(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圃場の牧草を取り入れる取入部と、前記取入部に取り入れた牧草を成形する成形部と、前記成形部で成形した牧草である成形材を圃場に排出する排出部とを備えた成形機であって、
前記成形材の排出を禁止する禁止位置を取得する禁止位置取得部と、
前記禁止位置取得部で取得した前記禁止位置を記憶する記憶部と、
手動の操作によって前記成形材の排出を指令する排出操作部と、
前記排出操作部によって前記排出の指令が行われた場合に前記成形材の排出位置を設定し、且つ、前記設定された排出位置と前記記憶部に記憶された禁止位置とを比較し、前記排出位置が前記禁止位置に一致していない場合に前記排出部による成形材の排出を許可し且つ、前記排出位置が前記禁止位置に一致している場合に前記排出部による成形材の排出を許可しない制御部と、
を備えている成形機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、牧草管理システムの全体図を示している。牧草管理システムは、圃場の牧草を成形して排出可能な成形機10Aに関し、当該成形機10Aによって成形した成形材の排
出に関する設定をすることが可能なシステムである。
【0014】
まず、成形機10Aについて説明する。
成形機10Aは、圃場の牧草を収集して、収集した作物をロール状や矩形状(キューブ状)の所定形状に成形する機械である。成形機10Aは、例えば、牧草をロール状に成形するロールベーラ、ホールクロップ、矩形状に成形するヘイベーラ等である。
図2に示すように、成形機10Aは、走行車両20と、成形装置30Aとを備えている。走行車両20は、トラクタである。走行車両20は、車体21と、原動機22と、変速装置23とを備えている。車体21には、走行装置24が設けられている。走行装置24は、前輪及び後輪を有する装置である。走行装置24は、クローラ型の装置であってもよい。原動機22は、ディーゼルエンジン、電動モータ等であって、この実施形態ではディーゼルエンジンで構成されている。変速装置23は、走行装置24の推進力を切換可能であると共に、走行装置24の前進、後進の切換が可能である。また、車体21の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部25が設けられている。連結部25には、成形装置30Aが着脱可能である。成形装置30Aを連結部25に連結することによって、車体21によって成形装置30Aを牽引することができる。また、走行車両20は、原動機22等の動力によって駆動するPTO軸を有し、PTO軸の動力を作業装置に伝達可能である。また、走行車両20は、運転席を内部に備えたキャビン26を備えている。
【0015】
図1に示すように、走行車両20は、USBメモリ、SDカード等の電子記憶媒体である外部機器28が接続される入出力装置29を備えている。入出力装置29は、制御装置40等に接続されていて、走行車両20等の情報(データ)を外部機器28に書き込んだり、外部機器28の情報を取得することが可能である。
図2に示すように、成形装置30Aは、移動(走行)可能な車体27と、車体27に支持され且つ牧草を取り入れる取入部35を備えている。取入部35は、刈り取られた圃場上の牧草を前方(走行車両20側)から取り入れる装置であって、例えば、前方が開放状であるケーシング35aを有している。また、取入部35は、ケーシング35a等に支持された回転軸35bと、回転軸35bに固定された案内具35cを有している。したがって、回転軸35bを回転することによって、圃場上の牧草を案内具35cによりケーシング35a内へ取り入れることができる。なお、
図2の取入部35は一例であり、上述した取入部35に限定されない。
【0016】
成形装置30Aは、収容部36と、排出部37とを備えている。収容部36は、取入部35により取り入れられた牧草を収容するケースである。排出部37は、牧草を圃場に排出する部位である。収容部36は、車体27に固定された第1ケース体36aと、第1ケース体36aに対して上下に揺動自在な第2ケース体36bとを有している。第1ケース体36aと取入部35とは連通していて、第1ケース体36aには、取入部35に取り入れられた牧草が入る。第1ケース体36aに対して第2ケース体36bを近接させている状態(下方に揺動した状態)では、牧草を収容した状態(収容状態)となる。また、第1ケース体36aに対して第2ケース体36bを離間させている状態(上方に揺動した状態)では、牧草を排出した状態となる。即ち、排出部37は、第1ケース体36aに対して第2ケース体36bを上方に揺動した時に、第1ケース体36aと、第2ケース体36bとの間に形成される。したがって、収容部36によって牧草を収容することができ、排出部37によって牧草を排出することができる。なお、
図2の収容部36及び排出部37は一例であり、上述した収容部36及び排出部37に限定されない。なお、説明の便宜上、第1ケース体36aに対して第2ケース体36bを下方に揺動した状態のことを閉鎖状態(ゲート閉鎖状態)といい、第1ケース体36aに対して第2ケース体36bを上方に揺動した状態のことを開放状態(ゲート開放状態)ということがある。
【0017】
成形装置30Aは、成形部38を備えている。成形部38は、取入部35に取り入れた牧草を成形する。即ち、成形部38は、第1ケース体36a及び第2ケース体36bに設けられ、収容した牧草を成形する。成形部38は、例えば、複数の回転ローラによってロール状の成形材K1を成形する装置である。成形部38は、牧草をチェーンによってロール状に成形するチェーン式の装置であっても、ベルトによってロール形状にするベルト式
の装置であっても、その他の方式の装置であってもよい。したがって、成形部38は、収容部36に取り込まれた牧草を所定の形状に成形することができる。
【0018】
図1及び
図2に示すように、成形機10Aは、位置検出部90(位置検出部90A)を備えている。位置検出部90Aは、走行車両20のキャビン26の天板に装着されている。なお、位置検出部90Aは、キャビン26の天板に装着されているが、走行車両20における装着場所は限定されず、別の場所であってもよい。また、位置検出部90Aは、成形装置30Aに装着されていてもよい。
【0019】
位置検出部90Aは、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する位置検出装置である。即ち、位置検出部90Aは、測位衛星から送信された信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出する。したがって、成形機10に位置検出部90Aを設けているため、牧草に関する作業時(走行時)の位置(成形作業時の機械位置)を検出することができる。
【0020】
図1に示すように、成形機10Aは、制御装置(制御部)40を備えている。制御装置40は、走行車両20に設けられている。制御装置40は、運転席の周りに設置された操作具(レバー、スイッチ、ボリューム等)を操作したときの操作信号、走行車両20に搭載された様々なセンサ(検出装置)の検出信号等に基づいて走行車両20の制御を行う。
