(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報と、前記入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答に至る過去の遷移履歴情報を、統計的に分析した分析結果を生成する情報分析装置と、
前記情報分析装置が生成した前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、前記最終応答の候補を推定し、推定した前記最終応答の候補を前記ユーザに提供する情報提供装置と
を備え、
前記遷移履歴情報には、前記最終応答に対する評価情報が含まれ、
前記情報分析装置は、前記評価情報を含む前記遷移履歴情報を統計的に分析し、前記評価情報に基づくユーザ満足度を含む前記分析結果を生成し、
前記情報提供装置は、前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、過去に提供した前記最終応答への到達確率を生成し、生成した当該到達確率及び前記ユーザ満足度に基づいて、前記最終応答の候補を推定する
ことを特徴とする情報提供システム。
前記情報提供装置は、前記到達確率と、前記ユーザ満足度と、過去に提供した前記最終応答までの前記対話処理の平均回数を示す平均処理回数とに基づいて、前記最終応答の候補を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
前記情報提供装置は、前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報と、前記新たな前記情報提供の状態に至るまでの遷移情報とに基づいて、前記最終応答の候補を推定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報提供システム。
情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報と、前記入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答に至る過去の遷移履歴情報を、統計的に分析して生成された分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、前記最終応答の候補を推定する候補推定部と、
前記候補推定部が推定した前記最終応答の候補を前記ユーザに提供する情報提供部と
を備え、
前記遷移履歴情報には、前記最終応答に対する評価情報が含まれ、
前記分析結果は、前記評価情報を含む前記遷移履歴情報を統計的に分析して、前記評価情報に基づくユーザ満足度を含んで生成され、
前記候補推定部は、前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、過去に提供した前記最終応答への到達確率を生成し、生成した当該到達確率及び前記ユーザ満足度に基づいて、前記最終応答の候補を推定する
ことを特徴とする情報提供装置。
情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報と、前記入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答に至る過去の遷移履歴情報を取得する履歴取得部と、
前記履歴取得部が取得した前記過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を生成し、生成した当該分析結果を、前記最終応答の候補を前記ユーザに提供する情報提供装置に出力する分析処理部と
を備え、
前記遷移履歴情報には、前記最終応答に対する評価情報が含まれ、
前記分析処理部は、
前記評価情報を含む前記遷移履歴情報を統計的に分析し、前記評価情報に基づくユーザ満足度を含む前記分析結果を生成し、
生成した当該分析結果を、前記最終応答の候補を前記ユーザに提供する前記情報提供装置であって、前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて生成した過去に提供した前記最終応答への到達確率及び前記ユーザ満足度に基づいて、前記最終応答の候補を推定する前記情報提供装置に出力する
ことを特徴とする情報分析装置。
情報分析装置が、情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報と、前記入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答に至る過去の遷移履歴情報を、統計的に分析した分析結果を生成する分析ステップと、
情報提供装置が、前記分析ステップによって生成された前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、前記最終応答の候補を推定し、推定した前記最終応答の候補を前記ユーザに提供する提供ステップと
を含み、
前記遷移履歴情報には、前記最終応答に対する評価情報が含まれ、
前記分析ステップにおいて、前記情報分析装置が、前記評価情報を含む前記遷移履歴情報を統計的に分析し、前記評価情報に基づくユーザ満足度を含む前記分析結果を生成し、
前記提供ステップにおいて、前記情報提供装置が、前記分析結果と、新たな前記情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、過去に提供した前記最終応答への到達確率を生成し、生成した当該到達確率及び前記ユーザ満足度に基づいて、前記最終応答の候補を推定する
ことを特徴とする情報提供方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態による情報提供システムについて、図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による情報提供システム1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報提供システム1は、ユーザ端末装置10と、管理サーバ20と、情報分析サーバ30と、情報提供サーバ40とを備えている。なお、ユーザ端末装置10と、管理サーバ20と、情報分析サーバ30と、情報提供サーバ40とは、ネットワークNW1を介して接続されている。
情報提供システム1は、例えば、カスタマサポートやヘルプデスクのQ&A処理(質問・回答処理)のように、ユーザとシステムとが対話的に入出力を繰り返す対話処理を行い、回答(最終応答)を提供するシステムである。なお、ここでの対話処理には、例えば、チャットボットのようなプログラム処理の他に、対話的処理による業務などの処理を含むものとする。
【0020】
ユーザ端末装置10は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)などのコンピュータ装置であり、ユーザが利用する端末装置である。ユーザ端末装置10は、ネットワークNW1を介して、情報提供サーバ40と接続し、情報提供サーバ40から提供された提供情報(例えば、選択肢や回答など)をユーザに提供するとともに、ユーザの入力情報をユーザ端末装置10に送信する。ユーザ端末装置10は、NW(ネットワーク)通信部11と、入力部12と、表示部13と、端末制御部14とを備えている。
【0021】
NW通信部11は、無線LAN(Local Area Network)通信、有線LAN通信などを利用してネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1を介して各種通信を行う。NW通信部11は、例えば、ネットワークNW1を介して、情報提供サーバ40に接続し、情報提供サーバ40との間で、各種通信を行う。
【0022】
入力部12は、例えば、キーボードやタッチパネルなどの入力装置であり、ユーザによる質問や選択肢の選択などのユーザの入力情報を受け付ける。入力部12は、受け付けたユーザの入力情報を端末制御部14に出力する。
表示部13(出力部の一例)は、例えば、液晶ディスプレイ装置などであり、各種情報を表示する。表示部13は、例えば、情報提供サーバ40から提供される選択肢や回答情報や、質問及び選択肢を選択する際の操作画面などを表示する。
【0023】
端末制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、ユーザ端末装置10を統括的に制御する。端末制御部14は、対話処理を利用したQ&A処理を実行する際に、入力部12が受け付けたユーザの入力情報を、NW通信部11を介して、情報提供サーバ40に送信する。また、端末制御部14は、NW通信部11を介して、情報提供サーバ40から受信した選択肢や回答情報などの各種情報を含む表示画面及び操作画面のデータを受信して、当該表示画面及び当該操作画面を表示部13に表示させる。
【0024】
管理サーバ20(管理装置の一例)は、情報提供システム1を管理するサーバ装置である。管理サーバ20は、例えば、対話処理に利用する選択肢及び回答を含む対話情報や、対話処理の遷移履歴を示す遷移履歴情報を記憶し管理する。管理サーバ20は、NW通信部21と、サーバ記憶部22と、サーバ制御部23とを備えている。
【0025】
NW通信部21は、無線LAN通信、有線LAN通信などを利用してネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1を介して各種通信を行う。NW通信部21は、例えば、ネットワークNW1を介して、情報分析サーバ30及び情報提供サーバ40に接続し、情報分析サーバ30及び情報提供サーバ40との間で、各種通信を行う。
サーバ記憶部22は、管理サーバ20が利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部22は、例えば、対話情報記憶部221と、遷移履歴記憶部222とを備えている。
【0026】
