特許第6968905号(P6968905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968905
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサンゲルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/50 20060101AFI20211108BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20211108BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20211108BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20211108BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20211108BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20211108BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   C08G77/50
   C08L83/04
   C08L83/07
   C08L83/05
   A61K8/89
   A61K8/02
   A61Q19/00
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-563094(P2019-563094)
(86)(22)【出願日】2017年6月12日
(65)【公表番号】特表2020-521014(P2020-521014A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2017064241
(87)【国際公開番号】WO2018228657
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】フランク、サンドマイアー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、ショッサー
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−501277(JP,A)
【文献】 特表2015−519426(JP,A)
【文献】 特表2007−532179(JP,A)
【文献】 特開2014−080546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00−77/62
A61K 8/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1a)式:
SiO(Q単位)ならびに
SiO1/2およびRSiO1/2(M単位)、
[式中、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、かつ1つの基当たりに1〜18個の炭素原子を有している一価の、置換されていてもよい炭化水素基であり、
は、Si−H基がヒドロシリル化反応で加えられてもよい一価の炭化水素基であり、
ただし、オルガノポリシロキサン樹脂は、少なくとも2つのR基を有し、かつM単位のQ単位に対するモル比は0.5〜4.0の範囲にあり、オルガノポリシロキサン樹脂は、M単位およびQ単位と同様に、少量のRSiO3/2(T)単位またはRSiO2/2(D)単位を、すべてのシロキサン単位の合計に基づいて、0.01〜20mol重量%の量で含んでいてもよく、かつオルガノポリシロキサン樹脂は、最大で10重量%の遊離Si結合ヒドロキシ基またはアルコキシ基を含んでいてもよいことを条件とする]
の単位からなる不飽和オルガノポリシロキサン樹脂、ならびに場合により、
(1b)極性有機基、およびヒドロシリル化可能な末端基を有する化合物、
(2)異なる平均鎖長を有し、かつ式:
(R3−xSiO1/2)(RSiO2/2(RHSiO2/2(R3−xSiO1/2) (I)
[式中、
は、同一であっても異なっていてもよい、不飽和の、ヘテロ原子で置換されていてもよい、脂肪族、脂環式または芳香族の、多環式でもよい、C〜C18炭化水素基であり、
xは、0または1であり、
aおよびbは、それぞれ≧0の整数であり、
ただし、
a+bの合計は≧30であること、オルガノポリシロキサンは平均して少なくとも2つのSi結合水素原子を含有していること、および2つのオルガノポリシロキサンの長鎖が、短鎖オルガノポリシロキサンの鎖長(a+b)の少なくとも3倍であることを条件とする]
のものである、2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンの混合物
と、
(3)Si結合水素の脂肪族多重結合上への付加を促進する触媒
の存在下で反応させることによる、オルガノポリシロキサンゲルの製造方法であって、
(1a)、場合により(1b)および(2)が、
(4)希釈剤中に分散され、かつ反応が、
(5)触媒毒として使用される停止化合物
の添加によって停止される、方法。
【請求項2】
前記式(I)中でx=0である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)中でa+bの合計が55以上である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用する触媒(3)が、成分(1a)、場合により(1b)および(2)の合計重量にそれぞれの場合に基づいて、元素金属として計算して1〜100重量ppm(百万分の一重量部あたりの一重量部)の量での、金属触媒である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
使用する希釈剤(4)が、2〜50個のシリコン原子を有するポリジメチルシロキサン、4〜30個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式の炭化水素、あるいは2〜30個の炭素原子を有するカルボン酸のエステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
使用する停止化合物(5)が、触媒毒としての役割を果たす官能基を有する化合物であり、かつ使用する停止化合物(5)が、メルカプト基(SH)を有している有機化合物またはメルカプトアルキル基を有しているオルガノポリシロキサンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記停止化合物(5)が、触媒(3)中において、元素金属1モル当りに少なくとも1.1molの停止をもたらす官能基の量で使用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
反応後に得られたオルガノポリシロキサンゲルが、均一化され、保存安定性なオルガノポリシロキサンゲルが得られ、「保存安定性」とは、形成されたオルガノポリシロキサンゲルが、6か月間、室温(20℃)での保存の間に2つ以上の相に分離しないことを意味する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記のこのように得られたオルガノポリシロキサンゲルが、さらなる希釈剤(4)および/またはパーソナルケアまたはヘルスケア用の有効成分で希釈されて、場合により均質化される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により製造されたオルガノポリシロキサンゲルの化粧用組成物における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサンゲルの製造方法および化粧品組成物におけるそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサンゲルは希釈剤の存在下で、以下にSi−H−官能性架橋剤とも呼ばれるSi−H−含有オルガノポリシロキサンで不飽和オルガノポリシロキサン樹脂を架橋することにより製造することができる。
【0003】
架橋は三次元ネットワーク構造の中のポリマー鎖間の接続である。それらは、長鎖の枝と見なすことがあり、非常に多数であるために連続的な不溶性のネットワークまたはゲルが形成される。
【0004】
オルガノポリシロキサンネットワークは、白金により触媒されたヒドロシリル化(hydrosilylation)反応によって頻繁に製造される。これらは、しばしばSi−H−含有オルガノポリシロキサンおよびビニル官能性オルガノポリシロキサンの反応を含んでいる。ここでの三次元ネットワークを形成するための本質的な先行条件は、2つの成分、Si−H−含有オルガノポリシロキサンまたはビニル官能性オルガノポリシロキサンの少なくとも1つが、平均組成において1つの分子当たりに2つより多い官能基を有していることである。
【0005】
白金により触媒されたヒドロシリル化反応は、オルガノポリシロキサンネットワークの形成において、副産物が形成されないこと、および結合部位およびネットワーク構造が密に定義されていることという利点をもたらす。
【0006】
化粧用途においてオルガノポリシロキサンゲルを使用する最も重要な理由は、それにより達成される知覚上の利点、より詳しくは化粧用処方物の肌触りの改善である。さらに、オルガノポリシロキサンゲルは化粧用処方物における増粘剤としての役割を果たす。
【0007】