具体的には、制御装置40には、クランク位置を検出するセンサ41a、カム位置を検出するセンサ41b、原動機22の回転数(エンジン回転数)を検出するセンサ41cが接続されている。制御装置41は、センサ41a〜41c等で検出されたクランク位置、カム位置、エンジン回転数等の信号に基づいて求めた制御信号を、インジェクタ、コモンレール、サプライポンプ等に出力することで、原動機(エンジン)22を制御する。なお、インジェクタの制御では燃料噴射量、噴射時期、燃料噴射率が示された制御信号を当該インジェクタに出力する。また、サプライポンプやコモンレールの制御では燃料噴射圧等が示された信号を、当該サプライポンプやコモンレールに出力する。なお、制御装置40による原動(エンジン)22の制御は一例であり、限定されない。
【0021】
また、制御装置40には、例えば、操作具として連結部25を昇降する昇降レバー42と、連結部を作動させる油圧シリンダを伸縮させる電磁制御弁(図示省略)とが接続されている。制御装置40は、昇降レバー42が操作されると、電磁制御弁に制御信号を出力して当該電磁制御弁の開度を設定し、油圧シリンダを伸縮させることで連結部を昇降させる。
【0022】
また、成形機10Aは、表示装置48を備えている。表示装置48は、走行車両20に設けられている。表示装置48は、運転席の近傍に設けられている。表示装置48は制御装置40に接続され、当該制御装置40と信号(データ)のやり取りが可能である。表示装置48は、タッチパネル、スイッチ等の入力インターフェースが設けられ、成形機10Aに関する様々な情報を画面M2に表示する。例えば、
図3Aに示すように、表示装置48は、走行車両20の状態を示すアイコン48aを画面M2に表示したり、走行車両20又は成形装置30Aの設定を行う設定部48bを画面M2に表示する。なお、表示装置48が表示する情報は上述した例に限定されない。
【0023】
牧草管理システムは、成形材K1の排出を禁止する禁止位置を設定する禁止設定部50Aを備えている。禁止設定部50Aは、支援装置55に設けられている。支援装置55は、例えば、牧草の管理をする管理者が所有するパーソナルコンピュータ等である。なお、支援装置55は、スマートフォン、タブレット、PDA等の携帯端末等であってもよいし、サーバ等であってもよい。
【0024】
支援装置55は、CPU等から構成された演算部55aと、表示部55bと、不揮発性のメモリ等から構成された記憶部55cを有している。また、支援装置55は、外部機器28を接続可能な接続部を有している。表示部55bは、様々な表示を行う装置で液晶パネル等から構成されている。禁止設定部50Aは、支援装置55に設けられた電気・電子部品、当該演算部55a(支援装置55)等に組み込まれたプログラム等から構成されている。
【0025】
図4Aに示すように、支援装置55を管理者等が操作すると、禁止設定部50Aは、当該支援装置55の表示部55bに設定画面M1を表示させる。設定画面M1は、圃場を設定する設定部101と、圃場を示すフィールド102を表示する圃場表示部103とを有している。設定部101では、管理者等が予め支援装置55に登録した圃場に対応する圃場名、圃場を示す圃場コード等の識別情報を選択可能である。圃場表示部103には、設定部101で選択された識別情報(圃場名、圃場コード)に対応するフィールド102が表示される。
【0026】
フィールド102には、圃場の位置(緯度、経度)が対応付けられている。例えば、支援装置55の記憶部55cには、予め圃場の位置を示す位置情報が記憶されており、禁止設定部50Aは、圃場表示部103にフィールド102を表示する際に記憶部55cを参照して、設定部101に示された識別情報に対応する位置と、フィールド102とを対応させる。或いは、禁止設定部50Aは、圃場表示部103にフィールド102を表示後、フィールド102の任意の点(基準位置)に対する緯度、経度の情報を入力するように管理者等に要求し、管理者が入力インタフェース(マウス、キーボード等)を用いて入力した基準位置に対する位置(緯度、経度)に基づき、フィールド102上の全ての点に緯度、経度を割り当てる。
【0027】
フィールド102には、成形材K1の排出を禁止する禁止位置が設定可能である。例えば、禁止設定部50Aは、管理者が支援装置55の入力インタフェースを用いて、フィールド102上の所定範囲A1を選択後、設定画面M1に表示された登録ボタン104を選択すると、フィールと102上における所定範囲A1を成形材K1の排出を禁止する禁止エリアに設定する。例えば、
図4Aに示すように、フィールド102上において、位置P1と位置P2とを選択した場合、禁止設定部50Aは、位置P1と位置P2とを結ぶ対角線を囲む禁止エリアA1に含まれる全ての位置を、禁止位置に設定する。設定画面M1では、
図4Bに示すように、入力インターフェースを用いて、フィールド102に対して複数の禁止エリアA1、A2を選択することにより、当該複数の禁止エリアA1、A2の全ての位置を禁止位置として設定することができる。
【0028】
なお、フィールド102上を選択することによる禁止位置の設定方法は、上述した例に限定されない。また、圃場表示部103は、フィールド102に圃場を示す画像を示してもよいし、圃場の地図を示してもよいし、その他の圃場に関する情報を重ねて表示してもよい。
図5は、禁止設定部50Aによって設定した禁止位置と、圃場の位置(フィールド102の位置)と、禁止エリアA1との一例を示している。設定画面M1(禁止設定部50A)によって設定した禁止位置(
図5に示した禁止位置)は、禁止情報として記憶部55cに記憶される。なお、禁止位置と、圃場を識別する識別情報(圃場名、圃場コード等)とを禁止情報として記憶部55cに記憶してもよい。禁止位置の設定後、USB等の外部機器28を支援装置55に接続することにより、記憶部55cに記憶した禁止位置情報は、外部機器28に転送することができる。
【0029】
したがって、圃場表示部103に圃場を示すフィールド102を表示してフィールド102の禁止エリアを選択することにより、オペレータ等が任意に禁止位置を設定することができる。
さて、成形機10Aは、禁止位置取得部を備えている。禁止位置取得部は、成形材K1の排出を禁止する禁止位置を取得する装置である。この実施形態では、禁止位置取得部は、外部機器28が接続可能な入出力装置29である。禁止情報を記憶した外部機器28を、入出力装置29に接続すると、当該入出力装置29は、外部機器28に記憶された禁止位置を含む禁止情報を取得する。取得した禁止情報は、制御装置40に設けられた記憶部40aに記憶される。
【0030】
制御装置(制御部)40は、排出部37から成形材K1を排出する排出位置(排出予定位置)と、禁止位置取得部(入出力装置29)が取得した禁止位置との関係に基づいて制御を行う。
図1に示すように、成形機10Aは、排出操作部43を備えている。排出操作部43は
、排出部37による成形材K1の排出を操作する操作具であって、例えば、ON/OFFに切換可能なスイッチである。排出操作部43は、運転席の近傍に設けられていて、オペレータが操作可能である。排出操作部43をONにすると、排出指令信号が制御装置40に入力され、排出操作部43をOFFにすると、排出停止信号が制御装置40に入力される。なお、排出操作部43は、表示装置48に表示したON/OFFに切り換え可能なスイッチであってもよい。入出力装置29を、表示装置48に設けてもよい。
【0031】
