(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968863
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】金属材料を直接押し出すためのプレス
(51)【国際特許分類】
B21C 25/02 20060101AFI20211108BHJP
【FI】
B21C25/02 A
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-227837(P2019-227837)
(22)【出願日】2019年12月18日
(65)【公開番号】特開2020-110841(P2020-110841A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年3月17日
(31)【優先権主張番号】102018000020815
(32)【優先日】2018年12月21日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ガッリ アレッサンドロ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】メルリーニ マッティア
(72)【発明者】
【氏名】カルヴェッティ ジャコモ
【審査官】
池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−058038(JP,U)
【文献】
実開昭52−133229(JP,U)
【文献】
実開平05−053716(JP,U)
【文献】
特開平06−190435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料を直接押し出すためのプレス(1)であって、
前記金属材料の押出軸(500)と、前記押出軸(500)を含む垂直面に直交する横方向とを画定する支持構造体(10)と、
押出ダイ(2)と、
前記ダイ(2)が配置されるダイホルダ引出し(20)と、
前記ダイ(2)が前記押出軸(500)と整列する第一の位置(P1)と、到達したときに前記ダイ(2)を交換することができる第二の位置との間で、前記引出し(20)を横方向(600)に沿って移動させるための移動手段(4)と、
前記引出し(20)が前記第一の位置(P1)を占めるときに、前記引出し(20)を支持する固定支持要素(30)とを備える、プレス(1)において、
前記プレスは、
前記横方向(600)に沿って移動する間、前記引出し(20)を支持するための少なくとも1つの可動支持要素(40)と、
前記引出し(20)が前記固定支持要素(30)によって支持される第一の垂直位置(V1)と、前記引出し(20)が前記固定支持要素(30)に対して持ち上げられ、前記少なくとも1つの可動支持要素(40)によって支持される第二の垂直位置(V2)との間で、前記少なくとも1つの可動支持要素(40)を垂直に持ち上げるための持上げ手段(5)とを備えることを特徴とする、プレス。
【請求項2】
前記プレス(1)は、前記横方向に沿った移動中に前記引き出し(20)を支持するための複数の前記可動支持要素(40、50)を備え、前記持上げ手段(5)は、前記垂直位置(V1、V2)間で前記可動支持要素(40、50)のそれぞれを持ち上げる、請求項1に記載のプレス(1)。
【請求項3】
前記プレス(1)は、前記固定支持要素(30)に対して反対側に配置された、前記複数の可動支持要素(40、50)の第一の可動支持要素(40)および第二の可動支持要素(50)を備える、請求項2に記載のプレス(1)。
【請求項4】
前記固定支持要素(30)は、前記押出方向(500)に実質的に直交する平面上に延在する当接面(33B)を画定する横方向ガイド部分(33)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプレス(1)。
【請求項5】
前記固定支持要素(30)は、前記引出し(20)が載置される少なくとも1つの載置面(31)を備え、前記少なくとも1つの可動支持要素(40、50)は、前記引出し(20)が前記横方向(600)に沿って移動する間に摺動する少なくとも1つの摺動面(41、51)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプレス(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの載置面(31)および/または前記少なくとも1つの摺動面(41、51)が青銅製である、請求項5に記載のプレス(1)。
