(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したような飲料サーバーでは、飲料がカランから注出されるときに、飲料がカランの内部を通ることによって生じる泡が共に注出される。この泡は、飲料がカラン内部の流路を通るときに生じるものであって、飲料がカランの内部で種々の部分に衝突し飲料が乱流となることによって生じる。この泡は、カランの内部で意図せず生じる泡であり、初期泡とも称される。飲料の注出時にこの初期泡が発生すると飲料の風味を損なう懸念がある。また、初期泡は、意図的に飲料の上に注出するきめ細かい発泡体よりも粗い泡である。よって、初期泡が多い場合には、飲料の見た目が損なわれて飲料の意匠性が低下する懸念がある。従って、初期泡を抑制させることが望まれる。
【0006】
本発明は、飲料が注出される前に生じる初期泡を抑制することができるカラン及び注出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るカランは、飲料を注出する飲料注出部を備えたカランであって、飲料が通る流路を内部に形成するカラン本体と、カラン本体の内部に配置されており、カラン本体の内部で一方向にスライドすることにより、流路を開放して飲料を飲料注出部から注出させるスライド弁と、を備え、カラン本体の内部において飲料が接触する壁面は、算術平均粗さRaが0.48μm以下であって飲料が流路を通るときに生じる泡を抑制する泡抑制面とされている。
【0008】
このカランでは、カラン本体及びスライド弁が飲料が通る流路を形成しており、流路を形成する壁面は、その算術平均粗さRaが0.48μm以下の泡抑制面とされている。従って、このカランにおいて、飲料は泡抑制面によって泡の発生が抑制されながら注出されるので、初期泡が生じにくくなっている。よって、初期泡を抑えることにより、飲料の風味が損なわれたり、飲料の意匠性が低下したりする問題を回避することができる。
【0009】
また、泡抑制面は、スライド弁の外面に設けられてもよい。この場合、スライド弁がスライドする度に飲料がスライド弁の外面に沿って移動して注出される。従って、飲料をスライド弁の外面の泡抑制面に沿わせることにより、流路で生じる泡をより確実に抑えることができる。
【0010】
また、泡抑制面は、カラン本体の内面に設けられてもよい。この場合、飲料がカラン本体の泡抑制面に接触しながら注出されるので、初期泡をより確実に抑制することができる。
【0011】
また、泡抑制面は、スライド弁の外面、及びカラン本体の内面、に設けられてもよい。この場合、スライド弁の外面、及びカラン本体の内面、の両方に泡抑制面が形成される。従って、飲料は、スライド弁のスライドに応じてスライド弁の泡抑制面及びカラン本体の泡抑制面に接触しながら注出される。よって、飲料が流路を通るときに泡をより発生しにくくすることができるので、初期泡を更に確実に抑えることができる。
【0012】
また、カラン本体は、金属製であってもよい。この場合、カラン本体が他の材料で構成される場合と比較して、カラン本体の耐久性を高くすることができる。
【0013】
本発明の一側面に係る注出方法は、飲料が通る流路を内部に形成するカランを用いた飲料の注出方法であって、飲料が流路を通るときに生じる泡を抑制する。この注出方法では、飲料が流路を通るときに泡の発生が抑制されるので、初期泡を抑えることができる。
【0014】
本発明の別の側面に係る注出方法は、飲料を注出する飲料注出部、カラン本体、及びカラン本体の内部でスライドするスライド弁を備えたカランを用いて行う飲料の注出方法であって、カラン本体の内部において飲料が接触する壁面は、算術平均粗さRaが0.48μm以下である泡抑制面とされており、泡抑制面に飲料を接触させながら流路に飲料を通すことにより、飲料が流路を通るときに生じる泡を抑制する工程を備える。
【0015】
