(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の利点及び特徴、並びにその達成方法は、添付の図面と共に詳述される実施例によって明確になるだろう。しかし、本発明は、下記に開示される実施例に限定されるものではなく、種々の形態に具現可能であり、但し、本実施例は、本発明の完全な開示のため、また、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は、請求範囲の範疇により定義される。従って、いくつかの実施例において、周知の工程ステップ、周知の素子構造、及び周知の技術については、本発明の曖昧な解釈を回避するため、具体的な説明を省略する。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を指称する。
【0015】
図面において、種々の層及び領域を明確に表現するため、厚さを誇張して示す。明細書全般にわたって、類似した部分には同じ図面符号を付してある。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとは、他の部分の「真上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分が存在する場合をも含む。反対に、ある部分が他の部分の「真上」にあるとは、中間に他の部分が存在しないことを意味する。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下」にあるとは、他の部分の「真下」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分が存在する場合をも含む。反対に、ある部分が他の部分の「真下」にあるとは、中間に他の部分が存在しないことを意味する。
【0016】
空間的に相対的な用語である、「下(below)」、「下方(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示されるように、1つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使用されることがある。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加え、使用時又は動作時、素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を裏返す場合、他の素子の「下(below)」又は「下方(beneath)」と記述された素子は、他の素子の「上(above)」に位置されるようになる。従って、例示的な用語である「下」は、上と下の両方を含むことができる。素子は、他の方向への配向が可能であり、それで、空間的に相対的な用語は、配向によって解釈することができる。
【0017】
本発明において、ある部分が他の部分と連結されているとは、直接に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで電気的に連結されている場合を含む。また、ある部分がある構成要素を含むとは、特に反対の記述がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素を更に含むことが可能であることを意味する。
【0018】
本発明書において、第1、第2、第3などの用語は、種々の構成要素を説明するにあたって使用可能であるが、このような構成要素が前記用語によって限定されることはない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく、第1の構成要素を第2又は第3の構成要素などと命名することができ、同様に、第2又は第3の構成要素は、交互して命名することができる。
【0019】
特に断りのない限り、本明細書中に使用される全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が共通して理解することができる意味として使用され得る。なお、一般的に使用される辞典に定義された用語は、別段の定義のない限り、理想的又は過度に解釈されない。
【0020】
以下、
図1〜
図7を参照して、本発明に係る油圧装置の回転速度測定方法を詳述する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るアキシアルピストンポンプにおいてロータリー部の構造を示す断面斜視図であり、
図2は、本発明の一実施例に係るアキシアルピストンポンプの例を概略的に示す縦断面図である。
【0022】
図1においては、内部構成品の構造を明確に示すため、外部のケーシングやバルブプレート後方のバルブブロック(又は、カバー)などの構成については、図示を省略する。
【0023】
図1及び
図2を参照してアキシアルピストンポンプ1の構造について説明すると、ケーシング10の内部中央に、ベアリング11などで支持されて設けられる駆動軸20を備え、この駆動軸20に傾斜するように斜板30が設けられている。
【0024】
また、ケーシング10の内部には、駆動軸20にスプライン結合されたシリンダブロック40が設けられ、シリンダブロック40には、多数のピストン室(シリンダ)Cが設けられ、各ピストン室Cの内には、一端部のボール42が斜板30に当接しているシュー32にジョイントされたピストン41が挿入される。
【0025】
前記シリンダブロック40が回転する間、各ピストン室Cの内部空間は、シリンダブロック40の後面に形成された開口部Bを介して、バルブプレート50の吸入ポートS及び吐出ポートTと連通されるようになっている。
【0026】
また、前記ケーシング10の後端部において、バルブブロック12の内側(前方)には、吸入ポートSと吐出ポートTとが設けられたバルブプレート50が固定して設けられている。
