(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御手段は、かごが登録階で停止している間、前記乗り場表示器及び前記かご内表示器へのコンテンツの表示を停止するよう制御することを特徴とする請求項2に記載のエレベーター表示システム。
前記表示制御手段は、かごが行先階に向けて移動を開始したことにより停止中のコンテンツの表示を再開する際、所定時間巻き戻してから当該コンテンツを前記かご内表示器に表示するよう制御することを特徴とする請求項3に記載のエレベーター表示システム。
前記算出手段は、前記登録操作がされてからかごが行先階の登録階に到着するまでに要する移動時間及び当該利用者が登録階でかごに乗車してからかごが行先階に到着するまでに要する移動時間を算出し、算出した各移動時間にかごの登録階での停止時間を合算することでエレベーター走行時間を算出することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター表示システム。
前記算出手段は、利用者が乗り場において前記登録操作をしたことによってエレベーター走行時間を算出した後に、他の利用者が前記登録操作をしたことによってかごが前記乗り場以外の階で停止するようになる場合、当該停止する階でのかご停止時間を考慮して、エレベーター走行時間を再計算し、
前記選択手段は、前記算出手段によりエレベーター走行時間が再計算されると前記かご停止時間と同様の時間長のコンテンツを追加して選択し、
前記表示制御手段は、前記選択手段により追加して選択されたコンテンツの表示を制御することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター表示システム。
前記選択手段は、前記算出手段によりエレベーター走行時間が再計算されたときに未表示のコンテンツがある場合、未表示のコンテンツを、未表示のコンテンツの表示時間と前記かご停止時間の合計時間と同様の時間長のコンテンツで差し替えることを特徴とする請求項6に記載のエレベーター表示システム。
前記表示制御手段は、複数の利用者がかごに乗車している間、前記選択手段により複数の利用者がそれぞれ前記登録操作をしたことに伴い選択されているコンテンツを前記かご内表示器に表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター表示システム。
前記表示制御手段は、いずれかの利用者が降車した後、かごに乗車中の利用者に対応するコンテンツのみを前記かご内表示器に表示するよう制御することを特徴とする請求項8に記載のエレベーター表示システム。
前記表示制御手段は、複数の利用者が同じ乗り場で前記登録操作をした場合、複数の利用者が乗り場にいる間、前記選択手段により複数の利用者がそれぞれ前記登録操作をしたことに伴い選択されているコンテンツを前記乗り場表示器に表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター表示システム。
エレベーターの乗り場に設置される乗り場表示器及びエレベーターのかご内に設置されるかご内表示器での表示対象となる複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、
乗り場において利用者が行先階の登録操作をしたときに、登録操作がされてからかごが当該利用者の乗車後登録された行先階に到着するまでに要する時間をエレベーター走行時間として算出する算出手段、
前記算出手段により算出されたエレベーター走行時間に基づき前記コンテンツ記憶手段の中からコンテンツを選択する選択手段、
前記選択手段により選択されたコンテンツの前記乗り場表示器及び前記かご内表示器への表示を制御する表示制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、かご内で表示するコンテンツと乗り場で表示するコンテンツとに関連性を持たせていなかった。そのため、表示するコンテンツの長さは、乗り場でのかごの待機時間及びかごへの乗車時間それぞれより短いコンテンツを選択せざるを得なかった。
【0006】