この注出方法では、カラン本体及びスライド弁によって形成された流路において、その壁面は算術平均粗さRaが0.48μm以下の泡抑制面とされている。従って、飲料が流路を通るときに、飲料は泡抑制面に接触しながら注出されることになる。よって、飲料が流路を通るときに生じる泡を抑えることができるので、初期泡を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飲料が注出される前に生じる初期泡を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本発明に係るカラン及び注出方法の実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
図1は、本実施形態のカラン10を備えた飲料サーバー1の外観を示す斜視図である。飲料サーバー1は、例えば、飲食店に設けられる装置であって顧客の注文等に応じて第1カラン10a及び第2カラン10bのいずれかが引かれることにより、第1飲料、及び第1飲料とは異なる第2飲料、のいずれかを注出可能となっている。一例として、飲料サーバー1は、第1飲料及び第2飲料を冷却する瞬間冷却式サーバーである。
【0020】
第1カラン10a及び第2カラン10bは、共に飲料サーバー1の筐体2に直接取り付けられている。第1カラン10aからは第1飲料、第2カラン10bからは第2飲料、がそれぞれ注出される。第1飲料及び第2飲料は、例えば、ビールテイスト飲料である。ビールテイスト飲料とは、ビールのような味わいを奏する飲料、及び、ビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料を含む。また、ビールテイスト飲料は、アルコール度数が1%(「容量/容量(%)」又は「v/v(%)」等とも表される)未満の飲料、及び、アルコール度数が1%以上の飲料を含む。なお、アルコール度数が1%以上の飲料は、ビールテイストアルコール飲料とも称される。
【0021】
更に、ビールテイスト飲料は、原料として麦芽を使用するビール、発泡酒、ノンアルコールビール、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)等の麦芽発酵飲料、及び、原料として麦又は麦芽を使用しないビールテイスト発酵飲料(例えば、酒税法上「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される飲料)を含んでいる。なお、第1飲料及び第2飲料は、ビールテイスト飲料ではない発泡性飲料であってもよく、カランが注出する飲料の種類は特に限定されない。以下では、第1飲料及び第2飲料がビールである例について説明する。
【0022】
図2は、筐体2の内部に設けられる飲料管ユニット3を示す斜視図である。飲料管ユニット3は、第1飲料を流通させる第1飲料管4と、第2飲料を流通させる第2飲料管5とを備える。飲料管ユニット3は、例えば、第1飲料管4及び第2飲料管5を一体化しており、筐体2に対して脱着自在となっている。飲料管ユニット3において、第1飲料管4及び第2飲料管5は、例えば、共に螺旋状とされている。平面視において、第1飲料管4は第2飲料管5の外側に配置されており、第1飲料管4及び第2飲料管5は、同心円状となるように配置されている。
【0023】
飲料管ユニット3は、第1飲料を流入する第1飲料流入部6、及び第2飲料を流入する第2飲料流入部7が設けられた天板8を有する。天板8は、平面視において、第1飲料管4及び第2飲料管5を覆うように設けられる。天板8は、例えば、矩形状に形成されている。
【0024】
天板8には、左右一対に形成された孔部8a,8bが設けられており、孔部8a,8bのそれぞれには第1飲料管4及び第2飲料管5の上端部が通される。孔部8a,8bのそれぞれから上方に延びる第1飲料管4及び第2飲料管5は、孔部8a,8bの前方(
図2における下方向)に位置する飲料管ユニット3の飲料流出部に繋がっている。
【0025】
従って、第1飲料流入部6から第1飲料管4に流入した第1飲料は、第1飲料管4で螺旋状に流れる間に冷却され、その後、孔部8aの前方に位置する飲料注出部を介して第1カラン10aから注出される。また、第2飲料流入部7から第2飲料管5に流入した第2飲料は、第2飲料管5で螺旋状に流れる間に冷却された後、孔部8bの前方の飲料注出部を介して第2カラン10bから注出される。
【0026】
天板8には、筐体2の水槽に収容された冷却水を撹拌する図示しないモータを上方に露出させる開口8cが形成されている。更に、天板8は、下方に直線状に延びる支持部8dを備えており、この支持部8dに第1飲料管4及び第2飲料管5が支持されている。支持部8dは、例えば、3箇所に設けられており、各支持部8dは、第1飲料管4及び第2飲料管5の周方向に等間隔に配置されている。
