【実施例1】
【0018】
次に、実施例1に係る斜行補正装置130の構成及び動作について説明する。
図1に示すように、斜行補正装置130は、レジストレーションローラ対(以下、レジローラ対)131と、その上流に配置されたレジ前ローラ対132と、を含むシート搬送装置である。以下、レジ前ローラ対132及びレジローラ対131を介して順にシートが移動する方向をシート搬送方向とする。
【0019】
レジ前ローラ対132は、回転可能な第1搬送部材及び第2搬送部材の間にシートを挟持して搬送可能な第1搬送手段に相当する。レジローラ対131は、シートの前端、つまりシート搬送方向における下流端に当接することでシートの斜行を補正可能、かつシートを挟持して搬送可能な第2搬送手段に相当する。
【0020】
本実施例に係る画像形成装置100は、装置本体100Aの内部を上方に搬送されるシートSに対して画像を形成する垂直搬送型(
図1参照)の構成である。そして、装置本体100Aの側面に配置される手差し給送部115から給送されるシートSは、湾曲したシート搬送路133を介して二次転写部へ向かって搬送される。即ち、シート搬送路133は、シート搬送方向に直交する幅方向から視た場合に、レジローラ対131に近付くにつれて略水平方向から略上下方向に向かって湾曲した形状を有する。
【0021】
ところで、記録媒体として用いられるシートの多様化に伴い、画像形成装置に用いられるシート搬送装置は剛度の異なる様々な種類のシートを安定して搬送可能であることが求められている。厚紙等、剛度の高いシートは、搬送抵抗が大きくなる傾向があるため、レジ前ローラ対132のニップ圧を高く設定してシートを挟持する力を高めて、レジローラ対131によるシートの搬送を補助させることが考えられる。
【0022】
しかしながら、レジ前ローラ対132のニップ圧が常に高くなるように構成した場合、レジローラ対131がシートSの搬送を開始する際にシートSのシワが発生する懸念があった。即ち、レジローラ対131が回転を開始する前の状態では、シートSの前端がレジローラ対131のニップ部に突き当てられて、レジ前ローラ対132とレジローラ対131の間のループ空間にシートSがループを形成する。この状態では、レジローラ対131の付近でシートSの面外変形が生じていることがあり、レジローラ対131が回転を開始した際に、面外変形を生じている部分がレジローラ対131に挟まれてシートSにシワが生じることがあった。このようなシートのシワは、面外変形が生じやすい比較的剛度の低いシートを搬送する場合に生じる懸念が大きかった。
【0023】
そこで、本実施例では、レジ前ローラ対132がシートSを挟持する力をシートの種類に応じて切換可能に構成することで、レジローラ対131がシートSの搬送を開始する際のシワの発生を低減している。以下、レジ前ローラ対132の加圧機構の構成について
図2〜
図6を用いて説明する。
図2は低圧でニップされた状態のレジ前ローラ対132及び加圧機構121を示す概略図であり、
図3及び
図4はレジ前ローラ対132及び加圧機構121を示す斜視図である。また、
図5及び
図6は、それぞれ高圧でニップされた状態及び離間した状態のレジ前ローラ対132及び加圧機構を示す概略図である。
【0024】
加圧機構121は、駆動ローラ134及び従動コロ135が当接した状態における当接圧を変更可能である。即ち、加圧機構121は、第1搬送手段を、第1搬送部材及び第2搬送部材が当接する第1状態と、第1搬送部材及び第2搬送部材が第1状態に比べて高い当接圧で当接する第2状態とを切換可能な切換手段の一例である。さらに、加圧機構121は、レジ前ローラ対132を駆動ローラ134及び従動コロ135が離間する離間状態(第3状態)に切換えることが可能である。
【0025】
図2に示すように、加圧機構121は、従動コロ135のコロ軸136と、コロ支持部材140と、引張バネ137と、復帰バネ145と、を含む。
図3に示すように、従動コロ135は、幅方向に延びる板状のコロ支持部材140に形成された開口部141を通してシート搬送路に露出するように配置されている。コロ支持部材140は、揺動軸142を中心にして、シート搬送路133を構成する搬送ガイド133a,133bに対して揺動可能な揺動部材である。コロ軸136は、コロ支持部材140に両端部を保持された引張バネ137の中央部を引掛けることでコロ支持部材140に支持され、コロ支持部材140の揺動に伴って駆動ローラ134の回転軸線に対して相対可能である。復帰バネ145は、搬送ガイド133aと一体の固定部材とコロ支持部材140との間に張設され、従動コロ135が駆動ローラ134から離間する方向にコロ支持部材140を付勢している。