図6に示すように、成形機10Aが圃場上の牧草を収集(回収)しながら成形する成形作業時において、オペレータが排出操作部43をOFFからONに切り換えた場合、制御装置40は、当該排出操作部43がOFFからONになった機械位置P7を、成形材K1の排出位置DW1として設定する。また、排出操作部43をOFFからONに切り換えた時点の機械位置(切換時の機械位置)P7から数m〜数十m先の位置を、排出位置DW1としてもよい。つまり、排出操作部43をOFFからONに切り換えてから成形材K1が圃場に排出されるまでの成形機10Aの走行距離を予め設定しておき、切換時の機械位置に予め設定された走行距離を加算した位置を、排出位置DW1としてもよい。なお、上述した排出位置DW1の設定は一例であり、限定されない。
【0032】
このとき、制御装置40は、排出位置DW1を設定後、記憶部40aに記憶された禁止情報を参照し、排出操作部43により設定された排出位置DW1が、禁止位置に設定されているか否かを判断する。即ち、制御装置40は、排出位置DW1と禁止位置とが一致しているか否かを判断する。
制御装置40は、排出位置DW1と禁止位置とが一致していない場合、成形材K1の排出を許可し、例えば、第2ケース体36bに接続された油圧シリンダを伸縮させる切換弁等に対して、制御信号を出力することで、油圧シリンダを伸長させ、成形装置30Aをゲート開放状態にする。
【0033】
一方、制御装置40は、排出位置DW1と禁止位置とが一致している場合、成形材K1の排出を許可せず、油圧シリンダを収縮した状態に維持し、成形装置30Aをゲート閉鎖状態に保持する。即ち、制御装置40は、オペレータが排出操作部43をOFFからONの状態に切り換えたとしても、成形装置30Aをゲート開放状態に移行しない。
したがって、成形機10Aによる成形作業時に、禁止位置に設定された場所に成形材K1を排出することを防止することができる。
【0034】
また、制御装置40は、排出位置が禁止位置に一致している場合、表示装置48に対して排出位置が禁止位置に一致していることを示す制御信号を出力する。表示装置48は、制御装置40からの制御信号(制御)に応答して、排出位置と禁止位置とが一致していることを示す表示を実行する。例えば、
図3Bに示すように、表示装置48は、成形機10Aに関する情報を画面M2に表示した状況において、当該情報を表示する画面M2上に、ポップアップしたポップアップ画面M3を表示し、ポップ画面M3に排出位置と禁止位置とが一致していることを示す表示を示す。なお、上述した実施形態において、排出操作部43は、表示装置48に表示したON/OFFに切り換え可能なスイッチであってもよい。入出力装置29を、表示装置48に設けてもよい。
【0035】
したがって、排出位置DW1と禁止位置とが一致した場合には、成形材K1の排出を行わず、排出位置DW1と禁止位置とが一致にない場合のみ、成形材K1の排出を行うことができる。即ち、成形機10Aによる成形作業時に、禁止位置に設定された場所に成形材K1を排出することを防止することができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態における牧草管理システムの全体図を示している。第2実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。
図7に示すように、牧草管理システムは、禁止位置を設定する禁止設定部50Bを備えている。禁止設定部50Bは、作業機の走行時における情報に基づいて禁止位置を設定する。
【0036】
作業機は、牧草に関する作業を行う機械である。作業機は、成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D等である。つまり、第2実施形態は、成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10Dのいずれかの走行時における情報に基づいて、
禁止位置を設定することが可能である。
まず、草刈機10B、拡散機10C、集草機10Dの概略について説明する。
【0037】
図8に示すように、草刈機10Bは、牧草を刈り取る機械であって、走行車両20と、走行車両20に連結された刈取装置30Bとを有している。刈取装置30Bは、走行車両20の連結部25に連結する連結フレーム62と、連結フレーム62に連結された刈取部63とを有している。刈取部63は、刈取する牧草を取り入れる取入部65と、取入部65により取り入れられた牧草を切断する複数の切断部66とを有している。なお、
図8では、刈取装置30Bが有する複数の切断部66のうち、1つの切断部66を示している。
【0038】
切断部66は、複数の回転軸67と、回転軸67に取り付けられた複数のカッター68とを有している。PTO軸の動力は、連結フレーム62に支持された駆動軸を介して回転軸67に伝達され、回転軸67は回転する。カッター68は、ディスク状のカッターであって、隣接して並ぶカッター68が回転軸67の回転に伴って回転することで牧草を刈り取る。即ち、回転軸67によって、カッター68は回転し、カッター68によって牧草は刈り取られ、牧草は刈取後、外部に排出される。なお、刈取装置30Bは、上述した構成に限定されず、牧草を刈り取る装置であればよい。例えば、刈取装置30Bは、ナイフ状のカッター68によって牧草を刈り取るハンマーナイフ式であっても、その他の方式であってもよい。
【0039】
図9に示すように、拡散機10Cは、刈取後の牧草を拡散する機械であって、走行車両20と、走行車両20に連結された拡散装置30Cとを有している。拡散装置30Cは、走行装置20の連結部25に連結する連結フレーム72と、連結フレーム72に連結された拡散部73とを有している。なお、
図9では、連結フレーム72に2つの拡散部73を連結した例を示している。
【0040】
拡散部73は、連結フレーム72に連結された本体74と、本体74に回転自在に支持された回転軸75と、回転軸75に連結された複数のアーム(タインアーム)76と、複数のアーム76それぞれに連結された拡散具(タイン)77とを有している。タイン77は、例えば、先端が二叉に分かれた部材である。PTO軸の動力は、連結フレーム72に支持された駆動軸を介して回転軸75に伝達され、回転軸75は回転する。回転軸75の回転に伴ってアーム76が回転し、拡散具77によって牧草を拡散する。即ち、回転軸75の回転によって拡散具77は回転し、拡散具77によって牧草は拡散される。なお、拡散装置30Cは、上述した構成に限定されず、牧草を拡散する装置であればよい。例えば、拡散部73は、1つ又は3つ以上であってもよい。また、拡散部73は、拡散具77の付いたローターが縦軸回りに回転するロータリー型であっても、回転するベルトやチェーンに複数の拡散具77を取付けたベルト/チェーン型であっても、その他の方式であってもよい。
【0041】
図10に示すように、集草機10Dは、牧草を集草する機械であって、走行車両20と、走行車両20に連結された集草装置30Dとを有している。集草装置30Dは、走行車両20の連結部25に連結する連結フレーム82と、連結フレーム82に連結された集草部83とを有している。なお、
図10では、連結フレーム82に2つの集草部83を連結した例を示している。
【0042】