米国特許第6,423,322B1号では、希釈剤および少量の白金ヒドロシリル化触媒の存在下における熱プロセス(即ち、使用する希釈剤の沸点を下回る温度に加熱することによるプロセス)での、Si−H−含有オルガノポリシロキサンとの特定のビニル官能性MQ樹脂のヒドロシリル化反応によって容易に製造することができるオルガノポリシロキサンゲルを開示されている。そのようなMQ樹脂が関与するヒドロシリル化反応において、所望の最終製品を得るために、それらが高温条件下で処理された場合のみ、許容し得る速度で進行することが一般的な特徴である。ここでは研究所の規模と製造上の規模において可能な加熱速度について明白な差異が存在する。撹拌システムから別のシステムへ変更する場合には、この種の差異は撹拌システムがそれらのサイズ、材料特性または技術的設計によって異なる場合、一般に再発する。そのようなMQ樹脂を含有しているゲルの達成可能な粘度は加熱速度に依存することが見出された。加熱速度が高いほど、所望の組成物および希釈剤中のゲルの固定濃度の達成可能な粘度が高い。フィルム形成ゲル(即ち有効成分)の濃度および粘度の両方は、スキンケア用の化粧用処方物の肌触りに明白な効果がある。
【0008】
米国特許第5,654,362号では、末端Si−H官能性直鎖状ポリオルガノシロキサンおよび/または懸垂Si−H官能性直鎖状ポリオルガノシロキサンとの、アルファ,オメガ−ジエンのヒドロシリル化反応によって得られる化粧用途のためのシリコーンゲルが教示されている。ヒドロシリル化は溶剤中の好適な触媒を使用して行われ、それはそれが自体ポリオルガノシロキサンでもよい。
【0009】
これらのプロセスにおける共通要因は、架橋されたゲル構造がSi−H−含有成分およびビニル官能性成分の使用によって形成されるということである。製造の間および後のどちらもの使用において粘度の製品特性を制御する手段は、したがってそれぞれの原料の選択、およびそれぞれの希釈剤または溶媒の量に制限される。この制限が問題となる時点は、例えば研究所の規模から製造上の規模へ変化させる場合において生じることがあるような、不変の境界条件に遭遇した際である。そのような境界条件は特に有限な加熱速度であるかもしれない。
【0010】
処方化における転換、例えば一つの成分から別の成分への完全な交換、および変更された開始位置での配置の結果、製品特性において非常に本質的な変化をもたらす結果がもたらされることが一般的であり、このため目標製品の規模の増加が解明不可能な問題となる。代わりに、より大規模で同一の性能を有する製品を開発するために相当な努力を伴う試みを行う必要がある。
【0011】
米国特許出願第二012/0202895A1号では、溶媒として25℃で液体であるオイル中での1つ以上のSi−H−含有ポリオルガノシロキサンの、1つ以上の脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサンでのヒドロシリル化によって得られる、化粧用途用のペースト状処方物が教示されている。この場合、使用されているポリオルガノシロキサンは樹脂ではなく、専ら直鎖状のポリオルガノシロキサンである。用途において油っぽい、ベタベタした肌触りが生じないために、Si−H−含有の不飽和直鎖状のポリオルガノシロキサンのグループから使用されるポリオルガノシロキサンの少なくとも2つは、30個以上の繰り返し単位の鎖長を有していなければならない。このように得られたポリオルガノシロキサンペーストの粘度は、使用されるSi−H−含有ポリオルガノシロキサンの鎖長に関係なく、すべての例において同一である(即ち、同様にSi−H−含有ポリオルガノシロキサンのうちの2つが30個以上の鎖長を有しているか否かに関係なく)。したがって、米国特許出願第2012/0202895A1号はエラストマーゲルの知覚特性を制御する選択肢を開示しているが、その粘度を制御する方法を開示してはいない。
【0012】
提起された課題は、例えば、規模の増大の場合において、特に、処方物の調整を最低限にしてオルガノポリシロキサンゲルの知覚特性を保持しながら、加熱速度の低減のような変更された境界条件下でのプロセスの移行などにおいて、プロセスの様々な装置への移行を可能にする、オルガノポリシロキサンゲルの粘度を制御する単純な方法を提供することであった。その課題は本発明によって解決される。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、
(1a)式:
SiO(Q単位)ならびに
SiO1/2およびRSiO1/2(M単位)、
[式中、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、かつ1つの基当たりに1〜18個の炭素原子を有している一価の、置換されていてもよい炭化水素基であり、
は、Si−H基がヒドロシリル化反応で加えられてもよい一価の炭化水素基であって、好ましくは末端脂肪族C−C多重結合を有し、かつ2〜18個の炭素原子を有している一価の炭化水素基、より好ましくは2〜12個の炭素原子を有しているω−アルケニル基、特にビニル基であり、
ただし、オルガノポリシロキサン樹脂は、少なくとも2つのR基、好ましくは少なくとも3つのR基を有し、かつM単位のQ単位に対するモル比は0.5〜4.0の範囲、好ましくは0.5〜2.0の範囲にあり、オルガノポリシロキサン樹脂は、M単位およびQ単位と同様に、少量のRSiO3/2(T)単位またはRSiO2/2(D)単位を、すべてのシロキサン単位の合計に基づいて、好ましくは0.01〜20mol重量%の量で含んでいてもよく、かつオルガノポリシロキサン樹脂は、最大で10重量%の遊離Si結合ヒドロキシ基またはアルコキシ基を含んでいてもよいことを条件とする]
の単位からなる不飽和オルガノポリシロキサン樹脂、ならびに場合により、
(1b)極性有機基、好ましくはオリゴ糖基もしくは多糖基などのグリコシド基、ポリオキシエチレン基もしくはポリオキシプロピレン基などのポリオキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミド基、もしくはカルボキシ基、およびヒドロシリル化可能な末端基、を、
(2)異なる平均鎖長を有し、かつ式:
(R3−xSiO1/2)(RSiO2/2(RHSiO2/2(R3−xSiO1/2) (I)
[式中、
は、同一であっても異なっていて、かつ不飽和の、ヘテロ原子で置換されていてもよい、脂肪族、脂環式または芳香族の、多環式でもよい、C〜C18炭化水素基であり、
xは、0または1であり、
aおよびbは、それぞれ≧0の整数であり、
ただし、
a+bの合計は≧30であること、オルガノポリシロキサンは平均して少なくとも2つのSi結合水素原子、好ましくは少なくとも3つのSi結合水素原子を含有していること、および2つのオルガノポリシロキサンの長鎖が、短鎖オルガノポリシロキサンの鎖長(a+b)の少なくとも3倍であることを条件とする]
のものである、2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンの混合物
と、
(3)Si結合水素の脂肪族多重結合上への付加を促進する触媒
の存在下で反応させることによる、オルガノポリシロキサンゲルの製造方法であって、
(1a)、場合により(1b)および(2)が、
(4)希釈剤、好ましくは2〜200個のシリコン原子、好ましくは2〜50個のシリコン原子を有するオルガノポリシロキサン、または有機希釈剤、または2〜200個のシリコン原子、好ましくは2〜50個のシリコン原子を有するオルガノポリシロキサンと有機希釈剤の混合物、
中に分散され、かつ反応が、
(5)触媒毒として使用される停止化合物
の添加によって停止される、方法を提供する。
【0014】
驚くべきことに、異なる鎖長のSi−H−含有オルガノポリシロキサンの使用が、オルガノポリシロキサンゲルの粘度を制御するための有効な手段の可能性を開くことが見出された。これは米国特許出願第二012/0202895A1号から期待することはできなかったことである。
【0015】
不飽和オルガノポリシロキサン樹脂(1a)は、25℃にて好ましくは0.7mm/sより高い粘度を有している。好ましいのは、25℃にて1000mm/sより高い粘度を有している、固体であるオルガノポリシロキサン樹脂に与えられる。これらのオルガノポリシロキサン樹脂のゲル透過クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に基づいたもの)によって決定された量平均分子量Mは、好ましくは334〜200000g/mol、好ましくは1000〜20000g/molである。
【0016】
不飽和オルガノポリシロキサン樹脂(1a)は好ましくは254未満のヨード価、より好ましくは76未満のヨード価を有している。
【0017】
化合物(Ib)はオルガノポリシロキサンゲル、例えば親水性、水膨潤能(swellability)に特定の特性を付与するために使用することができる。好ましい化合物(Ib)は、オリゴ糖基もしくは多糖基などのグリコシド基、またはポリオキシエチレン基もしくはポリオキシプロピレン基などのポリオキシアルキル基を含有し、およびヒドロシリル化可能な末端基を有するものである。
【0018】
化合物(Ib)は、得られたオルガノポリシロキサンゲルの全重量に基づいて、0.1重量%〜10重量%の重量による割合で存在しているような量で使用することが好ましい。
そのようなゲルは、極性有機物質との改善した親和性を有していて、粘着性のゲル構造を失うことなく、水またはグリセロールなどの非常に親水性が高い液体さえも吸収することができる。
【0019】
本発明の文脈において、Si−H−含有オルガノポリシロキサンについての式(I)は、式(RSiO2/2および(RHSiO2/2の単位がオルガノポリシロキサン分子中にて任意の方法で分布されてもよいことを理解すべきであり、同一の単位のいずれかがブロックで次々に続いてもよいし、あるいは任意に変更を加えて単位に多かれ少なかれランダムな順序があってもよいことを意味する。
【0020】
式(I)のSi−H−含有オルガノポリシロキサンは、0.010重量%〜1.60重量%、好ましくは0.010重量%〜1.30重量%、より好ましくは0.010重量%〜1.25重量%、特に0.010重量%〜0.60重量%の量でSi結合水素を含有していて、異なる長さの2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンのSi結合水素の量は異なっていてもよいが、必ず異なっている必要はない。Si結合水素の量が異なる長さの2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンについて異なる場合、異なる長さの2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンのうちのどちらがSi結合水素をより多い量またはより少ない量で含有しているか選好はない。
