(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後端エネルギビームは、前記先導エネルギビームのパワーレベル、パワー密度、電位、及び/又は電流とは異なる、パワーレベル、パワー密度、電位、及び/又は電流を有する、請求項11に記載の方法。
前記後端エネルギビームが前記第2の距離にある後に、並びに前記後端エネルギビームが前記第1の距離に循環して戻る前に、前記先導エネルギビームのみが利用されるように、前記後端エネルギビームは、非アクティブ化させられるステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
前記先導エネルギビームは、前記後端エネルギビームと同じ供給源から放射され、該供給源は、前記先導エネルギビームによって定められる先導エネルギビームパターンを含み且つ前記後端エネルギビームによって定められる後端エネルギビームパターンを含むラスタパターンを通じて並進させられる、放射エネルギビームを放射する、請求項11乃至18のうちのいずれか1項に記載の方法。
前記溶解プールを凝固させてアルミニウム合金物品を形成するステップであって、該アルミニウム合金物品は、該アルミニウム合金物品を形成する前記アルミニウム合金の重量%において、
50%以上のAl、
0.40%〜0.80%のSi、
0.15%〜0.40%のCu、
0.8%〜1.2%のMg、
0.04%〜0.35%のCr、
0.0%〜0.15%のTi、
0.0%〜0.7%のFe、
0.0%〜0.15%のMn、及び
0.0%〜0.25%のZnからなる、
化学組成を有する、
前記溶解プールを凝固させてアルミニウム合金物品を形成するステップを更に含む、
請求項24に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0057】
アルミニウム合金を加工する(working)ための従来的なアプローチに加えて、添加剤製造(additive manufacturing)のような他の技法が、従来的な方法と比較して廃棄物の削減及びリードタイムの短縮を伴って複雑な設計を製造することを可能にすることによって有益なことがある。
【0058】
金属合金を溶接又は添加剤製造する技術には進歩があるが、高温割れ(hot cracking)として知られる現象の影響を受けやすい金属合金を用いる溶接技術及び/又は添加剤製造技術の使用には課題がある。高温割れは、主として金属合金が溶解液(liquid melt)からどのように凝固するかの関数である高温割れメカニズムであり、よって、溶解プール(melt pool)が形成されるそれらのプロセスについての問題である。典型的には、高温割れは、樹枝状構造が、凝固収縮の故に容積が失われる溶解プールの領域を溶解液が補充するのを阻止するように作用する、溶解プールの凝固中に生じる。アルミニウム6061合金のようなアルミニウム合金は、高温割れの影響を特に受けやすく、従来、溶接及び/又は添加剤製造を介して処理するのが困難であると考えられている。
【0059】
本開示の原理及び態様は、アルミニウム6061合金を形成するための(複数の)アルミニウム合金前駆体組成物(aluminum alloy precursor composition(s))及び(複数の)溶融プロセス(fusion process(es))に特に適用され、主としてこの文脈において以下に説明される。しかしながら、この開示の原理及び態様は、(i)製造される物品の高温割れを防止し且つ/或いは多孔性を減少させること、(ii)材料強度、材料組成、材料熱処理性、応力緩和又は焼鈍のような、製造される物品の特性を向上させること、(iii)冷却速度又は温度(processing temperature)の維持のような、製造プロセスパラメータに対する制御を向上させること、(iv)以下の記述に基づいて理解されるような他の様々な考慮事項が望ましい、他の製造プロセス又は他の材料にも適用可能であることも理解されよう。
【0060】
本開示の1つの態様によれば、(供給材料又は原材料とも呼ぶ)アルミニウム合金前駆体材料が、アルミニウム合金物品を生成する後続の溶融処理(fusion processing)のために提供される。本明細書で使用するとき、る「アルミニウム合金(aluminum alloy)」は、アルミニウムを(例えば、合金組成物の50重量%を超える)基本元素として有し、1つ又はそれよりも多くの他の合金元素を含む、金属合金を指す。
【0061】
本明細書で使用するとき、「溶融処理(fusion processing)」は、供給される原材料が少なくとも部分的に液化(又は溶解)されて、爾後に凝固される溶解プールを形成する、プロセスを指す。溶融処理は、溶接プロセス及び添加剤製造プロセスを含むが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用される場合、「物品(article)」は、溶接部、溶接された構成要素、凝固された層、及び他の三次元構造を非限定的に含む、凝固された材料によって形成される任意の品目(item)又は物体(object)を指すことがある。
【0063】
例示的なアルミニウム合金前駆体材料は、Al6061合金の化学組成に基づくが、後続の溶融処理に適合するような前駆体組成に対する修正を伴う、化学組成を有してよい。一般的に、アルミニウム合金前駆体材料は、(例えば、50重量%を超える)基本元素としてアルミニウムを含み、シリコン、マグネシウム、銅、及びクロムの合金元素を含むこともある。例示的なアルミニウム合金前駆体材料は、以下に更に詳細に議論するように、チタン及び1つ又はそれよりも多くの追加的な結晶粒微細化剤(結晶粒リファイナ)(grain refiners)を含んでもよい。アルミニウム合金前駆体材料には、1つ又はそれよりも多くの不純物が存在してもよい。主要不純物(major impurities)は、鉄、マンガン、及び亜鉛を含む。微量不純物(minor impurities)は、以下に更に議論するような様々な他の元素を含むことがある。
【0064】
シリコン(Si)は、融解温度を低下させるために並びに流動性を高めるために、前駆体アルミニウム合金組成物に含められてよい。シリコンを用いてマグネシウムと結合させてMg
2Siを生成してもよく、それは沈殿硬化(precipitation hardening)を介して熱処理性を向上させる。例示的な実施形態において、シリコンは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.4〜約0.8重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。例えば、1つ又はそれよりも多くの実施形態において、シリコンは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、又は0.8重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲(subranges)を含む。
【0065】
銅(Cu)は、マグネシウムのような他の合金元素と組み合わせて、特に熱処理後の強度を高めるために、前駆体アルミニウム合金組成物に含められてよい。例示的な実施形態において、銅は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.15〜約0.40重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。例えば、1つ又はそれよりも多くの実施形態において、銅は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、又は0.40重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0066】
クロム(Cr)は、結晶粒構造(grain structure)を制御するために並びに熱処理中の再結晶を防止するために、前駆体アルミニウム合金組成物に含められてよい。クロムは、応力腐食感受性(stress corrosion susceptibility)を低下させ、靭性(toughness)を向上させることもある。例示的な実施形態において、クロムは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.04〜約0.35重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。例えば、1つ又はそれよりも多くの実施形態において、クロムは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.04、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、又は0.35重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0067】
マグネシウム(Mg)は、とりわけ、例えば、熱処理及び沈殿硬化を介して、強度を高めるために、シリコンのような他の合金元素との組み合わせのために、前駆体アルミニウム合金組成物に含められてよい。マグネシウムは、延性を実質的に低下させることなく、強度を増加させることがある。本発明者は、アルミニウム合金の高エネルギ溶融処理が、合金が処理されているときのマグネシウムの蒸発又は沸騰を引き起こすことがあることを見出した。これは、溶融処理中の処理温度でのマグネシウムの比較的高い蒸気圧によって引き起こされることがある。例えば、非限定的に、摂氏652度でのマグネシウムの蒸気圧は、約3.4トルである。マグネシウムの蒸発に関する問題は、溶融プロセスが真空中で行われるときに悪化することがあるが、真空プロセスに限定されない。溶融処理中のマグネシウムの損失は、所定の組成限界の外側にある組成を有する最終溶融処理合金を精製する(render)ことがある。加えて、溶融処理された合金中のマグネシウム含有量の減少は、強度を低下させ、熱処理応答を低下させ、或いは他の望ましくない特性を有することがある。
【0068】
例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、溶融処理後の前駆体材料が溶融処理後の従来的なアルミニウム6061合金の所定の組成仕様を示すように、アルミニウム6061合金と比較して増加した量のマグネシウムを有する。例示的な実施形態において、マグネシウムは、アルミニウム合金前駆体組成物の約1.0〜約5.0重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。他の実施形態において、マグネシウムは、アルミニウム合金前駆体組成物の1.2重量パーセントより多く約5.0重量パーセントまでの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。より好ましくは、幾つかの実施態様において、マグネシウムは、アルミニウム合金組成物の約1.3〜約3.0重量パーセント、より具体的には、約2.0〜約3.0重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。1つ又はそれよりも多くの実施形態において、マグネシウムは、アルミニウム合金前駆体組成物の約1.0、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、又は5.0重量パーセントの量で存在してよく、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含んでよい。
【0069】
鉄(Fe)、マンガン(Mn)、及び/又は亜鉛(Zn)は、アルミニウム合金前駆体材料中に存在してよく、性能のために合金に特に添加されない不純物又はトランプ元素(tramp elements)を表してよい。
【0070】
例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.0〜約0.7重量パーセントまでの量の鉄を含んでよい。例えば、1つ又はそれよりも多くの実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、鉄を含まない。1つ又はそれよりも多くの他の実施形態において、鉄は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.10、0.20、0.30、0.4、0.5、又は0.35重量パーセントの量で存在してよく、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含んでよい。
【0071】
例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.0〜約0.15重量パーセントまでの量のマンガンを含んでよい。例えば、1つ又はそれよりも多くの実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、マンガンを含まない。1つ又はそれよりも多くの他の実施形態において、マンガンは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.05、0.10、又は0.15重量パーセントの量で存在してよく、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含んでよい。
【0072】
本発明者は、アルミニウム合金の高エネルギ溶融処理が、合金が処理されているときに亜鉛の蒸発又は沸騰を生じさせることがあることを見出した。これは溶融処理中の処理温度での亜鉛の比較的高い蒸気圧によって引き起こされることがある。例えば、非限定的に、摂氏652度での亜鉛の蒸気圧は、約30トルである。亜鉛の蒸発に関する問題は、溶融プロセスが真空中で行われるときに悪化することがあるが、真空プロセスに限定されない。亜鉛は、Al6061合金中のトランプ元素と考えられるので、溶融処理中のその損失は、最終的な溶融処理合金の組成についての考慮事項でないことがある。しかしながら、本発明者は、高エネルギ溶融処理中の前駆体合金中の亜鉛の蒸発が、最終的な溶融処理合金中に、例えば、強度及び/又は延性を低下させることがある多孔性のような、望ましくない異常を導入する場合があることも見出した。
【0073】
例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、溶融処理後の材料が、より少ない多孔性を示し、好ましくは、欠陥がないように、アルミニウム6061合金についての従来的な組成仕様と比較して亜鉛含有量を最小限に抑える。例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.0〜約0.005重量パーセントまでの量の亜鉛を含んでよい。例えば、好ましい実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、亜鉛を含まない。1つ又はそれよりも多くの他の実施形態において、亜鉛は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.001、0.002、0.003、0.004、又は0.005重量パーセントの量で存在してよく、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含んでよい。
【0074】
本発明者は、合金がプロセス中に液化され(liquefied)、爾後に凝固する(solidifies)溶解プールを形成する、溶融プロセス中に、Al6061のようなアルミニウム合金が、高温割れを起こしやすいことを見出した。そのような溶融処理の間に、固体界面付近の溶解プールのより冷たい領域内で収縮が生じるように、凝固中の合金の液体固体間相変化の間に体積変化が生じると考えられる。そのような収縮によって引き起こされる溶解プール内のひずみは、このより冷たい凝固領域内で多孔性又は開口の発展を引き起こすことがあり、液体金属の利用可能な供給が不十分であるか或いは凝固金属間のこれらの開口を充填し得ないならば、高温割れが生じることがある。高温割れの問題は、溶解プール内の樹枝状構造の形成によって悪化することがあり、それは、液体金属が凝固収縮によって引き起こされる減少した容積を満杯にするように作用する或いは補充するのを阻止するように作用する凝固する結晶粒(solidifying grains)の間に、狭い流路を形成することがある。特に、広い凝固温度範囲(例えば、約摂氏50度以上又は約華氏125度以上)がある幾つかの溶融プロセスにおいて、望ましくない大きな樹枝状微細構造は、凝固中に特に形成しがちなことがある。これらの樹枝状結晶(dendrites)は、典型的には、高い処理温度で低い強度を有し、それは集合的に機械的特性を低下させる高温引裂き(hot tears)及び多孔性を引き起こすことがある。例示的なアルミニウム合金前駆体材料は、シード材料(seed materials)として作用する1つ又はそれよりも多くの結晶粒微細化剤(grain refiners)を含んでよく、シード材料は、溶解プールの凝固領域内の結晶粒の沈殿を促進し、それにより、大きな樹枝状構造の成長を妨害する。
【0075】
例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、樹枝状結晶粒成長を制限するための並びに溶融処理中のアルミニウム合金の高温引裂きを低減するための結晶粒微細化剤としてチタンを含む。例示的な実施形態において、チタンは、アルミニウム合金組成物の約0.05〜約0.15重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。より好ましくは、幾つかの実施態様において、チタンは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.10〜約0.15重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。1つ又はそれよりも多くの実施形態において、チタンは、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.05、0.07、0.09、0.11、0.13、又は0.15重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0076】
