特許第6968911号(P6968911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968911
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/36 20170101AFI20211108BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20211108BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20211108BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20211108BHJP
   B64D 5/00 20060101ALI20211108BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   B64F1/36
   B64D45/00 A
   B64D45/00 Z
   B64D47/00
   B64C39/02
   B64D5/00
   G08G5/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-567081(P2019-567081)
(86)(22)【出願日】2019年1月22日
(86)【国際出願番号】JP2019001812
(87)【国際公開番号】WO2019146579
(87)【国際公開日】20190801
【審査請求日】2020年7月7日
(31)【優先権主張番号】特願2018-9013(P2018-9013)
(32)【優先日】2018年1月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】甲本 健
(72)【発明者】
【氏名】江原 英利
(72)【発明者】
【氏名】大野 陽平
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 雄一朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】花野 真也
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−037204(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/208468(WO,A1)
【文献】 特開2004−336408(JP,A)
【文献】 特開2016−194844(JP,A)
【文献】 特開2013−177120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/36
B64D 45/00
B64D 47/00
B64C 39/02
B64D 5/00
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の予定外の場所での飛行停止に関する検知を行う検知部と、
前記検知が行われた飛行体の回収に関係する状況を示す状況情報であって、前記検知が行われた飛行体の現在位置を含む領域に存在する当該飛行体が停止可能な場所の属性を示す状況情報を取得する取得部と、
前記検知が行われた飛行体の回収手順を、取得された前記状況情報が示す状況に基づいて決定する決定部であって、所定の属性を示す前記状況情報が取得された飛行体を当該属性の場所で停止させる手順を決定する決定部と、
決定された前記回収手順を実行するための処理を行う処理部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機の現在の状態データ及び飛行計画データ等に基づいて飛行を完了させるための軌跡を予測し、飛行計画を完了させるコストを計算し、容認可能且つ最低コストの軌跡を選択して航空機を飛行させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−177120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばドローンのような飛行体を飛行計画に従って飛行させる場合、強風又は故障等の不測の事態が発生して飛行体が予定外の場所で飛行を停止することが起こり得る。その場合、飛行停止した飛行体は回収される必要がある。
そこで、本発明は、飛行停止した飛行体を状況に合った手順で回収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、飛行体の予定外の場所での飛行停止に関する検知を行う検知部と、前記検知が行われた飛行体の回収に関係する状況を示す状況情報であって、前記検知が行われた飛行体の現在位置を含む領域に存在する当該飛行体が停止可能な場所の属性を示す状況情報を取得する取得部と、前記検知が行われた飛行体の回収手順を、取得された前記状況情報が示す状況に基づいて決定する決定部であって、所定の属性を示す前記状況情報が取得された飛行体を当該属性の場所で停止させる手順を決定する決定部と、決定された前記回収手順を実行するための処理を行う処理部とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飛行停止した飛行体を状況に合った手順で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に係るドローン管理システムの全体構成を表す図
図2】サーバ装置のハードウェア構成を表す図
図3】ドローン及び回収用ドローンのハードウェア構成を表す図
図4】ドローンの外観を表す図
図5】回収用ドローンの外観を表す図
図6】ドローン管理システムが実現する機能構成を表す図
図7】回収処理における各装置の動作手順の一例を表す図
図8】変形例で実現される機能構成を表す図
図9】破損度テーブルの例を表す図
図10】停止場所テーブルの一例を表す図
図11】属性テーブルの一例を表す図
図12】変形例の回収処理における各装置の動作手順の一例を表す図
【符号の説明】
【0016】
1…ドローン管理システム、10…サーバ装置、20…ドローン、30…回収用ドローン、101…飛行計画取得部、102…飛行指示部、103…飛行停止検知部、104…状況情報取得部、105…回収手順決定部、106…回収処理部、107…破損度判定部、201…飛行制御部、202…飛行部、203…センサ測定部、204…異常検知部、205…飛行停止判断部、301…飛行制御部、302…飛行部、303…センサ測定部、304…撮影部、305…状態判定部、306…保持制御部、307…回収不可通知部。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]実施例
図1は実施例に係るドローン管理システム1の全体構成を表す。ドローン管理システム1は、ドローンを管理するシステムである。ドローンとは、飛行計画に従って自律的に且つ無人で飛行することが可能な装置であり、本発明の「飛行体」の一例である。ドローンは、搬送物の搬送、空中からの写真撮影又は特定エリアの監視等の目的で用いられる。
【0018】
ドローン管理システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、ドローン20−1、20−2、・・・(それぞれ区別しない場合は「ドローン20」という)と、回収用ドローン30とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10が有線通信で(無線通信でもよい)アクセスしており、ドローン20及び回収用ドローン30が無線通信でアクセスしている。
【0019】
サーバ装置10は、ドローン20を管理するための各種の処理を実行する情報処理装置である。サーバ装置10は、例えば、ドローン20が飛行する経路を示す飛行計画を生成する処理及び生成した飛行計画での飛行をドローン20に指示する処理等を実行する。ドローン20及び回収用ドローン30は、本実施例では、いずれも1以上の回転翼を備え、それらの回転翼を回転させて飛行する回転翼機型の飛行体である。
【0020】
ドローン20は、飛行目的に合った機能(例えば搬送目的なら搬送物を保持して搬送先で自機から分離する機能)を備えている。ドローン20は、いずれも予定された飛行計画に従って飛行する機能を備えているが、故障又は事故等が原因で予定外の場所で飛行停止をする場合がある。回収用ドローン30は、そのように飛行停止をしたドローン20を回収する機能を備えている。本実施例では、飛行停止をしたドローン20は、この回収用ドローン30又は回収員(つまり人の手)によって回収され、例えば回収対象を収集する回収センターまで搬送される。
【0021】
