(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水車羽根は、前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部と、前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の水流の下流側に取り付けられた前記R背面部とにより形成された中空部を備え、
前記水車羽根の前記第1のA羽根が最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の水受け面部の先端凹部が着水し水圧を受け始め、第1のA羽根は前記第2のB羽根によって遮られた水流以外の水圧を受けながら最下点を通過するが、水流は下向きに流れるので第1のA羽根に形成された前記中空部により前記第1のA羽根に浮力が生じて前記水車の回転を助けるとともに、前記第2のB羽根は水圧を増大しながら水流の最大圧を受ける地点まで加速するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車。
前記第1のA羽根に水圧がなくなるころ、前記第2のB羽根は最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の水流の上流側に隣接する第3のC羽根の並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の先端凹部が着水し水圧を受け始めることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め効率良く回転トルクに変換できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車。
前記三角羽根が、前記水車ドラムの周面に所定の間隔で12枚取り付けられてなることを特徴とする請求項4に記載の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車。
前記R背面部は、一方の端部が前記水車ドラムの周面に取り付けられるとともに、他方の端部が前記水受け面部の先端に水流の進む方向に56.5°開いて取り付けられていることにより、最下点を過ぎた前記三角羽根どうしの間にある水の排除や水の巻き込みを防ぎ、離水時の水切りを良くすることにより負のエネルギーを軽減することを可能としたことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記水圧モータは、家庭の水道水の水圧で駆動力を得る水圧モーターであって、河川や海水の表面近くの流速を利用する水車羽根の形状及び羽根の枚数・喫水線の位置等を提案するものとはなっていなかった。
【0006】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車は、河川や海水の表面近くの流速を利用する水車羽根の形状及び羽根の枚数・喫水線の位置等を提案するものであり、河川や海水の表面近くの水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車は、水車羽根の枚数を12枚に設定し、喫水線の位置を水車の半径1/3に設定するとともに、前記水車羽根を三角羽根としてその取付け角度は、並設された複数の弧状断面からなる水受け面部を水車の中心線に対して水流の進む方向に22.5°傾けることにより、前記複数枚の水車羽根のうちの第1のA羽根は、前記第1のA羽根の水流の上流側に隣接する第2のB羽根の水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の先端凹部が着水し水圧を受け始めることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め効率良く回転トルクに変換できるとともに、前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の水流の下流側にはR背面部が取り付けられるとともに、該R背面部の取付け角度を前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の先端から56.5°開いて三角形を作ることにより、最下点を過ぎた前記水車羽根間にある水の排除や水の巻き込みを防ぎ、離水時の水切りを良くすることにより負のエネルギーを軽減することを可能としたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車において、前記水車羽根は、前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部と、前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の水流の下流側に取り付けられた前記R背面部とにより形成された中空部を備え、前記水車羽根の前記第1のA羽根が最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の水受け面部の先端凹部が着水し水圧を受け始め、第1のA羽根は前記第2のB羽根によって遮られた水流以外の水圧を受けながら最下点を通過するが、水流は下向きに流れるので第1のA羽根に形成された前記中空部により前記第1のA羽根に浮力が生じて前記水車の回転を助けるとともに、前記第2のB羽根は水圧を増大しながら水流の最大圧を受ける地点まで加速するようにしたことをも特徴とするものである。