【0027】
図1及び
図2に示される例では、飲料サーバー1が第1カラン10a及び第2カラン10bを備えており、第1カラン10aから第1飲料を注出し、第2カラン10bから第2飲料を注出する。しかしながら、カランの数、及び飲料の種類の数は、2つでなくてもよく、1つ又は3つ以上であってもよい。また、第1カラン10a及び第2カラン10bは、互いに同一の構成を備えていてもよいし、互いに異なる構成を備えていてもよい。以下では、第1カラン10a及び第2カラン10bのそれぞれをカラン10として説明し、第1飲料及び第2飲料がビールである例について説明する。
【0028】
図3に示されるように、カラン10は、例えば、手で握って移動操作が可能なレバー11と、レバー11の操作によってビール液L(飲料)の流路を開閉するスライド弁20と、スライド弁20を内部でスライド可能とするカラン本体12と、カラン本体12の内部でスライド弁20と共に移動する移動体15とを備える。カラン本体12は、カラン本体12から斜め下方に延在する飲料注出部13及び発泡体注出部14を有する。
【0029】
レバー11は、棒状に形成されており、カラン本体12から上方に延びている。レバー11の長手方向の端部11aは、カラン本体12の上面に形成された孔部12aと、移動体15の孔部15aとに上方から入り込んでいる。レバー11は、
図3の紙面の右側(カラン10の手前側)、及び
図3の紙面の左側(カラン10の奥側)の両方に揺動可能となっている。以下では、
図3の紙面の右側を前側とし、
図3の紙面の左側を後側として説明する。
【0030】
カラン本体12は、例えば、金属によって構成されている。一例として、カラン本体12は、真鍮によって構成されている。この場合、カラン本体12の加工性、耐久性を高めると共に、カラン本体12の高級感を高めることが可能である。更に、カラン本体12にはクロムメッキが施されていてもよく、この場合、耐久性を更に高めることが可能である。なお、カラン本体12は樹脂によって構成されていてもよく、カラン本体12の材料は適宜変更可能である。
【0031】
カラン本体12は、筒状に形成されると共に、カラン本体12の途中部分で飲料注出部13及び発泡体注出部14が枝分かれした形状となっている。カラン本体12は前後方向に長く延びており、カラン本体12の長手方向の後端に流入部12bを有し、流入部12bからビール液Lがカラン本体12の内部に入り込む。
【0032】
流入部12bは、例えば、カラン本体12の後端において拡径された筒状部とされている。流入部12bの前側には、スライド弁20が着座する弁座部12c、及び弁座部12cの前方に位置する内壁部12dが設けられている。弁座部12cは、流入部12bから徐々に曲線状に縮径しており、弁座部12cの前端から前方に内壁部12dが延びている。
【0033】
内壁部12dは、スライド弁20との間に空間を形成し、当該空間がビール液Lの流路Sを構成する。ビール液Lの流路Sは、流入部12b、弁座部12c及び内壁部12d、並びにスライド弁20を含んで形成されており、更に飲料注出部13を含んでいる。
【0034】
飲料注出部13は、例えば、発泡体注出部14の後側に設けられている。一例として、飲料注出部13及び発泡体注出部14は、カラン本体12から前側且つ斜め下方に直線状に延びている。飲料注出部13は、発泡体注出部14の後側において、発泡体注出部14よりも長く下方に延び出している。
【0035】
移動体15は、例えば、カラン本体12の内部において、スライド弁20の前側に配置されている。移動体15は、カラン本体12の内部で前後に移動する筒部15bと、筒部15bの内部で前後に移動する第1移動部15cと、筒部15bの前端において筒部15bを塞ぐように筒部15bにネジ固定された有底円筒状の第2移動部15dと、第1移動部15c及び第2移動部15dの間で伸縮するコイルバネ15eとを備えている。コイルバネ15eの一端は第1移動部15cに当接しており、コイルバネ15eの他端は第2移動部15dに当接している。
【0036】