回収員は、通常は、自動車等の乗り物に乗って停止場所に行き、ドローン20を回収する。回収員が乗る乗り物は、地上を移動するものが普通であるが、飛行する物(ヘリコプター等)又は水上を移動する物(ボート等)であってもよい。このように、回収員による回収とは、有人且つあらゆる搬送経路(地上走行経路、飛行経路及び水上経路等)を用いた回収を意味する。これに対し、回収用ドローン30による回収は、無人且つ飛行経路を用いた回収を意味する。
【0022】
図2はサーバ装置10のハードウェア構成を表す。サーバ装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、入力装置15と、出力装置16と、バス17という各装置を備えるコンピュータである。なお、ここでいう「装置」という文言は、回路、デバイス及びユニット等に読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。
【0023】
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を、ストレージ13及び/又は通信装置14からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
【0024】
各種処理を実行するプロセッサ11は1つでもよいし、2以上であってもよく、2以上のプロセッサ11は、同時又は逐次に各種処理を実行してもよい。また、プロセッサ11は、1以上のチップで実装されてもよい。プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0025】
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及びRAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ及びメインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。メモリ12は、前述したプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を保存することができる。
【0026】
ストレージ13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。
【0027】
ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及び/又はストレージ13を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。通信装置14は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0028】
入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカなど)である。なお、入力装置15及び出力装置16は、一体となった構成(例えば、タッチスクリーン)であってもよい。また、プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス17を介して互いにアクセス可能となっている。バス17は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0029】
図3はドローン20及び回収用ドローン30のハードウェア構成を表す。これらのドローンは、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、飛行装置25と、センサ装置26と、撮影装置27と、保持装置28と、バス29という各装置を備えるコンピュータである。なお、ここでいう「装置」という文言は、回路、デバイス及びユニット等に読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。
【0030】
プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、通信装置24及びバス29は、図2に表す同名の装置と同種のハードウェア(性能及び仕様等は同じとは限らない)である。通信装置24は、ネットワーク2との無線通信に加え、ドローン同士の無線通信を行うこともできる。飛行装置25は、上述したローターと、ローターを回転させるモーター等の駆動手段とを備え、自機を飛行させる装置である。飛行装置25は、空中において、あらゆる方向に自機を移動させたり、自機を静止(ホバリング)させたりすることができる。
【0031】
センサ装置26は、飛行制御に必要な情報を取得するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、自機の位置(緯度及び経度)を測定する位置センサと、自機が向いている方向(ドローンには自機の正面方向が定められており、その正面方向が向いている方向)を測定する方向センサと、自機の高度を測定する高度センサと、自機の速度を測定する速度センサとを備える。
【0032】
また、ドローン20のセンサ装置26は、異常検知用のセンサを備える。異常検知用のセンサとは、例えば、熱センサ(異常温度を検知)、振動センサ(異常振動を検知)、断線検出センサ(配線の断線を検知)及び漏水センサ(電子部品が設けられた機体内への水の侵入を検知)等である。撮影装置27は、レンズ及びイメージセンサ等を備え、周囲の光景を撮影する装置である。撮影装置27は、飛行目的が例えば写真撮影又は監視である場合に用いられる。
【0033】
ドローン20の保持装置28は、自機が搬送する搬送物を保持する装置であり、飛行目的が例えば搬送物の搬送である場合に用いられる。回収用ドローン30の保持装置28は、ドローン20を保持する装置である。搬送物又はドローン20を保持する仕組みには様々なもの(網、紐、アーム、台又はコンテナ等)が利用可能であり、本実施例では、アームが用いられる。
【0034】
図4はドローン20の外観を表す。ドローン20は、4本の着陸脚292を有するシャーシ291と、シャーシ291に設けられた4つの開閉可能なアーム281を備える保持装置28とを備える。図4では、アーム281が閉じて搬送物3を保持した状態になっており、ドローン20はこの状態で飛行する。ドローン20は、搬送先に着陸してこれらのアーム281を開くことで、搬送物3を分離して搬送先に置くことができる。分離された搬送物3が落下の衝撃で破損しないように、着陸脚292の長さは搬送物3の大きさに応じて手動又は自動で伸縮させることができるようになっている。
【0035】
図5は回収用ドローン30の外観を表す。回収用ドローン30は、4本の着陸脚392を有するシャーシ391と、シャーシ391に設けられた4つの開閉可能なアーム381を備える保持装置28とを備える。図5では、アーム381が閉じてドローン20を保持した状態になっており、回収用ドローン30はこの状態で飛行する。回収用ドローン30は、アーム381を開いた状態で着陸脚392がドローン20を囲む位置に着陸し、アーム381を閉じることでドローン20を保持する。着陸脚392は着陸しているドローン20の高さに合わせて伸縮させることができるようになっている。
【0036】
なお、サーバ装置10、ドローン20及び回収用ドローン30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及び、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0037】
ドローン管理システム1が備えるサーバ装置10、ドローン20及び回収用ドローン30には、本システムで提供されるプログラムが記憶されており、各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで以下に述べる機能群が実現される。
図6はドローン管理システム1が実現する機能構成を表す。なお、図6ではドローン20が1つしか表されていないが、複数のドローン20がいずれも同じ機能構成を有するものとする。
【0038】
サーバ装置10は、飛行計画取得部101と、飛行指示部102と、飛行停止検知部103と、状況情報取得部104と、回収手順決定部105と、回収処理部106とを備える。ドローン20は、飛行制御部201と、飛行部202と、センサ測定部203と、異常検知部204と、飛行停止判断部205とを備える。回収用ドローン30は、飛行制御部301と、飛行部302と、センサ測定部303と、撮影部304と、状態判定部305と、保持制御部306と、回収不可通知部307とを備える。
【0039】
ドローン20の飛行制御部201は、自機の飛行を制御する。飛行制御部201は、サーバ装置10から受け取る飛行の指示に基づいて、後述する飛行計画が示す飛行経路及び飛行期間に従った自機の飛行を制御する。飛行部202は、自機を飛行させる機能であり、本実施例では、飛行装置25が備えるローター及び駆動手段等を動作させることで自機を飛行させる。
【0040】