【0026】
また、
図4に示すように、加圧機構121は、カム部材であるカム144と、コロ支持部材140と一体的に揺動するアーム143とを含む。加圧機構121は、カム144によってアーム143が押圧されることで、復帰バネ145の付勢力に抗してコロ支持部材140が揺動する。
【0027】
図5に示すように、レジ前ローラ対132が低圧でニップされた第1状態(破線参照)に比べてコロ支持部材140が駆動ローラ134に近付く方向に揺動すると、レジ前ローラ対132が高圧でニップされた第2状態となる。このとき、第1状態に比べて弾性部材である引張バネ137が引き伸ばされるため、引張バネ137の変形量に応じて第1状態より強い弾性力で従動コロ135が駆動ローラ134に押圧される。
【0028】
一方、
図6に示すように、コロ支持部材140が第1状態(破線参照)に比べて駆動ローラ134から遠ざかる方向に揺動すると、レジ前ローラ対132が離間する第3状態となる。即ち、コロ支持部材140がカム144の押圧力から解放されて復帰バネ145の付勢力に従って揺動することで、従動コロ135が駆動ローラ134から離間する。
【0029】
図7に示すように、加圧機構121のカム144及びレジ前ローラ対132の駆動ローラ134は、共通の駆動源であるレジ前駆動モータ202に接続されている。レジ前駆動モータ202の駆動力をカム144及び駆動ローラ134に伝達する駆動伝達部203は、正逆転可能なレジ前駆動モータ202の回転方向に応じてカム144及び駆動ローラ134のいずれか一方に駆動力を伝達する。即ち、レジ前駆動モータ202が第1方向に回転する(正回転とする)場合、駆動ローラ134に駆動力が伝達されてレジ前ローラ対132が回転駆動される一方で、加圧機構121は作動しない。反対に、レジ前駆動モータ202が第2方向に回転する(逆回転する)場合、カム144が回転してレジ前ローラ対132が第1〜第3状態の間で切換わる一方で、レジ前ローラ対132は回転駆動されていない状態となる。駆動伝達部203は、例えば駆動ローラ134及びカム144のそれぞれに対応するワンウェイクラッチが配置されることでこのような機能を達成する。
【0030】
また、レジ前ローラ対132及び加圧機構121によって構成されるレジ前搬送部には、レジ前ローラ対132の加圧状態を検知可能な検知手段として、カム144の回転角度を検知するカム角度検知センサ204が設けられている。カム角度検知センサ204は、例えば、コロ支持部材140と一体的に揺動するフラグ部材を検知する透過型の光電センサを用いることができる。
【0031】
以下、斜行補正装置130によるシート搬送動作の制御方法について、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0032】
図7に示すように、画像形成装置100には、制御手段の一例であるCPU回路部201が搭載されている。CPU回路部201は、プログラム及びデータを一時的又は永続的に記憶するメモリ206と、プログラムを実行可能な演算装置としての中央処理装置(CPU)205とを含む。CPU回路部201は、液晶パネル及び各種のボタンを含みユーザーインターフェースとして機能する操作部200からの入力信号を受取っている。CPU回路部201は、レジ前駆動モータ202その他のアクチュエータを駆動制御することにより、斜行補正装置130の動作を制御する。
【0033】
CPU205は、メモリ206から読み出したプログラムを実行することにより、
図8に示すフローチャートの各工程の機能を実現する。CPU205は、画像形成装置100に対して画像の出力を指示するプリントジョブが入力されるまで、待機状態を継続する(S1)。このとき、レジ前ローラ対132は離間状態に保持されている。
【0034】
記録媒体として使用するシートSの坪量が操作部200を介して入力された状態でプリントジョブの実行指示が検知されると(S2)。シートSの坪量Nに応じた制御(S3〜S10)が開始される。坪量Nが第1基準値よりも小さい場合(N<N1)、レジ前ローラ対132を離間した状態に維持することが決定される(S3)。一方、坪量Nが第1基準値以上かつ第2基準値未満(N1≦N<N2)の中間領域であるシートの場合、レジ前ローラ対132が低圧でニップされることが決定される(S4:Yes)。さらに、坪量Nが第2基準値以上(N≧N2)である場合、レジ前ローラ対132が高圧でニップされることが決定される(S4:No)。そして、カム角度検知センサ204からの検知信号に応じてレジ前駆動モータ202が正回転することで、レジ前ローラ対132は低圧又は高圧でニップされた状態となる(S5,S6)。