対話情報記憶部221は、例えば、Q&Aデータベースであり、階層構造で表現された選択肢及び回答を記憶する。対話情報記憶部221は、例えば、
図2に示すように、「子選択肢」と、「親選択肢」と、「回答」とを対応付けて記憶する。
【0027】
図2は、本実施形態における対話情報記憶部221のデータ例を示す図である。
この図において、「子選択肢」は、対話処理において、選択肢(選択先)としてユーザに提供する提供情報を示し、「親選択肢」は、Q&Aの対話処理の階層構造において、親の提供情報(選択元)を示している。また、「回答」は、回答に相当する提供情報を示している。なお、本実施形態において、「子選択肢」、「親選択肢」、及び「回答」は、提供情報に含まれる。
【0028】
図2に示す例では、「子選択肢」が“follow”に対応する「親選択肢」及び「回答」は、なしであり、「子選択肢」が“出張”、“各種申請”、及び“PCログ”に対応する「親選択肢」が、“follow”であることを示している。すなわち、ユーザ端末装置10の表示部13には、“follow”の質問メニューの選択肢として、“出張”、“各種申請”、及び“PCログ”が表示されることを示している。
【0029】
また、「子選択肢」が“宿泊費上限は?” に対応する「親選択肢」が、“出張”であり、「回答」が“費用上限は、・・・”であることを示している。すなわち、ユーザ端末装置10の表示部13には、“follow”の表示画面の状態(情報提供の状態)において“出張”が選択された場合に、さらに“出張”の選択肢として、“宿泊費上限は?”と、「回答」の“費用上限は、・・・”が表示されることを示している。
【0030】
図1の説明に戻り、遷移履歴記憶部222は、例えば、対話ログのデータベースであり、対話処理により最終的に提供された回答(最終応答)に至る過去の遷移履歴情報を記憶する。ここで、遷移履歴情報には、表示部13の表示画面の状態(情報提供の状態)と、当該表示画面の状態に対するユーザの入力情報と、当該入力情報に対して提供された提供情報(選択肢、回答など)とを含んでいる。遷移履歴記憶部222は、例えば、
図3に示すように、「処理NO」と、「遷移情報」と、「表示状態」と、「入力情報」と、「評価情報」と、「ユーザID」とを対応付けて遷移履歴情報として記憶する。
【0031】
図3は、本実施形態における遷移履歴記憶部222のデータ例を示す図である。
この図において、「処理NO」は、例えば、Q&A処理などの処理番号であり、「遷移情報」は、対話処理の回数(ステップ数)示す情報である。また、「入力情報」は、入力部12によって入力された質問、及び、選択した情報などのユーザの入力情報を示している。また、「評価情報」は、満足(Good)、不満足(NG)などの回答に対して満足したか否かを示す情報であり、「ユーザID」は、ユーザの識別を識別する識別情報を示す。
【0032】
図3に示す例では、「処理NO」の“1”では、「表示状態」の“スタート画面”にて「入力情報」の“社員証落した”が入力されて、「表示状態」の“応答1画面”に遷移し、“応答1画面”にて「入力情報」の“見つかりました”が入力され、「表示状態」の“応答3画面”に遷移したことを示している。また、“応答3画面”にて「入力情報」の“はい”が入力され、「表示状態」の“回答”に遷移し、「評価情報」が“満足”であったことを示している。このように、遷移履歴記憶部222は、対話処理により回答に至る遷移履歴情報を記憶する。
【0033】
再び、
図1の説明に戻り、サーバ制御部23は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、管理サーバ20を統括的に制御する。サーバ制御部23は、例えば、遷移履歴記憶部222への遷移履歴情報を記憶させる処理や、対話情報記憶部221が記憶する対話情報の管理処理を実行する。サーバ制御部23は、履歴記録部231と、登録処理部232とを備えている。
【0034】
履歴記録部231は、ネットワークNW1を介して、情報提供サーバ40から遷移履歴情報(対話ログ)を取得して、遷移履歴記憶部222に記録する。すなわち、履歴記録部231は、取得した遷移履歴情報(対話ログ)を、上述した
図3に示すように、遷移履歴記憶部222に記憶させる。
登録処理部232は、システム運用者などの管理者の指示に基づいて、対話情報記憶部221が記憶する対話情報の登録、更新、削除などのメンテナンス処理を実行する。
【0035】
情報分析サーバ30(情報分析装置の一例)は、上述した遷移履歴情報を統計的に分析するサーバ装置である。情報分析サーバ30は、例えば、ネットワークNW1を介して、管理サーバ20の遷移履歴記憶部222から、過去の遷移履歴情報を取得し、取得した過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を生成する。情報分析サーバ30は、NW通信部31と、サーバ記憶部32と、サーバ制御部33とを備えている。
【0036】
NW通信部31は、無線LAN通信、有線LAN通信などを利用してネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1を介して各種通信を行う。NW通信部31は、例えば、ネットワークNW1を介して、管理サーバ20及び情報提供サーバ40に接続し、管理サーバ20及び情報提供サーバ40との間で、各種通信を行う。
サーバ記憶部32は、情報分析サーバ30が利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部32は、例えば、分析結果記憶部321を備えている。
【0037】
分析結果記憶部321は、情報分析サーバ30が、過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を記憶する。分析結果記憶部321は、例えば、
図4に示すようなランダムウォークによる対応処理の遷移を集計した分析結果を記憶する。なお、分析結果の詳細については、
図4を参照して後述する。
【0038】
サーバ制御部33は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、情報分析サーバ30を統括的に制御する。サーバ制御部33は、例えば、過去の遷移履歴情報を取得し、取得した過去の遷移履歴情報に基づいて、ランダムウォークによる遷移確率を算出して、統計的に分析する。サーバ制御部33は、履歴取得部331と、分析処理部332とを備えている。
【0039】
履歴取得部331は、ネットワークNW1を介して、管理サーバ20の遷移履歴記憶部222から、過去の遷移履歴情報を取得する。すなわち、履歴取得部331は、表示画面の状態(情報提供の状態)と、当該表示画面の状態に対するユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報(例えば、選択肢など)とを含み、対話処理により最終的に提供された回答(最終応答)に至る過去の遷移履歴情報を取得する。
【0040】
分析処理部332は、履歴取得部331が取得した過去の遷移履歴情報を統計的に分析し、分析した分析結果を生成する。分析処理部332は、例えば、過去の遷移履歴情報を統計的に分析し、
図4に示すような分析結果を生成するともに、ランダムウォークによる遷移確率を算出する。また、分析処理部332は、ユーザが回答に満足したか否かを示す評価情報を含む遷移履歴情報を統計的に分析し、評価情報に基づくユーザ満足度を含む分析結果を生成する。分析処理部332は、生成した分析結果を、分析結果記憶部321に記憶させる。
【0041】
なお、分析処理部332は、情報提供サーバ40の要求に応じて、分析結果記憶部321に記憶させた分析結果を、NW通信部31を介して、情報提供サーバ40に送信する。すなわち、分析処理部332は、履歴取得部331が取得した過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を生成し、生成した当該分析結果を、回答の候補(以下、回答候補と表記することがある)をユーザに提供する情報提供サーバ40に出力する。
【0042】
図4は、本実施形態における遷移履歴情報の分析結果の一例を示す図である。
図4に示す例は、分析処理部332が、遷移履歴情報における各状態の遷移を集計した分析結果を示している。この図に示すように、分析処理部332は、遷移履歴情報から各状態遷移の回数を集計する。また、分析処理部332は、
図4に示すような集計結果からランダムウォークによる遷移確率を算出する。
分析処理部332は、例えば、
図4に示す「応答1」における遷移確率を下記の式(1)により算出する。
【0044】
ここで、
図4において、「応答1」から「応答2」への状態遷移の回数が8回であり、「応答1」から「応答3」への状態遷移の回数が9回であるそのため、分析処理部332は、式(1)に示すように、「応答1」から「応答2」への遷移確率を“8/17”と算出し、「応答1」から「応答3」への遷移確率を“9/17”と算出する。分析処理部332は、このような演算処理を各状態(各情報提供の状態)について実行し、各状態(各情報提供の状態)に対応する遷移確率を算出する。分析処理部332は、算出した遷移確率を含めた分析結果を、分析結果記憶部321に記憶させる。
【0045】
また、分析処理部332は、上述したユーザ満足度を、下記の式(2)により算出し、ユーザ満足度を含む分析結果を生成する。
【0047】
ここで、満足数は、回答に対して“満足”が選択された回数であり、不満足数は、回答に対して“不満足”が選択された回数である。
【0048】
図1の説明に戻り、情報提供サーバ40(情報提供装置の一例)は、ユーザとの対話処理を実行し、ユーザ端末装置10に提供情報を提供する、例えば、ウェブサーバ装置である。また、情報提供サーバ40は、例えば、ネットワークNW1を介して、情報分析サーバ30の分析結果記憶部321から分析結果を取得し、取得した分析結果と、対話処理による新たな情報提供の状態及び当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、回答候補を推定する。情報提供サーバ40は、推定した回答候補を、ネットワークNW1を介して、ユーザ端末装置10に提供する。