本発明は、乗り場での行先階登録から乗車後行先階にかごが到着するまでの時間を総合的に考慮して表示するコンテンツを選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベーター表示システムは、エレベーターの乗り場に設置される乗り場表示器と、エレベーターのかご内に設置されるかご内表示器と、前記各表示手段での表示対象となる複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、乗り場において利用者が行先階の登録操作をしたときに、登録操作がされてからかごが当該利用者の乗車後登録された行先階に到着するまでに要する時間をエレベーター走行時間として算出する算出手段と、前記算出手段により算出されたエレベーター走行時間に基づき前記コンテンツ記憶手段の中からコンテンツを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたコンテンツの前記乗り場表示器及び前記かご内表示器への表示を制御する表示制御手段と、を有するものである。
【0008】
また、前記選択手段は、エレベーター走行時間と同様の時間長のコンテンツを選択し、前記表示制御手段は、前記選択手段により選択されたコンテンツを、前記利用者が乗り場にいるときには前記乗り場表示器に、前記利用者がかごに乗車した後は前記かご内表示器に、続けて表示するよう制御するものである。
【0009】
また、前記表示制御手段は、かごが登録階で停止している間、前記乗り場表示器及び前記かご内表示器へのコンテンツの表示を停止するよう制御するものである。
【0010】
また、前記表示制御手段は、かごが行先階に向けて移動を開始したことにより停止中のコンテンツの表示を再開する際、所定時間巻き戻してから当該コンテンツを前記かご内表示器に表示するよう制御するものである。
【0011】
また、前記算出手段は、前記登録操作がされてからかごが行先階の登録階に到着するまでに要する移動時間及び当該利用者が登録階でかごに乗車してからかごが行先階に到着するまでに要する移動時間を算出し、算出した各移動時間にかごの登録階での停止時間を合算することでエレベーター走行時間を算出するものである。
【0012】
また、前記算出手段は、利用者が乗り場において前記登録操作をしたことによってエレベーター走行時間を算出した後に、他の利用者が前記登録操作をしたことによってかごが前記乗り場以外の階で停止するようになる場合、当該停止する階でのかご停止時間を考慮して、エレベーター走行時間を再計算し、前記選択手段は、前記算出手段によりエレベーター走行時間が再計算されると前記かご停止時間と同様の時間長のコンテンツを追加して選択し、前記表示制御手段は、前記選択手段により追加して選択されたコンテンツの表示を制御するものである。
【0013】
また、前記選択手段は、前記算出手段によりエレベーター走行時間が再計算されたときに未表示のコンテンツがある場合、未表示のコンテンツを、未表示のコンテンツの表示時間と前記かご停止時間の合計時間と同様の時間長のコンテンツで差し替えるものである。
【0014】
また、前記表示制御手段は、複数の利用者がかごに乗車している間、前記選択手段により複数の利用者がそれぞれ前記登録操作をしたことに伴い選択されているコンテンツを前記かご内表示器に表示するよう制御するものである。
【0015】
また、前記表示制御手段は、いずれかの利用者が降車した後、かごに乗車中の利用者に対応するコンテンツのみを前記かご内表示器に表示するよう制御するものである。
【0016】
また、前記表示制御手段は、複数の利用者が同じ乗り場で前記登録操作をした場合、複数の利用者が乗り場にいる間、前記選択手段により複数の利用者がそれぞれ前記登録操作をしたことに伴い選択されているコンテンツを前記乗り場表示器に表示するよう制御するものである。
【0017】
本発明に係るプログラムは、エレベーターの乗り場に設置される乗り場表示器及びエレベーターのかご内に設置されるかご内表示器での表示対象となる複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、乗り場において利用者が行先階の登録操作をしたときに、登録操作がされてからかごが当該利用者の乗車後登録された行先階に到着するまでに要する時間をエレベーター走行時間として算出する算出手段、前記算出手段により算出されたエレベーター走行時間に基づき前記コンテンツ記憶手段の中からコンテンツを選択する選択手段、前記選択手段により選択されたコンテンツの前記乗り場表示器及び前記かご内表示器への表示を制御する表示制御手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、乗り場での行先階登録から乗車後行先階にかごが到着するまでの時間を総合的に考慮して表示するコンテンツを選択することができる。これにより、利用者は、乗り場で行先階を登録してからかごに乗車し、かごが行先階に到着するまでの間、コンテンツを連続して見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るエレベーター表示システムの一実施の形態を示すブロック構成図である。