集草部83は、連結フレーム82に連結された本体84と、本体84に回転自在に支持された回転軸85と、回転軸85に連結された複数のアーム(タインアーム)86と、複数のアーム86それぞれに連結された集草具(タイン)87とを有している。なお、集草装置30Dにおける集草具87の間隔は、拡散装置30Cの拡散具77よりも短い。タイン87は、例えば、先端が二叉に分かれた部材である。PTO軸の動力は、連結フレーム82に支持された駆動軸を介して回転軸85に伝達され、回転軸85は回転する。回転軸85の回転に伴ってアーム86が回転し、集草具87によって牧草を集草する。即ち、回転軸85の回転によって集草具87は回転し、集草具87によって牧草は集草される。
【0043】
なお、集草装置30Dは、上述した構成に限定されず、牧草を集草する装置であればよい。例えば、集草部83は、1つ又は3つ以上であってもよい。また、集草部83は、集草具87の付いたローターが縦軸回りに回転するロータリー型であっても、回転するベル
トやチェーンに複数の集草具87を取付けたベルト/チェーン型であっても、その他の方式であってもよい。
【0044】
以降、説明の便宜上、成形機10Aの走行車両を「20A」、草刈機10Bの走行車両を「走行車両20B」、拡散機10Cの走行車両を「走行車両20C」、集草機10Dの走行車両を「走行車両20D」ということがある。
さて、
図8〜
図10に示すように、作業機(草刈機10B、拡散機10C、集草機10D)は、位置検出部90(位置検出部90B、位置検出部90C、位置検出部90D)を有している。
【0045】
位置検出部90B、90C、90Dは、走行車両20(走行車両20B、20C、20D)のキャビン26の天板に装着されている。なお、位置検出部90B、90C、90Dは、キャビン26の天板に装着されているが、走行車両20における装着場所は限定されず、別の場所であってもよい。
位置検出部90B、90C、90Dは、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する位置検出装置である。即ち、位置検出部90B、90C、90Dは、測位衛星から送信された信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出する。
【0046】
このように、草刈機10B、拡散機10C、集草機10Dのそれぞれに、位置検出部90B、90C、90Dを設けることによって、牧草に関する作業時(走行時)の位置(刈取作業時の機械位置、拡散作業時の機械位置、集草作業時の機械位置)を個別に検出することができる。刈取作業時の機械位置は、走行車両20Bに設けられた記憶部40aに記憶される。拡散作業時の機械位置は、走行車両20Cに設けられた記憶部40aに記憶される。集草作業時の機械位置は、走行車両20Dに設けられた記憶部40aに記憶される。
【0047】
図7に示すように、作業機(成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D)は、操作部91(操作部91A、操作部91B、操作部91C、操作部91D)を備えている。操作部91A、91B、91C、91Dは、成形材K1の排出の禁止を指令するスイッチである。操作部91A、91B、91C、91Dは、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであり、制御装置40に接続されている。操作部91A、91B、91C、91Dは、ONである場合は、制御装置40に排出の禁止を指令する禁止信号を出力し、OFFである場合は、制御装置40に排出を許可する許可信号を出力する。操作部91A、91B、91C、91Dは、それぞれ走行車両20A、20B、20C、20Dの運転席の近傍に設けられ、オペレータが操作することができる。即ち、作業機によって牧草に関する作業時(走行中)に、オペレータが圃場の状態を確認して、成形材K1の排出に適していない位置に達した時に、操作部91をONにすれば、禁止位置を設定することができる。
【0048】
禁止設定部50Bは、作業機の走行時における情報(機械位置)と、操作部91A、91B、91C、91Dの操作とに基づいて、禁止位置を設定する。禁止設定部50Bは、制御装置40に設けられた電気・電子部品、当該制御装置40等に組み込まれたプログラム等から構成されている。
図11に示すように、草刈機10Bにおける刈取作業時は、位置検出部90Bは刈取作業時の機械位置PBn(n=1,2,3・・・n)を検出する。例えば、草刈機10Bにおける刈取作業時において、機械位置PB3の時点で操作部91BがONになり、制御装置40が禁止信号を取得すると、禁止設定部50Bは、操作部91BのON時における機械位置PB3を保持する。また、刈取作業時において、機械位置PB7で操作部91BがONからOFFに変化すると、禁止設定部50Bは、操作部91BがONからOFFに変化した機械位置PB7を保持する。そして、禁止設定部50Bは、刈取作業時に操作部91BがONされた際の機械位置、即ち、
図11では、機械位置PB3〜機械位置PB7までの範囲を禁止エリアに設定する。一方、操作部91BがOFFに維持された状態(制御装置40が許可信号を取得している状態)では、禁止設定部50Bは、刈取作業時の機械位置PBnを禁止位置として設定しない。
【0049】
また、拡散機10Cおける拡散作業時は、位置検出部90Cは拡散作業時の機械位置PCn(n=1,2,3・・・n)を検出する。禁止設定部50Bは、拡散作業時において操作部91CのON時における機械位置PCnを禁止位置に設定し、操作部91CのOFF時における機械位置PCnは禁止位置に設定しない。
また、集草機10Dおける集草作業時は、位置検出部90Dは集草作業時の機械位置PDn(n=1,2,3・・・n)を検出する。禁止設定部50Bは、集草作業時において操作部91DのON時における機械位置PDnを禁止位置に設定し、操作部91DのOFF時における機械位置PDnは禁止位置に設定しない。
【0050】
以上のように、成形機10Aによる成形作業前の作業(刈取作業、拡散作業、集草作業等)において、オペレータが圃場の状態を確認して、成形材K1の排出に適していない位置に達した時に操作部91をONにするだけで、禁止位置を設定することができる。
この実施形態では、刈取作業、拡散作業、集草作業における全ての作業において、禁止位置の設定が行えるとしているが、当然にこれに限定されず、刈取作業、拡散作業、集草作業のいずれかで行えればよい。牧草に関する作業として、刈取作業、拡散作業、集草作業を例示したが、これに限定されず、施肥作業時に行ってもよいし、その他の作業時に行ってもよい。施肥作業にて行う際は、施肥機に、位置検出部90、操作部91、禁止設定部50Bを設けることにより、禁止位置の設定を行うことができる。
【0051】
また、成形機10Aにおける成形作業時においても、禁止位置の設定を行ってもよい。成形機10Aにおいて成形作業時は、位置検出部90Aは成形作業時の機械位置PAn(n=1,2,3・・・n)を検出する。成形機10Aにおける成形作業時において、例えば、オペレータが圃場の状態を確認し、成形材K1の排出に適していないと判断した場合に、操作部91AをONにすることにより、禁止位置を設定することができる。
【0052】
上述したように、成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D、施肥機のいずれにおいても、禁止位置は、それぞれの走行車両20に設けられた制御装置40の記憶部40aに禁止情報として記憶される。禁止位置を含む禁止情報は、走行車両20に設けられた入出力装置29に外部機器28を接続することにより、記憶部40aから外部機器28に転送することができる。また、外部機器28を支援装置55に接続することによって、外部機器28に保存した禁止情報を、支援装置55の記憶部55cに転送することができる。