【0009】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車において、前記第1のA羽根に水圧がなくなるころ、前記第2のB羽根は最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の水流の上流側に隣接する第3のC羽根の並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の先端凹部が着水し水圧を受け始めることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め効率良く回転トルクに変換できるようにしたことをも特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車は、水車ドラムと、該水車ドラムの周面に複数取り付けられた三角羽根と、前記水車ドラムの両側開口部に取り付けられた左右一対の側板と、からなる水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車であって、前記三角羽根は、水流の上流側の並設された複数の弧状断面からなる水受け面部と、前記水受け面部の水流の下流側に取り付けられたR背面部からなり、前記水受け面部は、前記水車ドラムの周面に一方の端部が取り付けられた大径の弧状断面からなるパワー凹部と、該パワー凹部の他方の端部に形成された小径の弧状断面からなる先端凹部とを備え、前記R背面部は、前記水車ドラムの周面に一方の端部が取り付けられるとともに、他方の端部が前記水受け面部の先端に取り付けられていることをも特徴とするものである。
【0011】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車において、前記三角羽根が、前記水車ドラムの周面に所定の間隔で12枚取り付けられてなることをも特徴とするものである。
【0012】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車において、前記水受け面部を前記水車の中心線に対して水流の進む方向に22.5°傾けることにより、前記水車ドラムの周面に複数枚取り付けられた前記三角羽根のうちの第1のA羽根は、前記第1のA羽根の水流の上流側に隣接する第2のB羽根の水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流に対して前記第1のA羽根の水受け面部が直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の水受け面部の前記先端凹部が着水し水圧を受け始めることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め効率良く回転トルクに変換できるようにしたことをも特徴とするものである。
【0013】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車において、前記R背面部は、一方の端部が前記水車ドラムの周面に取り付けられるとともに、他方の端部が前記水受け面部の先端に水流の進む方向に56.5°開いて取り付けられていることにより、最下点を過ぎた前記三角羽根どうしの間にある水の排除や水の巻き込みを防ぎ、離水時の水切りを良くすることにより負のエネルギーを軽減することを可能としたことをも特徴とするものである。
【0014】
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車において、前記三角羽根は、前記水受け面部と前記R背面部とにより形成された中空部を備え、前記第1のA羽根は、前記第1のA羽根の水流の上流側に隣接する第2のB羽根の水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流に対して前記第1のA羽根の前記水受け面部が直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根の前記水受け面部の前記先端凹部が着水し水圧を受け始め、前記第1のA羽根は前記第2のB羽根によって遮られた水流以外の水圧を受けながら最下点を通過するが、水流は下向きに流れるので前記第1のA羽根に形成された前記中空部により前記第1のA羽根に浮力が生じて前記水車の回転を助けるとともに、前記第2のB羽根は水圧を増大しながら水流の最大圧を受ける地点まで加速するようにしたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
河川や海水の表面近くの流速で効率良く回転トルクに変換する水車羽根の形状は羽根枚数と喫水線の位置はきわめて重要な要素である。水位が水車の中心近くの場合は、水車はほとんど回転しない。水車の外周近くでは回転はするが必要な回転トルクが得られない。そこで水車羽根の枚数を12枚に設定し、喫水線の位置を水車の半径1/3に設定し、三角羽根の取付け角度は、前記三角羽根を構成する並設された複数の弧状断面からなる水受け面部を水車の中心線に対して水流の進む方向に22.5°傾けることにより、前記複数枚の三角羽根のうちの第1のA羽根は水流の上流側に隣接する第2のB羽根の水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流に対し前記第1のA羽根の前記水受け面部が直角になって最大水圧を受けることとなる。