また、情報提供サーバ40は、NW通信部41と、サーバ記憶部42と、サーバ制御部43とを備えている。
【0049】
NW通信部41は、無線LAN通信、有線LAN通信などを利用してネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1を介して各種通信を行う。NW通信部41は、例えば、ネットワークNW1を介して、ユーザ端末装置10、管理サーバ20、及び情報分析サーバ30に接続し、ユーザ端末装置10、管理サーバ20、及び情報分析サーバ30との間で、各種通信を行う。
【0050】
サーバ記憶部42は、情報提供サーバ40が利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部42は、例えば、推定した回答(最終応答)の候補などを記憶する。また、サーバ記憶部42は、候補記憶部421を備えている。
候補記憶部421は、情報分析サーバ30による分析結果に基づいて推定した回答候補を記憶する。
【0051】
サーバ制御部43は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、情報提供サーバ40を統括的に制御する。サーバ制御部43は、情報分析サーバ30の分析結果記憶部321が記憶する分析結果に基づいて、回答候補を推定する。また、サーバ制御部43は、例えば、ユーザの入力情報、管理サーバ20の対話情報記憶部221が記憶する対話情報、及び候補記憶部421が記憶する回答候補などに基づいて、ウェブデータ(HTML(Hyper Text Markup Language)データ)を生成し、当該ウェブデータをユーザ端末装置10に送付することで、対話処理を実現する。
また、サーバ制御部43は、対話制御部431と、候補推定部432とを備えている。
【0052】
対話制御部431は、ユーザ端末装置10を介したユーザとの対話処理を制御する。対話制御部431は、例えば、管理サーバ20の対話情報記憶部221が記憶する対話情報に基づいて、表示画面データであるウェブデータを生成する。対話制御部431は、生成したウェブデータを、NW通信部41を介して、ユーザ端末装置10に送信し、例えば、
図5に示すような表示画面をユーザ端末装置10の表示部13に表示させる。
【0053】
図5は、本実施形態における対話処理の表示画面の一例を示す図である。
図5において、表示画面G1は、ユーザ端末装置10の表示部13に表示されたヘルプデスクにおける初期画面を示している。表示画面G1には、初期画面の選択肢が表示されており、選択領域W1により、入力部12から選択肢を選択可能になっている。表示画面G1には、質問や検索内容を入力可能な入力領域W2が表示されており、入力部12によって、質問や検索内容を入力することが可能である。なお、ユーザ端末装置10は、選択領域W1の選択肢の選択情報や入力領域W2の入力情報を、ユーザの入力情報として、情報提供サーバ40に送信する。
【0054】
また、対話制御部431は、NW通信部41を介して、ユーザ端末装置10からユーザの入力情報を取得し、取得したユーザの入力情報に対応した回答候補を含むウェブデータを生成し、NW通信部41を介して、当該ウェブデータをユーザ端末装置10に送信する。なお、対話制御部431は、回答候補を、例えば、候補記憶部421から取得する。
【0055】
また、対話制御部431は、上述したような対話処理の遷移履歴情報を、NW通信部41を介して、管理サーバ20に送信し、遷移履歴記憶部222に、遷移履歴情報を記憶させる。なお、対話制御部431は、対話処理の遷移の終了を、回答に達した場合に終了として判定してもよいし、所定の時間、ユーザの入力がない場合に、遷移の終了と判定するようにしてもよい。また、対話制御部431は、回答に到達した場合に、回答に対する評価情報(例えば、「いいね」ボタンや、回答に満足したか否かの情報など)を取得し、取得した評価情報を含めた遷移履歴情報を管理サーバ20に送信して遷移履歴記憶部222に記憶させる。
【0056】
候補推定部432は、NW通信部41を介して、情報分析サーバ30が生成した分析結果を取得し、取得した分析結果と、ユーザ端末装置10の新たな表示状態(情報提供の状態)と、ユーザ端末装置10から取得したユーザの入力情報とに基づいて、回答候補を推定する。候補推定部432は、例えば、分析結果と、新たな情報提供の状態及びユーザの入力情報とに基づいて、過去に提供した回答への到達確率を生成し、生成した当該到達確率に基づいて、回答候補を推定する。
【0057】
具体的に、候補推定部432は、分析結果に含まれる上述した各表示状態(情報提供の状態)の遷移確率に基づいて、過去に提供した回答への到達確率を生成する。ここで、候補推定部432は、到達確率を、回答までの遷移における各表示状態の遷移確率を積算して算出する。例えば、
図4に示す遷移において、「回答1」の到達確率は、下記の式(3)により算出される。
【0059】
すなわち、候補推定部432は、
図4に示す「回答1」の到達確率を、式(3)により、“14/31”と算出する。分析処理部332は、このような到達確率の算出処理を、各回答について実行し、全回答のうち、到達確率が高い回答を回答候補として推定する。なお、回答候補は、到達確率が高い複数の回答(例えば、3件の回答など)であってもよい。分析処理部332は、推定した回答候補を、候補記憶部421に記憶させる。
【0060】
また、候補推定部432は、到達確率を、
図3に示す「ユーザID」や、これに対応する属性などにより、個人ごと、又は属性ごとの条件付きの到達確率として算出し、当該条件付きの到達確率の高い回答を回答候補として推定するようにしてもよい。
また、候補推定部432は、上述したユーザ満足度を考慮して、下記の式(4)のように、到達確率にユーザ満足度を積算した優先指標を算出して、当該優先指標に基づいて、回答候補を推定してもよい。
【0062】
なお、ユーザ満足度は、上述した式(2)により算出される。また、この場合に、候補推定部432は、式(4)に示す優先指標が高い回答を回答候補として推定する。
【0063】
また、候補推定部432は、回答までのやり取り平均回数(平均処理回数)を考慮して、優先指標を下記の式(5)により算出するようにしてもよい。
【0065】
ここで、「到達するまでの平均処理回数」は、上述した回答に到達するまでの対話処理の平均回数を示す。
また、候補推定部432は、式(5)に示す優先指標に基づいて、回答候補を推定した場合には、ユーザの満足度が高いが、到達し難い回答を優先して回答候補に推定する。
【0066】
次に、図面を参照して、本実施形態による情報提供システム1の動作について説明する。
図6は、本実施形態による情報提供システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図6では、情報提供システム1の遷移履歴の分析処理及び回答候補をユーザに提示する処理について説明する。なお、管理サーバ20の遷移履歴記憶部222には、
図3に示すような過去の遷移履歴情報が蓄積されているものとする。
【0067】
図6において、情報分析サーバ30は、まず、遷移履歴情報を分析するか否かを判定する(ステップS101)。例えば、情報分析サーバ30のサーバ制御部33は、例えば、定期的に、又は管理者の分析処理の指示により、遷移履歴情報を分析するか否かを判定する。サーバ制御部33は、分析を行う場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、サーバ制御部33は、分析を行わない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS105に進める。
【0068】
ステップS102において、サーバ制御部33の履歴取得部331は、遷移履歴情報を取得する。履歴取得部331は、例えば、NW通信部31を介して、管理サーバ20の遷移履歴記憶部222から管理履歴情報を取得する。
【0069】
次に、サーバ制御部33の分析処理部332は、取得した遷移履歴情報を統計的に分析する(ステップS103)。分析処理部332は、例えば、
図4に示すような集計処理を行い、ランダムウォークによる遷移確率を各状態について算出する(上述の式(1)参照)。また、分析処理部332は、式(2)により、ユーザ満足度を算出する。
【0070】
次に、分析処理部332は、分析結果を記憶する(ステップS104)。分析処理部332は、遷移確率及びユーザ満足度を含む分析結果を、分析結果記憶部321に記憶させる。
【0071】
ステップS105において、情報提供サーバ40は、ユーザの入力情報があるか否かを判定する。情報提供サーバ40の対話制御部431は、例えば、
図7に示す表示画面G1のような画面をユーザ端末装置10の表示部13に表示させている際に、入力部12を介して、ユーザの入力情報があるか否かを判定する。対話制御部431は、ユーザの入力情報がある場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS106に進める。また、対話制御部431は、ユーザの入力情報がない場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0072】
ステップS106において、情報提供サーバ40の候補推定部432は、入力画面及び入力情報と、分析結果とに基づいて、回答候補を推定する。すなわち、
図7に示す表示画面G2の状態と、ユーザの入力情報(例えば、“DTS”という入力情報)と、分析結果記憶部321が記憶する分析結果とに基づいて、回答候補を推定する。
