【実施例1】
【0025】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。先ず、実施例の浴用タオル10について説明する。
図1〜
図3に示されるように、浴用タオル10は、帯状のタオル本体20と、このタオル本体20の一方の面21にタオル本体20の厚みよりも厚く膨出して設けられ柔軟性及び弾力性を有する2つの膨出体30と、タオル本体10の長手方向の中心部で膨出体20を離間するように2つに分ける位置に設けられタオル本体20の自重で屈曲可能な脆弱曲がり部41とを備えている。膨出体30は、タオル本体20の長手方向の中心部CLを境にして2つ設けられている。脆弱曲がり部41は、タオル本体20の2つの膨出体30の間であって、タオル本体20の長手方向の中心部CLに設けられている。2つの膨出体30の間隔は、1cm程度が好ましい。なお、2つの膨出体30の間隔は、0.5cm、2cm、3cmなどであってもよい。また、タオル本体20の一方の面21とは、タオル本体20の表裏のいずれか一方(片方)の外側(表面)をいう。
【0026】
次にタオル本体20について説明する。
タオル本体20は、ポリエチレンなどの合成繊維で目が粗く形成されている。また、タオル本体20は、長手方向に所定の長さL1に、短手方向に所定の幅W1に形成され、その厚みは一般的なタオルの厚み相当であるが、人50(
図4参照)が手で掴んで柔軟に変形する程度であれば厚みは問わない。なお、いわゆるJIS規格では、浴用タオル10は、幅W1が33.5〜35.5cm×長さL1が83cm以上のものを示すが、本発明の実施例ではこれに限定されず、タオル本体20の幅W1は15cm、20cm、25cm、30cm、40cmなどでもよく、タオル本体20の長さL1は70cm、80cm、100cm、120cmなどでもよく、幅W1、長さL1は問わない。また、実施例では、幅W1のタオル本体20を幅方向に折らずに且つ一方の面21にのみ膨出体30を設けたが、これに限定されず、幅の広いタオル本体20の幅が半分になるように2つ折りにして重ね、幅方向に2つに折った状態のタオル本体20の一方の面21(例えば、使用時に人50の背中51に対向する面)にのみ膨出体30を設けてもよい。この場合、タオル本体20の幅が半分になるように2つ折りにして重ね、その周囲を縫い付けて開かないようにしてもよい。これにより、2枚重ねの厚手のタオル本体20とすることができる。さらには、タオル本体20を幅方向に3つ折り等にして、折った状態のタオル本体20の一方の面21にのみ膨出体30を設けてもよい。
【0027】
なお、実施例では、タオル本体20をポリエチレン製としたが、これに限定されず、ポリエステルなどの合成樹脂による合成繊維や、綿などの生地で形成されていてもよい。また、タオル本体20は、目を粗くして石鹸の泡立ちが良くなるようにしても、目を細かくして肌触りを滑らかにしてもよく、目の粗さや編み方は問わない。
【0028】
次に膨出体30について説明する。
膨出体30は、柔軟性及び弾力性を有するスポンジ31と、このスポンジ31を覆うネット32とで構成されており、タオル本体20から急角度で立ち上がる立ち上がり部35と、この立ち上がり部35の上端部に広い面積で形成された上面部36とを備えている。膨出体30がスポンジ31付きのため、泡立てが良く、固形石鹸や液状のボディソープが少量で済む。なお、立ち上がり部35の急角度とは30度以上であれば好ましいが、これに限定されず、15度等でもよく、膨出体30が背中凹み部52に接触している感じを得ることができれば角度は問わない。また、膨出体30は、ネット32を付けずにスポンジ31で構成してもよい。
【0029】
膨出体30は、正面視で長円形状に形成されており、長手方向の長さはL2であり、短手方向の幅はW2であり、高さはH2である。高さH2は所定の高さであり、0.5cm以上、2cm以下であれば好ましい。詳細は後述するが、背中51を洗う際、高さH2が0.5cm以上であれば膨出部30を背中凹み部52に十分に押し付けることができ、高さH2が2cm以下であれば膨出部30が横に倒れたり転がる状態になったりすることなく容易に浴用タオル10を扱うことができる。なお、高さH2は0.5cm未満や2cmより大きくしても差し支えない。
