特許第6968520号(P6968520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968520
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】魚礁流出警報装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/75 20170101AFI20211108BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20211108BHJP
   G16Y 10/15 20200101ALI20211108BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20211108BHJP
【FI】
   A01K61/75
   G08B21/24
   G16Y10/15
   G16Y40/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-161297(P2016-161297)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2018-27061(P2018-27061A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591101674
【氏名又は名称】株式会社緑星社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野倉 順一
【審査官】 櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−314135(JP,A)
【文献】 特開2007−168458(JP,A)
【文献】 特開2000−322662(JP,A)
【文献】 特開2016−060451(JP,A)
【文献】 特開2011−088577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 − 63/10
B63B 22/00
G08B 21/24
G16Y 10/15
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中層浮漁礁用の漁礁流出警報装置であって、自機の浮上を検知する浮上検知手段と、前記浮上を使用者に報知するための警報手段とを備えており、前記浮上検知手段は、それぞれ異なる物理量を検知して前記警報手段に電源を投入するように構成された複数のスイッチ部を含み、該複数のスイッチ部は、前記漁礁流出警報装置の傾斜を検知する傾斜スイッチと、周囲環境の明るさを検知する明暗スイッチと、水圧を検知する圧力スイッチとを含み、
前記漁礁流出警報装置は、中空の本体と、該本体の上部に設けられる制御部とによって略球状に構成され、前記制御部は透明の蓋体で覆われるとともに、前記警報手段、前記傾斜スイッチ、及び前記明暗スイッチは、前記制御部内に収容され、前記圧力スイッチは、前記漁礁流出装置の外方に突出するように設けられており、前記漁礁流出警報装置は、複数の前記スイッチ部のうちの所定の数の前記スイッチ部がオンになった場合、前記警報手段に電源が投入されるように構成される、ことを特徴とする漁礁流出警報装置。
【請求項2】
前記明暗スイッチは、太陽電池パネルと、該太陽電池パネルによって駆動されるスイッチ手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の漁礁流出警報装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記スイッチ部は、検知感度が調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の漁礁流出警報装置。
【請求項4】
前記警報手段は、通信手段を含み、該通信手段は、予め登録された使用者の通信端末装置に警報を送信することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の漁礁流出警報装置。
【請求項5】
前記漁礁流出警報装置は、複数の前記スイッチ部のいずれか1つがオンになった場合、前記警報手段に電源が投入されるように構成されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の漁礁流出警報装置。
【請求項6】
前記漁礁流出警報装置は、複数の前記スイッチ部の2以上の任意の組み合わせがオンになった場合、前記警報手段に電源が投入されるように構成されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の漁礁流出警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮魚礁などに搭載される漁礁流出警報装置に関し、詳しくは、海の中層に浮魚礁のために好適な漁礁流出警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮魚礁は、カツオ等の回遊魚が海中の漂流物に集まる習性を利用して漁場を形成するものであり、一般に、海の表層や中層に浮遊する漁礁本体と、海底に沈められたアンカーと、漁礁本体をアンカーに係留する係留索からなる。このような浮漁礁において、例えば係留索が切れた場合等に漁礁本体の流出の危険性を警告するために、流出警報装置が提案されている。しかしながら、従来、流出警報装置には、海中での使用の間に海中付着生物が装置に付着することにより装置の性能が低下するという問題がある。
