(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968493
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】電気機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20211108BHJP
【FI】
H02B1/40 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-30965(P2017-30965)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-137904(P2018-137904A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 孝美
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−081307(JP,A)
【文献】
特開平08−107617(JP,A)
【文献】
特開2016−082688(JP,A)
【文献】
特開昭63−016698(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0145390(US,A1)
【文献】
特開2006−174632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内機を固定するボデー部材と、ボデー部材の開口を覆うカバー部材と、を備えた電気機器収納用箱であって、前方から後方に向かって傾斜した爪状の係合部をカバー部材の上部に備えるとともに、係合部の左右方向の移動と前方向への移動を規制する凹状の窪みである被係合部をボデー部材に備え、カバー部材の係合部に隣接する位置に、凹凸部を設け、カバー部材を前面方向から移動させたときに、凹凸部がボデー部材の被係合部の側部にガイドされて、係合部と被係合部が係合し、ボデー部材の下部には、カバー部材の下端コーナー部をガイドする略L字状のガイド部が、ボデー部材の側枠よりも突出させて形成されている電気機器収納用箱。
【請求項2】
ボデー部材の被係合部を、開口より突出させて形成した請求項1に記載の電気機器収納用箱。
【請求項3】
カバー部材の凹凸部を、カバー部材の開口端部より突出させて形成した請求項1又は2に記載の電気機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、住宅用分電盤は、ボデー部材と、ボデー部材の開口を覆うカバー部材と、を備えることが一般的である。このボデー部材には、主幹ブレーカや分岐ブレーカなどの配電機器が取付台に取り付けられた内機が固定されている。特許文献1に記載された住宅用分電盤は、ボデー部材の上方からカバー部材を引っ掛けた後に、カバー部材の下端に設けた引掛部を係止することで、カバー部材とボデー部材を固定する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−174632号公報
【0004】
ところで、特許文献1に記載の構造は、ボデー部材の上部とカバー部材を係合させるための位置合わせが難しかった。また、特許文献1に記載の分電盤は、屋内の上方に取り付けられるものであるが、分電盤の上方に十分なスペースが無い場合は、ボデー部材に対して、上方からカバー部材を被せることも難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明は、このような従来技術の改善を求めてなされたものであり、本発明の課題は、ボデー部材に対するカバー部材の取り付けが容易となる構造にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、次のような手段を採用する。第一の手段は、内機を固定するボデー部材と、ボデー部材の開口を覆うカバー部材と、を備えた電気機器収納用箱であって、カバー部材に係合部を備えるとともに、ボデー部材に被係合部を備え、カバー部材の係合部に隣接する位置に、凹凸部を設け、カバー部材を前面方向から移動させたときに、凹凸部がボデー部材の被係合部の側部にガイドされて、係合部と被係合部が係合する電気機器収納用箱である。
【0007】
第一の手段において、ボデー部材の被係合部を、開口より突出させて形成した構成とすることが好ましい。
【0008】
第一の手段において、カバー部材の凹凸部を、カバー部材の開口端部より突出させて形成した構成とすることが好ましい。
【0009】
また、ボデー部材の下部に、ボデー部材の側枠よりも突出させて形成されたガイド部を備えた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ボデー部材に対するカバー部材の取り付けが容易となる構造にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】カバー部材とボデー部材を係合させるために、凹凸部と被係合部を接触させた状態を示す斜視図である。
【
図5】カバー部材とボデー部材を係合させた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図2と異なる方向から見た、カバー部材とボデー部材の斜視図である。
【
図8】ガイド部にカバー部材が乗り上げた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の電気機器収納用箱を用いた分電盤1は住宅に使用されるものであり、