【0021】
式(I)中のSi結合水素原子はもっぱら末端シリコン原子、もっぱら連結されたシリコン原子に結合されても、いずれでもよく、あるいは連結されたシリコン原子および末端シリコン原子の両方に結合されてもよい。
【0022】
式(I)において基Rは、ヒドロシリル化反応を妨害するヘテロ原子(窒素原子および硫黄原子など)を除外する。
【0023】
式(I)において、a+bの合計は≧40であることが好ましく;好ましくはa+bの合計は≧55である。
【0024】
好ましくは、(2)における2つのオルガノポリシロキサンの長鎖は、短鎖オルガノポリシロキサンの少なくとも3.1倍の鎖長(a+b)、好ましくは3.2倍の鎖長、特に3.4倍の鎖長を有している。
【0025】
R基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルの基などのアルキル基、n−ヘキシル基などのヘキシル基、n−ヘプチル基などのヘプチル基、n−オクチル基などのオクチル基、および2,2,4−トリメチルペンチル基などのイソオクチル基、n−ノニル基などのノニル基、n−デシル基などのデシル基、n−ドデシル基などのドデシル基、およびn−オクタデシル基などのオクタデシル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびメチルシクロヘキシルの基などのシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルの基などのアリール基;o−,m−,p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基などのアルカリール基;ならびにベンジル基α−およびβ−フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0026】
置換されたR基の例は3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基などのハロアルキル基、ならびにo−,m−およびp−クロロフェニル基などのハロアリール基である。
【0027】
R基の例は、R基に完全に適用可能である。
【0028】
基Rおよび基Rは1〜6個の炭素原子を有している一価のヒドロカルビル基であり、特にメチル基が好ましい。
【0029】
基の例は、ビニル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−プロペニル、アリル、3−ブテニルおよび4−ペンテニルなどのアルケニル基、ならびにエチニル、プロパルギルおよび1−プロピニル基などのアルキニル基である。好ましくは、R基は、アルケニル基、特に好ましくはω−アルケニル基、より詳しくはビニル基である。
【0030】
本発明のオルガノポリシロキサンゲルを調製する方法において、不飽和オルガノポリシロキサン樹脂(1a)および場合により化合物(1b)を、Si−H−含有オルガノポリシロキサン(2)中のSi結合水素1モル当りに、好ましくは4.5〜0.1mol、より好ましくは2〜0.8mol、特に好ましくは1.8〜1.1molの量の脂肪族C−C多重結合を有する炭化水素基の量で使用される。
【0031】
本発明のゲルは優れた肌触りを有する。驚くべきことに、本発明の方法を使用した場合、異なる長さの2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンの混合比の変化によって、オルガノポリシロキサンゲルの粘度の制御が可能であること見出された。これが意味することは、より詳しくは、同一温度および同一の温度レジームを用いて、同一の計量速度を用いてなど、オルガノポリシロキサンゲルネットワークの所与の一定濃度およびオルガノポリシロキサンゲルの合成においての所与のその他の同一の反応条件、即ち所与の同一の手順は、大量のより長いSi−H−含有オルガノポリシロキサンがそれぞれのゲルのより高い粘度をもたらすことである。反応条件が変化した場合、この結果は維持される。後に実施例において示されるように、これは、オルガノポリシロキサンゲルの粘度が加熱速度の低下によって低下する場合、より長い鎖のH−シロキサンをより高い割合で含有しているオルガノポリシロキサンゲルの粘度がより短鎖のH−シロキサンをより高い割合で含有しているオルガノポリシロキサンゲルの粘度よりも依然として高いことを意味する。これはオルガノポリシロキサンゲルおよびその特性を根本的に変更するようなオルガノポリシロキサンネットワークの化学に対してそのような顕著な変化を一切もたらすことなく、粘度に影響を及ぼす反応条件におおいて変化があった場合でも、特定の目標粘度を確立することが可能である、という本発明の目的の基礎となる効果を達成する。実際、オルガノポリシロキサンゲルの使用特性は、異なる長さの2つのHシロキサンの比率を変化させた上で、非常にわずかにしか異ならないため、それらは実行上等価な方法で使用可能であることが見出された。実行特性を比較する前に、粘度自体が確立される肌触りに相当な影響をもたらすために、必要に応じて比較されるオルガノポリシロキサンゲルを希釈剤の添加によって同一の粘度に調節することをここでは常に確保すべきである。したがって、この影響は2つのオルガノポリシロキサンゲルの特性が比較される前に除外しなければならない。
【0032】
これに関連して、オルガノポリシロキサンゲルのそれぞれの固形分が用途特性に影響することも着目されるべきである。ここでの固形分は、希釈剤中のヒドロシリル化反応から得られるオルガノポリシロキサンゲルネットワークの濃度である。原則として、オルガノポリシロキサンゲルの粘度も、ヒドロシリル化反応の化学に一切の変化を加えずに固形分の増加によって増加する場合がある。しかしながら、これもまた用途特性を犠牲にする。本発明の方法が粘度に影響する反応状態の変化の場合(例えば加熱速度)に使用される場合、2つの異なるH−シロキサンの比率を調節することによって目標粘度に到達し、オルガノポリシロキサンゲルの固形分を一定に保つ。
【0033】
これらすべてを可能にするための必須条件は、2つのHシロキサン間の鎖長の差が十分に大きいことである。
【0034】
より長鎖のHシロキサンの鎖長はより短鎖のH−シロキサンの鎖長の少なくとも3倍でなければならないことが見いだされ、この場合より短鎖のH−シロキサンの鎖長は、式(I)中のシロキサン単位a+bを好ましくは40個、特に少なくとも55個である。
【0035】
実証研究の内容においては、例えば、75および225、ならびに140および450の鎖長を有している2つのHシロキサンの組み合わせが特に効果的であることが見出された。
【0036】
式(I)の特に効果的なH−シロキサンは、連結されたSi−H単位bのみを含有し、かつx=0であるもの、即ち式(I’)のものであった:
(RSiO1/2)(RSiO2/2(RHSiO2/2(RSiO1/2) (I’)
[式中、
、a、およびb、上に定義された通りである]。
【0037】
好ましい短鎖H−シロキサンの例は、式(I’)中のR基がメチル基であるもの、およびa:b比が下表1において規定された値を有するものである。
【0038】
【表1】
【0039】
好ましい長鎖H−シロキサン平衡の例は、式(I’)中のR基がメチル基であるもの、およびa:b比が下表2において規定された値を有するものである。
【0040】
【表2】
【0041】
本発明の方法において使用される触媒(3)は、Si結合水素による脂肪族多重結合上の付加を促進させるのに現在まで使用可能とされているものと同一の触媒でもよい。触媒には、白金属のグループからの金属または白金属のグループからの化合物または複合体が好ましい。そのような触媒の例は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、活性炭などの支持体上に存在し得る金属の微細な白金、白金ハロゲン化物などの白金の化合物もしくは複合体、例えばPtCl、HPtCl・6HO、NaPtCl・4HO、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール複合体、白金−アルコキシド複合体、白金−エーテル複合体、白金−アルデヒド複合体、白金−ケトン複合体(HPtCl・6HOおよびシクロヘキサンから形成された反応生成物を含む)、検出可能な無機結合ハロゲン分を有するか否かにかかわらない白金−1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン複合体などの白金−ビニルシロキサン複合体、ビス(γ−ピコリン)−白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタンジエン白金二塩化物、(ジメチルスルホキシド)エチレン白金(II)二塩化物、シクロオクタジエン−白金二塩化物、ノルボルナジエン白金二塩化物、γ−ピコリン白金二塩化物、シクロペンタジエン白金二塩化物、ならびにオレフィンおよび第一級アミンまたは第二級アミンまたは第一級および第二級アミンとの、白金四塩化物の反応生成物、例えば1つのオクテン中に溶解させた白金四塩化物のsec−ブチルアミンまたはアンモニウム−白金複合体との反応生成物などである。好ましいヒドロシリル化触媒は、化粧用処方物で使用するのに好適な溶媒中に存在する白金化合物である。
【0042】
好ましくは触媒(3)は、元素白金としてかつ、成分(1a)、場合により(1b)および(2)の合計重量に基づいて計算して1〜100重量ppm(百万分の一重量部あたりの一重量部)で使用する。
【0043】