【0016】
同時に前記第2のB羽根の前記水受け面部の先端凹部が着水して水圧を受け始める。したがって、水流エネルギーを最大限に受け止めて効率良く回転トルクに変換できる。また、前記水受け面部の水流の下流側に取り付けられたR背面部の取付け角度を前記水受け面部の先端から56.5°開いて三角形を作ることにより、最下点を過ぎた前記三角羽根どうしの間にある水の排除や水の巻き込みを防ぎ、離水時の水きりを良くすることにより負のエネルギーを軽減することができるのであって、水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車に係る実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1ないし
図5は、水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車の実施例を示すものであり、三角羽根からなる水車羽根11の枚数を12枚に設定し、喫水線12の位置を水車21の半径1/3に設定している。そして、前記水車羽根11は、並設された複数の弧状断面からなる水受け面部13と該水受け面部13の水流19の下流側に設けたR背面部とからなる三角羽根としてあり、前記水受け面部13の取付け角度は、水車21の中心線に対して水流19の進む方向に22.5°傾けている。
【0019】
このようにすることにより、前記複数枚の水車羽根11のうちの第1のA羽根11Aは、前記第1のA羽根11Aの水流19の上流側に隣接する第2のB羽根11Bの水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流19に対し前記第1のA羽根11Aの水受け面部13Aが直角になって最大水圧を受けるようになっている。
なお、前記水受け面部13を構成する複数の弧状断面は、図に示すように、大径の弧状断面からなるパワー凹部13aと、小径の弧状断面からなる先端凹部13bを並設した構成を好適に用いることができる。
【0020】
また、前記第1のA羽根11Aが最下点より手前22.5°の位置で水流19に対して前記水受け面部13Aが直角になって最大水圧を受けるようになると同時に、前記第2のB羽根11Bの水受け面部13Bの先端凹部13bが着水し水圧を受け始めることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め効率良く回転トルクに変換できるようにしてある。加えて、前記水受け面部13Bの水流19の下流側に設けたR背面部14Bの取付け角度を前記水受け面部13Bの先端から56.5°開いて三角形を作ることにより、最下点を過ぎた前記水車羽根11どうしの間にある水の排除や水の巻き込みを防ぎ、離水時の水切りを良くすることにより負のエネルギーを軽減することを可能としたものである。
【0021】
なお、本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車21は、前記第1のA羽根11Aは最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流19に対し直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根11Bの水受け面13Bの先端凹部13bが着水し水圧を受け始め、前記第1のA羽根11Aは前記第2のB羽根11Bによって遮られた水流以外の水圧を受けながら最下点を通過するが、水流19は下向きに流れるので前記第1のA羽根11Aの中空部15に浮力15aが生じて回転を助け、前記第2のB羽根11Bは水圧を増大しながら水流の最大圧を受ける地点まで加速するようにしてある。
【0022】
さらに本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車21は、前記第1のA羽根11Aに水圧がなくなるころ、前記第2のB羽根11Bは最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に第3のC羽根11Cの水受け面部13Cの先端凹部13bが着水し水圧を受け始める。このようにすることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め連続的に効率良く回転トルクに変換できるのである。
【0023】
また、
図5に示すように、12枚の三角羽根からなる水車羽根11が水車ドラム31上に所定の間隔を設けた状態で等間隔に配置されている。その上で水車羽根11を水車ドラム31に取り付けた状態でその両面に左右一対の側板35が水車羽根11の先端までを覆うように取り付けられているのである。
図において36は水車21の中心を貫通するように取り付けられた回転軸であり、その回転を発電機に伝達して発電するのである。
【0024】
図6は三角羽根からなる水車羽根11の詳細を示す要部拡大図である。
図6に示すように、水車ドラム31の垂線に沿った第1中心線101と水車ドラム31との交点31aには水車羽根11のR背面部14上端が取り付けられ、水車ドラム31を12分割して前記中心線101と隣接する第2中心線102と水車ドラム31との交点31bには水車羽根11の水受け面部13上端が取り付けられている。