前述した移動体15の孔部15aは、例えば、筒部15b及び第1移動部15cに形成されており、孔部15aにレバー11の端部11aが入り込んでいる。これにより、レバー11を手前に引くと筒部15b及び第1移動部15cが後方に移動し、レバー11を後方に押すと筒部15b及び第1移動部15cが前方に移動する。第1移動部15cは、筒部15bの内部において、筒部15b及び第2移動部15dに対して前後に移動する。また、第1移動部15cは、コイルバネ15eによって後方に付勢されている。
【0037】
筒部15bの後端には、例えば、スライド弁20がネジ固定されている。スライド弁20は、移動体15と共に、カラン本体12の内部において前後にスライドし、このスライドによって流路Sを開閉する。具体的には、スライド弁20は、一方向(後方)にスライドすることによって流路Sを開放する。
【0038】
例えば、スライド弁20は、その後側で拡径する弁体部21を有し、飲料注出部13の上側且つ後側には前述した弁座部12cが位置する。弁体部21が弁座部12cに着座することによって流路Sを閉塞し、弁体部21が弁座部12cから離座することによって流路Sを開放する。
【0039】
図4及び
図5に示されるように、スライド弁20は、前述した弁体部21と、弁体部21の前側において円筒状に延びる中央筒部22と、中央筒部22の前側で拡径し段付き円筒状とされた前側部23とを備える。スライド弁20が延びる方向は、中央筒部22の軸線Aが延びる方向であって、本実施形態では軸線Aが延びる方向と前後方向とは互いに一致する。
【0040】
弁体部21は、後端に向かうに従って縮径すると共に軸線Aに対して傾斜するテーパ面21aと、テーパ面21aの前端から前方に向かって湾曲しながら縮径するゴム状のパッキンである当接部21bとを備える。前方に向かって拡径するテーパ面21aを有することによって、後方から弁体部21に向かうビール液Lの流れをスムーズに分散することが可能である。
【0041】
当接部21bは、スライド弁20が前方にスライドするときに弁座部12cに当接して流路Sを閉塞し、スライド弁20が後方にスライドするときに弁座部12cから離れて流路Sを開放する。例えば、当接部21bはゴム材料によって構成されているので、当接部21bによって流路Sを確実にシールすることが可能である。
【0042】
スライド弁20において、当接部21b以外の部分は、金属製とされており、例えばステンレス製とされている。このようにスライド弁20がステンレス製である場合、旋盤でスライド弁20を加工しやすくなるので加工性を高めることが可能である。また、スライド弁20は、真鍮によって構成されていてもよい。
【0043】
中央筒部22は、前方に向かうに従って縮径する第1傾斜面22aと、第1傾斜面22aの前端から前方に延びる外周面22bと、外周面22bの前端で前方に向かうに従って拡径する第2傾斜面22cと、を有する。外周面22bの外径は、カラン本体12の内壁部12dの内径よりも小さい。
【0044】
これにより、第1傾斜面22a、外周面22b及び第2傾斜面22cと、内壁部12dとの間は、ビール液Lが流通する流路Sとされる。例えば、中央筒部22は弁体部21にネジ固定されている。また、中央筒部22に対して弁体部21を回転させることにより中央筒部22から弁体部21を外せる構成になっていてもよい。
【0045】
前側部23は、例えば、第2傾斜面22cの前端に位置する第1拡径部23aと、第1拡径部23aの前側に位置する環状凹部23bと、環状凹部23bの前側で拡径する第2拡径部23cと、第2拡径部23cの前側に位置する円柱状の雄螺子部23dとを備える。第1拡径部23aの外面は、内壁部12dに接触している。
【0046】
これにより、第1拡径部23aより前側にはビール液Lが侵入しない構成とされている。第2拡径部23cの外径は、第1拡径部23aの外径と略同一であってもよい。雄螺子部23dは、移動体15の筒部15bの内面に形成された雌螺子部15fに螺合している。この螺合により、スライド弁20は移動体15と共にスライドする。
【0047】
弁体部21は、その後端にビール液Lが流入する飲料流入口21cを有し、弁体部21、中央筒部22及び前側部23の内部には、飲料流入口21cから流入したビール液Lが流通する流通空間Kが形成されている。流通空間Kは、弁体部21の内部に形成された第1流路K1と、中央筒部22及び前側部23の内部に形成された第2流路K2と、第2流路K2の前側に形成された第3流路K3とを有する。
