特許第6968525号(P6968525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968525
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】液体窒素供給システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20211108BHJP
   F17C 7/02 20060101ALI20211108BHJP
   A61J 3/00 20060101ALN20211108BHJP
【FI】
   B01J4/00 103
   F17C7/02
   !A61J3/00 301
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-188703(P2016-188703)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-51454(P2018-51454A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】上田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 志伸
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 臣哉
(72)【発明者】
【氏名】川井 幸輔
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−249309(JP,A)
【文献】 特表2013−531212(JP,A)
【文献】 米国特許第04620962(US,A)
【文献】 特開2014−006151(JP,A)
【文献】 特開2000−042397(JP,A)
【文献】 特開2004−136256(JP,A)
【文献】 特開2004−053205(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/221575(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00− 7/02
F25D 3/00− 3/14
F25J 1/00− 1/02
F17C 1/00−13/12
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体窒素を供給する窒素供給部と、
前記窒素供給部から供給される気体窒素、または液体窒素を導く供給ラインと、
前記供給ラインにおける前記窒素供給部の下流側に設けられ前記窒素供給部から供給された前記気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置と、
前記供給ラインにおける前記除菌フィルタ装置の下流側に設けられ、前記除菌フィルタ装置により除菌された前記気体窒素の供給を制御する制御弁と、
前記供給ラインにおける前記制御弁の下流側に設けられ前記除菌フィルタ装置により除菌された前記気体窒素を液化させて前記液体窒素を生成する液化装置と、
前記供給ラインにおける前記液化装置の下流側に設けられ前記液化装置から供給された前記液体窒素の使用点として前記液体窒素を保存する凍結保存容器と、
前記凍結保存容器に設けられ前記凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する液面検知部と、
前記液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記制御弁を制御し、前記液化装置により生成された前記液体窒素を前記凍結保存容器に補給する制御を実行する制御装置と、
を備え、前記液化装置と前記凍結保存容器との間の前記供給ラインに侵入する熱により気化する前記液体窒素の量は、前記凍結保存容器における前記液体窒素の消費量よりも少ないことを特徴とする液体窒素供給システム。
【請求項2】
気体窒素を供給する窒素供給部と、
窒素供給部から供給される気体窒素、または液体窒素を導く供給ラインと、
前記供給ラインにおける前記窒素供給部の下流側に設けられ前記窒素供給部から供給された前記気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置と、
前記供給ラインにおける前記除菌フィルタ装置の下流側に設けられ前記除菌フィルタ装置により除菌された前記気体窒素を液化させて前記液体窒素を生成する液化装置と、
前記供給ラインにおける前記液化装置の下流側に設けられ前記液化装置により生成された前記液体窒素の一時的な保存点として前記液体窒素を一時的に保存するバッファタンクと、
前記供給ラインにおける前記バッファタンクの下流側に設けられ前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素の供給を制御する第1制御弁と、
前記供給ラインにおける前記第1制御弁の下流側に設けられ前記バッファタンクから供給された前記液体窒素の使用点として前記液体窒素を保存する凍結保存容器と、
前記凍結保存容器に設けられ前記凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する液面検知部と、
前記液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第1制御弁を制御し、前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素を前記凍結保存容器に補給する制御を実行する制御装置と、
を備え、前記液化装置と前記バッファタンクとの間の前記供給ラインに侵入する熱により気化する前記液体窒素の量は、前記凍結保存容器における前記液体窒素の消費量よりも少ないことを特徴とする液体窒素供給システム。
【請求項3】
前記供給ラインは、前記バッファタンクの下流側において分岐した第1分岐ラインおよび第2分岐ラインを有し、
前記第1制御弁は、前記第1分岐ラインに設けられ、
前記凍結保存容器は、前記第1分岐ラインにおける前記第1制御弁の下流側に設けられた第1凍結保存容器であり、
前記液面検知部は、前記第1凍結保存容器に設けられた第1液面検知部であり、
前記第2分岐ラインにおける前記バッファタンクの下流側に設けられ前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素の供給を制御する第2制御弁と、
前記第2分岐ラインにおける前記第2制御弁の下流側に設けられ前記バッファタンクから供給された前記液体窒素を保存する第2凍結保存容器と、
前記第2凍結保存容器に設けられ前記第2凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する第2液面検知部と、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第1制御弁を制御し、前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素を前記第1凍結保存容器に補給するとともに、前記第2液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第2制御弁を制御し、前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素を前記第2凍結保存容器に補給する制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の液体窒素供給システム。
【請求項4】
前記バッファタンクに設けられ前記バッファタンクの内部に一時的に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する第3液面検知部と、
前記供給ラインにおける前記除菌フィルタ装置と前記液化装置との間に設けられた第3制御弁と、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記第3液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第3制御弁を制御し、前記液化装置により生成された前記液体窒素を前記バッファタンクに補給する制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の液体窒素供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば再生医療分野などに使用される液体窒素を供給する液体窒素供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば再生医療分野などでは、細胞、検体、試料など(以下、「細胞等」という)を冷凍保存する冷媒として液体窒素が使用されている。液体窒素の温度は−196℃(大気圧下)と極めて低いにもかかわらず、液体窒素中には、ウィルス、細菌、微生物および萌芽(以下、「窒素中異物」という)が生存していることがある。窒素中異物は、細胞等に対して悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、再生医療分野に使用される液体窒素を無菌(低コンタミ)状態にすることが望まれている。