【0053】
上述した実施形態では、禁止設定部50Bを制御装置40に設けた例を説明したが、当該禁止設定部50Bを支援装置55に設けてもよい。この場合、禁止設定部50Bは、演算部55a(支援装置55)等に組み込まれたプログラム等から構成される。
この場合、成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D、施肥機のいずれにおいても、作業時(走行時)において、制御装置40は、操作部91のON/OFFを示す排出設定情報(禁止信号、許可信号)と位置検出部90で検出した機械位置とを対応付けて禁止情報として記憶部40aに記憶する。また、外部機器28を走行車両20の入出力装置29に接続した場合、記憶部40aに記憶されている禁止情報(排出設定情報及び機械位置)は、外部機器28に転送される。外部機器28を支援装置55に接続すると、禁止情報(排出設定情報及び機械位置)が支援装置55に転送される。
【0054】
また、支援装置55の禁止設定部50Bは、当該支援装置55に対して管理者が所定の操作を行い、禁止位置の設定が要求されると、排出設定情報及び機械位置に基づいて禁止位置の設定を行う。禁止設定部50Bによる禁止位置の設定方法は上述した方法と同様である。支援装置55の禁止設定部50Bにおいて、禁止位置が設定された場合、設定された禁止位置は、記憶部55cに記憶される。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態における牧草管理システムの全体図を示している。第3実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。
図12に示すように、牧草管理システムは、禁止位置を設定する禁止設定部50Cを備えている。禁止設定部50Cは、作業機の走行時における情報に基づいて禁止位置を設定する。
【0055】
図12に示すように、作業機(成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機1
0D)は、傾き検出部92(傾き検出部92A、傾き検出部92B、傾き検出部92C、傾き検出部92D)を備えている。傾き検出部92は、作業機の走行時における傾きを検出することが可能な慣性装置である。
傾き検出部92は、加速度、角速度等を検出することが可能なセンサであって、加速度センサ、ジャイロセンサ等である。傾き検出部92A、92B、92C、92Dは、走行車両20A、20B、20C、20Dに設けられ、制御装置40に接続されている。制御装置40は、傾き検出部92A、92B、92C、92Dで検出された加速度、角速度等を取得し、取得した加速度、角速度から走行車両20A、20B、20C、20Dのそれぞれの傾きを検出することができる。なお、傾き検出部92A、92B、92C、92Dは、成形装置30A、刈取装置30B、拡散装置30C、集草装置30Dに設け、制御装置40は、成形装置30A、刈取装置30B、拡散装置30C、集草装置30Dのそれぞれの傾きを求めてもよい。
【0056】
禁止設定部50Cは、作業機の走行時における情報(機械位置、傾き)に基づいて、禁止位置を設定する。禁止設定部50Cは、制御装置40に設けられた電気・電子部品、当該制御装置40等に組み込まれたプログラム等から構成されている。
草刈機10Bおける刈取作業時は、位置検出部90Bは刈取作業時の機械位置PBnを検出する。
図13に示すように、走行車両20Bの禁止設定部50Cは、傾き検出部92Bで検出された加速度、角速度等を用いて当該走行車両20Bの進行方向(走行方向)の傾きθ(水平方向に対する走行車両の傾きθ)を逐次求める。例えば、草刈機10Bにおける刈取作業時において、機械位置PBnの時点での傾きθが予め定められた閾値(傾き判定値)以上である場合、禁止設定部50Cは、走行車両20Bの傾きθが閾値以上になった時点の機械位置PBnを保持する。また、刈取作業時において、機械位置PBnの時点での傾きθが閾値以上から閾値未満である場合に変化すると、禁止設定部50Cは、走行車両20Bの傾きθが閾値未満に変化した時点の機械位置PBnを保持する。例えば、
図13に示すように、機械位置PB3で傾きθが閾値以上となり、機械位置PB13で傾きθが閾値未満になった場合に、禁止設定部50Cは、機械位置PB3から機械位置PB12までの機械位置を禁止位置に設定する。一方、走行車両20Bの傾きθが閾値未満である場合には、禁止位置として設定しない。
【0057】
また、拡散機10Cおける拡散作業時は、位置検出部90Cは拡散作業時の機械位置PCnを検出する。走行車両20Cの禁止設定部50Cは、傾き検出部92Cで検出された加速度、角速度等を用いて当該走行車両20Cの進行方向の傾きθを逐次求める。拡散機10Cにおける拡散作業時において、禁止設定部50Cは、走行車両20Cの傾きθが閾値以上になった時点の機械位置PCnを禁止位置に設定し、走行車両20Cの傾きθが閾値未満である場合には、禁止位置として設定しない。
【0058】
また、集草機10Dおける集草作業時は、位置検出部90Cは拡散作業時の機械位置PDnを検出する。走行車両20Dの禁止設定部50Cは、傾き検出部92Dで検出された加速度、角速度等を用いて当該走行車両20Dの進行方向の傾きθを逐次求める。集草機10Dにおける集草作業時において、禁止設定部50Cは、走行車両20Dの傾きθが閾値以上になった時点の機械位置PDnを禁止位置に設定し、走行車両20Dの傾きθが閾値未満である場合には、禁止位置として設定しない。
【0059】
なお、閾値(傾き判定値)は、少なくとも成形材K1を排出した場合に、ロール状の成形材K1が転がって移動しない角度に設定される。成形材K1が転がって移動しない角度は、過去の実績、シミュレーション等により設定することが好ましい。
以上のように、成形機10Aによる成形作業前の作業(刈取作業、拡散作業、集草作業等)において、走行車両20B、20C、20Dの傾きに応じて、禁止位置を設定することができる。この実施形態では、刈取作業、拡散作業、集草作業における全ての作業において、禁止位置の設定が行えるとしているが、当然にこれに限定されず、刈取作業、拡散作業、集草作業のいずれかで行えればよい。牧草に関する作業として、刈取作業、拡散作業、集草作業を例示したが、これに限定されず、施肥作業時に行ってもよいし、その他の作業時に行ってもよい。施肥作業にて行う際は、施肥機に、位置検出部90、傾き検出部
92、禁止設定部50Cを設けることにより、禁止位置の設定を行うことができる。
【0060】
また、成形機10Aにおける成形作業時においても、禁止位置の設定を行ってもよい。成形機10Aおける成形作業時は、位置検出部90Aは成形作業時の機械位置PAnを検出する。成形機10Aにおける成形作業時において、禁止設定部50Cは、傾き検出部92Aで検出された加速度、角速度等を用いて当該走行車両20Aの進行方向の傾きθを逐次求める。成形機10Aにおける成形作業時において、禁止設定部50Cは、走行車両20Aの傾きθが閾値以上になった時点の機械位置PAnを禁止位置に設定し、走行車両20Aの傾きθが閾値未満である場合には、禁止位置として設定しない。
【0061】
