(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉空間の全てにおいて、前記他のパネル部材の剛性が、前記ハット型パネル部材の前記他のパネル部材の対応部位の剛性よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載のボディサイドパネル。
前記ハット型パネル部材及び前記補強部材からなる一体構造体の剛性と前記他のパネル部材の剛性とが同一であることを特徴とする請求項1に記載のボディサイドパネル。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<第1の形態>
まず、第1の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の形態で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0013】
図1は、第1の形態に係るボディサイドパネルの概略を示す斜視図である。なお、
図1は、ボディサイドパネルをアウターパネル部材側から見た図である。
図2は、
図1に示したボディサイドパネルを示す分解斜視図である。なお、
図2は、ボディサイドパネルをインナーパネル部材側から見た図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本形態のボディサイドパネル1は、金属製のハット型パネル部材10と、金属製の他のパネル部材20と、樹脂製の補強部材30とを備える。言い換えれば、本形態のボディサイドパネルにおいては、ハット型パネル部材がアウターパネル部材であり、他のパネル部材がインナーパネル部材である。なお、特に、限定されるものではないが、本形態のボディサイドパネル1には、開口部1O
1、1O
2、1O
3が形成されている。また、図示しないが、開口部には、窓やドアなどの各種部品が組み付けられる。
【0015】
図3は、
図2に示したハット型パネル部材及び補強部材からなる一体構造体の概略を示す正面図である。なお、
図3は、一体構造体をインナーパネル部材側から見た図である。
図4は、
図1に示したボディサイドパネルのIV−IV線に沿った模式的な断面図である。なお、
図4は、
図1に示したボディサイドパネルのシル部位における断面図である。また、本形態のボディサイドパネルは、ボディサイドパネルのシル部位以外の部位においてシル部位と同じ構造を有していてもよいが、これに限定されるものではない。シル部位以外の部位としては、例えば、フロントピラー部位、センターピラー部位、リヤピラー部位、ルーフサイドレール部位などの部位を挙げることができる。
図2及び
図3に示したように、本形態のボディサイドパネルは、フロントピラー部位、センターピラー部位、リヤピラー部位、ルーフサイドレール部位などの部位においてシル部位と異なる構造を有していてもよい。以下の形態においても同様である。
【0016】
図1〜
図4に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、ハット型パネル部材10が、頂部11、縁部15、及び頂部11と縁部15を繋ぐ中間部13からなるハット型断面形状部10Aを有している。なお、本形態のボディサイドパネル1においては、他のパネル部材20が、本体部27及び縁部25からなる平板型断面形状部20Bを有している。
【0017】
ここで、「ハット型断面形状部」とは、ボディサイドパネルの厚み方向に沿った切断面において、平坦な頂部と中間部と縁部と有し、頂部と中間部との間及び中間部と縁部との間にコーナー部位を有する厳密なハット型断面形状部だけを意味するのではない。本願の「ハット型断面形状部」には、ハット型断面形状部の頂部や中間部の一部が、例えば湾曲していたり、突出していたり、窪んでいたりする、いわゆる略ハット型断面形状部が含まれる。
【0018】
また、「平板型断面形状部」とは、ボディサイドパネルの厚み方向に沿った切断面において、平坦な本体部と縁部とを有する厳密な平板型断面形状部だけを意味するのではない。本願の「平板型断面形状部」には、平板型断面形状部の本体部の一部が、例えば、湾曲していたり、突出していたり、窪んでいたりする、いわゆる略平板型断面形状部が含まれる。
【0019】
さらに、
図4に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、ハット型断面形状部10Aが、縁部15で他のパネル部材の平板型断面形状部20Bと接合している。具体的には、縁部15と縁部25とが接合部50によって接合されている。
【0020】
ここで、本形態のボディサイドパネル1を用いて自動車を組み立てる際には、
図4に示すように、他のパネル部材の平板型断面形状部20Bとフロアパネル60とが接合される。他のパネル部材とフロアパネルとは、例えば、ボルト締結や溶接など従来公知の方法によって接合される。
【0021】
さらに、
図4に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、ハット型断面形状部10Aが、他のパネル部材20とともに閉空間1CSを形成している。
【0022】
さらに、
図4に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、補強部材30が、閉空間1CS内において頂部11及び中間部13の双方と接合されるように配置されている。
【0023】
上述のように、補強部材が、閉空間内において頂部及び中間部の少なくとも一方と接合されるように配置されることにより、ハット型断面形状部と補強部材とが一体構造体を形成する。
図3に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、ハット型パネル部材10及び補強部材30が一体構造体40を形成している。
【0024】
なお、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、ハット型パネル部材及び補強部材からなる一体構造体の剛性と他方のパネル部材の剛性とが同一であることが好ましい。
【0025】