【0003】
特許文献1には、液体窒素を貯留する貯槽と、貯槽から供給された液体状態の液体窒素を除菌する除菌フィルタと、を備えた液体窒素供給装置が開示されている。特許文献1に記載された液体窒素供給装置では、液体窒素が流れる配管は、断熱材で保温されている。また、除菌フィルタは、断熱ケースの内部に収容されている。特許文献1に記載された液体窒素供給装置によれば、細胞などの試料を冷凍保存する冷媒として無菌状態の液体窒素を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4225763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液体窒素を貯留する貯槽から液体窒素を供給する場合、液体窒素が流れる配管および細胞等が保存される凍結保存容器は、断熱材で保温されていても、配管や凍結保存容器に侵入する熱を完全に遮断することは困難である。そのため、侵入する熱により配管および凍結保存容器内の液体窒素が気化し、細胞等の凍結保存として使用できる液体窒素量が減少する。また、液体窒素供給システムの使用者が、細胞等を凍結保存容器に出し入れするために凍結保存容器を開閉すると、凍結保存容器の内部の液体窒素の気化量が増加するとともに、気体窒素として凍結保存容器の外にでてしまう。このような状況により、細胞等の凍結保存に使用される液体窒素が余分に消費されている。
【0006】
さらに、貯槽から供給される液体窒素量、凍結保存容器の数の状況によっては、実際の細胞等を冷凍保存する冷媒として使用される液体窒素の消費量よりも、侵入熱により、配管中の液体窒素が気化する量の方が多くなることがある。このように、配管に侵入する熱により液体窒素が気化する量を抑えるという点において、特許文献1に記載された液体窒素供給装置には改善の余地がある。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、無菌状態の液体窒素を供給することができるとともに、液体窒素が気化する量を抑え効率よく液体窒素を供給することができる液体窒素供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明によれば、気体窒素を供給する窒素供給部と、前記窒素供給部から供給される気体窒素、または液体窒素を導く供給ラインと、前記供給ラインにおける前記窒素供給部の下流側に設けられ前記窒素供給部から供給された前記気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置と、前記供給ラインにおける前記除菌フィルタ装置の下流側に設けられ、前記除菌フィルタ装置により除菌された前記気体窒素の供給を制御する制御弁と、前記供給ラインにおける前記制御弁の下流側に設けられ前記除菌フィルタ装置により除菌された前記気体窒素を液化させて前記液体窒素を生成する液化装置と、前記供給ラインにおける前記液化装置の下流側に設けられ前記液化装置から供給された前記液体窒素の使用点として前記液体窒素を保存する凍結保存容器と、前記凍結保存容器に設けられ前記凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する液面検知部と、前記液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記制御弁を制御し、前記液化装置により生成された前記液体窒素を前記凍結保存容器に補給する制御を実行する制御装置と、を備え、前記液化装置と前記凍結保存容器との間の前記供給ラインに侵入する熱により気化する前記液体窒素の量は、前記凍結保存容器における前記液体窒素の消費量よりも少ないことを特徴とする液体窒素供給システムにより解決される。
【0009】
前記構成によれば、窒素供給部から供給された気体窒素は、除菌フィルタ装置により、窒素中異物が取り除かれ除菌される。液化装置は、除菌フィルタ装置により除菌された気体窒素を液化させて液体窒素を生成する。液化装置により生成された液体窒素は、凍結保存容器に供給される。このとき、除菌フィルタ装置により除菌された気体窒素を液化装置が液化させるため、除菌された無菌状態の液体窒素が、凍結保存容器に供給される。そして、制御装置は、液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、制御弁および液化装置を制御し、液化装置により生成された無菌状態の液体窒素を凍結保存容器に補給する制御を実行する。これにより、無菌状態の液体窒素を安定的に凍結保存容器に供給することができる。
【0010】
また、液化装置は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置の下流側であって、液体窒素を保存する凍結保存容器の上流側に設けられている。すなわち、液化装置は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置と、液体窒素を保存する凍結保存容器と、の間に設けられている。そのため、液化装置は、液体窒素の使用点としての凍結保存容器に近いところで気体窒素を液化して液体窒素を生成できる。これにより、供給ライン(配管)に侵入する熱により液体窒素が気化する量を抑えることができる。また、供給ラインのすべてをコスト高となる真空断熱配管とする必要がないため、液体窒素供給システムにかかる設備費を低減することができる。
【0011】
さらに、前記構成の変形例として、前記供給ラインを、前記除菌フィルタ装置の下流側において分岐した第1分岐ラインおよび第2分岐ラインを有する形にすることもできる。この場合、前記第1分岐ラインに第1液化装置が設けられ、前記凍結保存容器は、前記第1分岐ラインにおける前記第1液化装置の下流側に設けられた第1凍結保存容器であり、前記液面検知部は、前記凍結保存容器に設けられた第1液面検知部であり、第1制御装置は、前記第1液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、第1制御弁および第1液化装置を制御する。そして、前記第2分岐ラインに第2液化装置が設けられ、前記第2分岐ラインにおける前記第2液化装置の下流側に設けられ前記第2液化装置から供給された前記液体窒素を保存する第2凍結保存容器と、前記第2凍結保存容器に設けられ前記第2凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する第2液面検知部と、をさらに備え、前記制御装置は、前記第2液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第2制御弁を制御し、前記第1液化装置により生成された前記液体窒素を前記第1凍結保存容器に補給するとともに、前記第2液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第2制御弁および前記第2液化装置を制御し、前記第2液化装置により生成された前記液体窒素を前記第2凍結保存容器に補給する制御を実行してもよい。
【0012】
前記構成によれば、第1分岐ラインに設けられた第1液化装置が、第1分岐ラインに設けられた第1凍結保存容器の上流側に設けられている。また、第2分岐ラインに設けられた第2液化装置が、第2分岐ラインに設けられた第2凍結保存容器の上流側に設けられている。すなわち、複数の凍結保存容器のそれぞれに対して、液化装置が設けられている。そして、第1制御装置は、第1液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第1制御弁および第1液化装置を制御し、第1液化装置により生成された液体窒素を第1凍結保存容器に補給する制御を実行する。さらに、第2制御装置は、第2液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第2制御弁および第2液化装置を制御し、第2液化装置により生成された液体窒素を第2凍結保存容器に補給する制御を実行する。このように、制御装置は、複数の凍結保存容器が設けられた場合において、複数の凍結保存容器のそれぞれの液体窒素の液面高さに応じて、複数の凍結保存容器のそれぞれに対して設けられた液化装置から液体窒素を凍結保存容器に補給する。これにより、複数の凍結保存容器が設けられた場合であっても、無菌状態の液体窒素を安定的に複数の凍結保存容器に供給することができる。
【0013】
