特許第6968612号(P6968612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6968612空チューブを繊維機械の補助装置に供給する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968612
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】空チューブを繊維機械の補助装置に供給する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/06 20060101AFI20211108BHJP
   D01H 9/18 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   B65H67/06 H
   D01H9/18 B
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-151181(P2017-151181)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-20908(P2018-20908A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2020年5月18日
(31)【優先権主張番号】PV 2016-478
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】513176454
【氏名又は名称】リーター シーゼット エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル クチェラ
(72)【発明者】
【氏名】ペトル ポズニク
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ハウンシルド
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0137167(US,A1)
【文献】 特開平02−014028(JP,A)
【文献】 実開平04−097773(JP,U)
【文献】 特開平11−200162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/00−67/08
D01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機械(100)の補助装置(2,3,4)に空のチューブ(5)を供給する方法であって、前記チューブ(5)は、コンベア(6)によって前記紡績機械(100)の一方向に供給され、新しいチューブ(5)を要求する補助装置(2,3,4)は、作業ステーション(1101−1151−11nn)に位置付けられている、方法において、
走行している前記コンベア(6)上に少なくとも1つのチューブ(5)が存在している間に、他の補助装置によるチューブ(5)の供給の要求が同時にあると、他のチューブ(5)を前記走行しているコンベア(6)上に載置し、少なくとも、新しいチューブ(5)を要求している前記補助装置(2,3,4)が位置付けられた前記機械の作業ステーション(1101−11nn)の相互位置を評価して、前記機械の作業時間の最適な使用に関して、前記走行しているコンベア(6)上に存在するチューブ(5)の、新しいチューブ(5)を要求している個々の前記補助装置(2,3,4)への割り当ての最適な順序について判断することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記走行しているコンベア(6)上に存在する前記チューブ(5)の、新しいチューブ(5)を要求している前記補助装置(2,3,4)への割り当ての最適な順序について判断する前に、空のチューブ(5)が必要となった実際の時点、及び前記コンベア(6)上の前記チューブ(5)の現在の位置を評価することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
空のチューブ(5)が必要となった実際の時点を、各補助装置(2,3,4)の現在及び/又は将来の補助動作、並びに、現在及び/又は将来の保守活動に基づいて評価することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記走行しているコンベア(6)上に存在する前記チューブ(5)の、新しいチューブ(5)を要求している個々の前記補助装置(2,3,4)への割り当ての最適な順序について判断する前に、各作業ステーション(11nn)の割り当てのために、前記コンベア(6)上に存在する前記チューブ(5)の色を評価することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チューブ(5)が前記コンベア(6)上に載置された後、新しいチューブ(5)を要求している前記補助装置(2,3,4)が前記チューブ(5)を取り出すのに失敗した場合、他の前記補助装置が、中断することなく、それを対象とした前記チューブを取り出し、前記チューブ(5)を取り出すのに不具合のあった前記補助装置(2,3,4)を対象