具体的に、候補推定部432は、上述した式(3)にしますような到達確率を各回答に対して算出し、当該到達確率が高い回答候補を推定する。なお、候補推定部432は、上述した式(4)又は式(5)のような優先指標に基づいて、回答候補を推定するようにしてもよい。
【0073】
次に、対話制御部431は、推定した回答候補を、ユーザに提示する(ステップS107)。すなわち、対話制御部431は、回答候補を表示させるウェブデータを生成し、NW通信部41を介して、ユーザ端末装置10に送信する。ユーザ端末装置10の端末制御部14は、受信したウェブデータにより表示部13に回答候補を表示させて、ユーザに提示する。ステップS107の処理後に、対話制御部431は、処理をステップS101に戻す。
【0074】
図7は、本実施形態による情報提供システム1の動作の一例を説明する。
図7において、表示画面G2は、選択肢を表示している状態で、ユーザにより、“DTS”という入力情報が入力された画面を示している。情報提供サーバ40は、“DTS”という入力情報に対して、上述した
図6に示す処理により回答候補を推定し、表示領域W3に示すような回答候補を、ユーザ端末装置10の表示部13に表示させる。
【0075】
次に、ユーザが回答候補の1つを選択すると、情報提供サーバ40は、表示画面G3に示すように、回答及び評価情報の入力ボタンを、ユーザ端末装置10の表示部13に表示させる。なお、
図7に示す一例では、情報提供サーバ40は、複数の回答候補を表示部13に表示させて、ユーザに選択させる例を説明したが、1つの回答候補を表示部13に表示させるようにしてもよい。
【0076】
次に、本実施形態による情報提供システム1の変形例について説明する。
図8は、本実施形態における遷移履歴情報の分析結果の変形例を示す図である。
図8に示す例は、分析処理部332が、遷移履歴情報における各状態の遷移を、遷移経路を考慮して集計した分析結果の変形例を示している。この図において、「頻度」は、遷移経路ごとに回答に到達した回数を示している。
【0077】
図8に示す変形例の場合、候補推定部432は、分析結果に含まれる上述した「頻度」を利用して、遷移経路ごとの回答への到達確率を生成し、当該到達確率に基づいて、回答候補を推定する。
【0078】
また、
図9は、本実施形態による情報提供システムの変形例の動作を示すフローチャートである。この図では、情報提供サーバ40が、回答候補を推定する際に、表示状態に至るまでの遷移情報を考慮して、回答候補を推定する変形例について説明する。
【0079】
図9において、ステップS201からステップS205までの処理は、上述した
図6に示すステップS101からステップS105までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。なお、ステップS203における分析処理は、例えば、
図8のように、遷移経路を考慮して集計した分析結果を、分析処理部332が生成するものとする。
【0080】
ステップS206において、情報提供サーバ40の候補推定部432は、入力画面及び入力情報と、分析結果と、当該入力画面に至るまでの遷移履歴(遷移経路)とに基づいて、回答候補を推定する。例えば、
図8において、「応答2」から各回答への到達確率は、「Start」から直接「応答2」に遷移した場合と、「応答1」を経由して「応答2」に遷移した場合とで異なっている。そのため、この変形例では、候補推定部432は、遷移履歴(遷移経路)を考慮することで、異なる回答候補を推定する場合がある。
【0081】
続く、ステップS207の処理は、上述した
図6に示すステップS107の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
なお、本実施形態による情報提供システム1は、データの数に応じて、上述した
図6に示す処理と、
図9に示す処理とを切り替えて実行してもよい。すなわち、情報提供サーバ40は、データの数に応じて、新たな情報提供の状態に至るまでの遷移情報に基づいて、回答候補を推定するか否かを切り替えるようにしてもよい。ここで、データの数には、トランザクション数(回答に達した処理数)、ユーザ数、遷移履歴情報の数などが含まれる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態による情報提供システム1は、情報分析サーバ30(情報分析装置)と、情報提供サーバ40(情報提供装置)とを備える。情報分析サーバ30は、表示状態(情報提供の状態)と、当該表示状態に対するユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報(例えば、選択肢や応答など)とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(例えば、回答)に至る過去の遷移履歴情報を、統計的に分析した分析結果を生成する。そして、情報提供サーバ40は、情報分析サーバ30が生成した分析結果と、新たな表示状態と、当該表示状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、最終応答の候補(回答候補)を推定し、推定した最終応答の候補(回答候補)をユーザに提供する。
【0083】
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、遷移履歴情報を統計的に分析して、最終応答の候補(回答候補)を推定するため、多様な状況に対応させつつ、最終応答(回答)にたどり着くまでの時間を短縮することができる。
【0084】
また、本実施形態では、情報提供サーバ40は、分析結果と、新たな表示状態と、当該表示状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、過去に提供した回答への到達確率を生成し、生成した当該到達確率に基づいて、回答候補を推定する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、到達確率を生成することで定量的に回答候補を推定することが可能になり、簡易な手法により、回答にたどり着くまでの時間を短縮することができる。
【0085】
また、本実施形態では、遷移履歴情報には、回答に対する評価情報(例えば、回答が満足であるか否か)が含まれる。情報分析サーバ30は、評価情報を含む遷移履歴情報を統計的に分析し、評価情報に基づくユーザ満足度を含む分析結果を生成する。そして、情報提供サーバ40は、到達確率及びユーザ満足度に基づいて、回答候補を推定する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、ユーザの満足度を考慮して、回答候補を適切に推定することができる。
【0086】
また、本実施形態では、情報提供サーバ40は、到達確率と、ユーザ満足度と、過去に提供した回答までの対話処理の平均回数を示す平均処理回数とに基づいて、回答候補を推定する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、例えば、ユーザの満足度が高いが、到達し難い回答を優先して回答候補に推定することができる。この場合、到達し難い回答は、到達するまでに時間を要するため、本実施形態による情報提供システム1は、回答にたどり着くまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0087】
また、本実施形態では、情報分析サーバ30は、ランダムウォークによる遷移確率を算出して、過去の遷移履歴情報を統計的に分析する。情報提供サーバ40は、遷移確率に基づく到達確率により、回答候補を推定する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、ランダムウォークによる遷移確率を利用することで、さらに簡易な手法により、回答候補を推定することができる。
【0088】
また、本実施形態では、情報提供サーバ40は、分析結果と、新たな情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報と、新たな情報提供の状態に至るまでの遷移情報とに基づいて、回答候補を推定する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、遷移経路を考慮した最適な回答候補を推定することが可能になる。また、本実施形態による情報提供システム1は、例えば、ユーザの意図理解の促進や,抑えるべき途中状態を意図的に経由するような応答の提示が可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、情報提供サーバ40は、データの数に応じて、新たな表示状態に至るまでの遷移情報に基づいて、回答候補を推定するか否かを切り替える。
これにより、本実施形態による情報提供システム1は、例えば、トランザクション数(回答に達した処理数)が多く蓄積された場合に、表示状態に至るまでの遷移情報を考慮しるなど、データの数に応じて、適切な手法を切り替えることができる。よって、本実施形態による情報提供システム1は、回答候補をさらに適切に推定することができる。
【0090】
また、本実施形態による情報提供サーバ40(情報提供装置)は、候補推定部432と、対話制御部431(情報提供部)とを備える。候補推定部432は、分析結果と、新たな情報提供の状態と、当該情報提供の状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、最終応答(例えば、回答)の候補を推定する。ここで、分析結果は、表示状態(情報提供の状態)と、当該表示状態に対するユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報(例えば、選択肢や応答など)とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答に至る過去の遷移履歴情報を、統計的に分析した分析結果を生成されている。そして、対話制御部431は、候補推定部432が推定した最終応答の候補(回答候補)をユーザに提供する。
