特許第6968980号(P6968980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968980
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】改良型油浸撮像フローサイトメータ
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20211111BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G01N15/14 D
   G01N21/05
   G01N21/64 E
   G01N21/17 A
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-506707(P2020-506707)
(86)(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公表番号】特表2020-516919(P2020-516919A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】US2017057798
(87)【国際公開番号】WO2018190908
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2020年10月23日
(31)【優先権主張番号】15/487,884
(32)【優先日】2017年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519370773
【氏名又は名称】フルイド イメージング テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シエラッキ クリスチャン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン ケント エー.
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0273774(US,A1)
【文献】 特開昭61−182549(JP,A)
【文献】 特開2008−032659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
G01N 21/05
G01N 21/64
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体内の粒子を撮像するためのシステムであって、
屈折率を有するフローチャンバであって、壁及び経路を有し、該経路は、任意の速度で前記液体を通して移送するように配置されている、フローチャンバと、
前記フローチャンバ内の前記液体を照らすように配置された光源と、
前記フローチャンバ内の前記液体へのバックライトを合焦させる高開口数集光レンズと、
前記光源が前記液体を照らす場所において、前記フローチャンバの前記壁に配置することが可能な液浸油と、
前記液浸油内に配置することが可能なレンズを含み、前記フローチャンバからの入射光放射を受けるよう配置された高開口数対物レンズと、
前記高開口数対物レンズを通して検出された前記液体内の粒子の画像を取り込むための手段と、
前記フローチャンバの側壁に接合され、前記フローチャンバの前記側壁の表面の上部に、前記フローチャンバの前記側壁を超えて前記液浸油が通過することを制限するのに十分な間隔を隔てる補強ワイヤと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記補強ワイヤは、一対の補強ワイヤとして形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記補強ワイヤは、ステンレス鋼又は同様の剛性を持つ他の鋼から作られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フローチャンバの前記壁、及び、前記液浸油は、実質的に等しい屈折率を有し、前記液浸油の前記屈折率は、前記高開口数対物レンズの前記屈折率に実質的に適合するように選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記高開口数集光レンズ及び前記高開口数対物レンズは、それぞれ約1.1から約2.0の範囲の開口数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記高開口数集光レンズ及び前記高開口数対物レンズは、それぞれ、約1.25の開口数を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記高開口数集光レンズによって前記フローチャンバへ合焦されるバックライトを発生させるためのバックライト発生装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記バックライト発生装置は、任意の時間にかけて高輝度フラッシュを生成するよう配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記バックライト発生装置は、発光ダイオードフラッシュである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
