(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のハンマドリルでは、前インシュレータ21に各ヒュージング端子42が取り付けられるため、各ヒュージング端子42の配置に限界があり、コイル23の個数の増加等に対応し難い。
又、短絡部材25の板金部材52A〜52Cに電源線57が溶接されるため、ブラシレスモータ17あるいは装着部4の何れかについて故障が発生したり点検を要したりしたとしても、全ての電源線57を切断しない限り、これら全てを一括して取り出して修理し、交換し、あるいは点検する必要があり、手間やコストが掛かる。
そこで、本発明の主な目的は、複雑なコイルの結線構造にもシンプルに対応可能なモータを備えた電動工具を提供することである。
又、本発明の別の主な目的は、モータに関連する故障時や点検時等の手間やコストが低減された電動工具を提供することである。
更に、本発明の別の主な目的は、モータの組立性が向上した電動工具を提供することである。
【0005】
又、上記のハンマドリルでは、前インシュレータ21にセンサ基板24を挟んだうえで短絡部材25が取り付けられ、短絡片53に各ヒュージング端子42がハンダ付けされる。よって、ハンダを外さない限りセンサ基板24を取り外せず、センサ基板24の修理、交換、あるいは点検が困難である。
そこで、第1群の関連発明の主な目的は、モータに関連する故障時や点検時等の手間やコストが低減された電動工具を提供することである。
又、当該関連発明の別の主な目的は、モータの組立性が向上した電動工具を提供することである。
【0006】
更に、上記のハンマドリルでは、積層鋼板であるステータコア20が、これとは別体である前インシュレータ21と後インシュレータ22とに挟まれている。かような構造では、絶縁距離を確保するために、前インシュレータ21の各嵌合部29と後インシュレータ22の対応する嵌合部39とをオーバーラップさせる必要があり、オーバーラップ部分の肉厚が嵌合部29,39の合計以上に厚くなって、コイル23のためのスペースがその分小さくなり、出力がその分小さくなる。
又、組立者は、前インシュレータ21の各嵌合部29と後インシュレータ22の対応する嵌合部39を、ステータコア20の対応するティース26間に、オーバーラップ部分が確保された状態で入れる必要がある。よって、ステータコア20、前インシュレータ21及び後インシュレータ22に係る組立性には、向上の余地がある。
更に、前インシュレータ21の前側に、センサ基板24の受け部や短絡部材25の取り付け部が設けられるところ、これらの強度には、向上の余地がある。
そこで、第2群の関連発明の主な目的は、絶縁距離を確保しても出力が大きいモータを備えた電動工具を提供することである。
又、当該関連発明の別の主な目的は、組立性に優れたモータを有する電動工具を提供することである。
更に、当該関連発明の別の主な目的は、強度に優れたモータを有する電動工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、端子ユニットと、を備えており、前記ステータは、周方向に並んで配置される複数のティースを有するステータコアと、前記ステータコアに保持されるインシュレータと、複数の前記ティースにそれぞれ巻かれる複数のコイル、及び複数の前記コイルをつなぎ周方向に延びる複数の渡り線を有する導線と、を有しており、前記端子ユニットは、反ステータコア側から複数の前記渡り線を挟むことで、対応する前記渡り線と電気的に接続される導電性の複数のヒュージング端子と、複数の前記ヒュージング端子を保持する絶縁性の端子ユニット本体と、を有していることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記端子ユニットに接続される電源線を備えていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、ステータコアと、前記ステータコアに保持されるインシュレータと、前記インシュレータに保持される複数のコイルと、複数の前記コイルと電気的に接続されるヒュージング端子と、前記ヒュージング端子を支持すると共に前記ステータコアと係合する端子ユニット本体と、を有する端子ユニットと、前記端子ユニット本体を、前記インシュレータにネジ止めするためのネジと、前記ステータコアに対して回転可能なロータと、を備えていることを特徴とするものである。
関連する発明は、ステータコアと、前記ステータコアに保持されるインシュレータと、前記インシュレータに保持される複数のコイルと、複数の前記コイルと電気的に接続される端子ユニットと、前記ステータコアに対して回転可能なロータと、複数の前記コイルに電力を供給するための電源線と、を備えており、前記電源線は、前記端子ユニットに、着脱自在に接続され、前記電源線は、前記端子ユニットに隣接する部分において、前記端子ユニットに交わる方向へ延びていることを特徴とするものである。
関連する発明は、上記発明において、前記電源線は、前記端子ユニットにネジ止めされることを特徴とするものである。
関連する発明は、上記発明において、前記電源線は、複数であって、それぞれ端子板を有しており、前記端子ユニットに、前記端子板を介して接続され、前記端子ユニットにおける前記電源線の接続部は、複数の前記端子板を隔てる隔壁を有していることを特徴とするものである。
関連する発明は、上記発明において、前記端子ユニットは、前記ステータコアに係合することを特徴とするものである。
関連する発明は、上記発明において、更に、前記ロータの回転を検出して回転検出信号を出力する回転検出素子を有し、前記端子ユニット及び前記インシュレータの少なくとも一方に取り付けられるセンサ基板と、前記センサ基板に接続され、前記回転検出信号を伝達する信号線と、を備えており、前記信号線における前記センサ基板に隣接する部分の方向と、前記電源線における前記端子ユニットに隣接する部分の方向と、が同一であることを特徴とするものである。
関連する発明は、ステータコアと、前記ステータコアに保持されるインシュレータと、前記インシュレータに保持される複数のコイルと、複数の前記コイルと電気的に接続される端子ユニットと、前記ステータコアに対して回転可能なロータと、複数の前記コイルに電力を供給するための電源線と、を備えており、前記電源線は、第1貫通孔を有する第1端子を有しており、前記端子ユニットは、第2貫通孔を有する第2端子を有しており、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を貫通することで、前記第1端子及び前記第2端子を着脱自在に接続するネジを有することを特徴とするものである。
【0008】
第1群の関連発明は、複数のコイルが保持されるインシュレータと、複数の前記コイルと電気的に接続され、前記インシュレータに取り付けられる端子ユニットと、前記インシュレータに対して回転可能なロータと、前記ロータの回転を検出し、前記端子ユニットに取り付けられるセンサ基板と、を備えており、前記センサ基板は、前記端子ユニットが前記インシュレータに取り付けられた状態で、前記端子ユニットから取り外し可能であることを特徴とするものである。