【0003】
本出願人は、このような問題に対処する漁礁流出警報装置として、先に、特許文献1に記載の装置を提案した。特許文献1に記載の漁礁流出警報装置は、中層浮漁礁に用いられるものであり、圧力スイッチとGPS装置とを備え、浮漁礁が浮上すると圧力スイッチが感応して流出警報装置の電源が入り、GPS装置が自機の位置情報を送信するように構成されている。
【0004】
そして、特許文献1に記載の漁礁流出警報装置では、海中での使用の間に海中付着生物がGPSアンテナを収納しているケースに付着してGPS装置の性能が低下する問題に対して、ケースを二重化するとともに、漁礁流出警報装置が海面に浮上したときに外側のケースが離脱するように構成することで、GPS装置の性能の低下を防止することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−33122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された漁礁流出警報装置は、海面への浮上を検知するための圧力スイッチ自体は装置の外部に設けられているため、海中付着生物が圧力スイッチに付着することによりその作動に影響が及ぶおそれがある点で改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、海面への浮上を確実に検知することが可能な漁礁流出警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0009】
(1)中層浮漁礁用の漁礁流出警報装置であって、自機の浮上を検知する浮上検知手段と、前記浮上を使用者に報知するための警報手段とを備えており、前記浮上検知手段は、それぞれ異なる物理量を検知して前記警報手段に電源を投入するように構成された複数のスイッチ部を含み、該複数のスイッチ部は、前記漁礁流出警報装置の傾斜を検知する傾斜スイッチと、周囲環境の明るさを検知する明暗スイッチと、水圧を検知する圧力スイッチとを含み、前記漁礁流出警報装置は、中空の本体と、該本体の上部に設けられる制御部とによって略球状に構成され、前記制御部は透明の蓋体で覆われるとともに、前記警報手段、前記傾斜スイッチ、及び前記明暗スイッチは、前記制御部内に収容され、前記圧力スイッチは、前記漁礁流出装置の外方に突出するように設けられており、前記漁礁流出警報装置は、複数の前記スイッチ部のうちの所定の数の前記スイッチ部がオンになった場合、前記警報手段に電源が投入されるように構成される、ことを特徴とする漁礁流出警報装置。
【0010】
(2)(1)項に記載の漁礁流出警報装置において、前記明暗スイッチは、太陽電池パネルと、該太陽電池パネルによって駆動されるスイッチ手段を含むことを特徴とする漁礁流出警報装置。
【0011】
(3)(1)または(2)項に記載の漁礁流出警報装置において、少なくとも1つの前記スイッチ部は、検知感度が調整可能であることを特徴とする漁礁流出警報装置。
【0012】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載の漁礁流出警報装置において、前記警報手段は、通信手段を含み、該通信手段は、予め登録された使用者の通信端末装置に警報を送信することを特徴とする漁礁流出警報装置。
【0013】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載の漁礁流出警報装置において、前記漁礁流出警報装置は、複数の前記スイッチ部のいずれか1つがオンになった場合、前記警報手段に電源が投入されるように構成されることを特徴とする漁礁流出警報装置。
【0014】
(6)(1)から()のいずれか1項に記載の漁礁流出警報装置において、前記漁礁流出警報装置は、複数の前記スイッチ部の2以上の任意の組み合わせがオンになった場合、前記警報手段に電源が投入されるように構成されることを特徴とする漁礁流出警報装置。

【発明の効果】
【0015】
本発明に係る漁礁流出警報装置は、以上のように構成したため、海面への浮上の検知の確実性が向上し、ひいては流出した中層浮漁礁を確実かつ速やかに回収、復旧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における漁礁流出警報装置の要部を示す図であり、(a)は、一部を断面で示す側面図、(b)は、(a)のA−A断面を、蓋体のない状態で示す断面図である。
図2図1に示す制御基板の構成を模式的に示す上面図である。
図3】本発明の一実施形態における傾斜スイッチの機能を説明するための図である。
図4】本発明に一実施形態における圧力スイッチの動作原理を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態における制御基板の回路構成の要部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、漁礁流出警報装置10は、中空の本体11と、本体11の上部に設けられる制御部12とによって略球状に構成されており、制御部12は、その内部が密封されるように透明の蓋体13で覆われている。本実施形態において、本体11は、ステンレス鋼からなり、蓋体13は、透明樹脂(例えば、ポリカーボネート)からなる。尚、図1(a)において、漁礁流出警報装置10の中心線に対して右側は断面で示されており、図1(b)に示すA−A断面図は、蓋体13のない状態で示されている。