前記課題は、気体窒素を供給する窒素供給部と、窒素供給部から供給される気体窒素、または液体窒素を導く供給ラインと、前記供給ラインにおける前記窒素供給部の下流側に設けられ前記窒素供給部から供給された前記気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置と、前記供給ラインにおける前記除菌フィルタ装置の下流側に設けられ前記除菌フィルタ装置により除菌された前記気体窒素を液化させて前記液体窒素を生成する液化装置と、前記供給ラインにおける前記液化装置の下流側に設けられ前記液化装置により生成された前記液体窒素の一時的な保存点として前記液体窒素を一時的に保存するバッファタンクと、前記供給ラインにおける前記バッファタンクの下流側に設けられ前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素の供給を制御する第1制御弁と、前記供給ラインにおける前記第1制御弁の下流側に設けられ前記バッファタンクから供給された前記液体窒素の使用点として前記液体窒素を保存する凍結保存容器と、前記凍結保存容器に設けられ前記凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する液面検知部と、前記液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第1制御弁を制御し、前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素を前記凍結保存容器に補給する制御を実行する制御装置と、を備え、前記液化装置と前記バッファタンクとの間の前記供給ラインに侵入する熱により気化する前記液体窒素の量は、前記凍結保存容器における前記液体窒素の消費量よりも少ないことを特徴とする液体窒素供給システムにより解決される。

【0014】
前記構成によれば、除菌フィルタ装置は、窒素供給部から供給された気体窒素を除菌する。液化装置は、除菌フィルタ装置により除菌された気体窒素を液化させて液体窒素を生成する。液化装置により生成された液体窒素は、バッファタンクに一時的に保存される。このとき、除菌フィルタ装置により除菌された気体窒素を液化装置が液化させるため、除菌された無菌状態の液体窒素が、バッファタンクに一時的に保存される。そして、制御装置は、液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第1制御弁を制御し、バッファタンクに一時的に保存された液体窒素を凍結保存容器に補給する制御を実行する。これにより、凍結保存容器に対して無菌状態の液体窒素を安定的に供給することができる。
【0015】
また、液化装置は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置の下流側であって、液体窒素を一時的に保存するバッファタンクの上流側に設けられている。すなわち、液化装置は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置と、液体窒素を一時的に保存するバッファタンクと、の間に設けられている。そのため、液化装置は、液体窒素の一時的な保存点としてのバッファタンクに近いところで気体窒素を液化して液体窒素を生成できる。これにより、供給ライン(配管)に侵入する熱により液体窒素が気化する量を抑えることができる。また、供給ラインのすべてをコスト高となる真空断熱配管とする必要がないため、液体窒素供給システムにかかる設備費を低減することができる。
【0016】
さらに、前記供給ラインは、前記バッファタンクの下流側において分岐した第1分岐ラインおよび第2分岐ラインを有し、前記第1制御弁は、前記第1分岐ラインに設けられ、前記凍結保存容器は、前記第1分岐ラインにおける前記第1制御弁の下流側に設けられた第1凍結保存容器であり、前記液面検知部は、前記第1凍結保存容器に設けられた第1液面検知部であり、前記第2分岐ラインにおける前記バッファタンクの下流側に設けられ前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素の供給を制御する第2制御弁と、前記第2分岐ラインにおける前記第2制御弁の下流側に設けられ前記バッファタンクから供給された前記液体窒素を保存する第2凍結保存容器と、前記第2凍結保存容器に設けられ前記第2凍結保存容器の内部に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する第2液面検知部と、をさらに備え、前記制御装置は、前記第1液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第1制御弁を制御し、前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素を前記第1凍結保存容器に補給するとともに、前記第2液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第2制御弁を制御し、前記バッファタンクに一時的に保存された前記液体窒素を前記第2凍結保存容器に補給する制御を実行することを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、第1液面検知部は、第1分岐ラインに設けられた第1凍結保存容器に設けられている。また、第2液面検知部は、第2分岐ラインに設けられた第2凍結保存容器に設けられている。すなわち、複数の凍結保存容器のそれぞれに対して、液面検知部が設けられている。一方で、液化装置およびバッファタンクは、第1凍結保存容器および第2凍結保存容器の上流側に設けられている。つまり、液化装置およびバッファタンクの設置数は、特には限定されない。そして、制御装置は、第1液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第1制御弁を制御し、バッファタンクに一時的に保存された液体窒素を第1凍結保存容器に補給する制御を実行する。さらに、制御装置は、第2液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第2制御弁を制御し、バッファタンクに一時的に保存された液体窒素を第2凍結保存容器に補給する制御を実行する。このように、制御装置は、複数の凍結保存容器が設けられた場合において、複数の凍結保存容器のそれぞれの液体窒素の液面高さに応じて、複数の凍結保存容器の上流側に設けられたバッファタンクから液体窒素を凍結保存容器に補給する。これにより、複数の凍結保存容器に対し無菌状態の液体窒素を安定的に供給することができる。
【0018】
好ましくは、前記バッファタンクに設けられ前記バッファタンクの内部に一時的に保存された前記液体窒素の液面高さを検知する第3液面検知部と、前記供給ラインにおける前記除菌フィルタ装置と前記液化装置との間に設けられた第3制御弁と、をさらに備え、前記制御装置は、前記第3液面検知部により検知された前記液面高さが所定値範囲内になるように、前記第3制御弁を制御し、前記液化装置により生成された前記液体窒素を前記バッファタンクに補給する制御を実行することを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、バッファタンクの内部に一時的に保存された液体窒素の液面高さを検知する第3液面検知部がさらに設けられている。そして、制御装置は、第3液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第3制御弁を制御し、液化装置により生成された液体窒素をバッファタンクに補給する制御を実行する。これにより、無菌状態の液体窒素を安定的にバッファタンクに供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無菌状態の液体窒素を供給することができるとともに、液体窒素が気化する量を抑え効率よく液体窒素を供給することができる液体窒素供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体窒素供給システムを表すブロック図である。
図2】本実施形態の液化装置を表す断面図である。
図3】液体窒素の液面高さの検知に関する概略を説明する模式図である。
図4】本実施形態に係る液体窒素供給システムの動作を表すフローチャートである。
図5】本実施形態の制御装置が実行する処理Aを表すフローチャートである。
図6】本実施形態の制御装置が実行する処理Bを表すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る液体窒素供給システムを表すブロック図である。
図8】本実施形態に係る液体窒素供給システムの第1動作を表すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る液体窒素供給システムの第2動作を表すフローチャートである。
図10】本実施形態の制御装置が実行する処理Cを表すフローチャートである。
図11】本実施形態の制御装置が実行する処理Dを表すフローチャートである。
図12】本実施形態の制御装置が実行する処理Eを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体窒素供給システムを表すブロック図である。
