(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968571
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】モータ及びその回転組立体
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20060101AFI20211108BHJP
H02K 21/20 20060101ALI20211108BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20211108BHJP
【FI】
H02K1/27 501C
H02K21/20 M
H02K1/27 501G
H02K11/30
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-94409(P2017-94409)
(22)【出願日】2017年5月11日
(65)【公開番号】特開2017-225332(P2017-225332A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2020年5月7日
(31)【優先権主張番号】201610313474.0
(32)【優先日】2016年5月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ワン メイ ホァ
(72)【発明者】
【氏名】ジン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ジエ チュウ
【審査官】
池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−015571(JP,A)
【文献】
実開平05−050956(JP,U)
【文献】
特開2004−064834(JP,A)
【文献】
特開2014−096957(JP,A)
【文献】
特開2014−099983(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0050027(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103441591(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 21/20
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転組立体であって、前記回転組立体は、
回転軸と、
2つの端部を有し、前記回転軸と一緒に回転する保持器と、
前記保持器によって保持されたロータ磁石と、
を備え、
前記ロータ磁石は、第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記保持器は、1つの端部から他方の端部へ延びる第1の側面を有し、前記ロータ磁石は、前記保持器の前記第1の側面に対面する第2の側面を有し、前記第2の側面は、前記ロータ磁石の前記第1の端部から前記第2の端部へ延び、前記第1の側面及び第2の側面の一方は円錐面であり、前記第1の側面及び第2の側面の他方は円筒面であり、前記第2の側面の第1の部分は前記第1の側面の第1の部分に締まりばめで係合し、前記第2の側面の第2の部分と前記第1の側面の第2の部分の間には隙間が定まる、
ことを特徴とする回転組立体。
【請求項2】
前記第1の側面は前記保持器の内側面であり、前記第2の側面は前記ロータ磁石の外側面であり、前記ロータ磁石の外径は、前記第1の端部から第2の端部に向かって次第に増加する、請求項1に記載の回転組立体。
【請求項3】
前記第1の側面は前記保持器の外側面であり、前記第2の側面は前記ロータ磁石の内側面である、請求項1に記載の回転組立体。
【請求項4】
前記ロータ磁石のうち、前記第2の側面の向かい側の反対面は円筒面である、請求項1〜3の何れか1つに記載の回転組立体。
【請求項5】
前記ロータ磁石と前記保持器との間の隙間は、接着剤で満たされる、請求項1〜4の何れか1つに記載の回転組立体。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1つに記載の回転組立体と、前記回転組立体を支持する静止組立体とを備える、ことを特徴とするモータ。
【請求項7】
前記静止組立体は、
ステータコアと、
前記ステータコアの周りに巻き付けた複数のコイルと、
前記コイルに電気的に接続された回路基板と、
前記ステータコア及び前記回路基板を支持する支持部品とを備え、
