特許第6968621号(P6968621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968621
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】編組ステント用の拡張リング
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/91 20130101AFI20211108BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20211108BHJP
   A61F 2/90 20130101ALI20211108BHJP
【FI】
   A61F2/91
   A61F2/07
   A61F2/90
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-161034(P2017-161034)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2018-29967(P2018-29967A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2020年8月12日
(31)【優先権主張番号】15/246,784
(32)【優先日】2016年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】レイシー・ゴロチョウ
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−176654(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0264186(US,A1)
【文献】 米国特許第06699277(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/90−2/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組ステントシステムであって、
複数の編組部材によって形成された内腔を有し、前記複数の編組部材の間に隙間が形成されたステント本体と、
前記ステント本体の前記内腔の内部及び外部表面に機械的に結合された拡張リングであって、前記拡張リングが、前記ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成を備えるフレームを有し、
前記フレームが、外向きに拡張する半径方向力を前記ステント本体に付与し、前記フレームが、連結部において、並びに前記連結部とは反対の第1及び第2の交差部において接合された複数の細長い部材を備える、拡張リングと、
前記第1及び第2の交差部から延在させられ、かつ前記フレームを前記内腔の前記内部及び外部表面に摺動可能に固定するように機能することができる少なくとも1つのクリップと、を備え、
前記拡張リングが、フローダイバーターを受け入れるために開いて前記ステント本体を係留するように機能することができる、編組ステントシステム。
【請求項2】
前記クリップが、
整列され、前記第1の交差部から延在させられ、かつ前記第1の交差部とは反対の端部において接合された複数の外部支柱部材であって、前記内腔の前記内部表面に沿って摺動可能である、複数の外部支柱部材と、
前記外部支柱部材間に形成された間隙内に配設された複数の中心支柱部材であって、整列され、前記第2の交差部から延在させられる、複数の中心支柱部材と、を備え、
前記中心支柱部材が、前記内腔の前記外部表面に沿って摺動可能であり、前記第2の交差部とは反対の端部において前記外部支柱部材と連通して細孔内に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
レーザーカットクリッピングパターンが、前記外部及び中心支柱部材の間に形成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記中心支柱部材が、前記外部支柱部材から所定の距離だけ離間配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記中心及び外部支柱部材が、溶接、半田付け、又は糊付けされることによって、前記細孔において取り付けられている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記クリップが、
整列され、前記第1の交差部から延在させられ、かつ前記第1の交差部とは反対の端部において接合された複数の外部支柱部材と、
前記外部支柱部材間に形成された間隙内に配設された複数の中心支柱部材であって、整列され、前記第2の交差部から延在させられる、複数の中心支柱部材と、を備え、