又、第1群の関連発明は、複数のコイルが保持されるインシュレータと、複数の前記コイルと電気的に接続され、前記インシュレータに取り付けられる端子ユニットと、前記インシュレータに対して回転可能なロータと、前記ロータの回転を検出し、前記端子ユニット及び前記インシュレータの少なくとも一方に取り付けられるセンサ基板と、を備えており、前記端子ユニットが取り付けられた後で、前記センサ基板が取り付けられることを特徴とするものである。
第1群の関連発明において、前記センサ基板は、樹脂製の基板押さえ部材によって取り付けられても良い。
第1群の関連発明において、前記端子ユニットは、前記センサ基板を取り付け位置に導く案内部を有していても良い。
第1群の関連発明において、前記端子ユニットは、内孔を有するリング状であり、前記センサ基板は、前記端子ユニットの前記内孔の内側に配置されていても良い。
【0009】
第2群の関連発明は、ステータコアと、前記ステータコアに一体成形されるインシュレータと、前記インシュレータに保持される複数のコイルと、前記ステータコアに対して回転可能なロータと、を備えていることを特徴とするものである。
第2群の関連発明において、前記ステータコアは、前記コイルを保持する複数のティースを有しており、前記インシュレータは、複数の前記ティースの先端部以外を被覆するティース被覆部を有していても良い。
第2群の関連発明において、前記インシュレータは、一連に配置されても良い。
又、第2群の関連発明は、周方向に並べられた複数のティースを有するステータコアと、前記ステータコアに対して回転可能なロータと、複数の前記ティースを覆うティース被覆部、及び複数の前記ティース被覆部の何れかに対応する突端部を有し、前記ステータコアに保持されるインシュレータと、複数の前記ティース被覆部に対してそれぞれ巻かれた複数のコイルと、複数の前記コイルのうちの少なくとも何れか2個を電気的に接続するコイル連絡導線と、を備えており、前記ティース被覆部の一つの面と、当該ティース被覆部に対応する前記突端部とは、前記周方向において互いにずれており、前記コイル連絡導線は、前記突端部に掛けられて、前記ティース被覆部の前記面に導入されることを特徴とするものである。
第2群の関連発明において、前記インシュレータは、前記ステータコアと一体成形されても良い。
第2群の関連発明において、前記突端部は、前記インシュレータにおける他の部分に対して突出する突体の端辺部を含んでも良い。
第2群の関連発明において、前記突端部は、前記インシュレータにおける他の部分に対して凹む凹みの端辺部を含んでも良い。
第2群の関連発明において、前記ティース被覆部は、前記コイル連絡導線を掛ける溝を有していても良い。
第2群の関連発明において、複数の前記コイルのうちの少なくとも何れか、及び前記コイル連絡導線は、一連の導線により形成されていても良い。
第2群の関連発明において、更に、複数の前記コイルと電気的に接続される複数のヒュージング端子を有する端子ユニットを備えており、前記インシュレータは、前記ヒュージング端子が入るヒュージング端子入れを有しており、前記ヒュージング端子入れ及び前記突端部は、互いに連接していても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の主な効果は、複雑なコイルの結線構造にもシンプルに対応可能なモータを備えた電動工具が提供されることである。
又、本発明の別の主な効果は、モータに関連する故障時や点検時等の手間やコストが低減された電動工具が提供されることである。
更に、本発明の別の主な効果は、モータの組立性が向上した電動工具が提供されることである。
【0011】
第1群の関連発明の主な効果は、モータに関連する故障時や点検時等の手間やコストが低減された電動工具が提供されることである。
又、当該関連発明の別の主な効果は、モータの組立性が向上した電動工具が提供されることである。
【0012】
第2群の関連発明の主な効果は、絶縁距離を確保しても出力が大きいモータを備えた電動工具が提供されることである。
又、当該関連発明の別の主な効果は、組立性に優れたモータを有する電動工具が提供されることである。
更に、当該関連発明の別の主な効果は、強度に優れたモータを有する電動工具が提供されることである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態やその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態や変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況や移動する部材の状態等により変化することがある。
尚、本発明は、下記の形態や変更例に限定されない。
【0015】
図1は、本発明に係る電動工具(打撃工具)の一例であるハンマドリル1の中央縦断面図であり、
図2は、
図1の前部拡大図である。
ハンマドリル1は、各種部材を保持する枠であるハウジング2と、ハウジング2の中央部に配置され動力を発生する動力部4と、動力部4の動力を変換したり伝達したりするため動力部4の上方に配置される中間部5と、中間部5の前方(横長の
図1の右方)に配置されており、動力部4の動力が中間部5を経て適宜変換のうえで出力される、出力部6を備えている。
出力部6は、筒状であり前端部が先端工具を装着可能な先端工具保持部7となっているツールホルダ8と、その内方に配置されており先端工具に打撃を付与するインパクトボルト9と、を含む。
【0016】
動力部4は、モータ10を含む。
モータ10は、ブラシレスモータであって、軸方向が上下方向である筒状のステータ12と、ステータ12の内部に配置されステータ12に対して回転可能であるロータ14と、を備えており、インナロータ型となっている。ロータ14は、その軸心に配置された上下方向のモータ軸16を備えている。モータ軸16の上端部には、ピニオン18が形成されている。
【0017】
ハウジング2は、モータ10を保持するモータハウジング20を含む。
モータハウジング20の後部には、半割の左部と右部を合わせて形成されたハンドルハウジング22が接続されている。ハンドルハウジング22は、ループ状に形成されており、主にループにおける上下方向の後部が、作業者によって把持される。ハンドルハウジング22の後部には、コンデンサ23、及びスイッチ24が保持されている。スイッチ24は、前方に突出していて後方へ押下可能であるプランジャ26を有している。スイッチ24は、プランジャ26の押込みの有無や量に応じて切り替わり、プランジャ26は、ハンドルハウジング22の後部から前方へ突出するトリガ28と連結されている。
【0018】
モータハウジング20及びハンドルハウジング22の下側には、下部ハウジング30が配置されている。ハウジング2は、下部ハウジング30を含む。
下部ハウジング30内には、“[”字状あるいは“]”字状のリブ31,31が立てられており、それらリブ31は、コントローラ32を保持している。コントローラ32は、モータ10等を制御するためのマイコン(図示略)やスイッチング素子(図示略)を搭載している。
又、コントローラ32の下方であって、下部ハウジング30の下面には、前後に2つの端子台34,34を有するバッテリ装着部36が設けられている。各端子台34には、バッテリパック37が、右方からの左右方向におけるスライドにより装着される。
下部ハウジング30の前部であって、コントローラ32の前方には、LEDを用いて出力部
6の前方を照射するライト38が設けられている。