本実施の形態におけるエレベーター表示システム1は、エレベーターが設置されている施設において表示器への表示の制御を行うための構成要素を有するシステムである。本実施の形態では、施設としてビルを想定して説明する。ビルには、エレベーター装置が設置されており、エレベーター装置のかご2の中には、かご2の利用者向けにコンテンツを表示する表示器(以下、「かご内表示器」ともいう)3が設置されている。また、ビルの各階にある乗り場4にも、かご2の到着を待つ利用者向けにコンテンツを表示する表示器(以下、「乗り場表示器」ともいう)5が設置されている。表示器3,5は、設置場所に適応した大きさの液晶パネル等で実現される。乗り場4には、更に利用者が乗り場4にかご2を呼ぶと共に行先階を指定するために操作する行先階登録操作盤6が設置されている。
【0022】
なお、ビルの各階には、同等の機能を有する表示器5及び行先階登録操作盤6が設置されているので、
図1には、便宜的に1組(1階分)のみ図示した。また、ビルには、複数のかご2が設置されていてもよいが、各かご2のかご内表示器3に対して同等の表示制御を行うので、
図1には、便宜的に1台のかご2のみ図示した。また、本実施の形態では、かご2が1台のみ設置されるもの、あるいは1台のかご2に着目して説明する。
【0023】
図1に示す操作受付部11、エレベーター(EV)運行制御部12、エレベーター(EV)走行時間算出部13、コンテンツ管理部14及びコンテンツ情報記憶部15は、エレベーター表示システム1の中核を成す構成要素であり、1又は複数のコンピュータにより実現される。エレベーター監視装置を実現する既存のコンピュータを利用してもよい。各構成要素11〜15は、同じ1台のコンピュータに搭載されていても、複数のコンピュータに分散して搭載されていてもよい。
【0024】
コンピュータは、CPU、ROM、RAM、記憶手段としてハードディスクドライブ(HDD)、ユーザインタフェースを構成する入力手段としてマウスやキーボード及び表示手段としてディスプレイ、通信手段としてネットワークインタフェースを有している。構成要素11〜14は、コンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、コンテンツ情報記憶部15は、HDDにて実現される。
【0025】
本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0026】
操作受付部11は、行先階登録操作盤6に対する利用者の操作内容、具体的には利用者が指定した行先階を受け付ける。EV運行制御部12は、主にかご2の運行制御を行う。例えば、利用者が行先階登録操作盤6を操作して行先階を登録すると、かご2を利用者のいる乗り場4(操作された行先階登録操作盤6の設置階)へ移動させた後、登録された行先階まで移動させる。EV走行時間算出部13は、算出手段として設けられ、乗り場4において利用者が行先階登録操作盤6に行先階の登録操作をしたときに、登録操作がされてからかご2が当該利用者の乗車後登録された行先階に到着するまでに要する時間をエレベーター走行時間として算出する。コンテンツ管理部14は、コンテンツ情報記憶部15に記憶されるコンテンツの管理及びコンテンツに関連する処理を行う。コンテンツ管理部14には、コンテンツ選択部141及び表示制御部142が含まれている。コンテンツ選択部141は、選択手段として設けられ、EV走行時間算出部13により算出されたエレベーター走行時間に基づきコンテンツ情報記憶部15の中から表示器3,5に表示させる1又は複数のコンテンツを選択する。表示制御部142は、表示制御手段として設けられ、コンテンツ選択部141により選択されたコンテンツの表示器3,5への表示を制御する。
【0027】
図2は、本実施の形態におけるコンテンツ情報記憶部15に格納されている情報のデータ構成例を示す図である。コンテンツ情報記憶部15には、表示器3,5での表示対象の候補となる複数のコンテンツが記憶される。本実施の形態におけるコンテンツは、走行時間表示用コンテンツと余剰時間表示用コンテンツの2種類に大別される、走行時間表示用コンテンツは、EV走行時間算出部13によって算出されたエレベーター走行時間内において表示候補とされるコンテンツである。余剰時間表示用コンテンツは、かご2の運行変化により登録操作された行先階に到着するまでの所要時間が当初算出されたエレベーター走行時間以上かかるようになった場合、当初選択されたコンテンツの表示時間では表示に空き時間ができてしまうので、その空き時間、換言すると延長された時間分の走行時間に表示するためのコンテンツである。各コンテンツ情報は、当該コンテンツを識別するための識別情報(コンテンツID)に、当該コンテンツの表示に要する時間(表示時間)及び各表示器3,5に表示される当該コンテンツのデータ(コンテンツデータ)が紐付けされている。なお、コンテンツデータには、コンテンツデータの格納先を特定する情報でもよい。また、
