(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6968994
(24)【登録日】2021年10月29日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】OLEDパッケージ方法およびOLEDパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H05B 33/10 20060101AFI20211111BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20211111BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/04
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-522386(P2020-522386)
(86)(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公表番号】特表2020-537814(P2020-537814A)
(43)【公表日】2020年12月24日
(86)【国際出願番号】CN2017113695
(87)【国際公開番号】WO2019085115
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年4月20日
(31)【優先権主張番号】201711060227.5
(32)【優先日】2017年11月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】李 文杰
【審査官】
辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/143337(WO,A1)
【文献】
特開2011−113737(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0182314(US,A1)
【文献】
特開2012−086393(JP,A)
【文献】
特開2013−016395(JP,A)
【文献】
特表2011−520216(JP,A)
【文献】
特開2010−160906(JP,A)
【文献】
特開2010−244696(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/001573(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/10
H01L 51/50
H05B 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFT基板を提供し、前記TFT基板上にOLEDデバイスを作製し、前記OLEDデバイスの外表面上に前記OLEDデバイスを被覆する第1パッシベーション層を形成する、ステップS1と、
前記第1パッシベーション層の外表面上に、前記第1パッシベーション層を被覆する紫外線吸収層を形成し、前記紫外線吸収層は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層は、透明であり、前記有機樹脂が、ポリメチルメタクリレートを含み、前記無機粒子が、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含む、ステップS2と、
パッケージカバーを提供し、前記パッケージカバーのOLEDデバイスに対応する周辺領域にフレームシールを塗布して、前記パッケージカバーのフレームシールで囲まれた領域内に封止材を設ける、ステップS3と、
パッケージカバーとTFT基板とを位置合わせして組み合わせ、フレームシールをTFT基板及びパッケージカバーにそれぞれ接着して、TFT基板とパッケージカバーとの間に密閉空間を形成し、前記封止材を前記密閉空間内に充填する、ステップS4と、
を含むOLEDパッケージ方法。
【請求項2】
前記紫外線吸収層の紫外線透過率が5%未満であり、可視光透過率が80%を超え、前記紫外線吸収層の厚さが1μm〜10μmであり、前記紫外線吸収層中の前記無機粒子の含有量が0.1vol%〜1.0vol%であり、前記無機粒子の粒径が1nm〜150nmである、請求項1に記載のOLEDパッケージ方法。
【請求項3】
前記紫外線吸収層の製造方法が、有機樹脂前駆体溶液に無機粒子を分散させて紫外線吸収液を調製し、前記紫外線吸収液を、スピンコート、滴下、インクジェットプリンタ、流延成膜、及びノズルプリティングのうちの1種又は複数種を含む溶液成膜法を用いて、前記第1パッシベーション層の外表面上に成膜し、硬化して紫外線吸収層を得ることである、請求項1に記載のOLEDパッケージ方法。
【請求項4】
前記ステップS2が、さらに、前記紫外線吸収層の外表面上に、前記紫外線吸収層を被覆する第2パッシベーション層を形成するステップを含む、請求項1に記載のOLEDパッケージ方法。
【請求項5】