【請求項7】
前記固定支持要素(30)は、金属材料製本体(34)と、前記本体(34)に固定された金属材料製プレート(31B)とを備え、前記プレート(31B)は、前記載置面(31)を画定する、請求項5または請求項6に記載のプレス(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの可動支持要素(40、50)が、金属材料製本体(44.54)と、この本体(44.54)に固定されたプレート(41B、51B)とを備え、このプレート(41B、51B)が、前記摺動面(41、51)を画定する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のプレス(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの可動支持要素(40、50)の前記プレート(41B、51B)および前記本体(44、54)の間にシム(47、57)が挿入される、請求項8に記載のプレス(1)。
【請求項10】
前記持上げ手段は、1つ以上の油圧アクチュエータを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプレス(1)。
【請求項11】
前記プレスは、前記引出し(20)を前記第一の位置(P1)に安定してロックするためのロック手段(81、82、85)を含み、前記ロック手段は、前記引出し(20)内の前記押出ダイ(2)の垂直変位を防止するように構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプレス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄または非鉄のいずれかの金属材料製物品の製造に関し、これは、例えば、アルミニウム型材のこともあり得る。特に、本発明は、金属材料を直接押し出すためのプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の型材を製造するために押出プレスを使用することは公知である。
図1は、カラム(130)によって連結された2つのクロスピース(110、120)によって画定される支持構造体を含み、そのクロスピースは前方に1つ、後方に1つあり、そのカラムは典型的には4つある既知のタイプの押出プレス(100)を示す。ダイ(M)は、押し出される型材に形状を付与する前方クロスピース(110)に配置される。
【0003】
押し出される材料は、後方クロスピースに一体化されたスラストシリンダ(C)によって、ダイ(M)を通って、ダイと実質的に反対の位置に押し出される。後方クロスピース(120)は、典型的には地面に固定され、一方、前方クロスピース(110)は、力が地面(基礎)上に解放される代わりに、上記のカラムを通って後方クロスピースに伝達されるように、スライド上に配置される。
【0004】
押し出される原料は、典型的にはビレットの形態であり、通常は円筒形である。ビレットは、かなりの厚さの円筒中空体からなる容器内に装填される。次に、容器は、容器が恒久的に収容されるキャビティ(155)を画定する容器ホルダ要素(150)の内側に配置される。
【0005】
材料は、上述のシリンダ(C)によって押されるプッシュロッドの作用によって押し出される。特に、プッシュロッドは、押出方向(105)に沿ったそのストロークを画定する2つの極端な位置の間で移動可能である。プッシュロッドは、ビレットに直接作用するパンチが取り付けられる自由端を備える。パンチによって加えられるスラストの結果として、金属材料は、ダイ自体によって確立された形状をとるダイを通して押し出される。ビレットの全ての金属材料が押し出されると、ロッドは引き込まれ、新しいビレットを装填することが可能になる。同時に、ロッドに面するダイの側は、表面を回復させる剪断の作用に関係し、それによって、以前の押出によって残された過剰な金属材料を排除する。
【0006】
押出ダイ(M)は、典型的には、ダイホルダ引出し(160)(