【0048】
第1流路K1の内径は、第2流路K2の内径よりも小さく、且つ第3流路K3の内径よりも大きい。第3流路K3の内径は、第1流路K1の内径、及び第2流路K2の内径よりも小さい。よって、第3流路K3をビール液Lが通ると、ビール液Lはビール泡B(発泡体)に変換される。このようにビール泡Bはスライド弁20によって生成される。
【0049】
前側部23の前端には、円環状の第1前端面23eと、第1前端面23eの内側で前方に斜めに突出するテーパ面23fと、テーパ面23fの内側で円形状とされた第2前端面23gとが形成されている。第2前端面23gには、第3流路K3に連通する発泡体流出口23hが形成されている。
【0050】
図3及び
図5に示されるように、ビール液Lの流路Sは、カラン本体12の内周面、飲料注出部13の内周面13a、弁体部21の外周面、及び中央筒部22の外周面、の間に形成される。具体的には、流路Sは、流入部12b、弁座部12c、内壁部12d、内周面13a、テーパ面21a、当接部21b、第1傾斜面22a、外周面22b、及び第2傾斜面22cの間に形成されている。
【0051】
流入部12b、弁座部12c、内壁部12d、内周面13a、テーパ面21a、当接部21b、第1傾斜面22a、外周面22b、及び第2傾斜面22cは、カラン本体12の内部においてビール液Lが接触する壁面に相当する。この壁面のうち、流入部12b、弁座部12c、内壁部12d、内周面13a、テーパ面21a、第1傾斜面22a、外周面22b、及び第2傾斜面22cは、ビール液Lの泡を抑制する泡抑制面Mとされている。泡抑制面Mは、例えば、
図3及び
図5に太線で示される箇所であってもよい。
【0052】
泡抑制面Mは、例えば、研磨が施された研磨面とされている。泡抑制面Mは、例えば、バフ研磨によって研磨されていてもよく、泡抑制面Mの研磨方法は特に限定されない。泡抑制面Mの算術平均粗さRaは、例えば、0.48μm以下とされており、好ましくは0.35μm以下、より好ましくは0.15μm以下、更に好ましくは0.05μm以下とされている。
【0053】
また、ビール液Lの導入部であるスライド弁20のテーパ面21a及び流入部12bに位置する泡抑制面Mの算術平均粗さは、例えば、0.48μm以下とされており、好ましくは0.35μm以下、より好ましくは0.29μmとされている。一方、ビール液Lの出口部分である内周面13aに位置する泡抑制面Mの算術平均粗さRaは、例えば、0.15μm以下であり、好ましくは0.05μm以下、より好ましくは0.03μm以下とされている。
【0054】
泡抑制面Mは、研磨されていることにより、光沢を備えた平滑面とされていてもよい。また、泡抑制面Mは、平滑な平坦面及び湾曲面によって構成されていてもよく、ビール液Lの流通を妨げる程度に粗い部分又は凹凸部を有しない滑らかな面であってもよい。ビール液Lが接触する壁面が上記のような泡抑制面Mとされていることにより、ビール液Lは、流路Sの泡抑制面Mに接触しながら流れるときに、乱流が抑えられると共に泡抑制面Mによって泡の発生が抑制されながら流路Sを流れる。
【0055】
よって、ビール液Lが飲料注出部13からカラン10の外部に注出されるときには、泡の発生が抑制されている。また、弁体部21のテーパ面21aは、ビール液Lがカラン10に導入される箇所であるため、一般的にはビール液Lの乱流が発生しやすい。しかしながら、本実施形態では、テーパ面21aが泡抑制面Mとされているため、ビール液Lの乱流を抑えてテーパ面21aにおける泡の発生が抑制される。更に、飲料注出部13の内周面13aが泡抑制面Mとされている。すなわち、ビール液Lのカラン10からの出口部分が泡抑制面Mとされているので、カラン10の出口部分でビール液Lの泡が生じることも抑制される。
【0056】
次に、本実施形態に係るカラン10を用いてビール液L及びビール泡Bを注出する方法について
図3及び
図6を参照しながら説明する。まず、カラン10を操作していない状態では、レバー11が直立した状態(鉛直上下に延びた状態)となっている。そして、スライド弁20の弁体部21がカラン本体12の弁座部12cに着座して流路Sが閉塞されていると共に、移動体15の第1移動部15cが筒部15bの切り欠き部15gを塞いだ状態とされている。