図2に示すコンテンツ情報のコンテンツの構成は一例であって、コンテンツ数や各コンテンツの表示時間はこの例に限るものではない。ただ、後述する説明からも明らかになるが、様々な表示時間のコンテンツを登録しておくのが好適である。
【0028】
次に、本実施の形態における動作について説明するが、最初にEV運行制御部12におけるかご2の運行制御について説明する。
【0029】
EV運行制御部12は、行先階登録操作盤6に対する利用者の行先階登録操作に応じてかご2を昇降させる。すなわち、利用者が乗り場4に設置の行先階登録操作盤6から行先階を登録した場合、現時点で行先階が他に登録されていない状態だとすると、EV運行制御部12は、かご2を現在の位置(停止している階、以下、「停止階」という)から利用者のいる乗り場4(行先階が登録された階、以下、「登録階」という)へ移動させる。EV運行制御部12は、かご2が登録階に到着し、停止させると、扉を開制御する。扉が開くと利用者はかご2に乗り込む。その後、EV運行制御部12は、自動的に、若しくは利用者による操作、具体的にはかご2内の操作盤にある閉ボタンへの操作に応じて扉を閉制御する。扉が閉まると、EV運行制御部12は、かご2を登録された行先階まで移動させる。EV運行制御部12は、かご2が行先階に到着し、停止させると、扉を開制御する。扉が開くと利用者はかご2から降りる。このように、利用者により行先階が登録されると、かご2は、EV運行制御部12による制御のもと、現在位置(停止階)から登録階まで移動し、登録階で停止し、利用者の乗車後、登録階から行先階まで移動する。
【0030】
以上のようにかご2が運行されているときに、コンテンツは、表示器3,5に表示されることになるが、以下、本実施の形態におけるコンテンツ表示処理について
図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、かご2は1台のみを対象として説明する。また、説明の便宜上、特に断らない限り、行先階の登録時にかご2には誰も乗車していないものとする。
【0031】
例えば、1階にいる利用者がエレベーターを利用して12階に行きたいために1階の乗り場4にある行先階登録操作盤6を操作して12階を行先階として登録する。操作受付部11は、その利用者による行先階の登録操作を受け付ける(ステップ101)。EV運行制御部12は、操作受付部11が受け付けた登録内容、具体的には登録階が1階であり、12階を行先階とする登録内容を取得すると、かご2を登録階まで移動させることになる。ここで、登録操作がされた時点でかご2は5階に停止していたとする。この場合のかご2の運行状況(EV運行状況)、走行時間、コンテンツの選択パターン、表示制御の関係を
図4に示している。
【0032】
EV走行時間算出部13は、EV運行制御部12から現在の停止階(5階)、登録階(1階)及び行先階(12階)というかご2が移動する階を特定しうる情報を取得すると、行先階の登録時からかご2の行先階到着までの所要時間、すなわち上記エレベーター走行時間を算出する(ステップ102)。なお、本実施の形態では、行先階が登録されると同時に停止中のかご2が登録階に向けて移動を開始するものとする。
【0033】
前述したかご2の運行制御に基づくと、エレベーター走行時間は、現在位置(5階)から登録階(1階)までの移動時間(利用者にとっては待ち時間)(A)、利用者が乗り込むための登録階での停止時間(B)及び登録階から行先階(12階)までの移動時間(利用者にとっては乗車時間)(C)で構成される。EV走行時間算出部13は、エレベーター装置の走行能力を把握しているため移動方向及び移動階数がわかると、現在の階から移動先の階までの走行時間を算出できるものとする。つまり、移動時間(A),(C)が求まる。停止時間(B)は、扉の開閉制御の運用に従うものとして乗り場4における停止時間、具体的にはかご2が停止してから扉が開閉した後走行可能な状態になるまでの時間を取得する。この停止時間(B)は、自動的な扉の開閉動作に基づく時間である。実際には、利用者がかご操作盤の閉ボタンを操作して早めに閉めたり、その逆に扉の開状態を延長させたりする場合も想定できるが、利用者の操作は予測困難なので、ここでは、扉の自動的な開閉制御により得られる停止時間を用いる。
