(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6968470
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】粉末状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20211108BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20211108BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20211108BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20211108BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/02
A61Q1/12
A61Q19/00
A61Q19/08
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2021-51208(P2021-51208)
(22)【出願日】2021年3月25日
【審査請求日】2021年4月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】石川 遥
(72)【発明者】
【氏名】中村 将行
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
【審査官】
松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第110227038(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第110354003(CN,A)
【文献】
特開2000−136123(JP,A)
【文献】
16 Tone Shake Essence Pact SPF 50+ PA+++, MINTEL GNPD [ONLINE], 2019.02,[検索日 2021.04.28]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.6337931),全文(特に「製品情報」)
【文献】
UV Powder Shiny 50+ SPF 50+ PA++++, MINTEL GNPD [ONLINE], 2016.08,[検索日 2021.04.28]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.4408119),全文(特に「製品情報」)
【文献】
Marble Essence Creampact SPF 50+ PA+++, MINTEL GNPD [ONLINE], 2021.02,[検索日 2021.04.28]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.8372817),全文(特に「製品情報」)
【文献】
Water Fit Cover Pact SPF 50 PA+++, MINTEL GNPD [ONLINE], 2020.06,[検索日 2021.04.28]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.7628511),全文(特に「製品情報」)
【文献】
Powder Ampoule, MINTEL GNPD [ONLINE], 2016.04,[検索日 2021.04.28]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.3904213),全文(特に「製品情報」)
【文献】
Powder Essence, MINTEL GNPD [ONLINE], 2018.06,[検索日 2021.04.28]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.5753449),全文(特に「製品情報」)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/67
A61K 8/02
A61Q 1/12
A61Q 19/00
A61Q 19/08
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイアシンを30〜70重量%、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を30〜70重量%含有することを特徴とする粉末状の化粧料組成物。
【請求項2】
ビタミンC誘導体がアスコルビルグルコシドであることを特徴とする請求項1に記載の粉末状の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を含有する粉末状の化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容業界等においては、液状、ジェル状、ゲル状、粉末状、半固形状、固形状の化粧料が製造されている。しかしながら、液状、ジェル状、ゲル状、半固形状の化粧料は、水分を含むため殺菌剤や防腐剤等の添加物が配合されて製品化されることが多く、より安全性の高い化粧料が求められている。一方、固形状、粉末状の化粧料は、液状、ジェル状等に比べ水分が少ないため防腐剤や殺菌剤等の添加物が配合されずに製品化されることが可能であり、より安全性の高い製品の提供が可能である。しかしながら、従来の粉末状、固形状の化粧料は、皮膚に塗布された場合に伸びが悪いという欠点があり、また、伸びの悪さの欠点によって美容成分や薬効成分が十分に発揮されないという欠点もあった。また、従来の粉末状、固形状の化粧料は、皮膚に塗布された場合に、ざらつきを感じさせたり、不快な使用感を与えるという欠点があった。また、従来の粉末状、固形状の化粧料は、皮膚に塗布された場合や、水を配合したり、水に溶かした後にその溶液を皮膚に塗布された場合、白浮きして仕上りが粉っぽくなるという欠点があり、また、白浮きの欠点によって美容成分や薬効成分が十分に発揮されないという欠点もあった。また、従来の粉末状の化粧料は、水を配合した場合や水に溶かした場合、溶け残りがあったり、完全に溶解するまでに多くの時間を要するという欠点があり、また、溶解性の欠点によって美容成分や薬効成分が十分に発揮されないという欠点もあった。