対向配置されるTFT基板およびパッケージカバーと、TFT基板とパッケージカバーとの間に設けられかつTFT基板上に配置されるOLEDデバイスと、前記OLEDデバイスの外表面上に設けられかつ前記OLEDデバイスを被覆する第1パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層の外表面上に設けられかつ前記第1パッシベーション層を被覆する紫外線吸収層と、TFT基板とパッケージカバーとの間に設けられかつTFT基板とパッケージカバーとの間に密閉空間を形成するフレームシールと、前記密閉空間内に充填される封止材と、を含み、
前記フレームシールは、前記OLEDデバイスの周辺に設けられ、前記紫外線吸収層は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層は、透明であり、前記有機樹脂が、ポリメチルメタクリレートを含み、前記無機粒子が、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含む、OLEDパッケージ構造。
【請求項6】
前記紫外線吸収層の紫外線透過率が5%未満であり、可視光透過率が80%を超え、前記紫外線吸収層の厚さが1μm〜10μmであり、前記紫外線吸収層中の前記無機粒子の含有量が0.1vol%〜1.0vol%であり、前記無機粒子の粒径が1nm〜150nmである、請求項5に記載のOLEDパッケージ構造。
【請求項7】
さらに、前記紫外線吸収層の外表面上に設けられかつ前記紫外線吸収層を被覆する第2パッシベーション層を含む、請求項5に記載のOLEDパッケージ構造。
【請求項8】
前記第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の材料が、いずれも窒化シリコンを含み、前記第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の厚さが、いずれも500nm〜800nmであり、前記封止材が、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの1種又は複数種を含む、請求項7に記載のOLEDパッケージ構造。
【請求項9】
TFT基板を提供し、前記TFT基板上にOLEDデバイスを作製し、前記OLEDデバイスの外表面上に前記OLEDデバイスを被覆する第1パッシベーション層を形成する、ステップS1と、
前記第1パッシベーション層の外表面上に前記第1パッシベーション層を被覆する紫外線吸収層を形成し、前記紫外線吸収層は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層は透明である、ステップS2と、
パッケージカバーを提供し、前記パッケージカバーのOLEDデバイスに対応する周辺領域にフレームシールを塗布して、前記パッケージカバーのフレームシールで囲まれた領域内に封止材を設ける、ステップS3と、
パッケージカバーとTFT基板とを位置合わせして組み合わせ、フレームシールをTFT基板及びパッケージカバーにそれぞれ接着して、TFT基板とパッケージカバーとの間に密閉空間を形成し、前記封止材を前記密閉空間内に充填する、ステップS4とを含み、
前記紫外線吸収層の紫外線透過率は5%未満であり、可視光透過率は80%を超え、前記紫外線吸収層の厚さは1μm〜10μmであり、前記紫外線吸収層中の前記無機粒子の含有量は0.1vol%〜1.0vol%であり、前記無機粒子の粒径は1nm〜150nmであり、
前記有機樹脂は、ポリメチルメタクリレートを含み、前記無機粒子は、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含み、
前記紫外線吸収層の製造方法は、有機樹脂前駆体溶液に無機粒子を分散させて紫外線吸収液を調製し、前記紫外線吸収液を、スピンコート、滴下、インクジェットプリンタ、流延成膜、及びノズルプリティングのうちの1種又は複数種を含む溶液成膜法を用いて、前記第1パッシベーション層の外表面上に成膜し、硬化して紫外線吸収層を得ることであり、
前記ステップS2は、さらに、前記紫外線吸収層の外表面上に、前記紫外線吸収層を被覆する第2パッシベーション層を形成するステップを含む、OLEDパッケージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術分野に関し、特にOLEDパッケージ方法およびOLEDパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子OLED(Organic Light Emitting Diode)は、自発光特性が良好で、コントラストが高く、応答速度が速く、フレキシブルディスプレイなどの長所を有するので、ディスプレイ分野、照明分野、スマートウェアラブルなどの分野で広く適用されている。
【0003】
OLED技術は、科学技術の発展に伴い、第3世代のディスプレイ技術の重要な候補となり、携帯電話、パソコン、テレビなどの民生機器に用いられている。OLEDの基本的な表示原理は、電界の駆動下で、キャリアの注入及び再結合により、有機材料を発光させることである。OLEDは、RGB画素を独立して発光させ、白色光OLEDをカラーフィルタと組み合わせ、又は青色光OLEDを光色変換と組み合わせることによって、フルカラー表示を実現することができる。OLED表示技術は、スクリーンをより薄くすることができ、その自発光特性は夕方の野外でも高いコントラストを実現でき、様々な材質の基板上に製造することができ、フレキシブルディスプレイとすることができる。
【0004】