前記支持部品はダイカスト部品である、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記支持部品と前記回路基板との間に絶縁座金が配置され、前記モータは、二群のケーブルをさらに備え、前記回路基板内に二群の接続ポートが定まり、前記二群のケーブルは前記支持部品を通って延び、それぞれ対応する前記接続ポートに接続される、請求項7に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、モータ、及びモータの回転組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] モータは、通常、電子装置、通信装置(例えばアンテナ)又は他の装置(例えば自動車)で使用され、対象物を駆動して回転させ又は移動させる。モータは、通常、保持器に係合するロータ磁石を含む。ロータ磁石及び保持器の嵌合い面は同じであり、ロータ磁石を組み立てしかも許容差を制御するのは難しい。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 従って、都合良く組み立てられ、安定したロータ磁石を有するモータ組立体、及びモータの回転組立体に対する要望がある。
【0004】
[0004] モータは、回転組立体と、回転組立体を支持する静止組立体とを含む。回転組立体は、中心軸線に沿って延びる回転軸と、回転軸と一緒に回転する保持器と、保持器によって保持されたロータ磁石とを備える。ロータ磁石の部分は、保持器の部分に締まりばめで係合し、ロータ磁石の別の部分と保持器の別の部分との間に隙間が定まる。
【0005】
[0005] ロータ磁石は、保持器の内側面に取り付け、ロータ磁石は、第1の端部と、第1の端部の向かい側の第2の端部と備え、第1の端部の外径は、第2の端部の外径よりも小さいことが好ましい。
【0006】
[0006] 保持器は第1の側面を備え、ロータ磁石は、保持器の第1の側面に対面する第2の側面を備え、第1の側面及び第2の側面の一方の少なくとも部分は円錐面であることが好ましい。
【0007】
[0007] ロータ磁石のうち、第2の側面の向かい側の反対面は円筒面であることが好ましい。
【0008】
[0008] ロータ磁石と保持器との間の間隙は、接着剤で満たすことが好ましい。
【0009】
[0009] 静止組立体は、ステータコアと、ステータコアの周りに巻き付けた複数のコイルと、コイルに電気的に接続された回路基板と、ステータコア及び回路基板を支持する支持部品とを備えることが好ましい。支持部品はダイカスト部品である。
【0010】
[0010] 支持部品と回路基板との間に絶縁座金を配置することが好ましい。
【0011】
[0011] モータは、二群のケーブルをさらに備え、回路基板内に二群の接続ポートが定まり、二群のケーブルは支持部品を通って延び、それぞれ、対応する接続ポートに接続されることが好ましい。
【0012】
[0012] モータの回転組立体は、モータの中心軸線に沿って延びる回転軸と、回転軸と一緒に回転する保持器と、保持器によって保持されたロータ磁石とを含む。保持器は第1の側面を備え、ロータ磁石は第2の側面を備え、第2の側面の部分は、第1の側面に締まりばめで係合し、第2の側面及び第1の側面の別の部分間に間隙が定まる。
【0013】
[0013] 第1の外側面及び第2の外側面の一方は円筒形であり、第1の外側面及び第2の外側面の他方の少なくとも部分は円錐形であることが好ましい。
【0014】
[0014] 第1の側面は保持器の内側面であり、第2の側面はロータ磁石の外側面であることが好ましい。
【0015】
[0015] 第1の側面は保持器の外側面であり、第2の側面はロータ磁石の内側面であることが好ましい。
【0016】
[0016] ロータ磁石と保持器との間の隙間は、接着剤で満たすことが好ましい。
【0017】
[0017] モータは、回転組立体と、回転組立体を支持する静止組立体とを含む。回転組立体は、モータの中心軸線に沿って延びる回転軸と、回転軸と一緒に回転する保持器と、保持器によって保持されたロータ磁石とを含む。保持器は第1の側面を含む。ロータ磁石は、第1の側面に係合する第2の側面を含む。第1の側面及び第2の側面の一方は、円筒形であり、第1の側面及び第2の側面の他方の少なくとも部分は円錐形である。
【0018】
[0018] ロータ磁石と保持器の間に隙間が定まり、隙間は接着剤で満すことが好ましい。
【0019】