【0003】
そこで、粉末状の化粧料については、特定の原料同士を組み合わせ、特定の製造方法を経ることで、得られた粉末状の化粧料を水に溶かして使用する場合の使用感を向上させる方法が提案されている。たとえば、ビタミンC誘導体の一種であるL−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩と、多糖類の一種であるサイクロデキストリンとを混合溶液とした後、乾燥して得られる粉末を含有するものが知られている(特許文献1)。しかしながら、従来の粉末状の化粧料は、必ずしも、白浮きの抑制を十分に改善できていない場合があった。また、従来の粉末状の化粧料は、必ずしも、不快な使用感を十分に改善できていない場合があった。また、従来の粉末状の化粧料は、水を配合した場合や水に溶かした場合、必ずしも、十分に溶解できていない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−315429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、皮膚に塗布された場合に使用感の良い粉末状化粧料を提供することにある。また、本発明の目的は、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、皮膚に塗布された場合や、水を配合したり、水に溶かした後にその溶液を皮膚に塗布された場合、白浮きが抑制された粉末状化粧料を提供することにある。また、本発明の目的は、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、水を配合した場合や水に溶かした場合、溶解性の良い粉末状化粧料を提供することにある。さらに、本発明の目的は、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、美容成分や薬効成分を十分に発揮し、保湿効果の高い粉末状化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、皮膚に塗布された場合に使用感の良い粉末状化粧料を製造できることを見出した。また、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、皮膚に塗布された場合や、水を配合したり、水に溶かした後にその溶液を皮膚に塗布された場合、白浮きが抑制された粉末状化粧料を製造できることを見出した。また、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、水を配合した場合や水に溶かした場合、溶解性の良い粉末状化粧料を製造できることを見出した。さらに、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を組み合わせることで、美容成分や薬効成分を十分に発揮し、保湿効果の高い粉末状化粧料を製造できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を含有する粉末状の化粧料組成物。
[2]ナイアシン、並びに、アスコルビルグルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸及びパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のビタミンC誘導体を含有する粉末状の化粧料組成物。
[3]ナイアシン、及び、アスコルビルグルコシドを含有する粉末状の化粧料組成物。
[4]ナイアシン、並びに、アスコルビルグルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸及びパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のビタミンC誘導体を含有し、ビタミンC誘導体をナイアシンに対して1:2.34未満の範囲の重量比で混合することを特徴とする粉末状化粧料組成物。
[5]ナイアシン、並びに、アスコルビルグルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸及びパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のビタミンC誘導体を含有し、ビタミンC誘導体をナイアシンに対して1:0.40〜1.50の範囲の重量比で混合することを特徴とする粉末状の化粧料組成物。
[6]ナイアシン、及び、アスコルビルグルコシドを含有し、アスコルビルグルコシドをナイアシンに対して1:2.34未満の範囲の重量比で混合することを特徴とする粉末状化粧料組成物。
[7]ナイアシン、及び、アスコルビルグルコシドを含有し、アスコルビルグルコシドをナイアシンに対して1:0.40〜1.50の範囲の重量比で混合することを特徴とする粉末状の化粧料組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉末状化粧料組成物によれば、皮膚に塗布された場合、優れた使用感を奏することができる。また、本発明の粉末状化粧料組成物によれば、皮膚に塗布された場合や、水を配合したり、水に溶かした後にその溶液を皮膚に塗布された場合、優れた白浮きの抑制を奏することができる。また、本発明の粉末状の化粧料組成物によれば、水を配合した場合や水に溶かした場合、優れた溶解性を奏することができる。さらに、本発明の粉末状化粧料組成物によれば、優れた保湿効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ナイアシン及びビタミンC誘導体を含有することを特徴とする。
【0010】
以下、本発明の組成物について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0011】
<ナイアシン>