環境に優しく、高効率で省エネルギーなライフスタイルが、人々の生活のトレンドとなっているため、OLEDは、将来の新たな照明技術として注目されている。OLEDの発光材料は、有機半導体であり、その発光層の材料特性を制御して、異なる波長の光を発生させることができる。OLEDは、柔らかい光の平面光源であり、その照明は薄型化を可能にし、フレキシブル基板上に作製されるOLEDであれば、大面積で曲げることが可能な光源を実現でき、ホームファーニッシングなどの面で応用できる可能性がある。
【0005】
スマートウェアラブル市場は、OLED技術の開発にとって重要な方向性となる。フレキシブルAMOLED(アクティブマトリックス有機発光ダイオード又はアクティブマトリックス有機発光ダイオード)は、軽量で薄型化、折り曲げ可能であり、携帯に便利であるという特性により、ウェアラブルデバイスに広いアプリケーションスペースが確保されることになる。OLEDディスプレイは、バンド又は腕時計に装着でき、手首に完全にフィットすると同時に、電話、インターネット接続などの機能を実現することもできる。
【0006】
また、OLEDは、車載音響表示、スマートハウス、宇宙技術などの分野で応用できる可能性がある。
【0007】
OLEDは、従来のLCDと異なり、バックライトを用いることなく、電子と正孔の両方のキャリアを介して有機薄膜材料に注入され、有機材料で再結合して発光する。しかしながら、有機材料は水蒸気及び酸素に非常に敏感であり、水/酸素の透過がデバイスの寿命を大幅に短くさせるので、商品化によるOLEDデバイスの耐用年数及び安定性に対する要求を満たすために、OLEDデバイスは、パッケージ効果に対して非常に高い要件が求められている:耐用年数は少なくとも10
4時間以上であり、水蒸気透過率は10
―6g/m
2/day未満であり、酸素透過率は10
―5cc/m
2/day(1atm)未満である。したがって、パッケージは、OLEDデバイスの製造において重要な位置にあり、製品の歩留まりに影響を与える重要な要因の1つである。
【0008】
既存のOLEDデバイスのパッケージ方式は主に、封止ガラスに、紫外線(UV)硬化可能なフレームシール、レーザ封止可能なガラス接着剤(Laser sealing)、又はフレームシール及び充填乾燥剤(Dam&Fill)を塗布して硬化した後に、比較的密閉された環境を発光デバイスに提供する、ガラスパッケージであり、一定時間内に良好な水/酸素バリア能力を達成することができる。
【0009】
フレキシブルOLEDパネルは、有機発光デバイスの重要な研究方向である。過去2年間で、フレキシブルOLEDデバイスパッケージの研究は随分盛んになっており、プラズマ強化化学気相成長法(PECVD)又は原子層堆積法(ALD)を用いる薄膜パッケージが研究のホットスポットとなっている。しかし、フレキシブルOLEDデバイスのパッケージコストは、従来のカバーパッケージデバイスのコストの1〜5倍であり、フレキシブルOLEDは、将来のディスプレイトレンドではあるが、従来のガラス平板によるOLEDデバイスパッケージは消えない。
【0010】
TFTは、アクティブマトリクス駆動表示装置(AMOLED)において重要な役割を果たしており、一般的に表示装置において、スイッチング装置及び駆動装置として用いられている。紫外線エネルギーが高く、TFTは、光照射によりキャリア、電子又は正孔を発生し、自由キャリア濃度が増加すると、閾値電圧(V
th)が低下し、V
thシフトが直接画素の発光輝度変化を引き起こし、全体の表示品質に影響を与える。このため、TFTの長期安定性は、表示装置にとって非常に重要である。
【0011】
大型デバイスパッケージの場合、デバイスの機械的特性を向上させるために、封止材(フィラー)を添加する必要があり、また、ニュートンリングを除去することもできる(特にトップエミッション素子の場合、ニュートンリングを除去する必要がある)。現在、フィラーには、硬化方式により、紫外線硬化(UV curing)と熱硬化(Thermal curing)との2種類がある。その中でも、UV硬化プロセスは、簡単で、硬化時間は短く、通常5〜15minであり、量産において、生産時間(タクトタイム(Tact time))を短縮できる。その欠点は、UV光がカバープレート側からデバイスに照射し、フィラーの硬化を開始するとともに、TFTの電気的ドリフトを引き起こし、画面全体の表示品位を低下させることである。現在、熱硬化として市販されているフィラーの熱硬化温度は100℃前後であり、硬化時間は60〜90minである。また、用いられるオーブン(Oven)の温度均一性も、フィラーの硬化程度に大きく影響を及ぼし、フィラーの硬化ムラが、パッケージムラ(mura)(ディスプレイの輝度が不均一である現象)の原因となる。
【0012】
図1は、従来のOLEDパッケージ工程の模式図であり、
図1に示すように、従来のOLEDパッケージ構造は、対向配置されるTFT基板100及びパッケージカバー200と、TFT基板100とパッケージカバー200との間に設けられかつTFT基板100上に配置されるOLEDデバイス300と、TFT基板100とパッケージカバー200との間に設けられかつTFT基板100とパッケージカバー200との間に密閉空間610を形成するフレームシール600と、密閉空間610内に充填される封止材700と、を含む。
【0013】