ここで、「ハット型パネル部材及び補強部材からなる一体構造体の剛性と他方のパネル部材の剛性とが同一である」とは、完全に同一である場合だけを意味するのではない。本願の「ハット型パネル部材及び補強部材からなる一体構造体の剛性と他方のパネル部材の剛性とが同一である」には、同一である場合を基準として±5%程度までの範囲である、ハット型パネル部材及び補強部材からなる一体構造体の剛性と他方のパネル部材の剛性とが略同一である場合が含まれる。
【0026】
さらに、本形態のボディサイドパネル1においては、ハット型パネル部材10は、ハット型断面形状部10Aにおいて、縁部15と中間部13との間にコーナー部位14を有している。さらに、本形態のボディサイドパネル1においては、コーナー部位14に対応する他のパネル部材20の対応部位の剛性が、コーナー部位14の剛性よりも高い。
【0027】
ここで、本形態のボディサイドパネル1において、ハット型パネル部材10のコーナー部位14に対応する他のパネル部材20の対応部位とは、他のパネル部材20の平板型断面形状部20Bの本体部27である。
【0028】
なお、各パネル部材における剛性としては、引張剛性、曲げ剛性若しくはねじり剛性又はこれらの任意の組み合わせに係る剛性を挙げることができる。ボディサイドパネルの各部位に要求される各剛性を確保することができれば、引張剛性、曲げ剛性及びねじり剛性の少なくとも1つの剛性において上記関係を満たしていればよく、引張剛性、曲げ剛性及びねじり剛性の全ての剛性において上記関係を満たしていることが好ましい。
【0029】
各パネル部材における剛性は、例えば、各パネル部材における断面二次モーメントの値で表すことができる。また、各パネル部材における剛性は、例えば、コンピュータシミュレーションによって算出された値で表すことができる。具体的には、各パネル部材における剛性は、有限要素法(FEM)による静解析によって算出された弾性率の値で表すことができる。
【0030】
なお、各パネル部材における剛性のいずれが高いかは、例えば、断面二次モーメントの値、弾性率の値を直接比較した結果や、コンピュータシミュレーションソフトの判断に基づいて決定することができる。また、各パネル部材における剛性のいずれが高いかは、補強部材を除去した2つのパネル部材に対して、例えば、日本工業規格に規定されている「スポット及びプロジェクション溶接部の現場試験方法」(JIS Z 3144)におけるピール試験又はねじり試験に準拠して試験を行ったときの各パネル部材の変形し易さに基づいて決定してもよい。なお、上述した一体構造体の剛性を検討する場合には、補強部材を除去する必要はない。
【0031】
なお、各パネル部材における剛性は、各パネル部材における耐変形性と言い換えることができる。また、一体構造体における剛性も、一体構造体における耐変形性と言い換えることができる。
【0032】
さらに、
図1、
図2及び
図4に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、補強部材30が、ハット型断面形状部10Aの頂部11の全面に渡って設けられた層状部31と、層状部31から他のパネル部材20側に突出した状態で設けられたリブ部33とからなる。
【0033】
さらに、
図4に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、補強部材30が、閉空間1CS内のうちハット型断面形状部10Aの頂部11及び中間部13で囲まれた領域10CS内に設けられている。なお、本形態のボディサイドパネル1においては、閉空間1CSと領域10CSとが同じである。
【0034】
ここで、上記各構成要素について更に詳細に説明する。
【0035】
ハット型パネル部材10及び他のパネル部材20に含まれる金属としては、自動車のボディサイドパネルに適用可能であれば特に限定されず、例えば、鋼などの鉄合金、アルミニウム合金を挙げることができる。
【0036】
例えば、ハット型パネル部材及び他のパネル部材の双方のパネル部材を鉄合金で形成してもよく、また、アルミニウム合金で形成してもよい。
【0037】
さらに、例えば、ハット型パネル部材及び他のパネル部材のうち一方のパネル部材を鉄合金で形成し、他方のパネル部材をアルミニウム合金で形成してもよい。
【0038】
さらに、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、ハット型パネル部材及び他のパネル部材のうち補強部材を接合したハット型パネル部材をアルミニウム合金で形成し、他のパネル部材を鉄合金で形成することが好ましい。このとき、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、鉄合金で形成される他のパネル部材が、平板型断面形状部を有することが好ましい。
【0039】
さらに、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの軽量化の観点からは、補強部材を接合していない他のパネル部材の厚みが3mm以下であることが好ましく、0.7mm〜3mmであることがより好ましい。
【0040】
補強部材30は、2つのパネル部材の間に形成された閉空間内に設けられており、かつ、ハット型断面形状部の頂部及び中間部の少なくとも一方と接合されるように配置されていれば、特に限定されない。
【0041】
特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、補強部材が、ハット型断面形状部の頂部の全面に渡って設けられた層状部と、層状部から他のパネル部材側に突出した状態で設けられたリブ部とからなることが好ましい。このとき、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、例えば、層状部の厚みが0.5mm〜3.0mmであることが好ましく、1.0mm〜1.5mmであることがより好ましい。また、このとき、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、例えば、リブ部の高さが高い部分において200mm程度であることが好ましい。
【0042】