画像を取り込む前記手段は、画像取り込みシステム及び演算装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記画像取り込みシステムは、ビデオカメラである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
検出エレクトロニクスをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記検出エレクトロニクスは、一つ以上の発光フィルタ及び一つ以上の高感度光電子増倍管を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記フローチャンバは、矩形の形状で配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記フローチャンバの前記壁の厚さは、実質的に顕微鏡のカバースライドの厚さに適合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記高開口数対物レンズは、前記フローチャンバの前記経路の断面を通って、焦点を維持するための焦点の範囲を含むように選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記高開口数コンデンサはレンズを含み、前記液浸油は、前記高開口数対物レンズに隣接する前記液浸油の位置と実質的に反対となる、前記フローチャンバの前記壁の外面における第2の場所に配置され、前記高数コンデンサレンズの前記レンズは、前記第2の場所における前記液浸油内に配置可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記フローチャンバの前記壁及び前記液浸油は、実質的に等しい屈折率を有し、前記液浸油の前記屈折率は、前記高開口数対物レンズ及び前記高開口数コンデンサの前記屈折率に、実質的に適合するように選択される、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
1.発明の分野
本発明は、該して、粒子分析計器に使用されるオプティカルフローの撮像及び解析構成の向上、特に、フローチャンバ、液浸油、高開口数オプティクスを内蔵し、高開口数の油浸対物レンズを含む、高開口数オプティカルフロー撮像システムの向上に関する。
2.従来技術の説明
該技術は、分析機器内の液体を、撮像/光学的解析エリアへと運搬するのに採用される、種々の光学的/流動システムで見られてきた。通常、液体試料はフローチャンバの穴の中へ運ばれ、そして、同試料は、試料の性質又は特性に関する分析情報を生成すべく、何らかの方法にて検査される。例えば、レーザービームは、毛管の穴に存在する試料を、信号情報をあらわす蛍光エネルギーの放射にて励起しても良い。
【0002】
光学的観点では、従来技術における対物レンズ及びフローチャンバは、中開口数(NA)のものであった。典型的なフローサイトメータは、小径の、中空同軸円筒型又は長方形型のボアを有する、円筒又は長方形のガラスロッドを備えており、そこに分析対象の試料が配置される。試料が配置されると、低〜中の開口数(NA)のオプティクス(例:NA=0.6)にて、通常は空中対物レンズで光学的分析が行われる。既存のフローサイトメトリシステムは、そのような低〜中の開口数オプティクスのみを採用しているが、理由として、それらは使用しやすく、また、対象液体が、単に高開口数オプティクスを使用できないほど厚いロッド壁の厚み分だけオプティクスから離されているという制約に対処するのに、より適していると考えられているためである。
【0003】
空中顕微鏡対物レンズによる、フローセルへ、そしてフローセルからの光学的撮像における非効率な点には、凡庸な解像度、試料からの撮像照明エネルギーの収集が適量以下であること、蛍光励起光による試料の照度が適量以下であること、試料からの蛍光発光の収集が適量以下であること、が含まれうる。
【0004】
本発明の所有者は、前述の制約を実質的な方法で解消するシステムについて、米国特許7,796,256を取得している。具体的には、該先行特許は、撮像解像度及び蛍光励起や蛍光発集光を慎重に最適化するため、油液浸対物レンズを利用した撮像フローサイトメータを開示している。しかしながら、前述の特許7,796,256に記載のシステムは、ガラスへのごく僅かな圧力により割れかねない、極めて脆弱なフローセルを利用している。また、この構成は、フローセルと対物レンズとの間、そして集光レンズからの液浸油の滴り落ちを防ぐことを困難にしている。それゆえ、該技術には、堅牢性を高めるため、そして、先行特許のシステムにおける、液浸油がレンズ及びフローセル間から滴り落ちる傾向を減少させるべく、単純かつ経済的な機構が必要である。
[発明の概要]
本発明の目的は、フローセルにおける高い耐久性、及び、液浸油における高い保持力を有する、改良型撮像フローサイトメータを提供することである。また、本発明の目的は、例えば、米国特許7,796,256に記載のフローサイトメータなどを含む、既存の撮像フローサイトメータに組み込まれうる、又はそれのフローセルと同様に作用するフローセルを提供することでもある。これら、そしてその他の目的は、本発明において、より耐久性の高いフローセル、及び、粒子分析に使用されることのない、フローセルの側壁に隣接するよう構成された補強ワイヤの採用を備えることで達成される。