【0034】
図4には、現在位置(現時点における停止階(5階))から登録階(1階)までの移動に24秒、登録階での停止に6秒、登録階から行先階までの移動に34秒、それぞれかかるため、エレベーター走行時間は、これらの各所要時間を合計して66秒と算出される場合の例が示されている。
【0035】
以上のようにしてエレベーター走行時間が算出されると、コンテンツ選択部141は、そのエレベーター走行時間に基づき表示器3,5に表示させるコンテンツをコンテンツ情報記憶部15の中から選択する(ステップ103)。どのコンテンツを選択するかは、種々のパターンがある。
【0036】
例えば、コンテンツの表示時間がエレベーター走行時間と同じ時間長のコンテンツ、
図2,4に示す例によるとエレベーター走行時間(66秒)と同じコンテンツC9を選択する(コンテンツ選択パターン1)。あるいは、複数のコンテンツの表示時間の合計がエレベーター走行時間と同じ時間長となるコンテンツの組合せ、
図4に示す例によるとコンテンツC1,C8を選択する(コンテンツ選択パターン2)。本実施の形態では、エレベーター走行時間と同じ時間長のコンテンツ又はその組合せが存在する例を設定したが、同じ時間長のコンテンツが存在しない場合、コンテンツ選択部141は、表示器3,5に表示されない時間を極力無くすため、エレベーター走行時間と同様の時間長のコンテンツを選択する。本実施の形態において「同様の時間長」というのは、エレベーター走行時間より短いもののエレベーター走行時間に近い時間長のコンテンツのことをいう。本実施の形態では、エレベーター走行時間に最も近い時間長のコンテンツを選択する。選択するコンテンツは、1つとせずに複数のコンテンツを選択してもよい。
【0037】
表示制御部142は、EV運行制御部12から停止階(5階)、登録階(1階)及び行先階(12階)というかご2が移動する階を特定しうる情報を取得し、また、EV走行時間算出部13からエレベーター走行時間を構成する時間(A),(B),(C)を取得する。ここで、コンテンツ選択部141によりコンテンツC9が選択されている場合、表示制御部142は、行先階登録をした利用者のために、当該利用者が行先階登録してから行先階に到着するまでの間、すなわちエレベーター走行時間の間、1つのコンテンツC9を継続して表示させるように制御する。具体的には、コンテンツC9を行先階登録時からかご2が登録階(1階)に到着するまでの間、乗り場表示器5に表示させる(ステップ104)。そして、かご2が登録階(1階)から行先階(12階)に到着するまでの間、かご内表示器3に表示させる(ステップ106)。このように、1つのコンテンツを表示器5から表示器3に続けて表示することにより、換言すると、表示器5への表示用と表示器3への表示用という別個のコンテンツを選択するのではなく、表示器5と表示器3に続けて表示する時間長のコンテンツを選択し、表示制御することにより、利用者は、乗り場4でかご2を待っているときからかご2に乗車し下車するときまで1つの同じコンテンツC9を継続して見ることができる。
【0038】
ところで、かご2が登録階(1階)に停止すると、乗り場4にいる利用者は、かご2に乗り込むことになるが、このかご2への移動中はコンテンツを見ない。従って、本実施の形態においては、利用者がかご2に移動している間、コンテンツの表示器3,5への表示を停止させるよう制御してもよい(ステップ105)。もちろん、コンテンツ選択パターン1,2のように、かご2が登録階(1階)に停止している間、コンテンツを少なくとも一方の表示器3,5に表示させてもよい。
【0039】
なお、利用者は、かご2が登録階に停止している間に乗り込むので、本実施の形態では、登録階での停止時間(B)と利用者がかご2に乗り込む所要時間とは同義とみなして、停止時間(B)を利用者がかご2に乗り込む時間と表現して説明する場合がある。
【0040】
停止時間(B)の間はコンテンツを表示しないということは、エレベーター走行時間から停止時間(B)を差し引いた時間長のコンテンツがあればよい。本実施の形態の場合、60秒(=66−6)のコンテンツ、
図2に示す例によるとコンテンツC8を選択する(コンテンツ選択パターン3)。
【0041】
この場合、表示制御部142は、コンテンツC8を行先階登録時からかご2が登録階(1階)に到着するまでの間、乗り場表示器5に表示させ、利用者がかご2に乗り込んでいる間(登録階に停止している間)、表示器3,5への表示を停止する。そして、かご2が登録階(1階)からの移動を開始すると、コンテンツC8をかご内表示器3に表示させることによってコンテンツの表示を再開する。コンテンツC8は、行先階(12階)に到着するまでの間、かご内表示器3に表示される。