とする前記チューブ(5)を、前記紡績機械の端部の回収容器に運ぶことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記チューブ(5)が前記コンベア(6)上に載置された後、新しいチューブ(5)を要求している前記補助装置(2,3,4)が前記チューブ(5)を取り出すのに失敗した場合、他の前記補助装置が、中断することなく、それを対象とした前記チューブを取り出し、前記チューブ(5)を取り出すのに不具合のあった前記補助装置(2,3,4)を対象とする前記チューブ(5)を、前記コンベア(6)上の初期位置まで運び、そこで他の補助装置(2,3,4)に要求されるのを待たせることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
紡績機械(100)の少なくとも1列の作業ステーション(1101−11nn)に沿って変位可能に配置された少なくとも2つの補助装置(2,3,4)に空のチューブ(5)を供給する装置であって、前記作業ステーション(1101−11nn)の列には、空のチューブ(5)の容器(102)及び空のチューブ(5,51,52,53)の一方向コンベア(6)が設けられ、前記紡績機械(100)は、制御ユニット(8)を備えられており、前記制御ユニット(8)は、前記紡績機械(100)の一方の側において、個々の前記作業ステーション(11nn)と、前記チューブ(5)の容器(102)と、前記チューブの前記コンベア(6)と、前記補助装置(2,3,4)とに接続されている、装置において、
前記制御ユニット(8)に、少なくとも、新しいチューブ(5)を要求している前記補助装置(2,3,4)が位置付けられた機械の前記作業ステーション(11nn)の位置同士の相互比較に基づき、前記機械の作業時間の最適な使用に関して、前記コンベア(6)上に存在する複数の前記チューブ(5)の、新しいチューブ(5)を要求している個々の前記補助装置(2,3,4)への割り当ての最適な順序を判断するための判定アルゴリズムが設けられていることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記判定アルゴリズムに、空のチューブ(5)が必要となった実際の時点及び前記コンベア(6)上の前記チューブ(5)の位置を評価するためのデータセットも与えられることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
空のチューブ(5)が必要となった実際の時点を評価するためのデータセットが、補助動作の種類及びその期間に関する情報を含むことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記判定アルゴリズムに、前記コンベア(6)上に存在する前記チューブの色、及びある作業ステーション(11nn)へのその割り当てを評価するためのデータセットが更に与えられることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいチューブを要求する補助装置(attending devices)が位置付けられた繊維機械の作業ステーションに、コンベアによって空チューブが一方向に供給される繊維機械、特に紡績機械の補助装置に空チューブを供給する方法に関する。
【0002】
また、本発明は、作業ステーションの各列に、空チューブの容器及び空チューブの一方向コンベアが設けられ、個々の作業ステーションと、チューブ容器と、機械の各側にあるチューブコンベアと、補助装置とに接続された制御ユニットが備えられた繊維機械、特に紡績機械の少なくとも1列の作業ステーションに沿って変位可能に配置された少なくとも2つの補助装置に空チューブを供給する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
紡ぎ出された糸を最終ボビンの巻き取り装置に巻き取る自動紡績機械には通常、作業ステーションの列に沿って移動する幾つかの補助装置が備えられている。
【0004】
一部の紡績機械において、各作業ステーションには、一本の空チューブが常に保管され、これが、取り出されて作業ステーションの巻き取り装置内に設置された後に交換される。これには、作業ステーションにおけるチューブの状態を監視することが必要となり、その監視は通常オペレータによって行われる。更に、チューブをコンベアから取り出して保管場所に載置するための特別で複雑な機構も必要である。
【0005】
他の既知の装置は、典型的に、1つの予備の空チューブが補助装置に載置され、補助装置が、満巻(fully wound)ボビンを空チューブと交換することを要求している作業ステーションに移動して、その予備の空チューブが補助装置によってその容器から取り出され、作業ステーションの巻き取り装置内に載置される。システムの効率性のためには、取り出されたチューブを出来るだけ早く補助装置に移すことが何よりも重要である。
【0006】
不要な停止時間を回避するために機械の一方側に2つ以上の補助装置が設けられた紡績機械の場合、コンベア(通常はベルトコンベア)が、チューブを、機械の端部にある容器から特定の補助装置まで、あるいは対応する作業ステーションまで、その特定の補助装置と容器との間に位置する他の補助装置によってこのチューブが取り出されることなく送達できるように、補助装置の補助動作の順序を解決する必要がある。これは、空チューブの補助装置への搬送を1つの一方向ベルトコンベアにより実現している現在の紡績機械の欠点である。
