(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1、
図2、
図3、
図4A、
図4B、
図5A、及び、
図5Bを用いて、第1実施形態の分光器の構成例を説明する。
図1または
図2に示すように、分光器1は、受光デバイス100と、波長選択フィルタユニット200と、光学素子300とを備える。
【0010】
受光デバイス100は、基台101と、複数の端子102と、制御素子103と、受光素子110とを有する。複数の端子102と制御素子103と受光素子110とは基台101に固定されている。制御素子103と受光素子110とは複数の端子102に接続されている。
【0011】
制御素子103は、外部から複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して入力される制御信号に基づいて受光素子110を制御する。制御素子103は、例えばIC(Integrated Circuit)等の演算素子である。
【0012】
受光素子110は、複数の画素111が第1の方向(例えばX方向)、及び、第1の方向と直交する第2方向(例えばY方向)に配置されている画素領域112を有する。受光素子110は、画素領域112に入射した光(入射光)を画素111ごとに光電変換して受光信号を生成する。
【0013】
受光素子110は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge-Coupled Device)、またはフォトダイオードアレイ等の半導体素子である。受光素子110は、受光信号を制御素子103へ出力する。制御素子103は受光信号を信号処理し、複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して外部へ出力する。
【0014】
波長選択フィルタユニット200は、受光素子110の画素領域112上に配置されている。波長選択フィルタユニット200は、画素領域112と接触した状態で配置されていてもよいし、離隔して配置されていてもよい。
図2では、波長選択フィルタユニット200が画素領域112と接触した状態を示している。
【0015】
波長選択フィルタユニット200は、複数の波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する。各波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、長手方向(第1の方向)と短手方向(第2の方向)とを含む細長形状を有する。短手方向である第2の方向は、長手方向である第1の方向と直交する。なお、
図1及び
図3では、6個の波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を示しているが、波長選択フィルタの数はこれに限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0016】
図1または
図3に示すように、波長選択フィルタユニット200は、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260が短手方向に並んで配置されている。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向の端面EF211、EF212、EF221、EF222、EF231、EF232、EF241、EF242、EF251、EF252、EF261、及び、EF262は切断面である。
【0017】
図1は、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向がX方向となるように波長選択フィルタユニット200が配置されている状態を示している。なお、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向がY方向となるように波長選択フィルタユニット200を配置してもよい。
【0018】
波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、互いに異なる透過波長特性を有する。
図3に示すように、波長選択フィルタ210は、波長λa〜λb(λa<λb)の範囲の光を、所定の方向である長手方向の位置に応じて選択し、透過させるリニアバリアブルフィルタである。
【0019】
波長選択フィルタ210は、長手方向の一方の端部211から他方の端部212に向かって透過波長がλaからλbへ連続的または段階的に変化する透過波長特性を有する。従って、波長選択フィルタ210は、波長λa〜λbの範囲の光を長手方向の位置または範囲に応じて波長または波長帯ごとに分離することができる。
【0020】
波長選択フィルタ220は、波長λb〜λc(λb<λc)の範囲の光を、所定の方向である長手方向の位置に応じて選択し、透過させるリニアバリアブルフィルタである。波長選択フィルタ220は、長手方向の一方の端部221から他方の端部222に向かって透過波長がλbからλcへ連続的または段階的に変化する透過波長特性を有する。従って、波長選択フィルタ220は、波長λb〜λcの範囲の光を長手方向の位置または範囲に応じて波長または波長帯ごとに分離することができる。
【0021】