これにより、本実施形態による情報提供サーバ40は、上述した情報提供システム1と同様の効果を奏し、多様な状況に対応させつつ、最終応答(回答)にたどり着くまでの時間を短縮することができる。
【0091】
また、本実施形態による情報分析サーバ30(情報分析装置)は、履歴取得部331と、分析処理部332とを備える。履歴取得部331は、表示状態(情報提供の状態)と、当該表示状態に対するユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報(例えば、選択肢や応答など)とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(例えば、回答)に至る過去の遷移履歴情報を取得する。そして、分析処理部332は、履歴取得部331が取得した過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を生成し、生成した当該分析結果を、最終応答の候補(回答候補)をユーザに提供する情報提供サーバ40に出力する。
これにより、本実施形態による情報分析サーバ30は、情報提供サーバ40に分析結果を出力することで、最終応答の候補(回答候補)を適切に推定させることができる。よって、本実施形態による情報分析サーバ30は、上述した情報提供システム1と同様の効果を奏し、多様な状況に対応させつつ、最終応答(回答)にたどり着くまでの時間を短縮することができる。
【0092】
また、本実施形態による情報提供方法は、上述した情報提供システム1における情報提供方法であって、分析ステップと、提供ステップとを含んでいる。分析ステップにおいて、情報分析サーバ30が、表示状態(情報提供の状態)と、当該表示状態に対するユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報(例えば、選択肢や応答など)とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(例えば、回答)に至る過去の遷移履歴情報を、統計的に分析した分析結果を生成する。そして、提供ステップにおいて、情報提供サーバ40が、分析ステップによって生成された分析結果と、新たな表示状態と、当該表示状態に対するユーザの入力情報とに基づいて、最終応答の候補(回答候補)を推定し、推定した最終応答の候補(回答候補)をユーザに提供する。
これにより、本実施形態による情報提供方法は、上述した情報提供システム1と同様の効果を奏し、多様な状況に対応させつつ、最終応答(回答)にたどり着くまでの時間を短縮することができる。
【0093】
なお、上述した本実施形態による情報提供システム1は、管理サーバ20と、情報分析サーバ30と、情報提供サーバ40とを備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、管理サーバ20と、情報分析サーバ30と、情報提供サーバ40とが1つの装置で構成されるようにしてもよい。また、管理サーバ20と、情報分析サーバ30と、情報提供サーバ40との各構成の一部又は全部が、他のサーバ装置に含まれるようにしてもよい。
【0094】
また、上述した本実施形態による情報提供システム1では、遷移履歴情報を統計的に分析する処理の一例として、
図4又は
図8のような遷移の集計、及びランダムウォークを利用して遷移確率の算出を行う例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、分析処理部332は、統計的な分析処理として、遷移履歴情報に基づいて、機械学習処理を実行し、学習結果(学習モデル)を分析結果として生成するようにしてもよい。この場合、候補推定部432は、学習結果(学習モデル)に基づいて、回答候補を推定する。なお、機械学習の手法としては、例えば、デープラーニング(深層学習)、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシンなどの手法を適用してもよいし、他の機械学習の手法を適用してもよい。
【0095】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による情報提供システム1aについて説明する。
図10は、本実施形態による情報提供システム1aの一例を示すブロック図である。
図10に示すように、情報提供システム1aは、ユーザ端末装置10と、管理サーバ20aと、情報分析サーバ30aと、情報提供サーバ40と、管理者端末装置50とを備えている。なお、ユーザ端末装置10と、管理サーバ20aと、情報分析サーバ30aと、情報提供サーバ40と、管理者端末装置50とは、ネットワークNW1を介して接続されている。
【0096】
情報提供システム1aは、第1の実施形態と同様に、例えば、カスタマサポートやヘルプデスクのQ&A処理(質問回答処理)のように、ユーザとシステムとが対話的に入出力を繰り返す対話処理を行い、回答(最終応答)を提供するシステムである。
なお、
図10において、
図1と同一の構成は、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
本実施形態では、管理サーバ20a及び情報分析サーバ30aの処理が異なる点と、管理者端末装置50を備える点が、第1の実施形態と異なる。
【0097】
情報分析サーバ30a(情報分析装置の一例)は、遷移履歴情報を統計的に分析するサーバ装置である。情報分析サーバ30aは、第1の実施形態と同様に、例えば、ネットワークNW1を介して、管理サーバ20aの遷移履歴記憶部222から、過去の遷移履歴情報を取得し、取得した過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を生成する。また、情報分析サーバ30aは、遷移履歴情報に基づいて、回答に対する満足度と、回答の探し易さを示す検索容易度とを回答ごとに生成する。また、情報分析サーバ30aは、NW通信部31と、サーバ記憶部32aと、サーバ制御部33aとを備えている。
【0098】
サーバ記憶部32aは、情報分析サーバ30aが利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部32aは、例えば、分析結果記憶部321aを備えている。
分析結果記憶部321aは、情報分析サーバ30aが、過去の遷移履歴情報を統計的に分析した分析結果を記憶する。分析結果記憶部321aは、上述した第1の実施形態の分析結果記憶部321と同様の分析結果に加えて、回答ごとの満足度及び検索容易度を記憶する。なお、満足度及び検索容易度の詳細については、後述する。
【0099】
サーバ制御部33aは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、情報分析サーバ30aを統括的に制御する。サーバ制御部33aは、上述した第1の実施形態のサーバ制御部33と同様の処理を実行するとともに、回答ごとの満足度及び検索容易度を生成する。サーバ制御部33aは、履歴取得部331と、分析処理部332aとを備えている。
【0100】
分析処理部332aは、上述した第1の実施形態の分析処理部332aと同様の処理を実行するとともに、回答ごとの満足度及び検索容易度を生成する。具体的に、分析処理部332aは、履歴取得部331が取得した過去の遷移履歴情報に基づいて、下記の式(6)により、満足度を算出する。
【0102】
すなわち、分析処理部332aは、回答に対して満足した満足数から、回答に対して満足しなかった不満足数を減算して、満足度を生成する。
また、分析処理部332aは、履歴取得部331が取得した過去の遷移履歴情報に基づいて、下記の式(7)により、検索容易度を算出する。
【0104】
すなわち、分析処理部332aは、回答に到達した処理件数を、回答に到達するまでに要した対話処理の回数で除算して、検索容易度を生成する。
また、分析処理部332aは、生成した回答ごとの満足度及び検索容易度と、分析結果とを、分析結果記憶部321aに記憶させる。なお、分析処理部332aは、情報提供サーバ40の要求に応じて、分析結果記憶部321aに記憶させた分析結果を、NW通信部31を介して、情報提供サーバ40に送信する。また、分析処理部332aは、管理サーバ20aの要求に応じて、分析結果記憶部321aに記憶させた回答ごとの満足度及び検索容易度を、NW通信部31を介して、管理サーバ20aに送信する。
【0105】
管理サーバ20a(管理装置の一例)は、情報提供システム1aを管理するサーバ装置である。管理サーバ20aは、第1の実施形態と同様に、例えば、対話処理に利用する選択肢及び回答を含む対話情報や、対話処理の遷移履歴を示す遷移履歴情報を記憶し管理する。また、管理サーバ20aは、情報分析サーバ30aが生成した満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理結果を、システム運用者などの管理者に提示する。
【0106】
例えば、管理サーバ20aは、満足度及び検索容易度を2軸とした座標図面である4象限マトリックスを、統計的な処理結果として、管理者に提示する。具体的に、管理サーバ20aは、4象限マトリックスを、ネットワークNW1を介して管理者端末装置50に送信して、管理者端末装置50の表示部53に、
図11に示すような4象限マトリックスを表示させる。
【0107】
図11は、本実施形態における4象限マトリックスの一例を示すブロック図である。
図11に示す4象限マトリックスは、横軸が「探し易さ」を示す検索容易度であり、縦軸が「ユーザ満足度」を示す満足度である2軸グラフである。この4象限マトリックスに記載された各点が、各回答に対応する。管理サーバ20aは、このような4象限マトリックスを、システム運用者などの管理者に提示する。