【0035】
言い換えると、第1の坪量を有するシートを搬送する場合、第1搬送手段が第1状態に設定された第1モードとなり、第1の坪量より大きい第2の坪量を有するシートを搬送する場合、第1搬送手段が第2状態に設定された第2モードとなる。また、第1の坪量より小さい第3の坪量を有するシートを搬送する場合、第1搬送手段が第3状態に設定された第3モードとなる。第1の坪量を有するシートとは、例えば60gsm〜300gsmの範囲の普通紙であり、この場合、第2の坪量は300gsm以上の厚紙、第3の坪量は60gsm未満の薄紙に対応する。
【0036】
加圧機構121によってレジ前ローラ対132の加圧状態が適切に設定されると、レジ前駆動モータ202が逆回転を開始してレジ前ローラ対132が回転駆動される(S7)。レジ前ローラ対132のニップ部を通過したシートSは、停止状態のレジローラ対131に突き当たることでループを形成し、シートSの斜行が補正される(S8〜S10)。具体的には、レジローラ対131の付近に配置される検知センサによってシートSの前端が検知された後、レジ前ローラ対132又はその上流側の搬送ユニットの駆動が一定時間継続されることで、シートSのループが形成される。
【0037】
このとき、レジ前ローラ対132が離間状態である場合、レジ前ローラ対132が当接状態である場合に比べて余分にシートSの搬送が行われる(S10)ことで、相対的に大きなループが形成される。言い換えると、第1モード又は第2モードでは、第2搬送手段にシートが当接してから第1搬送手段によって第1の搬送量でシートが搬送されることでシートのループが形成される。一方、第3モードでは、第2搬送手段にシートが当接してから上流側搬送手段によって第1の搬送量より大きい第2の搬送量でシートが搬送されることでシートのループが形成される。ただし、上流側搬送手段とは、第1搬送手段より上流に配置されてシートを第1搬送手段に向かって搬送する搬送ローラ対等であり、例えば
図1の給送ユニット117又は引抜ローラ対113がこれに相当する。これにより、シートSを挟持するローラ対の間隔が広がる第3モードにおいても、斜行補正に有効なレジ前ローラ対132とレジローラ対131の間のループを確保することができ、第1モード及び第2モードと同程度の精度で斜行補正を実現することができる。
【0038】
その後、レジローラ対131の回転を開始することで、斜行が補正された状態のシートSが二次転写部へ送り出される(S11)。このとき、レジ前ローラ対132が強く当接している第2モードでは、当接圧が比較的低い第1モードに比べてシートSが強く挟持されるため、第1モードに比べて強い搬送力をシートSに付与する。そして、シートSは二次転写部において画像を転写された後、排出トレイへと排出され、プリントジョブが終了する(S12)。
【0039】
プリントジョブの終了後、新たなジョブの投入がなく待機状態が継続して、斜行補正装置130によるシートの搬送が所定時間行われない場合、レジ前駆動モータ202が正回転してレジ前ローラ対132が離間した状態に切換わる。その後、新たなプリントジョブが投入された場合には、上記のフローが繰返される。なお、複数のプリントジョブがスタックされていた場合等、プリントジョブの終了後に続けて次のジョブが実行される場合には、次のジョブのシートの坪量に応じてレジ前ローラ対132の状態を変更すればよい。
【0040】
このように、レジ前ローラ対132は、加圧機構121により、低圧でニップされた状態、高圧でニップされた状態、及び離間した状態に切換可能に構成される。言い換えると、本実施例に係る第1搬送手段は、シートを弱く挟持する第1状態、シートを強く挟持する第2状態、及びシートの挟持が解放される第3状態に切換可能である。そして、シートの種類に応じて第1搬送手段の状態を適宜切換える切換動作を行うことが可能となり、シート搬送動作の安定性とシワの低減とを両立することができる。
【0041】