【0018】
本体11は、内部が空洞であることにより海中で浮力が発生するように構成されており、これによって、漁礁流出警報装置10は、海上に浮揚する浮体としての基本機能を有する。その際、本体11の内部の下方には、カウンターウエイト18が配設されており、カウンターウエイト18の重量は、好ましくは、漁礁流出警報装置10が海面に浮上した際に、漁礁流出警報装置10の上下方向の中心と制御部12との間に喫水線が位置するように調整される。また、本体11の下側には、本実施形態における浮上検知手段の一部を構成する圧力スイッチ14が、漁礁流出警報装置10の外方に突出するように設けられている。
【0019】
ここで、漁礁流出警報装置10は、漁礁本体が海の中層(例えば、水深30〜40m)に設置される中層浮魚礁に備えられ、任意の適切な結合手段により、中層浮魚礁と結合されるものである。例えば、漁礁流出警報装置10は、中層浮魚礁の漁礁本体、中層浮魚礁が備える浮体、及び中層浮魚礁をアンカーに係留する係留索のうちのいずれかまたはこれらの任意の組合せに対して、ロープ等により結束固定されるものであってもよい。この場合、漁礁流出警報装置10は、好ましくはその本体11に、ロープを締結するための任意の適切な締結部(図示は省略する)を有するものである。
【0020】
また、漁礁流出警報装置10は、陸上での取扱時に平面上に安定して載置させるため、本体11の下側に、圧力スイッチ14と構造的及び/または機能的に干渉しないように設けられた脚部(図示は省略する)を有するものであってもよい。
【0021】
漁礁流出警報装置10において、制御部12内には、本実施形態における浮上検知手段の一部を構成する制御基板20と、本実施形態における警報手段を構成する通信手段21、22とが収容されており、本体11の内部には、通信手段21、22に電力を供給する電源部16、17が設けられている。本実施形態において、通信手段21、22は、通信ユニット21とGPSアンテナ22とを含み、電源部16、17は、電源としての電池ユニット16と電池ユニット16を保持するシャーシ17とを含んでいる。
【0022】
本実施形態において、電池ユニット16は、出力電圧3Vのリチウム電池を3本直列に接続してなるサブユニットを4体構成し、それら4体のサブユニットを並列に接続して、出力電圧9Vの電源として構成される。
【0023】
制御基板20に搭載される構成要素には、図2に模式的に示すように、太陽電池パネル31、可変抵抗器32、及び4つの傾斜スイッチ33a、33b、33c、33dが含まれる。また、制御基板20は、端子部34を介して電池ユニット16と接続され、端子部35を介して通信ユニット21と接続されている。
【0024】
ここで、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33dのそれぞれは、一方向の傾斜を検知し、検知された傾斜角度に基づいてオン/オフの状態が切り換わるスイッチである。制御基板20には、4つの傾斜スイッチ33a、33b、33c、33dが、互いに直交する2軸について、それぞれ互いに反対の方向(図示されるA方向とC方向、及び、B方向とD方向)への傾斜を検知するように配置されている。例えば、傾斜スイッチ33aは、図3に示すように、制御基板20のA方向の傾斜が、水平に対して所定の角度θ(例えば、45°)に達した場合にオンとなり、所定の角度θに達しない場合にはオフとなるように構成されている。他の傾斜スイッチ33b、33c、33dについても、それぞれの方向B、C、Dに関して同様に構成されている。
【0025】
尚、本発明は、傾斜スイッチの具体的構成によって、限定されるものではない。例えば、制御基板20上に搭載される傾斜スイッチの数及び傾斜を検知する方向の配置は、漁礁流出警報装置10の使用状況等に応じて、適切な数及び配置とすることができる。また、本発明に係る傾斜スイッチは、オン/オフが切り換えられる傾斜角度のしきい値について、多段階の(または、連続的な)設定が可能なものであってもよく、さらに、このような設定(すなわち、傾斜に関する検知感度)が調整可能なものであってもよい。さらに、本発明に係る傾斜スイッチは、1つの傾斜スイッチで多方向の傾斜を検知可能なものであってもよい。
【0026】
次に、本実施形態において、太陽電池パネル31は、例えばアモルファスシリコン太陽電池からなるものである。また、図2への図示は省略するが、制御基板20には、太陽電池パネル31によって駆動されるスイッチ手段であるスイッチング素子SW2(図5参照)も搭載されている。本実施形態では、太陽電池パネル31、可変抵抗器32、及びスイッチング素子SW2を主要な構成要素として、周囲環境の明るさに応じてオン/オフ状態が切り換わる明暗スイッチが構成される。この明暗スイッチは、太陽電池パネル31に照射される光の照度が所定の照度(例えば、25,000lx)に達した場合にスイッチング素子SW2がオンとなり、所定の照度に達しない場合にはスイッチング素子SW2がオフとなるように構成されている。
【0027】
そして、制御基板20には、圧力スイッチ14も電気的に接続されている。圧力スイッチ14は、所定の水深(対応する水圧)をしきい値として、しきい値よりも浅い水深においてオンとなり、深い水深においてオフとなるように構成される。本発明において、圧力スイッチ14は、水圧に応じてオン/オフ状態が切り換え可能な任意の適切なスイッチを使用することが可能であるが、好ましい一形態について、図4を参照して説明すれば、次の通りである。