下部ハウジング30の前後には、装着されたバッテリパック37,37の前後を覆うガード板部39,39が、他の部分に対して下方へ突出するように形成されている。
コントローラ32は、モータ10、コンデンサ23、各端子台34、及びライト38と、リード線(図示略)により電気的に接続されている。
【0019】
中間部5は、動力伝達機構42と、打撃機構44と、これらの外郭となる半割の左部と右部が組み合わせられた出力ハウジング46と、を備えている。ハウジング2は、出力ハウジング46を含む。
【0020】
動力伝達機構42は、モータ軸16の回転駆動力を出力部6のツールホルダ8に伝達する機構であり、上下方向の中間軸50と、その中央部に一体に取り付けられたギヤ52を含む。
中間軸50は、上軸受54と下軸受56により、自身の中心軸の周りで回転可能に支持されている。
ギヤ52は、ピニオン18の前部と噛み合う。
中間軸50の上端部には、かさ歯58が形成されている。
かさ歯58は、ツールホルダ8の後端部に接続されるかさ歯車59と噛み合っている。
【0021】
打撃機構44は、モータ軸16の回転出力を前後方向の往復出力に変換し、これを伝達して出力部6(インパクトボルト9)に打撃を付与する機構である。
これらのうち、モータ軸16の回転出力を前後方向の往復出力に変換する機構は、上下方向のクランク軸60と、クランク軸60の下部に一体に取り付けられておりピニオン18の後部と噛み合うギヤ62と、コネクティングロッド64と、ピストン66と、を含む。
クランク軸60は、上軸受68と下軸受70により、自身の中心軸の周りで回転可能に支持されている。クランク軸60の上端部には、その中心軸に対して偏心したクランクピン72が、他の部分に対して上方に突出するように形成されている。クランクピン72には、コネクティングロッド64を介して、ピストン66が連結されている。ピストン66は、円柱状の部材であり、その外面の一部又は全部が、軸方向を前後方向とする円筒状のシリンダ74の内面に接触している。ピストン66は、シリンダ74内において前後方向に移動可能である。シリンダ74の前部は、ツールホルダ8内に配置されている。
【0022】
又、前後方向の往復出力をインパクトボルト9に伝える機構として、シリンダ74内におけるピストン66の前方には、空気室80を介して、打撃子としてのストライカ82が配置されている。
ストライカ82は、円柱状の部材であり、その外面の一部又は全部が、シリンダ74の内面に接触している。ストライカ82は、シリンダ74内において前後方向に往復移動可能である。
空気室80は、ストライカ82の後面とピストン66の前面とシリンダ74の内面の一部とで囲まれる空間であり、ピストン66の往復動作を、空気の圧力変動によってストライカ82に伝達する。
【0023】
シリンダ74の前端部は、中央に孔を有し上下左右に広がる前壁を有している。
ツールホルダ8内であってシリンダ74の前方には、弾性体のリング84を介して受けリング86が配置されている。
ストライカ82の前方には、インパクトボルト9が配置される。インパクトボルト9は、円柱状の後部及びこれより太い円柱状の前部を有しており、先端工具保持部7に挿入された先端工具の後端部が、インパクトボルト9の前端部を押して、インパクトボルト9の前部後部境界部分が受けリング86に接触する位置までインパクトボルト9を後退させると、インパクトボルト9の後部後半がシリンダ74の前壁の孔を通過してツールホルダ8及びシリンダ74の内方に位置し、後部前半がツールホルダ8及びリング84の内方に位置し、前部がツールホルダ8の内方に位置する。
ストライカ82は、前後移動により、先端工具保持部7に装着された先端工具の後端部に対する衝突を繰り返して、インパクトボルト9を介し、先端工具を打撃する。
ツールホルダ8の外側であって、出力ハウジング46の前側には、先端工具の着脱操作のための、円筒状の操作スリーブ88が設けられている。
【0024】
そして、モータ10のロータ14は、モータ軸16の中央部においてモータ軸16と同心の状態で一体に取り付けられた円筒状のロータコア90と、ロータコア90の周縁部において同心円上に並べられた複数(8個)の上下方向の貫通孔内にそれぞれ配置された板状の永久磁石92と、を有している。
ロータコア90は、複数の電磁鋼板が積層された積層体であり、各永久磁石92とモータ軸16との間において、上下方向を軸方向とした四半円筒面状に広がる空間部としての肉盗み94を、複数(4個)有している。
各永久磁石92は、全体として正八角筒状に配置されており、周方向において互いに若干離れている。周方向で隣同士の永久磁石92の間であって、各貫通孔の両端には、永久磁石92の端部を越えて周方向外側に突出する突出空間(図示略)が形成されている。突出空間は、永久磁石92が通る貫通孔本体空間と連続しており、貫通孔の一部である。
【0025】
更に、ロータコア90の上側には、ロータコア90と同径の円盤状である上スリーブ96が配置されており、ロータコア90の下側には、下スリーブ98が、その外周が各永久磁石92より径方向で内側に位置する状態で配置されている。
上スリーブ96の上下と、下スリーブ98の下側と、これらをつなぐモータ軸16の外周面部とにわたり、樹脂100が配置されている。ロータ14は、樹脂100により一体化される。樹脂100は、上スリーブ96とモータ軸16との間、ロータコア90とモータ軸16との間、及び下スリーブ98とモータ軸16との間を通る。
【0026】
又、モータ軸16は、上軸受102と下軸受104とで、自身の中心軸周りで回転可能に支持されている。
上軸受102は、ピニオン18の下側に配置されており、出力ハウジング46に保持されている。
下軸受104は、モータ軸16の下端部の周囲であって、下スリーブ98の下側に配置されており、モータハウジング20に保持されている。
【0027】
加えて、モータ軸16の上部であって、上軸受102と上スリーブ96との間には、円盤状の遠心ファン106が、モータ軸16に直交する状態で一体に取り付けられている。
遠心ファン106と下スリーブ98との間には、遠心ファン106の下側を覆う皿状のバッフルプレート108が配置されている。バッフルプレート108は、モータハウジング20に保持されている。
【0028】
他方、モータ10のステータ12は、
図3〜
図8にも示されるように、ステータコアアッセンブリ110と、複数(12個)のコイル112と、端子ユニット114と、センサ基板116と、基板押さえ部材118と、を有している。
【0029】
ステータコアアッセンブリ110は、ステータコア120と、その上下及び内側に配置され、ステータコア120に保持されるインシュレータ122と、を備えている。
【0030】
ステータコア120は、複数のリング状の電磁鋼板が積層された積層体であり、内周部に、それぞれ他の部分より径方向内方に突出していて周方向で等間隔に並ぶ複数(12個)のティース130を有している。
各ティース130における径方向内側の先端面は、内方に膨らむ形状を呈しており、より詳細には、先端面の周方向の両端部から中央部手前にかけて次第に一層内方に位置するように膨らむ両側膨出部130aを有すると共に、中央部において、当該両端部を結ぶ仮想的な円弧に径方向で見て届かない程度に、径方向外方に浅く凹む中央凹み部130bを有する形状を呈している。かような各ティース130の先端面の形状によれば、スイッチング素子のスイッチングによりコイル112で生起する磁場における極の推移が、滑らかに調整され、ロータ14の回転が一層安定する。