過剰な大量の白金触媒がオルガノポリシロキサンゲルの知覚特性に対して悪影響を及ぼすことが見出された。より詳しくは、脆さの特性に悪影響を及ぼす。さらに白金触媒が大量すぎることはゲルに不利な黄色化を促進し、これは絶対に必要な量の薄筋よりも大量の白金の使用がそのような触媒の高いコストに起因する経済点欠点を要するという事実とはかけ離れたことである。したがって、大量の白金を用いても方法は原則的にオルガノポリシロキサンゲルをもたらすが、成分(1a)、場合により(1b)および(2)の全重量に基づいて100ppmより多い元素の白金量は除外されることが好ましい。しかしながら、これらの利益は目的の化粧品の使用分野にとって非常に限定的であるので、必要に応じてそれらの本発明の範囲への包含は好ましくない。
【0044】
より詳しくは、室温(即ち、外部供給熱の使用がない20℃〜30℃)でさえも進行するヒドロシリル化のために必要な白金触媒の量よりも熱を利用して進行するヒドロシリル化反応のために大量の白金触媒が必要であることが見出された。熱を利用したヒドロシリル化については、10〜90重量ppm、特に15〜80重量ppm、および特に20〜75重量ppmの白金量が有利であることが見出された。「寒い」条件下(即ち室温にて、かつ反応の発熱の発生を介してのみそれ自体で温まること)でさえも進行する反応には 1〜60重量ppm、特に2〜55重量ppm、特に3〜50重量ppmの白金量が有利かつ十分であることが見出された。
【0045】
本発明のオルガノポリシロキサンゲルは、オルガノポリシロキサンゲルの全重量に基づいて、好ましくは1重量%〜98重量%の希釈剤、好ましくは50重量%〜95重量%の希釈剤を含有している。
【0046】
未反応または比較的未反応の希釈剤が好ましい。本発明の文脈において、「未反応(unreacted)」という用語は問題としている架橋反応、およびそこに使用される反応物に関して使用される。比較的未反応の希釈剤は、架橋反応の反応物に対して、架橋反応における反応物の互いに対する反応よりも10分の1未満少なく反応するものである。
【0047】
希釈剤の好適な例には環式および直鎖状のオルガノポリシロキサン、有機希釈剤またはオルガノポリシロキサンおよび有機希釈剤の混合が挙げられる。
【0048】
希釈剤として使用されるオルガノポリシロキサンは単一のオルガノポリシロキサンまたはオルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。オルガノポリシロキサンはアルキル、アリール、アルカリールおよびアラルキル基を持っていてもよい。そのようなオルガノポリシロキサンとしては、例としてポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンおよびポリジフェニルシロキサンを規定してもよいが、これらに限定されない。
【0049】
別の可能性としては、希釈剤としての官能性オルガノポリシロキサン、例えばアクリルアミド官能性シロキサン流体、アクリロイル-官能性シロキサン流体、アミド−官能性シロキサン流体、アミノ−官能性シロキサン流体、カルビノール−官能性シロキサン流体、カルボキシ−官能性シロキサン流体、クロロアルキル−官能性シロキサン流体、エポキシ−官能性シロキサン流体、グリコール−官能性シロキサン流体、ケタール−官能性シロキサン流体、メルカプト−官能性シロキサン流体、メチルエステル−官能性シロキサン流体、パーフルオロ−官能性シロキサン流体、およびシラノール−官能性シロキサン流体である。
【0050】
希釈剤としての環式ポリジメチルシロキサンは例示として、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサンであってもよく、これらに限定されない。
【0051】
好ましくは、希釈剤として使用されるオルガノポリシロキサンは2〜200個、好ましくは2〜50個のシリコン原子を有するポリジメチルシロキサンであり、特に25℃で1.5〜50mm/sの粘度を有している直鎖状ポリジメチルシロキサンがとりわけ好ましい。
【0052】
使用する有機希釈剤は、芳香族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化芳香族であってもよい。代表的な例は、メタノール、エタノール、i−プロパノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2−オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールなどのアルコール;ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、ペンキ・ベンジンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、四塩化炭素、パークロロエチレン、塩化エチルおよびクロロベンゼンなどのハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセト酢酸エチル、酢酸アミル、イソブチル酸イソブチル、酢酸ベンジル、パルミチン酸イソプロピルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの 2〜30個の炭素原子を有するカルボン酸のエステル;エーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、メチルアミルケトンおよびジイソブチルケトンなどのケトン;ポリ不飽和ω−3−およびω−6−脂肪酸を含む脂肪油およびそれらのエステル;ピーナッツ、オリーブ、ヤシ、キャノーラ、トウモロコシ核、大豆およびヒマワリの油などの植物油;ならびに様々なモノ−、ジ−およびトリグリセリド、ポリアルコキシル化野菜油、ラノリン、レシチンなどの天然油および合成油または油溶性の固体;ならびにワセリン、鉱油、ベンジン、石油エーテルなどの鉱油炭化水素である。これらの例は実例としての役割を果たすものであり、制限と見なすべきでない。
【0053】
アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、酸化プロピレン、リン酸トリオクチル、ブチロラクトン、フルフラール、パイン油、テレビン油およびm−クレゾールなどの他の混合有機希釈剤も同様に使用してもよい。
【0054】
また好適な有機希釈剤は、ハッカ油、スペアミント油、メントール、バニラ、桂皮油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、杉油、ナツメグ油、セージ油、カッシア油、ココア、甘草汁、高果糖含有量を有するトウモロコシからのスターチ糖シロップ、レモン、オレンジ、ライムおよびグレープフルーツなどの柑橘類油、リンゴ、洋ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップルおよびアプリコットなどの果実エッセンスなどの揮発性調味物質;ならびに、桂皮酸エチルのように、桂皮アルデヒド、ギ酸オイゲニル、p−メチルアニソール、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、シトラール、ネラール、デカナール、バニリン、トリルアルデヒド、2,6−ジメチルオクタナールおよび2−エチルブチルアルデヒドなどのアルデヒドおよびエステルを含む、他の有用な調味物質。
【0055】
有機希釈剤の部分または全体は、1つ以上の天然生成物および芳香油などの揮発性香料を含んでいてもよい。いくつかの代表的な天然生成物および芳香油は、琥珀、安息香、ジャコウネコ、クローブ、杉油、ジャスミン、マテ、ミモザ、ムスク、ミルラ、アイリス、ビャクダン油およびベチベル油; サリチル酸アミル、アミルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、シトロネロール、クマリン、ゲラニオール、酢酸イソボルニル、アンブレットおよび酢酸テルピニルなどの香料薬品;ならびにフラワーブーケ系、オリエンタル系、シプレー系、ウッド系、柑橘系、カヌー系、レザー系、スパイス系およびハーブ系などの様々な古典的な香水油類である。
【0056】
また有機希釈剤は、4〜30個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式の炭化水素、好ましくは飽和炭化水素を含有していてもよい。脂肪族炭化水素は直鎖状でも分岐状でもよく、かつ脂環式の炭化水素は非置換環式炭化水素または脂肪族ヒドロカルビルで置換された炭化水素であってもよい。好適な炭化水素の例は、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、イソデカン、n−ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ノニルシクロヘキサンなどである。この羅列は十分に説明の役割を果たすものであり、制約と見なすべきではない。
【0057】
さらに好適な有機希釈剤は、低分子量のグリコールのビス(アルキル)エーテルなどの油様ポリエーテル(oil-like polyether)、ならびに液体のオリゴマーおよびポリマーのポリオキシアルキレングリコール、ならびにそれらのアルキルモノ−およびジエーテルならびにモノ−およびジアルキルエステルであるが、それらの使用は好ましくない。好ましくは、ポリオキシアルキレングリコールの主要な部分(>50mol%)は、2つより多い炭素原子を有しているアルキレンオキシド(即ち酸化プロピレン、1,2−および2,3−酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、オキセタン、酸化シクロヘキセンなど)の主要な部分(>50mol重量%)から製造される。
【0058】
好ましい有機希釈剤は、0.5〜200mm/s(25℃)の範囲内に粘度を有し、50℃〜300℃の範囲内に沸点を有している希釈剤が特に好ましい。
【0059】
本発明のオルガノポリシロキサンゲルの製造後に相分離が発生しない場合に、それらの成分のみに限定された希釈剤の多数の混合物を使用することも可能である。
【0060】
ゲルの製造の実施は簡単である。一般に、触媒以外の成分をすべて一種のワンポットプロセスで添加し、紛体であるかもしれない不飽和オルガノポリシロキサン樹脂が溶解するまで混合物を徐々に撹拌し、次に連続的に撹拌している間に触媒を添加する。ゲルが発生するまで成分を室温に放置してもよいし、加熱してもよい。