具体的には、剛度が高く、搬送抵抗が大きくなる傾向のある厚紙等のシートについては、レジ前ローラ対132が高圧でニップされた第2状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるモード(第2モード)が選択される。これにより、レジローラ対131(第2搬送手段)によるシートの搬送がレジ前ローラ対132(第1搬送手段)によって補助され、シートの不送りの可能性を低減してシート搬送動作の安定性を向上させることができる。
【0042】
剛度が低く、面外変形の生じ易い薄紙等のシートについては、レジ前ローラ対132が離間した第3状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるモード(第3モード)が選択される。これにより、レジローラ対131の付近におけるシートの面外変形を緩和された状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるため、シワの発生を抑制することができる。
【0043】
なお、剛度が中程度である普通紙等のシートについては、レジ前ローラ対132が低圧でニップされた第1状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるモード(第1モード)が選択される。これにより、レジローラ対131(第2搬送手段)によるシートの搬送がレジ前ローラ対132(第1搬送手段)によって補助される。ここで、レジ前ローラ対132の加圧力が第2状態に比べて弱いことから、普通紙程度の剛度であっても、シートのスリップがある程度許容される。このため、斜行補正に伴って形成される幅方向に非対称なループに起因する応力が、レジ前ローラ対132に対するシートのスリップによって解放され、レジローラ対131から送り出されるシートの傾き(斜行戻り)が防がれる。つまり、第1モード及び第2モードの切換えにより、第1搬送手段がシートの剛度に合わせた適切な挟持力でシートを挟持することができるから、第2搬送手段によるシート搬送の補助とシートに作用する応力の低減とを両立することができる。
【0044】
また、本実施例では、レジ前ローラ対132が低圧又は高圧でニップされた状態でプリントジョブが終了した後、一定時間が経過するとレジ前ローラ対132を離間した状態に切換える動作(S13)が行われる。これにより、待機状態におけるレジ前ローラ対132及び加圧機構121の負荷を低減して、装置の耐久性向上を図ることができる。例えば、高圧のニップ状態を実現する強い引張バネ137を使用する場合であっても、引張バネ137の弾発力によって駆動ローラ134又はコロ支持部材140のクリープ変形が生じることを防ぐことが可能である。
【0045】
(変形例)
本実施例では、レジ前ローラ対132の加圧状態を3段階に切換えているが、当接状態における加圧力をより細かく制御してもよい。また、シートSの坪量に応じてレジ前ローラ対132の加圧状態を変更する構成に限らず、例えばコート紙等の表面加工の有無や封筒等の特殊な形状のシートであるか否かによって加圧状態を変更してもよい。
【0046】
また、本実施例では、レジローラ対131のニップ部にシートSの前端を突き当てることでシートSの斜行を補正しているが、レジローラ対の付近に配置されたシャッタ部材にシートSの前端を突き当てる構成としてもよい。その場合、シャッタ部材を退避させてシートSがレジローラ対に挟持されることでレジローラ対によるシートSの搬送が可能となる。
【実施例2】
【0047】
次に、実施例2に係るシート搬送装置である斜行補正装置について、
図9〜
図11を用いて説明する。本実施例に係る斜行補正装置は、レジ前ローラ対の加圧機構の構成が上記実施例1と異なっている。その他、実施例1と共通する要素には実施例1と同符号を付して説明を省略する。
【0048】
図9に示すように、レジ前ローラ対132の従動コロ135を回転可能に支持する軸受部材146は、規制面147,147によって駆動ローラ134に対して接近及び離間する方向に移動可能に支持されている。従動コロ135は、軸受部材146が切換手段の他の例である加圧機構122によって動かされることで、駆動ローラ134に当接及び離間する。
【0049】
加圧機構122は、コロ支持部材149と、ストッパ148と、圧縮バネ138と、を含む。コロ支持部材149は、実施例1と同様のカム機構(