さらに、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上の観点からは、ボディサイドパネルの各部位に要求される各剛性に応じてリブ部の高さを調整することが好ましい。また、ボディサイドパネルの軽量化の観点からも、ボディサイドパネルに要求される軽量化の度合いに応じてリブ部の高さを調整することが好ましい。従って、特に限定されるものではないが、補強部材が一定の高さのリブ部を有する必要はなく、ボディサイドパネルの各部位において補強部材が異なる高さのリブ部を有していることが好ましい。
【0043】
さらに、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、補強部材が、ハット型断面形状部の頂部の全面に渡って設けられた層状部と、層状部から他のパネル部材側に突出し、ハット型断面形状部の中間部と接触しない状態で設けられた非接触リブ部及び層状部から他のパネル部材側に突出し、ハット型断面形状部の中間部と接触した状態で設けられた接触リブ部の少なくとも一方からなるリブ部とからなることが好ましい。
【0044】
さらに、補強部材としては、自動車のボディサイドパネルに適用可能であれば特に限定されず、例えば、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂などの繊維強化樹脂からなる補強部材を挙げることができる。炭素繊維強化樹脂としては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、炭素繊維強化熱可塑性樹脂を好適例として挙げることができる。
【0045】
特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる炭素繊維としては、例えば、繊維束が単繊維1000本〜24000本程度からなるレギュラートウ、繊維束が単繊維40000本以上からなるラージトウなどを挙げることができる。
【0046】
さらに、特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる炭素繊維としては、例えば、長さ1mm〜10mm程度の長繊維、長さ0.1mm〜1mm程度の短繊維などの不連続繊維を挙げることができる。
【0047】
さらに、特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる炭素繊維としては、例えば、リサイクル材、不織布を用いることもできる。
【0048】
特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる樹脂としては、例えば、ポリアミド(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、メタキシレンジアミン6(MXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(PA9T)を挙げることができる。
【0049】
なお、熱可塑性樹脂を適用した炭素繊維強化熱可塑性樹脂で補強部材を成形することにより、炭素繊維強化熱可塑性樹脂中に上述した比較的長い不連続繊維を含ませることができるという利点がある。このような比較的長い不連続繊維は、ボディサイドパネルの全体剛性の向上に寄与し易い。
【0050】
また、熱可塑性樹脂を適用した炭素繊維強化熱可塑性樹脂で補強部材を成形することにより、大型のボディサイドパネルに適用される大型の補強部材を、射出プレス成形工法によって短いサイクルタイムで成形することができる。また、射出プレス成形工法で補強部材を成形するため、リブ部の形状を自由に設計することができる。さらに、射出プレス成形工法の中でも、大型の射出プレス成形部材の高速成形に適したLFT−D(Long Fiber Thermoplastic−Direct)工法を適用することが好ましい。
【0051】
さらに、特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂の原料としては、例えば、上述した長繊維、短繊維などからなる不連続繊維と熱可塑性樹脂とを含むペレット材を用いることができる。
【0052】
さらに、特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂の原料としては、例えば、上述したレギュラートウ、ラージトウなどの繊維束からなる連続繊維と上述した熱可塑性樹脂の溶融物とを混練して得られた複合材を用いてもよく、上述した長繊維、短繊維などからなる不連続繊維と上述した熱可塑性樹脂の溶融物とを混練して得られた複合材を用いてもよく、上述したリサイクル材、不織布と上述した熱可塑性樹脂の溶融物とを混練して得られた複合材を用いてもよい。
【0053】
さらに、特に限定されるものではないが、炭素繊維強化熱可塑性樹脂としては、例えば、炭素繊維強化熱可塑性樹脂のシートモールディングコンパウンド(SMC)、炭素繊維テープ強化熱可塑性樹脂(CTT)、炭素繊維マット強化熱可塑性樹脂(CMT)などの中間基材を用いてもよい。
【0054】
さらに、
図5は、
図4に示したボディサイドパネルのV−V線に沿った模式的な断面図である。
図5に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、補強部材30が炭素繊維強化熱可塑性樹脂300を含んでいる。そのため、補強部材30の一部であるリブ部33も炭素繊維強化熱可塑性樹脂300を含んでいる。なお、炭素繊維強化熱可塑性樹脂300は、炭素繊維301と熱可塑性樹脂303とを含んでいる。
【0055】
さらに、特に限定されるものではないが、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、
図5に示すように、本形態のボディサイドパネル1においては、リブ部33における炭素繊維強化熱可塑性樹脂300中の炭素繊維301が、リブ部33の突出方向に直交する方向に配向していることが好ましい。言い換えれば、
図5中において、炭素繊維301が、紙面の面内方向に沿った状態でリブ部33中に含まれている。なお、
図5中の「リブ部の突出方向」は、紙面に垂直な方向であり、「リブ部の突出方向に直交する方向」は、紙面の面内方向である。
【0056】