[0019] 上記モータでは、ロータ磁石の異なる部分は、異なる手段によって保持器と接続され、これによりロータ磁石と保持器との組立てが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の1つの実施形態によるモータの斜視図である。
【
図3】
図1に示したモータの、別の角度から見た斜視分解図である。
【
図4】
図1に示したモータの線IV−IVに沿って取り出した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0025] 本発明の実施形態の技術的解決策が、次に、添付図面を参照して明確かつ完全に説明される。以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、ほんの一部であることは明らかである。本発明の実施形態に基づき、当業者によって創造的作業なしに得られる他のあらゆる実施形態は、本発明の範囲内に属する。
【0022】
[0026] 構成部品が別の構成部品に「接続された」と説明するとき、構成部品は、別の構成部品に直接接続することができ、又は中間の構成部品があっても良い。
【0023】
[0027] 別段の定めがない限り、全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって理解される通常の意味を有する。この開示で用いる用語は、限定よりもむしろ例示である。この開示で用いる「及び/又は」という用語は、列挙された1つ以上の関連する品目の各々の及び全ての組合せが含まれることを意味する。
【0024】
[0028]
図1を参照して、本発明の1つの実施形態に従うモータ100は、外部装置(図示しない)を駆動して回転させるため、又は伝達機構(図示しない)を通って外部装置を駆動して回転させるために使用される。具体的には、外部装置は、電力を受けて作動する装置(例えば通信装置又は電子装置)、或いは電力なしで作動する装置(例えば車両窓)とすることができる。この実施形態では、モータ100はアンテナで使用される。
【0025】
[0029]
図2及び
図3を参照して、モータ100は、その中心軸線の回りを回転する回転組立体10と、回転組立体10を回転のために支持する静止組立体30と、回転組立体10の少なくとも部分及び静止組立体30の少なくとも部分を収容するモータハウジング50とを含む。回転組立体10、静止組立体30及びモータハウジング50の主回転軸線は、互いに一致する。
【0026】
[0030] 回転組立体10は、モータ100の中心軸線に沿って延びる回転軸11と、回転軸11と一緒に回転する保持器13と、保持器13を支持する支持部材15と、保持器13内に保持されたロータ磁石17とを含む。
【0027】
[0031] 回転軸11は、実質的にロッド形状であり、モータハウジング50を通って延びる一端を有し、それによってモータハウジング50の外側まで延びている。保持器13は、実質的に中空な円筒形であり、回転軸11の周りに、これらの間に形成された隙間を保って配置される。支持部材15は、回転軸11に及び保持器13の一端に固定され、保持器13は、支持部材15によって回転軸11と一緒に回転できるようになっている。他の実施形態では、支持部材15は省略することができ、保持器13は、回転軸11に直接接続される。この実施形態では、支持部材15及び保持器13は、リベット留めによって一緒に固定される。他の実施形態では、支持部材15及び保持器13はまた、溶接のような他の様式によって固定することができる。
【0028】
[0032]
図4も参照して、支持部材15は、管状本体151と、本体151の外周面から半径方向に突出する第1のフランジ153及び第2のフランジ155とを含む。第1のフランジ153及び第2のフランジ155は、接続されて段付き構成を形成する。第2のフランジ155の突出半径は、第1のフランジ153の突出半径よりも大きい。第1のフランジ153及び第2のフランジ155の各々の端面に、環状溝157が定まる。本体151は、回転軸11の周りに取り付け、保持器13の一端は、第1のフランジ153の外周面の周りに取り付け、保持器13の端部の内側面は、第1のフランジ153に隣接する第2のフランジ155の端面(すなわち、第2のフランジ155のうち、環状溝157が定まる端面)に支持される。
【0029】
[0033]
図4及び
図5を参照すると、ロータ磁石17は、保持器13内に配置され、保持器13によって支持される。ロータ磁石17は、保持器13に隣接し、回転軸11の周りに配置される。ロータ磁石17及びロータ軸11の主回転軸線は、互いに一致する。
【0030】