図4参照)により、揺動軸142を中心にして揺動可能な揺動部材である。軸受部材146は、駆動ローラ134の回転軸線から遠ざかるように延びてコロ支持部材149を貫通する突起部146aを有し、圧縮バネ138は突起部146aの外周側に配置されている。これにより、弾性部材である圧縮バネ138は、伸縮方向を規制面147によって規制された軸受部材146の移動方向に合わせた状態で、コロ支持部材149と軸受部材146との間に配置されている。また、突起部146aの先端にはストッパ148が取付けられ、コロ支持部材149が図中時計回り方向に揺動することでストッパ148を介して軸受部材146が引っ張られるように構成される。
【0050】
図9に示すレジ前ローラ対132は低圧でニップされた状態(第1状態)であり、圧縮バネ138がコロ支持部材149に反力をとって軸受部材146を押圧している。これにより、従動コロ135は、圧縮バネ138の弾性及びコロ支持部材149の位置によって定まる加圧力で駆動ローラ134に押圧される。
【0051】
図10に示すように、レジ前ローラ対132を高圧でニップされた状態(第2状態)とする場合、第1状態(破線参照)に比べてコロ支持部材149が軸受部材146に近付く方向に揺動する。これにより、第1状態に比べて圧縮バネ138が圧縮されるため、従動コロ135はより強い加圧力で駆動ローラ134に押圧される。従って、レジ前ローラ対132がシートSを挟持する力(ニップ部N1におけるニップ圧)が第1状態に比べて強くなる。
【0052】
図11に示すように、レジ前ローラ対132を離間させた状態(第3状態)とする場合、第1状態(破線参照)に比べてコロ支持部材149が軸受部材146から離間する方向に揺動する。これにより、ストッパ148を介して軸受部材146が駆動ローラ134の回転軸線から遠ざかる方向に引っ張られて、従動コロ135が駆動ローラ134から離間する。そして、レジ前ローラ対132のニップ部が開放されて、レジ前ローラ対132はシートSを挟持しない状態となる。
【0053】
本実施例に係る加圧機構122を備えた斜行補正装置は、実施例1と同様の制御方法によって制御することが可能である。即ち、剛度が中程度である普通紙等のシートについては、レジ前ローラ対132が低圧でニップされた第1状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるモード(第1モード)が選択される。剛度が高い厚紙等のシートについては、レジ前ローラ対132が高圧でニップされた第2状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるモード(第2モード)が選択される。また、剛度が低い薄紙等のシートについては、レジ前ローラ対132が離間した第3状態でレジローラ対131によるシートの搬送が開始されるモード(第3モード)が選択される。
【0054】
このように、本実施例においても、第1搬送手段に相当するレジ前ローラ対132は、加圧機構121により、低圧でニップされた状態、高圧でニップされた状態、及び離間した状態に切換可能に構成される。これにより、シートの種類に応じて第1搬送手段の状態を適宜切換えることが可能となり、シート搬送動作の安定性とシワの低減とを両立することができる。
【0055】
また、本実施例では、実施例1のように引張バネを用いて従動コロ135を駆動ローラ134に押圧する構成とは異なり、圧縮バネ138を用いて従動コロ135を駆動ローラ134に押圧する。この構成では、従動コロ135のコロ軸136よりもシート搬送路から離れた位置に配置したコロ支持部材149により、レジ前ローラ対132の加圧力を調整可能である。このため、コロ軸136に比べてコロ支持部材140を駆動ローラ134の回転軸線に接近させる実施例1の配置(
図2参照)に比べて、搬送ガイド133a等によるコロ支持部材149の可動範囲の制限が緩くなる。従って、例えば第1状態及び第2状態の切換えに対応するコロ支持部材149のストロークを大きめに設定することで、レジ前ローラ対132のニップ圧を精度よく制御することが可能である。
【0056】
(他の実施形態)
上記実施例1,2では、シート搬送装置の例として二次転写部の上流に配置される斜行補正装置について説明したが、本技術は他のシート搬送装置に適用してもよい。例えば画像形成装置の装置本体から排出されたシートに穴あけ等の処理を施すシート処理装置において、シートの斜行を補正しつつシートを搬送する装置として用いることができる。また、中間転写タンデム方式の画像形成部150(
図1参照)は画像形成手段の一例であり、例えばインクジェット方式の画像形成装置におけるシート搬送装置に本技術を適用してもよい。
【0057】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。