波長選択フィルタ230は、波長λc〜λd(λc<λd)の範囲の光を、所定の方向である長手方向の位置に応じて選択し、透過させるリニアバリアブルフィルタである。波長選択フィルタ230は、長手方向の一方の端部231から他方の端部232に向かって透過波長がλcからλdへ連続的または段階的に変化する透過波長特性を有する。従って、波長選択フィルタ230は、波長λc〜λdの範囲の光を長手方向の位置または範囲に応じて波長または波長帯ごとに分離することができる。
【0022】
波長選択フィルタ240は、波長λd〜λe(λd<λe)の範囲の光を、所定の方向である長手方向の位置に応じて選択し、透過させるリニアバリアブルフィルタである。波長選択フィルタ240は、長手方向の一方の端部241から他方の端部242に向かって透過波長がλdからλeへ連続的または段階的に変化する透過波長特性を有する。従って、波長選択フィルタ240は、波長λd〜λeの範囲の光を長手方向の位置または範囲に応じて波長または波長帯ごとに分離することができる。
【0023】
波長選択フィルタ250は、波長λe〜λf(λe<λf)の範囲の光を、所定の方向である長手方向の位置に応じて選択し、透過させるリニアバリアブルフィルタである。波長選択フィルタ250は、長手方向の一方の端部251から他方の端部252に向かって透過波長がλeからλfへ連続的または段階的に変化する透過波長特性を有する。従って、波長選択フィルタ250は、波長λe〜λfの範囲の光を長手方向の位置または範囲に応じて波長または波長帯ごとに分離することができる。
【0024】
波長選択フィルタ260は、波長λf〜λg(λf<λg)の範囲の光を、所定の方向である長手方向の位置に応じて選択し、透過させるリニアバリアブルフィルタである。波長選択フィルタ260は、長手方向の一方の端部261から他方の端部262に向かって透過波長がλfからλgへ連続的または段階的に変化する透過波長特性を有する。従って、波長選択フィルタ260は、波長λf〜λgの範囲の光を長手方向の位置または範囲に応じて波長または波長帯ごとに分離することができる。
【0025】
図4A及び
図4Bを用いて、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の構成例を説明する。
【0026】
図4Aに示すように、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270と誘電体多層膜280とをそれぞれ有する。誘電体多層膜280は、屈折率の異なる誘電体膜281が交互に積層された積層構造を有する。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向に対して、各誘電体膜281は、膜厚または材質等の材料パラメータが連続的に変化している。
【0027】
図4A及び
図4Bは、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向に対して、各誘電体膜281の膜厚が連続的に変化する場合を示している。なお、
図4A及び
図4Bは、各誘電体膜281の膜厚の変化をわかりやすくするために、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を厚さ方向に拡大した模式図である。
【0028】
各材料パラメータは、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260に応じて異なるように設定されている。これにより、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、上記の透過波長特性を有する。波長選択フィルタユニット200は、誘電体多層膜280が画素領域112と対向するように配置されていることが望ましい。
【0029】
図4Bに示すように、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270において誘電体多層膜280が形成されている面とは反対側の面に誘電体多層膜280と同じ積層構造を有する誘電体多層膜282が形成されている構成としてもよい。
【0030】
透明基板270の両面に誘電体多層膜を形成することにより、透明基板270に対する一方の誘電体多層膜280の応力を他方の誘電体多層膜282により相殺することができる。これにより、一方の誘電体多層膜280による波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向の反りを他方の誘電体多層膜282により低減することができる。
【0031】
なお、
図1では、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を、誘電体多層膜280及び282が省略された状態で示している。
図2では、誘電体多層膜280及び282を簡略化して示している。
【0032】
図5A及び
図5Bを用いて、波長選択フィルタユニット200の透過波長特性について説明する。
【0033】
図5Aは、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を一列に並べた状態を示している。具体的には、
図5Aは、波長選択フィルタ210の端面EF212と波長選択フィルタ220の端面EF221とが接触し、かつ、波長選択フィルタ220の端面EF222と波長選択フィルタ230の端面EF231とが接触した状態を示している。
【0034】
図5Aは、さらに波長選択フィルタ230の端面EF232と波長選択フィルタ240の端面EF241とが接触し、かつ、波長選択フィルタ240の端面EF242と波長選択フィルタ250の端面EF251とが接触し、かつ、波長選択フィルタ250の端面EF252と波長選択フィルタ260の端面EF261とが接触した状態を示している。