ナイアシンは、ニコチン酸と、ニコチン酸の誘導体であるナイアシンの総称であり、ビタミB3とも呼ばれ、糖質、脂質、タンパク質の代謝に不可欠な成分である。本発明のナイアシンとしては、ニコチン酸、ニコチン酸の誘導体のいずれを用いてもよく、特に制限はないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、ニコチン酸の誘導体を用いることが好ましく、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)を用いることが特に好ましい。本発明のナイアシンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明で用いるナイアシンは、天然物から抽出したものも使用することができるし、公知の方法によって合成したものを使用することもできる。
【0012】
本発明でナイアシンとして用いられるナイアシンアミドは、ニコチン酸の誘導体の1種で、ニコチン酸のアミド化合物であり、ニコチン酸アミド、ニコチンアミド、ピリジン−3−カルボン酸とも呼ばれる。ナイアシンアミドには、人体の外部表面に塗布された場合に、ケラチノサイトからの抗微生物ペプチド(AMP)の分泌を誘導することによって、人体の外部表面を病原菌から保護する効果を有することが知られている。
【0013】
本発明の粉末状の化粧料組成物において、ナイアシンの配合量の下限値は、特に制限されないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、化粧料組成物の全量に対して、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、30%以上が最も好ましい。また、本発明の粉末状の化粧料組成物において、ナイアシンの配合量の上限値は、特に制限されないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、また、保湿効果が優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましく、75重量%以下が最も好ましい。
【0014】
<ビタミンC誘導体>
ビタミンC誘導体は、L−アスコルビン酸の誘導体及びその塩を包含する概念であり、ビタミンCの安定性を高めるために、他の分子を結合させて分子構造を変化させて製造されたものである。ビタミンC誘導体には、水溶性、脂溶性、両新媒性のものがある。水溶性のビタミンC誘導体としては、たとえば、アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビン酸6−グルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸ナトリウムがある。脂溶性のビタミンC誘導体としては、たとえば、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルがある。両新媒性のビタミンC誘導体としては、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、グリセリルオクチルアスコルビン酸がある。本発明のビタミンC誘導体としては、リン酸アスコルビルマグネシウム以外であれば、水溶性、脂溶性、両新媒性のいずれのものを用いてもよく、特にスコルビン酸2−グルコシドや、アスコルビン酸の6位の炭素にグルコースが結合したアスコルビン酸6−グルコシドがある。本発明のアスコルビルグルコシドとしては、アスコルビルグルコシドと称されるものであればいずれのアスコルビルグルコシドを用いてもよく、特に制限されないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、水溶性又は両新媒性のビタミンC誘導体を用いることが好ましく、水溶性のアスコルビルグルコシド又は3−O−エチルアスコルビン酸、もしくは、両新媒性のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを用いることが特に好ましい。
【0015】
(アスコルビルグルコシド)
アルコスビルグルコシドは、L−アスコルビン酸にグルコースを縮合させたもので、ビタミンC誘導体の一種であり、アスコルビン酸グルコシドとも呼ばれる。本発明のアスコルビルグルコシドとしては、アスコルビン酸の2位の炭素にグルコースが結合したアスコルビン酸2−グルコシドや、アスコルビン酸の6位の炭素にグルコースが結合したアスコルビン酸6−グルコシドがある。本発明のアスコルビルグルコシドとしては、アスコルビルグルコシドと称されるものであればいずれのアスコルビルグルコシドを用いてもよく、特に制限はないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、アスコルビン酸2−グルコシドを用いることが好ましい。
【0016】
アスコルビン酸2−グルコシドは、アスコルビン酸の2位の炭素にグルコースが結合したもので、水溶性のビタミンC誘導体の1種で、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸−2−グルコシド、L−アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビン酸2−α−D−グルコシド、アスコルビン酸2−O−α−D−グルコシド、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、2−O−(α−D−グルコピラノシル)−L−アスコルビン酸とも呼ばれる。本発明で用いるアスコルビン酸2−グルコシドは、天然物から抽出したものも使用することができるし、公知の方法によって合成したものを使用することもできる。
【0017】
(3−O−エチルアスコルビン酸)
3−O−エチルアスコルビン酸は、アスコルビン酸の3位水酸基にエトキシ基を導入して生成されたもので、水溶性のビタミンC誘導体の一種であり、ビタミンCエチル、VCエチル、アスコルビルエチルとも呼ばれる。本発明で用いる3−O−エチルアスコルビン酸は、天然物から抽出したものも使用することができるし、公知の方法によって合成したものを使用することもできる。
【0018】
(パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム)
パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム(「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na」ともいう)は、アスコルビルリン酸ナトリウムにパルミチン酸を結合したもので、脂溶性のビタミンC誘導体の一種であり、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルリン酸Naとも呼ばれる。本発明で用いるパルミチン酸アスコルビルリン酸3Naは、天然物から抽出したものも使用することができるし、公知の方法によって合成したものを使用することもできる。
【0019】
本発明の化粧料組成物において、ビタミンC誘導体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の化粧料組成物において、ビタミンC誘導体の配合量の下限値は、特に制限されないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、化粧料組成物の全量に対して、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、25%以上が最も好ましい。また、本発明の粉末状の化粧料組成物において、ビタミンC誘導体の配合量の上限値は、特に制限されないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、70重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましく、60重量%以下が最も好ましい。
【0020】
本発明の粉末状の化粧料組成物において、ナビタミンC誘導体の配合比率は、特に制限されないが、使用感が優れる点から、また、白浮きを抑制できる点から、また、溶解性が優れる点から、さらに、保湿効果が優れる点から、ナイアシンの配合量を1とした場合、10.00未満が好ましく、2.34未満がより好ましく、1:0.10〜2.30が特に好ましく、1:0.40〜1.50が最も好ましい。
【0021】
本発明の粉末状の化粧料組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、たとえば、その他の有効成分、防腐剤、pH調整剤、油脂、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、アルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、無機塩、滑沢剤、溶剤、精製水等の、通常、皮膚外用剤に使用される成分の一種以上を使用することができる。
【0022】
以下、本発明の粉末状の化粧料組成物に含有される、本発明の成分以外の他の成分について、その代表的なものをさらに説明する。
【0023】
本発明の粉末状の化粧料組成物に含有される有効成分としては、特に限定されることなく、化粧品、医薬部外品、外用医薬品等に用いられる薬剤や、特定の植物素材等を目的に応じ使用することができる。代表的なものとして、たとえば、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン、パンテノール、アラントイン等の抗炎症剤、システイン及びその誘導体並びにその塩、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、プラセンタ、ハイドロキノン及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、グルタチオン等の美白剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤、サリチル酸、オウバク抽出物等の殺菌剤、トコフェロール及びその誘導体、甘草、アロエ、茶葉等の植物成分、エストラジオール等のホルモン等が挙げられる。なお、植物成分を使用する場合は、その全草、葉(葉身、葉柄等)、果実(成熟、未熟等)、種子、花(花弁、子房等)、茎、根茎、根、塊根等を、そのまま、切断、破砕、粉砕、搾取、抽出して用いるか、又はこれら処理されたものを乾燥もしくは粉末化して用いることができる。
【0024】
本発明の粉末状の化粧料組成物は、使用感の向上、白浮きの抑制、溶解性の向上、保湿の効果を奏するものであり、美容作用を有するため、皮膚の乾燥を減らすこと、皮膚の乾燥をなくすこと、乾燥による小じわを目立たなくすること、乾燥による皮膚のざらつきを抑え、皮膚を滑らかにすること、肌質改善、皮膚をすこやかに保つことを目的とした、化粧品、医薬部外品、薬品等の医薬品のいずれにも好適に使用することができる。
【0025】
本発明の粉末状の化粧料組成物は、皮膚の保湿、しわの予防又は改善、美容に有用であり、化粧品、医薬部外品、外用医薬品等の皮膚外用剤に好適に利用され得る。
【0026】
本発明の粉末状の化粧料組成物は、製品の包装等に、本発明の成分が皮膚の保湿、しわの予防又は改善等の美容の有効成分として表示されているものに限られない。たとえば、有効成分を特定していないものであってもよく、本発明の成分以外の特定の素材を有効成分として表示したものであってもよい。
【0027】
本発明の粉末状の化粧料組成物は、後述する実施例で示された、使用感の向上、白浮きの抑制、溶解性の向上、保湿の効果を奏することにより、使用感の向上組成物、白浮きの抑制用組成物、白浮きの低減用組成物、溶解性の向上組成物、保湿用組成物、美容組成物として優れたものとなり得る。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明の粉末状の化粧料組成物をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の技術的範囲は、かかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合、「%」は重量%を表す。
【0029】
[サンプルの調製]
表1に記載の組成となるように、被験物質を混合し、粉末状の化粧料組成物6gを調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