隣接するティース130の間は、コイル112が配置される空間(スロット)となっている。
ステータコア120外周の円筒面部には、上下方向の外溝131が、複数(3個)形成されている。各外溝131は、周方向に等間隔に配置されている。
【0031】
インシュレータ122は、樹脂製でリング状の電気絶縁部材であり、各ティース130の外側に配置されるティース被覆部132と、ティース被覆部132をつなぐと共に下方にリング状に張り出す円筒部133と、を備えている。
図9にも示されるように、各ティース被覆部132は、対応するティース130の先端部以外を被覆するものであり、ティース130の先端部の隣接部において、他の部分より上下及び周方向両側に広がっている壁部134を有している。又、各ティース被覆部132における、ティース130の根元を被覆する部分の上下には、コイル112の巻き線1本の太さに相当する幅の溝135が、周方向に延びるように形成されている。
【0032】
インシュレータ122の後部であって、円筒部133の外側には、径方向外方に突出する接続部ガード136が形成されている。接続部ガード136の中央部は、後方の2個のティース130の間に配置されており、接続部ガード136の左右端部は、当該2個のティース130の左右端部より内側に配置されている。
又、円筒部133の下部には、上下方向のネジ穴を有する複数(5個)のネジボス部138が形成されている。各ネジボス部138は、接続部ガード136を含めて周方向に等間隔に並んでおり、それらの間には、合計6個のヒュージング端子入れ140のうちの何れか1個が配置され、各ヒュージング端子入れ140が互いに周方向に等間隔に並んでいる。接続部ガード136、ネジボス部138及びヒュージング端子入れ140の間の内方に、1個のティース130が位置している。
【0033】
図9にも示されるように、各ヒュージング端子入れ140は、周方向に並ぶ一対の断面U字状の第1突体142及び第2突体144を有している。
第2突体144は、下から見て、第1突体142より時計回り正方向側に配置されている。
第1突体142及び第2突体144は、円筒部133の他の部分に対して径方向外方に突出しており、更に径方向の内外2箇所において
下方に突出している。それら内外2箇所の突出部において、内側の突出部が外側の突出部より下方に高く突出しており、それらの間は、円筒部133の下面と連続している。又、第1突体142及び第2突体144の間の部分は、円筒部133の下面より上方に窪んでいる。更に、第2突体144における内側の突出部は、周方向に延びる延設部145を備えている。延設部145は、下から見て時計回り方向側に位置する、上下方向の端辺部である突端部146を有している。各突端部146は、ヒュージング端子入れ140の一部であり、ヒュージング端子入れ140
の他の部分と連接している。
第2突体144における延設部145や突端部146を含む内側の突出部は、円筒部133から下方に突出する各種の部分のうち、最も下方に高く突出しており、当該内側の突出部の先端は、インシュレータ122の最下部となっている。
【0034】
円筒部133における、各延設部145の突端部146の外側には、コイル112の巻き線1本の断面直径程度の大きさの凹み147が形成されている。突端部146の根元部(上部)は、凹み147の反時計回り方向側の端辺部と共通する。凹み147の底部(上辺部)と、第1突体142及び第2突体144の間の部分とは、上下方向において同程度の位置となっている。
各延設部145の突端部146は、対応する(最も近い)ティース被覆部132における下から見て反時計回り方向側の面Fに対して、周方向で時計回り方向側に配置されている。
又、第1突体142における内側の突出部の根元には、その周囲に対して下方に窪む窪み148が形成されている。かような窪み148の配置により、第1突体142における内側の突出部の根元が成形時に膨らむ事態が防止される。尚、凹み147の配置により、同様に突端部146の根元の膨らみが防止される。
【0035】
ステータコアアッセンブリ110は、ステータコア120及びインシュレータ122が一体成形されることで形成される。
一体成形の手法は、特に限定されず、例えば、ステータコア120を金型に挿入した状態で樹脂を射出することで一体成形するインサート射出成形である。
インシュレータ122は、ステータコア120上側から、ティース130先端面を除く内側(各ティース被覆部132及び円筒部133)を経て、ステータコア120下側(接続部ガード136、ネジボス部138及びヒュージング端子入れ140を有する円筒部133の張り出した下部)まで、継ぎ目なく一連に配置される。
【0036】
ステータコアアッセンブリ110のティース被覆部132には、巻き線が巻かれることで各コイル112が形成される。
図10に示されるように、12個のコイル112は、4個を1組として、全3組のコイル112によりデルタ結線される(三相)。各組においては、それぞれ直列接続された2個のコイル112と2個のコイル112とが、並列接続される(2直列2並列)。
【0037】
かような12個のコイル112は、それぞれが一連である2本の導線により形成される。
即ち、第1の導線は、巻き始めST1から、ヒュージング端子入れ140の第1突体142及び第2突体144を渡り、2個のティース被覆部132にそれぞれ巻かれ、次のヒュージング端子入れ140を渡り、2個のティース被覆部132にそれぞれ巻かれ、更に次のヒュージング端子入れ140を渡り、最初のヒュージング端子入れ140を渡って巻き終わりGL1に達する。
又、第2の導線は、巻き始めST2から巻き終わりGL2まで、第1の導線と同様に巻かれる。但し、第1の導線が通っていないヒュージング端子入れ140やティース被覆部132を通る。
【0038】
特に
図9に示されるように、各ヒュージング端子入れ140を第1突体142から第2突体144へと渡った導線の部分(渡り線部149a)に続く導線の部分は、凹み147に入り、突端部146に掛かってUターン状に曲げられ(ターン部149b)、更に対応するティース被覆部132における下から見て反時計回り方向側の面Fへ、上下方向に対して斜めに導入される(斜行導入部149c)。斜行導入部149cにおける上端部は、ティース被覆部132の下の溝135の端部に掛かり、ティース被覆部132における最初の一巻き目の、下から上への部分149dに続く。ティース被覆部132における最初の一巻き目のうち、周方向となる上辺の部分及び下辺の部分は、溝135に案内される。導線の二巻き目以降は、一巻き目あるいは以前の巻き目に倣う。かようにして所定巻き目まで巻かれた導線は、円筒部133とティース被覆部132の壁部134との間に配置され、コイル112となる。
第2突体144の突端部146は、下方に高く突出しているから、ターン部149bを形成する際に、導線が引っ掛け易く、又外れ難くなり、ターン部149bが突端部146から離れて緩みが発生する事態が防止される。又、凹み147が設けられる分、突端部146が更に高くなり、又導線が凹み147に入るので、ターン部149b形成時に導線が引っ掛け易く又外れ難くなり、緩みが防止される。
尚、
図9において、渡り線部149a以前の導線部分及び部分149d以後の導線部分は省略され、