【0005】
本発明は、フローセルを有するフローチャンバ、撮像対物レンズ、撮像光源、油浸対物レンズ、及び該フローチャンバに適合した高開口数コンデンサを備える光システムである。油浸対物レンズとフローチャンバは、高屈折率の液浸油を含み、光学解像度及び該液浸油を通じた光学結合を向上させる。撮像光源は、撮像カメラに合焦される前に、コンデンサ、フローチャンバ、その後対物レンズを通過する光を生成する。蛍光励起は、対物レンズを通過し、油浸構成によって、対物レンズを通し合焦と光の回収を向上させる場所であるフローチャンバへと到達する。この組み合わせにより、このようなシステムを使用する当業者が、撮像システムにおいて高撮像解像度を理解することができるようになる。本発明の改良点は、フローセルの一面に取り付けられ、実質的にフローセルの該一面に凹凸なしに接触しており、その後フローセルの該一面が顕微鏡コンデンサに接触するように構成されている一対の補強ワイヤなど、複数の補強ワイヤを採用していることである。フローセルの別の一面にも、ワイヤは取り付けられているが、フローセルのガラス面より上に延びるよう配置されており、それによって、フローセルの接触面から液浸油が漏れるのを防ぐためのバリヤを提供している。これらのワイヤは所定の位置に、例えば、フローセルの端まで、接着剤やセメントなどを使って固定されている。これにより、剛性を与えることでワイヤはフローセルの構造を補強し、フローセルが加圧された場合に撓んでしまうのを防ぐ。撮像のため、フローセルがコンデンサ上に置かれている際、油の表面張力により液浸油は固定され、補強ワイヤを取り付けることによるフローセルの撓みは軽減される。対物レンズとフローセルとの間に油が置かれている際には、フローセルを取り巻くワイヤの突出側は、表面の盛り上がりを形成し、ワイヤが作り出す縁無しに、実質的に可能な時間以上にかけて、油が漏れることを防いでいる。本システムは、既存の撮像サイトメトリで取得可能なものに比べ、より鮮明で詳細な撮像を提供する。さらに、該発明は液体内の微小粒子の画像を生成することを可能にし、観察された粒子の細部の撮像を可能にする。またさらに、本発明は、より小さく脆弱な蛍光粒子の検出を可能にする。
【0006】
本発明におけるこれらの、そしてその他の利点は、次の詳述、付属図面、そして請求項を確認すれば、すぐに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態における、液体中の粒子を調査するためのシステムを概略的に表す。
図2図2は、図1のシステムの油浸オプティクス及びフローチャンバの拡大斜視図である。
図3図3は、対物レンズ(上部)とコンデンサ(下部)間のフローセルとワイヤを伴った、本発明のフローセル補強の断面を概略的に表す。
図4図4は、コンデンサの上のフローセル及びワイヤの図である。
図5図5は、油浸撮像フローサイトメータ内の、改良型フローセル構成の側面の近接図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高品質自動カウント、及び液体中に存在する粒子の撮像に適した本発明のシステム10は、図1及び図2に示される。システム10は、フローチャンバ15、光源30、オプティクス35、イメージ検出システム40、バックライト発生装置50、画像取り込みシステム60、演算装置65、高開口数対物レンズ75、液浸油90、高開口数コンデンサレンズ95を含む。本明細書に記載されているように配置され構成されたシステム10のこれらの部品の組み合わせにより、使用者は、既存のフローサイトメータでは成し得なかった、液体中の粒子の検出や、これらの粒子の高解像度画像を生成することができる。
【0009】
フローチャンバ15は、観察対象の粒子入り液体を受容する注入口20、及び、撮像が行われた後、フローチャンバ15から放出される液体が通る放水口25を含む。フローチャンバ15は、低蛍光の構成である。すなわち、フローチャンバ15は、例えば、顕微鏡ガラス又は長方形のガラス押出部を含むがこれらに限らない、すぐに蛍光を発しない物質から作製されても良い。フローチャンバ15は、円形又は矩形の形状であっても良い。フローチャンバ15により、予め設定された任意の速度で、液体が通って流れる経路15aが画定される。経路15aは矩形の構成であっても良い。ここに記載された高開口数対物レンズ75の製造者が、適切であると考える厚さに実質的に適合した肉厚にて、フローチャンバ15は製造される。例えば、フローチャンバ15の肉厚は、実質的に顕微鏡のカバースライドの厚さに適合しているべきものである。フローチャンバ15の注入口20は、流体源に接続可能であり、放水口25は、フローチャンバ15から流体を運搬するための、下流にある手段へと接続可能である。
【0010】