なお、図1においては、流体系統および電気系統が併せて表示されている。具体的には、流体系統は、実線で表示されている。電気系統は、破線で表示されている。
【0024】
本実施形態に係る液体窒素供給システム2は、例えば再生医療分野などに使用される液体窒素を使用点に供給する。液体窒素供給システム2は、供給ライン21と、貯槽22および気化器23を有する窒素供給部20と、除菌フィルタ装置25と、制御弁24と、液化装置26と、凍結保存容器27と、液面検知部271と、制御装置31と、を備える。また、液体窒素供給システム2は、図示しない、供給ライン21において除菌フィルタ装置の下流側から分岐した分岐ラインを設け、上記と同様の構成、つまり液化装置と、凍結保存容器と、液面検知部と、をさらに備えていてもよい。つまり、液化装置、凍結保存容器、および液面検知部を1組とする機器構成の数は、特には限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。本実施形態では、図1に表したように、液化装置、凍結保存容器、および液面検知部を1組とする機器構成が1つである場合を例に挙げて説明する。
【0025】
供給ライン(配管)21は、貯槽22に貯留された液体窒素を液体状態および気体状態のいずれかの状態で使用点に導く。本実施形態では、凍結保存容器27が使用点に相当する。供給ライン21において、液体窒素が流れる箇所は、熱侵入による液体窒素の気化を抑制するため、断熱効果の高い真空断熱配管が好ましい。
【0026】
貯槽22は、断熱機能を有する真空断熱式の貯槽であり、液体窒素を貯留する。貯槽22の下部には、供給ライン21が接続されている。貯槽22は、図示しない液面計を有し、貯留されている液体窒素の液面の高さを検知することができる。液体窒素供給システム2の使用者は、貯槽22の液面計を管理することで、貯槽22の内部に貯留されている液体窒素の量を管理することができる。
【0027】
気化器23は、供給ライン21における貯槽22の下流側に設けられている。気化器23は、貯槽22から供給された液体窒素を気化させて気体状態の窒素(気体窒素)を生成する。つまり、貯槽22の内部に貯留された液体窒素は、液体状態で供給ライン21により気化器23に導かれ、そこで液体窒素が気化し気体窒素となる。
【0028】
なお、上記では窒素供給部20として貯槽22および気化器23が設けられた場合を示したが、直接気体窒素を供給できるものとして、膜分離方式、圧力変動吸着方式により空気から気体窒素を分離する気体窒素発生装置や、気体窒素を高圧充填したガスボンベを用いることもできる。
【0029】
除菌フィルタ装置25は、供給ライン21に窒素供給部20の下流側に設けられている。除菌フィルタ装置25は、フィルタハウジング251と、フィルタエレメント252と、第1開閉弁253と、第2開閉弁254と、を有し、制御弁24を介して気化器23から供給された気体窒素を除菌する。除菌フィルタ装置25の型式は、特には限定されない。
【0030】
フィルタハウジング251は、フィルタエレメント252と、第1開閉弁253と、第2開閉弁254と、を収容している。フィルタエレメント252は、フィルタハウジング251に収容され、窒素供給部20から供給された気体窒素中の窒素中異物を除去する。フィルタエレメント252の孔の大きさは、例えば約0.2μm以下程度である。第1開閉弁253は、フィルタハウジング251に収容され、供給ライン21におけるフィルタエレメント252の上流側に設けられている。第2開閉弁254は、フィルタハウジング251に収容され、供給ライン21におけるフィルタエレメント252の下流側に設けられている。第1開閉弁253および第2開閉弁254は、供給ライン21を開閉し、気体窒素の供給を制御する。
【0031】
制御弁24は、供給ライン21における除菌フィルタ装置25の下流側に設けられている。制御弁24は、窒素供給部20から供給され除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素の供給を制御する。具体的には、制御弁24は、制御装置31から送信された信号に基づいて供給ライン21を開閉し、制御弁24の下流側に設けられた液化装置26に対する気体窒素の供給を制御する。
【0032】
液化装置26は、供給ライン21における制御弁24の下流側に設けられている。液化装置26は、除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素を液化させて液体窒素を生成する。そのため、液化装置26は、除菌された無菌状態の液体窒素を生成することができる。液化装置26の詳細については、図2に関して後述する。
【0033】
液面検知部271は、凍結保存容器27に設けられている。液面検知部271は、凍結保存容器27の内部に保存された液体窒素の液面高さを検知し、液面高さに関する情報を制御装置31に送信することができる。液面検知部271は、液面下限検知部271a(図3参照)と、液面上限検知部217b(図3参照)と、を有する。液面下限検知部271aおよび液面上限検知部217bの詳細については、図3に関して後述する。
【0034】
液面検知部の種類としては、静電容量型、半導体検知式、光ファイバー式、フロート式、超音波式等々が挙げられ適宜選択できるが、凍結保存容器においては開放容器でも動作不良が少ない半導体検知式が適している。
【0035】
凍結保存容器27は、供給ライン21における液化装置26の下流側に設けられている。凍結保存容器27は、液化装置26から供給された液体窒素を保存する。具体的には、凍結保存容器27は、断熱機能を有する真空断熱式の容器であり、例えば再生医療分野における細胞等を保存する。液化装置26から供給された液体窒素は、凍結保存容器27の内部に貯留される。このとき、除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素を液化装置26が液化させるため、除菌された無菌状態の液体窒素が、凍結保存容器27に貯留される。凍結保存容器27の内部に貯留される液体窒素の量は、特には限定されず、例えば約100リットル程度である。凍結保存容器27が真空断熱式の容器であるため、凍結保存容器27の内部の温度は、比較的低い温度(例えば約−150℃程度)に維持される。
【0036】
図2は、本実施形態の液化装置を表す断面図である。
第2液化装置の構造は、液化装置26の構造と同じである。そのため、図2に表した液化装置26を参照して本実施形態の液化装置の詳細を説明し、第2液化装置の詳細な説明は適宜省略する。
【0037】
液化装置26は、液体窒素貯蔵容器262と、ガス液化部263と、低温電磁弁264と、低温制御弁265と、圧力計266と、安全弁267と、を有する。液化装置26が1日あたりに生成可能な液体窒素の量(液体窒素生成能力)は、特には限定されず、例えば約10〜20リットル/日程度である。
【0038】
液体窒素貯蔵容器262は、液体窒素貯蔵容器262の内部において生成された液体窒素を貯蔵する容器である。液体窒素貯蔵容器262の容量は、特には限定されず、例えば約40〜80リットル程度である。
【0039】
ガス液化部263は、液体窒素貯蔵容器262の上部に設けられている。ガス液化部263は、例えば蒸気圧縮式冷凍機であり、図2に表した矢印A1のように、第1分岐ライン211の入口側配管211aを通して液体窒素貯蔵容器262の内部に導かれた気体窒素から熱を奪い、気体窒素を冷却する。すなわち、ガス液化部263は、除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素を液化させる液体窒素生成器である。ガス液化部263には、熱媒体循環路268が接続されている。図2に表した矢印A2および矢印A3のように、例えばヘリウムガスなどの熱媒体がガス液化部263を介して熱媒体循環路268を流れている。
【0040】
低温電磁弁264は、出口側配管211bに設けられている。出口側配管211bの一方の端部は、液体窒素貯蔵容器262に貯蔵された液体窒素に浸されている。すなわち、出口側配管211bの一方の端部は、液体窒素貯蔵容器262に貯蔵された窒素の液相部分に浸されている。出口側配管211bの他方の端部は、凍結保存容器27に接続されている。
【0041】
低温制御弁265は、排出管269に設けられている。排出管269の一方の端部は、液体窒素貯蔵容器262に貯蔵された気体窒素に接続されている。すなわち、排出管269の一方の端部は、液体窒素貯蔵容器262に貯蔵された窒素の気相部分に設けられている。排出管269の他方の端部は、例えば液体窒素貯蔵容器262の外部に開放されている。
【0042】
圧力計266および安全弁267は、液体窒素貯蔵容器262の上部に設けられている。圧力計266は、液体窒素貯蔵容器262の内部の気体窒素の圧力を計測する。安全弁267は、液体窒素貯蔵容器262の内部の気体窒素の圧力が異常に上昇した場合に、液体窒素貯蔵容器262の内部の気体窒素を液体窒素貯蔵容器262の外部に放出し、液体窒素貯蔵容器262の内部の気体窒素の圧力を下降させる。