なお、特に限定されるものではないが、上述のようなリブ部33は、例えば、炭素繊維の配向方向が調整された炭素繊維強化熱可塑性樹脂のシートモールディングコンパウンド(SMC)、炭素繊維テープ強化熱可塑性樹脂(CTT)、炭素繊維マット強化熱可塑性樹脂(CMT)などの中間基材を利用して成形することができる。
【0057】
接合部50は、ハット型パネル部材と他のパネル部材とを縁部で接合し得れば、特に限定されない。
【0058】
特に限定されるものではないが、接合部としては、例えば、融接、圧接、ろう付けなどの従来公知の溶接方法によって形成された接合部を挙げることができる。なお、接合部は、2つのパネル部材に含まれる成分元素と異なる成分元素を含んでいてもよい。また、これに限定されず、接合部は、2つのパネル部材に含まれる成分元素と異なる成分元素を含まず、同じ成分元素を含んでいてもよい。このとき、2つのパネル部材及び接合部における各成分元素の割合は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、リベット接合、SPR接合(Self−Pierce Riveting)、摩擦接合、接着剤などの溶接以外の接合でもよい。
【0059】
上述のようなボディサイドパネルは、金属製のハット型パネル部材と、金属製の他のパネル部材と、樹脂製の補強部材とを備える。そして、このボディサイドパネルにおいては、ハット型パネル部材は、頂部、縁部、及び頂部と縁部を繋ぐ中間部からなるハット型断面形状部を有している。さらに、このボディサイドパネルにおいては、ハット型断面形状部は、縁部で他のパネル部材と接合している。さらに、このボディサイドパネルにおいては、ハット型断面形状部は、他のパネル部材とともに閉空間を形成している。さらに、このボディサイドパネルにおいては、補強部材は、閉空間内で頂部及び中間部の少なくとも一方と接合されるように配置されている。さらに、このボディサイドパネルにおいては、ハット型パネル部材は、縁部と中間部との間にコーナー部位を有しており、コーナー部位に対応する他のパネル部材の対応部位の剛性が、コーナー部位の剛性よりも高い。そのため、このボディサイドパネルは、補強部材を接合したハット型パネル部材のコーナー部位の剛性向上とコーナー部位に対応する補強部材を接合していない他のパネル部材の対応部位の剛性向上を実現できる。従って、このボディサイドパネルは、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現できる。
【0060】
なお、ボディサイドパネルの全体剛性としては、曲げ剛性若しくはねじり剛性又はこれらの双方の剛性を挙げることができる。
【0061】
また、上述のようなボディサイドパネルを用いて自動車を組み立てる際には、ボディサイドパネルとフロアパネルとの締結剛性を高くすることができる。
【0062】
特に、上述のようなボディサイドパネルは、金属使用量、樹脂使用量の増加を抑制しながら、補強部材を接合したハット型パネル部材のコーナー部位の剛性向上とコーナー部位に対応する補強部材を接合していない他のパネル部材の対応部位の剛性向上を実現できる。従って、このボディサイドパネルは、金属使用量、樹脂使用量の増加を抑制しながら、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現できる。
【0063】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、2つのパネル部材を接合部で接合しているため、補強部材を接合したハット型パネル部材と他のパネル部材とをこの補強部材を更に加熱して接合する必要がないという利点がある。また、補強部材を接合したハット型パネル部材と他のパネル部材とをこの補強部材を更に加熱して接合する必要がないため、補強部材とハット型パネル部材との間の接合状態を維持することができるという利点がある。さらに、製造工程を削減することができるため、生産性に優れたボディサイドパネルが得られるという副次的な利点がある。
【0064】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、2つのパネル部材を接合部で接合しているため、ハット型パネル部材にのみ補強部材を接合すればよいという利点がある。従って、ハット型パネル部材にのみ補強部材を接合した本形態のボディサイドパネルは、2つのパネル部材に補強部材を接合したボディサイドパネルと比較して、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。
【0065】
なお、本発明の範囲には、2つのパネル部材に補強部材を接合したボディサイドパネルが含まれる。
【0066】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、他のパネル部材が、平板型断面形状部を有することが好ましい。平板型断面形状部の本体部の剛性は、ハット型断面形状部のコーナー部位の剛性と比較して高い。そのため、他のパネル部材に補強部材を接合したり、他のパネル部材の厚みを大きくしたりする必要がない。
【0067】
また、他のパネル部材が平板型断面形状部を有するので、断面における閉空間の面積を同じに設定する場合、例えば、ハット型パネル部材のハット型断面形状部における中間部の長さを大きくすることができる。そのため、ハット型パネル部材に補強部材をより密着した状態で接合できる。
【0068】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、ハット型パネル部材及び補強部材からなる一体構造体の剛性と他のパネル部材の剛性とが同一であることが好ましい。このボディサイドパネルは、樹脂使用量をより低減することができる。
【0069】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上の観点からは、補強部材が、ハット型断面形状部の頂部の全面に渡って設けられた層状部と、層状部から他のパネル部材側に突出した状態で設けられたリブ部とからなることが好ましい。ハット型断面形状部とリブ部との接合において、ハット型断面形状部とリブ部及び頂部の全面に渡って設けられた層状部との接合界面の面積は、ハット型断面形状部とリブ部との接合界面の面積と比較して大きい。そのため、上述のボディサイドパネルにおいては、ハット型断面形状部の頂部の全面に渡って層状部を設けないボディサイドパネルと比較して、ハット型断面形状部に補強部材をより密着した状態で接合できる。