光源30は、蛍光を生成し、オプティクス35を通過してフローチャンバ15へ達する励起光を分散させるために使用され、粒子の蛍光及び/又は光の散乱を引き起こす。光源30は、励行フィルタ33を有するレーザ30であっても良い。レーザ30は、これらに限らないものの、当業者が知る数々の製造業者から入手可能な470ナノメータ(nm)、488nm又は532nmの固体モデルのレーザであっても良い。励行フィルタ33は、少なくとも、レーザ30が生成する光の波長より長い波長の光を透過させることのできる特性を有すべきものである。励行フィルタ33の適切な形態の例として、アメリカのバーモント州ロッキンガムにある、Chroma Technologies社から入手可能な488nmレーザとともに使用できるタイプの505DCLPのロングパスフィルタが挙げられる。当業者であれば、この他に、励行フィルタ33に採用されうる適切なフィルタを認識するであろう。
【0011】
535から900nmの波長を有する、フローチャンバ15からの粒子蛍光発光は、少なくとも1つ以上の発光フィルタ43、及び1つ以上の高感度光電子増倍管(PMT)44を含む、検出システム40により検出される。発光フィルタ43は、少なくとも所望の蛍光色素の蛍光発光に対し透過的である特性を有しているべきものである。発光フィルタ43の適切な形態の例として、アメリカ、バーモント州ロッキンガムのChroma Technologies社から入手可能な570/40フィコエリスリン発光フィルタが挙げられる。 当業者であれば、発光フィルタ43に採用されうる、その他の適切なフィルタを認識するであろう。PMT44は、少なくとも所望の蛍光発光に敏感である特性を有しているべきものである。PMT44の適切な形態の例として、アメリカ、ニュージャージー州ブリッジウォーターのHammamatsu company社から入手可能なH9656−20型が挙げられる; 当業者であれば、PMT44に採用されうる、その他同等のPMTを認識するであろう。
【0012】
PMT44出力からの出力は、検出エレクトロニクス45によって処理される。検出エレクトロニクス45は、使用者により調整された利幅、及び、システム10が通過する粒子を確認するのに必要な蛍光量又は散乱を決定する閾値設定を含んでいることが好ましい。検出エレクトロニクス45は、入力信号を受信し、システム10の使用者の具体的なニーズに合致した出力情報を生成するよう構成されていても良い。信号起動を実施可能であり、システム10の検出エレクトロニクス45に関連した情報を出力する、適切なエレクトロニクスシステムの例として、2000年9月5日に発行された米国特許6,115,119に記載の検出エレクトロニクスが挙げられ、同特許の全ての内容は、参照により本願に組み込まれる。一般的な当業者であれば、そこに記載されている具体的なエレクトロニクスシステムは、例えば所望の信号起動を発動させたり、所望の出力情報の受信信号を扱ったりするためなど、適切なプログラミングなどを通じて改変されうることを認識するであろう。
【0013】
充分な蛍光粒子がフローチャンバ15を通過すると、PMT44からの蛍光信号は検出エレクトロニクス45へと送信され、その後、検出エレクトロニクス45は、演算装置65へと送信される1つ以上のトリガ信号を生成する。演算装置65は、検出エレクトロニクス45から受け取る情報を記憶し、検出される粒子に関連した計算を行うようプログラムされている。例えば、これに限定されるものではないが、演算装置65は、検出される粒子の蛍光、粒子の形状、粒子の寸法、そして粒子の特定の特徴に関する特定の情報を提供するようプログラムされていても良い。演算装置65は情報受信、1つ以上の処理装置におけるソフトウエアプログラムの実行、そして、画像やデータを含むがこれらに限らず、ユーザインターフェース上に観察されうる情報出力の生成に適した、あらゆる種類の演算システムであっても良い。
【0014】
検出エレクトロニクス45は、演算装置65を通じ、バックライト発生装置50に直接的又は間接的に結合されても良い。特に、検出エレクトロニクス45及び/又は演算装置65は、システム10の使用者が任意の時間間隔で、自動的にトリガ信号を発生させる設定を、代わりに選択しうる配置を含んでいても良い。発生したトリガ信号は、閃光を発生させるよう、バックライト発生装置50の運転を起動する信号を生成する。具体的には、バックライト発生装置50は、発光ダイオード(LED)、又は、フローチャンバ15をバックライトで照らし、通過する粒子を撮像するのに十分な輝度の光を生成する、他の適切な光発生手段であっても良い。極めて高輝度のLEDフラッシュは、670nmのLEDフラッシュ、又は、200μsec(もしくはそれ以下)用のフローチャンバ15の片側にフラッシュされる、その他の適切な波長のフラッシュであっても良い。同時に、フローチャンバ15の逆側に配置された画像取り込みシステム60は、高輝度フラッシュの発生時に、液体内の粒子の瞬時画像を「フリーズした」状態で取り込むために起動される。画像取り込みシステム60は、取り込んだ画像を保持するか、それを演算装置65へ送るか、又は2つの組み合わせのいずれかで配置される。画像取り込みシステム60は、デジタルカメラ、又は、フレームグラバ又は画像保持のための他の手段が付いたアナログカメラの特性を含む。例えば、しかし、決して当該システムのこの特定の部品に限ったことではないが、画像取り込みシステム60は、これらに限らないが、CCDファイアワイア、USBベースのCCDカメラ、又は、画像取り込みに使用でき、好ましくはさらなる演算装置を含み、もしくは、画像を保持するという目的の、それらの画像を望むままに操作する演算装置に結合されうる、他の適切な装置であっても良い。演算装置65は、画像取り込みシステム60が取り込む粒子の寸法や形状を測定し、及び/又は後に分析するデータを保管したりするようプログラムされても良い。