【0043】
図2に表した矢印A1のように、入口側配管211aを通して液体窒素貯蔵容器262の内部に導かれた気体窒素は、ガス液化部263により冷却され、液化して液体窒素になる。このとき、液体窒素貯蔵容器262の内部に導かれた気体窒素は、除菌フィルタ装置25により除菌されている。そのため、ガス液化部263により液化された液体窒素は、除菌された無菌状態の液体窒素である。
【0044】
図2に表したように、気体窒素は、ガス液化部263で冷却・液化され滴下し、液体窒素貯蔵容器262の内部に液体窒素が貯留される。制御装置31が低温電磁弁264を開くとともに低温制御弁265を閉じると、液体窒素貯蔵容器262の内部の液体窒素は、液体窒素貯蔵容器262の内部の気体窒素の圧力により出口側配管211bを通して液体窒素貯蔵容器262の外部に押し出される。液体窒素貯蔵容器262の外部に押し出された無菌状態の液体窒素は、出口側配管211bを流れ、凍結保存容器27に導かれる。
【0045】
図3は、液体窒素の液面高さの検知に関する概略を説明する模式図である。
複数の凍結保存容器があっても、容器内の液面高さを検知・制御する方法は、液面検知部271が液体窒素の液面高さを検知・制御する方法と同じである。そのため、図3においては、液面検知部271が液体窒素の液面高さを検知する方法・制御の概略のみ説明する。
【0046】
図1に関して前述したように、液面検知部271は、液面下限検知部271aと、液面上限検知部271bと、を有する。
【0047】
液面下限検知部271aは、液体窒素液面管理範囲内の設定下限値LLにおける液体窒素の液面高さを検知する。すなわち、液面下限検知部271aは、液体窒素の液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを検知することができる。そして、液面下限検知部271aは、液面高さに関する情報を制御装置31に送信する。
【0048】
液面上限検知部271bは、液体窒素液面管理範囲内の設定上限値ULにおける液体窒素の液面高さを検知する。すなわち、液面上限検知部271bは、液体窒素の液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを検知することができる。そして、液面上限検知部271bは、液面高さに関する情報を制御装置31に送信する。
【0049】
このようにして、液面検知部271は、液体窒素の液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを液面下限検知部271aにより検知することができるとともに、液体窒素の液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを液面上限検知部271bにより検知することができる。なお、上記では液面検知部として設定上限値ULおよび設定下限値LLの2点を設けているが、液面状態をより詳しく把握するために設定上限値ULと設定下限値LLとの間に、さらに複数の液面検知部を設けてもよい。
【0050】
図4は、本実施形態に係る液体窒素供給システムの動作を表すフローチャートである。
図5は、本実施形態の制御装置が実行する処理Aを表すフローチャートである。
図6は、本実施形態の制御装置が実行する処理Bを表すフローチャートである。
図1に関して前述したように、凍結保存容器27の内部には、液化装置26から供給された無菌状態の液体窒素が貯留されている。また、凍結保存容器27は、断熱機能を有する真空断熱式の容器であり、例えば再生医療分野における細胞等を保存する。凍結保存容器27は断熱効果の高い容器ではあるが、容器内への熱侵入をなくすことはできず、容器内の液体窒素は気化してしまう。また、液体窒素供給システム2の使用者が凍結保存容器27において細胞等を出し入れするために凍結保存容器27を開閉すると、凍結保存容器の内部の液体窒素の気化量が増加するとともに、気体窒素として凍結保存容器の外に出てしまう。このような液体窒素の消費量は、1日あたり、例えば約6リットル/日程度である。
【0051】
これに対して、本実施形態に係る液体窒素供給システム2の制御装置31は、液面検知部271により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、制御弁24および液化装置26を制御し、液化装置26により生成された液体窒素を凍結保存容器27に補給する制御を実行する。本実施形態では、制御装置31が液化装置26を制御することは、制御装置31が液化装置26の低温電磁弁264および低温制御弁265の開閉動作を制御することに相当する。
【0052】
また、液化装置26に設置される図示しない液面管理機構を用いて、上記液化装置26の低温電磁弁264および低温制御弁265の開閉動作により、凍結保存容器の液面状態とは独立した状態で液体窒素貯蔵容器262内の液体窒素量を制御することもできる。
【0053】
液体窒素供給システム2において、液化装置、凍結保存容器、液面検知部、制御装置を一組とする機器構成の数が2つである場合には、各機器構成は前述した制御と同様な処理、すなわち制御装置は、液面検知部により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、制御弁および液化装置を制御し、液化装置により生成された液体窒素を凍結保存容器に補給する制御をさらに実行する。なお、前述したように、制御装置31が液化装置を制御することは、制御装置31が液化装置の低温電磁弁(低温電磁弁264に相当する弁)および低温制御弁(低温制御弁265に相当する弁)の開閉動作を制御することに相当する。
【0054】
図4図6を参照して、本実施形態に係る液体窒素供給システム2の動作を具体的に説明する。
【0055】
図5に表したように、ステップS11において、制御装置31は、液面下限検知部271aにより検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを判断する。液面下限検知部271aにより検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS11:YES)、ステップS12において、制御装置31は、制御弁24および液化装置26を制御し、液化装置26により生成された液体窒素の凍結保存容器27への補給を開始する。
【0056】
一方で、液面下限検知部271aにより検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS11:NO)、ステップS14において、制御装置31は液面上限検知部271bにより検知された液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを判断する。
【0057】
ステップS12に続くステップS13において、制御装置31は、液面下限検知部271aにより検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを引き続き判断する。液面下限検知部271aにより検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS13:YES)、制御装置31は、ステップS13の処理を引き続き実行する。一方で、液面下限検知部271aにより検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS13:NO)、制御装置31は、ステップS14に関して前述した処理を実行する。
【0058】
液面上限検知部271bにより検知された液面高さが設定上限値UL以上である場合には(ステップS14:YES)、ステップS15において、制御装置31は、制御弁24および液化装置26を制御し、液化装置26により生成された液体窒素の凍結保存容器27への補給を停止する。一方で、液面上限検知部271bにより検知された液面高さが設定上限値ULよりも低い場合には(ステップS14:NO)、制御装置31は、ステップS14の処理を引き続き実行する。
【0059】
凍結保存容器が2つある場合、一方の上記処理を処理Aとすると、他方の処理は第2液化装置、第2凍結保存容器、第2液面上限検知部、第2液面下限検知部を用いた処理Bとして、図6に表すことができる。ステップS21において、制御装置31は、第2液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを判断する。第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS21:YES)、ステップS22において、制御装置31は、制御弁24および第2液化装置を制御し、第2液化装置により生成された液体窒素の第2凍結保存容器への補給を開始する。
【0060】
一方で、第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS21:NO)、ステップS24において、制御装置31は第2上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)により検知された液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを判断する。