センサ測定部203は、自機が備える各センサ(位置センサ、方向センサ、高度センサ、速度センサ)による測定を行い、自機の位置、方向、高度、速度を所定の時間間隔で繰り返し測定する。センサ測定部203は、測定した位置、方向、高度、速度を示すセンサ情報を飛行制御部201に供給する。飛行制御部201は、供給されたセンサ情報に基づいて飛行部202を制御し、飛行計画が示す飛行経路に沿って自機を飛行させる。
【0041】
サーバ装置10の飛行計画取得部101は、ドローン20の飛行計画を取得する。飛行計画とは、搬送目的の飛行であれば、例えば出発地から目的地まで向かう飛行経路と、その飛行経路を飛行すべき期間(飛行期間)とを示す情報である。また、飛行計画とは、撮影目的又は監視目的の飛行であれば、例えば撮影エリア又は監視エリアまでの往復飛行における飛行経路及び飛行期間と、各エリアにおける飛行経路及び飛行期間とを示す情報である。各飛行計画は、その飛行計画で飛行するドローン20の識別情報(例えばドローンID(Identification))に対応付けられている。
【0042】
飛行計画取得部101は、例えばドローン20を用いて事業を行う事業者のシステムから飛行計画を取得し、取得した飛行計画を飛行指示部102及び回収手順決定部105に供給する。飛行指示部102は、取得された飛行計画に基づいてドローン20に対して飛行を指示する。飛行指示部102は、例えば飛行計画が示す飛行経路をその飛行計画が示す飛行期間に飛行するための飛行方向、飛行高度、飛行速度、飛行開始時刻及び飛行終了時刻等の情報(飛行制御情報)を示す指示データをドローン20に送信する。
【0043】
ドローン20の飛行制御部201は、送信されてきた指示データを受け取ると、その指示データが示す飛行制御情報に基づいて、飛行計画に従った自機の飛行を制御する。ドローン20の異常検知部204は、自機の異常(上述した異常温度、異常振動、断線及び水の侵入等)を検知する。異常検知部204は、センサ装置26が備える異常検知用のセンサの出力に基づいて異常を検知し、異常を検知すると、異常を検知したセンサの出力値を飛行停止判断部205に通知する。
【0044】
この出力値は、異常の程度を表すものとする(異常温度なら温度の高さを、異常振動なら振動回数を、断線なら断線位置を、漏水なら漏水量を表す)。飛行停止判断部205は、自機の異常が検知された場合に、飛行を停止するか否かを判断する。飛行停止判断部205は、例えば、飛行制御部201から目的地の位置情報及び飛行経路の情報を取得し、センサ測定部203から現在位置の位置情報を取得する。
【0045】
飛行停止判断部205は、取得したそれらの情報から目的地までの残りの飛行距離を算出し、検知された異常のある状態で飛行可能か否かを判断する。飛行停止判断部205は、例えば異常の程度と飛行可能な距離とを対応付けたテーブル(例えば異常温度が高いほど飛行可能な距離が短くなることを示すテーブル)を記憶しておく。飛行停止判断部205は、異常検知部204から供給された異常検知用のセンサの出力値が示す異常の程度に対応付けられた飛行可能な距離よりも残りの飛行距離が長い場合に、飛行を停止すると判断する。
【0046】
飛行停止判断部205は、飛行を停止すると判断すると、その旨を飛行制御部201に通知する。飛行制御部201は、この通知を受け取ると、自機の着陸が可能な場所に向けて移動して自機を着陸させる。飛行制御部201は、例えば、予め自機の着陸が可能な緊急着陸場所(公園、河原及び海岸等)を示す地図データを記憶しておき、現在位置から最も近い緊急着陸場所を決定してそこに着陸する。
【0047】
飛行停止判断部205は、緊急着陸場所を決定すると、決定した緊急着陸場所の位置情報と自機の識別情報(例えばドローンID)とを示す情報を緊急着陸情報としてサーバ装置10に送信する。飛行停止判断部205は、緊急着陸情報の送信を、着陸前に行ってもよいし、着陸後に行ってもよい。飛行は継続できなくても、特に故障がなければ通信は継続できるからである。送信された緊急着陸情報は、サーバ装置10の飛行停止検知部103に供給される。
【0048】
飛行停止検知部103は、ドローン20の予定外の場所での飛行停止に関する検知を行う。飛行停止検知部103は本発明の「検知部」の一例である。予定外の場所とは、本実施例では、飛行計画が示す飛行経路の出発地及び目的地以外の場所を意味する。飛行停止に関する検知には、ドローン20が既に飛行停止したことを検知すること(停止済みの検知)と、ドローン20がこれから飛行停止する見込みであることを検知すること(停止見込みの検知)とが含まれる。
【0049】
飛行停止検知部103は、緊急着陸情報が着陸後に送信されてきた場合は停止済みの検知を行い、緊急着陸情報が着陸前に送信されてきた場合は停止見込みの検知を行う。飛行停止検知部103は、ドローン20から送信されてくる緊急着陸情報を受け取ると、受け取った緊急着陸情報が示すドローンIDで識別されるドローン20の予定外の場所(緊急着陸情報が示す緊急着陸場所)での飛行停止に関する検知を行う。
【0050】
また、ドローン20は、例えば突風又は障害物(建物、鳥及び他のドローン等)との衝突等が原因で飛行を継続できなくなる場合がある。その場合に、異常検知用のセンサの出力値では異常が検知できないことがある(例えば飛行能力は維持されているが木に引っ掛かって飛べなくなることなど)。その場合は、飛行停止判断部205による飛行停止の判断が行われないので、緊急着陸情報が送信されてこない。
【0051】
そのような場合に備えて、ドローン20のセンサ測定部203は、測定したセンサ情報に自機のドローンIDを加えた情報を所定の時間間隔でサーバ装置10に送信する。このセンサ情報は飛行停止検知部103に供給される。飛行停止検知部103は、供給されたセンサ情報が示す速度が0になった場合、そのセンサ情報が示すドローンIDに対応付けられた飛行計画を飛行計画取得部101から取得する。
【0052】
飛行停止検知部103は、センサ情報が示す位置が、取得した飛行計画が示す出発地及び目的地でない場合に、そのセンサ情報の送信元のドローン20の予定外の場所(センサ情報が示す位置)での飛行停止に関する検知(この場合は停止済みの検知)を行う。飛行停止検知部103は、飛行停止に関する検知を行うと、飛行停止したドローン20のドローンIDと飛行停止した位置とを示す停止位置情報を状況情報取得部104に通知する。
【0053】
状況情報取得部104は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20の回収に関係する状況を示す状況情報を取得する。状況情報取得部104は本発明の「取得部」の一例である。飛行を停止したドローン20は、上述したとおり回収員(例えばドローン20を飛行させている事業者又はその事業者の委託を受けた代行業者)又は回収用ドローン30によって回収される。
【0054】
状況情報取得部104は、本実施例では、飛行停止に関する検知が行われたドローン20が飛行する地域の天気に関する情報を状況情報として取得する。天気に関する情報とは、例えば、晴れ、曇り、雨、雪等のいわゆる天気の他、風力、雨量、降雪量、気温、湿度等の気象要素と、それらの天気及び気象要素になる時刻又は時間帯とを表す情報である。状況情報取得部104は、供給された停止位置情報が示す停止位置を含む地域の天気予報を、天気に関する情報(状況情報)として取得する。
【0055】
なお、状況情報取得部104は、天気予報ではなく、現在の天気を示す情報(例えばインターネット上でユーザが投稿する現在の天気情報等)を天気に関する情報として取得してもよい。なお、現在の天気を示す情報の取得方法はこれに限らない。例えば、飛行停止に関する検知が行われたドローン20が風速センサ、降雨センサ又は降雪センサ等を備えておき、それらのセンサの測定結果をサーバ装置10に送信する。
【0056】
状況情報取得部104は、送信されてきた測定結果が示す現在の天気又は気象要素等を、天気に関する情報として取得してもよい。状況情報取得部104は、取得した天気に関する情報を回収手順決定部105に供給する。回収手順決定部105は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20の回収手順を、取得された状況情報が示す状況に基づいて決定する。回収手順決定部105は本発明の「決定部」の一例である。
【0057】
回収手順決定部105は、本実施例では、取得された天気に関する情報により特定の天気になる期間が把握される場合、その期間を回収時期とする手順を決定する。特定の天気とは、回収に適した天気であり、例えば回収用ドローン30が回収する場合は、晴れ、曇り、微風及び適度な気温範囲(例えば10度〜25度など)等のドローンの飛行に適した天気が特定の天気として用いられる。
【0058】