【0042】
このようにして、コンテンツは、利用者が行先階を登録してから行先階に下車するまでの間、表示器3,5に表示される。
【0043】
なお、ここでは、エレベーター走行時間から停止時間(B)を差し引いた時間長(60秒)のコンテンツC8を選択した例を示したが、コンテンツ選択部141は、表示時間の合計が60秒となるコンテンツ、例えばコンテンツC3,C7の組合せを選択してもよい(コンテンツ選択パターン4)。
【0044】
また、コンテンツ選択パターン4では、表示制御部142は、登録階(1階)への停止に伴いコンテンツC7の表示を一時停止し、かご2の移動開始に伴い停止した時点からコンテンツC7の表示を再開するようにした。ただ、コンテンツC7の表示を再開する際、表示制御部142は、コンテンツC7を所定時間R巻き戻してからコンテンツC7の表示を再開するようにしてもよい。これにより、乗り場4からかご2に移動した利用者が見るコンテンツC7の連続性(つながり)が把握しやすくなる。ただ、巻き戻してから表示を再開すると、巻き戻した時間R分、コンテンツC3が表示できなくなる。そこで、コンテンツを巻き戻して表示する場合、コンテンツ選択部141は、その巻き戻し時間長短いコンテンツを選択するようにしてもよい。例えば、戻し時間長が4秒だとすると、本実施の形態の場合、56秒(=66−6−4)の時間長のコンテンツが必要となってくるので、コンテンツ選択部141は、
図2に示す例によるとコンテンツC1,C7を選択する(コンテンツ選択パターン5)。これにより、選択されたコンテンツ全体を、利用者に提供することができる。
【0045】
ところで、本実施の形態では、登録階での停止前後で同じコンテンツ(例えば、コンテンツ選択パターン4,5ではコンテンツC7)を表示させるようにした。もちろん、移動時間(A),(C)に合致する2つのコンテンツを選択してもよい。すなわち、コンテンツ選択部141は、登録階到着時に表示器5への表示が終了する時間長のコンテンツと、行先階到着時に表示器3への表示が終了するコンテンツと、の組合せを選択してもよい。ただ、表示の一時停止前後で同じコンテンツが表示されることによって、利用者をコンテンツにより注目させることができる。すなわち、乗り場4で見ていたコンテンツの表示器5への表示が停止されると、利用者は、その続きを見たくなると考えられるので、乗り場4で表示したコンテンツの続きをかご2の中でも表示させることで、利用者をコンテンツに注目させやすくなる。
【0046】
本実施の形態においては、コンテンツを乗り場表示器5からかご内表示器3に続けて表示させるようにしたことを特徴としている。この「続けて表示」というのは、乗り場4でもかご2でもコンテンツを単に表示し続けるという意味ではない。以上の説明から明らかなように、乗り場表示器5及びかご内表示器3に連続性を持たせてコンテンツを表示させるということである。連続性を持たせる一形態として、本実施の形態では、コンテンツC7〜C9で例示したように一のコンテンツを乗り場4でもかご2でも表示させている。つまり、「続けて表示」というのは、利用者が乗り場4からかご2へと場所を変えたことによって乗り場表示器5に表示させていたコンテンツの表示を終了させるのではなく、変えた場所(かご2)のかご内表示器3に、乗り場表示器5に表示させていたコンテンツを継続して表示させるということである。
【0047】
図5は、前述した表示制御により各表示器3,5に対する画面の表示の遷移を示す図である。
【0048】
利用者が行先階を登録すると(S11)、表示制御部142は、当該利用者向けにコンテンツを乗り場表示器5に表示させる。なお、
図5では利用者向けのコンテンツ“CA”が表示器3,5に表示されている場合、 “CA”と図示している。何も表示されていないブランクの画面は任意の表示を意味している。
図7,8においても同様に図示する。
【0049】
かご2が登録階に到着すると(S12)、表示制御部142は、各表示器3,5への表示を停止する。利用者がかご2に乗り込み、かご2が行先階に向けての移動を開始すると(S13)、表示制御部142は、当該利用者向けにコンテンツをかご内表示器3に表示させる。そして、かご2が行先階に到着すると(S14)、表示制御部142は、かご内表示器3への表示を停止する。
【0050】