図2参照)に収容され、得られる完成品の断面の形状に応じて交換される。そのような目的のために、プレス(100)は、ダイホルダ引出し(160)を横方向に、すなわち押出軸(105)に直交する方向に移動させて、その交換を可能にすることができるダイ移動アセンブリ(300)(M)を備える。より正確には、ダイホルダ引出しは、通常青銅で作られ、横方向に正確に配向されたガイド(108)上を摺動する。ガイドは、前方クロスピースまたはプレスの支持構造体に固定された固定支持要素(ジブとしても知られる)上に設置される。移動アセンブリ(200)は、ダイホルダ引出し(160)をダイ交換位置から作業位置に押す/引くように構成され、この作業位置で、ダイアセンブリ(この表現は、引出しと相対的なダイを示すために使用されている)が押出軸(105)と位置合わせされる。ダイ交換位置に到達すると、ダイ自体を交換することができる。ほとんどの場合、移動アセンブリは、油圧ピストンを備えるが、いくつかの公知の用途では、空気圧シリンダまたは電気アクチュエータの使用が提供される。
【0007】
図3を参照すると、ダイホルダ引出し(160)の横方向(106)への移動を安定して案内するために、ジブは、ダイホルダ引出し(160)のための当接面(450)を画定する横方向案内要素(400)をさらに備える。この当接面は、押出軸に直交する平面上に延在し、ダイホルダ引出し(160)を案内することに加えて、押出軸に沿ってその位置を固定する。
【0008】
再び
図3を参照すると、ダイアセンブリが押出軸と整列することを保証するために、シム(109)は、典型的には青銅ガイド(108)の下に配置される。頻繁なダイ交換の結果として、ガイドは摩耗を受け、したがって、ダイの正しい垂直位置を確実にするために、すなわち、押出軸との高さのセンタリングを確実にするために、定期的な間隔で青銅ガイドの下のシムを増加させることが必要である。この操作は、かなり繊細であるので、非常に精度の高い測定機器を使用して、専門のスタッフが必ず実行しなければならない。この全ての結果、機械の休止時間がかなり長くなり、したがって機械の生産性が低くなる。
【0009】
さらに、ガイドが完全に摩耗したとき、ガイドを、以前のものと同じ初期厚さを有する新しいものと交換しなければならない。このため、その瞬間まで、以前に追加していた全てのシムを排除する必要が生じる。これらの追加の操作は、機械の休止時間、したがって機械の操作コストにも大きな影響を及ぼすことは明らかである。
【発明の概要】
【0010】
上記の考察を鑑みると、本発明の主な課題は、上記のような従来技術のプレスの欠点を克服するか、または少なくとも強く抑制することを可能にする、金属材料の押出用プレスを提供することである。この課題の一部として、第一の目的は、ダイ交換作業が、従来のプレスよりも機械の休止時間に対してはるかに限定された影響しか及ぼさないプレスを提供することである。本発明の別の目的は、金型ホルダ引出しの横方向移動が、ガイドの下にシムを位置決めするために現在必要とされているような複雑な手動調整操作を必要としないプレスを提供することである。本発明のさらなる目的は、ダイ交換に関与する構成要素の保守費が現在のプレスの保守費よりも安価なプレスを提供することである。本発明の最後ではない目的は、位置を正確に信頼性高く調整することができるプレスを提供することである。
【0011】
本発明は、押出操作の間、引出しの載置される支持要素の表面上で引出しが摺動しないようにすることによって、また同時に、横方向の移動の間、引出しを支持するための適切な要素を提供することによって、意図された目的が効果的に達成され得るという考察に基づく。
【0012】
特に、本発明は、金属材料の直接押出のためのプレスに関し、前記プレスは、金属材料の押出方向を画定する支持構造体と、押出ダイと、押出ダイが配置されるダイホルダ引出しとを含む。プレスは、ダイが押出軸と整列する第一の位置と、ダイを交換することができる第二の位置との間で、前記押出軸に直交する横方向に沿って引出しを移動させる移動手段をさらに備える。本発明によるプレスは、少なくとも引出しが第一の位置を占めるとき、すなわち押出プロセス中に引出しを支持する固定支持要素をさらに備える。
【0013】
本発明によるプレスは、横方向に沿った移動中に前記引出しを支持するための少なくとも1つの可動支持要素を備えることをさらに特徴とする。プレスは、引出しが固定支持要素によって支持される第一の垂直位置と、引出しが固定支持要素に対して持ち上げられ、前記少なくとも1つの可動支持要素によって支持される第二の垂直位置との間で可動支持要素を持ち上げる持上げ手段を備えることをさらに特徴とする。