回収手順決定部105は、例えば3時間後に特定の天気になることが把握された場合、3時間後以降の期間を回収時期とする回収手順を決定する。また、回収手順決定部105は、15時から17時までが特定の天気になることが把握された場合、15時から17時までの間の期間を回収時期とする回収手順を決定する。また、回収手順決定部105は、現在が特定の天気であることが把握された場合、現時点から始まる期間を回収時期とする回収手順を決定する。
【0059】
このように、ドローン20を回収する時期は、或る1つの時期(例えば現時点)に限定されているわけではなく、1時間後及び2時間後等の複数の時期(適宜定めることが可能な無数の時期)が用いられ得る。回収手順決定部105は、それらの回収時期が異なる複数の回収手順のうちからいずれかの回収手順を、取得された状況情報が示す状況(本実施例では天気)に基づいて決定する。
【0060】
なお、回収員が回収する場合は、例えば回収用ドローン30が回収する場合よりも幅広い天気(雨、雪、高温及び低温等)を特定の天気として含めてもよい。ただし、回収員が回収する場合でも、暴風、豪雨及び落雷等の外出が危険な天気は特定の天気に含めない。回収手順決定部105は、決定した回収手順(回収主体、回収時期、回収位置及び持ち帰り場所等)を示す回収手順情報を生成する。
【0061】
回収手順決定部105には、上述したとおり飛行計画取得部101から飛行計画が供給される。回収手順決定部105は、例えば飛行停止に関する検知が行われたドローン20の飛行計画が示す目的地又は出発地を持ち帰り場所として示す回収手順情報を生成し、生成した回収手順情報を回収処理部106に供給する。回収処理部106は、回収手順決定部105により決定された回収手順を実行するための処理を行う。回収処理部106は本発明の「処理部」の一例である。
【0062】
回収処理部106は、例えば回収主体が回収員である回収手順情報が供給された場合、回収手順情報が示す回収時期、回収位置及び持ち帰り場所を伝える通知データを回収員に対応付けられた宛先(電子メールアドレス等)に送信する。回収員は、例えばスマートフォンで受信した通知データを見て、通知された回収位置に通知された回収時期に行って飛行を停止したドローン20を回収し、通知された持ち運び場所までドローン20を持ち運ぶ。
【0063】
また、回収処理部106は、回収主体が回収用ドローン30である回収手順情報が供給された場合、前述した通知データを回収用ドローン30に送信する。回収用ドローン30は、受信した通知データを飛行制御部301に供給する。回収用ドローン30の飛行制御部301、飛行部302及びセンサ測定部303は、ドローン20の同名の機能と共通の機能であり、これらが協働して、通知データが示す回収位置に回収時期に到着するよう回収用ドローン30を飛行させる。
【0064】
飛行制御部301は、回収位置に到着すると、その旨を撮影部304に通知する。撮影部304は、回収位置に到着したことが通知されると、周辺の撮影を開始する。撮影部304は、撮影した画像を飛行制御部301及び状態判定部305に供給する。状態判定部305には、センサ測定部303から測定された高度情報も供給される。状態判定部305は、撮影部304により撮影された画像からドローン20の状態を判定する。
【0065】
状態判定部305は、例えばパターンマッチングの技術を用いてドローン20を認識し、ドローン20が立っているか転倒しているかを特定する。また、状態判定部305は、画像内でのドローン20の大きさ及び位置から自機とドローン20との距離及び自機から見たドローン20の方向を算出し、算出した距離及び向きと自機の高度から、ドローン20の高度を特定する。
【0066】
状態判定部305は、ドローン20が立っていると特定すると、正常に着陸した状態と判定する。また、状態判定部305は、ドローン20が転倒していると特定した場合、高度が0m(地上)なら地上で転倒している状態と判定し、高度が0mより高ければ茂みや木に引っ掛かった状態と判定する。状態判定部305は、判定結果を飛行制御部301、保持制御部306及び回収不可通知部307に供給する。
【0067】
飛行制御部301及び保持制御部306は、正常に着陸した状態又は地上で転倒している状態が通知された場合は、ドローン20を回収する動作を行う。具体的には、飛行制御部301が、撮影された画像に基づいてドローン20の真上から降下して着陸する。保持制御部306は、自機の保持装置28及び着陸脚392を制御して、自機にドローン20を保持させる。
【0068】
ドローン20の形状によっては、正常に着陸した状態よりも転倒した状態の方が高くなる場合もあるし、反対に低くなる場合もある。保持制御部306は、着陸の前に着陸脚392の長さをドローン20の状態に応じた長さに変更する。保持制御部306は、着陸の前にアーム381を開いておき、着陸した後にアーム381を閉じることで、アーム381にドローン20が引っ掛かって保持されるようにする。
【0069】
飛行制御部301は、アーム381が閉じられると、上昇を開始する。このとき、飛行制御部301は、センサ測定部303が測定する速度に基づき、ドローン20が保持されているか否かを判断する(自機単体の上昇速度より遅ければ保持されていると判断する)。ドローン20が保持されていないと飛行制御部301が判断すると、再度ドローン20を保持するための動作を各部が行う。飛行制御部301は、ドローン20が保持されていると判断すると、通知された持ち運び場所に向けての飛行を開始させる。
【0070】
回収不可通知部307は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20が茂みや木に引っ掛かった状態であると判定されると、そのドローン20の回収が不可能であることを通知する通知データをサーバ装置10に送信する。回収手順決定部105は、この通知データを受け取ると、回収主体を回収員とした回収手順情報を生成する。こうして回収用ドローン30では回収できないドローン20は、改めて回収員が出動して回収されることになる。
【0071】
ドローン管理システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、ドローン20が予定外の飛行停止をした場合にそのドローン20を回収するための回収処理を行う。
図7は回収処理における各装置の動作手順の一例を表す。この例では、停止済みの検知が行われる場合を説明する。この動作手順は、例えば、ドローン20を所持する事業者から飛行計画が送信されてくることを契機に開始される。まず、サーバ装置10(飛行計画取得部101)は、ドローン20の飛行計画を取得する(ステップS11)。
【0072】
次に、サーバ装置10(飛行指示部102)は、取得された飛行計画に基づいてドローン20に対して飛行を指示する指示データを送信する(ステップS12)。ドローン20(飛行制御部201及び飛行部202)は、受信した指示データが示す指示に基づいて飛行を開始する(ステップS13)。続いて、ドローン20(異常検知部204)は、自機の異常(異常温度、異常振動、断線及び水の侵入等)を検知したか否かを判断する(ステップS21)。
【0073】
ステップS21で異常を検知していない(NO)と判断された場合、ドローン20は、予定どおりの飛行が終了したか否かを判断し(ステップS22)、終了した(YES)と判断した場合はこの動作手順を終了する。また、ドローン20は、終了していない(NO)と判断した場合は、ステップS21に戻って動作を行う。ステップS21で異常を検知した(YES)と判断した場合、ドローン20(飛行停止判断部205)は、飛行を停止するか否かを判断する(ステップS23)。
【0074】
ステップS23で停止しない(NO)と判断された場合、ドローン20は、ステップS22の動作(飛行終了の判断)を行う。また、ドローン20(飛行停止判断部205)は、飛行を停止する(YES)と判断した場合、緊急着陸場所等を示す緊急着陸情報をサーバ装置10に送信する(ステップS24)。サーバ装置10(飛行停止検知部103)は、緊急着陸場所等を受け取ると、ドローン20の予定外の場所での飛行停止に関する検知を行う(ステップS31)。
【0075】
次に、サーバ装置10(状況情報取得部104)は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20の回収に関係する状況を示す状況情報(本実施例では天気に関する情報)を取得する(ステップS32)。続いて、サーバ装置10(回収手順決定部105)は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20の回収手順を、取得された状況情報が示す状況に基づいて決定する(ステップS33)。そして、サーバ装置10(回収処理部106)は、決定された回収手順を実行するための処理である回収処理を実行する(ステップS34)。
【0076】