【0061】
ステップS22に続くステップS23において、制御装置31は、第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを引き続き判断する。第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS23:YES)、制御装置31は、ステップS23の処理を引き続き実行する。一方で、第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS23:NO)、制御装置31は、ステップS24に関して前述した処理を実行する。
【0062】
第2液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値UL以上である場合には(ステップS24:YES)、ステップS25において、制御装置31は、制御弁24および第2液化装置を制御し、第2液化装置により生成された液体窒素の第2凍結保存容器への補給を停止し、処理Bを終了する。一方で、第2液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値ULよりも低い場合には(ステップS24:NO)、制御装置31は、ステップS24の処理を引き続き実行する。処理Aおよび処理Bは図4に示すように並行的に実行され、全てのステップが完了すると、全体の処理を終了する。
【0063】
本実施形態によれば、無菌状態の液体窒素を安定的に複数の凍結保存容器に供給することができる。また、複数の凍結保存容器が設けられた場合において、複数の凍結保存容器のそれぞれの液体窒素の液面高さに応じて、複数の凍結保存容器のそれぞれに対して設けられた液化装置(本実施形態では液化装置26および図示しない第2液化装置)から液体窒素を凍結保存容器に補給する。これにより、複数の凍結保存容器が設けられた場合であっても、無菌状態の液体窒素を安定的に複数の凍結保存容器に供給することができる。
【0064】
気体窒素ではなく液体窒素を除菌フィルタ装置により除菌して、使用点に供給する場合には、液体窒素が比較的長い距離の供給ラインを流れることになる。そうすると、供給ラインが断熱材で保温されている場合であっても、供給ラインに侵入する熱を完全に遮断することは困難である。そのため、供給ラインを流れている液体窒素が侵入熱により気化してしまうため、凍結保存容器の内部を冷却するための液体窒素が余分に必要となる。
【0065】
これに対して、本実施形態に係る液体窒素供給システム2では、液化装置26は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置25の下流側であって、液体窒素を保存する凍結保存容器27の上流側に設けられている。すなわち、液化装置26は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置25と、液体窒素を保存する凍結保存容器27と、の間に設けられている。そのため、液化装置26は、液体窒素の使用点としての凍結保存容器27に近いところで気体窒素を液化して液体窒素を生成できる。これにより、供給ライン21に侵入する熱により液体窒素が気化する量を抑えることができる。また、供給ライン21のすべてをコスト高となる真空断熱配管とする必要がないため、液体窒素供給システム2にかかる設備費を低減することができる。
【0066】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係る液体窒素供給システムの構成要素が、図1および図2に関して前述した第1実施形態に係る液体窒素供給システムの構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0067】
図7は、本発明の第2実施形態に係る液体窒素供給システムを表すブロック図である。
なお、図7においては、流体系統および電気系統が併せて表示されている。具体的には、流体系統は、実線で表示されている。電気系統は、破線で表示されている。
【0068】
本実施形態に係る液体窒素供給システム2Aは、供給ライン21と、貯槽22および気化器23を有する窒素供給部20と、除菌フィルタ装置25と、第3制御弁241と、液化装置32と、バッファタンク33と、ガスライン38と、第4制御弁242と、第1制御弁243と、第1凍結保存容器34と、第1液面検知部341と、制御装置31と、を備える。液体窒素供給システム2Aは、第2制御弁244と、第2凍結保存容器35と、第2液面検知部351と、第3液面検知部331をさらに備えていてもよい。つまり、凍結保存容器、液面検知部、および凍結保存容器に接続される制御弁のそれぞれの数は、特には限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。本実施形態では、図7に表したように、凍結保存容器および凍結保存容器に接続される制御弁のそれぞれの数が2つであり、液面検知部の数が3つである場合を例に挙げて説明する。
【0069】
供給ライン21は、バッファタンク33の下流側において分岐した第1分岐ライン211および第2分岐ライン212を有する。すなわち、供給ライン21は、バッファタンク33の下流側において、第1分岐ライン211と、第2分岐ライン212と、に分岐している。
【0070】
第3制御弁241は、供給ライン21における除菌フィルタ装置25の下流側に設けられ、除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素の供給を制御する。
【0071】
液化装置32は、供給ライン21における第3制御弁241の下流側に設けられている。液化装置32の構造は、図2に関して前述した液化装置26の構造と同じである。そのため、液化装置32の詳細の説明については、適宜省略する。
【0072】
バッファタンク33は、供給ライン21における液化装置32の下流側に設けられている。バッファタンク33は、断熱機能を有する真空断熱式の容器であり、液化装置32により生成された液体窒素を一時的に保存する。このとき、除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素を液化装置32が液化させるため、除菌された無菌状態の液体窒素が、バッファタンク33に一時的に保存される。例えば、バッファタンク33の容量は、液化装置32が1日あたりに生成可能な液体窒素の量(液体窒素生成能力)以上であり、約100リットル程度である。
【0073】
ガスライン38は、除菌フィルタ装置25と液化装置32との間において、供給ライン21から分岐している。つまり、ガスライン38の一方の端部は、除菌フィルタ装置25と液化装置32との間の供給ライン21に接続されている。ガスライン38の他方の端部は、バッファタンク33に接続されている。ガスライン38は、除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素をバッファタンク33に導く。
【0074】
第4制御弁242は、ガスライン38に設けられている。第4制御弁242は、バッファタンク33に対する気体窒素の供給を制御する。具体的には、第4制御弁242は、制御装置31から送信された信号に基づいてガスライン38を開閉し、第4制御弁242の下流側に設けられたバッファタンク33に対する気体窒素の供給を制御する。
【0075】
除菌フィルタ装置25により除菌された気体窒素が第4制御弁242を介してバッファタンク33に供給されると、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素は、バッファタンク33の内部の気体窒素の圧力によりバッファタンク33の下流側の供給ライン21を通してバッファタンク33の外部に押し出される。
【0076】
第1制御弁243は、供給ライン21におけるバッファタンク33の下流側に設けられている。本実施形態では、第1制御弁243は、第1分岐ライン211に設けられている。第1制御弁243は、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素の供給を制御する。具体的には、第1制御弁243は、制御装置31から送信された信号に基づいて第1分岐ライン211を開閉し、第1制御弁243の下流側に設けられた第1凍結保存容器34に対する液体窒素の供給を制御する。
【0077】
第1凍結保存容器34は、供給ライン21における第1制御弁243の下流側に設けられている。本実施形態では、第1凍結保存容器34は、第1分岐ライン211における第1制御弁243の下流側に設けられている。第1凍結保存容器34は、バッファタンク33から供給された液体窒素を保存する。第1凍結保存容器34は、図1に関して前述した凍結保存容器27の構造と同じ構造を有し、例えば再生医療分野における細胞等を保存する。