前記中心支柱部材が、前記内腔の前記外部表面に沿って摺動可能であり、かつ前記中心支柱部材と前記第2の交差部との間に画定された抵抗要素によって内向きに付勢するように機能することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記拡張リングの前記形状記憶構成が、金属合金チューブ構造を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記金属合金がニッケルチタンであり、前記構造がレーザーカットされる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記形状記憶構成が、開かれた状態において形状記憶位置を有する形状記憶材料から形成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記フレームの前記複数の細長い部材が湾曲されて、前記フレームを圧縮に対して抵抗性にし、前記細長い部材が、前記連結部の周りで所定の量だけ捩れ可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の細長い部材のうちの少なくとも一対が、V字形、U字形、又は楕円形曲線で形成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ステント本体が、近位端、遠位端、及びそれらの間に配設された中央部分を含み、
前記拡張リングが、前記ステント本体の前記遠位若しくは近位端上に又はそれに隣接して配設され、前記複数の細長い部材の前記連結部が、それぞれの前記遠位若しくは近位端において又はそれに隣接して接合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ステント本体の前記内腔の前記内部及び外部表面に機械的に結合された第2の拡張リングであって、前記第2の拡張リングが、前記ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成を備える第2のフレームを有し、前記第2の拡張リングが、フローダイバーターを受け入れるために開いて前記ステント本体を係留するように機能することができ、前記第2のフレームが、第2の連結部において、並びに前記第2の連結部とは反対の第3及び第4の交差部において接合された複数の第2の細長い部材を備える、第2の拡張リングと、
前記第3及び第4の交差部から延在させられ、かつ前記第2のフレームを前記内腔の前記内部及び外部表面に摺動可能に固定するように機能することができる少なくとも1つの第2のクリップと、を更に備える、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、患者の脈管構造におけるある特定の障害の治療、より詳細には、編組ステントを患者の脈管構造内の治療部位に拡張することに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、血管に挿入され得、血管内に開いた経路を提供するチューブ状補強材として理解される。ステントは、閉塞した心臓動脈の血管内の血管形成治療において広く使用されており、それにおいて、ステントは、動脈の再狭窄を防ぐために血管形成手順の後に挿入され得る。ステントは、送達デバイスの使用によって展開されることが多く、それは、動脈壁を補強する目的でステントを開かせ、動脈内に明確な貫通経路を提供し、それによって、再狭窄を防ぐ。
【0003】
しかしながら、神経脈管構造の脆弱性及び非直線性質は、手順における、例えば、神経脈管障害の修復におけるかかるステントの適用性を制限する。その上、既知の送達方法は、血管閉塞症手術において、特に、ごく小さな脈管、例えば、脳内に発見される脈管などが治療されるべきであるときに、有用性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、選択的な補強材を神経脈管障害の近傍に提供する神経脈管障害の血管閉塞症治療における送達技法と共に使用され得るステントの必要性が存在する。また、血管の外傷又はその破裂の危険性を低減するステントの必要性も存在する。以下に述べる様々な実施形態は、これら及びその他の考慮事項に関連して提示されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の態様では、血管の中への送達のための編組ステントシステムに関する本開示が開示される。本システムは、複数の編組部材によって形成された内腔を有するステント本体であって、複数の編組部材の間に隙間が形成された、ステント本体を含み得る。拡張リングが、ステント本体の内腔の内部及び外部表面に機械的に結合されてもよく、フローダイバーター(flow diverter)を受け入れるために拡張リングを開いてステント本体を係留するように機能することができてもよい。フレームは、ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成を含んでもよい。
【0006】
ある例示的な実施形態では、フレームは、外向きに拡張する半径方向力をステント本体に付与するように機能することができてもよい。フレームは、連結部において並びに連結部とは反対の第1及び第2の交差部において接合された複数の細長い部材を含んでもよい。少なくとも1つのクリップが、第1及び第2の交差部から延在してもよく、フレームを内腔の内部及び外部表面に摺動可能に固定するように機能することができてもよい。クリップは、整列され、第1の交差部から延在させられ、かつ第1の交差部とは反対の端部において接合された、複数の外部支柱部材を含むことができる。外部支柱部材はまた、内腔の内部表面に沿って摺動可能であってもよい。複数の中心支柱部材が、外部支柱部材間に形成された間隙内に配設されてもよく、また、整列され、第2の交差部から延在させられてもよい。中心支柱部材は、内腔の外部表面に沿って摺動可能であってもよく、第2の交差部とは反対の端部において外部支柱部材と連通して細孔内に取り付けることができる。
【0007】
