。相当数の昆虫が捕獲されるか、又は一定の期間が経過すると、トラップを取り外して粘着パッドを交換できる。図示の実施形態では、さらなる捕獲手段(140)は、帯電トラップであり、帯電トラップは、導電性グリッドを備えることができ、昆虫が帯電したアクティブグリッドと接触すると、グリッド全体に一定又は周期的な電圧がもたらされる。他の捕獲手段と同様に、相当数の昆虫が捕獲されるか、一定の期間が経過すると、トラップを取り外し、捕獲された昆虫を除去してトラップを戻すか、又は摩耗している場合は新しいトラップと交換できる。
【0030】
いくつかの例として、殺虫剤をしみ込ませた材料などの化学物質ベースのトラップ、昆虫を押しつぶすことができる圧力ベースのトラップ、光若しくは視覚ベースの誘引剤、又は熱源誘引剤などの使用可能な他のトラップが想定される。図示の実施形態では、粘着性捕獲手段と帯電捕獲手段との間には相乗効果があり、帯電トラップが接着剤の前に配置された場合、昆虫は帯電すると接着剤の上に落下してくっつくことが理解されよう。この構成によって、装置の洗浄が最小限に抑えられることがわかる。
【0031】
図1は、推進手段(150)を示し、この推進手段(150)は、ファン(図示の実施形態)又はブロワ、ベンチレータなどであることができ、作動されると、ファンからハウジング(110)の内部容量を通って開口部の外に至る空気の流路(190)を生じさせる。ハウジング内には誘引剤があり、ファンによる流路が誘引剤を掻き回し、誘引剤を開口部の外に運び、開口部で昆虫が誘引剤を識別し、誘引剤の供給源への流路に追従して捕獲装置に入る。誘引剤供給源から提供された場合、誘引剤は、制御された程度まで容量内に蓄積することができる。誘引剤がCOである例では、COは空気より重く、容量内で分散運動がないため、COはハウジングに蓄積する。昆虫を誘引するのに十分な閾値量にCOが達するとファンが作動するようにプログラムすることができる。
【0032】
図1に示す誘引剤(160)は、推進手段による分散に適した物質である。例示的な実施形態では、誘引剤はCOであり、これはほとんどの昆虫に対する周知の誘引剤である。容量内の誘引剤は、ハウジング(110)に接続された、又はハウジング(110)内の誘引剤供給源(170)から提供されてもよい。誘引剤供給源は、入口(180)によってハウジングに接続できる。誘引剤供給源は、任意の種類の適切な容器、カートリッジ、キャニスタ、放出源などであり得る。容器は、容量内への誘引剤の放出を制御するように構成されている。ハウジングの容量内への誘引剤の放出は、入口内の追加の半透膜(セラミック膜など)によって制御されてもよく、代替の実施形態では、徐放弁などであってもよい。半透膜又は徐放弁は、トラップによって生成されるノイズを低減するのに役立つ。そのような制御手段の使用は、誘引剤の制御された放出を可能にし、これは、推進手段の作動と相乗的に作用でき、そのため、誘引剤を最も適切な量で放出でき、この量は、外部環境の大きさ又は捕獲される昆虫種などの因子に依存しうる。
【0033】
さらに、昆虫捕獲装置は、内部計時を備えた制御回路又はマイクロコントローラを備えることができる制御手段(図示せず)を含む。この手段は、ハウジングに接続するか、又はハウジング内に設けることができる。装置は、適切な動作のために事前にプログラムされているか、あるいは装置に配置されたスイッチを介して、又は計時及び制御手段を物理的又は無線で再プログラムすることなどによって変更できるようにしてもよい。計時及び制御手段は、給電、並びに、電源、推進手段、捕獲手段又は誘引剤供給源を含む昆虫捕獲装置内の任意の接続機能の作動のタイミングを制御するように構成される。機能は、時間的な間隔を空けて、様々な期間及び発生頻度で作動される。この制御によって、特定の動作モード、例えば、競合源となる環境内の人のために誘引剤の放出量を高くする必要がある夜間モード、特定の昆虫の自然の本能に合わせて構成された様々な昆虫の種類のモードの生成が可能になる。動作の種類としては、例えば、ファンは、午前9時から午後9時までの間は1時間に1回5秒間、それ以外の時間は1時間に2回10秒間動作するようにできる。動作の持続時間及び発生は、ハウジングの容量から開口部を通って外部に誘引剤が十分に分散することと、ハウジング内に誘引剤が適切に蓄積するのに十分な時間とをそれぞれ確保するように選択される。制御手段は、さらなる捕獲手段、例えば帯電トラップを動作させて、誘引剤の放出と相乗的に作用させて、電力を節約するために定期的にのみ動作するようにしてもよい。