図1に示すように、封止材700をパッケージカバー200側からUV硬化する場合に、UV光が封止材700の硬化を開始するとともに、TFT基板100におけるTFT素子の性能に影響を与え、TFT基板100におけるTFT素子の電気的ドリフトを引き起こし、画面全体の表示品位を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、封止材とフレームシールとを紫外線硬化する過程において、TFTへの紫外線の影響を低減又は除去することができるOLEDパッケージ方法を提供することにある。
【0015】
本発明の目的はまた、上記方法により製造され、そのTFTが優れた電気特性を有するOLEDパッケージ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下のステップを含むOLEDパッケージ方法を提供する。
【0017】
ステップS1:TFT基板を提供し、前記TFT基板上にOLEDデバイスを作製し、前記OLEDデバイスの外表面上に、前記OLEDデバイスを被覆する第1パッシベーション層を形成する。
【0018】
ステップS2:前記第1パッシベーション層の外表面上に、前記第1パッシベーション層を被覆する紫外線吸収層を形成し、前記紫外線吸収層は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層は、透明である。
【0019】
ステップS3:パッケージカバーを提供し、前記パッケージカバーのOLEDデバイスに対応する周辺領域にフレームシールを塗布して、前記パッケージカバーのフレームシールで囲まれた領域内に封止材を設ける。
【0020】
ステップS4:パッケージカバーとTFT基板とを位置合わせして組み合わせ、フレームシールをTFT基板及びパッケージカバーにそれぞれ接着して、TFT基板とパッケージカバーとの間に密閉空間を形成し、前記封止材を前記密閉空間内に充填する。
【0021】
前記紫外線吸収層の紫外線透過率は5%未満であり、可視光透過率は80%を超え、前記紫外線吸収層の厚さは1μm〜10μmであり、前記紫外線吸収層中の無機粒子の含有量は0.1vol%〜1.0vol%であり、前記無機粒子の粒径は1nm〜150nmである。
【0022】
前記有機樹脂は、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの1種又は複数種を含み、前記無機粒子は、金属酸化物粒子及び金属酸化物改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。前記金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子及び酸化セリウム粒子のうちの1種又は複数種を含み、前記金属酸化物改質粒子は、酸化チタン改質粒子、酸化亜鉛改質粒子及び酸化セリウム改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。
【0023】
前記紫外線吸収層の製造方法は、有機樹脂前駆体溶液に無機粒子を分散させて紫外線吸収液を調製し、前記紫外線吸収液を、スピンコート、滴下、インクジェットプリンタ、流延成膜(キャストフィルム)、及びノズルプリティングのうちの1種又は複数種を含む溶液成膜法を用いて、前記第1パッシベーション層の外表面に成膜し、硬化して紫外線吸収層を得る方法である。
【0024】
前記ステップS2は、さらに、前記紫外線吸収層の外表面に、前記紫外線吸収層を被覆する第2パッシベーション層を形成するステップを含む。
【0025】
本発明は、また、対向配置されるTFT基板及びパッケージカバーと、TFT基板とパッケージカバーとの間に設けられてTFT基板上に配置されるOLEDデバイスと、前記OLEDデバイスの外表面上に設けられて前記OLEDデバイスを被覆する第1パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層の外表面上に設けられて前記第1パッシベーション層を被覆する紫外線吸収層と、TFT基板とパッケージカバーとの間に設けられてTFT基板とパッケージカバーとの間に密閉空間を形成するフレームシールと、前記密閉空間内に充填される封止材と、を含むOLEDパッケージ構造を提供する。
【0026】
ここで、前記フレームシールは、前記OLEDデバイスの周辺に設けられ、前記紫外線吸収層は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層は、透明である。
【0027】
前記紫外線吸収層の紫外線透過率は5%未満であり、可視光透過率は80%を超え、前記紫外線吸収層の厚さは1μm〜10μmであり、前記紫外線吸収層中の無機粒子の含有量は0.1vol%〜1.0vol%であり、前記無機粒子の粒径は1nm〜150nmである。
【0028】
前記有機樹脂は、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの1種又は複数種を含み、前記無機粒子は、金属酸化物粒子及び金属酸化物改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。前記金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子及び酸化セリウム粒子のうちの1種又は複数種を含み、前記金属酸化物改質粒子は、酸化チタン改質粒子、酸化亜鉛改質粒子及び酸化セリウム改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。