その上で、前記中心線102と水車ドラム31との交点31bから垂直に下した線上に水車羽根11の水受け面部13を構成するパワー凹部13aおよび先端凹部13bが配置されているのである。
このような構成の水車羽根11において、前記水車ドラム31の垂線に沿った中心線101と水車ドラム31との交点31aに取り付けられた水車羽根11のR背面部14の上端位置が喫水線12となるように、水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車21が河川や水路に配置されるのである。
【0025】
なお、
図6に示すように、前記水車羽根11の前記水受け面部13の前記パワー凹部13aの弧状断面と、前記水車羽根11の前記R背面部14の弧状断面とは、ともに大径の同じ曲率(R=2×L)の凹部形状に形成されており、前記水受け部13の前記先端凹部13bの弧状断面は、前記パワー凹部13aよりも小径の曲率(R=1/6×L)の凹部形状に形成されている。
このようにすることにより、前記水車羽根11は最下点の手前22.5°の位置において水流19から最大水圧を受けるとともに、前記水車羽根11の水流19の上流側に隣接する前記水車羽根11の水受け面部13に形成された先端凹部13bが喫水線12と交差して着水し水圧を受け始めた際、前記先端凹部13bを弧状断面の凹形状とすることにより、初期少量の水流による水圧をも十分に回転トルクに変換できるようにしてあるので、水流エネルギーを最大限に受け止めて連続的に効率良く回転トルクに変換できるのである。
【0026】
図7および
図8に、本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車21を河川等におけるマイクロ水車発電に利用した状態を示す。
このマイクロ水車発電装置40は、三角羽根を備えた水車21の上部に水車カバー41を取付け、その上部に発電機42を設置した上、全体カバー43で水車21と発電機42とを一体的に保持させたものである。なお、全体カバー43の上部には外向きに開口する所定長さの通気口44が開設されており、その通気口44には円弧状断面の通気口カバー45が設置されている。
さらに、マイクロ水車発電装置40を上面に取り付けるU字側溝46の下流側には、上流側との平衡を図るための台座46aが設置されており、水車21を平衡に設置できるよう配慮されている。
【0027】
図9は、マイクロ水車発電装置40を上面に取り付けるU字側溝46の詳細を示すものであり、該U字側溝46には30m当たり、3m間隔で10台設置することができることを示している。このような間隔においては、エネルギーを使い減速した表面水流19aは、下流域3mの間に深層水流19bにより復元するのであって、非常に効率よく発電することが可能となった。
図10はその完成予想イメージ図であり、マイクロ水車発電装置40はU字側溝46上面に所定間隔で取り付けられており、全体カバー43と、その上部に取り付けた外向きに開口する所定長さの通気口44上面に取り付けた通気口カバー45とを示している。
【0028】
次に
図11は、マイクロ水車発電装置40を取り付けたU字側溝46が市町村管理の河川47に取水口48を介して設置されている状態を示すものであり、前記河川47と取水口48との間には除塵装置49が設置されている。その上で、前記取水口48には水量調節用ゲート50が取り付けられていて、U字側溝46の水位を調節することができるようになっている。51は前記U字側溝46の末端の復水口である。
【0029】
図12ないし
図15は本発明を従来技術との対比において説明するためのものであり、
図12(a)〜(c)は従来例の水車を示すものであり、
図13(a)〜(c)は水車における喫水線の位置の検討図であり、
図14(a)〜(c)は水車における羽根の好適な枚数を示す検討図であり、最後に
図15(a)〜(c)は水車における羽根の枚数に応じた取付角度、排水線の取付を示す検討図である。
【0030】
図12(a)は滝のように流下する水流61を受けて発電するための水車ドラム62を示し、水車羽根63は先端が上向きに屈曲させてあり、流下する水流61を受けやすくしたものである。
図12(b)は段差のような落差から流下する水流71を受けて発電するための水車ドラム72を示し、水車羽根73も先端が上向きに屈曲させてあり、流下する水流71を受けやすくしたものである。
図12(c)も段差のような落差から流下する水流81を受けて発電するための水車ドラム82を示し、水車羽根83も先端が上向きになるよう曲面的に屈曲させてあり、流下する水流81を受けやすくしたものである。
以上のように水車において回転トルクは落差や水の重量によって得られ、従来例の水車のように落差の大きい設置環境においては、水車羽根63,73,83の背面水切り抵抗がないため、羽根の形状および羽根の枚数が多く、形状はスプーン状や水の重量を受けやすい形状になっている。
このような従来例の水車を、その形態のまま落差の小さい水路に設置した場合、落差が小さいために回転トルクが得にくいばかりか、水車羽根の背面水切り抵抗も大きくなるため、極めて効率の低いものとなってしまっていた。
【0031】
以上の欠点を解消するため、喫水線の位置を検討した場合について
図13を用いて説明する。
図13(a)は喫水線Kを水車91のほぼ半分に設定した場合、
図13(b)は喫水線Kを水車91の半径のほぼ半分に設定した場合、