【0108】
図10の説明に戻り、管理サーバ20aは、NW通信部21と、サーバ記憶部22aと、サーバ制御部23aとを備えている。
【0109】
サーバ記憶部22aは、管理サーバ20aが利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部22aは、例えば、対話情報記憶部221と、遷移履歴記憶部222と、4象限図記憶部223とを備えている。
4象限図記憶部223は、上述した
図11に示すような4象限マトリックスを記憶する。
【0110】
サーバ制御部23aは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、管理サーバ20aを統括的に制御する。サーバ制御部23aは、上述した第1の実施形態のサーバ制御部23と同様の処理を実行するとともに、満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理を実行し、当該統計的な処理結果をシステム運用者などの管理者に提示する処理を実行する。サーバ制御部23aは、履歴記録部231と、登録処理部232と、統計処理部233と、情報提供部234とを備えている。
【0111】
統計処理部233は、上述した満足度及び検索容易度に基づいて、統計的な処理を実行する。統計処理部233は、NW通信部21を介して、情報分析サーバ30aの分析結果記憶部321aから回答ごとの満足度及び検索容易度を取得する。統計処理部233は、例えば、取得した満足度及び検索容易度を2軸とした座標図面である4象限マトリックスを、統計的な処理結果として生成する。統計処理部233は、生成した4象限マトリックスを4象限図記憶部223に記憶させる。
【0112】
情報提供部234は、統計処理部233が生成した統計的な処理結果である4象限マトリックスを、システム運用者などの管理者に提示する。情報提供部234は、例えば、後述する管理者端末装置50の要求に応じて、4象限図記憶部223が記憶する4象限マトリックスを読み出し、当該4象限マトリックスを、NW通信部21を介して、管理者端末装置50に送信する。すなわち、情報提供部234は、4象限マトリックスを管理者端末装置50に送信して、管理者端末装置50の表示部53に表示させることで、管理者に提示する。
【0113】
管理者端末装置50は、例えば、PCなどのコンピュータ装置であり、システムの管理者が利用する端末装置である。管理者端末装置50は、ネットワークNW1を介して、管理サーバ20aと接続し、管理サーバ20aから送信された統計的な処理結果(例えば、4象限マトリックスなど)を管理者に提示するとともに、対話情報の登録、更新、削除などのメンテナンス処理の指示を管理サーバ20aに送信する。管理者端末装置50は、NW通信部51と、入力部52と、表示部53と、端末制御部54とを備えている。
【0114】
NW通信部51は、無線LAN通信、有線LAN通信などを利用してネットワークNW1に接続し、ネットワークNW1を介して各種通信を行う。NW通信部51は、例えば、ネットワークNW1を介して、管理サーバ20aに接続し、管理サーバ20aとの間で、各種通信を行う。
【0115】
入力部52は、例えば、キーボードやタッチパネルなどの入力装置であり、管理者によるメンテナンス処理の指示などの入力情報を受け付ける。入力部52は、管理者より、対話情報記憶部221が記憶する対話情報の登録、更新、削除などの指示や登録又は更新の情報を受け付ける。入力部52は、受け付けた入力情報を端末制御部54に出力する。
【0116】
表示部53(出力部の一例)は、例えば、液晶ディスプレイ装置などであり、各種情報を表示する。表示部53は、例えば、管理サーバ20aから送信される4象限マトリックスなどの統計的な処理結果や、メンテナンス処理のための表示画面などを表示する。
【0117】
端末制御部54は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、管理者端末装置50を統括的に制御する。端末制御部54は、情報提供システム1aのメンテナンスや運用管理を行う際に、入力部52が受け付けたメンテナンス処理の指示などの各種入力情報を、NW通信部51を介して、管理サーバ20aに送信する。また、端末制御部54は、NW通信部11を介して、管理サーバ20aから受信した象限マトリックスなどの統計的な処理結果や、メンテナンス処理のための表示画面を受信して、当該統計的な処理結果や当該表示画面などを表示部53に表示させる。
【0118】
次に、図面を参照して、本実施形態による情報提供システム1aの動作について説明する。
本実施形態による情報提供システム1aの遷移履歴の分析処理及び回答候補をユーザに提示する処理については、第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0119】
図12は、本実施形態による情報提供システム1aの動作の一例を示すフローチャートである。
図12では、情報提供システム1が、遷移履歴情報から満足度及び検索容易度を生成し、当該満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理結果を、管理者に提示する処理について説明する。
【0120】
図12において、まず、情報分析サーバ30aが、遷移履歴情報に基づいて、回答ごとの満足度と検索容易度とを生成する(ステップS301)。すなわち、情報分析サーバ30aの分析処理部332aは、履歴取得部331が管理サーバ20aの遷移履歴記憶部222から取得した過去の遷移履歴情報に基づいて、上述した式(6)により、各回答に対応する満足度を算出する。また、分析処理部332aは、過去の遷移履歴情報に基づいて、上述した式(7)により、各回答に対応する検索容易度を算出する。
【0121】
次に、管理サーバ20aは、満足度及び検索照度を2軸とした4象限マトリックスを生成する(ステップS302)。すなわち、管理サーバ20aの統計処理部233は、NW通信部21を介して、情報分析サーバ30aの分析結果記憶部321aから回答ごとの満足度及び検索容易度を取得する。そして、統計処理部233は、取得した満足度及び検索容易度を2軸とした座標図面である4象限マトリックスを、統計的な処理結果として生成する。なお、統計処理部233は、生成した4象限マトリックスを4象限図記憶部223に記憶させる。
【0122】
次に、管理サーバ20aは、4象限マトリックスを提示する(ステップS303)。すなわち、管理サーバ20aの情報提供部234は、4象限図記憶部223が記憶する4象限マトリックスを読み出し、当該4象限マトリックスを、NW通信部21を介して、管理者端末装置50に送信して、管理者端末装置50の表示部53に表示させることで、管理者に提示する。ステップS303の処理後に、管理サーバ20aは、処理を終了する。
【0123】
次に、本実施形態による情報提供システム1aの変形例について説明する。
図13は、本実施形態による情報提供システム1aの変形例の動作を示すフローチャートである。この図では、情報提供サーバ40が、4象限マトリックスとともに、クラスタリングにより分類したグループにより、共通する特徴を抽出した特徴情報を提示する変形例について説明する。
【0124】
図13において、ステップS401からステップS403までの処理は、上述した
図12に示すステップS301からステップS303までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
ステップS404において、統計処理部233は、クラスタリング処理を実行する。統計処理部233は、4象限マトリックス上の各回答をクラスタリングによりグループに分類する。
【0125】
次に、統計処理部233は、クラスタリングされたグループに共通する特徴情報を抽出する(ステップS405)。統計処理部233は、例えば、共通する特徴情報として、例えば、単語、形容詞、文の長さ、表現などの言語的な特徴、回答の配置位置やそれまでの遷移履歴などの提供情報(回答、応答など)の遷移に関する特徴、及び提供情報(回答、応答など)の階層に関する特徴などを抽出する。なお、統計処理部233は、これらの特徴情報のうちの少なくとも1つを抽出するようにしてもよい。
【0126】
次に、情報提供部234は、特徴情報を提示する(ステップS406)。情報提供部234は、抽出した特徴情報を、NW通信部21を介して、管理者端末装置50に送信して、管理者端末装置50の表示部53に表示させることで、管理者に提示する。ステップS406の処理後に、管理サーバ20aは、処理を終了する。
【0127】
なお、本実施形態による情報提供システム1aにおいて、管理サーバ20aは、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報(回答、応答など)の階層ごとに、4象限マトリックス又は特徴情報を提示するようにしてもよい。すなわち、統計処理部233は、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報(回答、応答など)の階層ごとに、4象限マトリックスを生成してもよい。
【0128】
この場合、情報提供部234は、統計処理部233は、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報(回答、応答など)の階層ごとの4象限マトリックスを、管理者端末装置50に送信して、管理者端末装置50の表示部53に表示させることで、管理者に提示する。
ここで、ユーザの属性には、例えば、営業職、技術職、所属部署、年齢、性別、職業などの情報が含まれる。また、所定の期間には、年度の開始時期、年末時期などの期間情報が含まれる。
【0129】