【0070】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの軽量化の観点からは、補強部材が、閉空間内のうちハット型断面形状部の頂部及び中間部で囲まれた領域内に設けられていることが好ましい。補強部材を接合したハット型パネル部材において、ハット型断面形状部の頂部及び中間部で囲まれた領域外に設けられた補強部材は、ハット型パネル部材のコーナー部位の剛性の向上に寄与しない。そのため、このボディサイドパネルは、剛性の向上に寄与しない無駄な補強部材の使用量を削減することができる。なお、上述のようなボディサイドパネルにおいては、平板型断面形状部を有する他のパネル部材と補強部材との干渉を避けることができる。
【0071】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、ハット型パネル部材が、アウターパネル部材であることが好ましい。ボディサイドパネルの外側側面からの荷重や強制変位に対して、アウターパネル部材と補強部材との一体構造体によってボディサイドパネルの全体剛性を直接保持することができる。
【0072】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、補強部材が炭素繊維強化熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。炭素繊維強化熱可塑性樹脂で補強部材を成形することにより、炭素繊維強化熱可塑性樹脂中に比較的長い不連続繊維を含ませることができるという利点がある。このような比較的長い不連続繊維は、ボディサイドパネルの全体剛性の向上に寄与し易い。また、補強部材が、炭素繊維強化熱可塑性樹脂を含むことにより、ボディサイドパネルの強度がより向上する。
【0073】
さらに、上述のようなボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点からは、補強部材が、ハット型断面形状部の頂部の全面に渡って設けられた層状部と、層状部から他のパネル部材側に突出した状態で設けられたリブ部とからなり、補強部材が、炭素繊維強化熱可塑性樹脂を含み、リブ部における炭素繊維強化熱可塑性樹脂中の炭素繊維が、リブ部の突出方向に直交する方向に配向していることが好ましい。補強部材に含まれる炭素繊維強化熱可塑性樹脂中の炭素繊維が配向する方向が変わると、炭素繊維が配向している方向の剛性が向上する。リブ部における炭素繊維強化熱可塑性樹脂中の炭素繊維を、リブ部の突出方向に直交する方向に配向させると、リブ部の突出方向に直交する方向に力を伝達させ易くなる。その結果、リブ部の剛性が向上する。
【0074】
[第2の形態]
次に、第2の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
図6は、第2の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図6は、第2の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0076】
図6に示すように、本形態のボディサイドパネル1Aは、補強部材30が、上述した第1の形態のボディサイドパネル1と相違する。すなわち、
図6に示すように、本形態のボディサイドパネル1Aにおいては、補強部材30が、ハット型断面形状部10Aの頂部11と接合されるように配置されており、ハット型断面形状部10Aの頂部11の全面に渡って設けられた層状部31からなる。
【0077】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第2の形態のボディサイドパネルと第1の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第1の形態のボディサイドパネルの方が好適である。
【0078】
[第3の形態]
次に、第3の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図7は、第3の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図7は、第3の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0080】
図7に示すように、本形態のボディサイドパネル1Bは、補強部材30が、上述した第1の形態のボディサイドパネル1と相違する。すなわち、
図7に示すように、本形態のボディサイドパネル1Bにおいては、補強部材30が、ハット型断面形状部10Aの中間部13と接合されるように配置されており、ハット型断面形状部10Aの中間部13と接触した状態で設けられたリブ部33からなる。
【0081】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第3の形態のボディサイドパネルと第1の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第1の形態のボディサイドパネルの方が好適である。
【0082】
[第4の形態]
次に、第4の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図8は、第4の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図8は、第4の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0084】
図8に示すように、本形態のボディサイドパネル1Cは、補強部材30が、上述した第1の形態のボディサイドパネル1と相違する。すなわち、
図8に示すように、本形態のボディサイドパネル1Cにおいては、補強部材30が、層状部31から他のパネル部材の平板型断面形状部20B側に突出し、ハット型断面形状部10Aの中間部13と接触しない状態で設けられたリブ部33及び層状部31から他のパネル部材の平板型断面形状部20B側に突出し、ハット型断面形状部10Aの中間部13と接触した状態で設けられたリブ部33を有する。また、各リブ部は、異なる高さを有している。