【0014】
有利には、横方向に沿った引出しの摺動は、押出プロセス中に引出しが載置される固定支持要素の表面とは異なる表面に沿って行われる。したがって、固定支持要素の支持面は、引出しの横方向移動から生じる摩耗の影響を受けない。これにより、このような支持面の完全性を保つことができ、したがって、保守操作の頻度を減らすことができる。
【0015】
可能な実施形態によれば、プレスは、引出しが横方向に沿って移動する間、引出しを支持するための複数の可動支持要素を備える。持上げ手段は、2つの垂直位置(第一の垂直位置と第二の垂直位置)の間で可動支持部のそれぞれを持ち上げる。
【0016】
好ましくは、プレスは、固定支持要素に対して反対側に配置された第一の可動支持要素および第二の可動支持要素を備える。
【0017】
可能な実施形態では、固定支持要素は、押出軸に実質的に直交する平面上に延在する当接面を画定する横方向ガイド部分を備える。
【0018】
別の態様によれば、固定支持要素は、引出しが載置される少なくとも1つの載置面を含み、前記少なくとも1つの可動支持要素は、横方向に沿った移動中に引出しが摺動する少なくとも1つの摺動面を含む。
【0019】
好ましくは、第一の接触面および/または摺動面は青銅製である
【0020】
一実施形態によれば、固定支持要素は、金属本体と、この本体に固定された金属材料製プレートとを含み、このプレートは、前記支持面を画定する。
【0021】
さらなる実施形態によれば、前記少なくとも1つの可動支持要素は、金属本体と、前記本体に固定された金属プレートとを備え、前記プレートは、前記摺動面を画定する。可能な変形例では、シムが、可動支持要素のプレートと対応する本体との間に配置される。
【0022】
可能な実施形態によれば、持上げ手段は、1つ以上の油圧アクチュエータを備える。
【0023】
別の態様によれば、プレスは、引出しを第一の位置に恒久的にロックするためのロック手段を備え、前記ロック手段は、引出しの垂直移動を防止するように構成される。
【0024】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として示されるような、本発明による金属材料の押出用プレスの排他的でない好ましい実施形態の詳細な説明に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】
図3は、
図1のプレスの幾つかの構成要素の部分断面詳細図である。
【
図6】
図6は、第一の動作構成における
図4のプレスの部分断面側面図である。
【
図7】
図7は、第二の動作構成における
図4のプレスの部分断面側面図である。
【0026】
図4〜
図7では、同じ要素または構成要素を識別するために同じ参照番号および文字が使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図4〜
図7を参照すると、本発明は、金属材料の押出用プレス、特にアルミニウムの押出用プレス(一般的に参照番号1で示される)に関する。プレス1は、金属材料がダイ2を通って押出される押出方向500を画定する支持構造体10を備える。それ自体公知の原理によれば、ダイ2は、押出によって生成される金属型材の断面の形状を与える。
【0028】
支持構造体10は、それ自体公知の構成を有し、この構成は、押出ダイ2(以下、「ダイ2」とも呼ぶ)が近くに配置される第一のクロスピース13と、前記ダイ2から離れた位置にある第二のクロスピース14とを含む。2つのクロスピース13、14は、押出方向500を画定する平行に展開するカラム18によって接続される。特に
図4を参照すると、プレス1は、材料を押し出すのに必要な力を生成する第二のクロスピース14と一体のスラストシリンダ200を備える。特に、シリンダ200は、その自由端に、公知の原理に従って、押し出される材料に作用するパンチ240が設けられたロッド210を移動させる。
【0029】
プレス1は、内部に押し出される金属材料が装填される容器5を備える。好ましくは、容器5は、ビレットを塑性状態で収容する円筒中空体によって画定される。容器5は、複数の、好ましくは2つのパッド11上に載置された容器ホルダ6によって支持されている。これらのパッド11は、支持構造体10に固定され、押出方向500に平行な対応するガイド12に沿って摺動する。したがって、容器ホルダ6も押出方向500に平行に摺動する。この点に関して、押出方向500に沿った容器ホルダの移動を可能にするために、適切なスラストシリンダ250が設けられる。