上記動作の説明では、一の利用者のみがいる場合で説明した。実際には、例えば、行先階登録時における停止階から登録階の間の階で、他の利用者が行先階登録を行い、かご2の乗り込んでくる場合がある。このようなケースの場合のかご2の運行状況(EV運行状況)、走行時間、コンテンツの選択パターン、表示制御の関係を
図6に示す。
【0051】
図6には、現在位置(現時点における停止階(12階))から登録階(1階)までの移動に34秒、登録階での停止に6秒、登録階から行先階までの移動に24秒、それぞれかかるため、エレベーター走行時間は66秒と算出される場合の例が示されている。
【0052】
エレベーター走行時間が算出されると、コンテンツ選択部141は、前述したようにエレベーター走行時間に基づき表示器3,5に表示させるコンテンツをコンテンツ情報記憶部15の中から選択する。
図6には、コンテンツC2,C7の組合せで選択された例が示されている(コンテンツ選択パターン6)。この場合、表示制御部142は、前述したコンテンツ選択パターン4と同様の表示制御を行うが、かご2が停止階(12階)から、先に行先階登録をした利用者(以下、「利用者A」)による登録階(1階)(以下、「登録階A」という)への移動中に、停止階と登録階Aとの間のいずれかの階で他の利用者(以下、「利用者B」)が行先階登録操作盤6を操作して行先階の登録を行ったとする。なお、ここでは、利用者Bも利用者Aと同じ行先階(5階)を指定し、かご2が停止階(12階)と利用者Bにおける登録階(以下、「登録階B」という)の間を移動中であったために、EV運行制御部12は、かご2を登録階Bに停止させるように運行制御を行う。そうすると、かご2は、登録階Bに停止することになるので、登録階Bへの停止時間(B)分は少なくとも登録階Aへの到着が遅れ、更に行先階への到着が遅れることになる。この場合、エレベーター走行時間は延びることになるので、利用者Bによる行先階登録前に選択したコンテンツでは表示時間が短いことになる。
【0053】
そこで、本実施の形態においては、停止階(12階)と登録階A(1階)との間で行先階登録がされると、EV運行制御部12は、その登録内容(かご2の運行内容)をEV走行時間算出部13に通知する。EV走行時間算出部13は、この通知を受けると、EV走行時間を再計算する。すなわち、EV走行時間算出部13は、登録階Bへの停止時間を考慮したEV走行時間を算出することになる。
【0054】
コンテンツ選択部141は、EV走行時間算出部13によりエレベーター走行時間が再計算されると、再計算前のエレベーター走行時間との差を求め、その時間差と同様の時間長のコンテンツを追加選択する。本実施の形態では、停止時間を6秒としているので、余剰時間表示用コンテンツの中から6秒の表示時間を持つコンテンツCY4を選択する(コンテンツ選択パターン7)。これにより、表示制御部142は、既に選択済みのコンテンツC2の表示終了後にコンテンツCY4をかご内表示器3に表示させる。このようにして、利用者Aが行先階に到着するまでの間は、コンテンツをかご内表示器3に表示させることができる。
【0055】
なお、ここでは、コンテンツ選択部141は、余剰時間表示用コンテンツの中からコンテンツを追加するようにしたが、表示していないコンテンツがあれば、そのコンテンツの表示時間と合算したコンテンツを再選択してもよい。
図2,6の設定例によると、まだ表示していないコンテンツC2を、コンテンツC2とエレベーター走行時間の時間差(つまり、停止時間長)を合算した時間長のコンテンツC4に差し替えるようにしてもよい(コンテンツ選択パターン8)。
【0056】
図7は、
図6を用いて説明した表示制御により各表示器3,5に対する画面の表示の遷移を示す図である。
【0057】
利用者Aが乗り場A(登録階A)において行先階を登録すると(S21)、表示制御部142は、利用者A向けにコンテンツ“CA”を乗り場Aの乗り場表示器5に表示させる。その後、利用者Bが乗り場B(登録階B)において行先階を登録すると(S22)、表示制御部142は、利用者B向けにコンテンツ“CB”を乗り場Bの乗り場表示器5に表示させる。かご2が登録階Bに到着すると(S23)、表示制御部142は、乗り場Bの乗り場表示器5及びかご内表示器3への表示を停止する。利用者Bがかご2に乗り込み、かご2が登録階Aに向けての移動を開始すると(S24)、表示制御部142は、利用者Bのためにコンテンツ“CB”をかご内表示器3に表示させる。かご2が登録階Aに到着すると(S25)、表示制御部142は、乗り場Aの乗り場表示器5への表示を停止する。一方、かご2には、利用者Bが乗車したままなので、表示制御部142は、コンテンツ“CB”をかご内表示器3に続けて表示させる。利用者Aがかご2に乗り込み、かご2が行先階に向けての移動を開始すると(S26)、表示制御部142は、利用者A,Bのためにコンテンツ“CA”,“CB”をかご内表示器3に表示させる。そして、かご2が行先階に到着すると(S27)、表示制御部142は、かご内表示器3への表示を停止する。