以上のとおり、本実施例では、天気に関する情報に基づいて回収手順が決定される。例えば回収用ドローン30が回収する場合、ドローンの飛行に適した天気のときに回収が行われ、そうでない天気のときには回収が行われない。また、回収員が回収する場合でも、暴風、豪雨及び落雷等の外出が危険な天気のときには回収が行われず、それ以外の天気のときに回収が行われる。このように、本実施例によれば、飛行停止したドローン20を状況(本実施例では天気の状況)に合った手順で回収することができる。
【0077】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。
【0078】
[2−1]回収方法
実施例では、飛行停止したドローン20の回収方法として、有人且つあらゆる搬送経路での回収(回収員による回収)と、無人且つ飛行経路での回収(回収用ドローン30による回収)とが用いられたが、これに限らない。例えば、回収用のロボットアームを備えた自律走行可能な自動車又はボートによる回収が用いられてもよい。つまり、無人且つあらゆる搬送経路(地上走行経路、飛行経路及び水上経路等)での回収方法が用いられてもよい。
【0079】
[2−2]複数の回収手順
実施例では、回収時期が異なる複数の回収手順のうちのいずれかが決定されたが、これに限らない。同じ回収時期が異なる複数の回収手順であっても、例えば至急回収に向かう回収手順、本日中に回収に向かう回収手順又は翌日回収に向かう回収手順等のように、回収の優先順位によって回収時期が異なる複数の回収手順が用いられてもよい。
【0080】
また、複数の回収手順として、例えば、回収員による回収手順及び回収用ドローン30による回収手順のように回収を行う主体が異なる回収手順が用いられてもよい。この場合の複数の回収手順は、ドローン20を回収可能な主体が決まっている場合(例えば回収員及び回収用ドローン30)に予め定められる。また、停止見込みの検知が行われる状況では、ドローン20が自機の飛行を制御できて着陸場所を選択可能な場合がある。
【0081】
その場合に、複数の着陸場所のそれぞれを回収場所(ドローン20が回収される場所)として制御する回収手順が複数の回収手順として用いられてもよい。この場合の複数の回収手順は、ドローン20の位置等の情報に基づいて定められる。回収手順決定部105は、これらの複数の回収手順から、状況情報取得部104により取得された状況情報に応じた回収手順を決定する。その決定方法の具体例については以降の変形例で説明する。
【0082】
[2−3]破損の可能性を踏まえた手順
ドローン20が安全に停止するためには停止前に速度を落とさなければならないが、異常が生じていると速度制御ができずに着陸地点に衝突し、回収対象であるドローン20又はドローン20が搬送する搬送物が破損することがある。本変形例では、回収対象(ドローン20及び搬送物又はドローン20単体)の破損の可能性を踏まえた回収手順で回収が行われる。
【0083】
図8は本変形例で実現される機能構成を表す。図8では、図6に表す各部に加えて破損度判定部107を備えるサーバ装置10aが表されている。本変形例の状況情報取得部104は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20が停止する際に生じる回収対象の破損の度合いを示す情報(破損度情報)を状況情報として取得する。状況情報取得部104は、例えば、飛行が停止する直前の速度情報を破損度情報として取得する。
【0084】
直前の速度情報とは、例えば所定の時間間隔で測定される速度情報のうち速度が0になる1つ前の速度情報である。なお、測定間隔が短すぎると、飛行速度ではなく転倒後の振動の速度が測定されることが考えられるので、速度が0になる所定の時間(1〜3秒前など)だけ前に測定された速度情報を直前の速度情報としてもよい。また、ドローン20に、自機の破損の程度を示す値を測定する破損検知センサを備えさせてもよい。
【0085】
その場合、状況情報取得部104は、それらの破損検知センサの出力値を破損度情報として取得する。破損検知センサとしては、例えばシャーシ291に設けられた歪みセンサ(シャーシ291の歪みを検知する)、着陸脚292に設けられた重量センサ(重量の減少、すなわち部品の脱落を検知する)、又は、回路近辺に設けられた漏電センサ(絶縁体の破損等を検知する)などが用いられる。
【0086】
また、状況情報取得部104は、ドローン20から送信されてくる緊急着陸情報の有無を示す情報を破損度情報として取得してもよい。緊急着陸情報が有れば飛行制御されながら着陸するので破損しない(破損度が小さい)ことが表され、緊急着陸情報が無ければ飛行制御されない状態で着陸するので破損度が大きいことが表される。状況情報取得部104は、取得した破損度情報を破損度判定部107に供給する。
【0087】
破損度判定部107は、供給された破損度情報に基づいて回収対象(ドローン20及び搬送物又はドローン20単体)の破損の度合いが所定の基準以上であるか否かを判定する。破損度判定部107は、破損度情報と基準との関係を対応付けた破損度テーブルを用いてこの判定を行う。
図9は破損度テーブルの例を表す。図9(a)では、飛行停止の直前速度がTh1未満だと破損度が基準未満、飛行停止の直前速度がTh1以上だと破損度が基準以上であることが表されている。
【0088】
また、図9(b)では、ドローン20のシャーシ歪みがTh2未満だと破損度が基準未満、シャーシ歪みがTh2以上だと破損度が基準以上であることが表されている。図9(c)では、ドローン20の重量変動がTh3未満だと破損度が基準未満、重量変動がTh3以上だと破損度が基準以上であることが表されている。図9(d)では、ドローン20の漏電電流がTh4未満だと破損度が基準未満、漏電電流がTh4以上だと破損度が基準以上であることが表されている。
【0089】
図9(e)では、緊急着陸情報が有ると破損度が基準未満、緊急着陸情報が無いと破損度が基準以上であることが表されている。破損度判定部107は、供給された破損度情報が示す直前速度等に破損度テーブルで「基準未満」が対応付けられていれば破損度が基準未満であると判定し、「基準以上」が対応付けられていれば破損度が基準以上であると判定する。なお、破損度判定部107は、破損度テーブルを用いなくても、単にTh1等の閾値を記憶しておくことでこの判定を行ってもよい。
【0090】
破損度判定部107は、こうして判定した結果を回収手順決定部105に供給する。回収手順決定部105は、供給された破損度の判定結果、すなわち、状況情報取得部104により取得された状況情報により示される破損の度合いが所定の基準以上であるか否かという判定結果に基づいて回収手順を決定する。所定の基準としては、例えば、回収対象の一部が分離するほどの破損の度合い(破損度が基準以上なら回収対象の一部が分離している可能性が高いということ)が用いられる。この基準は、予め実験又はシミュレーション等を行うことで定められる。
【0091】
回収手順決定部105は、破損度が所定の基準未満という判定結果の場合には回収対象を搬送可能な飛行体(例えば回収用ドローン30)による回収を行う手順を決定し、破損度が所定の基準以上の場合にはその飛行体以外のものによる回収を行う手順を決定する。回収用ドローン30以外のものによる回収とは、回収員による回収のように有人で行う回収手順(有人回収手順)又は自律走行可能な自動車若しくはボート等による無人且つ飛行経路以外を搬送経路とする回収手順(飛行経路以外での回収手順)である。
【0092】
これに対し、回収用ドローン30による回収とは、飛行経路を搬送経路とする回収手順(飛行経路による回収手順)である。有人回収手順、飛行経路による回収手順及び飛行経路以外での回収手順は、本変形例における「複数の回収手順」である。回収手順決定部105は、これらの複数の回収手順から、取得された状況情報に応じた回収手順を上記のとおり決定する。
【0093】
破損度が大きい回収対象を回収用ドローン30のような無人の装置が回収すると、破損により分離した部品等を保持することができず放置するおそれがある。この無人の装置での回収に比べて、本変形例のように破損度が大きい回収対象を有人で回収させた場合は、回収対象の持ち運び方に融通が利く(例えば回収対象が散らばっていても拾い集められる)ので、分離した部品等が放置されにくいようにすることができる。
【0094】
また、回収用ドローン30のような飛行体が回収対象を搬送すると、破損した部品等が途中で脱落して落下し、地上の人又は物を害するおそれがある。この飛行体での回収に比べて、本変形例のように飛行経路以外の搬送経路(地上の走行経路又は水上経路等)で回収対象を搬送させた場合は、部品等が脱落しても地上の人又は物等を害するおそれを少なくすることができる。
【0095】
[2−4]重量を踏まえた手順
例えばドローン20の保持する搬送物が重すぎると、回収用ドローン30の最大積載量(保持して飛行可能な荷物の最大重量)を超える場合がある。また、ドローン20単体でも、大型のドローンだと同様に最大積載量を超える可能性がある。そこで、本変形例では、回収対象の重量を踏まえた回収手順で回収が行われる。