【0029】
前記OLEDパッケージ構造は、さらに、前記紫外線吸収層の外表面上に設けられかつ前記紫外線吸収層を被覆する第2パッシベーション層を含む。
【0030】
前記第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の材料は、いずれも窒化シリコン(窒化ケイ素)を含み、前記第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の厚さは、いずれも500nm〜800nmであり、前記封止材は、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの1種又は複数種を含む。
【0031】
本発明はまた、以下のステップを含むOLEDパッケージ方法を提供する。
【0032】
ステップS1:TFT基板を提供し、前記TFT基板上にOLEDデバイスを作製し、前記OLEDデバイスの外表面上に、前記OLEDデバイスを被覆する第1パッシベーション層を形成する。
【0033】
ステップS2:前記第1パッシベーション層の外表面上に、前記第1パッシベーション層を被覆する紫外線吸収層を形成し、前記紫外線吸収層は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層は、透明である。
【0034】
ステップS3:パッケージカバーを提供し、前記パッケージカバーのOLEDデバイスに対応する周辺領域にフレームシールを塗布して、前記パッケージカバーのフレームシールで囲まれた領域内に封止材を設ける。
【0035】
ステップS4:パッケージカバーとTFT基板とを位置合わせして組み合わせ、フレームシールをTFT基板及びパッケージカバーにそれぞれ接着して、TFT基板とパッケージカバーとの間に密閉空間を形成し、前記封止材を前記密閉空間内に充填する。
【0036】
前記紫外線吸収層の紫外線透過率は5%未満であり、可視光透過率は80%を超え、前記紫外線吸収層の厚さは1μm〜10μmであり、前記紫外線吸収層中の無機粒子の含有量は0.1vol%〜1.0vol%であり、前記無機粒子の粒径は1nm〜150nmである。
【0037】
前記有機樹脂は、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの1種又は複数種を含み、前記無機粒子は、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子及び酸化セリウム粒子のうちの1種又は複数種を含む金属酸化物粒子と、酸化チタン改質粒子、酸化亜鉛改質粒子及び酸化セリウム改質粒子のうちの1種又は複数種を含む金属酸化物改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。
【0038】
前記紫外線吸収層の製造方法は、有機樹脂前駆体溶液に無機粒子を分散させて紫外線吸収液を調製し、前記紫外線吸収液を、スピンコート、滴下、インクジェット印刷、流延成膜及びノズル印刷のうちの1種又は複数種を含む溶液成膜法を用いて、前記第1パッシベーション層の外表面上に成膜し、硬化して紫外線吸収層を得る方法である。
【0039】
前記ステップS2は、さらに、前記紫外線吸収層の外表面上に、前記紫外線吸収層を被覆する第2パッシベーション層を形成するステップを含む。
【発明の効果】
【0040】
本発明の有益な効果は以下の通りであり、本発明のOLEDパッケージ方法は、OLEDデバイスの表面に紫外線吸収層を設けることにより、前記紫外線吸収層が低い紫外線透過率を有し、封止材とフレームシールとを紫外線硬化する過程において、紫外線のTFTへの照射を遮蔽でき、紫外線のTFTへの影響を低下させるか又は除去することができる。一方、前記紫外線吸収層は、高い可視光透過率を有するため、OLEDデバイスの光強度を低下させることがない。本発明のOLEDパッケージ構造は、上記方法により製造され、TFTは優れた電気特性を有し、OLEDデバイスは強い光強度を有する。
【0041】
本発明の特徴及び技術的内容をより一層明らかにするために、以下の本発明に関する詳細な説明及び添付図面を参照するが、添付図面は、参照及び説明のためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明することにより、本発明の技術的解決手段及び他の有益な効果を明らかにする。図面において、
【
図1】
図1は、従来のOLEDパッケージプロセスの模式図である。
【
図2】
図2は、本発明のOLEDパッケージ方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明のOLEDパッケージ方法のステップS1の模式図である。
【
図4】
図4は、
図3におけるOLEDデバイスの具体的な構造概略図である。
【
図5】
図5は、本発明のOLEDパッケージ方法のステップS2の第1の実施形態の模式図である。
【
図6】
図6は、本発明のOLEDパッケージ方法のステップS2の第2の実施形態の模式図である。
【
図7】
図7は、本発明のOLEDパッケージ方法のステップS3の模式図である。
【
図8】