ある例示的な実施形態では、中心支柱部材が、外部支柱部材から所定の距離だけ離間配置され得る。レーザーカットクリッピングパターンが、外部及び中心支柱部材の間に形成されてもよい。中心及び外部支柱部材はまた、一緒に溶接、半田付け、又は糊付けされることによって、細孔において取り付けることができる。しかしながら、クリップは、そのように限定されず、代わりに、中心支柱部材が、内腔の外部表面に沿って摺動可能であり得、中心支柱部材と第2の交差部との間に画成された抵抗要素によって、内腔に向かって(例えば、内向きに)付勢するように機能することができてもよい。抵抗要素は、所望に応じて内腔に向かって付勢して内腔と共にクリップを固定する、中心支柱部材及び/若しくは外部支柱部材のバネ、付勢、又は湾曲構成であり得る。任意選択的に、フレームの複数の細長い部材は、湾曲されて、フレームを圧縮に対して抵抗性にし得る。細長い部材はまた、連結部の周りで所定の量だけ捩れ可能であってもよい。複数の細長い部材のうちの少なくとも一対は、V字形、U字形、又は楕円形曲線に形成することができる。
【0008】
他の実施形態では、拡張リングの形状記憶構成は、金属合金チューブ構造、例えば、レーザーカットされるニッケルチタンなどを含んでもよい。
【0009】
他の例示的な実施形態では、ステント本体は、近位端、遠位端、及びそれらの間に配設された中央部分を含んでもよい。拡張リングは、ステント本体の遠位若しくは近位端上に又はそれに隣接して配設することができ、複数の細長い部材の連結部が、それぞれの遠位若しくは近位端において又はそれに隣接して接合される。ステント本体の内腔の内部及び外部表面に機械的に結合された第2の拡張リングもまた、含まれ得る。第2の拡張リングは、ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成を備える第2のフレームを有することができ、第2の拡張リングは、フローダイバーターを受け入れるために開いてステント本体を係留するように機能することができてもよい。第2の拡張リングの第2のフレームは、同様に、第2の連結部において並びに第2の連結部とは反対の第及び第の交差部において接合された複数の第2の細長い部材を含むことができる。少なくとも1つの第2のクリップが、第3及び第4の交差部から延在する第2の拡張リング内に含まれ得、第2のフレームを内腔の内部及び外部表面に摺動可能に固定するように機能することができてもよい。
【0010】
また、編組ステント本体を脈管の中に展開させる方法も企図される。本方法は、編組ステント本体の内腔と共に複数の拡張リングを組立てることであって、編組ステント本体の内腔が、複数の編組部材によって形成され、複数の編組部材の間に隙間が形成される、組立てることと、編組ステント本体の内腔の内部及び外部表面に各拡張リングを選択的に取り付けることであって、各拡張リングが、外向きに拡張する半径方向力を編組ステント本体に付与し、それによって、編組ステント本体の内腔を開かれた位置に維持し、各拡張リングが、連結部並びに連結部とは反対の第1及び第2の交差部において接合された複数の細長い部材と、第1及び第2の交差部から延在させられ、かつフレームを内腔の内部及び外部表面に固定するように機能することができる少なくとも1つのクリップと、を有することができる、取り付けることと、クリップの複数の外部支柱部材を内腔の内部表面に摺動可能に取り付けることであって、各外部支柱部材が、整列され、第1の交差部から延在させられ、かつ第1の交差部とは反対の端部において接合される、取り付けることと、クリップの複数の中心支柱部材を内腔の外部表面に摺動可能に取り付けることであって、各中心支柱部材が、外部支柱部材間に形成された間隙内に配設され、中心支柱部材が、整列され、第2の交差部から延在させられる、取り付けることと、を含む。
【0011】
本方法はまた、中心及び外部支柱部材を、第2及び第1の交差部とは反対の端部において支柱部材と連通して細孔内に一緒に取り付けること、金属合金チューブ構造を有する各拡張リングの形状記憶構成を形成すること、クリップの第1及び第2の交差部上又はその周りに付勢要素を組み込むことによって、中心及び外部支柱部材を一緒に付勢すること、外部及び中心支柱部材を所定の距離だけ離間配置すること、並びに/又は外部及び中心支柱部材間の細孔において外部アクセス点を形成すること、を含んでもよい。
【0012】
本開示のその他の態様及び特徴は、以下の詳細な説明を添付の図と併せて査読すれば、当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
これから図面を参照するが、これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
図1】チューブ状編組ステント本体の第1及び第2の端部において組立てられた本開示の2つの拡張リングの一実施形態の側面図を描写する。
図2】チューブ状編組ステント本体の第1の端部において組立てられた図1のリングの一方のクローズアップ側面図を描写する。
図3図2のA−A面のクローズアップ図であり、チューブ状編組ステント本体と共に組立てられた拡張リングのある特定の特徴を示す。
図4】チューブ状編組ステント本体と共に組立てられたときの例示的な拡張リングの前方平面図であり、その内部内腔を示す。