【0096】
本変形例の状況情報取得部104は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20を含む回収対象の重量を示す情報(重量情報)を状況情報として取得する。状況情報取得部104は、例えば、飛行計画にドローン20の重量及び搬送物の重量が含まれている場合に、その飛行計画を状況情報として取得する。なお、ドローン20が搬送物を複数保持して順番に分離しながら搬送を行っている場合、状況情報取得部104は、各搬送物の重量及び搬送先への搬送予定時刻を含む飛行計画(時刻毎の重量が分かる情報)を状況情報として取得してもよい。
【0097】
また、ドローン20が搬送物の重量を測定するセンサを備えている場合に、状況情報取得部104は、ドローン20からその測定結果を送信させたものを状況情報として取得してもよい。また、ドローン20の重量については、その情報が予めサーバ装置10に記憶されていて、その情報を読み出すことで状況情報として取得されてもよい。また、状況情報取得部104は、ドローン20の製品名を示す飛行計画を取得して、その製品の重量情報をインターネット等から取得してもよい。
【0098】
状況情報取得部104は、取得した重量情報を回収手順決定部105に供給する。回収手順決定部105は、供給された重量情報、すなわち状況情報取得部104により取得された状況情報に基づいて回収手順を決定する。具体的には、回収手順決定部105は、取得された状況情報(重量情報)により示される重量が閾値未満である場合には回収用ドローン30(回収対象を搬送可能な飛行体)による回収(飛行経路による回収)を行う手順を決定する。
【0099】
この場合の閾値は、回収対象を搬送可能な飛行体の最大積載量又はそれよりも軽い重量の値が用いられる。また、回収手順決定部105は、状況情報により示される重量が閾値以上である場合には、回収用ドローン30以外のものによる回収(上述した有人回収又は飛行経路以外での回収)を行う手順を決定する。これにより、重量情報を用いずに回収手順を決定する場合に比べて、回収対象を保持して飛行する飛行体に落下又は故障等の事象が発生する危険を少なくすることができる。
【0100】
本変形例でも、回収手順決定部105は、有人回収手順、飛行経路による回収手順及び飛行経路以外での回収手順を複数の回収手順として状況情報に応じた回収手順を上記のとおり決定する。なお、本変形例において、ドローン20が搬送物を分離することができる状態である場合に、搬送物を分離して重量を軽くすることにより飛行体で搬送できるようにしてもよい。この場合は搬送物を分離する手順が複数の回収手順に加わる。
【0101】
この場合、例えば飛行を停止したドローン20の飛行停止判断部205は、保持装置28が正常に動作する状態であれば、図4に表すアーム281を開いて搬送物を分離し、その旨をサーバ装置10に通知する。この通知を受け取ると、状況情報取得部104は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20の重量と、そのドローン20が搬送する搬送物の重量をそれぞれ示す重量情報を状況情報として取得する。
【0102】
この重量情報の取得には、前述した回収対象の重量情報の取得方法がそのまま利用できる。状況情報取得部104は、搬送物が複数ある場合には、それら複数の搬送物の重量情報をそれぞれ取得する。回収手順決定部105は、取得された状況情報(重量情報)により示されるドローン20の重量及び搬送物の重量がいずれも閾値未満である場合には、それらの回収対象を搬送可能な台数の飛行体(例えば複数台の回収用ドローン30)による回収を行う手順を決定する。
【0103】
例えばドローン20及び1つの搬送物の両方の重量が閾値未満であれば、回収手順決定部105は、それらを2台の回収用ドローン30により回収する手順を決定する。その場合、回収手順決定部105は、搬送物については、回収した後に回収センターに搬送するのではなく搬送先に直接搬送する手順を決定してもよい。
【0104】
また、回収手順決定部105は、ドローン20の重量及び搬送物の重量のうち1つでも閾値以上である場合には、回収用ドローン30以外のものによる回収を行う手順を決定する。例えば回収員による回収の場合、回収員の人件費が必要になる。その人件費よりも複数台の回収用ドローン30を飛行させるコストの方が低ければ、上記のとおり回収手順を決定することで、搬送物を分離させずに回収手順を決定する場合に比べて回収コストを抑えることができる。
【0105】
なお、ドローン20は、搬送物の分離の通知をする前に、搬送物の分離が可能である旨だけを通知してもよい。その場合、回収手順決定部105は、ドローン20に搬送物を分離させる手順を加えた回収手順を決定する。回収処理部106は、搬送物の分離を指示する指示データをドローン20に送信する。ドローン20は、この指示データを受け取ると搬送物を分離する。
【0106】
[2−5]搬送物の有無を踏まえた手順
飛行停止したドローン20が搬送物を保持しているか否かによって回収手順が決定されてもよい。本変形例の状況情報取得部104は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20が搬送する搬送物の有無を示す情報(搬送有無情報)を状況情報として取得する。状況情報取得部104は、例えば搬送の有無又は搬送先を含む飛行計画を状況情報として取得する。状況情報取得部104は、取得した搬送有無情報を回収手順決定部105に供給する。
【0107】
回収手順決定部105は、供給された搬送有無情報、すなわち状況情報取得部104により取得された状況情報に基づいて回収手順を決定する。具体的には、回収手順決定部105は、取得された状況情報(搬送有無情報)により搬送物が無いことが示される場合には回収用ドローン30による回収(飛行経路による回収)を行う手順を決定する。本変形例の回収用ドローン30は、飛行停止に関する検知が行われた飛行体であるドローン20だけを搬送可能な別の飛行体であればよい。
【0108】
つまり、回収用ドローン30の最大積載量は、ドローン20及び搬送物を合わせた重量よりも小さくてもよく、ドローン20の重量よりも大きいものとする。また、回収手順決定部105は、状況情報により搬送物が有ることが示される場合には回収用ドローン30以外のものによる回収(上述した有人回収又は飛行経路以外での回収)を行う手順を決定する。以上のとおり、本変形例でも、回収手順決定部105は、有人回収、飛行経路による回収及び飛行経路以外での回収を複数の回収手順として状況情報に応じた回収手順を上記のとおり決定する。
【0109】
回収を飛行体で行う場合、飛行中に不測の事態が起こると落下に繋がるので、搬送物が破損して搬送先に届けられなくなる可能性が高い。これに対し、本変形例のように搬送物を搬送する飛行体の回収を飛行経路以外で行わせることで、搬送物をより確実に搬送先に届けることができる。また、搬送物を搬送する飛行体の回収を有人で行わせた場合には、例えば搬送物の梱包が乱れている場合に整えるといった無人装置では難しい対処を行いつつ回収を行うことができる。
【0110】
[2−6]搬送物の属性を踏まえた手順
飛行停止したドローン20が搬送する搬送物の属性を踏まえた回収手順が決定されてもよい。本実施例の状況情報取得部104は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20が搬送物を搬送する場合にその搬送物の属性を示す情報(属性情報)を状況情報として取得する。状況情報取得部104は、例えば、搬送物の価値を表す属性情報として、搬送物の価格情報を取得する。
【0111】
本変形例では、飛行計画に搬送物の名称が含まれているものとする。状況情報取得部104は、その飛行計画が示す搬送物の名称を取得し、取得した名称の商品の価格をインターネット等で検索して、属性情報として取得する。また、状況情報取得部104は、搬送物が時間経過により劣化することを表す属性情報を取得する。例えば飛行計画に搬送物が冷凍物又は生鮮食品であるか否かを示す情報が含まれている場合に、状況情報取得部104は、それらの情報を属性情報として取得する。状況情報取得部104は、取得した属性情報を回収手順決定部105に供給する。
【0112】
回収手順決定部105は、供給された属性情報、すなわち状況情報取得部104により取得された状況情報に基づいて回収対象(飛行停止に関する検知が行われたドローン20及び搬送物)の回収手順を決定する。具体的には、回収手順決定部105は、取得された状況情報(属性情報)により所定の属性が示される場合には回収用ドローン30による回収を行う手順を決定し、その状況情報により所定の属性が示されない場合には回収用ドローン30以外のものによる回収を行う手順を決定する。
【0113】
