特許第6968629号(P6968629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6968629-分電盤 図000002
  • 特許6968629-分電盤 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968629
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20211108BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20211108BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   H02B1/40 A
   H02J13/00 301A
   G01R22/06 130E
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-170571(P2017-170571)
(22)【出願日】2017年9月5日
(65)【公開番号】特開2019-47684(P2019-47684A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−034924(JP,A)
【文献】 特開2014−193104(JP,A)
【文献】 特開2015−070686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
H02J 13/00
G01R 22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主幹ブレーカと、当該主幹ブレーカの2次側に設けられた主幹バーに接続された複数の分岐ブレーカと、個々の前記分岐ブレーカに流れる電流を計測する電流センサユニットと、前記分岐ブレーカに隣接して前記主幹バーに接続され、前記電流センサユニットが計測した分岐電流情報を受けて分岐電路毎の使用電力を演算して出力する電力情報出力部を備えた1つの電力情報送信ユニットとを有する分電盤であって、
前記電力情報送信ユニットは、接続された前記主幹バーを介して前記主幹ブレーカの一次側に設置されているスマートメータとPLC通信を実施するPLC通信部を備え、
PLC通信により入手した電力量データと共に、前記電流センサユニットから入手して演算した分岐電路の使用電力データを前記電力情報出力部から出力することを特徴とする分電盤。
【請求項2】
前記電力情報出力部は、LAN接続通信部、Wi−Fi通信部、IEEE802.15.1規格の通信を実施する通信部のうち少なくとも2種類の通信部を備えて、情報出力の信号形態を選択できることを特徴とする請求項1記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分電盤に関し、詳しくはスマートメータから電力量データを入手する機能を備えた分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住戸内で使用する電力を居住者が管理できるHEMSが注目されている。HEMSを構築することで無駄な電力使用を無くして使用電力を削減でき、特に電力量計がスマートメータである場合にスマートメータから電力量データを入手することで電力料金の削減を効果的に実施できるため、注目されている。
例えば、特許文献1では、分電盤内の例えば主幹ブレーカの一次側にスマートメータとPLC通信(電力線搬送通信)するPLCアダプタを配置して、このPLCアダプタに別途外部に設置されているHEMSコントローラと通信する機能を設け、住戸全体の使用電力の状況に応じて負荷である電気機器の制御を可能としている。
一方で、分岐電流情報を基に消費電力を演算して外部にデータを送信する通信計測ユニットがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−70687号公報
【特許文献2】特開2014−193104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のPLCアダプタは、スマートメータから送信される電力量データをHEMSコントローラ等に通知する機能を備えているが、個々の分岐電流を把握してはいないため、負荷の使用状況を十分把握することができなかった。
一方で、上記特許文献2の通信計測ユニットは、個々の負荷で消費される電力を計測できるが、電力量計(スマートメータ)が計測する電力の数値とは連動していないため、住戸全体の使用電力の管理には適していなかった。
そのため、PLCアダプタと通信計測ユニットの双方を使用して電力管理すれば、的確な管理が可能となるが、PLCアダプタと通信計測ユニットの双方を分電盤に組み込もうとすると分電盤の大型化は避けられなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、分岐電路の使用電力データとスマートメータからの電力量データの双方を管理する機器を収容しても大型化を防止できる分電盤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、主幹ブレーカと、当該主幹ブレーカの2次側に設けられた主幹バーに接続された複数の分岐ブレーカと、個々の分岐ブレーカに流れる電流を計測する電流センサユニットと、分岐ブレーカに隣接して主幹バーに接続され、電流センサユニットが計測した分岐電流情報を受けて分岐電路毎の使用電力を演算して出力する電力情報出力部を備えた1つの電力情報送信ユニットとを有する分電盤であって、電力情報送信ユニットは、接続された主幹バーを介して主幹ブレーカの一次側に設置されているスマートメータとPLC通信を実施するPLC通信部を備え、PLC通信により入手した電力量データと共に、電流センサユニットから入手して演算した分岐電路の使用電力データを電力情報出力部から出力することを特徴とする。
この構成によれば、1つの機器を分電盤に設けるだけで分岐電路の使用電力データに加えて住戸内で消費される全体の電力量データを居住者等が入手することができるため、的確な電力管理が可能となる。そして、電力情報送信ユニットは分岐ブレーカと同様に主幹バーに接続されるため、別途設置スペースを設ける必要が無く省スペースで組み付けでき分電盤の大型化を避けることができる。更に、スマートメータに近い分電盤内の主幹バーに電力情報送信ユニットが配置されるため、スマートメータと信頼性の高いPLC通信を実施できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、電力情報出力部は、LAN接続通信部、Wi−Fi通信部、IEEE802.15.1規格の通信を実施する通信部のうち少なくとも2種類の通信部を備えて、情報出力の信号形態を選択できることを特徴とする。