好ましくは、混合物がゲル化または固化するまで、組成物を温度50℃〜130℃の間、好ましくは70℃〜120℃の間に加熱する。ゲル化は、10時間以内、好ましくは3時間以内に進行する。
【0061】
反応は、停止化合物(5)として好ましくはヒドロシリル化触媒毒を添加することによって反応時間の終わりに停止し、それは、シリコンエラストマー中に生じる残留している架橋ヒドロシリル化反応により引き起こされるさらなる硬化を終了させる。ここで使用される停止剤はヒドロシリル化触媒を不可逆的に変更してそれ故に非活性化する触媒毒である。
停止化合物(5)は、好ましくは停止を引き起こす官能基、好ましくはメルカプト基、を、触媒(3)中の1モルの元素白金当たりに少なくとも1.1molの量で使用する。
ここで停止剤を明確に超化学量論の量で使用することは特に有利であることが見いだされ、その理由としてはそれが完成したゲルのクリーミーさを長期的に保持することに肯定的な効果を持つためである。
【0062】
さらなる硬化を終了させるのに好適な停止化合物(5)の例は、メルカプト基を有する有機化合物などのオルガノ硫黄化合物である。さらに好適な化合物は米国特許第6,200,581号で言及されている。停止剤(5)として好ましいヒドロシリル化触媒毒は、メルカプトアルキルキを有するオルガノポリシロキサンであり、特に好ましいのはメルカプトプロピル−官能性シルセスキシロキサン(mercaptopropyl-functional silsesquisiloxanes)またはメルカプトプロピル−官能性ポリオルガノシロキサンなどの3−メルカプトプロピル基を有しているオルガノポリシロキサンである。
【0063】
停止剤(5)として使用される、メルカプトアルキル基を有するオルガノポリシロキサンは、触媒(3)中の1モルの元素白金の当たりに、好ましくは200〜1.1mol、より好ましくは50〜1.5mol、特に好ましくは20〜2.0molのメルカプト基として使用される。
【0064】
本発明の方法は、化粧用処方物で使用するのに好適なオルガノポリシロキサンゲルを提供する。
【0065】
また二成分工程で方法を実行することも可能であり、その場合には、異なる長さの2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンのうちの1つ目でのヒドロシリル化が本質的に第一成分の工程において行われ、かつ第二のSi−H−含有オルガノポリシロキサンでのヒドロシリル化が第二成分の工程において行われる。原則として、短鎖または長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンがヒドロシリル化に最初に使用されるかどうかは重要ではないものの、第一の成分工程において短鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンを用いて、および第二の成分工程において長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンを用いてヒドロシリル化が達成されることが好ましい。短鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンがより低い粘度の前駆体をもたらすため、好ましい手順では第二成分の工程において第二のSi−H−含有オルガノポリシロキサンを均質的に分散させるほうが容易である。
【0066】
成分工程におけるプロセスでの手順は、すべての反応物の全部分を開始から使用しない点でワンポットプロセスでの手順とは異なる。第一に、Si−H−含有オルガノポリシロキサンを最初に使用し、好ましくは短鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンを不飽和オルガノポリシロキサン樹脂(1a)および希釈剤(4)の全量と混合する。紛体の不飽和オルガノポリシロキサン樹脂を使用した場合、それは希釈剤中に前もって溶解するか、または紛体状で反応混合物中に添加して樹脂が完全に溶解するまで分散させる。
続けて触媒を連続的に撹拌しながら添加する。この場合、反応に必要な触媒を全量添加しても、または単にその一部分を添加することが可能である。混合物がゲル化または固化するまで、温度を50℃〜130℃の間、好ましくは70℃〜120℃の間に加熱することが好ましい。ゲル化は好ましくは10時間以内、好ましくは3時間以内に行われる。
その後、ゲル製造の第二成分の工程において第二のSi−H−含有オルガノポリシロキサン、好ましくは長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンを撹拌しながら添加する。いまだに触媒を全量加えていない場合、必要な触媒の量の残りを添加して、混合物がゲル化または固化するまで撹拌を継続する。ゲル化は好ましくは10時間以内、好ましくは3時間以内に行われる。反応は既に上で記述しているように停止剤を添加することにより反応時間の終わりに停止する。化粧用処方物で使用するのに好適なオルガノポリシロキサンゲルが得られる。
【0067】
場合により、選択するプロセスに従い第一に得られたオルガノポリシロキサンをベースとするゲルは、第二または第三の任意のプロセス工程において希釈することができる。
【0068】
これは先行技術による高せん断混合技術を使用して行われる。
【0069】
希釈は好適な撹拌機または回転固定子攪拌装置、コロイドミル、高圧均一装置、マイクロチャンネル、薄膜、ジェットノズルなどを用いて集中的に混合しかつ分散させることによってか、あるいは超音波を用いて達成することができる。これには先行技術による均質化装置および方法を使用することが含まれる。均質化装置および方法は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、CD-ROM版2003、Wiley-VCH Verlagにおいて、「Emulsions」という題名の下に記載されている。
【0070】
オルガノポリシロキサンをベースとするゲルを希釈する任意の工程において、異なるゲルを、それらの濃度およびそれらのプロファイルの点から広範囲内に異なるものを多数製造することが可能である。ここでは第一プロセス工程または最初の2つのプロセス工程において使用されたものと同一の希釈剤を使用することも、またはそれとは異なる第二の希釈剤を使用することも可能である。あるいは、本明細書における上記の希釈剤、および/またはパーソナルケアもしくはヘルスケア用の有効成分との任意の所望の混合物、あるいはパーソナルケアもしくはヘルスケア用の有効成分と1つ以上の本明細書に記載の希釈剤との混合物を使用することも可能であるが、相分離が生じないことが条件である。
【0071】
本文脈において、「パーソナルケアまたはヘルスケア用の有効成分」とは、パーソナルケア処方物における添加剤として専門分野で知られていて、かつ化粧上および/または審美上の利益を達成するため、典型的には毛髪または皮膚を処理するために添加される任意の化合物または化合物の混合物;医薬上または医療上の利益を達成するための専門分野で知られている任意の化合物または化合物の混合物;任意の化合物であって、それを用いることで薬理学上の効能または疾病の診断、治療、緩和、治療もしくは予防における他の効果がもたらされる化合物、あるいはヒトもしくは動物の身体の任意の構造または機能に影響を及ぼすための化合物;ならびに規定された効能または規定された効果を引き起こすために、医薬品の製造において化学的変化に耐えることができ、かつ医薬品中に変性した形態で存在し得る任意の化合物を意味する。
【0072】
パーソナルケアまたはヘルスケア用の有効成分は、好ましくは脂肪溶性または油溶性のビタミン、油溶性の医薬品の群から選択されたもの、抗ニキビ薬、抗菌薬、殺菌剤、炎症抑制剤、ふけ制御薬、麻酔薬、掻痒緩和薬、皮膚炎抑制剤および通常バリアフィルムとしてみなされる薬品、および油溶性UV吸収剤である。
【0073】
本発明に従った任意の第三のプロセス工程で使用する有用な有効成分の例は、以下のとおりである。
【0074】
油溶性のビタミンの例としては限定することなく、ビタミンA、レチノール、レチノールのC〜Cl8エステルへ、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステルおよびそれらの混合物が挙げられる。レチノールとしてはトランス−レチノール、13−シス−レチノール、11−シス−レチノール、9−シス−レチノール、および3,4−ジデヒドロ−レチノールが挙げられる。油溶性ビタミンは、0.01〜50重量パーセントの量で本発明による組成物中に使用されてもよい。
【0075】
レチノールは国際化粧品機構(CTFA)(ワシントンDC)により付与された、ビタミンAの化粧品原料国際命名の名称(INCI)であることに注意すべきである。本明細書に含まれる他の好適なビタミン、および問題となっているビタミンのINCI名は、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、α−トコフェロール、トコフェルソラン、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、コハク酸トコフェリルである。
【0076】
本明細書において使用に好適な市販の製品のいくつかの例は、スイス、ブーフ、Fluka Chemie AGのビタミンA酢酸エステル;イリノイ、ラ・グレーンジ、Henkel Corporation のビタミンE製品、CIOVI−OX T−50;イリノイ、ラ・グレーンジ、Henkel Corporation の別のビタミンE製品、COVI−OX T−70およびニュージャージー、ナトリー、Roche Vitamins & Fine Chemicalsの製品、ビタミンE酢酸エステルである。
【0077】