また、統計処理部233は、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報(回答、応答など)の階層ごとに、上述した特徴情報を抽出してもよい。この場合、情報提供部234は、統計処理部233は、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報(回答、応答など)の階層ごとの特徴情報を、NW通信部21を介して、管理者端末装置50に送信して、管理者端末装置50の表示部53に表示させることで、管理者に提示する。
また、管理サーバ20aは、抽出した特徴情報に基づいて、対話情報記憶部221が記憶する対話情報の改善案又は改良案を立案し、立案した改善案又は改良案を管理者に提示するようにしてもよい。
【0130】
また、上述した本実施形態による情報提供システム1aでは、管理サーバ20aが、クラスタリングにより、特徴情報を抽出して提示する例を説明したが、管理サーバ20aは、特徴情報を提示せずに、4象限マトリックスに、クラスタリングによるグループ分けを表示させるようにしてもよい。また、管理サーバ20aは、4象限マトリックスの各点である各回答に対応する遷移履歴情報の詳細を表示させて、管理者に提示するようにしてもよい。
【0131】
また、上述した本実施形態による情報提供システム1aにおいて、情報分析サーバ30aの分析処理部332aは、遷移履歴情報に基づいて、ユーザの入力情報の遷移(例えば、連続する2つの入力情報(問合せ)の組)を集計してもよい。この場合、管理サーバ20aは、情報分析サーバ30aが集計した入力情報の遷移の集計結果に基づいて、使用頻度の高い入力情報(問合せ)の組を提示するようにしてもよい。例えば、管理サーバ20aは、使用頻度の高い入力情報(問合せ)の組を使用頻度に応じて、大きな文字で表示するようにしてもよい。
【0132】
また、分析処理部332aは、使用頻度の高い入力情報(問合せ)の組を、遷移履歴情報に基づいて、最終応答(回答)まで到達した場合と、最終応答(回答)に到達できずに検索し直した場合とを、切り分けて集計するようにしてもよい。これにより、本実施形態による情報提供システム1aは、最終応答(回答)に到達する可能性の高い有効な入力情報(問合せ)の組を抽出することが可能になる。
【0133】
以上説明したように、本実施形態による情報提供システム1aは、情報分析サーバ30a(情報分析装置)と、管理サーバ20a(管理装置)とを備える。情報分析サーバ30a(情報分析装置)は、最終応答(例えば、回答)に対する評価情報を含む遷移履歴情報に基づいて、最終応答(回答)に対する満足度と、最終応答(回答)の探し易さを示す検索容易度とを最終応答(回答)ごとに生成する。ここで、遷移履歴情報は、ユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報(例えば、選択肢や応答など)とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(回答)に至る過去の遷移履歴情報である。管理サーバ20aは、情報分析サーバ30aが生成した満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理結果をシステム運用者などの管理者に提示する。
【0134】
これにより、本実施形態による情報提供システム1aは、ユーザの満足度と、探し易さを示す検索容易度とに基づく統計的な処理結果が提示されるため、管理者が、対話処理における各選択肢や回答の利用状況の評価を適切に行うことができ、回答などの応答や選択肢、対話処理のフローなどを適切に改善することができる。本実施形態による情報提供システム1aは、例えば、FAQにおける選択肢と回答の内容や順序を含む、対話的な処理におけるワークフローを改善することができる。
【0135】
また、本実施形態では、評価情報には、回答に対して満足したか否かの情報が含まれる。情報分析サーバ30aは、回答に対して満足した満足数から回答に対して満足しなかった不満足数を減算して、満足度を生成する。また、情報分析サーバ30aは、回答に到達した処理件数を、回答に到達するまでに要した対話処理の回数で除算して、検索容易度を生成する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1aは、簡易な処理により、満足度及び検索容易度を適切に生成することができる。
【0136】
また、本実施形態では、管理サーバ20aは、満足度及び検索容易度を2軸とした座標図面である4象限マトリックスを、統計的な処理結果として提示する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1aは、満足度及び検索容易度を可視化することが可能であり、管理者は、回答などの応答や選択肢などの具体的な改善案(改良案)を把握し易くなる。例えば、低い満足度、且つ、高い検索容易度の回答である場合に、管理者は、回答文を修正することで改善が可能であり、高い満足度、且つ、低い検索容易度の回答である場合に、管理者は、回答の配置場所を修正することで改善が可能である。
【0137】
すなわち、本実施形態による情報提供システム1aでは、管理者は回答の利用頻度だけでなく満足度や探し易さ(検索容易度)の観点からその使い易さを把握し、回答内容や置き場所の変更といった改善アクションを取ることができる。
また、本実施形態による情報提供システム1aでは、4象限マトリックスにより可視化することにより、例えば、改善前と改善後の4象限マトリックスを比較することにより、改善効果を視覚的に確認することができる。
【0138】
また、本実施形態では、管理サーバ20aは、クラスタリングにより分類したグループに含まれる回答に共通する特徴を抽出した特徴情報を提示する。ここで、回答のグループは、4象限マトリックス上の回答をクラスタリングにより分類したグループである。
これにより、本実施形態による情報提供システム1aでは、回答に共通する特徴を抽出した特徴情報を把握することで、回答などの応答や選択肢などをさらに適切に改善することができる。本実施形態による情報提供システム1aでは、例えば、良い回答及び悪い回答の典型的なパターン(例えば、ベスト/ワーストプラクティス)を把握することができ,回答などの応答や選択肢などの改善に役立てることができる。
【0139】
また、本実施形態では、特徴情報には、言語的な特徴、提供情報の遷移に関する特徴、及び、提供情報の階層に関する特徴のうちの少なくとも1つが含まれる。管理サーバ20aは、言語的な特徴、提供情報の遷移に関する特徴、及び、提供情報の階層に関する特徴のうちの少なくとも1つを、特徴情報として提示する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1aでは、回答などの応答や選択肢などの問題点を正確に把握することが可能になり、さらに適切に改善することができる。
【0140】
また、本実施形態では、管理サーバ20aは、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報の階層ごとに、4象限マトリックス又は特徴情報を提示する。
これにより、本実施形態による情報提供システム1aでは、管理者は、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報の階層ごとの4象限マトリックス又は特徴情報を把握することができるため、ユーザの属性ごと、所定の期間ごと、又は提供情報の階層ごとに適切な改善を行うことができる。
【0141】
例えば、営業職と技術職と、或いは、新入社員と役職者とでは、遷移履歴情報の傾向が異なる可能性がある。また、年度開始時期と年末時期とでは、遷移履歴情報の傾向が変化することが考えられる。本実施形態による情報提供システム1aでは、このような遷移履歴情報の傾向の変化に対応した適切な改善を行うことができる。
【0142】
また、本実施形態による管理サーバ20a(管理装置)は、統計処理部233と、情報提供部234とを備える。統計処理部233は、遷移履歴情報に基づいて最終応答(例えば、回答)ごと生成された、最終応答(回答)に対する満足度及び最終応答(回答)の探し易さを示す検索容易度に基づく統計的な処理を実行する。ここで、遷移履歴情報は、ユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(回答)に至る過去の遷移履歴情報であって、最終応答(回答)に対する評価情報を含む。情報提供部234は、統計処理部233が実行した統計的な処理結果を管理者に提示する。
これにより、本実施形態による管理サーバ20aは、上述した情報提供システム1aと同様の効果を奏し、最終応答(回答)などの応答や選択肢、対話処理のフローなどを適切に改善することができる。
【0143】
また、本実施形態による管理方法は、上述した情報提供システム1aの管理方法であって、情報分析ステップと、提示ステップとを含む。情報分析ステップにおいて、情報分析サーバ30aが、遷移履歴情報に基づいて、最終応答(例えば、回答)に対する満足度と、最終応答(回答)の探し易さを示す検索容易度とを最終応答(回答)ごとに生成する。ここで、遷移履歴情報は、ユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(回答)に至る過去の遷移履歴情報であって、最終応答(回答)に対する評価情報を含む。提示ステップにおいて、管理サーバ20aが、情報分析ステップによって生成された満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理結果を管理者に提示する。
これにより、本実施形態による管理方法は、上述した情報提供システム1aと同様の効果を奏し、最終応答(回答)などの応答や選択肢、対話処理のフローなどを適切に改善することができる。
【0144】
次に、
図14を参照して、本実施形態の別の変形例について説明する。