【0007】
例えば、特許文献1では、レールをブロックしている第1の補助装置の動作が終了するまで、且つ、この補助装置が走行レールから離れるまで、第2の補助装置による満巻ボビンを空チューブと交換する第2の要求の遂行が抑制されるようにして、この状況を解決している。図1は、作業ステーションA1〜A13の列を備え、チューブDの一方向容器Cが機械の端部Bに設けられた紡績機械の一部を概略的に表す。容器Cの隣には、チューブのベルトコンベアEが位置付けられ、作業ステーションAの列に沿って延在している。3つの補助装置Gが、走行レールF上に位置付けられている。
【0008】
作業ステーションA9において、満巻ボビンを空チューブDと交換する必要がある。補助装置G2が、作業ステーションA9に移動し、機械の制御ユニットを介して、チューブDを供給するように要求する。チューブD1が、容器CからコンベアE上に載置され、コンベアEがそれを、その移動方向Sに作業ステーションA9まで搬送する。補助装置G2の要求の後でまだチューブD1をコンベアE上に載置している間、補助装置G1が、作業ステーションA4において停止し、同様にチューブDを要求する。この状況において、制御ユニットは、作業ステーションA4及びA9と、それら作業ステーションA4及びA9に位置付けられた補助装置G1,G2,G3との相互位置を評価し、補助装置G2がチューブD1を受け取るまで、あるいは任意でチューブD1が補助装置G1の傍を通過するまで、補助装置G1の要求を抑制してコンベアEからのチューブD1の取り出しを許可しない。
【0009】
しかしながら、多くの場合、作業ステーションA4及びA9と、それら作業ステーションに位置付けられた補助装置G1及びG2との相互位置は、容器Cのより近くに位置する補助装置G1の要求の自動的に抑制をするのに必要な時間のために大きな欠点となる。従って、このシステムは、新しい空チューブの挿入を要求する補助装置及び/又は作業ステーションがある特定の好適な相互位置にある一部の場合においてのみ効率的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1675797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、紡績機械の作業ステーションにおいて満巻ボビンを空チューブと交換する際の、補助装置の時間の利用を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、本発明に係る繊維機械の補助装置に空チューブを供給する方法により実現され、その原理は、走行しているコンベア上に少なくとも1つのチューブが存在している間、他の補助装置によるチューブの供給の要求が同時にあると、他のチューブを、走行しているコンベア上に載置し、少なくとも、補助装置が位置付けられた新しいチューブを要求している機械の作業ステーションの相互位置を評価し、制御ユニットが、機械の作業時間の最適な使用に関して、走行しているコンベア上に存在するチューブの、新しいチューブを要求している補助装置への最適な割り当てについて判定することにある。この最適化によって、作業ステーションが作業していない時間を短縮し、それにより、機械の生産性を高める。これは、複数の補助装置を有する現代の高性能紡績機械において特に極めて重要であり、補助装置の数が多ければ多いほど、本発明の解決手段はより重要となる。
【0013】
他の向上点は、走行しているコンベア上に存在するチューブの、新しいチューブを要求している補助装置への割り当ての最適な順序について判定する前に、空チューブが必要となった実際の時点、及びコンベア上のチューブの現在の位置を評価する有利な実施例において実現される。
【0014】
また、空チューブが必要となった実際の時点を、各補助装置の現在及び/又は将来の保守活動、並びに、その動作又はそれらの動作の予期される期間に基づいて評価すると有利である。
【0015】
一台の機械で異なる糸の束を同時に紡ぎ出す場合、異なる色のチューブが区別のために用いられる。こうした場合、走行しているコンベア上に存在するチューブの、新しいチューブを要求している補助装置への割り当ての最適な順序について判定する前に、チューブの色を評価する。
【0016】
空チューブを供給する装置の原理は、制御ユニットに、少なくとも、新しいチューブを要求している補助装置が位置付けられた機械の作業ステーションの位置の相互比較に基づき、コンベア上に存在するチューブの、新しいチューブを要求している個々の補助装置への割り当ての最適な順序の判定アルゴリズムが設けられていることにある。
【0017】
好ましい実施例において、判定アルゴリズムに、空チューブが必要になった実際の時点及びコンベア上のチューブの位置を評価するためのデータセットも与えられ、これらのデータセットは、好ましくは、補助装置の補助動作の種類及びその期間に関する情報を含む。
【0018】