図9以外の図において、渡り線部149aから斜行導入部149cまでの導線部分(コイル112以外の部分)は省略されている。渡り線部149aから斜行導入部149cまでの導線部分は、2個のコイル112同士を電気的に接続するコイル連絡導線となっている。
【0039】
図11〜
図13にも示される端子ユニット114は、内孔を有するリング状で絶縁性の樹脂製である端子ユニット本体150と、それぞれ導電性の金属製である3個の第1板金部材152a,第2板金部材152b,第3板金部材152cと、を備えている。
【0040】
端子ユニット本体150は、後部において、径方向外方へ突出する接続部ベース160を有している。接続部ベース160は、上下に延びる2個の隔壁162を挟み、左右に並ぶ3個のコップ部164を有するように形成されている。各コップ部164には、円筒状のネジボス166が入れられている。
又、端子ユニット本体150の周縁には、上下方向のネジ孔を有する複数(5個)のネジ孔部168が形成されている。各ネジ孔部168は、他の部分に対して径方向外方に突出しており、ネジボス部138と同様に配置されている。
更に、前のネジ孔部168の隣接部位と、左後のネジ孔部168の隣接部位と、右後のネジ孔部168の隣接部位とには、径方向外方に突出し更に上方に突出するピン部170がそれぞれ形成されている。ピン部170は、下から見て正三角形の各頂点に位置しており、ステータコア120の外溝131に対応して配置されている。
【0041】
又更に、端子ユニット本体150における前のネジ孔部168の径方向内方と、左後のネジ孔部168の径方向内方と、右後のネジ孔部168の径方向内方とには、後方に開いたネジ穴を有するネジボス部172が設けられている。各ネジボス部172は、端子ユニット本体150の他の部分に対して、径方向内方に突出している。
加えて、端子ユニット本体150における左前のネジ孔部168の径方向内方と、右前のネジ孔部168の径方向内方とには、
下方への突起を有する突起部174が設けられている。各突起部174は、端子ユニット本体150の他の部分に対して、径方向内方に突出している。
又、端子ユニット本体150の内面部であって、前のネジ孔部168と右前のネジ孔部168との間には、リブ176が径方向内方へ突出している。
更に、端子ユニット本体150の内面部であって、右前のネジ孔部168の隣接部位には、径方向外方へ凹む逃げ部178が設けられている。
又更に、端子ユニット本体150の前左,前右,後左,後右には、径方向外方へU字状に突出する突部179がそれぞれ設けられている。
【0042】
第1板金部材152aは、半円弧状であって、下から見てC字状の部材である。
第1板金部材152aの前端部と後端縁とには、上方へ突出するヒュージング端子180が設けられている。各ヒュージング端子180は、折返し部の先に、その折返し部に対して初期状態(ヒュージング前の状態)で上方へ開いた先端部を有している。尚、
図3〜
図8,
図11〜
図13において、ヒュージング端子180は初期状態で図示されている。
又、第1板金部材152aの後端部には、後方へ突出しており接続孔を有している接続片182が形成されている。
更に、第1板金部材152aの前右部には、突片184が径方向外方に突出しており、又径方向外方に“[”字状に迂回する迂回部186が形成されている。
一方、第2板金部材152bは、下から見てU字状の部材であり、第1板金部材152aと同様に、左右端部のヒュージング端子180と、後部の接続片182と、後左,後右の突片184と、を有している。
他方、第3板金部材152cは、下から見て逆C字状の部材であり、同様に、前端部及び後端縁のヒュージング端子180と、後部の接続片182と、前左,後左の突片184と、を備えている。
第3板金部材152cの前のヒュージング端子180は、第1板金部材152aの前のヒュージング端子180より右方に配置されており、第3板金部材152cと第1板金部材152aとは、下から見た場合、非接触状態で一部オーバーラップしている。
又、第2板金部材152bの右部と第1板金部材152aの下部も、同様にオーバーラップしており、第2板金部材152bの左部と第3板金部材152cの下部も、同様にオーバーラップしている。
【0043】
端子ユニット114は、端子ユニット本体150、並びに第1板金部材152a、第2板金部材152b及び第3板金部材152cが、ステータコアアッセンブリ110と同様に一体成形されて形成される。
第1板金部材152a、第2板金部材152b及び第3板金部材152cは、互いに接触しない状態で、それらの厚みの方向である上下方向に並べられ、同心円弧状に配置される。
一体成形の際、突部179と、対応する突片184とが合わせられることで、端子ユニット本体150と、第1板金部材152a、第2板金部材152b及び第3板金部材152cとの位置決めがなされる。突片184の一部は、突部179に覆われずに露出している。但し、第3板金部材152cの左の突片184は、ピン部170に合わせられ、露出しない。
又、端子ユニット本体150の逃げ部178と、第1板金部材152aの迂回部186が合致する。
第1板金部材152a、第2板金部材152b及び第3板金部材152cの各ヒュージング端子180、及び各接続片182は、端子ユニット本体150から出ている。各接続片182は、隔壁162で仕切られており、対応するネジボス166を覆っている。接続部ベース160、各ネジボス166、及び各接続片182は、合わせてステータ側接続部187を形成する。
【0044】
端子ユニット114は、各ネジ孔部168を、対応するネジボス部138に合わせ、これらにネジ188を入れることで、インシュレータ122の下側に取り付けられる。
このとき、端子ユニット114の各ピン部170の先端部170aが、ステータコア120の対応する外溝131に入り、端子ユニット114が確実にステータコアアッセンブリ110に対して位置決めされる。
又、初期状態の各ヒュージング端子180が、対応するヒュージング端子入れ140における第1突体142と第2突体144との間に入り、コイル112をつなぐ渡り線部149aを囲む。そして、各ヒュージング端子180が閉じられて渡り線部149aが挟まれた状態で、通電等による加熱が行われれば、渡り線部149aとこれに対応するヒュージング端子180とが、熱かしめにより溶接されて(ヒュージング)、後述の電源線198や、コントローラ32ないしバッテリパック37以外のコイル112の回路が形成される。
更に、第2突体144における内側の突出部(インシュレータ122の最下部)は、取り付けられた端子ユニット114の下面からはみ出さない。
又更に、ステータ側接続部187が、インシュレータ122の接続部ガード136の上方に配置される。
【0045】
端子ユニット114のステータ側接続部187には、電源線側接続部190が、着脱自在に接続される。
電源線側接続部190は、上下左右に広がる接続部ベース192と、接続部ベース192の前部から側面視Γ字状に突出した顎部194と、顎部194の上面部と平行な状態で顎部194の下部から立てられて孔の空いた先端部が露出した3枚の端子板196と、対応する端子板196に接続される3本の電源線198の端部と、を備えている。