回収手順決定部105は、例えば搬送物の価格が所定金額未満(所定の属性)である場合には回収用ドローン30による回収手順を決定し、所定金額以上であれば回収用ドローン30以外のものによる回収手順を決定する。本変形例でも、回収手順決定部105は、有人回収、飛行経路による回収及び飛行経路以外での回収を複数の回収手順として状況情報に応じた回収手順を上記のとおり決定する。
【0114】
搬送物を回収用ドローン30のような飛行体で搬送すると、それ以外の方法で搬送する場合に比べて、事故があった場合に落下の衝撃が加わる分だけ搬送物の破損が大きくなりやすい。そこで、高価なものは回収用ドローン30で搬送しないようにして、万が一、回収用ドローン30に異常等が発生して落下しても高額な弁償費用が発生しないようにすることができる。
【0115】
また、回収手順決定部105は、搬送物が冷凍物又は生鮮食品である場合には回収用ドローン30による回収手順を決定し、搬送物が冷凍物又は生鮮食品でない場合には回収用ドローン30以外のものによる回収手順を決定する。ドローン20の停止場所までの移動は、飛行経路を利用できる回収用ドローン30の方がそれ以外のもの(回収員又は他の搬送経路を利用する無人装置)よりも早い場合が多い。そこで、搬送物が冷凍物又は生鮮食品である場合には回収用ドローン30で回収させることで、それ以外のもので回収させる場合に比べて、搬送物の状態が悪化する前に回収されやすいようにすることができる。
【0116】
[2−7]搬送物の分離可否を踏まえた手順
飛行停止したドローン20が搬送物を分離できるか否かという点を踏まえた回収手順が決定されてもよい。本実施例の状況情報取得部104は、搬送物を保持して搬送するドローン20の飛行停止に関する検知が行われた場合にそのドローン20が搬送物を自機から自動で分離する分離機能を有するか否かを示す情報(分離機能情報)を状況情報として取得する。
【0117】
分離機能とは、例えば図4に表すアーム281を開いて搬送物を分離する機能である。なお、アーム281は搬送物の保持も自動で行うことができるが、本変形例では、そのような保持機能は有していなくてもよい。例えば搬送物を包んだ網又は搬送物を格納したコンテナを人が作業してドローンに取り付けておき、それらの網又はコンテナを自動的に切り離す機能を分離機能としてドローンが有していてもよい。
【0118】
状況情報取得部104は、例えば、飛行停止に関する検知が行われたドローン20を運用・管理する事業者のシステムにそのドローン20の分離機能の有無を問い合わせ、その応答が示す分離機能情報を状況情報として取得する。なお、状況情報取得部104は、分離機能情報が飛行計画に含まれていれば、飛行計画を取得することで状況情報を取得してもよい。状況情報取得部104は、取得した分離機能情報を回収手順決定部105に供給する。
【0119】
回収手順決定部105は、供給された分離機能情報、すなわち状況情報取得部104により取得された状況情報に基づいて回収手順を決定する。具体的には、回収手順決定部105は、分離機能を有することを示す状況情報が取得された場合、その分離機能により搬送物を分離させる手順と、分離された搬送物については例えば回収用ドローン30による回収を行わせる手順とを決定する。
【0120】
回収手順決定部105は、より詳細には、飛行停止に関する検知が行われたドローン20は搬送物を分離した後、回収の邪魔にならないよう、搬送物から離れた位置まで移動する手順を回収手順として決定する。回収手順決定部105は、飛行停止に関する検知が行われたドローン20については、別の(2台目の)回収用ドローン30による回収を行わせる手順を決定してもよいし、回収用ドローン30以外のものによる回収(上述した有人回収又は飛行経路以外での回収)を行う手順を決定してもよい。
【0121】
回収手順決定部105は、別の回収用ドローン30による回収を行わせる場合、停止場所に先に到着可能な回収用ドローン30については、分離された搬送物を回収させる手順を決定する。回収手順決定部105は、搬送物については、回収センターまで搬送させる手順を決定してもよいし、回収した後そのまま搬送先に搬送する手順を決定してもよい。いずれの場合も、他の手順で回収する場合に比べて早く搬送物を回収することができ、その結果回収した搬送物を搬送先により早く届けることができる。
【0122】
以上のとおり、本変形例では、回収手順決定部105は、有人回収、飛行経路による回収及び飛行経路以外での回収の他に、搬送物を分離させる手順と、搬送物から離れた位置まで移動する手順とを複数の回収手順として状況情報に応じた回収手順を上記のとおり決定する。なお、回収手順決定部105は、分離された搬送物について、回収用ドローン30のようにドローン20を回収するようには作られていないが、搬送物であれば自動で保持して搬送することが可能な自動保持機能を有するドローンに回収を行わせる手順を決定してもよい。
【0123】
自動保持機能を有するドローンとは、例えば図4に表すアーム281を備えるドローン20である。ドローン20は、分離された搬送物が地上に置いてあれば、アーム281を開いておいてその搬送物の周囲にアーム281が来るように着地する。ドローン20は、アーム281の先端が地面の位置に来るように着陸脚292の長さを調整してから、アーム281を閉じる。すると、アーム281の先端が地面と搬送物との隙間に入り込むので、ドローン20は、搬送物を自動的に保持することができる。
【0124】
なお、自動保持機能はこれに限らない。例えば搬送物が網で包まれている場合、ドローンが鉤爪を有するアーム又はロープを備えておき、その鉤爪を網のどこかに引っ掛けることで自動的に保持してもよい。また、搬送物を格納するコンテナとドローンを連結する連結器をコンテナ側及びドローン側に設けておき、一方の連結器を他方の連結器に押し付けることでドローンがコンテナ(搬送物)を自動的に保持してもよい。
【0125】
この連結器は、ドローン側で連結した状態を維持させる(ロックさせる)ことと、連結を解除させることができるものとする。ドローン20は、この連結器により搬送物を保持している場合、予定外の飛行停止を行ったときに、連結器の連結を解除して搬送物を分離する。搬送物を保持するドローン20を搬送可能なドローンよりも、搬送物だけを搬送可能なドローンの方が多いことが普通である(搬送物だけの方が軽量で且つ保持される前提の形状、材料で作られているから)。
【0126】
従って、搬送物を分離させることで、分離させない場合に比べて、より多くのドローンが代替可能になるので、搬送物の再配送を早く開始することができる。なお、回収手順決定部105は、常に搬送物を分離させるのではなく、分離させた搬送物が搬送可能と判断した場合に分離する回収手順を決定してもよい。例えば、状況情報取得部104は、分離機能情報に加えて、上述した破損度情報も状況情報として取得する。
【0127】
この場合、図8に表す破損度判定部107が回収対象の破損度が所定の基準以上であるか否かを判定する。回収手順決定部105は、基準以上であると判定された場合には分離機能により搬送物を分離させる手順を決定し、基準以上でないと判定された場合には搬送物を分離させずに例えば回収対象を搬送可能な飛行体(例えば回収用ドローン30)による回収を行う手順又はその飛行体以外のものによる回収を行う手順を決定する。これにより、搬送物の破損のおそれが少ない場合だけその搬送物の再配送を早く開始することができる。
【0128】
[2−8]停止場所
ドローン20が飛行停止を行う際の停止場所を指示する回収手順が決定されてもよい。本実施例の状況情報取得部104は、飛行停止検知部103により上述した停止見込みの検知(ドローン20がこれから飛行停止する見込みであることを検知すること)が飛行停止に関する検知として行われた場合に、その検知が行われたドローン20の現在位置を含む領域に存在するそのドローン20が停止可能な場所の属性を示す情報(属性情報)を状況情報として取得する。
【0129】
ドローン20が停止可能な場所とは、河川敷、海岸、公園及び公共の建築物の屋上及び屋根(自治体等の許可が有るものとする)等である。停止可能な場所の属性とは、広さ、水平方向に対する傾き、周囲にいる人の多さ及び周囲の交通量の多さ等である。これらの属性は、ドローン20を飛行停止させた場合の周囲に対する安全度(周囲の人及び物を害しない度合い)又はドローン20自身の安全度(盗難又は破損の被害に遭わない度合い)のいずれか又は両方を表している。
【0130】
例えば、周囲にいる人が少なく周囲の交通量が少ないほど、周囲に対する安全度及びドローン20自身の安全度が高くなる。また、停止可能な場所が広く、水平方向に対する傾きが小さいほど、安全に着陸できるのでドローン20自身の安全度が高くなる。状況情報取得部104は、例えば、ドローン20が飛行する地域における停止可能な場所の位置情報と、それらの場所の属性とを対応付けた停止場所テーブルを記憶しておく。
【0131】