【0034】
さらに、昆虫捕獲装置は、電源(図示せず)、例えば、バッテリー、太陽電池又は商用電源接続を含むことができる。電源は、ハウジングに接続するか、又はハウジング内に設けることができる。電源は、捕獲装置のすべての機能に電力を供給できる。
【0035】
昆虫捕獲装置の全体は、機能が取り外し可能に交換可能であるようにモジュール式であることが想定される。例えば、昆虫装置が動作を進めると、トラップがいっぱいになる可能性があり、トラップを取り外して、洗浄して元に戻すか、新しい部品を追加できる。これはまた、より適切なトラップを使用する必要があるより良いバージョンが利用可能になった場合に、トラップをアップグレードすることを可能にする。必要に応じて、バッテリー及び誘引剤供給源を交換するだけである。このようにして、装置で使用するための部品のキットを提供できる。
【0036】
昆虫を捕獲する方法を、図2を参照して以下に説明する。本方法は、本発明に記載の昆虫捕獲装置を使用する。本方法は、誘引剤供給源から昆虫捕獲装置への誘引剤の放出を制御及び調節するステップ(101)と、昆虫捕獲装置内に誘引剤を蓄積するステップ(102)と、閾値容量の誘引剤が蓄積すると、推進手段を作動させて、誘引剤を昆虫捕獲装置から環境に放出するステップ(103)とを含む。これらのステップが完了すると、昆虫は装置に誘引され、捕獲される。本方法は、環境、及び誘引が意図される特定の昆虫の種類に適すようにさらに変更できる。本方法による装置の作動及び持続時間は変更でき、動作は、発生率及び作動時間と同様に、時間的に間隔を空けることができる。装置に提供される誘引剤の量及び種類は、環境及び使用要件に応じて変更できる。装置の捕獲手段は、様々な時間間隔で同様に動作できる。本方法は、さらなるステップを含むことができ、装置を一定期間使用したら、誘引手段、捕獲手段、電源及び推進手段を取り外して交換でき、その後、本方法を再び開始できる。
【0037】
本発明の方法及び装置を使用した実験室試験の驚くほど効果的な結果を図3図4及び図5に示す。実験室試験は、トコジラミ(Cimex lectularius)に対するトラップ及び誘引剤/ルアーの有効性を確認することであった。試験は、トコジラミが逃れることができない簡単な捕獲アリーナを含み、本発明の実施形態に記載のようなトラップも捕獲アリーナに配置した。10匹のトコジラミをルアーが配置されたアリーナに導入し、トコジラミを放してから6時間後に評価を行った。評価は、トコジラミがにかわボード上で捕獲されたか;にかわボード上ではないトラップの内側に居たか;トラップの外側/トラップの2cm以内に居たか;トラップから2cm〜5cmの付近に居たか;ボール紙区域(解放場所)に居たか;アリーナ内で自由であったか;又は、回収されなかったかに基づいて行った。図3は、30分あたり25ml(0.83ml/分)のCOを放出するようにパラメータが設定された試験の結果を示している。図4は、30分あたり50ml(1.67ml/分)のCOを放出するようにパラメータが設定された試験の結果を示している。図5は、30分あたり100ml(3.33ml/分)のCOを放出するようにパラメータが設定された試験の結果を示している。昆虫捕獲装置の推進手段(すなわち、ファン)は、30分ごとに10秒間ずつ作動された。統計上重要な点は、トコジラミが捕獲されたか、又はトラップの内側に居たかであり、図3の試験ではトコジラミは20%のみが誘引されて捕獲され、これは、図4の試験では50%に上昇し、図5の試験ではさらに70%に上昇した。したがって、COの量が増加するにつれて、捕獲の効率も上昇した。
【0038】
本発明による昆虫捕獲装置及び昆虫捕獲方法は、ホテル、温室、又はさらに作物畑の屋外など、様々な状況で使用するために適切に変更できることが理解されよう。本装置の利点は拡張可能であり、様々な環境での昆虫の捕獲を含むすべての課題に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5