各端子板196とこれに対応する電源線198とは、接続部ベース192の前部と顎部194の後部で挟まれ、その挟まれた部分から上方に突出した部分において、電源線198の被覆除去により形成された芯線露出部と端子板196の端部とが接着されることで、接続部ガード136の後方において互いに接続される。各電源線198は、下方に延び、コントローラ32に達する。即ち、各電源線198における端子ユニット114に隣接する部分の方向は、下方である。
各端子板196が、ステータ側接続部187の対応する接続片182と接触した状態で、端子板196の孔と接続片182の接続孔とにネジ200を入れることで、ステータ側接続部187に電源線側接続部190が接続される。各ネジ200は、対応するネジボス166にも入る。左右に並ぶ端子板196の間には、隔壁162が入る。顎部194及び各端子板196は、端子ユニット114における接続部ベース160の各コップ部164の上側及び後側と、各接続片182の下側とを覆う。
かような接続により、電源線198やコントローラ32等を含めたコイル112の回路が形成される。
又、各ネジ200を外せば、端子ユニット114のステータ側接続部187から、電源線側接続部190及び各電源線198を、再接続可能に外すことができる。
【0046】
センサ基板116は、リング状あるいはドーナツ状の基板であり、端子ユニット本体150の内孔の径方向内側に収まる外径を有している。
センサ基板116は、ロータ14の永久磁石92の位置を検出して回転検出信号を出力する複数(3個)の回転検出素子(図示略)を搭載している。
センサ基板116は、それぞれ外周部から径方向内方に向かう、3個のノッチ210と、1個のリブ受け212と、を有している。ノッチ210は、端子ユニット本体150のネジボス部172に対応するように配置され、リブ受け212は、端子ユニット本体150のリブ176に対応するように配置される。
又、センサ基板116は、前部の左右に、ピン孔214を有している。各ピン孔214は、端子ユニット本体150の突起部174の突起に対応するように配置されている。
更に、センサ基板116の後辺は、左右方向に延びる直線として形成されており、その内側に、回転検出素子の回転検出信号を伝える複数の信号線(図示略)が、コネクタ(図示略)を介して接続されている。コネクタにおける接続を解除すれば、信号線がセンサ基板116から再接続可能に離脱する。
【0047】
センサ基板116は、各ノッチ210に端子ユニット114のネジボス部172のネジ穴周りの筒状部分を入れ、リブ受け212に端子ユニット114のリブ176を入れるようにして、端子ユニット114の内孔の径方向内側に、位置決めのうえで配置される。
センサ基板116の各ピン孔214には、対応する突起部174の突起が入り、これによっても、センサ基板116は、端子ユニット114に対して位置決めされる。
端子ユニット114のネジボス部172、リブ176、及び突起部174は、それぞれセンサ基板116をその取り付け位置に導く案内部となっている。
【0048】
基板押さえ部材118は、リング状で樹脂製の絶縁部材である。
基板押さえ部材118は、センサ基板116の各ノッチ210と同様に配置されておりネジ孔を有するネジ孔部220と、リブ受け212と同様に形成されるリブ受け222と、各ピン孔214と同様に配置されるピン孔224と、後部において他の部分より下方及び前方に浮き上がるように形成されたブリッジ部226と、を備えている。
基板押さえ部材118の外周部、及びネジ孔部220の外周部、並びにブリッジ部226の左右両辺部は、基板押さえ部材118の他の部分に対して円筒状あるいは板状に後方に突出しており、基板押さえ部材118やネジ孔部220、ブリッジ部226が補強されあるいは形成されている。
【0049】
基板押さえ部材118は、リブ受け222に端子ユニット114のリブ176を入れるようにし、又各ピン孔224に対応する突起部174の突起を入れるようにして、端子ユニット114の径方向内側であってセンサ基板116の
下側に、位置決めのうえで配置される。
かように配置された状態で、各ネジ孔部220のネジ孔と端子ユニット114のネジボス部172のネジ穴に、ネジ228を入れることにより、基板押さえ部材118が、端子ユニット114に対して取り付けられる。基板押さえ部材118は、かように取り付けられることにより、センサ基板116を、端子ユニット114との間で挟んで押さえ、端子ユニット114に対して相対移動不能に取り付ける。又、ネジ228が外されることで基板押さえ部材118が外されれば、ヒュージング端子180のヒュージング後でステータコアアッセンブリ110と端子ユニット114が分離困難になっていても、センサ基板116を再設置可能に取り外すことができる。センサ基板116や基板押さえ部材118の着脱は、端子ユニット本体150に設けられた逃げ部178において、端子ユニット114と非接触となった各部分を操作することで、簡単に行える。
ブリッジ部226は、センサ基板116の下面や端子ユニット本体150の内周面からから離れており、センサ基板116に着脱可能に接続される信号線は、ブリッジ部226により、下方に案内され、コントローラ32に向かう。即ち、信号線におけるセンサ基板116に隣接する部分の方向は、下方である。
【0050】
次いで、このようなハンマドリル1の動作例が説明される。
作業者によりトリガ28の押込み操作がなされると、プランジャ26が押下されてスイッチ24がオンとなり、コントローラ32にオン信号が伝達される。
オン信号を受信したコントローラ32は、マイコンにより、
センサ基板116の回転検出信号を信号線から得て、ブラシレスモータ10のロータ14の回転状態を取得し、取得した回転状態に応じて各スイッチング素子のオンオフを制御し、ステータ12のUVW各相のコイル112に対し順番に励磁電流を流すことでロータ14を回転させる。スイッチ24は、プランジャ26の押し込み量に応じた信号をコントローラ32に送信し、コントローラ32は、ロータ14が当該押し込み量に応じた(例えば押し込み量が大きいほど速い)回転速度となるように制御する。
【0051】
ロータ14の回転により、モータ軸16が回転し、モータ軸16の回転は、ギヤ52を介して中間軸50に減速のうえで伝わる。更に、中間軸50のかさ歯58が、かさ歯車59を介して、減速のうえでツールホルダ8を自身の前後方向の中心軸周りで回転させて、ツールホルダ8の先端工具保持部7に装着された先端工具に回転力が付与される。ハンマドリル1は、この回転力を発生する機構である動力伝達機構42等により、被加工材を回転力で加工する動作(ドリル動作)を行う。
他方、モータ軸16の回転は、ギヤ62を介してクランク軸60に減速のうえで伝わる。
クランク軸60のクランクピン72は、コネクティングロッド64を介して、ピストン66をシリンダ74内で前後に往復動させる。ピストン66の往復動により、空気室80内の空気が弾性体として作用し、その作用によりストライカ82が前後に往復動する。ストライカ82は、往復動により、インパクトボルト9に連続して衝突し、その衝撃力がツールホルダ8の先端工具保持部7に装着された先端工具に伝達されて、前後方向への打撃力を発生する。ハンマドリル1は、この打撃力を発生する機構である打撃機構44等により、被加工材を打撃する動作(ハンマ動作)を行う。
【0052】
又、モータ軸16の回転に伴って遠心ファン106が回転すると、ハウジング2に形成された吸気口(図示略)から空気が吸い込まれ、ステータ12の外側及び内側(ロータ14との間)を通って、モータハウジング20における遠心ファン106側方部分に形成された排気口(図示略)から排出され、ブラシレスモータ10が冷却される。