[試験1 溶解性の評価]
得られた粉末状の化粧料組成物6gを水10mLに溶かし、溶解性を以下の評価基準で点数を付けて評価した。
【0032】
・溶解性の評価基準
1分未満で完全に溶解する:5
1分から3分未満で完全に溶解する:4
3分から5分未満で完全に溶解する:3
5分経過後、一部が溶解しているが、溶け残りがある:2
5分経過後、全く溶解していない:1
【0033】
【表2】
【0034】
結果を表2に示す。表2に示されるように、実施例1乃至5に係る、ナイアシンアミド及びアスコルビン酸2−グルコシドを含む場合、比較例1に係る、ナイアシンアミド、及び、ビタミンC誘導体の1種であるリン酸アスコルビルマグネシウム(「リン酸アスコルビルMg」ともいう)を含む場合に比べて溶解性が優れていた。また、表2に示されるように、実施例1乃至4に係る、ナイアシンアミド及びアスコルビン酸2−グルコシドを40:60〜70:30の割合で混合する場合、30:70の割合で混合する場合に比べて溶解性が優れていた。これらのことから、本発明は、溶解性の向上に極めて有効である。
【0035】
[試験2 白浮きの抑制の評価]
得られた粉末状の化粧料組成物6gを水10mLに溶かした。粉末状の化粧料組成物を溶かした溶液を男女3人の顔に塗布し、5分間放置した後、白浮きの有無を以下の評価基準で点数を付けて評価し、点数の平均点を算出した。
【0036】
・白浮きの評価基準
白浮きが全く目立たない:5
白浮きがほとんど目立たない:4
白浮きがあまり目立たない:3
白浮きがやや目立つ:2
白浮きが非常に目立つ:1
【0037】
【表3】
【0038】
結果を表3に示す。表3に示されるように、実施例1乃至5に係る、ナイアシンアミド及びアスコルビン酸2−グルコシドを含む場合、比較例1に係る、ナイアシンアミド、及び、ビタミンC誘導体の1種であるリン酸アスコルビルマグネシウムを含む場合に比べて白浮きが抑制された。また、表3に示されるように、実施例1乃至5に係る、ナイアシンアミド及びアスコルビン酸2−グルコシドを含む場合、比較例2及び3に係る、ナイアシンアミド、及び、デキストリン又はマルチトールを含む場合に比べて白浮きが抑制された。これらのことから、本発明は、白浮きの抑制に極めて有効である。
【0039】
[試験3 使用感の評価(塗布のしやすさの評価)]
得られた粉末状の化粧料組成物6gを水10mLに溶かした。粉末状の化粧料組成物を溶かした溶液を男女3人の顔に塗布し、使用感について塗布のしやすさを以下の評価基準で点数を付けて評価し、点数の平均点を算出した。
【0040】
・塗布のしやすさの評価基準
溶液の伸びが非常に良い:5
溶液の伸びが良い:4
溶液の伸びがやや良い:
溶液の伸びが悪い:2
溶液の伸びが非常に悪い:1
【0041】
【表4】
【0042】
結果を表4に示す。表4に示されるように、実施例1乃至5に係る、ナイアシンアミド及びアスコルビン酸2−グルコシドを含む場合、比較例1に係る、ナイアシンアミド、及び、ビタミンC誘導体の1種であるリン酸アスコルビルマグネシウムを含む場合に比べて溶液の伸びが良く塗布しやすかった。このことから、本発明は、使用感の向上に極めて有効である。
【0043】
[試験4 保湿の評価]
得られた粉末状の化粧料組成物6gを水10mLに溶かした。粉末状の化粧料組成物を溶かした溶液を男女3人の顔に塗布し、10分間放置した後、保湿感を以下の評価基準で点数を付けて評価し、点数の平均点を算出した。
【0044】
・保湿の評価基準
潤いを非常に感じる:5
潤いを感じる:4
潤いをやや感じる:3
潤いをあまり感じない:2
潤いを全く感じない:1
【0045】
【表5】
【0046】
結果を表5に示す。表5に示されるように、実施例1乃至5に係る、ナイアシンアミド及びアスコルビン酸2−グルコシドを含む化粧料は、潤いを感じさせるものであった。
【0047】
以下、本発明の粉末状の化粧料組成物の種々の態様の処方例を挙げる。しかし、本発明の技術的範囲はかかる処方例に限定されない。以下、特に断らない場合、「%」は重量%を表す。
【0048】
[処方例1乃至4]
表6に記載のとおり、ナイアシン、及び、アスコルビルグルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naから選ばれる少なくとも1種のビタミンC誘導体を混合し、粉末状の化粧料組成物を調製した。得られた粉末状の化粧料組成物6gを10mLの水に溶かして溶液を調製した。得られた溶液は、溶解性に優れ、皮膚に塗布した場合、伸びが良く使用感が優れ、また、白浮きが目立たず、さらに、皮膚の保湿効果が優れたものであった。
【0049】
【表6】
【0050】
[処方例5乃至8]
表7に記載のとおり、ナイアシン、及び、アスコルビルグルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naから選ばれる少なくとも1種のビタミンC誘導体を同表に示した組成で混合して粉末状の化粧料組成物を調製した。また、表7に記載のとおり、キサンタンガム、BG、グリセリン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、及び、水を同表に示した組成で混合して含水組成物を調製した。得られた含水組成物を粉末状の化粧料組成物に対して1:9の割合で混合してジェルを調製した。得られたジェルは、溶解性に優れ、皮膚に塗布した場合、伸びが良く使用感が優れ、また、白浮きが目立たず、さらに、皮膚の保湿効果が優れたものであった。
【0051】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の粉末状の化粧料組成物は、いわゆる化粧品、医薬部外品、医薬品として用いることができることから、産業上有用である。
【要約】
【課題】使用感が良く、白浮きを抑制させることができ、溶解性が良く、また、保湿効果が高い粉末状の化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】ナイアシン、及び、ビタミンC誘導体(ただし、リン酸アスコルビルマグネシウムを除く。)を含有する粉末状の化粧料組成物である。
【選択図】なし