図8は、本発明のOLEDパッケージ方法のステップS4の第1の実施形態の模式図である。
【
図9】
図9は、本発明のOLEDパッケージ方法のステップS4の第2の実施形態の模式図である。
【
図10】
図10は、本発明のOLEDパッケージ構造の第1の実施形態の断面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明のOLEDパッケージ構造の第1の実施形態の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に用いられた技術的手段及びその効果をより明らかにするために、本発明の好ましい実施形態及び添付図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図2を参照すると、本発明は、次のステップを含むOLEDパッケージ方法を提供する。
【0045】
ステップS1:
図3に示すように、TFT基板10を提供し、前記TFT基板10上にOLEDデバイス30を作製し、前記OLEDデバイス30の外表面上に、前記OLEDデバイス30を被覆する第1パッシベーション層41を形成する。
【0046】
具体的には、
図4に示すように、前記OLEDデバイス30は、前記TFT基板10上に下から上へ順に設けられた、陽極31、正孔注入層32、正孔輸送層33、発光層34、電子輸送層35、電子注入層36及び陰極37を含む。
【0047】
具体的には、前記陽極31、正孔注入層32、正孔輸送層33、発光層34、電子輸送層35、電子注入層36及び陰極37は、いずれも蒸着法を用いて製造される。
【0048】
具体的には、前記第1パッシベーション層41の材料は、窒化シリコンを含み、前記第1パッシベーション層41の厚さは、500nm〜800nmであり、前記第1パッシベーション層41は、プラズマ強化化学気相成長法(PECVD)を用いて製造される。
【0049】
好ましくは、プラズマ強化化学気相成長法を用いて前記第1パッシベーション層41を製造するプロセス条件は以下のとおりであり、反応ガスは、純度が99.99%を超えるモノシラン(SiH
4)と、純度が99.99%を超えるアンモニアガス(NH
3)であり、補助プラズマガスは、純度が99.99%を超えるアルゴンガス(Ar)であり、高周波電源電力は10W〜500Wであり、成膜室の圧力は10Pa〜20Paであり、堆積レートは3nm/s〜20nm/sである。
【0050】
ステップS2:
図5に示すように、前記第1パッシベーション層41の外表面上に、前記第1パッシベーション層41を被覆する紫外線吸収層50を形成する。前記紫外線吸収層50は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層50は、透明を呈する。
【0051】
具体的には、前記紫外線吸収層50の紫外線透過率は5%未満であり、可視光透過率は80%を超える。
【0052】
具体的には、前記紫外線吸収層50の厚さは、1μm〜10μmである。
【0053】
具体的には、前記紫外線吸収層50中の無機粒子の含有量は、0.1vol%〜1.0vol%である。
【0054】
具体的には、前記紫外線吸収層50の主な材料は、有機樹脂であり、有機樹脂には、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂等の高い可視光透過率及び優れた透明性を有する有機樹脂のうちの1種又は複数種を含む。好ましくは、前記アクリル樹脂は、アクリル樹脂(即ち、ポリメチルメタクリレート)である。
【0055】
具体的には、前記無機粒子は、金属酸化物粒子及び金属酸化物改質粒子等の低い紫外線透過率及び高い可視光透過率を有する無機粒子のうちの1種又は複数種を含む。前記金属酸化物粒子は、酸化チタン(TiO
2)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子及び酸化セリウム(CeO
2)粒子のうちの1種又は複数種を含み、前記金属酸化物改質粒子は、酸化チタン改質粒子、酸化亜鉛改質粒子及び酸化セリウム改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。
【0056】
具体的には、前記金属酸化物改質粒子とは、金属酸化物材料に他の化学物質をドープして得られる金属酸化物改質材料の粒子を指し、他の化学元素をドープすることにより、金属酸化物改質材料の紫外線吸収性能を向上させ、元の金属酸化物材料よりも紫外線吸収性能を優れさせる。
【0057】
好ましくは、前記酸化亜鉛改質粒子は、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al−ZnO)粒子である。
【0058】
具体的には、前記無機粒子の粒径は、1nm〜150nmである。好ましくは、前記無機粒子の粒径は、20nm〜50nmである。
【0059】
具体的には、前記紫外線吸収層50の製造方法は、有機樹脂前駆体溶液に無機粒子を分散させて紫外線吸収液を調製し、前記紫外線吸収液を溶液成膜法を用いて、前記第1パッシベーション層41の外表面に成膜し、硬化して紫外線吸収層50を得ることである。
【0060】
具体的には、前記溶液成膜法は、スピンコート、滴下(ODF)、インクジェットプリンタ(IJP)、流延成膜、及びノズルプリンティング(Nozzle printing)などの方法のうちの1種又は複数種を含む。