図5】例示的な編組ステント本体を脈管の中に展開させる1つの方法例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示された技術の例示的な実施形態が本明細書で詳述されるが、他の実施形態が企図されることを理解されたい。したがって、開示された技術の範囲が、以下の説明において述べられるか又は図面において図示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されることは意図しない。開示された技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数の指示対象をも含むことにもまた、留意しなければならない。「含む(comprising)」又は「含有する(containing)」又は「含む(including)」は、少なくとも言及された化合物、要素、粒子、又は方法工程が組成物又は物品又は方法において存在することを意味するが、他の化合物、材料、粒子、方法工程の存在を、これらの他の化合物、材料、粒子、方法工程が言及されたものと同じ機能を有する場合であっても、除外するものではない。
【0016】
例示的な実施形態の説明では、明確性を期すために専門用語を用いる。各用語は、当業者が理解するその最も広い意味を企図し、同様の様態で機能して同様の目的を達成する全ての技術的等価物を含むことが、意図される。また、方法の1つ又は2つ以上の工程への言及が、明示的に特定されたそれらの工程間の追加の方法工程又は介在する方法工程の存在を除外しないことも理解されたい。方法の工程は、開示された技術の範囲から逸脱することなく、本明細書で述べた順序と異なる順序で実行され得る。同様に、装置又はシステムの1つ又は2つ以上の構成要素への言及が、明示的に特定された構成要素間の追加の構成要素又は介在する構成要素の存在を排除しないことも理解されたい。
【0017】
本明細書で考察される場合、「対象」又は「患者」の脈管構造は、ヒト又は任意の動物の脈管構造であり得る。動物は、種々のあらゆる該当する種類のものであり得、限定されるものではないが、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物等を含むことを理解されたい。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サル、又は同様のもの)であってもよい。対象は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解されたい。
【0018】
本明細書で検討されるとき、「オペレータ」には、医者、外科医、又は対象の脈管構造への編組ステント本体の送達と関連した任意の他の個人若しくは送達器具が含まれ得る。
【0019】
「自動拡張」ステントは、特定のステントが、送達デバイス、例えば、シース、マイクロカテーテル、又は同様のものなどからの出現後に完全に展開されるステントであることが理解されるものとする。この点において、自動拡張編組ステントが出現し、それぞれの送達デバイスの外側に拘束を解かれると、それは、脈管構造内で拡張して、に展開されるべきである。しかしながら、半径方向力及び摩擦に起因して、編組ステントの展開及び展開後の回収は、困難である。
【0020】
編組ステントは、複数の細長い部材(例えば、金属ワイヤ、高分子繊維、又は材料の撚線)から形成されてもよく、これらの部材は、神経脈管障害の治療において非常に有用であり得る。しかしながら、かかる編組部材が、ステント本体の内腔内で自動的に拡張することを意図されるとき、最初に拡張する端部の既知の起動様態は、最初に拡張する端部が係留点として使用され得るように適切に、確実に、かつ完全に開くのに苦労する。その上、編組ステントは、開かれた状態に展開されるときに、自動拡張編組ステントの固有の半径方向拡張力に抵抗する高い内部摩擦を呈することが知られている。具体的には、比較的高い内部摩擦は、ステントの最初に拡張する端部が開くことを困難にさせ得、それは、係留及び展開の不良をもたらす。これは、特に、送達シース、マイクロカテーテル、又は同様のものの使用を通して所望の脈管箇所へと送達される編組ステントにあてはまる。なぜなら、閉じた(例えば、圧縮又は圧着)状態では、ステント本体が、典型的には、編組部材と送達シース又はマイクロカテーテルとの間に摩擦力を呈するからである。
【0021】
実際には、編組ステントは、編組ステントの近位端に対して鈍的表面を進出させることによって、特定の脈管に送達することができ、それにより編組ステントを軸方向に圧縮させ、半径方向に拡張させる。送達シース又はマイクロカテーテル内のこの拡張は、増大された垂直抗力が、送達シース、マイクロカテーテル、又は同様のものの内部表面に加えられることをもたらし得、それによって、編組ステントによって生じる摩擦も増大させる。
【0022】
拡張リングが、これらの及び他の問題を解決するために編組ステントと共に使用されている。しかしながら、サイズ及び用途を考えると、記憶構造(例えば、金属合金)から形成されるリングは、製造するのが困難であり得る。これは、リングが、編組を外向きに拡張することを援助することができるように、それぞれのリングが、編組の内部内腔内に配置される必要があるからである。拡張リングを編組の内側に取り付けることは、編組と拡張リングとの間の取り付けゾーンへの限定されたアクセスのために困難であり得る。具体的には、オペレータが、編組ステントの外側からよりも、編組の内部内腔から拡張リングにアクセスすることはより困難であり得る。かかるリングはまた、内部表面を提供し得、その内部表面と、編組ステントの送達ワイヤ上の隆起が、ひっかかり得る。
【0023】