必要であれば、判定アルゴリズムに、チューブの色、及びある作業ステーションへのその割り当てを評価するためのデータセットが与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】背景技術に係る3つの補助装置が設けられた紡績機械の1列の作業ステーションの一部の平面図を概略的に表す。
図2】本発明に係る装置を概略的に表す平面図である。
図3】機械の、補助装置と、空チューブを一方向コンベア上に置く装置と、制御ユニットとの相互関係のブロック図である。
図4】作業ステーションと、コンベア上のチューブの現在の位置との相互位置のみを考慮した、要件に応じたチューブの3つの補助装置への割り当ての例を概略的に示す表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2は、機械の個々の作業ステーションに移動可能な補助装置への空チューブの供給を向上する本発明に係る装置が備えられた紡績機械の一部を概略的に表す。機械の作業ステーションからの満巻ボビンの搬送は、本発明に係る装置の対象ではない。
【実施例】
【0021】
図2及び3は、3つの補助装置2,3,4が補助する例示的な実施例における紡績機械100の作業ステーション11nnの1つの列1を示す。
【0022】
補助装置は、作業ステーション11の列1に沿って、ガイドレール10上を移動する。各補助装置2,3,4は、その位置及び移動範囲を有し、これらのパラメータは調節可能である。空チューブ5の容器102が、機械100の端部101に配置されている。チューブ容器102の隣には、チューブ5の無端状の一方向コンベア6が位置付けられ、作業ステーション11の列1に沿って配置されており、その保管面は、補助装置2,3,4の不図示の取り扱い手段が到達できる範囲内にある。先行する全ての空チューブの要求が遂行されると、コンベアは静止し、補助装置の作業領域外部において1つのチューブのみが準備される。機械の一方側の3つの補助装置の数に合わせて、最大3つのチューブ5を同時にコンベア6上で搬送できる。
【0023】
補助装置2,3,4は、コンベア6により搬送された空チューブ5を停止させ且つそれを補助装置2,3,4上の待機位置まで移送する取り扱い手段7を備える。これら既知且つ不図示の手段は、静止している補助装置に対してコンベア6上のチューブ5を停止させる停止手段71と、それを補助装置2,3,4上の前述の待機位置に移送し、必要であればそれを作業ステーション11nnの巻き取り装置内に挿入する把持手段72とを含む。
【0024】
図3によれば、紡績機械100の補助装置2,3,4及び全ての作業ステーション11nnは、双方向ライン21,31,41を介して、紡績機械100の制御ユニット8に接続されており、その制御ユニット8には、ライン81を介して一方向コンベア6上の空チューブ5を移送する不図示の装置9や、紡績機械100の他の不図示の手段も接続されている。
【0025】
図2において、第1の補助装置2は、容器102の近傍の、空チューブ5の容器102から離れる方向における作業ステーション1103の隣に位置している。第2の補助装置3は、図2に示すように、第1の補助装置2の下流で、作業ステーション1116の隣に位置している。第3の補助装置4は、第2の補助装置3の下流の、作業ステーション1149に位置し、作業ステーション11nnの列1の端部に対応するように動作する。
【0026】
満巻ボビンを空チューブと交換する必要がないときには、作業ステーション11nnに位置付けられた補助装置2,3,4は、様々な他の補助動作(糸くずをブローし、検出し、吸引する等による作業ステーションの清掃)を実行する。機械の効率性に関して、アイドル時間の観点から、満巻ボビンをもつ作業ステーションを含む紡績していない各作業ステーションを、出来るだけ早く製造モードにする必要がある。空チューブの作業ステーション11nnへの最適化された搬送が、この目的を実現するために大きく貢献する。
【0027】
空チューブ5又は51,52,53を補助装置2,3,4に供給する装置の動作を、図2に示すような補助装置の配置の一例を参照して説明する。
【0028】
例えば、作業ステーション1117において、満巻ボビンを空チューブ5と交換する、又は空チューブ5を単に作業ステーションの巻き取り装置内に挿入する、又は空チューブ5を補助装置の待機位置に移送する必要がある。第2の補助装置3が、この作業ステーション1117に移動し、空チューブ5を要求する。コンベア6が、第2の補助装置3を対象とした第1のチューブ51と共に移動を開始する。待機している第2の補助装置3が、まずその保有しているチューブ5を作業ステーション1117の巻き取り装置に挿入し、更なる動作を行う。同時に、その不図示の停止手段71が、コンベア6の領域へと延出している。
【0029】
コンベア6による第1のチューブ51の搬送時点において既に、他の作業ステーション、図示の例では、作業ステーション1117よりも空チューブ5の容器102の近くに位置する作業ステーション1103において、満巻ボビンを空チューブ5と交換する必要があることが多い。第1の補助装置2が、作業ステーション1103において停止し、補助装置3の先行する要求が遂行される前に、空チューブ5を要求する。容器102から第2のチューブ52が、走行しているコンベア6上に載置される。制御ユニット8が、補助装置2,3に対するチューブ51,52の最適な割り当てを、それらの相互位置及び他の判断すべき基準に関して評価する。