【0028】
圧力スイッチ14は、機械式のマイクロスイッチ41と、水圧に応じてマイクロスイッチ41を駆動する作動部45とを含むものである。マイクロスイッチ41は、内部に電気接点を有しており、押しボタン42がヒンジレバー43により押下されて埋没すると電気接点が開放されてオフとなり(図4右側の状態)、ヒンジレバー43が離れて押しボタン部42が突出すると電気接点が閉止されてオンとなる(図4左側の状態)となるものである。作動部45は、例えば、水圧に応じて弁ロッド46を往復移動させる圧力弁からなり、弁ロッド46によりヒンジレバー43を駆動するように構成されている。
【0029】
尚、圧力スイッチ14は、例えば、漁礁流出警報装置10を海中に沈める際には、水深10m程度でオフとなり、海中にあった漁礁流出警報装置10が海面へと浮上する際には、水深5m程度でオンとなるといったように、その動作にヒステリシスを有するものであってもよい。
【0030】
主として図5を参照して、制御基板20の構成についてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
図5に示す制御回路は、上述したように、端子部34を介して電池ユニット16に接続され、端子部35を介して通信ユニット21に接続される。また、この制御回路は、端子部36を介して太陽電池パネル31(図2参照)に接続される。尚、図5に示す例では、太陽電池パネル31、及び、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33dは、それぞれジャンパー部JP1、JP2により、制御回路への接続または非接続を選択可能なように構成されているが、以下の説明では、これらのジャンパー部JP1、JP2は、それぞれ対応するジャンパー線により全て接続されているものとする。
【0031】
図5に示す制御回路は、図1に示される電池ユニット16と通信ユニット21との間に、主スイッチング素子SW1を設け、主スイッチング素子SW1がオン状態のときに、電池ユニット16と通信ユニット21とが接続されて、電池ユニット16から通信ユニット21へ電力が供給され、主スイッチング素子SW1がオフ状態の場合に、電池ユニット16と通信ユニット21との接続が切断されるように構成されている。そして、上述した傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d、明暗スイッチのスイッチング素子SW2、及び圧力スイッチ14は、主スイッチング素子SW1のオン/オフを制御するものであり、それらのうちのいずれか1つがオンされると、主スイッチング素子SW1がオンとなり、それらが全てオフになると、主スイッチング素子SW1がオフとなるものである。
【0032】
具体的には、本実施形態において、主スイッチング素子SW1は、pチャネルMOSFETからなり、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d、圧力スイッチ14、及びスイッチング素子SW2のいずれか1つがオンされると、電池ユニット16の電源電圧(例えば、9V)の分圧電圧(例えば、−4V程度)が、主スイッチング素子SW1のゲートソース間電圧として印加されて主スイッチング素子SW1がオンとなり、また、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d、圧力スイッチ14、及びスイッチング素子SW2の全てがオフのときには、主スイッチング素子SW1は、ゲートソース間電圧は印加されずにオフとなるものである。
【0033】
ここで、明暗スイッチのスイッチング素子SW2は、nチャネルMOSFETからなり、太陽電池パネル31の出力電圧の分圧電圧がそのゲートソース間電圧として印加されるものである。そして、明暗スイッチは、太陽電池パネル31に照射される光の照度が所定の照度(したがって、太陽電池パネル31の出力電圧が所定の電圧)に到達すると、スイッチング素子SW2のゲートソース間電圧が所定の電圧(例えば、4V程度)に到達し、スイッチング素子SW2がオンとなるように構成されている。この際、スイッチング素子SW2がオンとなる所定の照度は、可変抵抗器32を使用して、太陽電池パネル31の出力−照度特性に応じて、適切に設定することができる。
【0034】
このように、漁礁流出警報装置10において、その浮上検知手段は、圧力スイッチ14、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d、並びに、少なくとも太陽電池パネル31、可変抵抗器32、及びスイッチング素子SW2を含む明暗スイッチといった複数の(この例では、3つの)スイッチ部を含むものである。そして、各スイッチ部は、それぞれ水平に対する傾斜角度、周囲環境の明るさ、及び水圧といった、それぞれ異なる物理量を検知して、通信ユニット21に電源を投入するように構成されている。
【0035】
そして、通信ユニット21は、電源が投入されると、予め登録された使用者の通信端末装置に、漁礁流出警報装置10の浮上を報知する(したがって、漁礁流出の可能性を警告する)警報を送信するように構成される。典型的には、通信ユニット21は、使用者の携帯電話機またはタブレット等の他の通信端末装置に、携帯電話網を介して警報を送信するものである。送信される警報は、文字、音、画像、または、これらの任意の組合せを含むものであってもよい。
【0036】