有効成分として添加することができる好適な油溶性医薬品のいくつかの代表的な例はクロニジン、スコポラミン、プロプラノロール、エストラジオール、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、ウアバイン、アトロピン、ハロペリドール、イソソルビド、ニトログリセリン、イブプロフェン、ユビキノン、インドメタシン、プロスタグランジン、ナプロキセン、サルブタモール、グアナベンズ、ラベタロール、フェニラミン、メトリホネートおよびステロイドである。
【0078】
同様に本明細書において本発明の目的のために薬剤として包含されたものとしては、過酸化ベンゾイル、トリクロサンおよびトレチノインなどの抗ニキビ薬;グルコン酸クロルヘキシジンなどの抗菌剤;硝酸ミコナゾールなどの殺菌剤;サリチル酸などの炎症抑制剤;コルチコステロイド薬;ジクロフェナクなどの非ステロイド性炎症抑制剤;プロピオン酸クロベタゾールおよびレチノイドなどのふけ制御薬、リドカインなどの麻酔薬;ポリドカノールなどの掻把緩和薬;プレドニゾロンなどの皮膚炎症抑制剤、ならびに一般にバリアフィルムと見なされる薬剤である。
【0079】
有効成分として添加することが可能な油溶性UV吸収剤の代表的な例としては1−(4−メトキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパン−1,3−ジオン(INCI:ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、2−エチルヘキシル(2E)−3−(4−メトキシフェニル)プロプ−2−エノエート(INCI:メトキシケイ皮酸オクチル)、4−ヒドロキシ−2−メトキシ−5−(オキソフェニルメチル)ベンゼンスルホン酸(INCI:ベンゾフェノン−4)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム塩(INCI:ベンゾフェノン−5)および2−エチルヘキシル2−ヒドロキシベンゾエート(INCI: サリチル酸エチルヘキシル)。
【0080】
好ましくは選択されたプロセスに従い、第三または第四のプロセス工程において、第一または第二、または任意の第三のプロセス工程の後に得られた本発明のオルガノポリシロキサンゲルは、濃度がクリーミーになるまで標準の高せん断混合技術を使用して均質化する。目的に好適な技術は上で希釈工程について言及したものと同一である。任意の第三のプロセス工程に追加の希釈剤の量を加えた場合、それは第四のプロセス工程のゲル中で均質に分配される。ゲルは膨張して、その柔軟性が変化する。
【0081】
ゲルに関して「クリーミー(creamy)」であることは濃度がクリーミーになるまで出発ゲルをせん断することができることを意味すると理解するものとする。結果として生じるクリーミーゲルはその性質によれば、注入可能でも注げてもよいし、または比較的堅いかもしれない。「クリーミーな」属性、反応的な成分のゲル化方法によって直接製造されたこれらの刈られたゲル(それらは透明かもしれないか不透明かもしれない)とゲルを区別する。
【0082】
本発明の文脈において「保存安定性(Storage-stable)」とは、形成されたオルガノポリシロキサンゲルが室温で6か月の保存期間内に2つ以上の相に分離しないことを意味すると理解するものとする。この期間内にゲルの柔軟性に変化がないことが好ましい。
【0083】
当業者であれば、オルガノポリシロキサンゲルの三次元ネットワーク構造を理由に希釈剤の吸収能が通常制限されていて、かつネットワーク構造およびネットワーク構成に依存して変化し得ることを理解するだろう。希釈剤の吸収能が超過した場合、ゲル相に加えて希釈剤相の形成が明白である。
【0084】
本発明のオルガノポリシロキサンゲルは化粧用途に特に好ましく好適であるので、好ましくは化粧品組成物中に好ましくは使用される。しかしながら、それらはまた例えば医学および産業用となど他の用途にも好適である。
【0085】
オルガノポリシロキサンゲルは、パーソナルケア製品において特に価値が高い。それらは皮膚上に優しく分布させることができるので、単独で使用することもでき、または複数のパーソナルケア製品を形成するために他のパーソナルケア製品の成分と混合することもできる。
【0086】
パーソナルケア製品の成分の例は、エステル類、ワックス類、動物由来または植物由来の油類および脂肪類、脂肪アルコール類、脂肪酸類、脂肪酸類のアルキルエステル類、炭化水素類および炭化水素ワックス類、水、有機溶媒類、香水類、界面活性剤、油溶性ビタミン類、水溶性ビタミン類、油溶性の薬剤、水溶性薬剤、UV吸収剤および活性医薬化合物である。
【0087】
より詳しくは、本発明のオルガノポリシロキサンゲルはドライな感触を残し、蒸発中に皮膚を冷却しないので、制汗薬およびデオドラント剤に好適である。それらは流動可能であり、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、顔用トリートメント、例えばにきびもしくはしわ除去剤、身体および顔洗浄剤、バスオイル、香水、オーデコロン、サシェ(sachets)、日焼け止め、およびひげ剃り前およびひげ剃り後のローション、液状石鹸、剃毛用石鹸および剃毛用フォームの特性を改善する。それらは艶および乾燥流動を改善し、状態の利益をもたらすためにヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマウェーブ組成物、脱毛剤および表キューティクル除去剤において使用することができる。
【0088】
化粧品においてそれらはメイクアップ化粧品の顔料、色化粧品、ファンデーション、口紅、リップスティック、リップバーム、アイライナー、マスカラ、グリースリムーバー(grease remover)および化粧落としのための分布剤(distributing agent)として機能する。それらは、例示として本明細書に言及された油溶性の有効成分(例えばビタミン、薬剤、UV吸収剤)のための投与系として好適である。それらをスティック、ゲル、ローション、クリーム、ロールオンで使用した場合、エラストマーは乾燥した、絹様の滑らかな感触を付与する。化粧品および他のスキンケア製品に組み入れた場合、エラストマーはマットな効果を付与する。
【0089】
さらにオルガノポリシロキサンゲルは複数の有利な特性(例えば透明性、保存安定性、および製造の単純性)を示す。したがって、それらは特に制汗薬、デオドラント剤、スキンケア製品において、担体として香水においておよびヘアコンディショナーのため、例えばヘアバームまたはヘアマスクコンディショナーにおいて広範囲の用途を有する。
【0090】
オルガノポリシロキサンゲルはパーソナルケア部門外でも使用され、電気ケーブル用の充填材または絶縁材、土質安定化用の土壌または水のバリア剤、または電子産業における成分において使用されるエポキシ材料の代替物としてのその使用も含まれる。同様にそれらは架橋されたシリコーンゴム粒子のための担体としても好適である。これらの用途において、それらは(i)粒子がそのようなシリコーン相または有機相内へ容易に導入することを可能にし(例えば、シーラント、ペイント、コーティング、グリース、接着剤、泡抑制剤および注型用樹脂化合物)かつ(ii)そのような相のレオロジー上、物理上、またはエネルギー吸収上の特性を、純粋な状態または最終状態において提供する。
【0091】
さらにオルガノポリシロキサンゲルは、薬剤、殺生物剤、除草剤、殺虫剤および他の生物活性物質用の担体として作用することができる。
【0092】
さらに、組成物は通常パーソナル衛生用途および家庭用清掃用途において販売されている、保湿クレンジングティッシュ(moist cleansing tissues)、保湿ペーパータオル、および保湿ハンドタオルにおいて使用されている、不織布セルロースをベースとする担体基材または不織布合成担体基材の添加剤として使用される。
【0093】
本発明のオルガノポリシロキサンゲルは、揮発性活性有効物質の遊離雰囲気内へ、それらがそれと一緒に混合された際に、制御されかつ容易に調節された放出を行うための担体として使用することができる。揮発性物質は特に香水または殺虫剤または昆虫を撃退する物質であってもよい。
この使用において本発明のオルガノポリシロキサンゲルは、長持ちする芳香または昆虫斥力を目的として、例えば繊維、布地、および綿または合成繊維から作製した材料、織地、タオル類(ペーパータオル、トイレットペーパーまたはナプキンもしくはキッチンペーパーなどの布巾(wiping paper)、あるいは不織布の変性において広範囲の使用が見出される。
本発明のオルガノポリシロキサンゲルと揮発性活性有機物質の混合物はまた洗濯機および洗濯乾燥機に材料および織物にそのまま直接適用することもでき、かつ洗剤組成物および柔軟剤への添加物としても適用することができる。
【0094】
揮発性活性有機物質の制御されかつ容易に調節された放出を行うための担体としての本発明のオルガノポリシロキサンゲルの使用は、特に上述の化粧用途においての使用に見いだされ、この場合、例えば制御された方法で芳香を放出することによって上記の効果に追加の効果をもたらすことができる。本発明のオルガノポリシロキサンゲルはまた、虫よけ調製物においても使用することができ、それらは殺虫剤または昆虫を斥力する物質を放出する。そのような製品は、例えば皮膚または衣類に直接適用することができる。
【0095】
さらなる適用において、本発明のオルガノポリシロキサンゲルと揮発性活性有機物質の混合物は、例えば生活空間、オフィス、浴室またはバスおよび車などの自動車の中など閉鎖空間における制御された着香または昆虫斥力に使用することができる。
【実施例】
【0096】
以下の例は、本発明をさらに説明し、かつその機能および実際上の使用についての説明をする役割を果たすものである。この点についてそれらは実例のためのものであって制限的なものではないとみなすべきである。
【0097】
例では、以下に記載された試験法によって決定された物理的なパラメーターが記載されている。正確な測定のトレーサビリティについて実施例の本文に詳細な記載がない場合、これ以降の試験法の説明においてそれらは既に記載されている。換言すると、この場合、さらなる詳細は試験法のための本文中に与えられたものであると考慮される。
【0098】
分析法:
オルガノポリシロキサンゲルの粘度はせん断速度1/sおよび25℃にてDIN EN ISO 3219に従い決定された。
【0099】
Si−H−含有架橋剤、オルガノポリシロキサン樹脂、およびポリジメチルシロキサンなどのオルガノポリシロキサンの粘度は、25℃にて直鎖状の範囲においてDIN 53019に従い決定された。
【0100】
ヨード価はWijsによる方法により、DIN 53241−1に従い決定された。
【0101】
量平均分子量Mvを決定するためのゲル透過クロマトグラフィーはISO16014−1およびISO 16014−3に従って実行した。
【0102】
本発明のオルガノポリシロキサンゲルは、化粧品用途においてそれらが製品の皮膚上に分配する性能を改善し、製品に絹様の滑らかな感触を付与するという点で知覚上の利点をもたらす。オルガノポリシロキサンゲルはそれらが知覚試験のために均一の粘度に調節される場合に限り、それらの性能という点から比較可能である。この目的のための特に有利な粘度は、25℃にて75000〜120000mPasの範囲にあることが見出された。したがってオルガノポリシロキサンゲルの良好な製造についての基準はこの粘度範囲(viscosity corridor)を確立する可能性である。これが可能でない場合、他のオルガノポリシロキサンゲルとの比較はない。発明の方法のプロセスの特別の特徴は、方法と無関係に知覚特性の保持を伴って、例えばここでは75000〜120000mPasのように目標粘度の設立を可能にすることである。これは、続く例において実証され、この特性は残りの先行技術からも区別される。
【0103】
以下の例に記載されたオルガノポリシロキサンゲルの知覚特性は、5人の試験官(パネラー)からなる訓練されたグループによって評価された。
【0104】
各場合に製品を0.05gパネラーは清潔にした下腕に20cmの円状域に適用し、オルガノポリシロキサンゲルをその分配性能について互いに対して比較した。その適用は、人差し指または中指を用いて、かつ1秒あたりに2回転で行った。合計30回回転した。60秒間待機した後、オルガノポリシロキサンゲルの残留物のそのシルク様性を互いに対して比較した。
【0105】
ここでの相対的な直接の比較は、同一または少なくとも等価な希釈剤を使用して製造されたオルガノポリシロキサンゲルのみによってもたらされたものである(即ち、より詳しくは揮発性もしくは非揮発性希釈剤を用いて)。異なる希釈剤は適用上、異なる挙動をもたらし、かつ残留物については、各場合に異なる希釈剤を有する製品を互いに別々に評価する必要がある。
【0106】
実施例1(本発明):
2000mLのガラス反応容器に窒素流入口、加熱用マントル、いかり型攪拌機および閉ループ温度制御装置を備えたコンデンサーを取り付けた。反応容器に、25℃にて5mPasの粘度を有している直鎖状トリメチルシリル−末端ポリジメチルシロキサン497gを充填した。
その後、表1からの82gの短鎖のSi−H−含有ポリジメチルシロキサン、第14番(鎖長140)および表2からの20gの長鎖のSi−H−含有ポリジメチルシロキサン、第28番(鎖長450)を添加した。
その後、同様に希釈剤として使用されている同一の、25℃で5mPasの粘度を有している直鎖状トリメチルシリル−末端ポリジメチルシロキサン中のMQ樹脂の50%溶液109.55g(M/MVi/Q=7.6/1/11.4;M=2570、M=5440、ヨード価=18;M=MeSiO1/2、MVi=MeViSiO1/2、Q=SiO4/2、ここでMe=メチル基およびVi=ビニル基)を添加した。最後に、ジビニルテトラ−メチルジシロキサン中、白金1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン複合体の混合物0.7gを、添加した量がMQ樹脂および2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンの質量の合計に基づいて、Pt52ppmに相当するように混合物を調節して添加した。反応容器を閉じ、5分間窒素でパージした。
【0107】
続いて、反応混合物を、45℃/hの加熱速度を使用して、約200rpmの撹拌速度で95℃に加熱した。95℃の内部温度に到達した後、ゲル生成が30分以内に起こった。ゲル生成の完成において、加熱を切り、さらに60分間混合物を撹拌した。
【0108】
その後、3つのメルカプトプロピル基および25℃にて190mPasの粘度を有している5.83gのポリジメチルシロキサン、ならびに0.29重量%のメルカプタン分(SH分)を停止剤として添加した。このように添加したメルカプタンの量は、Si−H−含有オルガノポリシロキサンおよびMQ樹脂の総量に基づいて、108重量ppmに相当するので、使用した白金の量の2倍以上である。
【0109】
さらに、25℃で5mPasの粘度を有している希釈剤として使用されているポリジメチルシロキサン89.68gを添加し、停止剤および追加の希釈剤は、5分間6000rpmでULTRA−TURRAX(商標)T 50を用いて傾斜しながら撹拌した。この操作はさらに2回行い、毎回同一量の希釈剤を用いた。ここでさらなる停止剤は加えなかった。このように、クリーミーな、非常に滑らかな濃度の透明なゲルが得られ、化粧用製品での使用に好適である。
【0110】
固形分、即ちMQ樹脂および2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサン、ならびに停止剤、希釈剤中の触媒のネットワークの合計含有量は、希釈後に16重量%であった。
得られたオルガノポリシロキサンゲルは、25℃にて117000mPasの粘度を有していた。
【0111】
パネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性能を有していた。残留物は豊富として分類され、大部分はほぼシルク様、ビロード様であると分類された。
【0112】
実施例2(本発明):
手順は実施例1に記載のものに一致していたが、相違点は実施例2においては、非揮発性の直鎖状の希釈剤よりもむしろ、揮発性のデカメチルペンタシクロシロキサンが希釈剤として使用されたことである。
16重量%の固形分に希釈した後に、粘度は25℃にて152000mPasであった。
【0113】
パネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性能を有していた。残留物は豊富として分類された、大部分は乾燥していて、シルク様およびビロード様であると分類された。
【0114】
実施例3(本発明):
手順は実施例1に記載のものに本質的には一致していた。実施例1とは対照的に、使用した希釈剤は、25℃で5mPasの粘度を有している、非揮発性のトリメチルシリル末端の直鎖状ポリジメチルシロキサンではなく、25℃で2mPasの粘度を有している、揮発性トリメチルシリル−末端の直鎖状のポリジメチルシロキサンである。反応容器中で最初に充填した希釈剤の量は425.0gであった。
表1からの第14番の短鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサンよりもむしろ、67.75gの表1からの第11番の短鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサン(鎖長75)を計量添加し、表2からの第28番の長鎖のSi−H−含有ポリジメチルシロキサン20.0gを添加した。実施例1中で使用されている同一のMQ樹脂処方物を100.0g添加した。最後に、25℃にて2mPasの粘度を有しているトリメチルシリル−末端ポリジメチルシロキサンで希釈されたジビニルテトラメチルジシロキサン中の白金1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン複合体の混合物3.0gを、添加した量が、MQ樹脂および2つのSi−H−含有ポリジメチルシロキサンの質量の合計に基づいて、Pt26重量ppmに相当するように混合物を調節して添加した。
さらなる手順は実施例1に記載されていた手順に相当する。停止するために、3つのメルカプトプロピル基を有し、かつ25℃にて190mPasの粘度を有するポリシロキサン2.0gおよび、0.29重量%のメルカプタン分(SH分)を停止剤として添加した。このように添加したメルカプタンの量は、ここではSi−H−含有ポリジメチルシロキサンおよびMQ樹脂の総量に基づいて、42重量ppmに相当するので使用された白金の量の1.6倍に相当する。
その後、このベースとなるゲルを第一工程においてさらなる希釈剤を57.75g、第二工程において67.54g、第三工程において104.3g添加することによって希釈した。希釈中の手順は実施例1に記載されている手順と同一の手順に相当する。
【0115】
最終固形分、即ち使用された触媒および停止油状物と共にSi−H−含有ポリジメチルシロキサンおよびMQ樹脂から形成されたネットワークの含有量は16重量%であった。以下の粘度が希釈の間測定された。
最初の希釈前:固形分:22.5重量%:344000mPas
最初の希釈後:固形分:20.5重量%:258000mPas
二回目の希釈後:固形分:18.5重量%:169000mPas
三回目の希釈後:固形分:16重量%:91400mPas
【0116】
パネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性能を有していた。残留物は豊富として分類され、大部分は乾燥していて、シルク様およびビロード様であると分類された。
【0117】
実施例4(本発明、二段階プロセスにて):
本手順は実施例1の手順に相当するが、ここでのヒドロシリル化は二段階で実行されることを例外とする。第一に、短鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサンをそれ自体でヒドロシリル化させ、次に、長鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサンをヒドロシリル化する。ここで使用される溶媒は、実施例1からの5 mPasの粘度を有する非揮発性トリメチルシリル−末端ポリジメチルシロキサンよりむしろデカメチルシクロペンタシロキサンである。さらに、本実施例においては後続の希釈はないものの、開始から希釈剤の総量を添加する必要があった。