【0030】
現在の状況において、制御ユニット8は、例えば、第1のチューブ51を第2の補助装置3のために残し、チューブ52を第1の補助装置2に割り当てる。第2の補助装置3の停止手段71を延出させた状態を維持し、第1の補助装置2の停止手段71を第1のチューブ51がその傍を通過するまで退避させ、その後延出させる。これにより、両方の補助装置2及び3、すなわち、特定の作業ステーション1117,1103に位置付けられた補助装置は、それらを対象とした空チューブが送達されるのを待つ。つまり、第2の補助装置3がチューブ51を待ち、第1の補助装置2がチューブ52を待つ。
【0031】
他の場合では、作業ステーション1103において、満巻ボビンを空チューブと交換する必要がある。第1の補助装置2が、作業ステーション1103において停止し、空チューブを要求する。コンベアが、第1の補助装置2を対象とした第1のチューブ51と共に移動を開始する。第1の補助装置2が、チューブ51を待っており、その不図示の停止手段が、コンベア6の領域へと延出している。同時に、その保有しているチューブ5を作業ステーション1103の巻き取り装置内に挿入し、更なる動作を行う。
【0032】
続いて、作業ステーション1117においても、満巻ボビンを空チューブ5と交換することが必要となる。第2の補助装置3が、この作業ステーション1117において停止し、先行する要求が遂行される前に、空チューブ5を要求する。第2のチューブ52が、走行しているコンベア6上に載置される。制御ユニット8が、補助装置2,3に対するチューブの最適な割り当てを評価することで、これらの要求を遂行する2つの選択肢が生じうる。
【0033】
第1の選択肢において、第1のチューブ51の対象が第2の補助装置3となり、第2のチューブ52の対象が第1の補助装置2となる。これにより、元々は第1のチューブ51は第1の補助装置2を対象としていたために、目標補助装置の交換が生じるが、第2の補助装置3からの要求を受領後且つ判定アルゴリズムによる判定後、第1のチューブ51の対象が第2の補助装置3となり、第2のチューブ52の対象が第1の補助装置2となる。第1の補助装置2の停止手段71を退避させる必要があり、第2の補助装置3を対象とする第1のチューブ51が通過した後、それを延出させる必要がある。補助装置2及び3は、それらを対象とした空チューブ51,52が送達されるのを待つ。
【0034】
第2の選択肢において、第1のチューブ51の対象は変わらず第1の補助装置2であり、第2のチューブ52の対象が第2の補助装置3となる。第1の補助装置2の停止手段71が、コンベア6上の第1のチューブ51を停止させ、把持手段72によりそれが取り出された後、補助装置2の停止手段71を退避させ、また、第2の補助装置3の停止手段71を直ぐに延出させてもよい。補助装置2及び3は、それらを対象とした空チューブ51,52が送達されるのを待つ。
【0035】
以下の例では、2つの先行する要求が遂行される前に空チューブの第3の要求がなされる状況における、3つの補助装置2,3,4の組み合わせについて説明する。
【0036】
作業ステーション1149において、満巻ボビンを空チューブと交換する必要がある。第3の補助装置4が、作業ステーション1149において停止し、空チューブを要求する。コンベアが、第3の補助装置4を対象とした第1のチューブ51と共に移動を開始する。第3の補助装置4が、チューブ51を待っており、その不図示の停止手段71が、コンベア6の領域へと延出している。同時に、その保有しているチューブ5を作業ステーション1149の巻き取り装置内に挿入し、更なる動作を行う。
【0037】
その後、作業ステーション1103においても、満巻ボビンを空チューブ5と交換することが必要となる。第1の補助装置2が、この作業ステーション1103において停止し、先行する要求が遂行される前に、空チューブ5を要求する。第2のチューブ52が、走行しているコンベア6上に載置される。制御ユニット8が、補助装置2,4に対するチューブの最適な割り当てを評価する。補助されている作業ステーションの現在の位置及びチューブコンベア上のチューブの現在の位置を評価した後、チューブ51の対象が第3の補助装置4となり、チューブ52の対象が第1の補助装置2となる。第1の補助装置2が、チューブ52を待っており、第3の補助装置4を対象とした第1のチューブ51が通過した後で、停止手段をコンベア6の領域へと延出させる。同時に、その保有しているチューブ5を作業ステーション1103の巻き取り装置内に挿入し、他の動作を行う。
【0038】
また、作業ステーション1117においても、満巻ボビンを空チューブ5と交換することが必要となる。第2の補助装置3が、この作業ステーション1117において停止し、先行する要求が遂行される前に、空チューブ5を要求する。第3のチューブ53が、走行しているコンベア6上に供給される。制御ユニット8が、補助装置2,3,4に対するチューブの最適な割り当てを評価する。補助されている作業ステーションの現在の位置及びチューブコンベア上のチューブの現在の位置のみの評価を使用する場合には、これらの要件を満たす2つの選択肢が存在する。