アルミニウム合金前駆体材料は、1つ又はそれよりも多くの他の結晶粒微細化剤を含んでもよい。例えば、アルミニウム合金前駆体材料は、ホウ素、チタン−炭素(例えば、炭化チタン、TiC)、ジルコニウム、バナジウム、及びスカンジウムを含んでよい。
【0077】
例示的な実施形態において、少なくとも1つの追加的な結晶粒微細化剤は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.001〜0.05重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在するホウ素を含む。より好ましくは、幾つかの実施形態において、ホウ素は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.001〜約0.002重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。1つ又はそれよりも多くの実施形態において、ホウ素は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.02、0.03、0.04、又は0.05重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含む。幾つかの好ましい実施形態では、合金に添加されるホウ素の少なくとも一部は、二ホウ化チタン(TiB
2)の形態においてチタンの少なくとも一部と化合させられ、より好ましくは、利用可能なホウ素の全ては、二ホウ化チタンの形態においてチタンの少なくとも一部と化合させられる。溶融処理の間に、二ホウ化チタン(又は他の粒子微細化剤)は、液化された前駆体材料の溶解プール内の溶液から容易に沈殿し、それにより、溶解プールの凝固領域内のより小さな結晶粒の増加した量を促進するシード結晶を形成し、それは大きな樹枝状構造の成長を妨害する。
【0078】
アルミニウム合金前駆体材料は、(微量不純物とも呼ぶ)幾つかの追加的な不純物を含むこともある。例えば、微量不純物は、アンチモン、ヒ素、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、コバルト、ガリウム、水素、インジウム、鉛、リチウム、水銀、モリブデン、ニッケル、ニオブ、リン、ジルコニウム、バナジウム、又は周期表からの様々な他の元素を含むことがある。例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.0〜約0.05重量パーセントの量で各微量不純物を含むことがある。例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料中のこれらの微量不純物の全てについての合計は、アルミニウム合金前駆体組成物の約0.0〜約0.10重量パーセントの量にあってよい。
【0079】
例示的な実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、全ての合金元素及び不純物が考慮され且つ/或いは添加された後に、合金組成物の重量パーセントの均衡を構成する量のアルミニウムを含む。例示的な実施形態において、アルミニウムは、アルミニウム合金前駆体組成物の50重量パーセント以上の量で、例えば、約55、60、65、70、75、80、85、90、95、又はそれよりも多くの重量パーセントの量でアルミニウム合金前駆体材料中に存在する。幾つかの好ましい実施態様において、アルミニウムは、約91、92、93、94、95、96、97、98、又は99重量パーセントのような、アルミニウム合金前駆体組成物の約90〜99重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含む。幾つかの好ましい実施態様において、アルミニウムは、約92.2、92.265、93、94、95、96、97、98、98.359、又は98.4重量パーセントのような、アルミニウム合金前駆体組成物の約92.2〜約98.4重量パーセントの量で存在し、記載の値の間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0080】
前述に鑑み、1つの好ましい実施形態において、例示的なアルミニウム合金前駆体材料は、表1に示すような組成を有してよい。表1に例示する実施形態において、合金組成物中のホウ素の全ては、二ホウ化チタンの形態においてチタンと化合させられるが、幾つかの実施形態において、これが当て嵌まらない場合があることが理解されよう。アルミニウム合金前駆体材料は、表1に示す組成に限定されず、1つ又はそれよりも多くの他の追加的な元素を含んでよく、或いは列挙される元素のうちの1つ又はそれよりも多くを排除してよく、それは、当業者に理解されるような他の考慮事項の中でも、溶融処理条件、最終的な溶融処理物品の所望の組成及び/又は特性に依存して、適切な方法で選択されてよいことも理解されよう。
【表0001】
【0081】
図1を参照すると、例示的な溶融プロセス1を例示するフローチャートが示されている。プロセスは、上述の例示的なアルミニウム合金前駆体材料の前述の実施形態のいずれかであってよいアルミニウム合金前駆体材料を提供することを含む。前駆体材料は、ワイヤ又は粉末形態のような固体状態形態で提供されてよい。しかしながら、前駆体材料は、当業者に理解されるように、特定の溶融プロセス(例えば、溶接の種類、添加剤製造の種類など)に依存することがある、(例えば、粉末スプレーとしてのディスペンサを介して供給される或いは粉末ベッドとして提供される)異なる形態で提供されてよいことが理解されよう。
【0082】
ステップ4で、前駆体材料は、直接エネルギ源に曝される。直接エネルギ源は、適切なデバイスから放射されてよく、前駆体材料の融点を超えて(例えば、合金組成物を表す固相線(solidus line)の温度を超えて)前駆体材料を加熱するのに十分なエネルギを有さなければならない。例えば、非限定的に、直接エネルギ源は、アルミニウム合金前駆体材料を少なくとも約摂氏580度、より具体的には、約摂氏580度〜約摂氏652度又はそれ以上の範囲内に加熱するのに十分なエネルギを有してよい。(一般的にエネルギビームとも呼ぶ)直接エネルギ源は、電子ビーム、レーザビーム、電気アーク、プラズマアーク、又は他の類似の直接エネルギ源であってよく、それは、当業者によって理解されるように、特定の溶融プロセス(例えば、溶接の種類、添加剤製造の種類など)に依存することがある、
【0083】
ステップ6で、前駆体材料は、その融点を超えて加熱されて、前駆体材料を液化し、溶解プールを形成する。溶解プールは、例えば、溶解プール堆積物の形態で、基板上に形成されてよい。溶解プールが形成される基板は、支持プラットフォーム、溶接される1つ又はそれよりも多くのピース、粉末ベッド、溶融処理合金の以前に再凝固された層、又は溶解プールを受け入れて支持することができる他の任意の適当な基板を含んでよい。例示的な実施形態において、溶解プールは、直接エネルギ源が基板に対してx−y平面に沿う走行方向に移動するときに、液化された前駆体合金と共に形成されてよい。このようにして、直接エネルギ源を放射するデバイス若しくは基板の一方又はそれらの両方が互いに対して移動する場合があることが理解されよう。更に、x−y平面は、任意の基準フレームであってよく、水平以外の1つ又はそれよりも多くの平面を含んでよい。
【0084】
ステップ8で、溶解プールが凝固すると、それはアルミニウム合金組成を有する溶融処理物品を形成する。物品は、1つ又はそれよりも多くの溶接物、溶接された構成要素、凝固された層、三次元構造、及び/又は他の適切な物品であってよく、それらは、当業者によって理解されるように、特定の溶融プロセス(例えば、溶接の種類、添加剤製造の種類など)に依存してよい。例えば、非限定的に、添加剤製造プロセスにおいて、凝固した溶解プールは、直接エネルギ源デバイス及び/又は基板がx−y平面に沿って互いに対して移動するときに取られる経路を辿る層又はトレースを形成することがある。これらの層は、再凝固される層によって三次元物品再凝固層(three-dimensional article re-solidified layer)を構築するよう、x−y平面に沿って互いに隣接して及び/又はx−y平面に対して直交するz軸に沿って互いに重なり合って堆積されてよい。
【0085】
例示的な実施形態において、凝固した物品は、表2に示すように、鍛錬用AL6061合金について、鍛錬用アルミニウム及び鍛錬用アルミニウム合金についてのアルミニウム協会国際合金名称及び化学組成限界−2015に従ったアルミニウム6061合金の標準組成に対応する組成を有し、表2において、数値がない場所は、特定されていない限界(unspecified limits)を示している。
【表0002】
【0086】
充填剤材料は、アルミニウム合金の溶接を容易にすることが知られているが、これらの充填剤材料は、合金特性又は組成を劣化させ、最終的な構成要素を航空宇宙のような特定の用途において使用不能にすることがある。1つ又はそれよりも多くの好ましい実施形態において、溶融プロセス1は、その化学的性質を変化させる1つ又はそれよりも多くの添加材料(例えば、合金元素又は充填剤材料)を溶解プールに添加することなく、(例えば、ワイヤ又は粉末を液化することによって)その固体状態形態で供給されたアルミニウム合金前駆体材料だけで行われる。このようにして、例示的な実施形態において、前駆体材料の組成(例えば、表1)中に列挙される各元素についての最大値は、溶融処理されたアルミニウム合金の組成(例えば、表2)中に列挙される各元素についての最大値を構成することがある−例えば、亜鉛が前駆体材料において0.005重量%の特定された上限を有するならば、これは溶融処理合金において予期される上限である場合があることが理解されよう。加えて、前駆体材料中の幾つかの元素の含有量は、溶融プロセス中に、例えば、上記で議論した高蒸気圧成分の蒸発によって失われる場合があることが理解されるが、処理パラメータに依存して、前駆体材料は(例えば、凝固形態から再凝固形態へ)物理的変化のみを受け、必ずしも化学的又は組成的変化を受けない場合があることも理解されよう。
【0087】
ステップ8の後に、溶融処理されたアルミニウム合金物品は、任意的に、熱処理されてよい。例えば、溶融処理された合金は、応力緩和されてよく(stress relieved)、完全焼き鈍しされてよく(fully annealed)、溶液焼き鈍しされてよく(solution annealed)、急冷されてよく(quenched)、時効処理されてよく(aged)、ホットアイソスタティックプレスされてよく(hot isostatically pressed)、或いは他の適切な熱処理に従って処理されてよい。例示的な実施形態において、溶融処理された合金は、(O熱処理(O heat treatment)とも呼ばれる)焼き鈍されてされ、最大引張強さ(maximum tensile strength)として152MPa(22,000psi)以下、最大降伏強度(maximum yield strength)として83MPa(12,000psi)以下、及び少なくとも18%の伸び(elongation)を有する、アルミニウム6061合金の組成を有してよい。他の例示的な実施形態において、溶融処理された合金は、引き続きT4の標準熱処理指定まで溶液焼き鈍しされ、急冷され、且つ自然時効処理され、少なくとも210MPa(30,000psi)の最終引張強さ、少なくとも110MPa(16,000psi)の降伏強度、及び少なくとも16%の伸びを有する、アルミニウム6061合金の組成を有してよい。他の例示的な実施形態において、溶融処理された合金は、引き続きT6の標準熱処理指定まで溶液焼き鈍しされ、急冷され、且つ人工時効処理され、少なくとも290MPa(42,000psi)の最終引張強さ、少なくとも240MPa(35,000psi)の降伏強度、及び少なくとも9%の伸びを有する、アルミニウム6061合金の組成を有してよい。これらの強度特性は、(参照として援用する)アルミニウム及びアルミニウム合金シート及びプレートについての米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)の仕様B209と一致する。
【0088】
例示的な実施形態において、溶融プロセス1は、溶解プール中の酸化物の形成を減少させるために、不活性又は真空条件の下で行われてよい。例えば、溶融プロセスは、不活性ガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、又は溶解プールと有害に反応しない他の適切なガスでチャンバを埋め戻すなどによって、真空又は不活性環境で実施されてよい。例示的な実施形態において、例示的な溶融プロセス1の間に使用される真空レベルは、従来的な溶融プロセスパラメータに比較して低下させられて、溶融プロセスの間の1つ又はそれよりも多くの合金化剤又は(マグネシウム又は亜鉛のような)不純物の蒸発を防止し或いは減少させるよう圧力レベルを大気圧に近づけてよく(しかしながら、依然として大気圧よりも下)、溶融プロセスは、それにより、添加剤製造される物品における高温割れ及び/又は内部多孔性を減少させることがある。しかしながら、幾つかの溶融プロセスは、溶融処理装置の限界に基づく真空チャンバ内の最大圧力レベルに制限される場合があることが理解されよう。例えば、電子ビーム溶融プロセスの間に、3,000マイクロトルを超える圧力レベルまで上昇させることは、電子ビーム特性に影響を及ぼすことがあり(例えば、チャンバ内の雰囲気の散乱効果によって引き起こされる電子ビームの減衰の増加)、或いはEB銃放電に影響を及ぼすことがある(例えば、EB銃に入り、プロセスの間に破壊又は中断を引き起こすことがある電気アークの原因となる、金属蒸気又は正イオン)。よって、処理温度で合金化剤の蒸気圧に達するか或いはそれを超えることは有利であるが、そのような高められた圧力レベルは、幾つかの溶融プロセスについて実用的でないことがある。例示的な実施形態において、真空チャンバ内の圧力レベルは、処理温度での合金化剤の蒸発を低減するために、約100マイクロトル以上、より好ましくは、約500マイクロトル以上であってよい。例えば、真空チャンバ内の圧力レベルは、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000マイクロトル、又はそれ以上であってよく、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含んでよい。
【0089】
例示的な実施形態では、例示的な溶融プロセス1の1つ又はそれよりも多くのパラメータを最適化して、溶融プロセス中の高温割れを減少させてよい。一例として、非限定的に、以下のパラメータ、即ち、放射されるエネルギビームの総パワー、移動速度(例えば、エネルギビーム放射デバイスと基板との間の相対速度)、原材料送り速度(例えば、ワイヤ送り速度)、原材料サイズ(例えば、ワイヤ直径又は粉末サイズ)、(複数の)堆積される物品のサイズ(例えば、溶接又は層のサイズ)、及び経路間温度のうちの1つ又はそれよりも多くが変更されてよい。
図4の方法100を参照して以下に更に詳細に記載するように、例示的な溶融プロセス1は、1つよりも多くのエネルギビーム(又は単一のラスタビーム)を利用してよく、それらの各々を溶解プールの異なる領域に向かって方向付けてよい。例えば、前駆体材料を液化するために先導エネルギビーム(leading energy beam)を使用してよく、溶解プールが凝固するときの高温割れを防止するために後端エネルギビーム(trailing energy beam)を溶解プールの凝固領域(例えば、液体−固体領域)に向けて方向付けてよい。溶融プロセス1の例示的実施形態において、後端エネルギビームは、溶解プールの後端領域内の樹枝状構造の形成を破壊又は妨害するのに十分なパワーレベル、パワー密度、脈動、ビームパターン、及び/又は位置関係を有するように構成されてよい。代替的に又は追加的に、溶融プロセス1の例示的な実施形態において、後端エネルギビームは、他の考慮事項の中でも、溶解プール内の樹枝状構造を再加熱又は再溶解し、溶解プール内で乱流を引き起こすことがある対流電流及び/又はパルス電磁場(pulsing electromagnetic field)を通じた撹拌を強化し、且つ/或いは溶解プール内の液体成分を再分配して凝固収縮に起因する損失容積を補充する、ように構成されてよい。
【0090】
例示的な溶融プロセス1は、供給材料が液化され、然る後に凝固される、溶接、添加剤製造、又は他の溶融プロセスのために使用されてよい。例示的な溶接プロセスは、例えば、レーザビーム溶接、電子ビーム溶接、又は(ガス金属アーク溶接、ガスタングステンアーク溶接、プラズマアーク溶接、シールド金属アーク溶接などのような)アーク溶接を含んでよい。例示的な添加剤製造プロセスは、例えば、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶解(SLM)、及び電子ビーム溶解のような、粉末ベッド技術、並びにレーザエンジニアリングネットシェイプ(LENS)、粉末又はワイヤベースのレーザ金属蒸着(LMD)、及び電子ビーム添加剤製造(EBAM)のような、直接エネルギ蒸着技術を含んでよい。このようにして、電気アークプロセスのための直接エネルギ源(又はエネルギビーム)は、少なくとも1つの電気アークであり、プラズマプロセスのためには少なくとも1つのプラズマアークであり、レーザプロセスのためには少なくとも1つのレーザビームであり、電子ビームプロセスのためには少なくとも1つの電子ビームであることが理解されよう。前駆体材料は、溶融プロセスに依存して、ワイヤ、粉末、又は他の形態で提供されてよいことが理解されよう。
【0091】
図2及び
図3を参照すると、例えば、上述のアルミニウム合金前駆体材料(又は他の材料)を溶融処理して三次元物品を形成するために利用されることがある、例示的な電子ビーム添加剤製造(EBAM)装置10が示されている。EBAM装置10は、固体状態形態の原材料13を送り領域に送達するための少なくとも1つの材料送達装置12と、送り領域で材料送達装置12によって送達される原材料を液化するエネルギを加えるために電子ビームのような少なくとも1つのエネルギビーム16を制御可能に放射する電子ビーム(EB)発生器(例えば、EB銃)のような(エネルギ放射デバイス14と呼ぶこともある)エネルギ源14とを含む。液化される原材料を受けるために、ワークピース支持体18が設けられてよい。ワークピース支持体18は、液化される原材料を溶解プール堆積物20としてその上に堆積する基板を形成してよく、或いはそのような基板を支持してよい。以下に更に詳細に議論するように、溶解プール堆積物20中の液化された原材料は凝固して(例えば、