【0078】
第1液面検知部341は、第1凍結保存容器34に設けられている。第1液面検知部341は、第1凍結保存容器34の内部に保存された液体窒素の液面高さを検知し、液面高さに関する情報を制御装置31に送信することができる。第1液面検知部341は、図3に関して前述した液面検知部271と同様に、第1液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)と、第1液面上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)と、を有する。
【0079】
第2制御弁244は、供給ライン21におけるバッファタンク33の下流側に設けられている。本実施形態では、第2制御弁244は、第2分岐ライン212に設けられている。第2制御弁244は、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素の供給を制御する。具体的には、第2制御弁244は、制御装置31から送信された信号に基づいて第2分岐ライン212を開閉し、第2制御弁244の下流側に設けられた第2凍結保存容器35に対する液体窒素の供給を制御する。
【0080】
第2凍結保存容器35は、供給ライン21における第2制御弁244の下流側に設けられている。本実施形態では、第2凍結保存容器35は、第2分岐ライン212における第2制御弁244の下流側に設けられている。第2凍結保存容器35は、バッファタンク33から供給された液体窒素を保存する。第2凍結保存容器35は、図1に関して前述した凍結保存容器27の構造と同じ構造を有し、例えば再生医療分野における細胞等を保存する。
【0081】
第2液面検知部351は、第2凍結保存容器35に設けられている。第2液面検知部351は、第2凍結保存容器35の内部に保存された液体窒素の液面高さを検知し、液面高さに関する情報を制御装置31に送信することができる。第2液面検知部351は、図3に関して前述した液面検知部271と同様に、第2液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)と、第2液面上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)と、を有する。
【0082】
このように、本実施形態に係る液体窒素供給システム2Aでは、複数の凍結保存容器(本実施形態では第1凍結保存容器34および第2凍結保存容器35)のそれぞれに対して、液面検知部(本実施形態では第1液面検知部341および第2液面検知部351)が設けられている。一方で、液化装置32およびバッファタンク33は、第1凍結保存容器34および第2凍結保存容器35の上流側に設けられている。つまり、本実施形態では、液化装置32およびバッファタンク33のそれぞれの数は、1つである。
【0083】
第3液面検知部331は、バッファタンク33に設けられている。第3液面検知部331は、バッファタンク33の内部に一時的に保存された液体窒素の液面高さを検知し、液面高さに関する情報を制御装置31に送信することができる。第3液面検知部331は、図3に関して前述した液面検知部271と同様に、第3液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)と、第3液面上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)と、を有する。
【0084】
供給ライン21、貯槽22、気化器23および除菌フィルタ装置25は、図1に関して前述した通りである。
【0085】
図8は、本実施形態に係る液体窒素供給システムの第1動作を表すフローチャートである。
図9は、本実施形態に係る液体窒素供給システムの第2動作を表すフローチャートである。
図10は、本実施形態の制御装置が実行する処理Cを表すフローチャートである。
図11は、本実施形態の制御装置が実行する処理Dを表すフローチャートである。
図12は、本実施形態の制御装置が実行する処理Eを表すフローチャートである。
本実施形態に係る液体窒素供給システム2Aにおいても、図4図6に関して前述した液体窒素の消費と同様の消費が生ずる。すなわち、第1凍結保存容器34への熱侵入による液体窒素の気化、および第1凍結保存容器34の開閉に伴い、凍結保存容器の内部の液体窒素の気化量が増加するとともに、気体窒素として凍結保存容器の外にでてしまう。このような液体窒素の消費は、第2凍結保存容器35においても同様に生ずる。
【0086】
これに対して、本実施形態に係る液体窒素供給システム2Aの制御装置31は、第1液面検知部341により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第3制御弁241、第4制御弁242および第1制御弁243を制御し、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素を第1凍結保存容器34に補給する制御を実行する。
【0087】
本実施形態に係る液体窒素供給システム2Aのように、凍結保存容器および凍結保存容器に接続される制御弁のそれぞれの数が2つであり、液面検知部の数が3つである場合には、制御装置31は、第2液面検知部351により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第3制御弁241、第4制御弁242および第2制御弁244を制御し、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素を第2凍結保存容器35に補給する制御をさらに実行する。
【0088】
さらに、制御装置31は、第3液面検知部331により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、第3制御弁241および液化装置32を制御し、液化装置32により生成された液体窒素をバッファタンク33に補給する制御を実行する。図4図6に関して前述したように、制御装置31が液化装置32を制御することは、制御装置31が液化装置32の低温電磁弁(低温電磁弁264に相当する弁)および低温制御弁(低温制御弁265に相当する弁)の開閉動作を制御することに相当する。
【0089】
図8を参照して、本実施形態に係る液体窒素供給システム2Aの動作を具体的に説明すると、ステップS3、ステップS4およびステップS5において、制御装置31は、処理C、処理Dおよび処理Eを並列的に実行する。そして、制御装置31は、処理C、処理Dおよび処理Eの実行を完了すると、全体の処理を終了する。あるいは、図9に表したように、制御装置31は、ステップS3において処理Cの実行を完了した後、ステップS4およびステップS5において処理Dおよび処理Eを並列的に実行する。そして、制御装置31は、処理Dおよび処理Eの実行を完了すると、全体の処理を終了する。
【0090】
処理Cについては、図10に表したように、ステップS31において、制御装置31は、第3液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを判断する。第3液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS31:YES)、ステップS32において、制御装置31は、第3制御弁241および液化装置32を制御し、液化装置32により生成された液体窒素のバッファタンク33への補給を開始する。
【0091】
一方で、第3面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS31:NO)、ステップS34において、制御装置31は、第3液面上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)により検知された液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを判断する。
【0092】
ステップS32に続くステップS33において、制御装置31は、第3液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを引き続き判断する。第3液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS33:YES)、制御装置31は、ステップS33の処理を引き続き実行する。一方で、第3液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS33:NO)、制御装置31は、ステップS34に関して前述した処理を実行する。
【0093】
第3液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値UL以上である場合には(ステップS34:YES)、ステップS35において、制御装置31は、第3制御弁241および液化装置32を制御し、液化装置32により生成された液体窒素のバッファタンク33への補給を停止し、処理Cを終了する。一方で、第3液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値ULよりも低い場合には(ステップS34:NO)、制御装置31は、ステップS34の処理を引き続き実行する。