このとき、ステータ12の内側を通る空気は、ステータコアアッセンブリ110,端子ユニット114,センサ基板116,基板押さえ部材118それぞれの内側を通過し、ステータコアアッセンブリ110における各コイル112は、スロットやその周囲を通過する空気により、効果的に冷却される。
【0053】
続いて、かようなハンマドリル1が奏し得る作用効果が説明される。
ハンマドリル1は、複数のコイル112が保持されるステータ12と、ステータ12に対して回転可能なロータ14と、複数のコイル112と電気的に接続される複数のヒュージング端子180を有する端子ユニット114と、を備えている。よって、各ヒュージング端子180の配置に関し、インシュレータ122に設けられる場合に比べて自由度が高く、コイル112の個数の増加や、2直列2並列のデルタ結線といった比較的に複雑な回路構成等に、対応し易い。
更に、ハンマドリル1は、端子ユニット114に接続される電源線198を備えている。よって、電源線198が接続し易く、組立性に優れる。
又、ハンマドリル1は、ステータコア120と、ステータコア120に保持されるインシュレータ122と、インシュレータ122に保持される複数のコイル112と、複数のコイル112と電気的に接続され、ステータコア120と係合する端子ユニット114と、ステータコア120に対して回転可能なロータ14と、を備えている。よって、コイル112に係る電気的接続構造の自由度が高く、コイル112の個数の増加等に対応し易い。又、端子ユニット114が強固なステータコア120に対して係合することで、端子ユニット114のステータコア120に対する位置の精度が向上し、端子ユニット114にセンサ基板116が搭載される場合には、センサ基板116(回転検出素子)のロータ14(永久磁石92)に対する位置の精度が向上する。
更に、端子ユニット114は、インシュレータ122に対して、ネジ188によりネジ止めされる。よって、端子ユニット114を簡単に取り付けることができる。
【0054】
加えて、ハンマドリル1は、ステータコア120と、ステータコア120に保持されるインシュレータ122と、インシュレータ122に保持される複数のコイル112と、複数のコイル112と電気的に接続される端子ユニット114と、ステータコア120に対して回転可能なロータ14と、複数のコイル112に電力を供給するための電源線198と、を備えており、電源線198は、端子ユニット114に、着脱自在に接続される。よって、コイル112に係る電気的接続の自由度が高く、コイル112の個数の増加等に対応し易い。又、端子ユニット114から電源線198を取り外すことで、モータ10やコントローラ32の何れかについて、故障が発生したり点検を要したりした場合に、個別に取り出すことができ、修理や交換、点検の手間やコストが低減される。
又、電源線198は、端子ユニット114に対し、ネジ200によりネジ止めされるから、電源線198に係る着脱自在な接続がシンプルに実現される。
更に、電源線198は、3本存在して、それぞれ端子板196を有しており、端子ユニット114に、端子板196を介して接続され、端子ユニット114における電源線198のステータ側接続部187は、3枚の端子板196を隔てる2個の隔壁162を有している。よって、電源線198が、ステータ側接続部187に対して、簡単で適切且つ着脱自在に接続される。
又更に、端子ユニット114は、ステータコア120側に突出するピン部170を有しており、ステータコア120は、ピン部170が係合する被係合部としての外溝131を有しており、ピン部170において、ステータコア120の外溝131に係合する。よって、端子ユニット114は、樹脂製のインシュレータ122のみに保持される場合に比べて、金属製のステータコア120に対しても係合することとなり、インシュレータ122のたわみにより微細に移動しあるいは姿勢変化する事態が防止される。従って、端子ユニット114のステータコア120に対する位置の精度が向上し、端子ユニット114にセンサ基板116が搭載される場合には、センサ基板116(回転検出素子)のロータ14(永久磁石92)に対する位置の精度が向上する。
又、ハンマドリル1は、ロータ14の回転を検出して回転検出信号を出力する回転検出素子を有し、端子ユニット114に取り付けられるセンサ基板116と、センサ基板116に接続され、回転検出信号を伝達する信号線と、を備えており、信号線におけるセンサ基板116に隣接する部分の方向と、電源線198における端子ユニット114に隣接する部分の方向と、が共に下方である。よって、信号線及び電源線198の配線が行い易い。
【0055】
一方、ハンマドリル1は、複数のコイル112が保持されるインシュレータ122と、複数のコイル112と電気的に接続され、インシュレータ122に取り付けられる端子ユニット114と、インシュレータ122に対して回転可能なロータ14と、ロータ14の回転を検出し、端子ユニット114に取り付けられるセンサ基板116と、を備えており、センサ基板116は、端子ユニット114がインシュレータ122に取り付けられた状態で、端子ユニット114から取り外し可能である。よって、端子ユニット114を外さなくてもセンサ基板116を取り外すことができ、センサ基板116の修理、交換、あるいは点検が容易で、モータ10に関連する故障時や点検時等の手間やコストが低減される。
又、ハンマドリル1は、複数のコイル112が保持されるインシュレータ122と、複数のコイル112と電気的に接続され、インシュレータ122に取り付けられる端子ユニット114と、インシュレータ122に対して回転可能なロータ14と、ロータ14の回転を検出し、端子ユニット114に取り付けられるセンサ基板116と、を備えており、端子ユニット114が取り付けられた後で、センサ基板116が取り付けられる。よって、端子ユニット114を外さなくてもセンサ基板116を取り外すことができ、センサ基板116の修理、交換、あるいは点検が容易で、モータ10に関連する故障時や点検時等の手間やコストが低減される。
【0056】
更に、センサ基板116は、絶縁材である樹脂製の基板押さえ部材118によって取り付けられる。よって、センサ基板116が、電気的作動への影響のない状態で、確実に取り付けられる。又、ネジ228や基板押さえ部材118を外すことにより、センサ基板116が取り外される。
又更に、端子ユニット114は、センサ基板116を取り付け位置に導く案内部(ネジボス部172,リブ176,突起部174)を有する。よって、センサ基板116が確実に所望の取り付け位置に取り付けられ、回転検出素子の永久磁石92に対する位置の精度が良好となって、ロータ14の回転が精度良く検出され、ロータ14の回転制御がより確実になり、ロータ14の回転が一層安定する。
加えて、端子ユニット114は、内孔を有するリング状であり、センサ基板116は、端子ユニット114の内孔の内側に配置されている。よって、モータ軸16の軸方向である上下方向において、端子ユニット114とセンサ基板116が重なる分だけ短くなり、モータ10がよりコンパクトになる。
【0057】