[0034] ロータ磁石17は、実質的に中空な円錐形であり、外側面が円錐面である。ロータ磁石17は、支持部材15に隣接する第1の端部171と、第1の端部171の反対側の第2の端部172とを含む。第1の端部171の外径は、第2の端部172の外径よりも小さい。第1の端部171の外径は、13.27mmから13.35mmであり、第2の端部172の外径は、13.40mmから13.48mmである。他の実施形態では、第1の端部171及び第2の端部172の外径は、必要性に応じて変えることができる。この実施形態では、ロータ磁石17の外径は、第1の端部171から第2の端部172に向かって次第に増加する。他の実施形態では、ロータ磁石17の外径は、次第に増加する必要はなく、それよりも、それは、例えば断続的に増加することができる。他の実施形態では、第1の端部171及び/又は第2の端部172の外径は、上記の範囲に限定されない。
【0031】
[0035] ロータ磁石17は、一体に形成された第1の部分174及び第2の部分175を含む。第1の部分174は第1の端部171に隣接し、第2の部分175は第2の端部172に隣接する。ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間に隙間が定まり、ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間に締まりばめが形成される。すなわち、保持器13の内径は、ロータ磁石17の第1の部分174の外径よりも大きく、ロータ磁石17の第2の部分175の外径よりも小さい。
【0032】
[0036] ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間の隙間に接着剤(図示しない)を満たし、それによってロータ磁石17を保持器13に固定する。ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間の締まりばめにより、ロータ磁石17と保持器13との間の固定の強度が高まる。この実施形態では、ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間の隙間の幅は、0.005mmから0.065mmであり、すなわち、ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間の距離は、0.005mmから0.065mmである。他の実施形態では、ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間の隙間の幅は、必要性に応じて変えることができる。ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間の締まりばめの幅は、0mmから0.06mmであり、すなわち、ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間の締まりばめの量は、0mmから0.06mmである。他の実施形態では、ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間の締まりばめの幅は、必要性に応じて変えることができる。容易に分かるように、ロータ磁石17の外側面が円錐面であるので、ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間の隙間の幅は一定ではなく、ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間の締まりばめの程度も一定ではない。他の実施形態では、ロータ磁石17の第1の部分174と保持器13との間の隙間は、接着剤で満たさなくても良く、ロータ磁石17は、ロータ磁石17の第2の部分175と保持器13との間の締まりばめを介して保持器13に固定することができる。
【0033】
[0037] ロータ磁石17の第1の部分174と第2の部分175との組み合わせは、全体のロータ磁石17と等しいことに限定されず、むしろそれは、ロータ磁石17の全部又は部分でも良いことを理解されたい。例えば、第1の部分174と第2の部分175との間に、又は第1の部分174及び/又は第2の部分175の一側面に第3の部分が存在することができ、第3の部分の外径は保持器13の内径と等しくすることができる。この場合、ロータ磁石17の構造の部分は円錐形であり、ロータ磁石17の外側面の部分は円錐面である。ロータ磁石17の内側面は中空な円筒形状であり、ロータ磁石17全体の内径は均一であり、すなわちロータ磁石17の第1の部分174の内径は、第2の部分175の内径と等しく、第1の端部171の内径は第2の端部172の内径と等しく、それによって磁石が安定した磁気回路を生成することを保証する。ロータ磁石17が第3の部分をさらに含む他の実施形態では、第3の部分の内径は、第1の部分174及び第2の部分175の内径と等しい。