【0035】
即ち、
図5Aは、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向の各端部の端面同士が接触するように、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260が長手方向に一列に並べられた状態を示している。
図5Bは、
図5Aに示す状態における各波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の透過波長の関係を示している。
【0036】
図5Aに示すように波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を一列に並べた場合、
図5Bに示すように、波長選択フィルタユニット200は、長手方向の一方の端部に相当する波長選択フィルタ210の端部211から、他方の端部に相当する波長選択フィルタ260の端部262に向かって、透過波長がλa(第1の透過波長)からλg(第2の透過波長)へ連続的に変化する透過波長特性を有する。
【0037】
従って、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する波長選択フィルタユニット200は、透過波長がλaからλgへ連続的に変化する透過波長特性を有するリニアバリアブルフィルタとして機能する。
【0038】
図6A及び
図6Bに示すように、1つの透明基板270に誘電体多層膜280を成膜し、複数の波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を形成する場合、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は連続して形成される。
【0039】
図6Bは、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向に対して、各誘電体膜281の膜厚が連続的に変化する場合を示している。なお、
図6Bは、各誘電体膜281の膜厚の変化をわかりやすくするために、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を厚さ方向に拡大した模式図である。
【0040】
波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を分離するために透明基板270をY方向に切断すると、切断幅CWに応じて波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の端部212、221、222、231、232、241、242、251、252、及び261とその近傍領域とが切断される。
【0041】
そのため、
図6A及び
図6Bに示す切断方法により作製された波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を用いて波長選択フィルタユニット200を作製した場合、
図5Bに示す透過波長特性は得られない。
【0042】
そこで、
図7に示すフローチャート、
図8A、
図8B、
図9A、及び、
図9Bを用いて、波長選択フィルタユニット200の作製方法の一実施例を説明する。オペレータは、
図7に示すフローチャートのステップS1にて、
図8A、
図8B、
図9A、または、
図9Bに示すように、複数の透明基板271及び272に誘電体多層膜280を成膜する。これにより、複数の透明基板271及び272には、複数の波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260がそれぞれ連続して形成される。
【0043】
図8B、及び、
図9Bは、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向に対して、各誘電体膜281の膜厚が連続的に変化する場合を示している。なお、
図8B、及び、
図9Bは、各誘電体膜281の膜厚の変化をわかりやすくするために、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を厚さ方向に拡大した模式図である。なお、オペレータは、透明基板270において誘電体多層膜280が形成されている面とは反対側の面に誘電体多層膜282を成膜してもよい。
【0044】
オペレータは、ステップS2にて、
図8Aまたは
図8Bに示すように、波長選択フィルタ210の端部211及び212、波長選択フィルタ230の端部231及び232、並びに、波長選択フィルタ250の端部251及び252に切断面が位置するように切断位置を調整し、透明基板271をY方向に切断する。
【0045】
従って、波長選択フィルタ210、230、及び、250の長手方向の端面EF211、EF212、EF231、EF232、EF251、及び、EF252は切断面となる。なお、波長選択フィルタ220の端部221及び222とその近傍領域、波長選択フィルタ240の端部241及び242とその近傍領域、及び、波長選択フィルタ260の端部261及び262とその近傍領域は切断される。
【0046】
さらに、オペレータは、透明基板271をX方向に切断することにより、1つの透明基板271から複数の波長選択フィルタ210、230、及び、250を作製することができる。
【0047】
オペレータは、ステップS3にて、
図9Aまたは