成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D、施肥機のいずれにおいても、禁止位置は、それぞれの走行車両20に設けられた制御装置40の記憶部40aに記憶される。上述した実施形態と同様に、記憶部40aに記憶した禁止位置は、外部機器28を介して支援装置55に転送することができる。
上述した実施形態では、禁止設定部50Cを制御装置40に設けた例を説明したが、当該禁止設定部50Cを支援装置55に設けてもよい。この場合、禁止設定部50Cは、演算部55a(支援装置55)等に組み込まれたプログラム等から構成される。
【0062】
成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D、施肥機のいずれにおいても、制御装置40は、作業時(走行時)において、走行車両20の傾きに関する傾き情報[傾き検出部92で検出された検出情報(加速度、角速度)、又は、加速度、角速度等から求めた走行車両20の傾きθ]と、位置検出部90で検出した機械位置とを対応付けて記憶部40aに記憶する。また、外部機器28が走行車両20の入出力装置29に接続された場合、制御装置40は、記憶部40aに記憶されている傾き情報及び機械位置を、外部機器28に転送する。外部機器28を支援装置55に接続すると、傾き情報及び機械位置が支援装置55に転送される。
【0063】
また、支援装置55の禁止設定部50Cは、当該支援装置55に対して管理者が所定の操作を行い、禁止位置の設定が要求されると、傾き情報及び機械位置に基づいて禁止位置の設定を行う。禁止設定部50Cによる禁止位置の設定方法は上述した方法と同様である。支援装置55の禁止設定部50Cにおいて、禁止位置が設定された場合、設定された禁止位置は、記憶部55cに記憶される。
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態における牧草管理システムの全体図を示している。第4実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。
図14に示すように、牧草管理システムは、禁止位置を設定する禁止設定部50Dを備えている。
【0064】
図14に示すように、牧草管理システムは、地形情報検出部を備えている。地形情報検出部は、圃場の地形情報を取得する装置である。地形情報検出部は、成形機10Aによる成形作業時に検出された圃場の高さ情報を地形情報として取得する。具体的には、地形情報検出部は、成形機10Aに設けられた位置検出部90Aである。上述したように、位置検出部90Aは、成形作業時に測位衛星から送信された信号に基づいて位置(緯度、経度)だけでなく、垂直方向(高さ方向)の高さ(高さ情報)を検出する。位置検出部90Aによって検出された緯度及び経度は二次元(X軸方向、Y軸方向)の情報であって、高さ情報は、圃場の垂直方向(Z軸方向)の情報であり、位置検出部90Aによって検出された3次元の情報を圃場の地形情報とすることができる。例えば、成形作業時における高さの変化(Z軸方向の変化)によって圃場の起伏、即ち、圃場の地形状態を検出することができる。
【0065】
また、地形情報検出部は、刈取機10Bによる刈取作業時に検出された圃場の高さ情報を地形情報として取得する装置であってもよい。例えば、地形情報検出部は、刈取機10Bに設けられた位置検出部90Bである。
また、地形情報検出部は、拡散機10Cによる拡散作業時に検出された圃場の高さ情報を地形情報として取得する装置であってもよい。例えば、地形情報検出部は、拡散機10Cに設けられた位置検出部90Cである。
【0066】
また、地形情報検出部は、集草機10Dによる集草作業時に検出された圃場の高さ情報
を地形情報として取得する装置であってもよい。例えば、地形情報検出部は、集草機10Dに設けられた位置検出部90Dである。
なお、地形情報検出部は、圃場の地形情報を取得する装置であればよく、位置検出部90A、位置検出部90B、位置検出部90C、位置検出部90Dに限定されない。例えば、マルチコプターにカメラ等の撮像装置(地形情報検出部)を設け、撮像装置で得られた画像を地形情報としてもよい。また、圃場に施肥を行う施肥機、薬剤の散布を行う散布機等に高さが検出可能な位置検出部90で構成した地形情報検出部を設けてもよい。成形機10A、草刈機10B、拡散機10C、集草機10D、施肥機、マルチコプターのいずれにおいても、地形情報は、外部機器28を介して支援装置55に転送することが可能である。
【0067】
牧草管理システムは、禁止設定部55Dと、マップ作成部93とを備えている。禁止設定部55D及びマップ作成部93は、演算部55a(支援装置55)等に組み込まれたプログラム等から構成されている。マップ作成部93は、地形情報(経度、緯度、高さ)が支援装置55に入力されると、
図15に示すように、地形情報に基づいて圃場の起伏を示す3次元の傾斜マップ(圃場マップ)110を作成する。マップ作成部93は、複数のメッシュ部(ポリゴン)Qn[n=1,2,3・・・]を構成することにより、傾斜マップ110を作成する。複数のメッシュ部Qnは、位置(経度、緯度)とメッシュ部110aの角度(傾斜角度)とが対応付けられている。
【0068】
禁止設定部55Dは、傾斜マップ110にて示された傾斜が閾値以上である圃場の位置を禁止位置に設定する。例えば、メッシュ部Q1〜Q110における傾斜角度が閾値以上である場合、禁止設定部55Dは、メッシュ部Q1〜Q110に対応する圃場の位置を禁止位置に設定する。言い換えれば、禁止設定部55Dは、メッシュ部Q1〜Q110で構成される禁止エリアA3に含まれるすべての位置を禁止位置に設定する。一方、例えば、禁止設定部55Dは、メッシュ部Q111〜Q143における傾斜角度が閾値未満である場合、禁止設定部55Dは、メッシュ部Q111〜Q143に対応する圃場の位置は禁止位置に設定しない。なお、マップ作成部93が作成した傾斜マップ(圃場マップ)110を支援装置55の表示部55bに表示してもよい。
【0069】
以上のように、支援装置55が地形情報に基づいて、圃場の傾斜マップ110を作成し、禁止設定部50Dは、傾斜マップ110で示された圃場の傾斜角度が閾値以上である場合に禁止位置を設定することができる。
[第5実施形態]
図16は、第5実施形態における牧草管理システムの全体図を示している。第5実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。第5実施形態における牧草管理システムは、圃場の傾斜マップを、禁止位置を設定する設定画面M1に表示するシステムである。
【0070】
図16に示すように、牧草管理システムは、禁止設定部50Aと、地形情報検出部と、マップ作成部93とを備えている。地形情報検出部及びマップ作成部93は、第4実施形態と同様である。
図17は、マップ作成部93で作成した傾斜マップ110を、設定画面M1に表示した一例を示している。
図17に示すように、支援装置55を管理者等が操作すると、禁止設定部50Aは、当該支援装置55の表示部55bに、設定部101及び圃場表示部103を有する設定画面M1を表示させる。
【0071】
圃場表示部103には、マップ作成部93が作成した3次元の傾斜マップ110と、当該傾斜マップ110に対応する3次元のフィールド102との両方が重ねられて表示される。即ち、設定部101で設定された圃場のフィールド102と、設定部101で設定された傾斜マップ110とが重ねられて、圃場表示部103に表示される。したがって、管理者等は、フィールド102に対して圃場がどの程度傾斜しているかを、フィールド102と傾斜マップ110との関係によって把握することができる。