【0030】
また、膨出体30は、ネット32の上からスポンジ31の外周の端部がタオル本体20に縫い付けられている。スポンジ31の外周の端部に縫い目33があり、この縫い目33からさらに外方のネット32の端までの間には、ネット32の余り代34が形成されている。立ち上がり部35は、タオル本体20の近傍でこのタオル本体20と平行に形成された余り代34の内端側の縫い目33から立ち上がるように形成されている。
【0031】
このように、膨出体30は、タオル本体20の中(生地の内側)に入れないで、長い帯状のタオル本体20の一方の面21の長手方向中心部に、ネット32に覆われたスポンジ32が縫い付けられた状態で設けられている。また、タオル本体20の他方の面22には、膨出体30が設けられていない。このため、タオル本体20の他方の面22は、膨出体30のない通常のタオルと同様に扱うことができる。
【0032】
次に以上に述べた実施例の浴用タオル10の作用と比較例の浴用タオル100の作用を説明する。
図4(A)は実施例の浴用タオル10の作用図であり、人50が浴用タオル10を使用して背中51を洗っている状態が示されている。人50の背中51は、背骨に沿った背中凹み部52が、その両側の僧帽筋、広背筋及び脊柱起立筋等の背筋周辺の盛り上がった盛り上が側部53よりも凹んでいる。
【0033】
人50は、浴用タオル10の一端部を右手54で掴み、他端部を左手55で掴み、背中51側にまわした浴用タオル10を上下左右等に移動させて背中を擦るようにして洗う。このとき、膨出体30が、背中51に接触する向きにして浴用タオル10を使用する。
【0034】
図4(B)は実施例の浴用タオル10の背中凹み部52に対する作用図であり、膨出体30が背中凹み部52に接触している。タオル本体20は背中51の左右の盛り上がり側部53に接触しており、タオル本体20の両端部が右手54及び左手55に引っ張られているため、タオル本体20にテンション(張力)がかかり、膨出体30が背中凹み部52に押し付けられる。
【0035】
仮に、従来技術のようにスポンジの内側(背中51側)にもタオル本体があれば、スポンジが背中から離れる方向にも力が作用し、スポンジが十分に背中凹み部52に押し付けられない。この点、本発明の実施例では、タオル本体20の一方の面21に膨出するように膨出体30を設け、膨出体30の内側(背中51側)には何もなく、膨出体30の外側からのみ背中51に押し付ける力が作用するので、浴用タオル10の膨出体30を十分に強く背中凹み部52に押し付けることができる。
【0036】
図4(C)は比較例の浴用タオル100の背中凹み部52に対する作用図であり、浴用タオル100は帯状であり、表裏側に何も設けられていない。背中51を洗う際、浴用タオル100は背中51の左右の盛り上がり側部53に接触しており、浴用タオル100の両端部が右手54及び左手55に引っ張られているため、浴用タオル100にテンション(張力)がかかり、浴用タオル100が背中凹み部52の周辺で浮き上がる。このため、比較例の浴用タオル100では、背中凹み部52が洗い難い。
【0037】
次に実施例の膨出体30の作用と比較例の膨出体130の作用を説明する。
図5(A)は実施例の膨出体30の作用図であり、タオル本体20を移動させると、タオル本体20と一緒に膨出体30も矢印(1)のように移動する。
【0038】
図5(B)は実施例の膨出体30要部の作用図であり、膨出体30は、ネット32の上からスポンジ31の外周の端部がタオル本体20に縫い付けられている(符号33は縫い目)ので、スポンジ31がネット32内で移動することがない。このため、スポンジ32がネット32と擦れてボロボロに崩れることを防止できる。
【0039】
図5(C)は比較例の膨出体130の作用図であり、比較例の浴用タオル110において、膨出体130は、スポンジ131と、このスポンジ131を覆うネット132とを備え、ネット132がタオル本体120に縫い付けられている(符号133は縫い目)。比較例のタオル本体120を移動させると、タオル本体120と一緒に膨出体130も矢印(2)のように移動する。
【0040】