図3に示す)再凝固層22を形成し、液化された原材料は、それにより、追加的な再凝固層をその上に形成する基板となる。このようにして、EBAM装置10は、各再凝固層を利用して(build upon)、層毎に三次元物品を形成することがある。
【0092】
例示的な実施形態において、原材料13は、金属ワイヤであり、それは、制御された送り速度で、アクチュエータ又は他の適切なデバイスを介して、材料送達装置12で送られてよい。ワイヤは、適切なガイドノズル24を通じて電子ビーム16によって確立された溶解プール20内に送られてよい。電子ビーム16と添加剤製造された物品の溶解プール20との間の距離は、堆積される原材料13が、液滴又は他の不連続性を回避するために或いは蓄積及び早期凝固を回避するために、送りワイヤから溶解プール堆積物20への材料の概ね連続的なストリームであるように、送り速度と共に制御されてよい。例示的な実施形態において、材料送達デバイス12は、約0.030インチ〜約0.156インチ又はそれ以上の範囲のワイヤ直径で、約300インチ/分(IPM)までのワイヤ送り速度に適合してよい。材料送達デバイス12は、比較的大きな又は比較的小さな直径のワイヤを送るために調整可能であってよく、ワイヤ直径は、例えば、約7mm未満、約5mm未満、又は約3mm未満、又は約1mm未満である。材料送達デバイス12は、比較的高い及び比較的低い送り速度、例えば、約300IPM未満、約200IPM未満、約100IPM未満、又は約50IPM未満でワイヤを送るように調整可能であってよい。
【0093】
例示的な実施形態において、原材料13は、アルミニウム6061合金組成(例えば、表2)を有する物品を形成するために利用されることがある、上述の(複数の)組成(例えば、表1)を有するアルミニウム合金前駆体材料である。しかしながら、1つ又はそれよりも多くの他の実施形態において、原材料13は、金属又は合金(例えば、遷移金属又はその合金を含む金属)のうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含んでよいことが理解されよう。例えば、原材料13は、チタン、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ステンレス鋼、ニオブ、タンタル、銅、青銅、黄銅、ベリリウム、銅、バナジウム、又はタングステンのうちの1つ又はそれよりも多くを含んでよい。例示的な実施形態において、原材料の特定の例は、アルミニウム又はAl6061のような他のアルミニウム合金を含む。他の特定の例は、他のアルミニウム合金(例えば、Mg及びSiを有する6xxxxシリーズ、Cuを有する2xxxシリーズ、及びZnを有する7xxxシリーズ)を含む。原材料の前述の例は、例示のためであり、限定のためでなく、本明細書に記載する例示的な装置及びプロセスは、任意の原材料のために利用されてよく、以下に議論するような他の考慮事項の中でも、溶解プールの凝固中に熱間割れを起こしやすい原材料に特に有用な場合があることが理解されよう。
【0094】
エネルギビーム発生デバイス14は、原材料13を、その融点を超えて(例えば、合金組成物を表す固相線の温度を超えて)原材料を加熱するのに十分なエネルギに曝してよい。一例として、非限定的に、適切な電子ビーム銃は、(約30キロボルト、約60キロボルト、約100キロボルトのような、又は約150キロボルト又はそれ以上でさえあるような、約15キロボルトより大きい)比較的高い電圧電位によって、送り領域内の原材料に向かって加速される集束電子のストリームの形態のエネルギを提供してよい。電子は、1つ又はそれよりも多くの加熱されたフィラメントを介してEB銃内で生成されてよい。EB銃のパワー出力は、典型的には、送り領域に向かう電子の流れを制限又はスロットリングすることによって制御されることがある。例えば、ビーム電流は、約50、100、200、300、400ミリアンペア又はそれ以上であってよい。放射される電子ビームの全パワー出力レベルは、約1キロワット〜約30キロワット、例えば、約1、2、4、6、8、10、20kW又はそれ以上であってよい。電子ビーム銃の動作に対する1つのアプローチは、溶解プール堆積物の最大深さが、約1cm未満のような及び場合によっては約0.5cm未満でさえあるような約3cm未満の深さで実質的に一定に維持されるように、銃のパラメータを十分なレベルに維持することであってよい。
【0095】
例示的な実施形態において、電子ビーム発生デバイス14は、制御可能に作動させられてよく、放射されるエネルギビーム15の場所を方向付けるための適切な機構を含んでよく、放射されるエネルギビームは、それにより、2つ又はそれよりも多くの予め選択されたパワー密度を2つ又はそれよりも多くの予め選択された領域に亘って適用することができるよう、点場所(point locations)に方向付けられることがある。放射されるエネルギビーム15は、概ね焦点が外れたモード、概ね焦点が合ったモード、又はそれらの両方で作動させられる場合があることが可能である。例示的な実施形態において、放射されるエネルギビーム15は、ビームの概ね一定な焦点を維持するモードで作動させられてよく、ビームは、後続のラスタフレーム(raster frame)の間に偏向され、並進(平行移動)させられる。例えば、約0.5〜約0.8mmの幅を有するビームは、約1.0、2.0、3.0mm、10mm又はそれ以上の有効幅をカバーするようにラスタ処理されてよい(rastered)。このようにして、比較的大量のエネルギが、従来的な電子ビーム溶接と比較して、比較的広い面積に亘って、しかしながら比較的浅い深さに、分散されることがある。
【0096】
そのようなラスタ処理(rastering)を利用するための1つのアプローチは、1つ又はそれよりも多くのプログラム可能な電磁コイル26のような1つ又はそれよりも多くの偏向コイルを使用することによって、電子ビームの集束及び/又は偏向並びに点場所の方向付けを提供する、電子ビーム発生デバイスの使用を含んでよい。ステップを連続的に繰り返す間に電子ビーム15を放射するステップは、繰り返しステップを通じて実質的に一定のクロックレートを用いてビームを放射することを含んでよく、電子ビームを並進させることは、1つ又はそれよりも多くの電磁コイル26でビームを偏向させることを含んでよい。並進させるステップは、実質的に一定のクロックレートで点から点へ並進させることを含んでよく、ステップを通じて実質的に一定なフレーム速度が利用されてよい。約50Hz〜約1kHz又はそれ以上、例えば、約100Hz、200Hz、400Hz、800Hz又はそれ以上の実質的に一定なフレーム速度が利用されてよく、或いは1MHz(例えば、約1.4MHz)を超えるクロックレートが利用されてよく、或いはそれらの両方が利用されてよい。加えて、EB銃の動作は、プログラムされたビームラスタ経路と1つ又はそれよりも多くの制御信号との間に同期性があるように構成されてよい。例えば、適切な制御システムは、その電力、電流、電圧、ビーム特性、又はそれらの任意の組み合わせのような、電子ビーム発生デバイスの動作を制御してよい。
【0097】
例示的な実施形態において、放射されるエネルギビーム15は、1つ又はそれよりも多くのビームパターンを形成するようにラスタ処理されてよい。例えば、
図3に示し、以下で更に詳細に議論するように、放射されるエネルギビーム15は、先導エネルギビーム16によって定められる先導エネルギビームパターン16aと、後端エネルギビーム17によって定められる後端エネルギビームパターン17aとを含むよう、ラスタパターンを通じて偏向させられてよく、並進させられてよい。2つの別個の同時のエネルギビーム16、17として示されているが、単一の放射ビーム15のラスタ処理(rastering)は、それぞれのパターン16a、17aを定めるために点から点に並進させられることが理解されよう。よって、本明細書で使用するときの先導エネルギビーム16(例えば、先導エネルギビームパターン16a)及び後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)は、そのようなラスタ処理によって提供されるようなそれぞれのビームを指す場合があることが理解されよう。放射ビーム15のラスタ処理は、1つ又はそれよりも多くの個々のフレームの間に、少なくとも2つの領域の間のようなパワーレベル又はパワー密度の差のような、フレームの少なくとも2つの領域の間のような単位時間当たりに送達される熱の密度の差を伝達することがある。このようにして、放射ビーム15の全パワーレベルの分布は、先導エネルギビーム16と後端エネルギビーム17との間で分割されてよく、或いはそれぞれのパターン16a、17aによって定められる領域に亘って加えられるパワー密度は分割されてよい。例えば、全パワーレベルは、約25:75、50:50、60:40、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、又は99:1の比(L:T)によって先導エネルギビーム(L)と後端エネルギビーム(T)との間で分割されてよく、それらの間の全ての部分範囲を含む。ラスタ処理方法論を利用して示し且つ記載しているが、少なくとも2つの別個の領域は、少なくとも2つの異なるエネルギ源から放射されることがある並びに任意の適切な方法においてそれぞれのパターン(例えば、16a、17a)を形成することがある、少なくとも2つの別個のエネルギビーム(例えば、16、17)に曝されてよいことが理解されよう。
【0098】
ワークピース支持体18、電子ビーム発生器14、及び/又は材料送達デバイス12は、互いに対して位置的に並進可能であってよい。このようにして、添加剤製造された物品が複数の連続的に堆積(及び凝固)された溶解プール堆積物から層毎に形成されることがあるように、エネルギビーム(例えば、15、16、17)は、(例えば、
図3において矢印で示す)基板に対して、移動速度で、進行方向に移動することがある。移動速度は、比較的速くても比較的遅くてもよく、例えば、15IPM、25IPM、50IPM、100IPM、又はそれよりも多くのような、10IPM以上であってよい。例示的な実施形態において、エネルギビーム発生装置14は、ワークピース支持体18に対して複数の軸(例えば、3、4、5、又は6軸)で並進可能であってよい(それらの内の後者自体は、固定されるか或いは並進可能であってよい)。x−y平面に沿って進行方向に移動するエネルギビーム(例えば、先導エネルギビーム)は、移動するのがエネルギビーム発生装置であるか基板であるかに拘わらず、エネルギビームが基板に対して移動することを意味することが理解されよう。例えば、エネルギビーム発生装置14は、所定の位置に固定されてよく、ワークピース支持体18は、エネルギビーム発生装置に対して様々な位置に移動させられてよいことが理解されよう。
【0099】
チャンバ28を定める適切なハウジングを利用して、少なくとも材料送達デバイス12、電子ビーム発生器14、及び/又はワークピース支持体18を囲んでよい。チャンバ28は、のために所望に排気されてよい真空チャンバとして構成されてよい。チャンバ内の圧力が、例えば、約4,000マイクロトル、3,000マイクロトル、2,000マイクロトル、1,000マイクロトル、500マイクロトル、100マイクロトル以下のような、約5,000マイクロトル〜約30マイクロトル以下の範囲であるよう、圧力は、1つ又はそれよりも多くの適切な真空ポンプで排気されてよい。機械的ポンプと油拡散ポンプとの組み合せを利用する適切な真空ポンプ構成が使用されてよい。チャンバ28は、適切な真空シール及び放射線シールドを提供し、ワークピース製造に必要な構成要素を収容するのに十分な大きさである、ようであってよい。例えば、ステンレス鋼チャンバが利用されてよい。内部チャンバの寸法は、約68インチ×68インチ×92インチ(L×W×H)又は約48インチx48インチx228インチ(L×W×H)以上のような、少なくとも約48インチ×48インチ×60インチであってよい。
【0100】
例示的な実施形態では、1つ又はそれよりも多くの処理パラメータ又は添加剤製造される物品と関連付けられるパラメータに関する情報を受信するために、1つ又はそれよりも多くのセンサが設けられてよい。例えば、そのようなパラメータは、ワイヤ送り速度、移動速度、位置、温度、パワーレベル、電位、ビーム電流、ラスタ処理、放射等を含むが、これらに限定されない。
【0101】
コントローラが、監視される条件に応答して動作パラメータを変更することがあるように、(少なくとも1つのマイクロプロセッサを含むことがある)適切なコントローラを備える制御システム20が、処理条件に関するセンサからの情報を受信するように構成されてよい。制御システム20は、材料送達デバイス12、エネルギ放射デバイス14、ワークピース支持体18、及び/又はセンサのうちの1つ又はそれよりも多くと信号通信してよい。例えば、制御システム20は、その並進可能な位置、全パワーレベル、全電流レベル、全電位、それらのそれぞれのビームパターン、パルス特性、位置関係、パワーレベル、パワー密度、電圧、及び/又は電流を含む、先導及び/又は後端エネルギビーム特性、又はそれらの任意の組み合わせのような、エネルギ放射デバイス14の動作を制御してよい。制御システム20は、EBAM装置10によって実行されるときに所望の物品の製造をもたらす製造指令を有する3Dモデルから指令を受信してよい。制御及びデータ収集のうちの1つ又はそれよりも多くは、ユーザインタフェース及びディスプレイデバイス(例えば、1つ又はそれよりも多くのコンピュータのような適切な機器)を通じて電子的に管理されてよい。
【0102】
例示的な実施形態において、プロセスは、約1.0、10、50、100、200、400、800、1,000cm3/hr以上のような、約0.5cm3/hr〜約3,600cm3/hrの速度で、三次元物品(例えば、金属物品)を製造するために実施されてよい。プロセスは、(例えば、約10〜約15mmの平均ビーズ幅を有する)少なくとも約2.5、3.0、3.3、又は5kg/hrの速度で、或いは実に10kg/hrの速度で、物品(例えば、金属物品)を製造するために実施されてもよい。ステップは、原材料を、少なくとも毎分約25cm(例えば、毎分約35〜80cm以上)のビーズの速度で約10〜約15mm(例えば、約12.7mm)の平均ビーズ幅を有する連続的な層を定める複数の溶解プール堆積物又はビーズとして堆積させるのに十分な速度で実施されてよい。プロセスは、物品の完成前に(例えば、少なくとも1分、1時間、2時間、1日以上の)期間に亘って中断されてよく、物品の完全な凝固が起こった後に再開されてよい。
【0103】
幾つかの実施形態において、EBAM装置10は、SciakyモデルNG1VX68に見出されるような1つ又はそれよりも多くの構成要素を含んでよい。例えば、本教示で用いられてよい適切な構成要素及び装置は、非限定的に、XYZ線形及び部分回転(R)、部分傾斜、及び電子ビーム銃傾斜軸を含む、6つのプログラム可能なCNC運動軸を含んでよい、低電圧移動銃技術を利用する完全に機能する電子ビーム溶接及び蒸着システムを含む。Sciaky低電圧60/60型の電子ビーム銃のような電子ビーム銃が利用されてよい。システム全体は、SciakyのW20XXシリーズCMC及びプロセスコントローラを介してプログラム及び制御されてよい。本明細書中の教示が、NG1システムコントローラに加えて、別個の専用コンピュータを使用してよいことも可能である。そのようなコンピュータは、例えば、イーサネット(登録商標)を介してNG1プライマリコントローラへの通信リンクを提供するように構成されてよく、双方向データ転送を可能にしてよい。幾つかの実施形態において、本明細書中の教示は、本明細書中に記載するような閉ループ制御の使用を非限定的に含む、その全文を参照として本明細書に援用する2011年2月17日に出願された米国特許出願公開第2011/0240607号に開示された装置及び方法を利用してよい。
【0104】
(
図3及び
図5を参照して)
図4を参照すると、三次元物品を添加剤製造する例示的な方法100を例示するフローチャートが示されている。方法100は、上述の溶融処理方法1と類似する構成を有し、結果的に、方法100の1つ又はそれよりも多くの構成は、以下に示す場合を除き、方法1に適用可能なことである(或いはその逆も同様である)。方法1、100の態様は、適用可能な場合には、互いに置換されてよく或いは互いに併用されてもよいことも理解されよう。
【0105】
方法100は、物品のためのモデル及び/又は物品のための製造指令が添加剤製造されるように構成することによってステップ110の前に開始することがある。物品モデルは、物品の構造、材料、及び/又は他の構成を集合的に特定する、非一時的コンピュータ可読媒体上の任意のコンピュータ可読ファイル又は任意の複数のコンピュータ可読ファイルであってよい。これは、例えば、物品の三次元記述を提供するCADファイル、STLファイル、及び同等物を含んでよい。モデルに対応する製造指令は、添加剤製造装置又は三次元プリンタによって実行されるときに物品の製造をもたらす指令の任意の集合であってよい。例えば、製造指令は、様々なx,y,z座標に移動させるための、並びにパワーレベル、ビーム電流、送り速度、移動速度、又は他の所望のパラメータを制御するための、一連の命令を含んでよい。プロセス100は、当業者によって理解されるように、適切なデジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアを使用して実行されてよい。例えば、溶解プール堆積プロセスの間に、材料堆積システム10は、前述のモデルに従って、コントローラ(例えば、制御システム20)から製造指令を受信してよい。
【0106】
ステップ120で、原材料13は、固体状態形態で提供される。上記で議論したように、(例えば、
図3に示す)原材料13は、例示的なアルミニウム合金前駆体材料(例えば、表1)のような金属又は金属合金であってよく、ワイヤの形態であってよく、ワイヤは、材料送達デバイス12によって制御された送り速度で送り領域に送られてよい。しかしながら、原材料は、当業者に理解されるように、異なる材料(例えば、異なる金属、金属合金、又は非金属)であってよく、異なる形態で提供されてよい(例えば、粉末スプレーとしてディスペンサを介して送られてよく、或いは粉末ベッドとして提供されてよい)ことが理解されよう。