図9Bに示すように、波長選択フィルタ220の端部221及び222、波長選択フィルタ240の端部241及び242、並びに、波長選択フィルタ260の端部261及び262に切断面が位置するように切断位置を調整し、透明基板272をY方向に切断する。
【0048】
従って、波長選択フィルタ220、240、及び、260の長手方向の端面EF221、EF222、EF241、EF242、EF261、及び、EF262は切断面となる。なお、波長選択フィルタ210の端部211及び212とその近傍領域、波長選択フィルタ230の端部231及び232とその近傍領域、及び、波長選択フィルタ250の端部251及び252とその近傍領域は切断される。
【0049】
さらに、オペレータは、透明基板272をX方向に切断することにより、1つの透明基板272から複数の波長選択フィルタ220、240、及び、260を作製することができる。
【0050】
オペレータは、ステップS4にて、ステップS2にて作製された波長選択フィルタ210、230、及び、250と、ステップS3にて作製された波長選択フィルタ220、240、及び、260とを組み合わせることにより、
図5Bに示す透過波長特性を有する波長選択フィルタユニット200を作製することができる。
【0051】
図1または
図2に示すように、光学素子300は、波長選択フィルタユニット200上に配置されている。光学素子300は、波長選択フィルタユニット200と接触した状態で配置されていてもよいし、離隔して配置されていてもよい。
図2では、光学素子300が波長選択フィルタユニット200と接触した状態を示している。
【0052】
光学素子300は入射光を平行光にする。例えば、光学素子300は複数の光ファイバまたはロッドレンズを有する構成とすることにより、入射光を平行光にすることができる。なお、光学素子300は入射光を平行光にすることができる構成であれば、これに限定されるものではない。
【0053】
光学素子300により平行光とされた入射光は波長選択フィルタユニット200により波長または波長帯ごとに分光される。波長選択フィルタユニット200により分光された入射光は、それぞれ対応する画素111に入射する。
【0054】
光学素子300と波長選択フィルタユニット200と受光素子110とを接触させることにより、光学素子300によって平行光とされた入射光の光路長を短くすることができる。これにより、波長選択フィルタユニット200を透過した光を目的の画素111に精度よく入射させることができる。
【0055】
例えば、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、各長手方向が画素領域112においてX方向に配置された100個分の画素111に対応し、かつ、各短手方向が画素領域112においてY方向に配置された20個分の画素111に対応する場合について説明する。
【0056】
X方向に配置された100個分の画素111には、波長選択フィルタ210により、それぞれ異なる波長の光が入射する。それに対して、Y方向に配置された20個分の画素111には同じ波長の光が入射する。
【0057】
制御素子103は、X方向の画素数(m)及びY方向の画素数(n)を設定することができる。波長選択フィルタ210のY方向の長さに応じてY方向の画素数が20に設定されている場合(n=20)、制御素子103は、Y方向に配置されている20個の画素111を選択する。さらに、制御素子103は、選択された20個の画素111により生成された受光信号を加算する。
【0058】
制御素子103は、加算された受光信号を、複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して外部へ出力する。20個の画素111の受光信号を加算することにより、出力信号の信号レベルを上げることができる。
【0059】
20個の画素111の受光信号を加算する信号処理は、入射光の光量が少ない場合に有効である。なお、制御素子103は、選択された20個の画素111により生成された受光信号を加算せずに外部へ出力し、外部にて受光信号を加算するようにしてもよい。
【0060】
Y方向の画素数が例えば4に設定されている場合(n=4)、制御素子103は、Y方向に配置されている20個分の画素111のうちの中心部の4個の画素111を選択する。中心部の4個の画素111は、波長選択フィルタ210の短手方向の中心部に位置する。さらに、制御素子103は、選択された4個の画素111の受光信号のみを加算する。
【0061】
制御素子103は、加算された受光信号を、複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して外部へ出力する。なお、制御素子103は、選択された4個の画素111により生成された受光信号を加算せずに外部へ出力し、外部にて受光信号を加算するようにしてもよい。
【0062】
中心部の画素111の受光信号のみを加算することにより、波長選択フィルタ210に隣接する波長選択フィルタ220からの不要光によるクロストークの影響を低減することができる。中心部の画素111の受光信号のみを加算する信号処理により、検出精度を向上させることができる。
【0063】
波長選択フィルタ220、230、240、250、及び、260における信号処理は、波長選択フィルタ210における信号処理と同様である。
【0064】
分光器1では、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する波長選択フィルタユニット200は、透過波長がλaからλgへ連続的に変化する透過波長特性を有するリニアバリアブルフィルタとして機能する。