図14は、本実施形態による情報提供システム1aの変形例を示すブロック図である。
図14に示すように、変形例による情報提供システム1bは、ユーザ端末装置10と、管理サーバ20bと、情報分析サーバ30bと、情報提供サーバ40と、管理者端末装置50とを備えている。なお、ユーザ端末装置10と、管理サーバ20bと、情報分析サーバ30bと、情報提供サーバ40と、管理者端末装置50とは、ネットワークNW1を介して接続されている。
【0145】
なお、
図14において、
図10と同一の構成は、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
本変形例では、上述した
図10に示す管理サーバ20aが備えていた、統計処理部233及び4象限図記憶部223と同様の構成を、情報分析サーバ30bが備える点が異なる。
【0146】
情報分析サーバ30b(情報分析装置の一例)は、遷移履歴情報を統計的に分析するサーバ装置である。情報分析サーバ30bは、遷移履歴情報に基づいて、回答に対する満足度と、回答の探し易さを示す検索容易度とを回答ごとに生成する。また、情報分析サーバ30bは、満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理を実行する。また、情報分析サーバ30bは、NW通信部31と、サーバ記憶部32bと、サーバ制御部33bとを備えている。
【0147】
サーバ記憶部32bは、情報分析サーバ30bが利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部32bは、例えば、分析結果記憶部321aと、4象限図記憶部323とを備えている。
4象限図記憶部323は、上述した
図10に示す4象限図記憶部223と同様に、
図11に示すような4象限マトリックスを記憶する。
【0148】
サーバ制御部33bは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、情報分析サーバ30bを統括的に制御する。サーバ制御部33bは、上述した
図10に示すサーバ制御部33aと同様の処理を実行するとともに、回答ごとの満足度及び検索容易度に基づく4象限マトリックスを生成する。サーバ制御部33bは、履歴取得部331と、分析処理部332aと、統計処理部333とを備えている。
【0149】
統計処理部333は、分析処理部332aが生成した満足度及び検索容易度に基づいて、統計的な処理を実行する。統計処理部333は、分析結果記憶部321aから回答ごとの満足度及び検索容易度を取得する。統計処理部333は、例えば、取得した満足度及び検索容易度を2軸とした座標図面である4象限マトリックスを、統計的な処理結果として生成する。統計処理部333は、生成した4象限マトリックスを4象限図記憶部323に記憶させる。
【0150】
管理サーバ20b(管理装置の一例)は、情報提供システム1bを管理するサーバ装置である。管理サーバ20bは、NW通信部21と、サーバ記憶部22と、サーバ制御部23bとを備えている。
【0151】
サーバ制御部23bは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、管理サーバ20bを統括的に制御する。サーバ制御部23bは、上述した
図10に示すサーバ制御部23aの統計処理部233を備えない点を除いて、サーバ制御部23aと同様である。
なお、本変形例では、情報提供部234は、NW通信部21を介して、情報分析サーバ30bから4象限マトリックス及び特徴情報を取得し、当該4象限マトリックス及び特徴情報を、NW通信部21を介して、管理者端末装置50に送信する。
【0152】
このように、
図14に示す情報提供システム1bでは、情報分析サーバ30b(情報分析装置)は、分析処理部332aと、統計処理部333とを備える。分析処理部332aは、遷移履歴情報に基づいて、最終応答(例えば、回答)に対する満足度と、最終応答(回答)の探し易さを示す検索容易度とを最終応答(回答)ごとに生成する。ここで、遷移履歴情報は、ユーザの入力情報と、入力情報に対して提供された提供情報とを含み、対話処理により最終的に提供された最終応答(回答)に至る過去の遷移履歴情報であって、最終応答(回答)に対する評価情報を含む。統計処理部333は、分析処理部332aが生成した満足度及び検索容易度に基づく統計的な処理を実行する。
これにより、情報提供システム1b及び情報分析サーバ30bは、上述した情報提供システム1aと同様の効果を奏し、最終応答(回答)などの応答や選択肢、対話処理のフローなどを適切に改善することができる。
【0153】
なお、上述した本実施形態による情報提供システム1a(1b)は、管理サーバ20a(20b)と、情報分析サーバ30a(30b)と、情報提供サーバ40と、管理者端末装置50とを備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、管理サーバ20a(20b)と、情報分析サーバ30a(30b)と、情報提供サーバ40とが1つの装置で構成されるようにしてもよい。また、管理サーバ20a(20b)と、情報分析サーバ30a(30b)と、情報提供サーバ40との各構成の一部又は全部が、他のサーバ装置に含まれるようにしてもよい。
【0154】
また、上述した本実施形態による情報提供システム1a(1b)では、満足度を、上述した式(6)により生成する例を説明したが、この満足度の代わりに、第1の実施形態の式(2)により生成されるユーザ満足度を用いるようにしてもよい。また、満足度は、情報提供システム1a(1b)を利用するユーザに対するものの他に、管理者、システム、及び第三者などに対するものであってもよい。すなわち、満足度には、ユーザ、管理者、システム、及び第三者などの評価情報に基づく満足度が含まれる。
【0155】
また、評価情報は、評価されたか否かの2値の情報に限定されるものではなく、連続値や、例えば、評価レベルのように3値以上の多値の情報であってもよい。また、評価情報が連続値や多値である場合には、本実施形態による情報提供システム1a(1b)は、例えば、評価情報の平均値などを、満足度としてもよい。
【0156】
また、上述した本実施形態による情報提供システム1a(1b)において、統計的処理の一例として、4象限マトリックスを生成する例を説明したが、これに限定されるものではなく、満足度及び検索容易度に基づいて、対話情報や対話処理のフローを評価可能な指標であれば、他の統計的処理であってもよい。
【0157】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、最終応答の一例として回答を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、最終的な問いかけなどの応答であってもよい。また、上記の各実施形態は、最終応答の代わりに、途中結果を含む出力結果に対して適用してもよい。ここでの出力結果には、最終応答だけではなく、途中結果の応答結果を含まれる。
【0158】
また、上記の各実施形態において、管理サーバ20(20a、20b)と、情報分析サーバ30(30a、30b)と、情報提供サーバ40との各サーバ装置が備えるサーバ記憶部22(22a、32、32a、32b、42)は、各サーバ装置の外部に外部記憶装置として備える形態であってもよい。なお、外部記憶装置として備える場合には、各サーバ装置に、直接接続されてもよいし、ネットワークNW1を介して説側されるようにしてもよい。
【0159】
また、上記の各実施形態において、ユーザ端末装置10の入力部12は、マイクなどの音声によりに情報を入力する構成であってもよい。また、ユーザ端末装置10の出力部の一例として、表示部13を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、スピーカなどの音により、選択肢や回答などの応答を、提供情報として出力するようにしてもよい。
【0160】
また、上記の各実施形態において、情報提供の状態の一例として、表示部13の表示状態を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、情報提供の状態は、例えば、スピーカからの音により選択肢や回答などの応答を出力した状態であってもよいし、ユーザの入力情報を待っている状態であれば、他の状態であってもよい。
【0161】
また、上述した第2の実施形態において、情報提供システム1a(1b)は、第1の実施形態における回答候補の推定機能を含む例を説明したが、回答候補の推定機能を含まない形態であってもよい。
また、上述した第2の実施形態において、ユーザ端末装置10と、管理者端末装置50とを異なる装置で構成する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザ端末装置10が、管理者端末装置50の機能を備え、1つの装置で構成するようにしてもよい。
【0162】
なお、上述した情報提供システム1(1a、1b)が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した情報提供システム1(1a、1b)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報提供システム1(1a、1b)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0163】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報提供システム1(1a、1b)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0164】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。