図10は停止場所テーブルの一例を表す。図10の例では、「公園α」という停止場所に対応付けて、「緯度xx、経度yy」という位置情報と、「人口密度」が「平日日中」は「N11人/m2」、「平日夕方」は「N12人/m2」、「休日終日」は「N13人/m2」という属性が対応付けられている。この「公園α」には、「交通量」が「平日日中」は「N21人/m2」、「平日夕方」は「N22人/m2」、「休日終日」は「N23人/m2」という属性と、「広さ」が「面積A11」で「傾き」が「θ11」という属性が対応付けられている。これらの属性は、予め調査されて記憶されている。
【0132】
なお、全ての停止場所について全ての属性が記憶されているとは限らない。例えば人口密度と交通量だけが記憶されていてもよいし、広さだけが記憶されていてもよい。1つの停止場所に少なくとも1以上の属性が記憶されていればよい。状況情報取得部104は、例えば飛行停止検知部103から供給された停止位置情報が示す位置から所定の距離以内にある停止場所の属性(時間帯毎に属性が対応付けられている場合は現在時刻を含む時間帯の属性)を読み出して、状況情報として取得する。
【0133】
状況情報取得部104は、取得した停止可能な場所の属性情報を回収手順決定部105に供給する。回収手順決定部105は、供給された属性情報、すなわち状況情報取得部104により取得された状況情報に基づいて回収手順を決定する。具体的には、回収手順決定部105は、所定の属性を示す状況情報が取得されたドローン20をその属性の場所で停止させる手順を決定する。回収手順決定部105は、例えば、属性の種類と所定の属性とを対応付けた属性テーブルを記憶しておく。
【0134】
図11は属性テーブルの一例を表す。図11では、「人口密度」という種類の属性には「N1人/m2未満」という所定の属性が対応付けられている。同様に、「交通量」には「N2台/時間未満」が、「広さ」には「面積A1以上」が、「傾き」には「θ1未満」が対応付けられている。回収手順決定部105は、取得された状況情報が示す属性の値が属性テーブルにおいて所定の属性となる値の範囲に含まれている場合に、その属性が取得されたドローン20をその停止場所に停止させる手順を決定する。
【0135】
例えば取得された人口密度「N11人/m2」が「N1人/m2未満」である場合に、回収手順決定部105は、ドローン20を「公園α」に停止させる手順を決定する。なお、「公園α」のように複数の属性を示す属性情報が取得された場合、回収手順決定部105は、例えば1つでも所定の属性であるときにその場所を停止場所としてもよいし、2以上が所定の属性であるときにその場所を停止場所としてもよい。
【0136】
また、回収手順決定部105は、所定の属性を示す状況情報が取得された停止場所が2以上ある場合、例えばランダムに停止場所を選択してもよいし、所定の属性が最も多い停止場所(例えば公園αは「人口密度」だけが所定の属性で公園βは「交通量」及び「広さ」が所定の属性であれば公園β)を選択してもよい。また、回収手順決定部105は、各属性にポイントを定めておき、所定の属性のポイントの合計が最大となる停止場所を選択してもよい。
【0137】
いずれの場合も、本変形例の回収手順決定部105は、属性が異なる複数の停止場所のそれぞれにドローン20を停止させる手順(上記の例では「公園α」に停止させる手順、「公園β」に停止させる手順等)を複数の回収手順として、状況情報に応じた回収手順を上記のとおり決定する。
【0138】
図12は本変形例の回収処理における各装置の動作手順の一例を表す。この例では、図7に表すステップS11(飛行計画の取得)からステップS34(回収処理の実行)までの動作が行われる。ただし、ステップS24の緊急着陸情報の送信がドローン20の着陸前に行われ、ステップS31で、サーバ装置10(飛行停止検知部103)が、停止見込みの検知を飛行停止に関する検知として行う。
【0139】
ステップS32では、サーバ装置10(状況情報取得部104)が、停止見込みの検知が行われたドローン20についての上記の属性情報(そのドローン20の現在位置を含む領域に存在する停止可能な場所の属性を示す情報)を状況情報として取得する。ステップS33では、サーバ装置10(回収手順決定部105)が、所定の属性を示す状況情報が取得されたドローン20をその属性の場所で停止させる手順を決定する。
【0140】
ステップS34では、サーバ装置10(回収処理部106)が、決定された回収手順を実行するための処理である回収処理として、上記属性の場所での停止を指示する指示データを生成する。続いて、サーバ装置10(回収処理部106)は、生成した指示データをドローン20に送信する(ステップS35)。ドローン20(飛行制御部201及び飛行部202)は、受信した指示データが示す場所に着陸する制御を行う(ステップS36)。
【0141】
本変形例では、いずれの場合も、所定の属性の停止場所に着陸した場合の周囲の安全度又はドローン20自身の安全度が、所定の属性でない停止場所に着陸した場合に比べて高くなる属性を所定の属性として定めておけばよい。それにより、属性に関係なく停止場所を選択する場合に比べて、ドローン20が飛行停止したときの上記の安全度を高めることができる。
【0142】
[2−9]飛行体
実施例では、自律飛行を行う飛行体として回転翼機型の飛行体が用いられたが、これに限らない。例えば飛行機型の飛行体であってもよいし、ヘリコプター型の飛行体であってもよい。また、自律飛行の機能も必須ではなく、割り当てられた飛行空域を割り当てられた飛行許可期間に飛行することができるのであれば、例えば遠隔から操縦者によって操作されるラジオコントロール型(無線操縦型)の飛行体が用いられてもよい。
【0143】
[2−10]各部を実現する装置
図6等に表す各機能を実現する装置がそれらの図とは異なっていてもよい。例えばサーバ装置が備える全ての機能又は一部の機能をドローンが備えていてもよく、例えばドローンが自ら状況情報を取得して回収手順を決定し、回収処理を実行してもよい。その場合はドローンが本発明の「情報処理装置」の一例となる。また、各機能が行う動作を他の機能が行ってもよい。例えば異常検知部204が行う動作を飛行停止判断部205が行ってもよい。
【0144】
また、それらの動作を行う機能を新たに設けてもよい。例えばドローン20のセンサ測定部203から送信されてくるセンサ情報を受信する機能(実施例では飛行停止検知部103が実現している機能)を新たに設けてもよい。また、サーバ装置が備える各機能を2以上の装置がそれぞれ実現してもよい。例えば飛行計画取得部101及び飛行指示部102を、ドローン20を飛行させている事業者の装置が実現してもよい。要するに、ドローン管理システム全体としてこれらの機能が実現されていれば、ドローン管理システムが何台の装置を備えていてもよい。
【0145】
[2−11]発明のカテゴリ
本発明は、サーバ装置という情報処理装置と、ドローンという飛行体(ドローンは情報処理装置を兼ねる場合もある)の他、それらの装置及び飛行体を備えるドローン管理システムのような情報処理システムとしても捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【0146】
[2−12]処理手順等
本明細書で説明した各実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾がない限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0147】
[2−13]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0148】
[2−14]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0149】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0150】
[2−15]情報、信号
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0151】
[2−16]システム、ネットワーク
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0152】
[2−17]「に基づいて」の意味
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0153】
[2−18]「及び」、「又は」
本明細書において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
【0154】
[2−19]態様のバリエーション等
本明細書で説明した各実施例は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0155】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12