【0065】
分光器1では、リニアバリアブルフィルタとして機能する波長選択フィルタユニット200により入射光を分光するため、波長選択フィルタユニット200を受光素子110の画素領域112の近傍に配置することができる。従って、分光器1によれば、回折格子を用いた分光器と比較して小型化することができる。さらに、分光器1では、波長選択フィルタユニット200を受光素子110の画素領域112と接触した状態で配置することも可能である。
【0066】
分光器1では、制御素子103はX方向及びY方向の画素数を設定することができる。制御素子103は、入射光の光量が少ない場合には画素数を大きく設定し、検出精度を向上させる場合には画素数を小さく設定し、かつ、中心部の画素111の受光信号のみを加算する。即ち、分光器1によれば、画素111ごとに生成される受光信号の信号処理を目的に応じて実行することができる。
【0067】
[第2実施形態]
図10を用いて、第2実施形態の分光器の構成例を説明する。
図10は
図2に対応する。なお、説明をわかりやすくするために、第1実施形態の分光器1と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0068】
図10に示すように、分光器2は、受光デバイス100と、波長選択フィルタユニット200と、光学素子300及び400とを備える。受光デバイス100は、基台101と、複数の端子102と、制御素子103と、受光素子110とを有する。複数の端子102と制御素子103と受光素子110とは基台101に固定されている。制御素子103と受光素子110とは複数の端子102に接続されている。受光素子110は、複数の画素111がX方向及びY方向に配置された画素領域112を有する。
【0069】
光学素子300(第1の光学素子)は入射光を平行光にする。光学素子300により平行光とされた入射光は波長選択フィルタユニット200に入射する。波長選択フィルタユニット200は、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270と誘電体多層膜280とをそれぞれ有する。
【0070】
誘電体多層膜280は透明基板270において光学素子400と対向する面に形成されている。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270において誘電体多層膜280が形成されている面とは反対側の面に誘電体多層膜282が形成された構成としてもよい。
【0071】
入射光は波長選択フィルタユニット200により、波長または波長帯ごとに分光される。波長選択フィルタユニット200により分光された入射光は、光学素子400に入射する。
【0072】
光学素子400(第2の光学素子)は波長選択フィルタユニット200と受光素子110との間隙に配置されている。光学素子400は、波長選択フィルタユニット200及び受光素子110と接触した状態で配置されていてもよいし、離隔して配置されていてもよい。
図10では、光学素子400が波長選択フィルタユニット200及び受光素子110と接触した状態を示している。
【0073】
光学素子400は光学素子300と同様の機能を有する。即ち、光学素子400は入射光を平行光にする。例えば、光学素子400は複数の光ファイバまたはロッドレンズを有する構成とすることにより、入射光を平行光にすることができる。なお、光学素子400は入射光を平行光にすることができる構成であれば、これに限定されるものではない。
【0074】
波長選択フィルタユニット200により分光され、かつ、光学素子400により平行光とされた入射光は、受光素子110の画素領域112のそれぞれ対応する画素111に入射する。
【0075】
制御素子103は、外部から複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して入力される制御信号に基づいて受光素子110を制御する。受光素子110は、画素領域112に入射した光を画素111ごとに光電変換して受光信号を生成する。
【0076】
受光素子110は、受光信号を制御素子103へ出力する。制御素子103は受光信号を信号処理し、複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して外部へ出力する。分光器2の制御素子103は、分光器1の制御素子103と同様の信号処理を実行する。
【0077】
分光器2では、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する波長選択フィルタユニット200は、透過波長がλaからλgへ連続的に変化する透過波長特性を有するリニアバリアブルフィルタとして機能する
。
【0078】
分光器2では、リニアバリアブルフィルタとして機能する波長選択フィルタユニット200により入射光を分光するため、波長選択フィルタユニット200を受光素子110の画素領域112の近傍に配置することができる。従って、分光器2によれば、回折格子を用いた分光器と比較して小型化することができる。
【0079】
分光器2では、制御素子103はX方向及びY方向の画素数を設定することができる。制御素子103は、入射光の光量が少ない場合には画素数を大きく設定し、検出精度を向上させる場合には画素数を小さく設定し、かつ、中心部の画素111の受光信号のみを加算する。即ち、分光器2によれば、画素111ごとに生成される受光信号の信号処理を目的に応じて実行することができる。