【0061】
好ましくは、前記紫外線吸収層50の製造方法において、前記無機粒子は酸化亜鉛(ZnO)粒子であり、前記酸化亜鉛粒子の粒径は20nm〜50nmであり、前記紫外線吸収液中の酸化亜鉛粒子の含有量は0.1vol%〜1.0vol%であり、前記有機樹脂前駆体溶液はメチルメタクリレートモノマー溶液であり、前記紫外線吸収液はさらに均一に分散される開始剤を含み、前記溶液成膜法はインクジェットプリンタ(IJP)であり、前記紫外線吸収液により前記第1パッシベーション層41の外表面に形成される未硬化膜の厚さは1.0μm〜5.0μmである。
【0062】
具体的には、
図6に示すように、前記ステップS2は、さらに、前記紫外線吸収層50の外表面上に、前記紫外線吸収層50を被覆する第2パッシベーション層42を形成するステップを含むことができる。
【0063】
具体的には、前記第2パッシベーション層42の材料は、窒化シリコンを含み、前記第2パッシベーション層42の厚さは、500nm〜800nmであり、前記第2パッシベーション層42は、プラズマ強化化学気相成長法(PECVD)を用いて製造される。
【0064】
好ましくは、プラズマ強化化学気相成長法を用いて前記第2パッシベーション層42を製造するプロセス条件は以下のとおりであり、反応ガスは純度が99.99%を超えるモノシラン(SiH
4)と純度が99.99%を超えるアンモニアガス(NH
3)であり、補助プラズマガスは純度が99.99%を超えるアルゴンガス(Ar)であり、高周波電源電力は10W〜500Wであり、成膜室の圧力は10Pa〜20Paであり、堆積レートは3nm/s〜20nm/sである。
【0065】
ステップS3:
図7に示すように、パッケージカバー20を提供し、前記パッケージカバー20のOLEDデバイス30に対応する周辺領域にフレームシール60を塗布して、前記パッケージカバー20のフレームシール60で囲まれた領域内に封止材70を設置する。
【0066】
具体的には、前記封止材70は、未硬化の液状材料(UV curing Dam&Fillパッケージプロセスに対応する)又は硬化した薄膜(UV curing Face sealant&Filmパッケージプロセスに対応する)である。
【0067】
前記ステップS3において、前記封止材70が、未硬化の液状材料である場合に、封止材70を前記パッケージカバー20に塗布又は印刷し、前記封止材70が硬化した薄膜である場合に、封止材70を前記パッケージカバー20に貼り付ける。
【0068】
具体的には、前記封止材70は、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂等の高い可視光透過率及び優れた透明性を有する有機樹脂のうちの1種又は複数種を含む。好ましくは、前記アクリル樹脂は、アクリル樹脂(即ち、ポリメチルメタクリレート)である。
【0069】
好ましくは、前記封止材70は、前記紫外線吸収層50における有機樹脂と同じ(同種の)材料である。
【0070】
具体的には、前記封止材70は、後に製造されるOLEDパッケージ構造の機械的特性を向上させ、ニュートンリングを除去して、表示効果を向上させることができる。
【0071】
ステップS4:
図8及び
図9に示すように、パッケージカバー20とTFT基板10とを位置合わせして組み合わせ、フレームシール60を、TFT基板10及びパッケージカバー20にそれぞれ接着し、TFT基板10とパッケージカバー20との間に密閉空間61を形成し、前記封止材70を前記密閉空間61内に充填する。
【0072】
具体的には、前記ステップS3における封止材70が、硬化した薄膜である場合に、前記ステップS4は、さらに、フレームシール60をUV硬化するステップを含む。
【0073】
具体的には、
図8及び
図9に示すように、前記ステップS3における封止材70が未硬化の液状材料である場合に、前記ステップS4は、さらに、封止材70及びフレームシール60を同時にUV硬化するステップを含む。好ましくは、封止材70及びフレームシール60を同時にUV硬化する方式は、パッケージカバー20側から封止材70及びフレームシール60を紫外線で照射して硬化させる。前記紫外線の波長は365nmであり、前記紫外線の照射強度は5000Mj/cm
2〜9000Mj/cm
2である。
【0074】
本発明のOLEDパッケージ方法は、OLEDデバイス30の表面上に紫外線吸収層50を設けることにより、前記紫外線吸収層50が低い紫外線透過率を有するので、封止材70とフレームシール60とを紫外線硬化する過程において、紫外線のTFTへの照射を遮蔽でき、紫外線のTFTへの影響を低下させるか又は除去することができる。一方、前記紫外線吸収層50は、高い可視光透過率を有するため、OLEDデバイス30の光強度を低下させることがない。
【0075】
図10及び
図11と、同時に
図4を参照すると、前記OLEDパッケージ方法に基づき、本発明は、対向配置されるTFT基板10とパッケージカバー20と、TFT基板10とパッケージカバー20との間に設けられかつTFT基板10上に配置されるOLEDデバイス30と、前記OLEDデバイス30の外表面に設けられかつ前記OLEDデバイス30を被覆する第1パッシベーション層41と、前記第1パッシベーション層41の外表面に設けられかつ前記第1パッシベーション層41を被覆する紫外線吸収層50と、TFT基板10とパッケージカバー20との間に設けられかつTFT基板10とパッケージカバー20との間に密閉空間61を形成するフレームシール60と、前記密閉空間61内に充填される封止材70と、を含むOLEDパッケージ構造を提供する。