図5(D)は比較例の膨出体130の要部の作用図であり、膨出体130は、ネット132に覆われているだけであり、ネット132の外周の端部がタオル本体120に縫い付けられているので、スポンジ131がネット132内で矢印(3)のように移動する。このため、スポンジ131がネット132と擦れてボロボロに崩れ易くなる。
【0041】
次に実施例の浴用タオル10を物干し棒60に掛けた作用と、比較例の浴用タオル200を物干し棒60に掛けた作用を説明する。
図6(A)は実施例の浴用タオル10を物干し棒60に掛ける説明図であり、浴用タオル10の脆弱曲がり部41が物干し棒60に一致するようにして、浴用タオル10を物干し棒60に掛ける。
【0042】
図6(B)は実施例の浴用タオル10を物干し棒60に掛けた作用図であり、浴用タオル10は脆弱曲がり部41で曲げて物干し棒60に掛けられており、2つの膨出部30をバランスよく分けて浴用タオル10を物干し棒60から落ち難くして乾かし易くすることができる。さらに、脆弱曲がり部41の両側に独立した膨出部30がそれぞれ設けられているので、物干し棒60に容易に掛けることができ、より乾かし易くすることができる。
【0043】
図6(C)は比較例の浴用タオル200を物干し棒60にかけた作用図であり、タオル本体20の長手方向略中央に膨出部230が設けられている。このため、比較例の浴用タオル200は、膨出部230が物干し棒60の左右のいずれかに偏る位置に移動し、浴用タオル200が矢印(4)のように移動して物干し棒60から落ち易くなる。
【0044】
次に別態様の膨出体30について説明する。なお、
図1〜
図3の膨出体30と同様の構成については符号を振って説明を省略する。
図7(A)は別態様の膨出体30の説明図であり、膨出体30は、正面視で矩形状に形成されており、タオル本体20の一方の面に脆弱曲がり部41を境にして2つ設けられている。
【0045】
図7(B)は別態様の膨出体30の要部拡大図であり、長手方向の長さはL2であり、短手方向の幅はW2であり、高さはH2(
図2(B)参照)である。膨出体30は、ネット32の上からスポンジ31の外周の端部がタオル本体20に縫い付けられている(符号33は縫い目)。膨出体30は、矩形状であるので、スポンジ31やネット32の加工が容易にできる。
【0046】
次に別態様の浴用タオル10について説明する。なお、
図1〜
図3の浴用タオル10と同様の構成については符号を振って説明を省略する。
図8に示されるように、浴用タオル10は、タオル本体20と、膨出体30とを備えている。膨出体30は、タオル本体20と分離可能に設けられており、その裏側に面ファスナー23が設けられている。タオル本体20にも面ファスナー37が設けられている。このため、膨出体30はタオル本体20に矢印(5)のように面ファスナー23、37を介して着脱可能に設けられている。
【0047】
次に更なる別態様の浴用タオル10について説明する。なお、
図1〜
図3の浴用タオル10と同様の構成については符号を振って説明を省略する。
図9(A)は更なる別態様の浴用タオルの説明図であり、浴用タオル10は、タオル本体20と、膨出体30とを備えている。膨出体30は、タオル本体20の長手方向の中心部CL(
図1参照)に1つ設けられている。脆弱曲がり部41は、タオル本体20の長手方向の中心部CLの位置で膨出体30をタオル本体20に縫い付ける縫い目42である。
【0048】
図9(B)は更なる別態様の浴用タオル10の作用図であり、1つの膨出部30の脆弱曲がり部41(縫い目42)が物干し棒60に一致するようにして、浴用タオル10を物干し棒60に掛ける。浴用タオル10は脆弱曲がり部41で曲げて物干し棒60に掛けられており、1つの膨出部30の右部分30Rと、1つの膨出部30の左部分30Lとがバランスよく分かれて物干し棒60に掛けられることで、1つの膨出部30が設けられた浴用タオル10であっても物干し方60から落ち難くして乾かし易くすることができる。
【0049】
次に本発明の実施例に係る浴用タオル10の効果を説明する。