【0034】
[0038] 静止組立体30は、支持部品31、ステータコア33、複数のコイル35、2つの転がり軸受37、及びコイル35と電気的に接続された回路基板39を含む。支持部品31は、ステータコア33及び回路基板39を支持するために使用される。コイル35は、それぞれステータコア33に巻き付ける。2つの転がり軸受37は、両方とも、回転軸11の周りに取り付ける。2つの転がり軸受37の一方は、回転軸11とモータハウジング50との間に配置され、他方は、回転軸11と支持部品31との間に配置され、回転軸11を回転のために支持する。コイル35が通電されると、ステータコア33は磁界を発生し、従ってステータコア33とロータ磁石17との間に回転トルクが発生する。
【0035】
[0039] 支持部品31は、回路基板支持部分311と、ステータ支持部分313とを含む。支持部品31の中心軸線に沿い支持部品31を通って貫通穴317が定まる。貫通穴317は、回路基板支持部分311及びステータ支持部分313を通って延び、回転軸11がそれらを通って延びることを可能にする。回路基板支持部分311を通って延びる貫通穴317の部分の穴径は、ステータ支持部分313を通って延びる貫通穴317の部分の穴径よりも大きい。
【0036】
[0040] 回路基板支持部分311は実質的に円筒形であり、第1の端壁3111と、第1の端壁311の反対側の第2の端壁3112と、第1の端壁3111を第2の端壁3112に接続する外周壁3113とを含む。第1の端壁3111は、第2の端壁3112よりもステータ支持部分313に接近している。第1の端壁3111は、回路基板39を支持するために使用される。
【0037】
[0041] 回路基板支持部分311に、2つの収容溝3115及び4つの取付溝3116が定まる。2つの収容溝3115は、各々、隣接する2つの取付溝3116間に配置される。各収容溝3115は、第1の端壁3111、第2の端壁3112及び外周壁3113を通って延びる。各取付溝3116は、支持部品31を他の構成部品と組み立て、例えば、支持部品31を保護ケーシングと組み立てるために、第2の端壁3112及び外周壁3113を通って延びる。この実施形態では、支持部品31の回路基板支持部分311は、モータのエンドキャップとして使用される。
【0038】
[0042] この実施形態では、静止組立体30は、実質的に円形の閉鎖キャップ315をさらに含む。閉鎖キャップ315は、貫通穴317に収容され、回路基板支持部分311の第2の端壁3112と同一平面にあって貫通穴317を閉鎖する。
【0039】
[0043] ステータ支持部分313は、回路基板支持部分311と接続される。ステータ支持部分313は、実質的にロッド形状であり、回路基板支持部分311から離れる方向で直径が減少する。ステータ支持部分313の側面の壁から、ステータコア33との接続を強化するために、リブ3130が突出している。この実施形態では、回路基板支持部分311とステータ支持部分313とは、一体に形成される。他の実施形態では、回路基板支持部分311とステータ支持部分313とは、個別の構成部品を組み立てることによって形成できる。この実施形態では、支持部品31はダイカスト加工によって形成され、すなわち支持部品31はダイカスト部品である。他の実施形態では、支持部品31は他の様式で形成することができる。この実施形態では、回路基板支持部分311及びステータ支持部分313は、金属素材で作成する。
【0040】
[0044] ステータコア33は、ステータ支持部分313の周りに固定して取り付け、ロータ磁石17によって取り囲む。この実施形態では、コイル35の数は、限定されないが6本であり、コイル35はステータコア33に巻き付ける。
【0041】
[0045] 2つの転がり軸受37の一方は、回転軸11と回路基板支持部分311との間で貫通穴317に収容される。2つの転がり軸受37の他方は、回転軸11とモータハウジング50との間に配置される。2つの転がり軸受37は、それぞれ回転軸11の隣接した2つの端部にある。
【0042】
[0046] 回路基板39は、回路基板支持部分311の第1の端壁3111に固定される。回路基板39と第1の端壁3111との間に、絶縁座金391が配置される。絶縁座金391は、プラスチックのような絶縁材で作成する。