【0058】
上記説明したように、表示制御部142は、利用者A,Bが同じかご2の乗車しているときには、かご内表示器3の画面を分割してコンテンツ“CA”,“CB”を同時に表示させることになる。なお、かご内表示器3にどのように画面分割してどの分割画面に表示させるかということは適宜決めればよい。仮に、各利用者A,Bに対して同じコンテンツが選択され表示される場合には、各利用者に対応させて画面分割をせずに、そのコンテンツを単にかご内表示器3に表示させればよい。
【0059】
前述したように、エレベーター走行時間が算出された後に、他の利用者が行先階の登録操作を行うと、そのエレベーター走行時間が算出されたときの停止階、登録階及び行先階以外の階にかご2が停止するようになる。上記説明では停止階から登録階Aの間の階で他の利用者Bが登録操作を行う場合について説明した。ここでは、利用者Aと同じ乗り場4において他の利用者Bが利用者Aにより指定された行先階(以下、「行先階A」という)とは異なる他の階(以下、「行先階B」という)を行先階として登録操作を行う場合について説明する。ここでは、「他の階」として登録階Aと行先階Aの間のいずれかの階とする。この場合、登録階Aと行先階Aとの間の行先階Bでかご2は停止することになる。エレベーター算出時間が延長され、また延長される場合のコンテンツの選択方法については、
図6を用いて説明したので説明者省略するが、この場合の各表示器3,5に対する画面の表示の遷移について
図8を用いて説明する。
【0060】
利用者Aが乗り場4において行先階Aを登録すると(S31)、表示制御部142は、利用者A向けにコンテンツ“CA”を乗り場表示器5に表示させる。その後、利用者Bが、利用者Aが登録操作したのと同じ乗り場4において行先階Bを登録すると(S32)、表示制御部142は、利用者B向けにコンテンツ“CB”を乗り場表示器5に表示させる。すなわち、表示制御部142は、乗り場表示器5の画面を分割してコンテンツ“CA”,“CB”を同時に表示させる。かご2が乗り場4に到着すると(S33)、表示制御部142は、乗り場表示器5及びかご内表示器3への表示を停止する。利用者A,Bが共にかご2に乗り込み、かご2が行先階A,Bに向けての移動を開始すると(S34)、表示制御部142は、かご内表示器3の画面を分割してコンテンツ“CA”,“CB”を同時に表示させる。かご2が行先階Bに到着すると(S35)、表示制御部142は、利用者Bが降車するので、かご内表示器3におけるコンテンツ“CB”の表示を停止させる。一方、かご2には、利用者Aが乗車したままなので、表示制御部142は、コンテンツ“CA”をかご内表示器3に続けて表示させる。かご2が行先階Aに向けての移動を開始した後もコンテンツ“CA”はかご内表示器3に続けて表示される。そして、かご2が行先階Aに到着すると(S37)、表示制御部142は、かご内表示器3への表示を停止する。
【0061】
上記説明したように、複数の利用者が同じかご2に乗車しているときのかご内表示器3に対する表示制御と同様に、表示制御部142は、複数の利用者A,Bが同じ乗り場でかご2を待っているときには、乗り場表示器5の画面を分割してコンテンツ“CA”,“CB”を同時に表示させることになる。
【0062】
本実施の形態によれば、エレベーター走行時間と同じ時間長のコンテンツを選択し、その選択したコンテンツを乗り場表示器5からかご内表示器3に続けて表示させることができる。また、複数の利用者が同じ場所(かご2内又は乗り場4)にいるときには、各利用者に対応させて選択されたコンテンツを同じ画面上に同時に表示させるようにした。
【0063】
以上説明した表示制御処理は、かご2個々に独立した処理なので、複数のかご2を有するエレベーター装置にも本発明を適用することは可能である。
【0064】
なお、本実施の形態では、コンテンツをエレベーター走行時間との関係に従って選択することを特徴としているので、他の選択基準については特に言及しなかったが、他の選択基準を考慮して選択するようにしてもよい。他の選択基準としては、行先階(目的階)の階床属性、例えば目的階で開催されるイベントの有無やイベント内容、またコンテンツの種類(広告、階の案内等)、利用者の属性(性別、年齢層等)を参照してもよい。また、各コンテンツの種類と利用者との関係に基づきコンテンツに優先順位を設定してもよい。