これらの問題への既知の解決策は、例えば、材料、サイズ、セル設計、内部摩擦、及び編組ステントを確実に、迅速に、かつ適切に開くためのエンドユーザによる余分な操作などの要因に依存していた。更には、編組ステントの成功は、エンドユーザの送達の正確さに大いに依存しており、それは、患者に対する損傷の危険性を不必要に増大させる。その上、かかる編組型の自動拡張ステントは、送達及び/又は展開された後に回収することが困難であり得る。
【0024】
これらの問題の解決における1つの試みは、ごく小さなワイヤを編組ステント及び金属合金の拡張リングの中に通して輪状にして、次いで、2つの構成要素を結び付けることを含んでいた。しかしながら、ごく小さなワイヤが、システムに追加される必要があるので、本方法は理想的ではない。仮にこのワイヤが患者内でインプラントから断裂すれば、それはまた、塞栓合併症をもたらし得る。
【0025】
本明細書に開示された拡張リング1は、編組ステント本体12と共に組立てられ、組立体10を形成するときに、当分野のこれらの及び他の問題を解決する。ある例示的な実施形態では、組立体10は、オペレータが、本体12の内部内腔20内に形状記憶構造(例えば、ニッケルチタン[NiTi](ニチノールとしても知られる)などのような金属合金により構築されるリング1を置くことを可能にし、一方で、依然として、リング1の取り付けゾーンを本体12の外側に配設させる。リング1は、本体12を開くこと及び係留することを容易にし、オペレータがフローダイバーターを正確かつ簡単に置くことに役立つように設計され得る。好ましくは、リング1は、編組ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成(例えば、ニチノールなどのような金属合金チューブ)を用いてレーザーカットされてもよい。
【0026】
以下の説明において、本明細書の一部を形成し、具体的な実施形態又は実施例を実例として示す、添付の図面を参照する。図面への参照において、同様の数字は、複数の図にわたって同様の要素を表す。図1及び2を参照すると、本明細書に開示されたリング1及び対応する本体12の側面図が示されている。図1及び2の本体12は、複数の隙間24を形成するように編み組まれた又は別様に配設された複数の細長い部材22から形成されてもよい。部材22は、2つ若しくは3つ以上の金属ワイヤ、又は高分子繊維若しくは材料の撚線から形成されてもよい。リング1は、1つ又は2つ以上の付加的な半径方向力を本体12の内腔20の内壁及び/又は外壁に付与することが可能なリング1のフレームを一緒に形成する、連結部46及び第1及び第2の交差部36、37において相互に結合される1つ又は複数の細長い部材28及び30から構築されてもよい。図示されるように本体12と共に1つ又は2つ以上の複数のリング1を組立てることは、エンドユーザに対する損傷の危険性を低減して、信頼できる脈管構造内への本体12の比較的簡単な送達をもたらす。
【0027】
この点で、リング1は、リング1を本体12自体に溶接、半田付け、糊付け、又は別様に結合する必要なく、本体12を迅速に開きかつ/又は本体12を開かれた位置に維持するために、選択的に位置付け、配設され得る。リング1は、本体12の第1の端部58において組立てられ得、リング1はまた、本体12の第2の反対端部56において組立てられ得る。任意の数のリング1が、端部56及び58の1つのみにおいてのみならず本体12の端部56と58との間の任意の数の場所において含む、本体12と共に組立てられ得ることが理解されるものとする。
【0028】
図2は、端部56において組立てられた図1の例示的なリング1のクローズアップである。見られるように、本体12と共にリング1を組立てることが、本体12の端部56、反対端部58、並びに/又は各端部56と58画成との間にされた中央部分において外向きに延在する半径方向拡張力を増大させる。リング1は、第1及び第2の細長い部材28並びに30と相互に結合された1つ又は複数の支持クリップ17を含むことができ、それは、集合的にリング1に、それ自体を本体12の内腔20に十分に係留させる。クリップ17は、以下により詳細に記述されるように、本体12の編組型の細長い部材22と絡み合わせることによって、各リングを本体12と機械的に固定する。図2のA−A面のクローズアップ図である図3を参照すると、隙間24及び編組型の細長い部材22と絡み合わせたクリップ17がより明確に示されている。好ましくは、リング1のクリップ17が、金属合金チューブの一端の中に中心支柱部材32及び外部支柱部材34によって形成されるクリップパターンを有する「ペーパークリップ」型のリングであってもよい。
【0029】
図1〜2において先に見られたように、第1の細長い部材28は、連結部46において第2の細長い部材30と接合することができる。連結部46はまた、それぞれの端部56、58、それらの間の本体12の任意の部分において、本体12に取り付けられてもよく、又は本体12の内部内腔20へと付勢するように配向されてもよく、若しくはその内部内腔20に対して推進されてもよい。図3に見られるように、各部材28及び30は、第1及び第2の交差部36、37において、クリップ17に結合されるか、又はクリップ17と連通している。具体的には、支柱部材34が、それぞれの第1の交差部36において、部材28又は30から延在し、一方で、支柱部材32が、それぞれの第2の交差部37において、部材28又は30から延在する。見られるように、クリップ17は、それぞれの端部56又は58に向かって、それぞれの第1の交差部36から離れて伸長及び延在し、かつコネクタ端40において接合される、2つの整列した部材34を含んでもよい。クリップ17はまた、互いに整列され、かつ部材34よりも長さ及び/又は厚さが比較的小さい2つの部材32を含んでもよく、各部材32は、部材34によって形成された間隙の内部に配設され、部材34と整列される。間隙はまた、各部材32間にも形成され得、ワイヤ22の1つ又は2つ以上の編組対26が、そこを通り抜け得る。各部材32はまた、それぞれの第2の交差部37から離れて向かって伸長及び延在し得、かつ1つ若しくは2つ以上の溶接、半田付け結合、化学的接着剤、又は同様のものを通してコネクタ端40において、1つ又は2つ以上の細孔38と接合され得る。