この構成によれば、出力信号の形態を選択できるため、複数種類のHEMS機器に対応でき、電力情報を入手するために新たな機器を設け無くて済む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの機器を分電盤に設けるだけで分岐電路の使用電力データに加えて住戸内で消費される詳細な電力データを居住者等が入手することができるため、的確な電力管理が可能となる。そして、電力情報送信ユニットは分岐ブレーカと同様に主幹バーに接続されるため、別途設置スペースを設ける必要が無く省スペースで組み付けでき分電盤の大型化を避けることができる。更に、スマートメータに近い分電盤内の主幹バーに電力情報送信ユニットが配置されるため、スマートメータと信頼性の高いPLC通信を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る分電盤の一例を模式的に示す構成図である。
図2】電力情報送信ユニットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る分電盤の一例を模式的に示した構成図であり、分電盤10には、主幹ブレーカ1、分岐ブレーカ2、電力データを外部に出力する電力情報送信ユニット3が組み付けられている。
主幹ブレーカ1の一次側には、電力量計であるスマートメータ4を介して商用電源からの引き込み線Lが接続されている。また、2次側は接続導体5を介して分電盤内において左右に亘り配設された主幹バー6が接続され、この主幹バー6を挟む様に分岐ブレーカ2が隣接して上下にそれぞれ列設されている。
【0011】
そして、21は個々の分岐ブレーカ2を流れる分岐電流を計測するための電流センサが組み付けられた電流センサ基板、22は計測した分岐電流情報を電力情報送信ユニットに送信するためのセンサ接続基板であり、双方で電流センサユニット20を構成し、これらは主幹バー6に重ねるように設置されている。
【0012】
電力情報送信ユニット3は、分岐ブレーカ2と同様に主幹バー6に接続する主幹バー接続部31(図2に示す)を有し、分岐ブレーカ2に隣接する所定の位置に組み付けられると主幹バー6に接続されて電源が供給される。
図2は電力情報送信ユニット3のブロック図を示している。図2に示すように電力情報送信ユニット3は、主幹バー接続部31に加えて、電流センサユニット20と通信する内部通信IF32、主幹バー6を介してスマートメータ4とPLC通信を実施するPLC通信IF33、LAN端子を有してLAN通信を実施する第1外部通信IF34、アンテナ35aを有してWi−Fi通信する第2外部通信IF35、アンテナ36aを有してBluetooth(登録商標)通信を実施する第3外部通信IF36、通信方式を選択操作する操作部37、電力情報送信ユニット3を制御する電力情報送信ユニットCPU38、そして主幹バー6に接続された電源部39等を備えている。第1〜第3外部通信IF34〜36が電力情報出力部を構成している。
【0013】
このように構成された分電盤10において、電力情報送信ユニット3は以下の様に動作する。先ず、信号を出力するインターフェースが選択される。この選択は操作部37が操作されて選択され、LAN、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)の少なくとも何れかが選択される。この選択操作は複数の通信形態を選択しても良い。
例えば、図示しないHEMSコントローラにLAN接続され、また例えば居住者が携行するスマートフォン等の機器とBluetooth(登録商標)通信を可能とする場合、第1外部通信IF34と第2外部通信IF35とが選択される。
尚、HEMSとはHome Energy Management Systemの略で、HEMSコントローラは、どこで、どのくらいの電力を使っているか表示する機能を有し、場合によっては電力の使用状況に応じて家電機器を制御する機能を備えた機器のことである。
【0014】
電力情報送信ユニット3は、引き込み線L、主幹バー6を介してスマートメータ4とPLCによるBルート通信を実施し、スマートメータ4から消費電力データを入手する。
また、電流センサユニット20から各分岐電路の電流情報を内部通信IF32を介して入手して、電源ラインを構成する主幹バー6から別途入手した電圧情報を基に分岐電路毎の使用電力を演算する。
こうして入手した消費電力データ、及び演算した各分岐電路の使用電力データは第1外部通信IF34を介してLAN接続されたHEMSコントローラに出力され、第2外部通信IF35を介してWi−Fi信号によりスマートフォン等に出力される。
【0015】
この構成によれば、1つの機器を分電盤10に設けるだけで分岐電路の使用電力データに加えて住戸内で消費される全体の電力量データを居住者等が入手することができるため、的確な電力管理が可能となる。そして、電力情報送信ユニット3は分岐ブレーカ2と同様に主幹バー6に接続されるため、別途設置スペースを設ける必要が無く省スペースで組み付けでき分電盤10の大型化を避けることができる。更に、スマートメータ4に近い分電盤10内の主幹バー6に電力情報送信ユニット3が配置されるため、スマートメータ4と信頼性の高いPLC通信を実施できる。
また、LAN、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)から出力信号の形態を選択できるため、複数種類のHEMS機器に対応でき、電力情報を入手するために新たな機器を設け無くて済む。
【0016】
尚、上記実施形態では、信号出力の形態が、LAN、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)から選択しているが、これにWi−SUN(登録商標)を加えても良い。
【符号の説明】
【0017】
1・・主幹ブレーカ、2・・分岐ブレーカ、3・・電力情報送信ユニット、4・・スマートメータ、6・・主幹バー、20・・電流センサユニット、31・・主幹バー接続部、33・・PLC通信IF(PLC通信部)、34・・第1外部通信IF(LAN接続通信部)、35・・第2外部通信IF(Wi−Fi通信部)、36・・第3外部通信IF(Bluetooth(登録商標)通信部)。
図1
図2