【0072】
そして、管理者は、フィールド102と傾斜マップ110との関係を見ながら、入力インターフェースによりフィールド102の所定範囲を選択することにより、禁止位置を設
定することができる。
[第6実施形態]
図18は、第6実施形態における牧草管理システムの全体図を示している。第6実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。第6実施形態における牧草管理システムは、地形情報から得られた圃場の境界に基づいて禁止位置を設定するシステムである。
【0073】
図18に示すように、牧草管理システムは、禁止設定部50Eと、地形情報検出部とを備えている。禁止設定部50Eは、演算部55a(支援装置55)等に組み込まれたプログラム等から構成されている。地形情報検出部は、第4実施形態と同様である。
禁止設定部50Eは、地形情報(経度、緯度、高さ)が支援装置55に入力されると、
図19に示すように、圃場の境界線(輪郭線)E1を含む圃場マップ111を作成する。禁止設定部50Eは、支援装置55の表示部55bに圃場マップ111を表示する。ここで、圃場が多角形であって、圃場マップ111で示される境界線の数を[E1n(n=1,2,3・・・)]とした場合、禁止設定部50Eは、圃場の境界線E1nと、当該境界線Enを圃場の内側へ所定距離D1シフトした仮想線E2nとの間で形成される禁止エリアA1nの少なくとも1つを、禁止位置に設定する。
【0074】
例えば、圃場が矩形状であって、圃場マップ111で示された境界線E1n(n=1〜4)で構成されている場合、禁止設定部50Eは、4本の境界線E11〜E14のうち、例えば、境界線E11と、当該境界線E11を圃場の内側へ所定距離D1シフトした仮想線E21との間で形成される禁止エリアA11に対応する位置を、禁止位置にする。
例えば、圃場が道路に隣接していたり、住宅に隣接している場合、禁止設定部50Eは、道路に隣接する境界線E1n又は住宅に隣接する境界線E1nを、禁止位置を設定するための境界線E1nとして適用する。例えば、複数の境界線E1nを有する圃場マップ111を支援装置55の表示部55bに表示した後に、入力インターフェースを用いて、禁止位置を設定するための境界線E1nを選択してもよいし、圃場の地形情報から道路又は住宅に隣接する境界線E1nを抽出してもよい。このように、圃場が道路又は住宅に隣接している場合等、圃場の地形情報から簡単に禁止位置を設定することができる。
[第7実施形態]
図20は、第7実施形態における成形機のブロック図を示している。第7実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。第7実施形態に示す成形機は、禁止位置を取得する成形機であればよく、禁止位置の設定方法は上述した方法に限定されず、何でもよい。なお、第7実施形態における成形機に関して、上述した第1実施形態〜第6実施形態に示した禁止位置の設定方法を適用してもよく、また、上述した第1実施形態〜第6実施形態の一部の構成を適用してもよい。
【0075】
成形機10Aは、禁止位置取得部と、排出操作部43と、走行状態検出部44とを備えている。禁止位置取得部及び排出操作部43は、第1実施形態と同様である。走行状態検出部44は、成形機10Aの走行状態を検出する装置であって、例えば、走行の速度を検出する車速センサ、変速装置23の変速段を検出するクラッチ検出センサ、制動の有無を検出するブレーキ検出センサ等である。走行状態検出部44は、少なくとも成形機10Aの走行状態を検出することができる装置であればよく、車速センサ、クラッチセンサ、ブレーキ検出センサ等に限定されない。
【0076】
成形機10Aの成形作業時において、オペレータが排出操作部43をOFFからONに切り換えた場合、制御装置40は、走行状態検出部44に基づき、成形機10Aが停止しているか否かを判定する。また、制御装置40は、成形機10Aが停止している場合、成形材K1の排出位置DW1を位置検出部90Aが検出した現在の機械位置に設定する。制御装置40は、排出位置(機械位置)DW1と、記憶部40aに記憶された禁止情報を参照し、排出操作部43により設定された排出位置DW1が、禁止位置に設定されているか否かを判断する。
【0077】
制御装置40は、排出位置DW1と禁止位置とが一致していない場合、成形材K1の排出を許可し、成形装置30Aをゲート開放状態にする。一方、制御装置40は、排出位置
DW1と禁止位置とが一致している場合、成形材K1の排出を許可せず、成形装置30Aをゲート閉鎖状態に保持する。
したがって、オペレータが排出操作部43をOFFからONに切り換えて成形材K1を排出する手動式において、排出位置DW1が禁止位置に一致した場合には、排出操作部43をONしたとしても成形材K1の排出を防止することができる。
【0078】
また、成形機10Aは、成形状態検出部45を備えていてもよい。成形状態検出部45は、成形部38によって成形している牧草の成形状態を検出する装置である。成形状態検出部45は、例えば、成形部38で形成している成形材K1のロール径を検出するセンサである。
成形機10Aの成形作業時において、成形状態検出部45で検出された成形材K1のロール径が閾値(排出推奨径)以上になった場合、制御装置40は、ロール径が閾値以上になったこと、即ち、収容部36内の成形材K1が満杯に近いこと(成形材K1を排出する時期が近いこと)を示す案内を、表示装置48に表示させる。オペレータは、表示装置48に表示された案内に応じて、成形機10Aを減速して停止させた後に、排出操作部43をOFFからONに切り換える。制御装置40は、成形機10Aが停止すると、排出位置(機械位置)DW1が禁止位置に設定されているか否かを判断後、排出位置DW1が禁止位置に一致しなければ成形材K1の排出を実行し、排出位置DW1が禁止位置に一致すれば成形材K1の排出を実行しない。
【0079】
したがって、オペレータが成形材K1の排出する時期が近いことを把握することができる構成でありながら、排出位置DW1と禁止位置とが一致した場合のみ、成形材K1の排出を防止することができる。
また、成形機10Aは、解除操作部46を備えていてもよい。解除操作部46は、禁止位置の解除を指令する操作具である。解除操作部46は、例えば、ON/OFFに切換可能なスイッチである。解除操作部46は、運転席の近傍に設けられていて、オペレータが操作可能である。解除操作部46をONにすると、解除指令信号が制御装置40に入力され、解除操作部46をOFFにすると、解除指令信号は制御装置40に入力されない。なお、解除操作部46は、表示装置48に表示したON/OFFに切り換え可能なスイッチであってもよい。
【0080】
成形機10Aの成形作業時において、排出操作部43により設定された排出位置DW1が禁止位置に一致している場合、上述した実施形態で示したように、表示装置48は、制御装置40の制御によって排出位置と禁止位置とが一致していることを示す表示を行う。或いは、表示装置48は、解除操作部46による禁止位置の解除が可能であることを示す表示を行う。
【0081】