【0107】
ステップ130で、原材料13は、先導エネルギビーム16に露出される。上記で議論したように、先導エネルギビーム16は、電子銃14から放射される電子ビームであってよく、先導エネルギビーム16は、原材料13をその融点を越えて加熱するのに十分なエネルギを有する。先導エネルギビーム16は、上記で議論したように、先導エネルギビームパターン16aを形成するようラスタ処理を介して放射されるエネルギビーム15から導出されてよい。例示の実施形態において、先導エネルギビームパターン16aは、円形パターンであり、より具体的には、図示のように、一連の同心円から構成されてよい。3、6、9、12以上のような、2つ又はそれよりも多くの同心円があってよい。楕円形、放物線状、又は多角形パターンのような、他の先導エネルギビームパターンも可能である。原材料13に衝突するよう電子を効果的に伝達するために、チャンバ28は、真空下にあってよい。エネルギビームは、例示の実施形態において電子ビームであるが、当業者に理解されるように、(直接エネルギ源とも呼ぶ)他のエネルギビームも可能であることが理解されよう。例えば、他の種類のエネルギビームは、レーザ、電気アーク、プラズマ、及び同等物を含むが、これらに限定されない。
【0108】
ステップ140で、原材料13は、その融点を超えて加熱されて、原材料を液化し、溶解プール20を形成する。
図3及び
図5に示すように、溶解プール20は、基板上に形成されることがある溶解プール堆積物であってよい。溶解プール20は、先導エネルギビーム16が基板に対してx−y平面に沿って(矢印で示す)進行方向に移動するときに、液化された原材料で形成されることがある。上記で議論したように、溶解プールが形成される基板は、ワークピース支持体18及び/又は再凝固層22、又は溶解プール20を受け入れて支持することができる他のそのような基板を含んでよい。プロセスは、溶解プール中の酸化物の形成を減少させるよう不活性条件下にあってよい。上記で議論したように、電子銃14が基板に対して移動する代わりに、ワークピース支持体18が固定エネルギビームに対して移動してよいことが可能である。更に、x−y平面は、任意の基準フレームであってよく、水平以外の1つ又はそれよりも多くの平面を含んでよい。加えて、EBAM以外の他の添加剤製造方法が利用される場合、溶解プールは、異なる方法又は異なる場所で形成されてよく、例えば、溶解プールは、粉末ベッド中に形成されてよく、例えば、不活性ガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、又は溶解プールと有害に反応しない他の適切なガスでチャンバを逆充填すること(backfilling)によって、不活性環境において実施されてよいことが理解されよう。
【0109】
図5に例示するように、溶解プール20は、先導領域30と、後端領域32とを含む。図示のように、先導領域30は、先導エネルギビーム(例えば、先導エネルギビームパターン16a)に近接する、例えば、先導エネルギビーム16が原材料13に衝突して原材料を液化させる領域に近接する。このようにして、溶解プールの先導領域30は、新鮮な液体溶解物が堆積され、従って、先導エネルギビーム16と共にx−y平面に沿って移動する、領域(例えば、原材料が送られる領域)を表すことがある。先導領域30は、新鮮な液体溶解物が連続的に堆積される領域であるので、先導領域30、特に、先導領域30の前方エッジ31は、原材料の液相線温度よりも高い温度であってよく、従って、主に原材料の液相を含む。
【0110】
先導領域30の前方エッジが進行方向において前進し続けると、先導領域30の後方の後端領域32は冷却されて凝固し始める。このようにして、溶解プール20は、先導領域30で完全に液体であることがあり、後端領域32の前方界面34で再凝固され始めることがあり、凝固は、後端領域32を通じて、材料が完全に再凝固されることがある後端領域の後方界面36に向かって進行することがある。換言すれば、後端領域32は、液相界面(例えば、後端領域32が先導領域30と界面し、原材料の液相等温線を表すことがある、前方界面34)、固相界面(例えば、後端領域32が再凝固される原材料22と界面し、原材料の固相等温線を表すことがある、後方界面36)、及び液相界面34と固相界面36との間の移行領域を含むと考えられてよい。(液体温度と固体温度との間の温度にあることがある)液体界面34と固体界面32との間の移行領域は、凝固及び結晶粒成長が溶解プール20内で始まり、よって、固体粒子及び液体金属の二相混合物(例えば、固相−液相)を含む、領域である。
【0111】
移行領域内の冷却中に、原材料の液相から固相への変化の間に容積変化が起こることで、収縮が固体界面36付近の後端領域32のより冷たい領域内で起こる。そのような収縮によって引き起こされる溶解プール中のひずみは、このより冷たい凝固領域内に多孔性又は開口を発生させることがあり、液体金属の利用可能な供給が不十分であるか或いは凝固金属間のこれらの開口を充填することができないならば、高温割れが生じることがある。高温割れの問題は、溶解プールの移行領域における樹枝状構造の形成によって悪化させられることがあり、それは凝固結晶粒の間に狭い通路(channels)を形成し、狭いチャネルは、液体金属が凝固収縮によって引き起こされる減少した容積を補充することを抑えるか(choke off)或いは妨げる(prevent)ように作用する、幾つかのアルミニウム合金(例えば、Al6061又は他の6xxxシリーズのアルミニウム合金)のような、幾つかの金属又は金属合金について、高温割れの問題に対処することは従来的には困難であった。例示的な実施形態では、金属又は合金の高温割れを減少させるために、添加剤製造プロセス100が利用されてよい。
【0112】
戻って(
図3及び
図5を参照して)
図4を参照すると、ステップ150で、溶解プール20の後端領域32は、後端エネルギビーム17に曝される。例えば、後端エネルギビーム17は、後端領域の前方(液体)界面34、後端領域の後方(固体)界面36、及び/又は界面34と界面36との間の移行領域に向けられてよい。例示的な実施形態において、後端エネルギビーム17は、溶解プール20が凝固するにときに高温割れを減少させるように構成される。より具体的には、後端エネルギビーム17は、溶解プールの後端領域32内の樹枝状構造を粉砕する(break-up)或いは破壊する(disrupt)のに十分なパワーレベル、パワー密度、脈動、ビームパターン、及び/又は位置関係を有してよい。例えば、後端エネルギビーム17は、溶解プール内の樹枝状構造を再加熱又は再溶解するように構成されてよく、それはさもなければ液体溶解物が収縮に起因して失われた容積を補充することを妨げる溶解プール内の閉塞(blockages)を減少させることがある。代替的に又は追加的に、後端エネルギビーム17は、溶解プールの後端領域における液相の撹拌及び/又は再分布を強化するように構成されてよい。例えば、後端エネルギビーム17は、対流電流を増強することがあり、且つ/或いは溶解プールの後端領域において乱流を発生させることがあるパルス電磁場を誘発することがあり、それは樹枝状結晶の形成を減少させて、より等軸化した結晶粒構造を可能にすることがあり、且つ/或いは溶解物プールの凝固領域への液体金属流を増強することがある。代替的に又は追加的に、後端エネルギビーム17は、溶解プールの後端エッジの後方で再凝固した原材料を応力緩和又は焼きなますように構成されてよい。
【0113】
例示的な実施形態において、後端エネルギビーム17は、先導エネルギビーム16のパワーレベル又はパワー密度とは異なるパワーレベル又はパワー密度を有してよい。代替的に又は追加的に、後端エネルギビーム17は、先導エネルギビーム16によって定められる先導エネルギビームパターン16aとは異なる後端エネルギビームパターン17aを有してよい。上記で議論したように、パワーレベル、パワー密度、脈動、ビームパターン、及び/又は後端エネルギビームと先導エネルギビームとの間の位置関係の差は、放射エネルギビーム15のようなエネルギビームをラスタパターンを通じて並進させることの故にもたらされることがある。しかしながら、例えば、それぞれの先導エネルギビーム及び後端エネルギビームを放射する2つの別個のエネルギ源を有することによって、別個の異なる後端エネルギビーム17を提供する他の方法が利用されてよく、先導エネルギビーム及び後端エネルギビームの各々は、所望のパターンを形成するよう、ラスタされ(rastered)、焦点をずらされ(defocused)、或いは並進させられてよいことが理解されるであろう。
【0114】
例示的な実施形態において、後端エネルギビーム17は、溶解プール20の移行領域(例えば、後端領域32)の形状に概ね対応するビームパターンを形成してよい。例えば、
図5に示すように、液体界面34と固体界面36との間に位置する移行領域は、典型的には、先導領域30に向かって開口する概ね凹状の形状を有する。なぜならば、溶解プール20の横方向エッジは、中心よりも速く冷却されることがあるからである。従って、幾つかの例示的な実施形態において、後端エネルギビームパターン17aは、(例えば、
図5に示すように)溶解プールの先導領域30に向かって凹面側を備える凹状パターンに構成されてよく、それは樹枝状構造の破壊を増強することがあり、且つ/或いは液体溶解物の再分布を促進することがある。図示のように、凹状パターンの頂点は、進行方向において後端領域32の中心線に位置付けられてよい。後端エネルギビームパターン17aは、後端領域32の横方向幅と少なくとも同じ又はより広い横方向幅を有してよく、それぞれの横方向幅は、進行方向に対して直交する方向において取られる。例示の実施形態において、後端エネルギビームパターン17aは、シェブロン形状であり、それは例示的な添加剤製造プロセス100の間に高温割れを減少させるのに有効であることが見出されている。他の実施形態において、後端エネルギビームパターン17aは、円弧形、三日月形、又は放物線形パターン、又は多角形パターンを含む他の類似の凹状パターンで構成されてよい。
【0115】
例示的な実施形態において、後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)は、それぞれのエネルギビームが進行方向において一緒に移動するときに、固定された距離で、先導エネルギビーム16(例えば、先導エネルギビームパターン16a)から離間させられてよい。
図5に例示する実施形態に示すように、後端エネルギビームパターン17aは、後端エネルギビーム17が固相−液相を含む移行領域(例えば、後端領域32)内で維持されることがあるように、固定された距離で、先導エネルギビームパターン16aから離間させられてよい。「固定された距離(fixed distance)」又は「固定された位置(fixed position)」という用語は、それぞれのエネルギビーム又はそれぞれのエネルギビームパターンの間の位置関係を記述するために使用されるときに、たとえ放射されたビームがラスタリング中に点間を移動して、上記の議論から理解されるようなビーム又はパターンを形成することがあるとしても、エネルギビーム自体又はエネルギビームによって形成されるパターンが原材料に衝突するような位置関係にあることを意味することが理解されよう。幾つかの実施形態において、後端エネルギビームパターンは、先導エネルギビームパターンに対して固定されてよいが、
図6を参照して以下に更に詳細に議論するように、後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)の位置は、添加剤製造プロセスの間に、先導エネルギビーム16(例えば、先導エネルギビームパターン16a)に対して変更されてよいことも理解されよう。
【0116】
(
図3及び
図5を参照して)
図4に示すフローチャートを再び参照すると、ステップ160で、溶解プール20が後端領域32の後方エッジで十分に冷却すると、固体界面36が形成され、凝固した溶解プールは、先導エネルギビーム16、先導領域30、及び後端領域32が、x−y平面に沿って取る経路を辿る、再凝固層22又はトレースを形成する。ステップ170で、これらの再凝固層22は、再凝固層によって三次元物品再凝固層を構築するよう、x−y平面に沿って互いに隣接して及び/又はx−y平面に対して直交するz軸に沿って互いに重なり合って堆積される。そのようにして、ステップ180で、プロセスは、三次元物品が所望の完了レベルに形成されるまで、数回繰り返されてよい。
【0117】
例示的な実施形態では、例示的なプロセス100の1つ以上のパラメータを最適化して、高温割れを減少させてよい。一例として、非限定的に、以下のパラメータ、即ち、ワイヤ送り速度、総放射ビームパワー、及び先導エネルギビームと後端エネルギビームとの間のパワー分配のうちの1つ又はそれよりも多くは、最適化のためのEBAMプロセスにおいて変化させられてよい。この例において、ワイヤ送り速度は、原材料ワイヤが送り領域に送られる速度であり、総放射ビームパワーは、先導エネルギビーム及び後端エネルギビームを定めるためにラスタパターンを通じて並進される、ソースから放射される電子ビームの総パワーレベルであり、パワー分布は、先導エネルギビームと後端エネルギビームとの間の総パワーレベルの分割である。一例として、非限定的に、以下のパラメータ、即ち、移動速度(例えば、EB銃と基板との間の相対速度)、電子ビームの加速電圧、ワイヤ直径、ワイヤ組成、堆積された標本(specimens)のサイズ、及びパス間温度(interpass temperature)のうちの1つ又はそれよりも多くは、EBAMプロセスの最適化中に一定であってよい。一例として、非限定的に、以下の観察、即ち、外部偏析欠陥(external segregation defects)(例えば、マクロ割れ)の目視検査、機械的試験(例えば、引張試験及び硬度試験)、内部偏析欠陥(internal segregation defects)(例えば、内部多孔性)のX線写真検査、及び堆積及び再凝固原材料の組成分析(例えば、スパーク発光分光法)のうちの1つ又はそれよりも多くが行われてよい。
【0118】
最適化実験の一例では、以下の定数パラメータを使用して、試験標本を追加的に製造する。即ち、(i)移動速度は、毎分約15インチである。(ii)加速電圧は、約30kVである。(iii)ワイヤ直径は、約0.125インチである。(iv)ワイヤ組成は、アルミニウム6061合金である。(v)真空レベルは、約100マイクロトル未満である。(vi)先導エネルギビームパターンは、一連の9個の同心円である。(vii)後端エネルギビームパターンは、シェブロン形状である。(viii)後端エネルギビームパターンは、溶解プールの後端領域に向けられ、先導エネルギビームパターンに対して固定された距離にある。(ix)パス間温度は、約30℃未満である。(x)堆積される標本のサイズは、約8インチ×0.75インチ×2インチである。この最適化実験では、EBAMパラメータを変更する効果を実証するために、上述の例示的なアルミニウム合金前駆体材料(例えば、表1)の代わりに、アルミニウム6061合金を原材料として使用したことに留意のこと。偏析欠陥(例えば、割れ及び多孔性)についての視覚的及びX線写真観察並びに機械的試験(例えば、引張試験)に基づいて、最適化実験の結果は、以下のパラメータの1つ又はそれよりも多くが、アルミニウム6061合金を添加剤製造する電子ビームにとって最適な場合があることを示している。即ち、(i)全パワーレベルは、約1kW〜約10kWの範囲内にある、より具体的には、(例えば、約80mA〜約143mAの範囲内のビーム電流で)約2kW〜約5kWの範囲内にある。(ii)全パワーレベルの分布は、約85:15(L:T)〜約99:1(L:T)の範囲内の比によって、先導エネルギビーム(L)と後端エネルギビーム(T)との間で分割される。(iii)ワイヤ送り速度は、毎分約30インチ〜毎分約55インチの範囲内にある。より具体的には、最適化実験の結果は、EBAMプロセスの以下のパラメータが、目視及びX線写真観察によって最も少ない割れ及び多孔性を有し且つ最も高い引張強度の結果を有する標本を作ることを示している。即ち、(i)全パワーレベルは、約2kWから約3kWの範囲内にあり、より具体的には、約2.7kWである。(ii)全パワーレベルの分布は、約95:5(L:T)の比によって、先導エネルギビーム(L)と後端エネルギビーム(T)との間で分割される。(iii)ワイヤ送り速度は、毎分約40インチである。
【0119】
また、上述の最適化実験に基づいて、製造された標本の組成分析(例えば、スパーク発光分光法)の結果は、EBAMプロセス中にマグネシウム及び亜鉛の重量パーセントが減少し、それが製造された物品をAl6061合金の所定の組成仕様(例えば、表2)の範囲外にする、より具体的には、マグネシウムについての所定の限界の範囲外にすることを示している。上述のように、Al6061合金において、マグネシウムは、特に後続の熱処理の間に、合金の強度に寄与する合金化剤である。亜鉛は、アルミニウム合金中に見出される(例えば、性能のために添加されない)トランプ元素(tramp element)であることがあるが、EBAMプロセス中のその損失は、凝固される標本の多孔性に寄与することがあり、よって、それは強度を減少させることがある。これらの合金化剤(例えば、Mg)又はトランプ元素(例えば、Zn)は、それぞれ、温度と共に変化する固有の蒸気圧を有する。例えば、EBAMプロセスの間に、Al6061合金の処理温度は、(溶解プールを形成するように)その融点を超え、それは約580℃(固相線)から約652℃(液相線)の範囲内にあることがある。この処理温度で、マグネシウムの蒸気圧は、典型的には、100マイクロトルよりも大きい(例えば、652℃でのマグネシウムの蒸気圧は、約3.4トルである)。しかしながら、添加剤製造中のEBAMチャンバ内の圧力レベルは、従来的に100マイクロトル未満に設定される。よって、Al6061合金のEBAM処理の間に、低圧環境(例えば、100マイクロトル未満)における高い処理温度(例えば、580℃〜約652℃)は、マグネシウム及び亜鉛のようなアルミニウム6061合金中の元素の蒸発に寄与することがある。
【0120】