【0043】
[0047] 回路基板39に複数の電子部品39を配置する。電子部品394は、一種類の構成部品を指すだけでなく、駆動回路内で使用される構成部品に対する一般的な用語である。例えば、電子部品394は、電力制御IC、DC−DCコンバータ、ホール構成部品又はその他同種のものを含む。電子部品394は、複数のMOS型トランジスタをさらに含むことができる。複数のMOS型トランジスタは、チップに集積し、又は回路基板39に別々に配置することができる。回路基板39に、二群の離間した接続ポート396が定まる。一方の群の接続ポート396は、並んで配列された5つの接続ポート396を含む。他方の群の接続ポート396は、並んで配列された3つの接続ポート396を含む。この実施形態では、二群の接続ポート396は同じ直線上に位置しない。
【0044】
[0048] この実施形態では、モータ100は、複数本のケーブル80と、2つ電線経路設定ブロック90とをさらに含む。2つの電線経路設定ブロック90は、2つの収容溝3115にそれぞれ設置される。各配線経路設定ブロック90に電線経路設定溝91が定まる。電線経路設定ブロック90内の一方の電線経路設定溝91は、5本のケーブル80が通過することを許す幅を有し、電線経路設定ブロック90内の他方の電線経路設定溝91は、3本のケーブル80が通過することを許す幅を有する。各電線経路設定溝91は、ケーブルの外側形状と一致する輪郭を有する。複数のケーブル80は、それらの端部で二群に分割される。第1のケーブル群81は3本のケーブルを含み、第2のケーブル群82は5本のケーブルを含む。二群のケーブル80は、それぞれ、電線経路設定ブロック90の対応する電線経路設定溝91を通って延び、回路基板39内の対応する接続ポート396に接続される。二群の接続ポート396に対応して、回路基板39へのケーブル80の接続を容易にするために、絶縁座金391に回避切欠き392が定まる。ケーブル80を対応する接続ポート396に接続した後、ケーブル80の遠位端は接着剤で密封される。ケーブルは、限定されないが、検査用ケーブルにすることができる。他の実施形態では、第1のケーブル群81及び第2のケーブル群82の何れかのケーブルの量は、上記数に限定する必要はない。第1のケーブル群81及び/又は第2のケーブル群82のケーブルの量は、1本以上にすることができる。従って、各群中の接続ポート396の量及び電線経路設定溝91の幅は、相応して調整することができる。
【0045】
[0049] モータハウジング50は、実質的に中空な管形状であり、中空な管形状は、回転組立体10及び静止組立体30を収容し、回転軸11が延び出ることを許す。モータハウジング50は、周囲壁51と、周囲壁51の端部に配置された端壁53と、端壁53の真ん中から中心軸線方向に沿って延びる延長壁55とを含む。周囲壁51は、実質的に円形管形状であり、保持器13、ロータ磁石17、ステータコア33、コイル35、回転軸11の中間区分、回路基板39、支持部材15及び支持部品31を収容するために内側空間を有する。周囲壁51のうち端壁53から遠い端部は、回路基板支持部分311の周りに取り付ける。
【0046】
[0050] 端壁53は、周囲壁51のうち回路基板39から遠い端部を覆う。端壁53の中心に貫通穴530が定まり、回転軸11が通って延びることを許す。延長壁55は、貫通穴530の境界を決める端壁53の内側縁から延びている。回転軸11は、延長壁55の中心を通って延びている。2つの転がり軸受37の一方は、回転軸11を支持するために、回転軸11と延長壁55との間で回転軸11の周りに取り付ける。
【0047】
[0051] 本発明のモータ100を組み立てる1つの方法が以下に説明される。組立てプロセスは、次の組立て工程又は組立て方向に限定されないことを理解されたい。
【0048】
[0052] 回路基板39は、回路基板支持部分311上に設置し、コイル35はステータコア33に巻き付ける。ステータコア33は、次いでステータ支持部分313に固定される。支持部材15を回転軸11の周りに取り付ける。ロータ磁石17は保持器13に固定され、次いで、支持部材15はリベット留めによって保持器13に固定される。回転軸11の両端が、保持器13の外に露出している。一方の転がり軸受37は、支持部品31のうちステータ支持部分313から遠い端部から貫通穴317に設置される。閉鎖キャップ315は、貫通穴317のうちステータ支持部分313から遠い端部を閉じるために設置される。回転軸11の一端は、支持部品31のうち回路基板支持部分311から遠い端部から、貫通穴317と、貫通穴317に設置された転がり軸受37とに挿入される。他の転がり軸受37は、支持部材15に隣接する回転軸11の周りに取り付ける。モータハウジング50は、他の転がり軸受37が延長壁55に係合した状態で、回転組立体10及び静止組立体30の外側面の周りに取り付ける。