本発明の実施例では、膨出体30を背中51に接触するように向けて、背中51を洗う際に浴用タオル10の一端部を一方の手54で掴み、他端部を他方の手55で掴んで両側から引っ張ると、膨出体30の外側のタオル本体20にのみテンション(張力)がかかることで膨出体30を背中凹み部52に十分に強く押し付けることができる。さらに、タオル本体20を裏返して、膨出体30を外方に向けることで、膨出体30を背中51に接触させずにやさしく洗うこともできる。
【0050】
さらに、タオル本体20の長手方向の中心部CLで膨出体20を2つに分ける位置に設けられタオル本体20の自重で屈曲可能な脆弱曲がり部41を備えているので、2つに分けられた膨出体30がより柔軟に背中凹み部52にフィットして、しっかりと背中凹み部52を洗うことができる。さらに、使用後に浴用タオル10を物干し棒60に掛けて乾かす際、浴用タオル10を脆弱曲がり部41で曲げて物干し棒60に掛けることで、膨出部30をバランスよく分けて浴用タオル10を物干し棒60から落ち難くして乾かし易くすることができる。
【0051】
さらに、タオル本体20の長手方向の中心部CLを境にして2つ設けられているので、2つの膨出部30を背中凹み部52に押し付け、効率よく背中凹み部52を洗うことができる。さらに、脆弱曲がり部41の両側に独立した膨出部30がそれぞれ設けられているので、物干し棒60に容易に掛けることができ、乾かし易くすることができる。
【0052】
さらに、1つの膨出体30であっても、この1つの膨出体30に設けられた縫い目42が脆弱曲がり部41となるので、膨出体30がより柔軟に変形して背中凹み部52にフィットし、しっかりと背中凹み部52を洗うことができる。さらに、1つの膨出体30であっても、物干し棒60に縫い目42の脆弱曲がり部41が位置するように浴用タオル10を掛けることで、浴用タオル10をバランスよく物干し棒60に掛けることができ、乾かし易くすることができる。
【0053】
さらに、膨出体30は、柔軟性及び弾力性を有するスポンジ31と、スポンジ31を覆うネット32とで構成されている。膨出体30は、タオル本体20から急角度で立ち上がる立ち上がり部35を備えているので、背中51を洗う際、立ち上がり部35が背中凹み部52に引っ掛かり易く、より強く膨出部30を背中凹み部52に押し付けることができる。さらに、スポンジ31付きのため、泡立てが良く、固形石鹸や液状のボディソープが少量で済む。さらに、スポンジ31をネット32で覆うことで、液状の石鹸をより多く吸収して泡立ちを向上させることができるともに、ネット32によりスポンジ31の耐久性を向上させることができる。
【0054】
さらに、膨出体30は、ネット32の上からスポンジ31の外周の端部がタオル本体20に縫い付けられているので、体50を洗う際にスポンジ31がネット32内で動いてネット32と擦れてボロボロになることを防止し、スポンジ31の耐久性を向上させることができる。
【0055】
さらに、膨出体30は、タオル本体20に面ファスナー23、37を介して着脱可能に設けられているので、やさしく洗いたい場合は膨出部30を外すことで浴用タオル10の両面でやさしく洗うことができ、膨出部30を取り付けることで強く押し付けて洗うこともでき、浴用タオル10を体50に押し付ける強弱を明確に分けて浴用タオル10の使い勝手を向上させることができる。
【0056】
尚、実施例では、膨出体30は、ネット32の上からスポンジ31の外周の端部がタオル本体20に縫い付けられている(符号33は縫い目)構成としたが、これに限定されず、スポンジ31がネット32内で動かないようにできれば、縫い目33がスポンジ31から外れた位置で且つスポンジ31の際であってもよい。
【0057】
さらに、スポンジ31がネット32内で移動するようなスポンジ31から少し離れた縫い目33の位置であってもよい。さらに、浴用タオル10は、物干し棒60に掛けるだけでなく、タオルハンガーなどに掛けてもよい。
【0058】
さらに、実施例では、膨出体30の数を2つ又は1つとしたが、これに限定されず、膨出体30を3つ以上設けてもよい。さらに、スポンジ31は、合成樹脂製、へちま、その他の多孔質体などであってもよい。すなわち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。