例示的な実施形態において、例示的な添加剤製造プロセスの間に使用される真空レベルは、従来的なEBAM処理パラメータに比べて減少させられて、添加剤製造プロセスの間の1つ又はそれよりも多くの合金化剤の蒸発を防止するよう或いは減少させるよう、圧力レベルを大気圧により近づけ(しかしながら、依然として大気圧未満)、それにより、添加剤製造される物品内の高温割れを減少させてよく、且つ/或いは内部多孔性を減少させてよい。例えば、原材料が、金属合金の強度の増加に寄与する1つ又はそれよりも多くの合金化剤を有する金属合金である場合、真空チャンバは、その蒸発を減少させるために、処理温度における1つ又はそれよりも多くの合金化剤の蒸気圧に近い、それに等しい、又はそれよりも大きい圧力レベルに、添加剤製造プロセス中に設定されてよい。しかしながら、幾つかの添加剤製造プロセスは、添加剤製造プロセス/装置の制約に基づいて真空チャンバ内の最大圧力レベルに制限される場合があることが理解されるよう。例えば、EBAMプロセスの間に、圧力レベルを3,000マイクロトルよりも大きい圧力に増大させることは、電子ビーム特性に影響を与えることがあり(例えば、チャンバ内の雰囲気の散乱効果によって引き起こされる電子ビームの減衰の増加)、あいはEB銃の放電に影響を与えることがある(例えば、EB銃に入ってプロセス中に粉砕又は中断の原因となる電気アークを引き起こす金属蒸気又は正イオン)。よって、処理温度で合金化剤の蒸気圧(例えば、上述したようにマグネシウムの蒸発を防止するための3.4トル)に達するか或いはそれを超えることは有利であるが、そのような上昇した圧力レベルは、幾つかの添加剤製造装置(例えば、EBAM装置)では実用的でないことがあるが、他の装置(例えば、レーザベースの添加剤製造装置)には実用的なことがある。いずれの場合においても、処理温度における合金化剤の蒸発を、例えば、それらの間の全ての範囲及び副範囲を含む、約600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000マイクロトル以上に減少させるために、真空チャンバ内の圧力レベルを約500マイクロトル以上に増加させることは有益な場合がある。加えて、真空チャンバは、ヘリウムのような不活性ガスで逆充填されてよい(back-filled)。
【0121】
一例として、非限定的に、100マイクロトル未満のチャンバ圧力を使用する従来的なEBAMプロセスと比較したときの、例示的なEBAMプロセス中の(大気圧により近い)真空チャンバの圧力レベルを増加させる実験が行われる。その例において、例示的なEBAMプロセスは、(合金化剤として少なくともMgを有する)Al6061を製造するために使用され、原材料の処理温度は、約580℃〜約652℃の範囲内にある。その例において、チャンバの圧力レベルは、約500マイクロトル以上に設定される。より具体的には、EB銃の放電の可能性を低減するために、真空チャンバ内の圧力レベルは、約500マイクロトル〜約3,000マイクロトルの範囲内にある。より具体的には、(複数の)合金化剤の蒸発を更に減少させるために、真空チャンバ内の圧力レベルは、約1,000マイクロトル〜約3,000マイクロトルの範囲内にあり、より具体的には、約2,000マイクロトル〜約3,000マイクロトルの範囲内にある。加えて、真空チャンバはヘリウムで逆充填される。この実験の結果は、そのような例示的なプロセスがマグネシウムのような合金化剤の蒸発を減少させるのに効果的であり、それは多孔性を減少させ、添加剤製造される標本の組成制御を向上させることを示す。
【0122】
図5を参照して上記で議論したように、幾つかの実施形態において、後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)は、先導エネルギビーム16(例えば、先導エネルギビームパターン16a)に対して固定されてよい。しかしながら、他の例示的実施形態では、後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)が、添加剤製造プロセス100の間にむしろ動的に調整されることが有利な場合があることが理解されよう。後端エネルギビーム17のそのような動的な調整は、撹拌効果を提供することがある溶解プール内のパルス電磁場からの対流電流又は乱流を促進することによって、後端領域32での溶解プール20の撹拌を強化することがある。そのようなプロセスは、樹枝状構造を破壊し、後端領域32内のより等軸の結晶粒構造を促進し、且つ/或いは溶解プールが凝固するときの収縮によって引き起こされる損失容積を補充するために先導領域30から後端領域32に向かう液体溶解物の再分布を促進することがある。これは高温割れを減少させ、内部多孔性を減少させ、且つ/或いは添加剤製造される物品の強度及び延性を改良することがある。
【0123】
例示的な実施形態において、後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)は、先導エネルギビームが進行方向に移動するときに、先導エネルギビーム16(例えば、先導エネルギビームパターン16a)からの距離を変更することによって、動的に変えられてよい。例えば、後端エネルギビーム17は、(例えば、液体界面34の領域又はその近傍のような、先導エネルギビーム16により近い)第1の位置と、(例えば、固体界面の領域又はその近傍のような、先導エネルギビーム16から遠い)第2の位置との間で、溶解プール20内で前後に移動してよく、且つ/或いは第1の位置と第2の位置との間の1つ又はそれよりも多くの中間位置に移動してよい。代替的に又は追加的に、後端エネルギビーム17は、先導エネルギビーム16から異なる距離に配置される2つ又はそれよりも多くの位置の間を循環してよい。代替的に又は追加的に、後端エネルギビーム17は、側方から側方に(例えば、進行方向に対して直交する方向において横方向に)のような、様々な他の方向に移動してよく、或いは、例えば、ピボット点の周りで前後に揺動してよい。後端エネルギビーム17のそのような(複数の)動的な運動は、溶解プールの異なる領域を局所的に加熱して、対流又は乱流撹拌を促進することがある密度勾配を引き起こすことがあり、且つ/或いは異なる領域でのパルス電磁場によって撹拌を促進することがある。例示的な実施形態において、後端エネルギビームは、収縮(shrinkage)及び縮小(contractions)が生じるときに材料を補充するために、溶解プールの凝固領域に向かう(例えば、後方(固体)界面36に向かう)新鮮な溶解物の移動を促進するように、一般的な進行方向とは反対の方向における液体溶解物の移動を促進するような方法において、複数の位置の間で交互に起こってよい。
【0124】
図6は、製造プロセス中の先導エネルギビーム16(例えば、先導エネルギビームパターン16a)に対する後端エネルギビーム17(例えば、後端エネルギビームパターン17a)の位置を動的に変更する例示的な方法200を例示している。この方法200は、ステップ150のように、上述の方法100に組み込まれてよいことが理解されよう。
図6に示すように、後端エネルギビームパターン17aは、各時間間隔(t1−t4)について、漸増する距離(d1−d4)で、先導エネルギビームパターン16aから離間させられてよく、次に、各間隔を通じて循環して戻ってよい。この例において、各々の漸増する距離の一般的な方向は、先導領域30から後端領域32に向かう方向であり、それは、先導領域30内の液体溶解物が、後端領域の凝固部分に向かって(例えば、後方(固体)界面36に向かって)後方に移動することを促進することがある。後端エネルギビーム17aは、液体金属の運動及び慣性を増強することがある溶解プール内の密度勾配を生成するよう、各間隔(t1−t4)である時間期間に亘って休止してよく、それは撹拌を促進することがあり且つ/或いは液体金属が凝固領域に向かって再分布することを促進することがある。任意的に、後端エネルギビームパターン17aは、先導エネルギビームパターン16aのみが利用されるように、時間間隔のうちの1つ又はそれよりも多くで非アクティブ化させられてよい。図示の各時間間隔で、先導エネルギビーム16a及びその後の溶解プールの形成は、再凝固層の大きさが各時間間隔で増加するように、(矢印で示す)進行方向において基板18に沿って移動することが理解されよう。
【0125】
一例として、非限定的に、アルミニウム合金6061の電子ビーム添加剤製造のための方法200を利用する実験が行われる。この例では、電子ビーム銃が電子ビームを放射し、電子ビームはラスタパターンを介して並進させられて、先導エネルギビームパターン16a及び後端エネルギビームパターン17aを形成する。この例において、電子ビーム銃は、400Hzの速度で走査し、一連のパターン(t0−t4)が100サイクル毎に繰り返される。t0(走査1−20)で、後端エネルギビームパターン17aは非アクティブ化され、先導エネルギビームパターンのみが利用される。t1(走査21−40)で、後端エネルギビームパターン17aは、第1の距離d1だけ離間させられ、第1の距離は、(t4で示す)第2の距離d4によって表される最大距離の1/4である。最大距離は、本明細書において使用するとき、必ずしも最大可能な距離ではなく、このプロセスの間にビームが離間させられる最大量の任意の呼称(designation)であることが理解されよう。t2(走査41−60)で、後端エネルギビームパターン17aは、d1とd4との間の第1の中間距離d2だけ離間させられ、ここで、距離d2は、最大距離d4の半分である。t3(走査61〜80)で、後端エネルギビームパターン17aは、第2の中間距離d3だけ離間させられ、第2の中間距離d3は、最大距離d4の3/4である。t4(スキャン81〜100)で、後端エネルギビームパターン17aは、最大距離d4で離間させられる。次に、このプロセスは、層22が形成されるときに、所望の数のサイクルだけ繰り返される。この実験の結果は、プロセス200が、上記で議論したような固定される距離で後端エネルギビームを使用する類似のEBAMプロセスと比較されるときに、多孔性を更に減少させ、強度(例えば、最大抗張力(ultimate tensile strength))を更に増大させ、添加剤製造される標本の延性を更に増大させるのに有効であることを示す。結果は、そのような動的な後端エネルギビームが、撹拌効果に起因することがあるマグネシウムのような合金化剤の蒸発を減少させるのに有効なことがあることも示す。
【0126】
前述の議論において、それぞれのエネルギビーム間の位置関係又はそれぞれのエネルギビームパターンを記述するために使用される「異なる距離(varying distances)」若しくは「異なる位置(varying positions)」という用語又は類似の用語は、エネルギビーム自体又はエネルギビームによって形成されるパターンが、それらが原材料に衝突するときにそのような位置関係にあることを意味し、ラスタ法(rastering method)の間に、放射ビームは、既に点間を移動して、そのようなビーム又はパターンを形成することがあることを理解する。上記で議論したような後端エネルギビームの(複数の)動的な変更によってもたらされる利点は、図示のような凹状パターンにおいて構成される後端エネルギビームに限定されないことが更に理解され、むしろ、利点は、円形、同心円、楕円形、多角形等のような、様々な他の後端エネルギビームパターンを利用して実現される場合があることが想定される。後端エネルギビームの位置を変更することは、溶解プール内の撹拌/再分布を強化するために後端エネルギビームを動的に変える多くの異なる方法の1つであってよく、動的な変化の他のそのような方法は、後端エネルギビームの強度(例えば、エネルギレベル又はパワー密度)を変更すること、後端エネルギビームのパターンを変更すること、及び他の類似の動的な変更のうちの1つ又はそれよりも多くを含んでよいことも理解されよう。
【0127】
図7を参照すると、例示的なEBAM装置10用のワークピース支持体318の別の例示的な実施形態が示されている。ワークピース支持体318は、上記で参照したワークピース支持体18に実質的に類似し、結果的に、ワークピース支持体18の前述の記述は、以下に示すときを除いて、ワークピース支持体318に等しく適用可能である。
【0128】
ワークピース支持体318は、1つ又はそれよりも多くの再凝固層22を介して直接的に又は間接的に、液化した原材料を溶解プール堆積物20として支持するための基板を形成することがある。このようにして、ワークピース支持体318によって形成される基板は、溶解プール堆積物20から或いは再凝固層22から或いはそれらの両方から熱を引き抜く(extracting)ための熱伝達媒体を提供する。EBAMプロセスは、典型的には、真空の下で起こるので、溶解プール20、再凝固層22、又は基板(例えば、基板支持体320)を冷却するために利用可能な対流熱伝達はなく、よって、熱は、基板内に制御不能に蓄積することがある。基板内の熱のこの蓄積は、後続の溶解プール堆積が行われる直ぐ前の送り領域における基板の温度である、パス間温度に影響を与えることがある。パス間温度は、溶解プール堆積物20及び/又は再凝固層22の特性に影響を及ぼすことがあり、よって、パス間温度を制御することが有利なことがある。
【0129】
例示の実施形態に示すように、ワークピース支持体318は、冷却プレート324(chill plate)を含み、冷却板324は、基板支持体320と熱連通して動作的に連結される。圧縮性伝熱材料322が、冷却板324と基板支持体320との間に介装されてよい。伝熱材料322は、Parma, OhioのGraftech Internationalによって製造されるGrafoil(自己接着性グラファイト粒子)であってよい。圧縮性伝熱材料(例えば、Grafoil)は、構成要素間の伝導性熱伝達を強化するために、基板支持体320と冷却板314との間の間隙を、例えば、25ミクロン未満に最小化することがある。図示のように、冷却板324は、流体通路326を含んでよく、流体通路326は、冷却板が基板支持体320から熱を引き抜くときに冷却板324を能動的かつ連続的に冷却するために、水のような冷却流体の供給源に、流体導管328を介して流体的に連結されてよい。温度を監視するために、熱電対のような1つ又はそれよりも多くのセンサ329が、ワークピース支持体318の領域のうちの1つ又はそれよりも多くの領域に埋め込まれてよく、冷却板324の能動的な冷却は、測定される温度に応答して、例えば、制御システム20によって、制御されてよい。このようにして、冷却板324は、例えば、約200℃、100℃、又は65℃以下の温度のような、EBAMプロセス中に基板の比較的一定なパス間温度を維持するように構成されてよい。
【0130】
一般的に、上述の例示的な(複数の)溶融処理方法(例えば、1、100、200)は、好ましくは、アルミニウム6061合金のような金属又は合金から作られた、溶接物品又は三次元物品のような、物品を形成するために使用されてよい。物品は、航空機構成要素、ロケット構成要素、海洋構成要素、宇宙船構成要素、自動車構成要素、タービン構成要素、レーダ構成要素、又は任意の類似の用途において機能可能な構成要素であってよい。例示的なプロセスは、少なくとも4ft.×4ft.×19ft.以上ほどの大きさの部品のほぼ正味形状を可能にすることがある。例示的なプロセスは、機械加工時間を短縮することがあり、ターンアラウンド時間を短縮することがあり、より大きな構造がより小さなモジュール構造にされるのを可能にすることがあり、コストを低減することがあり、処理後に反りの影響を受けにくい、例えば、EBAMプロセスを通じて完全に焼きなまされる部品を製造することがある。例えば、約10フィートの長さのAl6061構造を使用する、Raytheon Companyの航空機搭載機雷中和システム(airborne mine neutralization system)(AMNS)のケーススタディにおいて、上述の例示的な添加剤製造プロセスは、AMNSの従来的な成形に比べて機械加工において57%のコスト節減を実現することがあり、除去される材料の97%の削減をもたらすことがあり、且つ機械加工時間の62%の節減を実現することがある。
【0131】
本発明の(複数の)組成及び(複数の)方法の実施形態が以下の例に例示される。これらの例(及び前述の例)は、例示的な目的のために提供されており、本発明の組成及び方法の範囲に対する限定と考えられてならない。
【0132】
(例)
(実験パラメータ)
上述の(複数の)方法(例えば、100、200)に従って電子ビーム添加剤製造によって一連の試験標本(test specimens)を準備した。試験標本を添加剤製造するために以下の一定のパラメータを使用する。即ち、(i)移動速度は、毎分約15インチであり、(ii)加速電圧は、約30kVであり、(iii)全パワーレベルは、約1.5kW〜約3kWの範囲内にあり、(iv)全パワーレベルの分布は、先導エネルギビーム(L)と後端エネルギビーム(T)との間で約95:5(L:T)の比率で分割され、(v)ワイヤ送り速度は、毎分約40インチであり、(vi)ワイヤ直径は、約0.125インチであり、(vii)先導エネルギビームパターンは、一連の9個の同心円であり、(viii)後端エネルギビームパターンは、シェブロン形状(chevron-shaped)であり、(ix)基板プレートで測定されるパス間温度は、約28℃未満であり、且つ(x)堆積した標本のサイズは、約8インチ×0.75インチ×2インチである。
【0133】
表3に従ってEBAMプロセスのパラメータを変更することによって様々な試験標本を準備する。
【表0003】
【0134】
表3に示すように、EBAMプロセスを用いて12個の試験標本が準備される。1つの変数に従って、アルミニウム合金前駆体材料の組成が変更される。より具体的には、各標本を準備するための前駆体材料は、幾つかの標本のマグネシウム含有量が、表3に示すような合金中に存在するマグネシウムの約1重量%、約2重量%、又は約3重量%を有するように変更されることを除いて、表1に従った組成を有するワイヤ形態においてアルミニウム合金として形成される。各前駆体アルミニウム合金についてのマグネシウム含有量のこの変化に適応するために、各前駆体アルミニウム合金中のアルミニウムのバランスは、相応して修正され(例えば、それぞれ、1重量%、2重量%又は3重量%より少ないアルミニウム)、各前駆体合金についての他の元素は、表1に指定される範囲内にある。
【0135】
表3に示される別の変数に従って、EBAMチャンバの圧力レベルは変更される。より具体的には、幾つかの標本の添加剤製造の間に、圧力レベルは、約100マイクロトル以下に設定され、他の標本について、圧力レベルは、ヘリウムが逆充填されたチャンバで約2,000マイクロトル以上に設定される。