【0030】
部材32及び34のクリップパターンは、リング1の金属合金チューブの中にレーザーカットされてもよい。しかしながら、リング1は、そのように限定されず、部材32及び34のクリップパターンは、必要又は要求に応じて、3Dプリンティング、CNCマシン、泡、付加的製造等を含む任意の他の製造技法によって、金属合金チューブの一端に形成されてもよい。部材32及び34は一緒に、オペレータが、1枚の紙の上でペーパークリップを摺動することに類似した手法で、編組ステント本体12の1つ又は2つ以上の隙間24を通してリング1を摺動させることを可能にする。この点において、部材32は、本体12のワイヤ22の上及び/又はワイヤ22の外部に摺動可能に挿入され得るのに対して、部材34は、本体12のワイヤ22の内側に摺動可能に挿入され得る。次いで、部材32及び34は一緒に、1つ若しくは2つ以上の細孔38、又は本体12の開いた空間の内側に溶接、半田付け、糊付け、又は別様に結合され得、リング1を本体12に固定する。例えば、図2〜3は、ある例示的な実施形態における、第1の端部56においてリング1と共に組立てられる本明細書に開示される本体12を描写する。部材34はまた、例えば、マイクロカテーテルなどの本体12の中に圧着されるときに、システム10の送達を援助するように機能することができるしっかりと安定した表面を提供する。あるいは、部材32及び34が互いに向かって自然に枢動するように、部材32及び34は、第2の交差部37の抵抗要素(例えば、バネ又は湾曲構成)を用いて、付勢されてもよく、又は別様に、互いに対して推進されるように機能することができてもよい。本実施形態では、部材32及び34が、細孔38において結合されてもよく、又は結合されなくてもよい。部材32は、外部支柱部材34の上方に所定の距離だけ押し上げられ得るように、加熱処理されてもよい。この点において、クリップと編組ステントワイヤとの間がより分離されるので、押し上げられた部材32は、オペレータが、組立ての間に隙間24を通して部材32及び34をより簡単に置くことを可能にする。
【0031】
図1〜4において見られるように、部材28及び30が、第1及び第2の交差部36、37、及び連結部46において互いと一体形成されるように見られるが、リング1は、そのように限定されず、部材28及び30は、帯、ボルト、クランプ、連結具、ドエル、フック、錠、鍵、又は同様のものを含む締結具によって、互いに取り外し可能に取り付けられてもよい。部材28及び30はまた、互いに接着又は溶接されて、第1及び第2の交差部36、37、及び連結部46の1つ又は2つ以上を形成し得る。更に、1つ又は2つ以上の締結具が、特定の実現形態において使用される場合、締結具が、その上に取り外し可能に結合若しくは溶接、半田付け、及び/又は圧着され得る。締結具並びに/又は部材28及び30は、放射線不透過性金属、例えば、白金又はタンタルなどで形成され得るか、又は放射線透過性材料、例えば、ステンレス鋼などで形成されてもよい。
【0032】
クリップ17をリング1に追加することによって、溶接、半田付けによる、若しくは化学的接着剤を通した本体12自体への永久的又は強固な取り付けを用いずに、各リング1が、本体12と絡み合わされること、並びに本体12の内部及び外部部分の両方に機能可能に取り付けることが可能になる。一旦、部材32及び34が本体12と共に効果的に組立てられると、編組部材22はまた、リング1から独立して動くことができ、それは、永久的又は強固な取り付けが、別様に、拡張リングと共に組立てられるときに本体12を拡張させるという悪影響を解消する。連結部46はまた、本体12及びリング1が使用中であるときに、リング1が所定の量だけ屈曲することができるように、回転可能及び/又は捩れ可能な連結部であってもよい。
【0033】
図4は、本体12と共に組立てられたときの例示的なリング1の前方平面図であり、非圧縮状態での本体12の内腔20に関してクリップ17の各々及び対応する連結部46を示す。本明細書に開示されるリング1は、必要性又は好みにより、必要又は要求に応じて任意の数のクリップ17と共に使用することが可能である。リング1は、所定の量だけ屈曲可能な圧縮要素であり得ることが理解されよう。この点で、リング1は、脈管構造内での展開前の圧縮された構成と、内腔20が圧縮された構成よりも大きい直径を有する展開した構成との間で移動することが可能である。細長い部材28及び/又は30もまた、圧縮に対する所定の抵抗性を伴って湾曲する曲線状又は弓形の部分を含んでもよい。リング1が特異的な脈管構造への実装のために個別化され得るように、リング1における部材28及び30の各対は、同じ又は異なる抵抗性を有してもよいことが理解されよう。加えて、部材28及び30リング1は、鋭角及び/又は斜角を有する、図1〜3に示されるようなV字形として形成されてもよい。しかしながら、リング1は、そのように限定されず、V字形である代わりに、部材28及び30は、接合部分において「U」字形、楕円形、略曲線状、ループ又は輪として形成することができる。