【0030】
本発明によるプレス1は、ダイ2が配置されるダイホルダ引出し20(以下、「引出し20」とも呼ぶ)を備える。引出し20は、少なくとも第一の位置と第二の位置(
図5においてP1およびP2によって識別される)との間で横方向600に沿って移動可能である。本発明の目的のために、「横方向600」という表現は、押出軸500を含む垂直面に実質的に直交する方向を意味する。第一の位置P1において、ダイ2は、押出軸500と整列され、すなわち、押出操作が開始され得るような状態にある。一方、第二の位置P2は、ダイ2を容易に取り出して交換できるように設定されている。好ましくは、第二の位置P2は、引出し20が支持構造体10のカラム33によって画定される体積の実質的に外側にあるような位置である(
図5の右側部分に示す状態)。
【0031】
引出し20は、移動手段4を用いて横方向600に沿って移動される。好ましくは、引出し20は、引出し20に直接的または間接的に接続されたロッド4Cを移動させるアクチュエータ4Bを備え、ロッド4Cの変位が引出し20の対応する変位をもたらすようにする。
【0032】
本発明によるプレス1は、引出し20が上で示された第一の位置P1を占めるときに、引出し20を支持する少なくとも1つの固定支持要素30をさらに備える。特に、固定支持要素30は、引出し20のための載置面31を備える。図に示す実施形態によれば、固定支持要素30は、適切な固定手段39(
図6に示す)によって前方クロスピース13に接続された金属材料製本体34を備える。固定支持要素30は、好ましくは青銅製のプレート31Bをさらに含み、このプレート31Bは本体34に固定され、支持面31を画定する。
【0033】
本発明によるプレス1は、横方向600に沿った移動中に引出し20を支持する少なくとも1つの可動支持要素40、50をさらに備える。前記少なくとも1つの可動支持要素40、50は、金属材料製、好ましくは青銅製のプレート41B、51Bが固定される本体44、54を備える。このようなプレート41B、51Bは、引出し20のための摺動面41、51を画定する。
【0034】
本発明によるプレス1は、可動支持要素40、50を第一の位置と第二の位置(
図6および
図7にそれぞれV1およびV2で図示)との間で持ち上げるための持上げ手段70を備え、前記位置は、垂直方向、すなわち押出軸500に、および横方向600に直交する方向に従って決定される。特に、第一の位置V1(以下、第一の垂直位置V1ともいう)は、引出し20が固定支持要素30によってのみ、特に支持面31上に支持されるようなものである。支持面31は、基本的に、引出し30の垂直位置、従って、その中に収容されたダイ2の垂直位置を決定する。したがって、固定支持要素30の接触面31は、押出軸500とのダイ2の整列条件を確立する。
【0035】
第二の位置V2(以下、第二の垂直位置V2としても示される)は、引出し20が可動支持要素40、50によってのみ支持され、したがって、固定支持要素30の支持面31上にもはや載置されないようなものである。基本的に、第二の垂直位置V2に達すると、引出し20は固定支持要素30に対して上昇する。以下により詳細に説明するように、本発明によれば、引出し20の横方向移動600は、可動支持要素40、50が第二の位置V2を占めるときに正確に達成される。このようにして、引出し20は、固定支持要素30の支持面31に関係なく、可動支持要素40、50の摺動面41B、51B上でのみ摺動する。したがって、この解決策は、接触面31の摩耗を抑制し、その耐用寿命を大幅に長くする。
【0036】
好ましい実施の形態によれば、特に
図6および
図7に示されるように、プレス1は、横方向200に沿った引出し20の移動中に、その引出し20を的確に支持する機能を有する第一の可動支持要素40および第二の可動支持要素50から構成される。好ましくは、2つの可動支持要素40、50は、固定支持要素30の両側に配置される。好ましくは、上記2つの可動支持要素40、50は、いずれも本体44、54と、プレート41B、51Bによって画定される上述の構成を有し、プレート41B、51Bは、金属材料製で、好ましくは青銅製で、本体44、54に固定され、引出し20の対応する摺動面41B、51Bを画定する。