【0049】
[0053] 上記組立てプロセスでは、保持器13にロータ磁石17を固定する様式は、限定されないが、次の様式、即ちロータ磁石17の第1の部分174上に接着剤をコーティングする工程と、次いで、ロータ磁石17の第2の端部175も保持器13に締まりばめで収容されるまで、保持器13の開放端からロータ磁石17を保持器13に挿入する工程と、にすることができる。保持器13にロータ磁石17を組み立てるプロセス中に、接着剤はロータ磁石17に前もってコーティングする必要はなく、むしろ注入構造を設けて、ロータ磁石17が保持器13に締まりばめで収容された後、回転磁石17の第1の部分174と保持器13との間に接着剤を注入できることを理解されたい。
【0050】
[0054] 別の実施形態では、ロータ磁石の内側面及び外側面の両方が円筒面を有し、保持器の内側面の少なくとも部分は円錐面を有するように構成できることを理解されたい。すなわち、保持器は、第1の部分及び第2の部分を含むことができる。保持器の第1の部分及び第2の部分の一方は、回転磁石に締まりばめで係合し、回転磁石と、保持器の第1の部分及び第2の部分の他方とは、それらの間に、接着剤で満たすことができる隙間を定める。
【0051】
[0055] 他の実施形態では、モータは、上記外側ロータ式モータに限定されないことを理解されたい。例えば、モータは、内側ロータ式モータにすることができる。この場合、保持器は、ロータ磁石を保持するために、ロータ磁石の内部に配置することができる。そのような場合、保持器の外側面及びロータ磁石の内側面の一方は、円錐面にすることができ、保持器の外側面及びロータ磁石の内側の他方は、円筒形状にすることができる。保持器とロータ磁石との間の隙間を接着剤で満たして、保持器とロータ磁石とが締まりばめ及び接着剤によって一緒に固定されるようにできる。ロータ磁石の外側面は、安定した磁気回路を発生するために、円筒面にすることができる。
【0052】
[0056] 他の実施形態では、回転磁石の内側面又は外側面の少なくとも部分が円錐面であるとき、保持器の対応する他の外側面又は内側面は、円筒面である必要はなく、むしろそれは、例えばテーパ角が異なる円錐面とすることができ、それにより同様に回転磁石の1つの部分が保持器の1つの部分に締まりばめで係合し、回転磁石の別の部分と保持器の別の部分との間に隙間が定まることを理解されたい。
【0053】
[0057] 他の実施形態では、保持器の内側面又は外側面の少なくとも部分が円錐面であるとき、磁気回路にあまり影響しないとの前提で、ロータ磁石の外側面又は内側面は、円筒形にする必要はなく、むしろそれは、例えばテーパ角が異なる円錐面とすることができ、それにより同様に回転磁石の1つの部分が保持器の1つの部分に締まりばめで係合し、回転磁石の別の部分と保持器の別の部分との間に隙間が定まることを理解されたい。
【0054】
[0058] モータ100では、ロータ磁石17の異なる部分は、それぞれ、接着剤及び締まりばめで保持器13に接続され、それらの間の締まりばめは、ロータ磁石の不釣合いを有効に防ぐことができ、接着剤を用いる接続により、ロータ磁石17と保持器13との間の接続堅さがさらに増大する。さらに、ロータ磁石17は円錐形であり、それによりロータ磁石17と保持器13との組立てが容易になる。ダイカスト支持部品31の使用により、動作中に、モータ100の振動を低減することができる。
【0055】
[0059] 上記実施形態は、単に本発明の技術的解決策を例示し、本発明を限定することを意図しない。本発明は上記好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者によって本発明の精神及び範囲から逸脱しない様々な修正及び変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
10 回転組立体
11 回転軸
13 保持器
15 支持部材
30 静止組立体
33 ステータコア
35 コイル
37 転がり軸受
50 モータハウジング
100 モータ
151 管状本体
153 第1のフランジ
155 第2のフランジ
157 環状溝
171 第1の端部
172 第2の端部
174 第1の部分
175 第2の部分
311 回路基板支持部分
313 ステータ支持部分
315 閉鎖キャップ