【0118】
2000mLのガラス反応容器に窒素流入口、加熱用マントル、いかり型攪拌機および閉ループ温度制御装置を備えたコンデンサーを取り付けた。反応容器に、デカメチルシクロペンタシロキサン446.4gを充填した。
その後、25℃にて5mPasの粘度を有している、非揮発性の直鎖状トリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン中の実施例1に記載されたようなMQ樹脂(M/MVi/Q=7.6/1/11.4、M=2570、M=5440、ヨード価=18)の50重量%溶液を62.5g加え、表1(鎖長140)からの46.8gの短鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサン第14番を加えた。最後に、ジビニルテトラメチルジシロキサン中、白金1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン複合体の混合物0.4gを、添加した量がMQ樹脂および2つのSi−H−含有オルガノポリシロキサンの質量の合計に基づいて、Pt51ppmに相当するように混合物を調節して添加した。ここでは短鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサンのみを最初に添加したが、白金の量は両方のSi−H−含有ポリジメチルシロキサンの量の合計に対して既に計算されていた。反応槽を閉じ、5分間窒素でパージした。
【0119】
続いて、反応混合物を45℃/hの加熱速度を使用して、約200rpmの撹拌速度で95℃に加熱した。95℃の内部温度に到達した後、ゲル生成は30分以内に発生した。ゲル生成が完了した後に95℃の内部温度で1時間撹拌を継続した。
【0120】
その後、表2(鎖長450)からの11.7gの長鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサン第28番を計量添加し、混合物をさらに一時間95℃にて撹拌した。この後ゲル生成が完了した。
【0121】
その後、3−メルカプトプロピル基を有し、かつ25℃にて190 mPasの粘度を有している3.24gのポリシロキサンおよび0.29重量%のメルカプタン分(SH分)を停止剤として添加した。このように添加したメルカプタンの量は、Si−H−含有ポリジメチルシロキサンおよびMQ樹脂の総量に基づいて、104重量ppmに相当するので、使用された白金の量の2倍大きかった。
【0122】
得られたゲルは、16重量%の固形分を有していて、25℃にて98000mPasの粘度を有していた。
【0123】
パネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性能を有していた。残留物は豊富として分類され、大部分は、シルク様およびビロード様であると分類された。
【0124】
比較例1
(本発明外、短鎖Si−H−含有オルガノポリシロキサンのみ、高加熱速度):
本手順は実施例1に記載の手順に本質的に相当する。
実施例1とは対照的に、表1からの短鎖Si−H−含有ポリジメチルシロキサン第14番(鎖長140、a:b=50:1)であるSi−H−含有ポリジメチルシロキサンのみを使用した。それを102.4g使用した。
この実施例においては加熱速度を90℃/hに設定した。そのような高い加熱速度はこの規模の研究所では達成することが簡単であるが、産業的には、高圧蒸気で作動させた場合であっても、1m以上のサイズではもはや不可能である。さらに顕著な局所的過熱の危険性があり、これはこれらの場所でゲルが乾ききってしまい、ゲルの知覚特性を破壊する不可逆的な粒子形成につながる危険性がある。
ゲルは16重量%の固形分で、25℃にて108000mPasの粘度で得られた。
【0125】
パネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性能を有していた。残留物は豊富として分類され、大部分は乾燥していて、シルク様およびビロード様であると分類された。
【0126】
比較例2
(本発明外、比較例1と類似であるが、より低い加熱速度を使用):
本手順は実施例1に記載の手順に本質的に相当するが、ここでは加熱が45℃/hの加熱速度であった。製品は、ゲルの濃度に到達しなかったが、自由に流動したままであり、その特性はどちらかというと油状物の特性に相当していた。それを試験する試みにおいて、皮膚上に手で分配する前にそれが自発的に流動した。
比較例1とは対照的にそれが残したものはマットでも、シルク様のフィルムでもなく、むしろ油状の光沢のある層であって、これにはどのパネラーもシルク様と評価しなかった。
【0127】
これは好適な濃度を有さず、かつ好適な知覚特性を持たないために化粧用製品の使用に適していない。
【0128】
比較例1によるその組成物中でのプロセスは、その所与の組成物における加熱速度への感度に起因して、研究所規模(高い加熱速度を使用)から1m以上の製造規模(より低い加熱速度を使用)へ増加させることができないことである。
【0129】
比較例3
(本発明外、比較例2に類似、低い加熱速度だがより長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンを使用):
本手順は使用したSi−H−含有オルガノポリシロキサンが、短鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンではなく、表2からの長鎖のSi−H−含有ポリジメチルシロキサン第28番(鎖長450、a:b=50:1)であったこと以外は、比較例2に記載の手順に相当していた。この1つのSi−H−含有ポリジメチルシロキサンのみを使用していた。
【0130】
16重量%の固形分にて、25℃で205000mPasの粘度を有していて、かつ14重量%の固形分にて、25℃で122000mPasの粘度を有している、エラストマーゲルが得られた。
比較例1とは対照的に、所望の16重量%の固形分で、非常に高い粘度が得られた。固形分が14重量%に減少した場合、その時にはじめて比較例1の粘度に匹敵する粘度が得られた。しかし両方の要因である、固形分および粘度がゲルの知覚特性に影響する。
【0131】
122000mPasに調節されたゲルのパネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性を有している。残留物は豊富であり、かつシルク様、油状であると分類された。
【0132】
得られたゲルは、化粧用製品の製造に適していて、対応する比較例1からのゲルよりも良好な知覚区別能(sensory distinguishability) を有していた。直接の比較では、5人のパネラーのうちの4人のパネラーがこのゲルよりも比較例1のゲルを好んだ。
その後、そのテストは、それらが再び同じゲルを互いと比較していたと彼らに伝えずに、同じパネラーと繰り返された。反復では、5人のパネラーのうちの5人のパネラーが、このゲルに関する比較例1からのゲルを好んだ。
低い加熱速度の高い加熱速度の研究所規模から製造規模までのトランスファーでは、長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンによる短鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンの置換においては、比較可能な知覚の特性があるオルガノポリシロキサンゲルを得ることは可能ではない。
【0133】
実施例5
(本発明、オルガノポリシロキサンゲルの同一の特性を保持しつつも変更した加熱速度に対してSi−H−含有オルガノポリシロキサンの量を調節)
本手順は例1に記載の手順に相当していた。実施例1とは対照的に、加熱速度は45℃/hではなく90℃/hであり、即ち2倍高い加熱速度が使用された。
実施例1とは対照的に、今回は次の量のSi−H含有ポリジメチルシロキサンを使用した:
表1からの92gのSi−H含有ポリジメチルシロキサン第14番(鎖長140)および表2からの10gのSi−H含有ポリジメチルシロキサン第28番(鎖長450、a:b=50:1)。
これ以外は、実験の手順は、実施例1に記載された手順に正確に相当していた。その結果、121000mPasの粘度を有するオルガノポリシロキサンゲルが16重量%の固形分で得られた。
【0134】
パネラーによる評価によれば、得られたオルガノポリシロキサンゲルは非常に良好な分配性能を有していた。残留物は豊富として分類され、大部分はシルク様およびビロード様であると分類された。
【0135】
直接の比較試験においては、5人のパネラーのうちの3人のパネラーが、この実施例5からのゲルよりも実施例1からのゲルを好んだ。同一のパネラーで、彼らに同一のゲル同士を比較していることを告げずに比較試験を繰り返した。繰り返す中で、5人のパネラーのうちの2人のパネラーが、この実施例5からのゲルよりも実施例1からのゲルを好み、かつ繰り返した試験において実施例1からのゲルを好んだ2人のパネラーのうちの1人だけが最初の試験においてこの結果に帰着した。したがって、それらの知覚特性に基づいては、実施例1および実施例5からの2つのゲルには確固たる区別がなかった。
【0136】
これは、2つのゲルが事実上等しい特性を有し、かつ2種類のSi−H−含有オルガノポリシロキサンである、短鎖および長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンの本発明の使用が、加熱速度の変化など変更された境界条件への調節を可能にしつつも、オルガノポリシロキサンゲルの所望の特性が保持されることを意味し、これは単に1種類のSi−H−含有オルガノポリシロキサン、つまり短鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンのみ、または長鎖のSi−H−含有オルガノポリシロキサンのみを使用した場合には可能でないだろう。