他方、ハンマドリル1は、ステータコア120と、ステータコア120に一体成形されるインシュレータ122と、インシュレータ122に保持される複数のコイル112と、ステータコア120に対して回転可能なロータ14と、を備えている。よって、前インシュレータと後インシュレータが別体である場合のように、絶縁距離確保のためにオーバーラップ部分を設ける必要がなく、コイル112を大きくして出力を大きくし、あるいは出力を維持したままコンパクトにすることができる。又、一体成形によって、ステータコア120にインシュレータ122が固定された状態のステータコアアッセンブリ110が得られ、モータ10の組立性が良好である。更に、一体成形という形成自体により、インシュレータ122の強度が向上し、端子ユニット114のネジボス部138やヒュージング端子入れ140といった取り付け部や受け入れ部がインシュレータ122に設けられた場合には、その取り付け部や受け入れ部の強度が向上する。
又、ステータコア120は、コイル112を保持する複数のティース130を有しており、インシュレータ122は、複数のティース130の先端部以外を被覆するティース被覆部132を有している。よって、コイル112を保持するための各ティース130が、一体成形されたティース被覆部132で被覆され、出力を確保しながらコンパクトになるし、組立性や強度が良好である。
更に、インシュレータ122は、一連に配置される。よって、インシュレータ
122がステータコア120に対してコンパクトに配置されるし、ステータコア120の内側や上下に一連に回り込むことで、ステータコア120に対して強固に取り付けられ、インシュレータ122における各種の取り付け部や受け入れ部も強固となる。
【0058】
加えて、ハンマドリル1は、周方向に並べられた複数のティース130を有するステータコア120と、ステータコア120に対して回転可能なロータ14と、複数のティースを覆うティース被覆部132、及び複数のティース被覆部132の何れかに対応する突端部146を有し、ステータコア120に保持されるインシュレータ122と、複数のティース被覆部132に対してそれぞれ巻かれた複数のコイル112と、複数のコイル112のうちの2個を電気的に接続するコイル連絡導線(渡り線部149a,ターン部149b,斜行導入部149c)と、を備えており、ティース被覆部132の一つの面Fと、当該ティース被覆部132に対応する突端部146とは、周方向において互いにずれており、コイル連絡導線(ターン部149b)は、突端部146に掛けられて、ティース被覆部132の面Fに導入される。よって、突端部146から面Fへの導線は、上下方向に対して斜めに導入され(斜行導入部149c)、上下方向に導入される場合と異なり、面Fに掛かることとなって、導線が面Fに適切に定着し易くなる。ティース被覆部132に導入される導線が正しく定着すれば、ティース被覆部132における導線の一巻き目が適切に形成され、二巻き目以降は以前の巻き線に倣って適切に形成され、ティース被覆部132に巻かれた巻き線としてのコイル112が適切に形成される。
又、インシュレータ122は、ステータコア120と一体成形されるため、突端部146がより強固に形成され、ターン部149bの形成時に、導線の押し付けにより突端部146がたわんで導線がずれる事態が防止される。
【0059】
更に、突端部146は、インシュレータ122における他の部分に対して突出するヒュージング端子入れ140の第2突体144の延設部145の端辺部を含み、又、突端部146は、インシュレータ122における他の部分に対して凹む凹み147の端辺部を含む。よって、突端部146がシンプルで有効に形成される。
又、ティース被覆部132は、コイル連絡導線(斜行導入部149cの端部)を掛ける溝135を有している。よって、斜行導入部149cがティース被覆部132の適切な位置により確実に導入される。
更に、各半分のコイル112及びコイル連絡導線は、一連の導線により形成されている。よって、電気的な接合部が少なくなり、構成がシンプルで電気的な特性に優れたコイル112の回路が提供される。
又更に、複数のコイル112と電気的に接続される複数のヒュージング端子180を有する端子ユニット114を備えており、インシュレータ122は、ヒュージング端子180が入るヒュージング端子入れ140を有しており、ヒュージング端子入れ140及び突端部146は、互いに連接している。よって、導線の正しい導入のための突端部146と、ヒュージング端子180を囲むヒュージング端子入れ140とが、共通の部分としてコンパクトで容易に形成される。
【0060】
尚、本発明は上記形態に限定されず、例えば次のような変更が適宜施される。
モータについて、ブラシ付きモータ等の他の種類のものが用いられても良い。又、DC(充電式)のモータに代えて、AC(交流式)のモータとされても良い。
ハウジングについて、モータハウジングと出力ハウジングとハンドルハウジングと下部ハウジングの少なくとも何れか2つが一体とされたり、これらのハウジングの少なくとも何れかを更に分割したりする等、その構成は様々に変更されても良い。
複数の電源線は、共通の電源線側接続部の接続部ベースや顎部でまとめられず、個々に着脱自在とされても良い。又、電源線の着脱自在な接続は、ネジ止めに代えて、あるいはネジ止めと共に、爪(接続突起部)と爪受け(被接続部)によるもの等とすることができる。
センサ基板は、端子ユニットに取り付けられず、インシュレータに取り付けられても良い。又、センサ基板は、端子ユニットとインシュレータの双方に取り付けられても良い。
インシュレータは、分割されていても良い。
案内部は、ネジボス部,リブ,突起部の何れか1つあるいは2つであっても良いし、他の種類のものが追加されても良い。
コイルに係る導線を掛けるための、第2突体の延設部の突端部及び凹みのうち、何れか一方が省略されても良い。第2突体の延設部の突端部が省略されて凹みのみとなった場合、凹みの底を形成する部分の両側から立ち上がる2つの部分のうちの一方が、導線を掛ける突端部となる。
コイルに係る導線は、上記形態とは逆の方向に巻かれても良いし、当該導線を掛けるための突端部や凹みは、上記形態とは周方向において逆側(第1突体側)に配置されても良い。
電源線やコイルに係る導線、信号線やその他のリード線の少なくとも何れかは、例えばコイル連絡導線がコイルと別のリード線とされて互いに電気的に接続されるようにする等、複数の短線が電気的に接続されたものであっても良い。
【0061】
インシュレータが紙製とされたり、中間軸やギヤの数が増減されたり、バッテリ装着部に代えて電源コードが設けられて商用電源駆動とされたり、ドリル動作に係る機構及びハンマ動作に係る機構の一方が省略されたり、コイルやヒュージング端子や電源線の数が増減されたり、コイルの導線を案内する溝がティース被覆部の根元を一周するように設けられたり、当該溝がより少なくあるいは短くされたり、各種のネジやネジ孔等の数が増減されたり、端子ユニットの突起部や孔の数が増減されたり、端子ユニットのステータコアに対する係合部(ピン部)や被係合部(外溝)の数が増減されたり、これら係合部及び被係合部の係合が一対の突起間へのリブの挿入とされたり、他の係合部や接続部、ネジ止め部、保持部、取り付け部が他の構造や形式のものに変更されたりする等、各種部材や部分の個数、配置や設置の有無、材質や構造、形式等は適宜変更されて良い。
更に、他の形式のハンマドリルや他の電動工具等に、本発明が適用されても良い。例えば、高出力の製品に適用され、大型のチェーンソー、芝刈り機、大型のブロワ、大型のグラインダに適用される。