【0027】
前記バルブプレート50は、ケーシング10内に設けられた状態で、その後面が後方のバルブブロック12の対応面(内側面)に密着状態で向かい合って当接しており、前面は、駆動軸20と一体に回転されるシリンダブロック40の後面が密着状態で当接してスライドされるスライディング面51となっている。
【0028】
上述のように構成されるアキシアルピストンポンプ1においては、駆動軸20が、中心軸Oを中心に回転する時、ケーシング10に内蔵されたシリンダブロック40が一体に回転され、これと同時に、ピストン41は、当該ピストン室Cの内で上死点と下死点との間を往復運動しながら、バルブプレート50の吸入ポートSを介してピストン室C内に流体を吸入し(ピストンが上死点から下死点に移動する場合)、又は、ピストン室C内の流体を押し出してバルブプレート50の吐出ポートTを介して吐出させるようになる(ピストンが下死点から上死点に移動する場合)。
【0029】
即ち、前記駆動軸20とシリンダブロック40とが一体に回転される時、ピストン41の一端部を支持するシュー32及びシュープレート31(
図2には図示省略)が、斜板30の上をスライドしながら回転し、これにより、ピストン41が斜板30の傾斜によって、前後に往復運動するようになる。
【0030】
また、前記駆動軸20とシリンダブロック40とが一体に回転される時、シリンダブロック40は、バルブプレート50に対して相対的に回転するところ、シリンダブロック40は、バルブプレート50のスライディング面51に密着状態で当接してスライドし、流体は、シリンダブロック50の後面に形成されたピストン室Cの開口部Bがバルブプレート50の吸入ポートSと連結される時にピストン室Cの内部に吸入され、ピストン室Cの開口部Bがバルブプレート50の吐出ポートTと連結される時にピストン室Cの外部に吐出される。
【0031】
勿論、この時の流体の吸入と吐出は、ピストン室Cが当該ポートT、Sに連結された状態で、各ピストン室C内のピストン41が斜板30によって往復運動することで行われる。
【0032】
なお、上述のようにポンプ作用を遂行する間、シリンダブロック40に形成されたそれぞれのピストン室C内には圧力の変動が発生し、1つのピストン室Cにおいて圧力が変動する過程は、圧力上昇過程と圧力下降過程とを含む。
【0033】
このような圧力の変動は、起振力として作用することで装置全体を振動させ、その結果、騒音が発生されるところ、もし圧力上昇過程と圧力下降過程とで圧力の急激な変動が起こると、騒音の大きさが増大されるだけでなく、騒音の高周波成分が大きくなり、結果として耳障りとなる騒音が発生する。
【0034】
また、傾斜した斜板30に対してシリンダブロック40を回転させることで流体を吸入、吐出する斜板式アキシアルピストンポンプ1では、必然的に、流量脈動による圧力脈動が発生する。
【0035】
以下、
図3〜
図6を参照して、
図1及び
図2のような油圧装置の回転速度を測定する方法を具体的に説明する。
【0036】
図3は、油圧装置から測定された圧力脈動の波形を示す図であり、
図4は、
図3の圧力脈動波形から特定期間中の圧力脈動を拡大して示す図である。
【0037】
図3は、例えば、
図1及び
図2のアキシアルピストンポンプ1の動作時に発生される圧力脈動波形であることができる。
【0038】
例えば、
図3に示されるように、アキシアルピストンポンプ1の圧力は、経時的に変化する。この経時的圧力変化は、圧力脈動として定義され得る。
【0039】
油圧装置の圧力脈動は、センサによって測定することができる。センサは、例えば、アキシアルピストンポンプ1に配置することができる。なお、前記センサは、例えば、圧力センサ及び振動センサのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0040】
油圧装置の圧力脈動は、予め設定された時間によって規則的に検出され得る。例えば、圧力脈動は、センサによって、0.1秒の間隔で検出され得る。
図3には、一番目の0.1秒の期間(T1:以下、「第1の期間」)中に検出された圧力脈動の波形を示す拡大図、及び、二番目の0.1秒の期間(T2:以下、「第2の期間」)中に検出された圧力脈動波形を示す拡大図が示されている。
【0041】
なお、
図4は、0.1秒間、油圧装置から発生した圧力脈動の波形を示す図である。
図4は、
図3の第1及び第2の期間のうちのいずれか1つの期間に発生した圧力脈動を示す拡大図であることができる。例えば、
図4は、
図3の第2の期間を示す拡大図であることができる。
【0042】
図5は、
図4の圧力脈動波形が高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によって処理された時の波形を示す図である。
【0043】
図4の振幅−時間の関係の圧力脈動波形は、高速フーリエ変換を通じて、
図5に示されるように、振幅−周波数の関係の圧力脈動波形に変換され得る。即ち、
図5は、振動数に応じて振幅が変化する圧力脈動波形を示す。
【0044】
図5の圧力脈動波形は、互いに異なる周波数を有する複数の周波数成分を含むことができる。例えば、
図5の圧力脈動波形は、第1の周波数成分F1、第2の周波数成分F2、及び第3の周波数成分F3を含むことができる。第1の周波数成分F1は、基本波に該当することができ、第2の周波数成分F2及び第3の周波数成分F3は、それぞれ、一次高調波及び二次高調波に該当することができる。
【0045】
これらの周波数成分F1、F2、F3、及び油圧装置のピストン41の数に基づいて、油圧装置の回転速度を検出することができる。
【0046】
例えば、油圧装置の回転速度ω
rpmは、下記のような数1に基づいて算出することができる。
【数1】
【0047】