【0076】
前記フレームシール60は、前記OLEDデバイス30の周辺に設けられ、前記紫外線吸収層50は、有機樹脂と、有機樹脂中に分散されかつ紫外線吸収性能を有する無機粒子とを含み、前記紫外線吸収層50は、透明である。
【0077】
具体的には、
図4に示すように、前記OLEDデバイス30は、前記TFT基板10上に下から上へ順に設けられた、陽極31、正孔注入層32、正孔輸送層33、発光層34、電子輸送層35、電子注入層36及び陰極37を含む。
【0078】
具体的には、前記第1パッシベーション層41の材料は窒化シリコンを含み、前記第1パッシベーション層41の厚さは500nm〜800nmである。
【0079】
具体的には、前記紫外線吸収層50の紫外線透過率は5%未満であり、可視光透過率は80%を超える。
【0080】
具体的には、前記紫外線吸収層50の厚さは1μm〜10μmである。
【0081】
具体的には、前記紫外線吸収層50中の無機粒子の含有量は0.1vol%〜1.0vol%である。
【0082】
具体的には、前記紫外線吸収層50の主な材料は、有機樹脂であり、有機樹脂としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、及びエポキシ樹脂等の高い可視光透過率及び優れた透明性を有する有機樹脂のうちの1種又は複数種が挙げられる。好ましくは、前記アクリル樹脂は、アクリル樹脂(即ち、ポリメチルメタクリレート)である。
【0083】
具体的には、前記無機粒子は、金属酸化物粒子及び金属酸化物改質粒子等の低い紫外線透過率及び高い可視光透過率を有する無機粒子の1種又は複数種を含む。前記金属酸化物粒子は、酸化チタン(TiO
2)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子及び酸化セリウム(CeO
2)粒子のうちの1種又は複数種を含み、前記金属酸化物改質粒子は、酸化チタン改質粒子、酸化亜鉛改質粒子及び酸化セリウム改質粒子のうちの1種又は複数種を含む。
【0084】
具体的には、前記金属酸化物改質粒子とは、金属酸化物材料に他の化学物質をドープして得られる金属酸化物改質材料の粒子を指し、他の化学元素をドープすることにより、金属酸化物改質材料の紫外線吸収性能を向上させ、元の金属酸化物材料よりも紫外線吸収性能が優れたものとなる。
【0085】
好ましくは、前記酸化亜鉛改質粒子は、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(Al−ZnO)粒子である。
【0086】
具体的には、前記無機粒子の粒径は、1nm〜150nmである。好ましくは、前記無機粒子の粒径は、20nm〜50nmである。
【0087】
具体的には、
図11に示すように、前記OLEDパッケージ構造は、さらに、前記紫外線吸収層50の外表面に設けられて前記紫外線吸収層50を被覆する第2パッシベーション層42を含むことができる。
【0088】
具体的には、前記第2パッシベーション層42の材料は窒化シリコンを含み、前記第2パッシベーション層42の厚さは500nm〜800nmである。
【0089】
具体的には、前記封止材70は、ポリウレタン、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂等の高い可視光透過率及び優れた透明性を有する有機樹脂の1種又は複数種を含む。好ましくは、前記アクリル樹脂は、アクリル樹脂(即ち、ポリメチルメタクリレート)である。
【0090】
好ましくは、前記封止材70は、前記紫外線吸収層50における有機樹脂と同じ材料である。
【0091】
本発明のOLEDパッケージ構造は、OLEDデバイス30の表面上に紫外線吸収層50を設けることにより、前記紫外線吸収層50が低い紫外線透過率を有するので、封止材70とフレームシール60とを紫外線硬化する過程において、紫外線のTFTへの照射を遮蔽でき、紫外線のTFTへの影響を低下させるか又は除去することができる。一方、前記紫外線吸収層50は、高い可視光透過率を有するため、OLEDデバイス30の光強度を低下させることがない。
【0092】
要するに、本発明は、OLEDパッケージ方法及びOLEDパッケージ構造を提供する。本発明のOLEDパッケージ方法は、OLEDデバイスの表面上に紫外線吸収層を設けることにより、前記紫外線吸収層が低い紫外線透過率を有し、封止材とフレームシールとを紫外線硬化する過程において紫外線のTFTへの照射を遮蔽でき、紫外線のTFTへの影響を低下させるか又は除去することができる。一方、前記紫外線吸収層は、高い可視光透過率を有するため、OLEDデバイスの光強度を低下させることがない。本発明のOLEDパッケージ構造は、上記方法により製造され、そのTFTは優れた電気特性を有し、そのOLEDデバイスは強い光強度を有する。
【0093】
以上説明したように、当業者は、本発明の技術的解決手段及び技術的構想に基づいて、他の様々な対応する変更や変形を行うことができ、これらの変更や変形はすべて本発明の特許請求の範囲の保護範囲に属すべきである。