さらに、通信ユニット21は、GPSアンテナ22から受信される測位情報に基づいて自機位置を取得し、その位置情報を送信する機能を備えている。位置情報は、上記の警報に含まれるものであってもよく、それに加えて及び/またはその代わりに、専用の無線通信回線及び/または衛星通信回線を介して、使用者に関連する地上局及び/または船舶局に送信されるものであってもよい。
【0037】
以上のように構成された漁礁流出警報装置10の作用・効果について説明すれば、次の通りである。
本実施形態における中層浮魚礁用の漁礁流出警報装置10は、その浮上検知手段に、それぞれ異なる物理量を検知して警報手段に電源を投入するように構成された複数のスイッチ部が含まれている。
具体的には、圧力スイッチ14は、水圧を検知することにより、海面への浮上を検知する。また、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33dは、漁礁流出警報装置10が、波の影響等により、海面への浮上時には海中にあるときよりも大きな揺れをこうむる可能性が高いことに着目し、制御基板20の水平に対する傾斜角度を検知することにより、海面への浮上を検知する。そして、明暗スイッチは、漁礁流出警報装置10の周囲環境が、海面への浮上時には海中にあるときよりも明るいことに着目し、周囲環境の明るさを検知することにより、海面への浮上を検知する。
【0038】
このように、漁礁流出警報装置10では、海面に浮上したか否かの判別を、それぞれ異なる物理量を用いた検知により多重化することが可能となるため、漁礁流出警報装置10(ひいては、浮魚礁)の海面への浮上を、より確実に検知して、使用者に警報を送信することができる。これによって、流出した浮魚礁を確実かつ速やかに回収及び復旧することが可能となる。
【0039】
その際、漁礁流出警報装置10では、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d及び明暗スイッチは、その全体が制御基板20上に搭載されて、漁礁流出警報装置10の制御部12の内部に収容されているため、漁礁流出警報装置10を比較的長期間海中に設置した場合でも、海中付着生物の影響による誤動作が発生することなく、海面への浮上を、より確実に検知することが可能となる。
【0040】
また、漁礁流出警報装置10において、明暗スイッチは、周囲環境の明るさを検知する検知感度が、可変抵抗器32により調整可能であり、さらに、必要に応じて、漁礁流出警報装置10の使用時にその場で調整することも可能であるため、漁礁流出警報装置10を備える中層浮魚礁の設置環境(例えば、海域、その海域における気象条件、その海域における海の透明度等)に応じて、柔軟に設定を変更し、海面への浮上を、より正確かつ確実に検知することが可能となる。
【0041】
また、本発明に係る傾斜スイッチとして、その検知感度(すなわち、しきい値の傾斜角度)を調整可能なものを用いることにより、柔軟に設定を変更し、海面への浮上を、より正確かつ確実に検知することが可能となることは、明暗スイッチと同様である。
【0042】
また、本実施形態における漁礁流出警報装置10において、制御基板20は、複数のスイッチ部のうちのいずれか1つ(例えば、図5に示す例において、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d及び太陽電池パネル31の両方が接続されている場合には、傾斜スイッチ33a、33b、33c、33d、明暗スイッチ、及び圧力スイッチ14のうちのいずれか1つ)がオンになると、通信ユニット21に電池ユニット16から電力が供給されるように構成されている。この構成は、漁礁流出警報装置10の海面への浮上を高感度に検知するために有利な構成である。但し、本発明に係る漁礁流出警報装置は、複数のスイッチ部の2以上の組み合わせがオンになったときに、通信ユニット21に電力が供給されるように構成されているものであってもよい。この構成は、漁礁流出警報装置10の海面への浮上をより慎重に判定し、使用者への警報の誤報を低減する点で有利な構成である。
【0043】
また、本実施形態における漁礁流出警報装置10では、通信ユニット21が、予め登録された使用者の通信端末装置に警報を送信する構成を備えているため、使用者が浮漁礁の流出を早期に認識することが可能となり、ひいては流出した浮漁礁をより確実かつ速やかに回収、復旧することが可能となる。この際、通信ユニット21が、自機のGPS位置情報を送信することは、浮魚礁のより確実かつ速やかな回収のために有利である。
【0044】
また、本実施形態における漁礁流出警報装置10は、略球状に構成されているため、耐圧性が向上し、ひいては、中層浮魚礁用の漁礁流出警報装置として有利に使用することが可能となる。
【0045】
さらに、漁礁流出警報装置10は、海中での使用時には通信ユニット10に電力が供給されておらず、海面への浮上を検知して通信ユニット10の動作が必要になったときにのみ電力を供給する構成を備えるため、漁礁流出警報装置10の電力消費を最低限に留めることが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
10:漁礁流出警報装置、11:本体、12:制御部、14:圧力スイッチ、20:制御基板、33a、33b、33c、33d:傾斜スイッチ、31:太陽電池パネル、32:可変抵抗器、SW1:主スイッチング素子、SW2:明暗スイッチのスイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5