【0080】
分光器2によれば、波長選択フィルタユニット200により分光された入射光を、光学素子400によって平行光とすることにより、目的の画素111に精度よく入射させることができる。
【0081】
[第3実施形態]
図11を用いて、第3実施形態の分光器の構成例を説明する。
図11は
図2及び
図10に対応する。なお、説明をわかりやすくするために、第1及び第2実施形態の分光器1及び2と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0082】
図11に示すように、分光器3は、受光デバイス100と、波長選択フィルタユニット200と、光学素子300及び500とを備える。受光デバイス100は、基台101と、複数の端子102と、制御素子103と、受光素子110とを有する。複数の端子102と制御素子103と受光素子110とは基台101に固定されている。制御素子103と受光素子110とは複数の端子102に接続されている。受光素子110は、複数の画素111がX方向及びY方向に配置された画素領域112を有する。
【0083】
光学素子300は入射光を平行光にする。光学素子300により平行光とされた入射光は波長選択フィルタユニット200に入射する。波長選択フィルタユニット200は、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270と誘電体多層膜280とをそれぞれ有する。
【0084】
誘電体多層膜280は、透明基板270において光学素子500と対向する面に形成されている。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270において誘電体多層膜280が形成されている面とは反対側の面に誘電体多層膜282が形成された構成としてもよい。
【0085】
入射光は波長選択フィルタユニット200により、波長または波長帯ごとに分光される。波長選択フィルタユニット200により分光された入射光は、光学素子500に入射する。
【0086】
光学素子500において受光素子110の画素領域112と対向する面には、複数のマイクロレンズ501が形成されている。即ち、光学素子500は、画素領域112と対向する複数のマイクロレンズ501を有する。1つのマイクロレンズ501が形成されている領域は、画素領域112において、例えば20個の画素111がX方向及びY方向にそれぞれ配置されている領域に相当する。
【0087】
光学素子500は入射光を平行光にする。複数のマイクロレンズ501は、光学素子500により平行光とされた入射光を、画素領域112にそれぞれ集束させる。波長選択フィルタユニット200により分光された入射光は、複数のマイクロレンズ501により波長帯ごとに集束され、受光素子110の画素領域112のそれぞれ対応する画素111に入射する。
【0088】
制御素子103は、外部から複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して入力される制御信号に基づいて受光素子110を制御する。受光素子110は、画素領域112に入射した光を画素111ごとに光電変換して受光信号を生成する。
【0089】
受光素子110は、受光信号を制御素子103へ出力する。制御素子103は受光信号を信号処理し、複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して外部へ出力する。分光器3の制御素子103は、分光器1の制御素子103と同様の信号処理を実行する。
【0090】
分光器3では、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する波長選択フィルタユニット200は、透過波長がλaからλgへ連続的に変化する透過波長特性を有するリニアバリアブルフィルタとして機能する。
【0091】
分光器3では、リニアバリアブルフィルタとして機能する波長選択フィルタユニット200により入射光を分光するため、波長選択フィルタユニット200を受光素子110の画素領域112の近傍に配置することができる。従って、分光器3によれば、回折格子を用いた分光器と比較して小型化することができる。
【0092】
分光器3では、制御素子103はX方向及びY方向の画素数を設定することができる。制御素子103は、入射光の光量が少ない場合には画素数を大きく設定し、検出精度を向上させる場合には画素数を小さく設定し、かつ、中心部の画素111の受光信号のみを加算する。即ち、分光器3によれば、画素111ごとに生成される受光信号の信号処理を目的に応じて実行することができる。
【0093】
分光器3によれば、波長選択フィルタユニット200により分光された入射光を、複数のマイクロレンズ501により波長帯ごとに目的の画素111に精度よく入射させることができる。
【0094】
分光器3によれば、目的の画素111には、波長選択フィルタユニット200により分光された入射光が、複数のマイクロレンズ501により集束されて入射する。これにより、目的の画素111により生成される受光信号の信号レベルを上げることができるため、入射光の光量が少ない場合に有効である。また、分光器3によれば、目的の波長帯に対する近傍の波長帯の入射光が目的の画素111に入射することにより生じるクロストークを複数のマイクロレンズ501により防止することができる。
【0095】
[第4実施形態]
図12を用いて、第4実施形態の分光器の構成例を説明する。
図12は
図2、
図10、及び、