【0034】
本明細書に開示されるリング1及び対応するシステムは、部材32と34との間の細孔38において形成される外部アクセス点を利用すること、並びに部材34、及び対応する部材28及び30を介しての本体12の内部表面に沿った接続部を利用することによって、使用が容易で安全な編組ステントの製造を補助する。
【0035】
リング1及びその構成要素特徴は、ニチノールなどの超弾性材料で形成されてもよく、又は、ばね鋼若しくはMP35N(35重量%ニッケル、35重量%コバルト、20重量%クロム、及び10重量%モリブデンの合金)などの非超弾性材料で形成されてもよい。各リング1の部材28及び30もまた、開かれた状態で形状記憶位置を有する形状記憶材料から形成されてもよい。
【0036】
図5を参照すると、本体20の内腔20を有する本明細書に開示されるリング1のいずれかの1つ又は2つ以上を展開させる方法100。本方法100は、工程110〜140を含むことができる。工程110は、1つ又は2つ以上のリング1を本体20の内腔20と共に組立てることを含んでもよい。工程120は、各リング1が外向きに拡張する半径方向力を本体12に付与して、それによって内腔20を開かれた位置に維持し得るように、各リング1を内腔20の内部及び外部表面に選択的に取り付けることを含んでもよい。工程130は、クリップ17の外部部材34を内腔20の内部表面に摺動可能に取り付けることを含んでもよく、各外部支柱部材34は整列され、第1の交差部36から延在させられ、第1の交差部とは反対の端部(例えば、細孔(複数可)38)において接合されている。工程140は、クリップ17の部材32を内腔20の外部表面に摺動可能に含んでもよく、各部材32は、部材34間に形成された間隙5内に配設され、部材32は、整列され、第2の交差部37から延在させられている。
【0037】
他の工程、例えば、第1及び第2の交差部36、37とは反対の端部において1つ若しくは2つ以上の細孔38内で部材32及び34を一緒に取り付ける工程、部材34を内腔20の外部表面の中へ圧着する工程、金属合金チューブ構造により各リング1の形状記憶構成を形成する工程、クリップ17の第1及び第2の交差部36、37の上若しくはその周りに付勢要素を組み込むことによって部材32、34を一緒に付勢する工程、部材32、34を所定の距離だけ離間させる工程、並びに/又は部材32、34間の1つ若しくは2つ以上の細孔38において外部アクセス点を形成する工程などが、方法100に含まれてもよい。
【0038】
特定の構成、材料選択、並びに様々な要素のサイズ及び形状は、開示された技術の原理に従って構成されたシステム又は方法を必要とする特定の設計仕様書若しくは制約に従って変化し得る。そのような変更は、開示された技術の範囲内に包含される。したがって、本開示の実施形態は、あらゆる点において、例示的であり、限定的ではないと見なされる。したがって、以上のことから、開示の特定の形態を図示し説明したが、開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに種々の修正を行うことができ、その等価物の意味及び範囲内にある全ての変更が含まれることは明らかである。
【0039】
〔実施の態様〕
(1) 編組ステントシステムであって、
複数の編組部材によって形成された内腔を有し、前記複数の編組部材の間に隙間が形成されたステント本体と、
前記ステント本体の前記内腔の内部及び外部表面に機械的に結合された拡張リングであって、前記拡張リングが、前記ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成を備えるフレームを有し、
前記フレームが、外向きに拡張する半径方向力を前記ステント本体に付与し、前記フレームが、連結部において、並びに前記連結部とは反対の第1及び第2の交差部において接合された複数の細長い部材を備える、拡張リングと、
前記第1及び第2の交差部から延在させられ、かつ前記フレームを前記内腔の前記内部及び外部表面に摺動可能に固定するように機能することができる少なくとも1つのクリップと、を備え、
前記拡張リングが、フローダイバーターを受け入れるために開いて前記ステント本体を係留するように機能することができる、編組ステントシステム。
(2) 前記クリップが、
整列され、前記第1の交差部から延在させられ、かつ前記第1の交差部とは反対の端部において接合された複数の外部支柱部材であって、前記内腔の前記内部表面に沿って摺動可能である、複数の外部支柱部材と、
前記外部支柱部材間に形成された間隙内に配設された複数の中心支柱部材であって、整列され、前記第2の交差部から延在させられる、複数の中心支柱部材と、を備え、
前記中心支柱部材が、前記内腔の前記外部表面に沿って摺動可能であり、前記第2の交差部とは反対の端部において前記外部支柱部材と連通して細孔内に取り付けられている、実施態様1に記載のシステム。
(3) レーザーカットクリッピングパターンが、前記外部及び中心支柱部材の間に形成される、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記中心支柱部材が、前記外部支柱部材から所定の距離だけ離間配置される、実施態様2に記載のシステム。
(5) 前記中心及び外部支柱部材が、溶接、半田付け、又は糊付けされることによって、前記細孔において取り付けられている、実施態様2に記載のシステム。
【0040】