図1及び
図2に示されることから理解されるように、内機2を固定するボデー部材3と、ボデー部材3の前面側に形成された開口31を覆うカバー部材4と、を備えている。また、カバー部材4には係合部43を備えるとともに、ボデー部材3に被係合部35を備えている。このカバー部材4の係合部43に隣接する位置には凹凸部45を設けてあり、カバー部材4を前面方向から移動させたときに、凹凸部45がボデー部材3の被係合部35の側部39にガイドされて、係合部43と被係合部35が係合する。したがって、ボデー部材3に対するカバー部材4の取り付けが容易となる構造にすることが可能となる。より具体的には、分電盤1の上方のスペースが狭い場合でも、位置合わせを容易にすることが可能な構造となる。なお、カバー部材4には回動自在に取り付けられる扉4aが形成しており、扉4aが閉塞した状態では操作部62を覆うように形成される。
【0013】
本実施形態においては、係合部43はカバー部材4の上部の左右両側に爪状に形成されている。また、この係合部43と係合する被係合部35が凹形状に形成されボデー部材3の上部に設けられている。なお、係合部43が凹形状であって、被係合部35が爪状で合っても良い。更には、被係合部35の左側面や右側面に沿って、移動させることができるよう、カバー部材4には凹凸部45が設けられており、
図3及び
図4に示すことから理解されるように、凹凸部45が被係合部35と接触した状態となれば、カバー部材4は左右方向への移動が抑制される。この状態から後面側にカバー部材4を移動させて、
図5及び
図6に示すような位置関係となるように位置合わせした上で、カバー部材4のフック部61をボデー部材3の係止部32に係止させることで、カバー部材4をボデー部材3に固定する。
【0014】
本実施形態においては、被係合部35は、
図7に示すように、凹状に形成された窪みであり、この窪みに係合部43が係合される構造となる。この窪みは係合部43の左右方向への移動と前方向及び下方向への移動を規制する。このような構造であるため、カバー部材4を上方から落とし込んだ際に、窪みに係合部43が落とし込まれることの確認ができれば、位置合わせされたことの確認となる。したがって係合部43と被係合部35の位置合わせの確認が容易となる。なお、側部39の上下方向の厚みを厚くすれば、凹凸部45と側部39との接触面積を大きくすることが可能となり、カバー部材4のガイドがしやすくなる。
【0015】
図1に示すことから理解されるように、ボデー部材3の被係合部35は、開口31より突出させて形成されている。したがって、凹凸部45と被係合部35の位置決めが容易となる。また、カバー部材4の凹凸部45を、カバー部材4の開口端部より突出させて形成することで位置決めを容易にすることもできる。少なくとも、被係合部35と凹凸部45の何れかが突出されるように形成されていればよく、係合部43と被係合部35との係合よりも先に凹凸部45と被係合部35の右側面や左側面が当接するような構造とする。これにより、カバー部材4に左右方向に強い力が加わってもカバー部材4とボデー部材3の係合が外れることも防止できる。ただし、本実施形態のように、凹凸部45は突出しておらず、被係合部35のみ突出している構成であることが望ましい。このようにすれば、凹凸部45をカバー部材4内に収める構造とすることができ、カバー部材4を移動させる際に、凹凸部45が周囲に物品に引っかかるようなことが抑制され、取り扱い作業が容易となる。また、作業時にカバー部材4を床面においても、凹凸部45が床面に接することを回避できる。また、これにより、カバー部材4が不安定な状態で床面におかれることを回避できる。
【0016】
本実施形態では、ボデー部材3の右下端と左下端にカバー部材4の下端コーナー部をガイドする略L字状のガイド部37が設けられている。このガイド部37は、ボデー部材3の側枠33よりも突出させて形成されている。このため、カバー部材4の下方から上方向、左右方向に向けて強い力が加わっても、ガイド部37がカバー部材4の内側面に当接することになり、カバー部材4の移動を抑制することができる。また、カバー部材4をボデー部材3に係止させる際に、カバー部材4が左右方向などにずれていた場合は、
図8に示すように、カバー部材4がガイド部37上に乗ることになる。したがって、位置合わせが間違っていることの確認が容易となる。
【0017】
なお、本実施形態の被係合部35は、底面方向に向けて幅が広がるテーパ状の形態としている。これにより、係合部43を所定位置に案内しやすくなる。
【0018】
また、本実施形態においてはカバー部材4に係合部43、凹凸部45を形成し、ボデー部材3に被係合部35を形成して位置決めする手段として説明したが、カバー部材4に被係合部35、ボデー部材3に係合部43を形成し、位置決めを行うことも可能である。
【0019】
以上、一つの実施形態を中心に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、実施形態では、一つの被係合部に対しては、片方の側面に対してのみ凹凸部が接することが可能な構成としているが、被係合部の左右両側面に凹凸部が接することが可能な構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 分電盤
2 内機
3 ボデー部材
4 カバー部材
31 開口
32 係止部
33 側枠
35 被係合部
36 底面
37 ガイド部
39 側部
43 係合部
45 凹凸部