【0015】
本発明のシステム10の使用に関連した、改良版撮像能力の一局面は、図3から5に示される一対の補強ワイヤ5であって、フローチャンバ15の側壁を堅くし、液浸油90の周囲を縁取る一対の補強ワイヤ5を含むことであり、液浸油90がフローチャンバ15の側面から溢れることを防ぐ。本発明の使用に関連して向上した耐久性の一局面は、補強ワイヤ5を含むことである。補強ワイヤ5は、脆いフローチャンバ15が、使用中に撓んだり破損したりするのを防ぐ助けをする。また、同ワイヤは、液浸油90に対する天然のバリヤの役割を果たし、フローチャンバ15と高開口数コンデンサレンズ95との間、及び、フローチャンバ15と高開口数対物レンズ25との間に、液浸油90を固定している。補強ワイヤ5は、フローチャンバ15の側壁に対し、構造支持体を提供するのに十分でありつつ、データ収集を妨げたり或いはデータ収集に影響したりするほどの厚さではない材料から作られる。例えば、補強ワイヤ5は、直径0.018インチ±0.0002インチのステンレス鋼から作られても良い。補強ワイヤ5は、マサチューセッツ州ノーウッドのApplied Plastics社から入手可能な、品番400202のワイヤから作られても良い。補強ワイヤは、ここに記載の支持体を提供できるほどに十分な構造的一体性を有する、他の材料から作られても良い。フローチャンバ15は、ニュージャージー州マウンテンレイクスのVitrocom corporation社の品番5015−050であっても良い。
【0016】
液浸油90は、システム使用時には、フローチャンバ15の壁17の外面16に接触し、高開口数対物レンズ25のレンズと接触するよう配置されている。液浸油90は、画像取り込みシステムが取り込む液体画像を通し、フローチャンバ15の壁17の屈折率に実質的に適合するよう選択された屈折率(n)を有する。液浸油90は、香港のMotic Incorporation Ltd.社から入手可能なMF02020液浸油であっても良い。
【0017】
高開口数コンデンサレンズ95は、バックライト発生装置50からの高輝度フラッシュを、流路15a内の撮像される液体の部分に合焦させることで、その液体部分を明瞭に照らし出すのを助ける。高開口数コンデンサレンズ95は、開口数約1.25の特性を含み、香港のMotic Incorporation Ltd.社から入手可能な、出願公開特許2354932の、開口数1.25のアッベコンデンサであっても良い。高開口数対物レンズ75は、照らされた画像を画像取り込みシステム60に合焦させるよう配置されている。また、高開口数対物レンズ75は、光源30からの蛍光励起光をフローチャンバ15上に合焦させる。さらに、高開口数対物レンズ75は、成果物の粒子蛍光又は分散光を、検出システム40のPMT40上に合焦させる。高開口数対物レンズ75は、画像処理中に液浸油90に浸されるよう配置されたレンズ76を含む。高開口数対物レンズ75は、合焦範囲、又は、実質的に流路15aの断面全体を通して、焦点が保たれることが保証されている「作動距離」を、有するように選択される。さらに、高開口数対物レンズ75は、開口数が0.7以上の特性を含み、香港のMotic Incorporation Ltd.社から入手可能な、EF Plan 100X/1.25NAであっても良い。
【0018】
液浸油90及び油浸高開口数対物レンズ75の配置により確立された、結果として生じるシステム10の開口数(約1.1から2.0の範囲内であり、一般的には約1.25)は、空中ベースの対物レンズシステムの開口数(約0.6)よりかなり高い。解像度、又は、より細部を見ることのできる能力は、約0.6の開口数が確立される従来のフローサイトメータに比べ、システム10に応じてより小さかったり繊細であったりし、以下の式により証明される(1.0):
解像度 = 0.61* 撮像の波長/開口数 (1.0)
高開口数対物レンズ75、液浸油90、及び、高開口数コンデンサレンズ95を含む、オプティクス35を有する本発明のシステム10は、既存の撮像サイトメトリで得られうるよりも鮮明な画像、より詳細な撮像を生成するフローサイトメトリ能力を生成する。さらに、フローチャンバ15の壁17の側面16に取り付けられる補強ワイヤ5を含んでいることは、フローチャンバ15の構造を物理的に強化し、システム10を従来システムよりも屈強にしている。さらに、過去の液浸油漏出が、フローチャンバ15と、開口数対物レンズ75やコンデンサレンズ95との間に、望まない穴を形成するが、フローチャンバ15から漏れ出した液浸油を交換する必要なしに、補強ワイヤ5によってシステム10は長期間使用が可能になる。
【0019】
本発明を例証するため、1つ以上の例示的な実施形態を説明してきた。しかし、本発明は、その精神や技術的範囲から逸脱することなく、種々の変形をとり得ることはいうまでもない。従って、別紙請求項の範囲内で、他にも実施形態はある。
図1
図2
図3
図4
図5