(6) 前記クリップが、
整列され、前記第1の交差部から延在させられ、かつ前記第1の交差部とは反対の端部において接合された複数の外部支柱部材と、
前記外部支柱部材間に形成された間隙内に配設された複数の中心支柱部材であって、整列され、前記第2の交差部から延在させられる、複数の中心支柱部材と、を備え、
前記中心支柱部材が、前記内腔の前記外部表面に沿って摺動可能であり、かつ前記中心支柱部材と前記第2の交差部との間に画定された抵抗要素によって内向きに付勢するように機能することができる、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記拡張リングの前記形状記憶構成が、金属合金チューブ構造を含む、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記金属合金がニッケルチタンであり、前記構造がレーザーカットされる、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記形状記憶構成が、開かれた状態において形状記憶位置を有する形状記憶材料から形成される、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記フレームの前記複数の細長い部材が湾曲されて、前記フレームを圧縮に対して抵抗性にし、前記細長い部材が、前記連結部の周りで所定の量だけ捩れ可能である、実施態様1に記載のシステム。
【0041】
(11) 前記複数の細長い部材のうちの少なくとも一対が、V字形、U字形、又は楕円形曲線で形成される、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記ステント本体が、近位端、遠位端、及びそれらの間に配設された中央部分を含み、
前記拡張リングが、前記ステント本体の前記遠位若しくは近位端上に又はそれに隣接して配設され、前記複数の細長い部材の前記連結部が、それぞれの前記遠位若しくは近位端において又はそれに隣接して接合される、実施態様1に記載のシステム。
(13) 前記ステント本体の前記内腔の前記内部及び外部表面に機械的に結合された第2の拡張リングであって、前記第2の拡張リングが、前記ステント本体の利用可能な拡張量よりも大きな直径を有する形状記憶構成を備える第2のフレームを有し、前記第2の拡張リングが、フローダイバーターを受け入れるために開いて前記ステント本体を係留するように機能することができ、前記第2のフレームが、第2の連結部において、並びに前記第2の連結部とは反対の第3及び第4の交差部において接合された複数の第2の細長い部材を備える、第2の拡張リングと、
前記第3及び第4の交差部から延在させられ、かつ前記第2のフレームを前記内腔の前記内部及び外部表面に摺動可能に固定するように機能することができる少なくとも1つの第2のクリップと、を更に備える、実施態様12に記載のシステム。
(14) 編組ステント本体を脈管の中に展開させる方法であって、
前記編組ステント本体の内腔と共に複数の拡張リングを組立てることであって、前記編組ステント本体の前記内腔が、複数の編組部材によって形成され、前記複数の編組部材の間に隙間が形成される、組立てることと、
前記編組ステント本体の前記内腔の内部及び外部表面に各拡張リングを選択的に取り付けることであって、各拡張リングが、外向きに拡張する半径方向力を前記編組ステント本体に付与し、それによって前記編組ステント本体の前記内腔を開かれた位置に維持し、
各拡張リングが、連結部において、並びに前記連結部とは反対の第1及び第2の交差部において接合された複数の細長い部材と、前記第1及び第2の交差部から延在させられ、かつ前記フレームを前記内腔の前記内部及び外部表面に固定するように機能することができる少なくとも1つのクリップと、を備える、取り付けることと、
前記クリップの複数の外部支柱部材を前記内腔の前記内部表面に摺動可能に取り付けることであって、各外部支柱部材が、整列され、前記第1の交差部から延在させられ、かつ前記第1の交差部とは反対の端部において接合される、取り付けることと、
前記クリップの複数の中心支柱部材を前記内腔の前記外部表面に摺動可能に取り付けることであって、各中心支柱部材が、前記外部支柱部材間に形成された間隙内に配設され、前記中心支柱部材が、整列され、前記第2の交差部から延在させられる、取り付けることと、を含む、方法。
(15) 前記中心及び外部支柱部材を、前記第2及び第1の交差部とは反対の端部において前記支柱部材と連通して細孔内で一緒に取り付けることを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0042】
(16) 金属合金チューブ構造により各拡張リングの前記形状記憶構成を形成することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記クリップの前記第1及び第2の交差部上又はその周りに付勢要素を組み込むことによって、前記中心及び外部支柱部材を一緒に付勢することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記外部及び中心支柱部材を所定の距離だけ離間させることを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記外部及び中心支柱部材の間の細孔において外部アクセス点を形成することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5