【0037】
可能な実施形態によれば、可動要素40、50の一方または両方について、シム47、57を、対応する本体44、54と対応するプレート41B、51Bとの間に配置することができる。いずれの場合も、これらのシム47、57は、ダイ2と押出軸500との整列に寄与しないので、頻繁な交換を必要としない。
【0038】
図に示す可能な実施形態によれば、持上げ手段は、可動支持要素40、50およびそれらに沿って走行する引出し20を持ち上げるのに十分な力を提供するように構成された複数の油圧アクチュエータ70を備える。代替の実施形態によれば、油圧アクチュエータ70は、電気アクチュエータによって、あるいは、さらに空気圧アクチュエータに置き換えることができる。
【0039】
別の態様によれば、固定支持要素30は、押出軸500に実質的に直交する平面上に延在する横断面33Bを画定するガイド部分33を備える。この横断面33Bは、引出し20の移動を案内し、引出し自体が横方向600に沿って安定して移動することを可能にする。同時に、横断面33Bは、押出軸500に沿った引出し20の位置を画定する。
【0040】
図6および
図7は、横方向に沿った引出し20の基本的な移動原理を示す。プレス1の通常操作中、すなわち金属材料を押し出すステップの間、引出し20は固定支持要素の支持面31上にのみ配置される(
図6の状態)。この状態において、2つの可動支持要素40、50は、第一の垂直位置V1に配置され、引出し20を支持しない。ダイ2は、固定支持要素30の支持面31によって高さが確立された結果として、押出軸500と整列される。
【0041】
ダイ2を交換しなければならないとき、持上げ手段70を作動させて、支持可動要素40、50を第二の垂直位置V2に移動させる。2つの可動支持要素40、50は、第二の垂直位置V2に向かって移動する間、第一の支持要素30の支持面31に対して引出し20を持ち上げる。このようにして、支持面31は自由なままであり、引出し20のその後の移動(
図7に示す状態)には関係しない。
【0042】
2つの可動支持要素40、50が第二の垂直位置V2に到達すると、移動手段4が作動して引出し20を作業位置(第一の位置P1)からダイ交換位置(第二の位置P2)に押す。したがって、このステップの間、引出し20は、2つの可動支持要素40、50の摺動面41、51に沿ってのみ摺動する。したがって、引出し20が横方向に移動する間、引出し20と固定支持要素30の接触面31との間には接触がない。このような支持面31の完全性は、より大きな耐久性の利益のためにそのように維持される。
【0043】
別の態様によれば、本発明によるプレス1は、引出し20を第一の所定位置P1に安定してロックするためのロック手段をさらに備える。より正確には、これらのロック手段は、ビレットの押出後および次のビレットの押出前に、剪断によって及ぼされる作用に起因して、ダイ自体に引き起こされ得る垂直運動を打ち消すように、ダイ2に作用する。
【0044】
図5に示す実施形態では、このようなロック手段は、ダイ2に面する側で、前方クロスピース13に取り付けられた第一の楔形要素81を備える。ロック手段は、例えば、油圧式であるアクチュエータ85の作用によって横方向600に沿って移動可能な第二の楔形要素82をさらに備える。2つの要素81、82は、それらに楔形を与える傾斜面をそれぞれ備える。
【0045】
2つの要素81、82は、第二の要素82が第一の要素81に対して摺動するように、それらの傾斜面によって動作可能に結合される。第二の要素82の一部分は、ダイ2の頂部と接触する。このような結合の結果、横方向600に沿った所定の方向(
図5に示す解決策では左方向)への変位に続いて、第二の要素82は、ダイ2に垂直方向の圧力を加え、固定支持要素30の支持面31に対してダイ2を押し付ける。このようにして、ダイの表面と接触している剪断の動きによって誘発され得る動きが、特に、剪断が上方に向かうステップの間、回避される。
【0046】
以上、本発明は、図面に示した本発明の実施形態の詳細な説明によって記載されたが、本発明は、上述し、図面に示された実施形態に限定されるものではないことは明らかである。それに加えて、上記で説明し、図面に示された実施形態のすべての修正および/または変形は、当業者には自明かつ即座に明らかになるもので、本発明の範囲に含まれる。