【0136】
表3に示す別の変数に従って、後端エネルギビームの構成は変更される。より具体的には、幾つかの標本の添加剤製造の間に、後端エネルギビームは、溶解プールの後端領域に向けられ、上記
図4及び
図5を参照して記載する方法100に従って先導エネルギビームに対して固定される(例えば、静的である(static))。他方、他の標本の添加剤製造の間に、上記
図6を参照して記載した方法200に従って先導エネルギビームからの距離を変更することによって、後端エネルギビームは動的に調整される(例えば、動的である(dynamic))。より具体的には、後端エネルギビームが動的に変更されるこれらの標本について、電子ビーム銃は、400Hzの速度で走査し、一連のパターン(t0−t4)は、100サイクル毎に繰り返される。t0(走査1〜20)で、後端エネルギビームパターンは非アクティブ化され、先導エネルギビームパターンのみが利用される。t1(走査21−40)で、後端エネルギビームパターン17aは、第1の距離d1だけ離間させられ、第1の距離d1は、(t4で示す)第2の距離d4によって表される最大距離の1/4である。t2(走査41−60)で、後端エネルギビームパターン17aは、d1とd4との間の第1の中間距離d2だけ離間させられ、ここで、距離d2は、最大距離d4の半分である。t3(走査61〜80)で、後端エネルギビームパターン17aは、第2の中間距離d3だけ離間させられ、第2の中間距離d3は、最大距離d4の3/4である。t4(スキャン81〜100)で、後端エネルギビームパターン17aは、最大距離d4で離間させられる。次に、このプロセスは、層22が形成されるときに、所望の数のサイクルに亘って繰り返される。
【0137】
添加剤製造に続いて、蒸着されたような各試験標本は、4時間に亘って177℃で応力緩和され、次に、試験試料に機械加工され、次に、1〜3時間に亘って529℃で溶液焼きなましすることによって熱処理され、水焼き入れされ、且つ(参照として援用する)T6熱処理を伴うAl6061合金についてのSAE AMS 2770の規格に従って8〜10時間に亘って177℃で人工時効処理された。次に、熱処理に続いて、各試験標本は、以下で更に詳細に議論するように検査され且つ試験される。
【0138】
(目視検査及びX線写真検査)
各試験標本は、割れ数(crack count)の決定のための目視検査(visual examination)及び細孔数(pore count)の決定のためのX線写真検査(radiographic examination)に供される。これらの検査の結果は、表4に見出される。各々の変更されたパラメータについての表4の結果からの平均は、
図8〜
図10に要約されている。
【表0004】
【0139】
図8は、マグネシウム含有量に対する割れ及び細孔数の決定の結果を示している。結果は、より高いマグネシウム含有量(例えば、前駆体合金中のより高い重量パーセント)を有するそれらの試料が、より少ない割れ及び細孔を提示することを示している。これは、マグネシウムの蒸発につながる、高エネルギの真空内の添加剤製造プロセス中のマグネシウムの損失に起因すると考えられ、その場合、豊富なマグネシウム含有量を有するそれらの試料は、この損失に順応することができ、より少ない細孔を提示した。
【0140】
図9は、後端エネルギビーム構成に対する割れ及び細孔数の決定の結果を示している。結果は、動的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料が、静的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料よりも少ない割れ及び細孔を提示することを示している。動的な後端エネルギビームは、対流電流及び/又は電磁力を介して撹拌を促進し、それは凝固領域への液体溶解物の補充を増強し且つ/或いは高蒸気圧成分の損失を制限することにより、割れ及び細孔を減少させると考えられる。
【0141】
図10は、EBAMチャンバ圧力レベルに対する割れ及び細孔数の決定の結果を示している。結果は、2,000マイクロトル以上の圧力レベルで添加剤製造された試料が、100マイクロトル以下の圧力レベルで添加剤製造された試料よりも少ない割れ及び細孔を提示することを示している。より低いチャンバ圧力は、添加剤製造プロセス中に失われる高蒸気圧成分(例えば、マグネシウム及び亜鉛)の量を増加させ、それは多孔性を増加させると考えられる。
【0142】
(機械的試験)
各試験標本は、降伏強度、最大抗張力及び伸びを決定するために、引張試験片(test coupons)に機械加工されて、引張試験される。これらの試験の結果は、表5に見出される。各々の異なるパラメータについての表5の結果からの平均は、
図11及び
図12に要約されている。
【表0005】
【0143】
図11は、マグネシウム含有量、チャンバ圧力、及び後端エネルギビーム構成の変数に対する最大抗張力の結果を示している。
図11において、42.0ksiで示される閾値レベルは、ASTM B209に従った最小強度要求であると考えられる。
図11の結果は、より高い(例えば、前駆体合金中のより高い重量パーセントの)マグネシウム含有量は、最大抗張力の増大を提示することを示している。上記で議論したように、マグネシウムは、特に6000シリーズのアルミニウム合金の後続の熱処理の後に強度に寄与する、合金元素である。また、マグネシウム含有量が高く多孔性の少ない試料は、より高い強度を提示することも理解されよう。
図11は、後端ビームの構成が、強度に対して強い影響を有し、動的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料が、静的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料よりも大きな強度を提示したことも例示している。動的な後端エネルギビームによってもたらされる撹拌効果の増大は、この強度の増大をもたらすと考えられる。図示のように、
図11は、圧力レベル100マイクロトル以下で添加剤製造された試料と比較した、2,000マイクロトル以上の圧力レベルで添加剤製造された試料についての強度の増加も示している。
【0144】
図12は、マグネシウム含有量、チャンバ津力圧、及び後端エネルギビーム構成の変数に対する伸びの結果を示している。
図12において、10%の伸びで示される閾値レベルは、(例えば、0.250〜0.499インチの厚さ範囲における)ASTM B209に従った最小伸び要件と考えられる。
図12の結果は、より高い(例えば、前駆体合金中のより高い重量パーセントの)マグネシウム含有量を有する試料が、伸びの増大を提示することを示している。
図12は、後端ビームの構成が、伸びに対する強い影響を有し、動的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料が、静的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料よりも大きな伸びを提示したことも例示している。図示のように、
図12は、100マイクロトル以下の圧力レベルで添加剤製造された試料と比較した、2,000マイクロトル以上の圧力レベルで添加剤製造された試料についての伸びの増加も示している。
【0145】
(組成分析)
各試験標本は、各々の添加剤製造された試験標本について、組成の決定のために、特にマグネシウム含有量を決定するために、スパーク発光分光法を介して試験される。これらの試験の結果は、表6に見出される。各々の異なるパラメータについての表6の結果からの平均は、
図13に要約されている。
【表0006】
【0146】
図13は、開始マグネシウム含有量、チャンバ圧力、及び後端エネルギビーム構成の変数に対するスパーク発光分光法組成分析の結果を示している。
図13では、(表2に例示するような)鍛造アルミニウム及び鍛造アルミニウム合金についてのアルミニウム協会国際合金指定及び化学組成限界−2015によるAl6061合金の組成仕様に従って、0.8重量%のMgで示されル下方閾レベルは、最小マグネシウム含有量と考えられ、1.2重量%のMgで示される上方閾レベルは、最大マグネシウム含有量と考えられる。
図13の結果は、より高い(例えば、前駆体合金中のより高い重量パーセントの)マグネシウム含有量を有する試料が、処理される合金中のマグネシウム含有量の増加を提示することを示している。前駆体合金中に約2重量%のマグネシウム含有量を含む試料は、Al6061合金の特定の組成限界内に入ることが見出されている。
図13は、後端ビーム構成が最終組成に対して強い影響を有し、動的な後端エネルギビームで添加剤製造された試料の平均マグネシウム含有量は、静的なシェブロンで堆積された試料の平均よりも高いことも例示している。
図13に示すように、動的な後端エネルギビームで処理された試料の平均マグネシウム含有量は、Al6061合金の特定された組成限界内にある。動的な後端エネルギビームによってもたらされる撹拌の増強は、この効果をもたらすと考えられる。
図13は、100マイクロトル以下の圧力レベルで添加剤製造された試料の平均と比較して、2,000マイクロトル以上の圧力レベルで添加剤製造された試料についての平均マグネシウム含有量が高いことも示している。
【0147】
特に高温割れを受けやすい溶融処理材料について、1つ又はそれよりも多くの組成、方法、及び装置を本明細書中に記載した。議論したように、高温割れを減少させる、組成制御を改良する、多孔性を減少させる、且つ/或いは溶融処理物品の強度及び延性を増強させる、溶融処理のためのアルミニウム合金前駆体組成及び/又は方法が提供される。同じものを使用する前駆体材料及び溶融プロセスは、アルミニウム6061合金いついての組成仕様を満足しながら、欠陥を最小に抑え且つ所望の強度及び延性要件を満足するか或いは超える物品を形成するために、利用されてよい。溶融プロセスは、原材料を液化して溶解プールを形成するための先導エネルギビームと、溶解プールの後端領域に向かって方向付けられる後端エネルギビームとを含んでよい。後端エネルギビームは、高温割れを防止し、多孔性を減少させ、或いは凝固部の他の特性を改良するために、溶解プール内の液体の撹拌及び/又は再分布を強化するように構成されてよい。方法は、他の考慮事項の中でも、合金化剤の蒸発を防止するために真空レベルを調整することのように、処理パラメータを改良してもよい。
【0148】
上記で議論したように、本明細書は、アルミニウム合金の電子ビーム添加剤製造(EBAM)に具体的な用途を有する特定の例示的な実施形態を開示しているが、上述の(複数の)例示的な添加剤製造プロセス(例えば、1、100、200など)は、それに限定されず、異なる材料を利用することがある他の添加剤製造プロセス又は溶接プロセスを含む、他の溶融プロセスにも適用可能な場合があることが理解されよう。例えば、上述の(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)は、レーザビーム溶接、電子ビーム溶接、及び/又は(例えば、ガス金属アーク溶接、ガスタングステンアーク溶接、プラズマアーク溶接、シールド金属アーク溶接、ハイブリッドアークレーザ溶接などのような)アーク溶接のような、溶接技法に等しく適用可能なことがあり、或いは直接金属蒸着、レーザ蒸着ワイヤ、レーザ蒸着粉末、レーザ凝固、レーザエンジニアリングネットシェイプ (laser engineering net shape)、電子ビーム直接溶解を含む、直接エネルギ蒸着AMプロセスや、直接金属レーザ焼結、選択的レーザ焼結、選択的レーザ溶解、電子ビーム溶解を含む、粉末ベッド溶融AMプロセスや、他の溶融プロセス、例えば、溶解プールが製造されて凝固される溶融プロセスのような、他の添加剤製造技法に等しく適用可能なことがある。
【0149】
一例として、非限定的に、上述の(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)は、粉末材料を利用するレーザベースのAMプロセスである選択的レーザ焼結(SLS)及び選択的レーザ溶解(SLM)のために使用されてよい。レーザ(エネルギビーム)は、構造トレイ(build tray)上で地ならし機(leveler)又はローラによって敷設された均一に広がった材料の粉末ベッド(原材料)に亘ってx−y平面に沿ってトレースされる。レーザが粉末材料の表面と相互作用すると、粉末粒子は融解して溶解プールを形成し、溶解プールは、粒子が互いに溶解して、固体を形成することを可能にする。このプロセスの間に、後端レーザ(エネルギビーム)は、先導(一次)エネルギビームに追従することがあり、溶解プールの後端領域に向かって方向付けられることがある。先導レーザビーム及び/又は後端レーザビームは、それぞれ、パターンを有してよく、上述の他の要因の中でも特に、一定の距離又は可変な距離で離間させられてよい。各層が完成すると、粉末ベッドは増分的に落ち、ローラが、後続の層が形成されて前の層と融合されるための次のレーザの通過前に、粉末をベッド表面に亘って滑らかにする。これらのプロセスでは、溶解する粉末を酸素汚染から保護する不活性ガス環境を維持するために、構造チャンバ(build chamber)は封止されてよい。ひとたび完成すると、余分な粉末は除去され、最終的な添加剤製造された部品が残される。このプロセスの1つの利点は、粉末ベッドがオーバーハング(overhangs)及びアンダーカット(undercuts)のための製造過程支持構造(in-process support structure)として機能し、従って、この種のプロセスで高い幾何学的精度を有する複雑な形状を製造することができることである。
【0150】
一例として、非限定的に、上述の(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)は、SLM/SLSに類似する別の粉末ベッド溶融技法である電子ビーム融解(EBM)に使用されてよい。相違は、熱源又はエネルギビームであり、EBMプロセスにおいて、熱源又はエネルギビームは、レーザではなく電子ビームを使用する。よって、プロセスは、真空条件の下で行われる。加熱されたタングステンフィラメントは電子を放出し、電子は、電子ビーム(エネルギビーム)を形成するために、コリメートされて、加速される。電子ビームは、2つの磁気コイルによって制御される。第1のコイルは、ビームを集束させる磁気レンズであり、第2のコイルアセンブリは、集束されたビームを、構造プラットフォーム(build platform)上の所望の点に偏向させる。放射された電子ビームは、上述のように、先導エネルギビーム及び後端エネルギビームを形成するために、ラスタパターンを通じて並進させられてよい。チャンバ内では、金属粉末ベッド(原材料)が、レーキ機構(raking mechanism)を用いて形成される。コンピュータ制御される電子ビームは、粉末ベッドに亘って走査して粉末を溶解し、所定のパターンにおいて溶解プールを形成する。このプロセスの間に、後端電子ビーム(エネルギビーム)は、溶解プールの後端領域に向かって方向付けられてよい。先導電子ビーム及び/又は後端電子ビームは、それぞれ、パターンを有してよく、上述の他の要因の中でも特に、一定の距離又は可変な距離で離間させられてよい。溶解プールが凝固した後に、新しい粉末層が凝固された/走査された材料の上に敷設され、全ての層が完了するまでプロセスを繰り返される。
【0151】
一例として、非限定的に、上述の(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)は、レーザ金属蒸着(LDM)及びレーザエンジニアードネットシェイプ成形(laser engineered net shaping)(LENS)のような、粉末送りシステムのために使用されることがある。LMD/LENSにおいて、粉末(原材料)は、ノズルを通して吹き込まれ、送り領域に方向付けられる。次に、粉末は、レーザビーム(エネルギビーム)によって溶解されて、基材又は既に凝固した層の上に堆積される溶解プールを形成する。このプロセスの間に、後端レーザ(エネルギビーム)が、先導(一次)エネルギビームに追従してよく、溶解プールの後端領域に向かって方向付けられてよい。先導レーザビーム及び/又は後端レーザビームは、それぞれ、パターンを有してよく、上述の他の要因の中でも特に、一定の距離又は可変な距離で離間させられてよい。次に、溶解プールは凝固して再凝固層を形成し、プロセスは繰り返される。この(複数の)LMD/LENSプロセスは、典型的には、精密であり、0.1mm〜数mmの間で変化する厚さを備える材料の層の自動的な堆積に基づくことがある。基材(base material)とのクラッド材料の冶金学的接合及びアンダーカットの不存在は、このプロセスの幾つかの特徴である。
【0152】
一例として、非限定に、上述の(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)は、ワイヤレーザ金属蒸着(LMDワイヤ)のような、レーザベースのワイヤ送りシステムのために使用されてよい。LMDワイヤでは、送りワイヤ(原材料)が、送り領域に向かってノズルを通じて進められ、それにより、金属ワイヤは、レーザ(エネルギビーム)によって溶解されて、基板又は以前に凝固した層の上に堆積される溶解プールを形成する。このプロセスの間に、後端レーザ(エネルギビーム)は、先導(一次)レーザビームに追従してよく、溶解プールの後端領域に向かって方向付けられてよい。先導レーザビーム及び/又は後端レーザビームは、それぞれ、パターンを有してよく、上述の他の要因の中でも特に、一定の距離又は可変な距離で離間させられてよい。LMDワイヤプロセスは、開放環境(レーザを取り囲む不活性ガス)又は封止されたガス囲いのいずれかに不活性環境シールドを組み込んでよい。このプロセスは、典型的には、粉末ベッド及びブロン粉末直接エネルギ堆積(blown powder direct energy deposition)と比較して、より高い堆積速度を提供する。
【0153】