表示装置48が、「排出位置と禁止位置とが一致していることを示す表示」又は「解除操作部46による禁止位置の解除が可能であることを示す表示」を実行している状況下で、オペレータが解除操作部46をOFFからONに切り換え、禁止位置の解除の操作を行った場合、制御装置40は、解除操作部46による禁止位置の解除を許可し、成形装置30Aをゲート開放状態にする。
【0082】
一方、表示装置48において、「排出位置と禁止位置とが一致していることを示す表示」又は「解除操作部46による禁止位置の解除が可能であることを示す表示」を開始した後、解除操作部46による操作が一定時間行われず、解除操作部46がOFFのままの状態に維持している場合、制御装置40は、成形材K1の排出を許可せず、成形装置30Aをゲート閉鎖状態に保持する。
【0083】
したがって、排出位置が禁止位置に一致している場合においても、オペレータが圃場の状態を確認して排出が可能であると判断した場合には、当該オペレータが解除操作部46を操作することにより、禁止位置を解除して、成形材K1を排出することができる。
[第8実施形態]
図21は、第8実施形態における成形機の制御ブロック図である。第8実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。第8実施形態に示す成形機は、禁止位置を取得する成形機であればよく、禁止位置の設定方法は上述した方法に限定されず、何
でもよい。なお、第8実施形態における成形機に関して、上述した第1実施形態〜第6実施形態に示した禁止位置の設定方法を適用してもよく、また、上述した第1実施形態〜第7実施形態の一部の構成を適用してもよい。
【0084】
第8実施形態における成形機10Aは、排出操作部43の操作がなくても自動的に成形材K1を排出する成形機である。成形機10Aは、禁止位置取得部と、成形状態検出部45を備えている。禁止位置取得部及び成形状態検出部45は、第7実施形態と同様である。
成形機10Aの成形作業時において、成形状態検出部45で検出された成形材K1のロール径が閾値(排出推奨径)以上になった場合、制御装置40は、成形機10Aを自動的に減速させる。また、制御装置40は、成形機10Aの減速後、収容部36(排出部37)による排出動作の準備段階に移行し、準備段階に入った時点での機械位置を排出位置DW1として、排出位置DW1と、禁止位置とが一致するか否かの判断を行う。制御装置40は、排出位置DW1と禁止位置とが一致すれば、排出動作を実行しない。一方、制御装置40は、排出位置DW1と禁止位置とが一致しなければ、排出動作を実行する。なお、上述した実施形態では、成形機10Aの減速後、収容部36(排出部37)による排出動作の準備段階に移行した時点での機械位置を排出位置DW1としていたが、これに代え、準備段階の時点の機械位置から数m〜数十m先の位置を、排出位置DW1に設定してもよい。つまり、準備段階の時点から成形材K1が圃場に排出されるまでの成形機10Aの走行距離を予め設定しておき、準備段階の機械位置に予め設定した走行距離を加算した位置を、排出位置DW1としてもよい。なお、上述した排出位置DW1の設定は一例であり、限定されない。
[第9実施形態]
図22は、第9実施形態における成形機の制御ブロック図である。第9実施形態では、上述した実施形態と異なる構成について説明する。第9実施形態に示す成形機は、禁止位置を取得する成形機であればよく、禁止位置の設定方法は上述した方法に限定されず、何でもよい。なお、第9実施形態における成形機に関して、上述した第1実施形態〜第6実施形態に示した禁止位置の設定方法を適用してもよく、また、上述した第1実施形態〜第8実施形態の一部の構成を適用してもよい。
【0085】
成形機10Aは、禁止位置取得部と、成形状態検出部45と、排出予測部47とを備えている。禁止位置取得部及び成形状態検出部45は上述した実施形態と同様である。排出予測部47は、制御装置40に設けられた電気・電子部品、当該制御装置40等に組み込まれたプログラム等から構成されている。
排出予測部47は、位置検出部90Aにより検出された位置(機械位置)と、成形状態検出部45で検出された成形状態とに基づいて成形材K1の排出前に、排出位置DW1を予測する。牧草の収集(回収)を開始後、排出予測部47は、成形状態検出部45によって検出されたロール径を監視し、ロール径の増加傾向から当該ロール径が閾値(排出推奨径)に達する位置を推定する。
【0086】
排出予測部47は、成形機10Aが手動によって成形材K1を排出する機械である場合、及び、成形機10Aが自動によって成形材K1を排出する機械の場合のいずれにおいても、推定した位置(推定位置)に、排出推奨径に達してから成形機10Aが停止するまでの走行距離を加算し、加算により求められた位置(推定位置+走行距離)を排出位置DW1に設定する。
【0087】
なお、排出推奨径に達してから成形機10Aが停止するまでの走行距離は、予め制御装置40に記憶されていてもよいし、排出予測部47が過去の実績等から算出してもよい。また、排出予測部47は、牧草の収集(回収)を開始後にロール径を監視して当該ロール径の増加傾向から推定位置を求めていたが、過去のロール径の増加傾向を用いて推定位置を求めてもよい。また、排出予測部47による排出位置DW1の推定方法は上述した方法に限定されない。
【0088】
制御装置40は、排出予測部47で予測した排出位置DW1が禁止位置に一致する場合に、排出予測部47で予測した排出位置DW1とは異なり且つ禁止位置に一致しない位置
にて、排出部37による排出を実行させる。成形機10Aにより成形作業が開始され、排出予測部47により排出位置DW1が求められると、当該排出予測部47で求めた排出位置DW1が禁止位置に一致するか否かを判断する。
図23Aに示すように、成形機10Aが成形作業を行っている状況下において、位置P3にて排出位置DW1が求められ、求められた排出位置DW1が禁止位置PA1に一致すると判明した場合、制御装置40は、成形機10Aが、禁止位置PA1を含む禁止エリアA4の手前の位置、例えば、位置P4を排出位置として設定し、排出位置P4に成形材K1を排出するように、成形機10A(排出部37)を制御する。
【0089】
また、
図23Bに示すように、成形機10Aが成形作業を行っている状況下において、禁止エリアA5内の位置P5にて排出位置DW1が求められ、求められた排出位置DW1が禁止エリアA5の禁止位置PA2に一致すると判明した場合、制御装置40は、成形機10Aが、禁止エリアA5の先の位置、例えば、位置P6を排出位置として設定し、排出位置P6に成形材K1を排出するように、成形機10A(排出部37)を制御する。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
なお、上述した成形機10Aは、収容部36をゲート開放状態にした場合に当該収容室36内の成形材K1が直接圃場に排出される構造であったが、収容室36から外部に排出した成形材K1を一時的に保持し且つ保持した成形材K1を圃場下で排出する保持機構(排出部)を有する成形機であってもよい。
【0091】
また、入出力装置(禁止位置取得部)29は、支援装置55等に無線通信等で接続可能な通信装置であってもよい。通信装置は、WiFi(商標)、BLE等の近距離無線通信、携帯電話通信網、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行う装置である。これにより、作業機側で設定した禁止位置等の情報を支援装置55に送信したり、支援装置55側で設定した禁止位置等の情報を作業機で受信することができる。