【0085】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第4の形態のボディサイドパネルと第1の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第1の形態のボディサイドパネルの方が好適である。
【0086】
[第5の形態]
次に、第5の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図9は、第5の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図9は、第5の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0088】
図9に示すように、本形態のボディサイドパネル1Dは、他のパネル部材20が、上述した第1の形態のボディサイドパネル1と相違する。すなわち、
図9に示すように、本形態のボディサイドパネル1Dにおいては、他のパネル部材20が、頂部21、縁部25、及び頂部21と縁部25を繋ぐ中間部23からなるハット型断面形状部20Aを有している。さらに、本形態のボディサイドパネル1Dにおいては、コーナー部位14に対応する他のパネル部材20の対応部位の剛性が、コーナー部位14の剛性よりも高い。なお、本形態のボディサイドパネル1Dにおいて、ハット型パネル部材10のコーナー部位14に対応する他のパネル部材20の対応部位とは、他のパネル部材のハット型断面形状部20Aのコーナー部位24である。
【0089】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第5の形態のボディサイドパネルと第1の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第1の形態のボディサイドパネルの方が好適である。また、第5の形態のボディサイドパネルは、従来の2つのパネル部材の断面形状を大きく変形することなく、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化を実現できる。
【0090】
[第6の形態]
次に、第6の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
図10は、第6の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図10は、第6の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0092】
図10に示すように、本形態のボディサイドパネル1Eは、補強部材30が、上述した第5の形態のボディサイドパネル1Dと相違する。すなわち、
図10に示すように、本形態のボディサイドパネル1Eにおいては、補強部材30が、層状部31から他のパネル部材のハット型断面形状部20A側に突出し、ハット型断面形状部10Aの中間部13と接触しない状態で設けられたリブ部33及び層状部31からハット型断面形状部20A側に突出し、ハット型断面形状部10Aの中間部13と接触した状態で設けられたリブ部33を有する。さらに、中間部13と接触しない状態で設けられたリブ部33は、閉空間1CS内のうちハット型断面形状部10Aの頂部11及び中間部13で囲まれた領域10CSからはみ出して設けられている。また、各リブ部は、異なる高さを有している。
【0093】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第5の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第6の形態のボディサイドパネルと第5の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第5の形態のボディサイドパネルの方が好適である。
【0094】
[第7の形態]
次に、第7の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
図11は、第7の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図11は、第7の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0096】
図11に示すように、本形態のボディサイドパネル1Fは、他のパネル部材20が、上述した第1の形態のボディサイドパネル1と相違する。すなわち、
図11に示すように、本形態のボディサイドパネル1Fにおいては、他のパネル部材20の厚みが、ハット型パネル部材10の厚みよりも大きい。言い換えれば、本形態のボディサイドパネル1Fにおいては、平板型断面形状部20Bの厚みが、ハット型断面形状部10Aの厚みよりも大きい。さらに、本形態のボディサイドパネル1Fにおいては、ハット型パネル部材10及び補強部材30からなる一体構造体40の剛性と他のパネル部材20の剛性とが同一である。なお、フロアパネル60の厚みは、他のパネル部材20の平板型断面形状部20Bの厚みと同程度である。
【0097】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第7の形態のボディサイドパネルと第1の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第7の形態のボディサイドパネルの方が好適である。
【0098】
[第8の形態]
次に、第8の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
図12は、第8の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図12は、第8の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0100】
図12に示すように、本形態のボディサイドパネル1Gは、他のパネル部材20が、上述した第5の形態のボディサイドパネル1Dと相違する。すなわち、