図11に対応する。なお、説明をわかりやすくするために、第1〜第3実施形態の分光器1〜3と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0096】
図12に示すように、分光器4は、受光デバイス100と、波長選択フィルタユニット200と、光学素子300とを備える。受光デバイス100は、基台101と、複数の端子102と、制御素子103と、受光素子110とを有する。複数の端子102と制御素子103と受光素子110とは基台101に固定されている。制御素子103と受光素子110とは複数の端子102に接続されている。受光素子110は、複数の画素111がX方向及びY方向に配置された画素領域112を有する。
【0097】
光学素子300は入射光を平行光にする。光学素子300により平行光とされた入射光は波長選択フィルタユニット200に入射する。波長選択フィルタユニット200は、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270と誘電体多層膜280とをそれぞれ有する。
【0098】
誘電体多層膜280は、受光素子110の画素領域112と対向する面に形成されている。波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260は、透明基板270において誘電体多層膜280が形成されている面とは反対側の面に誘電体多層膜282が形成された構成としてもよい。
【0099】
入射光は波長選択フィルタユニット200により、波長または波長帯ごとに分光される。波長選択フィルタユニット200により分光された入射光は、受光素子110の画素領域112のそれぞれ対応する画素111に入射する。
【0100】
受光素子110の画素領域112には、各画素111に対応してマイクロレンズ113が形成されている。波長選択フィルタユニット200により分光された入射光は、マイクロレンズ113により集束され、それぞれ対応する画素111に入射する。
【0101】
制御素子103は、外部から複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して入力される制御信号に基づいて受光素子110を制御する。受光素子110は、画素領域112に入射した光を画素111ごとに光電変換して受光信号を生成する。
【0102】
受光素子110は、受光信号を制御素子103へ出力する。制御素子103は受光信号を信号処理し、複数の端子102のうちの少なくともいずれかの端子102を介して外部へ出力する。分光器4の制御素子103は、分光器1の制御素子103と同様の信号処理を実行する。
【0103】
分光器4では、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を有する波長選択フィルタユニット200は、透過波長がλaからλgへ連続的に変化する透過波長特性を有するリニアバリアブルフィルタとして機能する。
【0104】
分光器4では、リニアバリアブルフィルタとして機能する波長選択フィルタユニット200により入射光を分光するため、波長選択フィルタユニット200を受光素子110の画素領域112の近傍に配置することができる。従って、分光器4によれば、回折格子を用いた分光器と比較して小型化することができる。
【0105】
分光器4では、制御素子103はX方向及びY方向の画素数を設定することができる。制御素子103は、入射光の光量が少ない場合には画素数を大きく設定し、検出精度を向上させる場合には画素数を小さく設定し、かつ、中心部の画素111の受光信号のみを加算する。即ち、分光器4によれば、画素111ごとに生成される受光信号の信号処理を目的に応じて実行することができる。
【0106】
分光器4では、波長選択フィルタユニット200により分光された入射光を、マイクロレンズ113により集束させ、それぞれ対応する画素111の中心部に入射させる。これにより、目的の画素111の検出精度を向上させることができる。
【0107】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0108】
第1〜第4実施形態の分光器1〜4では、波長選択フィルタユニット200は、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向がX方向となるように配置されているが、波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の長手方向がY方向となるように波長選択フィルタユニット200を配置してもよい。
【0109】
波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260の位置関係においても第1〜第4実施形態の分光器1〜4の波長選択フィルタユニット200の構成に限定されるものではなく、任意に配置してもよい。
【0110】
第1実施形態の分光器1では、複数の透明基板271及び272を用いて波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を作製したが、これに限定されるものではない。例えば1つの透明基板270に波長選択フィルタ210、220、230、240、250、及び、260を形成した後、透明基板270を複数の透明基板271及び272に切断し、切断された透明基板271から波長選択フィルタ210、230、及び、250を作製し、切断された透明基板272から波長選択フィルタ220、240、及び、260を作製するようにしてもよい。