【0094】
処理Dについては、図11に表したように、ステップS41において、制御装置31は、第1液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを判断する。第1液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS41:YES)、ステップS42において、制御装置31は、第3制御弁241、第4制御弁242および第1制御弁243を制御し、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素の第1凍結保存容器34への補給を開始する。
【0095】
一方で、第1液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS41:NO)、ステップS44において、制御装置31は、第1液面上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)により検知された液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを判断する。
【0096】
ステップS42に続くステップS43において、制御装置31は、第1液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを引き続き判断する。第1液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS43:YES)、制御装置31は、ステップS43の処理を引き続き実行する。一方で、第1液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS43:NO)、制御装置31は、ステップS44に関して前述した処理を実行する。
【0097】
第1液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値UL以上である場合には(ステップS44:YES)、ステップS45において、制御装置31は、第3制御弁241、第4制御弁242および第1制御弁243を制御し、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素の第1凍結保存容器34への補給を停止し、処理Dを終了する。一方で、第1液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値ULよりも低い場合には(ステップS44:NO)、制御装置31は、ステップS44の処理を引き続き実行する。
【0098】
処理Eについては、図12に表したように、ステップS51において、制御装置31は、第2液面下限検知部(液面下限検知部271aに相当する検知部)により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを判断する。第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS51:YES)、ステップS52において、制御装置31は、第3制御弁241、第4制御弁242および第2制御弁244を制御し、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素の第2凍結保存容器35への補給を開始する。
【0099】
一方で、第2面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS51:NO)、ステップS54において、制御装置31は、第2液面上限検知部(液面上限検知部271bに相当する検知部)により検知された液面高さが設定上限値UL以上であるか否かを判断する。
【0100】
ステップS52に続くステップS53において、制御装置31は、第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下であるか否かを引き続き判断する。第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LL以下である場合には(ステップS53:YES)、制御装置31は、ステップS53の処理を引き続き実行する。一方で、第2液面下限検知部により検知された液面高さが設定下限値LLよりも高い場合には(ステップS53:NO)、制御装置31は、ステップS54に関して前述した処理を実行する。
【0101】
第2液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値UL以上である場合には(ステップS54:YES)、ステップS55において、制御装置31は、第3制御弁241、第4制御弁242および第2制御弁244を制御し、バッファタンク33に一時的に保存された液体窒素の第2凍結保存容器35への補給を停止し、処理Eを終了する。一方で、第2液面上限検知部により検知された液面高さが設定上限値ULよりも低い場合には(ステップS54:NO)、制御装置31は、ステップS54の処理を引き続き実行する。
【0102】
本実施形態によれば、無菌状態の液体窒素がバッファタンク33に一時的に保存されているため、第1凍結保存容器34および第2凍結保存容器35のように複数の凍結保存容器に対しても無菌状態の液体窒素を安定的に供給することができる。また、制御装置31は、複数の凍結保存容器(本実施形態では第1凍結保存容器34および第2凍結保存容器35)が設けられた場合において、複数の凍結保存容器のそれぞれの液体窒素の液面高さに応じて、複数の凍結保存容器の上流側に設けられたバッファタンク33から液体窒素を凍結保存容器に補給する。これにより、複数の凍結保存容器が設けられた場合であっても、無菌状態の液体窒素を安定的に複数の凍結保存容器に供給することができる。
【0103】
また、液化装置32は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置25の下流側であって、液体窒素を一時的に保存するバッファタンク33の上流側に設けられている。すなわち、液化装置32は、気体窒素を除菌する除菌フィルタ装置25と、液体窒素を一時的に保存するバッファタンク33と、の間に設けられている。そのため、液化装置32は、液体窒素の一時的な保存点としてのバッファタンク33に近いところで気体窒素を液化して液体窒素を生成できる。これにより、供給ライン21に侵入する熱により液体窒素が気化する量を抑えることができる。また、供給ライン21のすべてをコスト高となる真空断熱配管とする必要がないため、液体窒素供給システム2Aにかかる設備費を低減することができる。
【0104】
さらに、制御装置31は、第3液面検知部331により検知された液面高さが所定値範囲内になるように、液化装置32により生成された液体窒素をバッファタンク33に補給するため、無菌状態の液体窒素を安定的にバッファタンク33に供給することができる。図9に表したように、制御装置31は、処理Cの実行を完了した後に処理Dおよび処理Eを並列的に実行すると、バッファタンク33に一時的に保存する液体窒素を確保し、第1凍結保存容器34および第2凍結保存容器35に対してより確実に液体窒素を補給することができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0106】
2、2A・・・液体窒素供給システム、 20・・・窒素供給部、 21・・・供給ライン、 22・・・貯槽、 23・・・気化器、 24・・・制御弁、 25・・・除菌フィルタ装置、 26・・・液化装置、 27・・・凍結保存容器、 31・・・制御装置、 32・・・液化装置、 33・・・バッファタンク、 34・・・第1凍結保存容器、 35・・・第2凍結保存容器、 38・・・ガスライン、 211・・・第1分岐ライン、 211a・・・入口側配管、 211b・・・出口側配管、 212・・・第2分岐ライン、 241・・・第3制御弁、 242・・・第4制御弁、 243・・・第1制御弁、 244・・・第2制御弁、 251・・・フィルタハウジング、 252・・・フィルタエレメント、 253・・・第1開閉弁、 254・・・第2開閉弁、 262・・・液体窒素貯蔵容器、 263・・・ガス液化部、 264・・・低温電磁弁、 265・・・低温制御弁、 266・・・圧力計、 267・・・安全弁、 268・・・熱媒体循環路、 269・・・排出管、 271・・・液面検知部、 271a・・・液面下限検知部、 271b・・・液面上限検知部、 331・・・第3液面検知部、 341・・・第1液面検知部、 351・・・第2液面検知部、 A1、A2、A3・・・矢印


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12