【0039】
第1の選択肢において、第1のチューブ51の対象は変わらず第3の補助装置4であり、第2のチューブ52の対象がこの場合第2の補助装置3となり、第3のチューブ53の対象が第1の補助装置2となる。第3の補助装置4の停止手段71を延出させた状態を維持し、第2の補助装置3の停止手段71を第1のチューブ51がその傍を通過するまで延出させず、最後に第1の補助装置2の停止手段71を第1のチューブ51及び第2のチューブ52が通過するまで延出させない。補助装置2,3及び4は、それらを対象とした空チューブ51,52及び53が送達されるのを待つ。
【0040】
第2の選択肢において、第1のチューブ51の対象は第3の補助装置4となり、第2のチューブ52の対象は第1の補助装置2となり、第3のチューブ53の対象は第2の補助装置3となる。第3の補助装置4の停止手段71を延出させた状態を維持し、第1の補助装置2の停止手段71を第1のチューブ51がその傍を通過した後で延出させ、第2の補助装置3の停止手段71を第1のチューブ51が通過した後で延出させる。まず第2のチューブ52が第1の補助装置2によって取り出され、その後になって補助装置3のための第3のチューブ53が第1の補助装置2を通過する。補助装置2,3及び4は、それらを対象とした空チューブ51,52及び53が送達されるのを待つ。
【0041】
コンベア6上に存在するチューブ5の、新しいチューブ5を要求している個々の補助装置2,3,4への割り当ての最適な順序のためのアルゴリズムが、紡績機械100の時間の最適な使用に寄与し、このようにして補助装置2,3,4に空チューブ5を供給する順序について判定する。そうする際、これは、最初に、補助装置2,3及び4の位置の現在の相互比較、現在の補助動作及びこの動作の予期される期間、それに続く予期される補助動作、空チューブを要求した実際の時点、コンベア6上のチューブ5の現在の位置等の基準を使用する。あるいは、場合により、例えば、ある作業ステーションへの割り当て点からのチューブ5の異なる色等の他の基準でもよい。
【0042】
本発明に係る装置の動作を、図4の表に概略的に表す。ここでは、補助されている作業ステーションの相互位置、及びコンベア6上のチューブ5の現在の位置のみが評価される。表の最初の3つの欄には、補助装置2,3,4があり、空チューブ5の容器102から離れる方向において、その参照符号に従って、昇順で配置されている。これらの3つの欄のそれぞれには、補助装置2,3,4が、空チューブ5の要求がなされた順序に応じて配置されている。他のツリー欄には、紡績機械100の制御ユニット8により評価された基準に応じたチューブ51,52,53の各補助装置2,3,4への割り当ての様々な例が示されている。
【0043】
例えば、チューブ5を取り出すことがもはや不可能となるエラー等、エラーがそれぞれの補助装置2,3,4に生じた場合、これは、他の補助装置による他のチューブ5の取り出しに干渉しない。一実施例によれば、チューブを取り出すのに不具合のあった補助装置2,3,4を対象とするチューブ5について、そのチューブを、回収容器(不図示)が位置付けられた繊維機械の端部まで搬送し、そこでその取り出せなかったチューブを回収容器内に載置される。他の有利な実施例によれば、チューブ5を取り出すのに失敗した不具合のある補助装置2,3,4を対象とするチューブ5を、例えばコンベア6を逆移動させることにより、コンベア6上の初期位置まで搬送し、そこで、他の補助装置2,3,4により要求されるまで待機させる。この場合、すでにコンベア6の開始点にあるそのようなチューブ5の要求後、新しいチューブ5は、コンベア6上に載置されず、装置の動作が開始される。すなわち、本発明に係るチューブの搬送が開始する。
【0044】
本発明は、3つの補助装置に限定されない。3つの補助装置の使用は、本明細書において本発明の原理を説明するために使用された実施例の基本例として使われるのみであり、機械に使用される補助装置の実際の数は、機械の特定の要件及びその動作の自動化に応じて決まる。
【符号の説明】
【0045】
1 作業ステーションの列
10 (補助装置の)ガイドレール
100 紡績機械
101 紡績機械の端部
102 空チューブの容器
11 作業ステーション(1101,1102,…,1151)
2 第1の補助装置
21 (制御ユニットと補助装置との間の)双方向ライン
3 第2の補助装置
31 (制御ユニットと補助装置との間の)双方向ライン
4 第3の補助装置
41 (制御ユニットと補助装置との間の)双方向ライン
5 チューブ
51 第1(送られているチューブ)
52 第2(送られているチューブ)
53 第3(送られているチューブ)
6 (空チューブの)コンベア
7 コンベア6により搬送されている空チューブを停止させる手段及びそれを搬送する手段
71 停止手段
72 把持手段
8 紡績機械の制御ユニット
81 (制御ユニットとチューブの搬送装置との間の)双方向ライン
9 (容器からコンベアへの)空チューブの搬送装置
A1〜A13 紡績機械の作業ステーション
B 機械の端部
C チューブ容器
D,D1 チューブ
E チューブコンベア
F (補助装置の)走行レール
G1〜G3 補助装置
S チューブコンベアの移動方向
図1
図2
図3
図4