(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)を使用することがある代替的なプロセスの前述のリストは、例示的であることが意図されており、限定的でない。上述の(複数の)例示的な添加剤製造プロセスのうちの1つ又はそれよりも多くの構成は、例えば、望ましい場合には、(iv)上記で議論した他の種々の考慮事項の中でも特に、(i)製造される物品の高温割れを防止し且つ/或いは多孔性を減少させるために、(ii)材料強度、材料組成、材料熱処理性、応力緩和又は焼きなまし、設計又は修理の柔軟性及び仕立て性(tailorability)のような、製造される物品の特性を強化するために、(iii)冷却速度又は処理温度を維持することのような、製造プロセスパラメータに対する制御を向上させるために、他の添加剤製造プロセス、溶接プロセス又は様々な他のプロセスのような、他の溶融プロセスにおいて使用されてよいことも理解されよう。
【0154】
本明細書は、Al6061又は例示的なアルミニウム合金前駆体材料のようなアルミニウム合金の処理に特定の用途を有する特定の例示的な実施形態を開示しているが、上述の(複数の)例示的な溶融プロセス(例えば、1、100、200など)及び様々な代替は、それらに限定されず、他の材料にも適用可能な場合があることが理解されよう。例えば、他の材料は、1つ又はそれよりも多くの金属、金属合金、又は非金属を含んでよい。金属又は合金は、チタン又はチタン合金、ニッケル又はニッケル合金、インコネル、タンタル、タングステン、ニオブ、ステンレス鋼、オーステナイト鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金を含んでよい。他の類似の金属若しくは金属合金又は高温割れの影響を受けやすいことがある他の金属又は金属合金が使用されてもよい。
【0155】
この明細書に記載する主題の実施形態は、デジタル電子回路、コントローラ、プロセッサ、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとの組み合わせにおいて実施され得ることが理解されよう。例えば、実施形態は、データ処理装置による実行のために、或いはデータ処理装置の動作を制御するために、非一時的なコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム指令の1つ又はそれよりも多くのモジュールを使用する、添加剤製造又は溶接システムにおいて実施されてよい。(複数の)フロー図において、ブロックは、ロジック(論理)で実施されることがある「処理ブロック」を示すことがある。処理ブロックは、方法ステップ又は方法ステップを実行する装置要素を表すことがある。フロー図は、如何なる特定の(例えば、手続き的な、目的指向の)プログラミング言語、方法論、スタイルについても体系(syntax)を描いていない。むしろ、フロー図は、当業者が例示の処理を実行するためにロジックを開発するために利用することがある機能的情報を例示している。幾つかの例において、一時的な変数、ルーチンループ等のような、プログラム要素は示されていないことが理解されるであろう。電子及びソフトウェアアプリケーションは、例示のブロックが図示されるものとは異なる他のシーケンスで実行され得るように、或いはブロックが組み合わされるか或いは複数の構成要素に分離されることがあるように、動的で柔軟なプロセスを含んでよいことが更に理解されるであろう。それらのプロセスは、機械言語、手続的な技法、オブジェクト指向の技法、又は人工知能技法のような、様々なプログラミング手法を用いて実施されてよいことが理解されるであろう。1つの例において、方法論は、コンピュータ可読媒体上に提供されるプロセッサ実行可能な指令又は動作として実装される。従って、1つの例において、コンピュータ可読媒体は、方法を実行するように動作可能なプロセッサ実行可能な指令を格納してよい。コンピュータ可読媒体は、ハードドライブ、機械可読格納デバイス、メモリデバイス、又はそれらのうちの1つ又はそれよりも多くの組み合わせであってよい。コントローラは、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、及び機械を含んでよい。コントローラは、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作るコードを含んでよい。(ソフトウェア又はコードとも呼ぶ)コンピュータプログラムは、スタンドアローンプログラムとしての形態、又はコンピュータ環境における使用に適したモジュール、構成要素、サブルーチン、又は他のユニットとしての形態を含む、任意の形態において配置されてよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように配置されてよく、或いは1つの場所に配置される或いは複数の場所に亘って分散されて通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように配置されてよい。プロセッサは、コンピュータプログラムの実行に適した全ての装置、デバイス及び機械を含んでよく、プロセッサは、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又はそれよりも多くを含んでよい。一般的に、プロセッサは、読出専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はそれらの両方から指令及びデータを受信する。コンピュータは、データを格納するための1つ又はそれよりも多くの大容量記憶装置を含んでよく、或いはそれらからデータを受信し或いはそれらにデータを転送したり或いはそれらの両方を行うようそれらの大容量記憶装置に動作可能に連結されたりしてよい。コンピュータプログラム指令及びデータを記憶するのに適したデバイスは、一例として半導体メモリデバイスを含む、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊目的の論理回路によって補足されることができ、或いはそれに組み込まれることができる。ユーザとの対話(インタラクション)を提供するために、実施形態は、ディスプレイデバイスと入力デバイスとを有するコンピュータを使用して実施されてよい。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を提供することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、可聴フィードバック、又は触覚フィードバックであることができる。ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む、任意の形態で受け取られることができる。実施形態は、計算システムを含んでよく、計算システムは、(例えば、データサーバのような)バックエンド構成要素を含み、或いはミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)を含み、フロントエンド構成要素(例えば、ユーザがこの明細書に記載される主題の実装と対話することができるグラフィカルユーザインタフェースを有するクライアント構成要素)を含み、或いはそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、又はフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体によって相互接続されることができる。
【0156】
本開示のある態様によれば、溶融処理の方法が、固態形態 (ソリッドステート形態)(solid state form)の原材料を提供するステップと、原材料を先導エネルギビームに曝すことにより、原材料を液化するステップと、液化した原材料で溶解プールを形成するステップであって、溶解プールは、先導領域と、後端領域とを有する、ステップと、溶解プールの後端領域を後端エネルギビームに曝すステップとを含む。
【0157】
本開示の別の態様によれば、溶融処理のためのアルミニウム合金前駆体材料が提供され、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体材料の重量%において、50%以上のAlと、0.40%〜0.80%のSiと、0.15%〜0.40%のCuと、1.0%〜5.0%のMgと、0.04%〜0.35%のCrと、0.05%〜0.15%のTiと、0.0%〜0.7%のFeと、0.0%〜0.15%のMnと、0.0%〜0.005%のZnと、0.001%〜0.05%で存在することがあり且つチタン二ホウ化物の形態でチタンの少なくとも一部と混合されることがあるホウ素のような、少なくとも1つの追加的な結晶粒微細化剤と、1つ又はそれよりも多くの他の不純物の各々について、0.0%から0.05%の1つ又はそれよりも多くの他の不純物であって、1つ又はそれよりも多くの他の不純物の総量が0.0%〜0.10%である、1つ又はそれよりも多くの他の不純物とを含む、化学組成を有する。
【0158】
本開示の別の態様によれば、溶融処理によってアルミニウム合金物品を形成する方法が、固態形態でアルミニウム合金前駆体材料を得るステップであって、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体材料の重量%において、50%以上のAlと、0.40%〜0.80%のSiと、0.15%〜0.40%のCuと、1.2%以上〜5.0%のMgと、0.04%〜0.35%のCrと、0.0%〜0.15%のTiと、0.0%〜0.7%のFeと、0.0%〜0.15%のMnと、0.0%〜0.005%のZnとを含む、化学組成を有する、ステップと、アルミニウム合金前駆体材料を、前駆体材料を加熱して液化するのに十分な少なくとも1つの直接なエネルギ源に曝すステップと、基板上で液化した前駆体材料で溶解プールを形成するステップとを含み、液化した前駆体材料で溶解プールを形成するステップは、少なくとも1つの直接エネルギ源及び/又は基板が進行方向において互いに移動するときに実行される、液化した前駆体材料で溶解プールを形成するステップと、溶解プールを凝固させてアルミニウム合金物品を形成するステップであって、アルミニウム合金物品は、物品を形成するアルミニウム合金物品の重量%において、50%以上のAlと、0.40%〜0.80%のSiと、0.15%〜0.40%のCuと、0.8%〜1.2%のMgと、0.04%〜0.35%のCrと、0.0%〜0.15%のTiと、0.0%〜0.7%のFeと、0.0%〜0.15%のMnと、0.0%〜0.005%のZnとを含む、化学組成を有する、ステップとを含む。
【0159】
本開示の別の態様によれば、溶融処理の方法が、固態形態のアルミニウム合金前駆体材料を得るステップであって、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体材料の重量%において、50%以上のAlと、0.40%〜0.80%のSiと、0.15%〜0.40%のCuと、0.8%〜5.0%のMgと、0.04%〜0.35%のCrと、0.0%〜0.15%のTiと、0.0%〜0.7%のFeと、0.0%〜0.15%のMnと、0.0%〜0.25%のZnとを含む、化学組成を有する、ステップと、アルミニウム合金前駆体材料を先導エネルギビームに曝すことにより、前駆体材料を液化させるステップと、液化した前駆体材料で溶解プールを形成するステップであって、溶解プールは、先導領域と、後端領域とを有する、ステップと、溶解プールの後端領域を後端エネルギビームに曝すステップとを含む。
【0160】
前述の態様のうちの1つ又はそれよりも多くは、単独で又は組み合わせにおいて、以下の追加的な構成のうちの1つ又はそれよりも多くを含んでよい。
【0161】
アルミニウム合金前駆体材料は、少なくとも1つの追加的な結晶粒微細化剤を更に含んでよい。
【0162】
少なくとも1つの追加的な結晶粒微細化剤は、ホウ素、チタン−炭素、ジルコニウム、バナジウム、及びスカンジウムのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0163】
ホウ素は、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、0.001%〜0.05%で存在してよい。
【0164】
ホウ素は、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、0.001%〜0.002%で存在してよい。
【0165】
ホウ素は、二ホウ化チタンの形態においてチタンの少なくとも一部と化合させられてよい。
【0166】
チタン−炭素は、炭化チタン(TiC)を形成してよい。
【0167】
チタンは、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、0.05%〜0.15%、より具体的には、0.10〜0.15%で存在してよい。
【0168】
マグネシウムは、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、1.3%〜5.0%、より具体的には、1.5%〜3.0%、より具体的には、2.0%〜3.0%で存在してよい。
【0169】
アルミニウム合金前駆体材料は、亜鉛を含まなくてよい。
【0170】
アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、1つ又はそれよりも多くの他の不純物のそれぞれについて、0.0%〜0.05%の1つ又はそれよりも多くの他の不純物を含んでよく、1つ又はそれよりも多くの他の不純物の総量は、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、0.0%〜0.10%である。
【0171】
アルミニウムは、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、約91%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、又は99%のような、90〜99%で、より具体的には、約92.2%、92.265%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.359%、又は98.4%のような、約92.2〜約98.4%で存在してよい。
【0172】
幾つかの実施形態において、アルミニウム合金前駆体材料は、アルミニウム合金前駆体材料の重量パーセントにおいて、50%以上のAl、0.40%〜0.80%のSi、0.15%〜0.40%のCu、1.0%〜5.0%、より具体的には、1.2%〜5.0%のMg、0.04%〜0.35%のCr、0.05%〜0.15%のTi、0.001〜%0.05%のホウ素、0.0%〜0.7%のFe、0.0%〜0.15%のMn、0.0%〜0.005%のZn、及び1つ又はそれよりも多くの他の不純物の各々について0.0%〜0.05%の他の不純物であって、1つ又はそれよりも多くの他の不純物の総量が0.0%〜0.10%である、1つ又はそれよりも多くの他の不純物のみで構成される、組成を有してよい。
【0173】
本方法は、供給された前駆体材料と無関係であることがある1つ又はそれよりも多くの材料、例えば、充填剤材料を溶解プールに添加せずに実施されてよい。
【0174】
アルミニウム合金前駆体材料は、ワイヤ又は粉末形態で供給されてよい。
【0175】
少なくとも1つの直接エネルギ源は、アルミニウム合金前駆体材料を約580℃を超えて加熱して前駆体材料を液化させてよい。
【0176】
方法は、凝固させるステップの後に、アルミニウム合金物品を熱処理するステップを更に含んでよい。
【0177】
少なくとも1つの直接エネルギ源は、先導エネルギビームであってよい。
【0178】
前述の1つ又はそれよりも多くに従ったアルミニウム合金前駆体材料は、溶融処理のための原材料と考えられてよい。
【0179】
溶解プールは、先導領域と、後端領域を有してよく、溶解プールの先導領域は、先導エネルギビーム及び/又は基板が進行方向において移動するときに、先導エネルギビームに近接し、溶解プールの後端領域は、先導エネルギビーム及び/又は基板が進行方向において移動するときに、先導領域を辿る。
【0180】
本方法は、溶解プールの後端領域を後端エネルギビームに曝すステップを更に含んでよい。
【0181】
原材料は、金属又は金属合金であってよく、後端エネルギビームに曝される溶解プールの後端領域は、固液相を含んでよい。
【0182】
後端エネルギビームは、溶解プールの後端領域における樹枝状微細構造の形成を妨害するように構成されてよく、且つ/或いは溶解プールが凝固するときの高温割れ及び/又は多孔性を減少させるために、溶解プールの後端領域における液体成分を撹拌し(agitate)、かき回し(stir)、且つ/或いは再分布する(redistribute)ように構成されてよい。
【0183】
溶解プールの後端領域は、液体界面と、固体界面と、液体界面と固体界面との間の移行領域とを含んでもよい。
【0184】
後端エネルギビームは、液体界面、固体界面、又はx−y平面に沿う移行領域の形状に対応するパターンにおいて構成されてよい。
【0185】
後端エネルギビームは、溶解プールの先導領域に向かって開口する凹状パターンにおいて構成されてよい。
【0186】
後端エネルギビームパターンは、進行方向において溶解プールに向かう凹状又は凸状であってよい。
【0187】
後端エネルギビームは、シェブロン形状、アーク形状、三日月形状、又は放物線形状からなる群から選択されるパターンにおいて構成されてよい。
【0188】
後端エネルギビームは、進行方向に対して直交する方向における横方向幅を有してよく、横方向幅は、少なくとも、溶解プールの後端領域の横要項幅と同程度であるか或いはより広い。
【0189】
先導エネルギビームは、後端エネルギビームのパターンとは異なってよいパターンにおいて構成されてよい。
【0190】
先導エネルギビームは、円形リング、楕円形リング、及び同心円状リングからなる群から選択されるパターンにおいて構成されてよい。
【0191】
後端エネルギビームは、それぞれのエネルギビームが進行方向において一緒に移動するときに、一定の距離で先導エネルギビームから離間させられてよい。
【0192】
後端エネルギビームは、後端エネルギビームが後端領域の移行領域内に維持されるように、先導エネルギビームから離間させられてよく、移行領域は、溶解プールの液体界面と固体界面との間にあり、固液相を含む。
【0193】
後端エネルギビームは、溶解プールが凝固するときの高温割れ及び/又は多孔性を減少させるために、溶解プールの後端領域を撹拌するように構成されてよい。
【0194】