【0057】
以上の状態において、
図3に示されるように、レバー11を前方向に引くと、レバー11の端部11aが第1移動部15cを後方に押圧し、これに伴いスライド弁20が後方にスライドする。スライド弁20が後方にスライドすると、スライド弁20の弁体部21がカラン本体12の弁座部12cから離座する。
【0058】
このとき、カラン本体12の流入部12bから泡抑制面Mに接触しながらビール液Lが流入して、ビール液Lは弁体部21と弁座部12cの間を前方に移動する。そして、ビール液Lは、内壁部12dの泡抑制面M、中央筒部22の泡抑制面M、及び飲料注出部13の内周面13aの泡抑制面Mに接触しながら流れ、飲料注出部13からカラン10の外部に注出される(泡を抑制する工程)。
【0059】
また、
図6に示されるように、レバー11を後方向に押すと、スライド弁20が前方にスライドし、弁体部21が弁座部12cに着座して流路Sが閉塞すると共に、コイルバネ15eの付勢力に抗してレバー11の端部11aが第1移動部15cを前方に移動させる。第1移動部15cの前方への移動に伴って切り欠き部15gが開放されると共に、後方からスライド弁20の流通空間Kにビール液Lが流入する。流通空間Kに流入したビール液Lは、第3流路K3を通り、このときビール泡Bに変換される。ビール泡Bは、発泡体流出口23hから前方に噴出し、筒部15bの内部、切り欠き部15g、及び発泡体注出部14を通ってカラン10の外部に注出される。
【0060】
次に、本実施形態に係るカラン10及び注出方法の作用効果について詳細に説明する。
【0061】
カラン10では、カラン本体12及びスライド弁20がビール液Lが通る流路Sを形成しており、流路Sを形成する壁面は、その算術平均粗さRaが0.48μm以下の泡抑制面Mとされている。従って、カラン10において、ビール液Lは泡抑制面Mによって泡の発生が抑制されながら注出されるので、初期泡が生じにくくなっている。よって、初期泡を抑えることにより、ビール液Lの風味が損なわれたり、ビール液Lの意匠性が低下したりする問題を回避することができる。
【0062】
また、泡抑制面Mは、スライド弁20の外面に設けられている。よって、スライド弁20がスライドする度にビール液Lがスライド弁20の外面に沿って移動して注出される。従って、ビール液Lをスライド弁20の外面の泡抑制面Mに沿わせることにより、流路Sで生じる泡をより確実に抑えることができる。
【0063】
また、泡抑制面Mは、カラン本体12の内面に設けられている。従って、ビール液Lがカラン本体12の泡抑制面Mに接触しながら注出されるので、初期泡をより確実に抑制することができる。
【0064】
また、泡抑制面Mは、スライド弁20の外面、及びカラン本体12の内面に設けられている。よって、スライド弁20の外面、及びカラン本体12の内面、の両方に泡抑制面Mが形成される。従って、ビール液Lは、スライド弁20のスライドに応じて、スライド弁20の泡抑制面M、及びカラン本体12内面の泡抑制面Mに接触しながら注出される。よって、ビール液Lが流路Sを通るときに泡をより発生しにくくすることができるので、初期泡を更に確実に抑えることができる。
【0065】
また、カラン本体12は、金属製であってもよい。この場合、カラン本体が他の材料で構成される場合と比較して、カラン本体12の耐久性を高めることができる。
【0066】
本実施形態に係る注出方法は、ビール液Lが通る流路Sを内部に形成するカラン10を用いて行うビール液Lの注出方法であって、ビール液Lが流路Sを通るときに泡の発生を抑制する。よって、ビール液Lが流路Sを通るときに泡の発生が抑制されるので、初期泡を抑えることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る注出方法では、カラン本体12及びスライド弁20によって形成された流路Sにおいて、その壁面は算術平均粗さRaが0.48μm以下の泡抑制面Mとされている。従って、ビール液Lが流路Sを通るときに、ビール液Lは泡抑制面Mに接触しながら注出されることになる。よって、ビール液Lが流路Sを通るときに生じる泡を抑えることができるので、初期泡を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、飲料管4,5(飲料管ユニット3)が筐体2に対して脱着自在となっている。よって、飲料管4,5を筐体2から適宜外すことができるので、飲料管4,5を筐体2から外して洗浄すると共に、カラン10の洗浄を行うことができる。従って、カラン10のメンテナンス性を向上させて清浄性を高めることができる。