図12に示すように、本形態のボディサイドパネル1Gにおいては、他のパネル部材20の厚みが、ハット型パネル部材10の厚みよりも大きい。言い換えれば、本形態のボディサイドパネル1Gにおいては、ハット型断面形状部20Aの厚みが、ハット型断面形状部10Aの厚みよりも大きい。さらに、本形態のボディサイドパネル1Gにおいては、2つのパネル部材の厚みを除き、接合部50を通る線に対して2つのパネル部材の断面形状が異なる。さらに、本形態のボディサイドパネル1Gにおいては、ハット型パネル部材10及び補強部材30からなる一体構造体40の剛性と他のパネル部材20の剛性とが同一である。なお、フロアパネル60の厚みは、他のパネル部材20のハット型断面形状部20Aの厚みと同程度である。
【0101】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第8の形態のボディサイドパネルと第5の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第8の形態のボディサイドパネルの方が好適である。また、第8の形態のボディサイドパネルは、従来の2つのパネル部材の断面形状を大きく変形することなく、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化を実現できる。
【0102】
[第9の形態]
次に、第9の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
図13は、第9の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図13は、第9の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0104】
図13に示すように、本形態のボディサイドパネル1Hは、他のパネル部材20が、上述した第5の形態のボディサイドパネル1Dと相違する。すなわち、
図13に示すように、本形態のボディサイドパネル1Hにおいては、他のパネル部材20の厚みが、ハット型パネル部材10の厚みよりも大きい。言い換えれば、本形態のボディサイドパネル1Hにおいては、ハット型断面形状部20Aの厚みが、ハット型断面形状部10Aの厚みよりも大きい。なお、フロアパネル60の厚みは、他のパネル部材20のハット型断面形状部20Aの厚みと同程度である。
【0105】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第9の形態のボディサイドパネルと第5の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第9の形態のボディサイドパネルの方が好適である。さらに、第9の形態のボディサイドパネルは、従来の2つのパネル部材の断面形状を大きく変形することなく、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化を実現できる。また、第9の形態のボディサイドパネルと第8の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第8の形態のボディサイドパネルの方が好適である。
【0106】
[第10の形態]
次に、第10の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
図14は、第10の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図14は、第10の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0108】
図14に示すように、本形態のボディサイドパネル1Iは、ボディサイドパネルの構造がフロアパネル60に対して左右反転した構造である点が、上述した第1の形態のボディサイドパネル1と相違する。すなわち、
図14に示すように、本形態のボディサイドパネル1Iにおいては、ハット型断面形状部10Aを有するハット型パネル部材10がインナーパネル部材であり、平板型断面形状部20Bを有する他のパネル部材20がアウターパネル部材である。
【0109】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第1の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第10の形態のボディサイドパネルと第1の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第1の形態のボディサイドパネルの方が好適である。また、本形態のボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの外側側面からの荷重や強制変位に対しては、アウターパネル部材の厚みを大きくすることによって、ボディサイドパネルの全体剛性を向上できる。さらに、アウターパネル部材に補強部材を接合する必要がないので、アウターパネル部材の外側面に引けが発生することを防止できる。その結果、ボディサイドパネルの塗装面の外観品質を向上できる。
【0110】
[第11の形態]
次に、第11の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
図15は、第11の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図15は、第11の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0112】
図15に示すように、本形態のボディサイドパネル1Jは、ボディサイドパネルの構造がフロアパネル60に対して左右反転した構造である点が、上述した第7の形態のボディサイドパネル1Fと相違する。すなわち、
図15に示すように、本形態のボディサイドパネル1Jにおいては、ハット型断面形状部10Aを有するハット型パネル部材10がインナーパネル部材であり、平板型断面形状部20Bを有する他のパネル部材20がアウターパネル部材である。