後端エネルギビームは、溶解プールの凝固領域で失われた容積を補充するように、溶解プールの後端領域に液体成分を再分配するように構成されてよい。
【0195】
後端エネルギビームは、先導エネルギビームが進行方向において移動するときに、異なる距離で先導エネルギビームから離間させられてよい。
【0196】
後端エネルギビームは、先導エネルギビームにより近いことがある第1の位置と、先導エネルギビームから更に離れることがある第2の位置との間で、溶解プールの後端領域内で前後に移動してよい。
【0197】
後端エネルギビームは、進行方向の経路に沿う第1の場所で第1の距離だけ先導エネルギビームに追従してよく、後端エネルギビームは、進行方向の経路に沿う第2の場所で第2の距離だけ先導エネルギビームに追従してよく、第2の距離は、第1の距離よりも大きく、後端エネルギビームは、第1の距離と第2の距離との間を循環してよく、任意的に、先導エネルギビームが進行方向において移動するときに、1つ又はそれよりも多くの中間距離を循環してよい。
【0198】
後端エネルギビームと先導エネルギビームとの間の距離は、第2の距離に達する前に、第1の中間距離及び第2の中間距離まで漸進的に増加してよい。
【0199】
後端エネルギビームは、第2の距離に到達した後に、循環して第1の距離に戻ってよい。
【0200】
第2の距離は、後端エネルギビームが先導エネルギビームから離間させられてよい最大距離を表してよく、第1の距離は、最大距離の25%であってよく、第1の中間距離は、最大距離の50%であってよく、第2の中間距離は、最大距離の75%であってよい。
【0201】
後端エネルギビームが第2の距離にある後に並びに後端エネルギビームが循環して第1の距離に戻る前に、後端エネルギビームは、先導エネルギビームのみが利用されてよいように非アクティブ化されてよい。
【0202】
後端エネルギビームは、第1の距離から第2の距離に循環し、100サイクル後に第1の距離に戻ってよく、任意的に、それぞれのビームは、400Hzの速度でラスタされて(ラスタ処理されて)(rastered)よい。
【0203】
後端エネルギビームは、それぞれの距離の各々で、同じ量の時間に亘って休止して(dwell)よい。
【0204】
原材料を供給するステップは、原材料を送り領域に送るステップを含んでよい。
【0205】
先導エネルギビーム及び後端エネルギビームは、それぞれ、電子ビーム、レーザビーム、電気アーク、及び/又はプラズマアーク、或いはそれらの組み合わせであってよい。
【0206】
液化した原材料で溶解プールを形成するステップは、液化した原材料を基板上に堆積させるステップを含んでよい。
【0207】
先導エネルギビーム及び後端エネルギビームは、基板に対して進行方向に移動してよい。
【0208】
一次エネルギビーム又は先導エネルギビームは、二次エネルギビーム又は後端エネルギビームとは異なる供給からのものであってよい。
【0209】
先導エネルギビームは、後端エネルギビームと同じ供給源から放射されてよい。
【0210】
光源は、放射エネルギビームを放射してよく、放射エネルギビームは、先導エネルギビームによって定められる先導エネルギビームパターンを含み且つ後端エネルギビームによって定められる後端エネルギビームパターンを含むラスタパターンを通じて並進させられてよい。
【0211】
後端エネルギビームは、先導エネルギビームのパワーレベル、パワー密度、電位(電圧ポテンシャル)、及び/又は電流とは異なる、パワーレベル、パワー密度、電位、及び/又は電流を有してよい。
【0212】
後端エネルギビームは、溶解プールが凝固するときの高温割れを防止するのに十分なパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0213】
後端エネルギビームは、溶解プールの後端領域を撹拌するのに十分なパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0214】
後端エネルギビームは、溶解プールの後端領域に形成された樹枝状微細構造を破壊するのに十分なパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0215】
後端エネルギビームは、凝固溶解物の補充を増加させるのに十分なパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0216】
後端エネルギビームは、凝固成分を再溶解及び再分配するのに十分なパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0217】
後端エネルギビームは、溶解プールの凝固からの凝固材料を応力緩和又は焼きなましするのに十分なパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0218】
後端エネルギビームは、材料を先導エネルギビームによって提供される程度まで必ずしも再加熱又は再溶解しないパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを有してよい。
【0219】
先導エネルギビームと後端エネルギビームとの組み合わされたパワーレベルは、総パワーレベルを表し、総パワーレベルの分布は、先導エネルギビーム(L)と後端エネルギビーム(T)との間で、85:15(L:T)〜99:1(L:T)の範囲内の比によって分割されてよい。
【0220】
全パワーレベルの分布は、先導エネルギビーム(L)と後端エネルギビーム(T)との間で、95:5(L:T)の比によって分割されてよい。
【0221】
先導エネルギビームと後端エネルギビームとの組み合わされたパワーレベルは、総パワーレベルを表し、総パワーレベルは、1kW〜10kWの範囲内にあってよく、より具体的には、2kW〜5kWの範囲内にあってよい。
【0222】
総パワーレベルは、2kW〜3kWの範囲内にあってよい。
【0223】
先導エネルギビームと後端エネルギビームとの組み合わされた電位は、総電位を表すことがあり、総電位は、25kV〜35kVの範囲内にあってよい。
【0225】
先導エネルギビームと後端エネルギビームとの組み合わされた電流は、総電流を表すことがあり、総電流は、80mA〜143mAの範囲内にあってよい。
【0226】
供給源(ソース)は、先導エネルギビーム及び後端エネルギビームを定めるためにラスタパターンを通じて並進させられることがある放射エネルギビームを放射してよく、総パワーレベル、総電位、及び/又は総電流は、放射エネルギビームのパワーレベル、電気、及び/又は電流を表すことがある。
【0227】
エネルギビームを並進させるステップは、先導ビーム及び後端ビームを並進させるステップを含んでよく、ビーム又は複数のビームを偏向させるステップを含んでよく、それは電磁コイルを用いて行われてよく、電磁コイルは実質的に一定のクロック速度及び/又は可変クロック速度で点から点に並進させられてよい。
【0228】
原材料は、金属ワイヤであってよく、原材料を提供するステップは、金属ワイヤを所定のワイヤ送り速度で送り領域に送るステップを含む。
【0229】
ワイヤ送り速度は、毎分30インチ〜毎分55インチの範囲内にあってよい。
【0230】
先導エネルギビームは、毎分15インチ〜毎分20インチの範囲内の進行速度で基板に対して進行方向に移動してよい。
【0231】
溶融プロセスは、真空チャンバ内で行われてよい。
【0232】
原材料は、金属合金の強度を増加させることに寄与する1つ又はそれよりも多くの合金化剤を有する金属合金であってよく、1つ又はそれよりも多くの合金化剤は、それぞれ、処理蒸気圧を有してよく、処理蒸気圧は、処理温度での合金化剤の固有の蒸気圧であってよく、処理温度は、溶解プールの温度であってよく、真空チャンバは、溶融処理中の圧力レベルに設定されてよく、圧力レベルは、溶融処理中の11つ又はそれよりも多くの合金化剤の蒸発を減少させるために500マイクロトル以上であってよい。
【0233】
圧力レベルは、溶融プロセス中の1つ又はそれよりも多くの合金化剤の蒸発を減少させるために1つ又はそれよりも多くの合金化剤の処理蒸気圧以上であってよい。
【0234】
金属合金は、Al6061又はその誘導体であってよく、処理温度は、580℃〜652℃の範囲内にあってよい。
【0235】
真空チャンバの圧力レベルは、マグネシウム及び亜鉛のうちの少なくとも1つの蒸発を減少させるために100マイクロトル以上であってよい。
【0236】
真空チャンバの圧力レベルは、1,000マイクロトル以上であってよく、より具体的には、2,000マイクロトル以上であってよい。
【0237】
真空チャンバの圧力レベルは、500マイクロトル〜3,000マイクロトルの範囲内にあってよく、より具体的には、1,000マイクロトル〜3,000マイクロトルの範囲内にあってよく、より具体的には、2,000マイクロトル〜3,000マイクロトルの範囲内にあってよい。
【0238】
真空チャンバは、不活性ガス、より具体的には、ヘリウムで逆充填されてよい。
【0239】
基板は、液化した前駆体材料を溶解プール堆積物として支持するように構成されてよく、基板は、溶解プール堆積物から熱を引き出すための熱伝達媒体を提供し、冷却板は、パス間温度を所定の温度レベル以下に維持するために、基材と熱連通してよい。
【0240】
パス間温度は、基板と熱連通する冷却板を能動的に冷却することによって、所定の温度レベル以下に維持されてよい。
【0241】
冷却板を能動的に冷却するステップは、冷却板内の流体通路を通じて、冷却流体、具体的には、水を循環させるステップを含む。
【0242】
パス間温度は、65℃以下、より具体的には、27℃以下に維持されてよい。
【0243】
伝熱材料(熱伝導性材料)が、冷却板と基板との間に介装されてよい。
【0244】
伝熱材料は、可撓性及び/又は圧縮性材料、より具体的には、自己接着グラファイト粒子であってよい。
【0245】
溶融プロセスは、更に、溶解プールを凝固させて再凝固層を形成するステップと、再凝固層を応力緩和及び/又は焼きなましするために、再凝固層を後端エネルギビームに曝すステップとを更に含んでよい。
【0246】
溶融プロセスは、少なくとも1つの直接エネルギ源が電気アークであってよいアーク溶接、少なくとも1つの直接エネルギ源が電子ビームであってよく電子ビーム溶接、少なくとも1つの直接エネルギ源がレーザビームであってよいレーザ溶接、又は溶解プールが生成され且つ凝固させられ、凝固したアルミニウム合金物品が溶接される、他の溶接プロセスを含む、溶接プロセスであってよい。
【0247】
溶融プロセスは、直接金属蒸着、レーザ蒸着ワイヤ、レーザ蒸着粉末、レーザ圧密、レーザエンジニアリングネットシェイプ、電子ビーム直接融解を含む、直接エネルギ蒸着、直接金属レーザ焼結、選択レーザ焼結、選択レーザ溶解、電子ビーム溶解を含む、粉末ベッド溶融、又は溶解プールが生成され且つ凝固させられることがある他の添加剤製造プロセスであってよく、本方法は、溶解プールを凝固させて再凝固層を形成するステップと、再凝固層によってアルミニウム合金物品を三次元構造再凝固層として構築するために1つ又はそれよりも多くの場所で繰り返すステップとを更に含んでよい。
【0248】
原材料は、チタン又はチタン合金、ニッケル又はニッケル合金、インコネル、タンタル、タングステン、ニオブ、ステンレス鋼、オーステナイト鋼、及びアルミニウム又はアルミニウム合金からなる群から選択される金属又は金属合金であってよい。
【0249】
溶解プールは、溶解プールに添加される別個の充填剤材料とは無関係に、自己生成的に形成され、凝固させられることがある。
【0250】
本方法は、予め選択された条件からのいずれかの逸脱の発生について、溶解プール、送り領域、及び後端領域のうちの1つ又はそれよりも多くの条件を実質的にリアルタイムにモニタリングするステップを更に含んでよい。
【0251】
モニタリングするステップは、散乱又は反射からのような、先導エネルギビーム又は後端エネルギビームからのフィードバック情報を使用してよい。
【0252】
モニタリングするステップは、リアルタイムのモニタリング及びコントローラへのフィードバックのために撮像システムを使用してよく、且つ/或いはパス間温度をモニタリングし、コントローラに情報をフィードバックして温度を制御するために、原位置温度センサを使用してよい。
【0253】
方法は、電子ビーム銃のようなエネルギビームの供給源と電気的に信号伝達通信する少なくとも1つの制御デバイスによって実行されることがある、先導エネルギビーム又は後端エネルギビームの1つ又はそれよりも多くのエネルギビームのパワーレベル、パワー密度、及び/又はビームパターンを変更することのような、モニタリングするステップから得られる情報に基づいて、任意的に、モニタリング中に、散乱の検出後に少なくとも1つの制御デバイスに送信される、散乱の特性を示す、検出信号に基づいて、処理条件を自動的に変更することを更に含んでよく、そのような比較に基づいて、制御デバイスは、制御信号をエネルギビーム生成デバイスに発する。
【0254】
本開示の別の態様によれば、先行する構成のいずれかに従って方法ステップを実行するように構成されるコンピュータプログラム、特に、先行する構成のいずれかに従って方法ステップを実行するように構成されるプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供されてよい。
【0255】
本開示の別の態様によれば、先行する請求項のいずれかに従った溶融処理プロセスによって作成される物品が提供されてよく、より具体的には、物品は、航空機構成要素、ロケット構成要素、船舶用構成要素、宇宙船構成要素、自動車構成要素、タービン構成要素、レーダ構成要素であってよい。
【0256】
本開示の別の態様によれば、任意の先行する請求項に従ったステップを実行する溶融処理装置が提供されてよい。
【0257】
本開示の別の態様によれば、任意の先行する請求項に従ったステップによって製造される製造物品が提供されてよい。
【0258】
本明細書において使用するとき、「頂」、「底」、「上方」、「下方」、「左」、「右」、「前」、「後」、「前方」、「後方」などのような用語は、通常の重力基準系ではなく、任意の基準系を指す場合があることが理解されるべきである。
【0259】
本明細書及び請求項に開示する全ての範囲及び比率限界は、任意の方法において組み合わせられてよいことが理解されるべきである。特に断りのない限り、単数への言及は、1つ又はそれよりも多くを含む場合があり、単数形の品目への言及は、複数の品目への言及を含む場合があることが理解されるべきである。
【0260】
本明細書において使用するとき、「約」という用語は、記載する値の最大±10%までの変動、例えば、記載する値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.01%、又は±0.0%の変動によって定められる範囲内にある任意の値、並びにそのような述べられる値の間にある任意の値を指す。
【0261】
「及び/又は」という句は、そのように連結される要素の「一方又は両方」、即ち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離して存在する要素を意味するものと理解されるべきである。明らかに逆のことが示されていない限り、具体的に特定される要素と関連しているか否かに拘わらず、「及び/又は」句によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意的に存在してよい。よって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」のようなオープンエンド言語と共に使用されるとき、1つの実施形態では、(任意的にB以外の要素を含む)BなしのAを指すことができ、別の実施形態では、(任意的にA以外の要素を含む)AなしのBを指すことができ、更に別の実施形態では、(任意的に他の要素を含む)A及びBの両方を指すことができる等である。
【0262】
「又は」という単語は、上記で定義した「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中で品目を区分するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると理解されるべきである、即ち、要素の数又はリストのうちの少なくとも1つを含むが、1つよりも多くを含み、任意的に、追加的にリストされていない品目を含むものと解釈されるべきである。「〜のうちの1つだけ」又は「〜のうちの正確に1つ」のような、逆のことが明確に示される用語のみが、要素の数又はリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指すことがある。一般的に、本明細書において使用するとき、「又は」という用語は、「いずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つだけ」又は「〜のうちの正確に1つ」のような排他性の用語が先行するときにのみ、排他的な代替物(即ち、「一方又は他方、しかしながら、両方ではない」)を示すものとして解釈されるべきである。
【0263】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、「包含する(involving)」などのような移行単語又は句は、オープンエンドである、即ち、含むが限定されないと理解されるべきである。
【0264】
特定の実施形態又は特定の複数の実施形態に関して本発明を示し且つ記載したが、本明細書及び添付の図面を読んで理解した後に、均等な変更及び修正が当業者に生じることは明らかである。特に上述の要素(構成要素、アセンブリ、デバイス、組成物等)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を記述するために使用される(「手段」への言及を含む)用語は、他のことが示されていない限り、本発明の本明細書に例示される説明的な実施形態又は(複数の)説明的な実施形態においてその機能を実行する開示の構造と構造的に均等でないとしても、記載の要素の特定の機能を実行する(即ち、機能的に均等である)任意の要素に対応することが意図されている。加えて、本発明の特定の構成は、幾つかの例示の実施形態のうちの1つ又はそれよりも多くのみに関して上述されたことがあるが、そのような構成は、任意の所与の又は特定の用途に望ましく有利なことがあるように、他の実施形態の1つ又はそれよりも多くの他の構成と組み合わせられてよい。