【0069】
このように、カラン10に連結される飲料管4,5が筐体2から分離可能であることにより、カラン10の清浄性を高めることができるので、カラン10の洗浄によって泡抑制面Mの劣化を一層確実に抑えることができる。従って、泡抑制面Mの劣化を抑制することにより、粗い泡の抑制効果を長期にわたって維持することができる。更に、第1飲料管4及び第2飲料管5は、飲料管ユニット3として一体化されているので、筐体2に対する飲料管4,5の着脱操作を容易に行うことができる。従って、上記の洗浄を更に効率よく行うことができる。
【0070】
以上、本発明に係るカラン及び注出方法の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能であり、カランの部品の構成は、当該要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0071】
例えば、前述の実施形態では、孔部12a、流入部12b、弁座部12c、及び内壁部12dを備えたカラン本体12について説明した。しかしながら、カラン本体12の各部の形状、材料及び大きさは適宜変更可能である。カラン本体12の内面の形状及び大きさについても適宜変更可能である。
【0072】
また、前述の実施形態では、弁体部21、中央筒部22、及び前側部23を備えたスライド弁20について説明した。しかしながら、スライド弁20の各部の構成、形状、材料及び大きさは適宜変更可能である。スライド弁20の外面の形状及び大きさについても適宜変更可能である。
【0073】
また、前述の実施形態では、レバー11、カラン本体12、飲料注出部13、発泡体注出部14及び移動体15を備えたカラン10について説明した。しかしながら、カランの各部の構成についても適宜変更可能である。例えば、発泡体注出部14を備えていないカランであってもよい。
【0074】
また、カラン10が適用される飲料サーバーの構成も適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、第1飲料管4及び第2飲料管5がユニット化された飲料管ユニット3を備える例について説明した。しかしながら、第1飲料管及び第2飲料管の形状及び大きさ等の構成は適宜変更可能である。また、第1飲料管及び第2飲料管はユニット化されていなくてもよいし、飲料管が筐体に対して脱着自在となっていなくてもよい。更に、本発明に係るカラン及び注出方法は、例えば、飲料容器の傾きを自動で変更するオートサーバーに適用されてもよい。
【0075】
(実施例)
続いて、前述のカラン本体12及びスライド弁20を備えたカランの実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。この実施例の実験は、ビール液Lが注出される飲料容器の傾きを自動的に変更できるオートサーバーを用いて行った。
【0076】
飲料容器をオートサーバーの支持台に置き、レバーを手前に引いて飲料容器にビール液Lを注出した。飲料容器の傾斜角度は、飲料容器の直立状態に対して40°とし、ビール液Lの注出時間は7秒とした。そして、泡抑制面Mを有するカラン本体12及びスライド弁20を備えたカランを実施例、泡抑制面Mを有しないカラン本体及びスライド弁を備えたカランを比較例、として上記の注出を行った。
【0077】
実施例のカランの結果を
図7(a)に示しており、比較例のカランの結果を
図7(b)に示している。
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、実施例のカランは、比較例のカランと比較して明らかに初期泡が少ないことが分かる。このように、流路の壁面に泡抑制面Mを備えたカランでは、初期泡を確実に抑制できることが分かった。