【0113】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第7の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第11の形態のボディサイドパネルと第7の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第7の形態のボディサイドパネルの方が好適である。また、本形態のボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの外側側面からの荷重や強制変位に対しては、アウターパネル部材の厚みを大きくすることによって、ボディサイドパネルの全体剛性を向上できる。さらに、アウターパネル部材に補強部材を接合する必要がないので、アウターパネル部材の外側面に引けが発生することを防止できる。その結果、ボディサイドパネルの塗装面の外観品質を向上できる。
【0114】
[第12の形態]
次に、第12の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
図16は、第12の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図16は、第12の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0116】
図16に示すように、本形態のボディサイドパネル1Kは、ボディサイドパネルの構造がフロアパネル60に対して左右反転した構造である点が、上述した第8の形態のボディサイドパネル1Gと相違する。すなわち、
図16に示すように、本形態のボディサイドパネル1Kにおいては、ハット型断面形状部10Aを有するハット型パネル部材10がインナーパネル部材であり、平板型断面形状部20Bを有する他のパネル部材20がアウターパネル部材であり、インナーパネル部材に補強部材30が接合している。
【0117】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第8の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第12の形態のボディサイドパネルと第8の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第8の形態のボディサイドパネルの方が好適である。また、本形態のボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの外側側面からの荷重や強制変位に対しては、アウターパネル部材の厚みを大きくすることによって、ボディサイドパネルの全体剛性を向上できる。さらに、アウターパネル部材に補強部材を接合する必要がないので、アウターパネル部材の外側面に引けが発生することを防止できる。その結果、ボディサイドパネルの塗装面の外観品質を向上できる。
【0118】
[第13の形態]
次に、第13の形態に係るボディサイドパネルについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した形態において説明したものと同様のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0119】
図17は、第13の形態に係るボディサイドパネルの要部を示す模式的な断面図である。なお、
図17は、第13の形態に係るボディサイドパネルの
図1に示したIV−IV線で示した部分と同じ部分の模式的な断面図である。
【0120】
図17に示すように、本形態のボディサイドパネル1Lは、ボディサイドパネルの構造がフロアパネル60に対して左右反転した構造である点が、上述した第9の形態のボディサイドパネル1Hと相違する。すなわち、
図17に示すように、本形態のボディサイドパネル1Lにおいては、ハット型断面形状部10Aを有するハット型パネル部材10がインナーパネル部材であり、平板型断面形状部20Bを有する他のパネル部材20がアウターパネル部材であり、インナーパネル部材に補強部材30が接合している。
【0121】
上述のようなボディサイドパネルにおいては、第9の形態のボディサイドパネルと同様に、ボディサイドパネルの全体剛性の向上を実現でき、ボディサイドパネルの軽量化を実現できる。なお、第13の形態のボディサイドパネルと第9の形態のボディサイドパネルとをボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化の観点から比較すると、第9の形態のボディサイドパネルの方が好適である。また、本形態のボディサイドパネルにおいては、ボディサイドパネルの外側側面からの荷重や強制変位に対しては、アウターパネル部材の厚みを大きくすることによって、ボディサイドパネルの全体剛性を向上できる。さらに、アウターパネル部材に補強部材を接合する必要がないので、アウターパネル部材の外側面に引けが発生することを防止できる。その結果、ボディサイドパネルの塗装面の外観品質を向上できる。
【0122】
現時点では、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化を実現できるという観点からは、第1の形態、第7の形態、第8の形態のボディサイドパネルが好適である。
さらに、ボディサイドパネルの全体剛性の向上、軽量化、生産性の向上を実現できるという観点からは、第1の形態、第7の形態のボディサイドパネルがより好適であると思われる。
また、従来の2つのパネル部材の断面形状を大きく変形することなく、ボディサイドパネルの全体剛性の向上と軽量化を実現できるという観点からは、第8の形態のボディサイドパネルが好適である。
さらに、ボディサイドパネルの全体剛性の向上、軽量化、塗装面の外観品質の向上を実現できるという観点からは、第11の形態、第12の形態のボディサイドパネルが好適である。
【0123】
以上、本発明を若干の形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0124】
例えば、上述した各形態のボディサイドパネルに記載した構成要素は、各形態に限定されるものではなく、例えば、各形態の構成要素を上述した各形態以外の組み合わせにしたり、各形態の構成要素の細部を変更したりすることができる。