前記数1中の、f
nは、第n次の周波数成分の周波数(又は、ピーク周波数)を、f
n−1は、第n−1次の周波数成分の周波数(又は、ピーク周波数)を、及び、Z
pistonは、油圧装置に備えられたピストン41の個数を意味する。ここで、nは、1より大きい自然数を意味する。
【0048】
一例として、
図5中の、第1の周波数成分のピーク周波数f
n−1が270[Hz]であり、第2の周波数成分のピーク周波数f
nが540[Hz]であり、
図1及び
図2に示されたアキシアルピストンポンプ1が9個(Z
piston)のピストン41を含む場合、当該アキシアルピストンポンプ1の回転速度ω
rpmは、前記数1によって、1800[rpm又はrev/min]と算出される。
【0049】
他の実施例において、油圧装置の回転速度ω
rpmは、下記のような数2に基づいて算出することができる。
【数2】
【0050】
前記数2中の、f
maxは、最大振幅を有する周波数成分の周波数を意味し、及び、Z
pistonは、油圧装置に備えられたピストン41の個数を意味する。
【0051】
一例として、
図5中の、第1、第2及び第3の周波数成分F1、F2、F3のうち、第1の周波数成分F1が最大振幅(amplitude)を有するところ、このような場合、数2中のf
maxは、第1の周波数成分F1の周波数(例えば、270[Hz])であることができる。このとき、
図1及び
図2に示されたアキシアルピストンポンプ1が9個(Z
piston)のピストン41を含む場合、当該アキシアルピストンポンプ1の回転速度ω
rpmは、前記数2によって、1800[rpm又はrev/min]と算出され得る。
【0052】
なお、最大振幅の周波数成分は、第1次の周波数成分であることができる。
【0053】
また他の実施例において、油圧装置の回転速度ω
rpmは、下記のような数3に基づいて算出することができる。
【数3】
【0054】
前記数3中の、f
cは、隣接周波数成分間の差の周波数に対する、平均周波数に最も近接した周波数成分の周波数を意味し、及び、Z
pistonは、油圧装置に備えられたピストン41の個数を意味する。
【0055】
一例として、
図5中の第1の周波数成分F1のピーク周波数f
n−1が270[Hz]であり、第2の周波数成分F2のピーク周波数f
nが540[Hz]であり、第3の周波数成分F3のピーク周波数が810[Hz]である場合、第1の周波数成分F1のピーク周波数と、これに隣接した第2の周波数成分F2のピーク周波数との間の差の周波数は、270[Hz]であり、また、第2の周波数成分F2のピーク周波数と、これに隣接した第3の周波数成分F3のピーク周波数との間の差の周波数は、270[Hz]である。従って、全ての差の周波数の平均は、270[Hz]である。この平均周波数(即ち、270[Hz])に最も近接した周波数成分は、第1の周波数成分F1であって、この第1の周波数成分の周波数は、270[Hz]である。このような場合、数3中のf
cは、270[Hz]である。従って、
図1及び
図2に示されたアキシアルピストンポンプ1が9個(Z
piston)のピストン41を含む場合、当該アキシアルピストンポンプ1の回転速度ω
rpmは、前記数3によって、1800[rpm又はrev/min]と算出される。なお、他の要因によって、平均周波数と、この平均周波数に最も近接した周波数成分の周波数とは、異なることがあり得る。
【0056】
図6は、
図5の周波数成分の周波数及び数式に基づいて算出された各期間別の油圧装置の回転速度を示す図である。例えば、
図6中の、第1の点P1は、上述の第1の期間T1中に発生した油圧装置の圧力脈動に基づいて算出された当該油圧装置の回転数を表し、及び、第2の点P2は、上述の第2の期間T2中に発生した油圧装置の圧力脈動に基づいて算出された当該油圧装置の回転数を表すことができる。
【0057】
図7は、本発明の油圧装置の回転速度測定方法を示す図である。
【0058】
先ず、本発明に係る油圧装置の回転速度測定方法の第1のステップS1によれば、油圧装置の圧力脈動が検出される。これは、上述のように、油圧装置に取付けられたセンサによって検出することができる。
【0059】
以後、本発明に係る油圧装置の回転速度測定方法の第2のステップS2によれば、検出された圧力脈動は、フーリエ変換される。例えば、振幅−時間の関係の圧力脈動波形は、高速フーリエ変換によって振幅−周波数の関係の圧力脈動波形に変化することができる。
【0060】
次に、本発明に係る油圧装置の回転速度測定方法の第3のステップS3によれば、フーリエ変換された圧力脈動に基づいて油圧装置の回転速度を検出することができる。
【0061】
本発明の油圧装置の回転速度測定方法によれば、既存の圧力センサを用いて獲得された圧力脈動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された圧力脈動に基づいて油圧装置(又は、油圧部品)の回転速度を検出することができる。従って、単純な方法で油圧装置の故障診断を行うことができ、また、油圧装置の寿命を予測することができる。
【0062】
さらに、本発明の回転速度測定方法は、他の油圧装置、例えば、油圧モータ(hydraulic motor)、ベーンポンプ(vamp pump)及びギヤポンプ(gear pump)にも適用可能である。なお、本発明の回転速度測定方法がギヤポンプに適用される場合、前記数式におけるピストンの数は、ギヤの歯数に代替可能である。
【0063】
以上のような本発明は、上述の実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で種々に置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、容易に理解できるであろう。