図13(c)は喫水線Kを水車91の半径の1/3に設定した場合を示すものである。図において、92は背面水切りの抵抗を示し、93は水の巻き上げを示すものである。
図13(a)の場合にあっては、背面水切りの抵抗92が大きく、加えて、水の巻き上げ93も生じてしまう。
図13(b)の場合にあっては、背面水切りの抵抗92を低減させることができるものの、依然として水の巻き上げ93が生じてしまっていた。しかし、
図13(c)の、喫水線Kを水車91の半径の1/3に設定した場合にあっては、水の巻き上げ93の発生を十分に抑制することができ、喫水線Kを水車91の半径の1/3に設定した場合が最適であることが判明した。
【0032】
次に羽根の枚数について検討した場合について
図14を用いて説明する。
図14(a)は羽根92の枚数を16枚とした場合、
図14(b)は羽根92の枚数を12枚とした場合、
図14(c)羽根92の枚数を8枚とした場合を示すものである。
図14(a)の場合にあっては、各羽根92に衝突する水流の流量は少ないもの、同時に水中に滞在する羽根92の枚数が多いために、各羽根92の背面水切りの抵抗の総和は大きくなってしまっていた。また、
図14(c)の場合にあっては、各羽根92が同時に水中に滞在する枚数が少ないものの、羽根92一枚に衝突する水流の流量が大きく、各羽根92の背面水切りの抵抗も大きくなってしまう。しかし、
図14(b)の羽根92の枚数を12枚とした場合にあっては、各羽根92の同時に水中に滞在する枚数を適度に抑えながら、各羽根92に衝突する水流の流量も抑えることができることから、各羽根92の背面水切り抵抗も低減することができ、羽根92の枚数を12枚とした場合が最適であることが判明した。
【0033】
最後に羽根の取付け角度・排水面の取付けについて検討した場合について
図15を用いて説明する。
図15(a)は羽根92の枚数を16枚とし、羽根前面92aが水車の中心線から水流の下流側に傾斜させるとともに、羽根後面92b上端が水車91の垂直な中心線92c上にある場合、
図15(b)は羽根92の枚数を12枚とし、羽根前面92aが水車の中心線から水流の下流側に傾斜させるとともに、羽根後面92b上端が水車91の垂直な中心線92c上にある場合、
図15(c)は羽根92の枚数を8枚とし、羽根前面92aが水車の中心線から水流の下流側に傾斜させるとともに、羽根後面92b上端が水車91の垂直な中心線92c上にある場合を示すものである。
図15(a)の場合にあっては、各羽根92に衝突する水流の流量は少ないもの、同時に水中に滞在する羽根92の枚数が多いために、羽根前面92aと羽根後面92bとからなる三角羽根形状を形成するとともに、前記羽根後面92aを弧状断面の凹形状に形成して水の巻き込みを防いだ場合であっても、各羽根92の背面水切りの抵抗の総和は大きくなってしまっていた。また、
図15(c)の場合にあっては、各羽根92が同時に水中に滞在する枚数が少ないものの、羽根前面92aと羽根後面92bとからなる三角羽根形状を形成するとともに、前記羽根後面92aを弧状断面の凹形状に形成して水の巻き込みを防いだ場合であっても、羽根92一枚に衝突する水流の流量が大きく、各羽根92の背面水切りの抵抗も大きくなってしまう。
【0034】
しかし、
図15(b)の羽根92の枚数を12枚とした場合にあっては、各羽根92の同時に水中に滞在する枚数を適度に抑えながら、羽根前面92aと羽根後面92bとからなる三角羽根形状を形成するとともに、前記羽根後面92aを弧状断面の凹形状に形成して水の巻き込みを防ぎつつ、各羽根92に衝突する水流の流量も抑えることができることから、各羽根92の背面水切り抵抗も低減することができ、羽根92の枚数を12枚とし、羽根前面92aが水車の中心線から水流の下流側に傾斜させるとともに、羽根後面92b上端が水車91の垂直な中心線92c上にある場合が最適であることが判明した。
なお、
図15に示すように、羽根92を前記羽根前面92aと前記羽根後面92bとからなる三角羽根形状に形成して中空部を備えることにより、羽根92が最下点を通過したあとは、前記中空部による浮力が生じて水車の回転を助けることができるのである。
【0035】
図16ないし
図21は水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車の別の実施の形態を示すものである。
図において、水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車121は、水車ドラム131と、該水車ドラム131の周面に複数取り付けられた三角羽根111と、前記水車ドラム131の両側開口部に取り付けられた左右一対の側板135とからなるものである。
また、図において、前記三角羽根111の枚数を12枚に設定し、喫水線12の位置を前記水車121の半径1/3に設定している。
【0036】
前記三角羽根111は、水流19の上流側の並設された複数の弧状断面からなる水受け面部113と、前記水受け面部113の水流19の下流側に取り付けられたR背面部114とから構成されている。
前記水受け面部113は、前記水車ドラム131の周面に一方の端部が取り付けられた大径の弧状断面からなるパワー凹部113aと、該パワー凹部113aの他方の端部に形成された小径の弧状断面からなる先端凹部113bとを備え、前記R背面部114は、前記水車ドラム131の周面に一方の端部が取り付けられるとともに、他方の端部が前記水受け面部113の先端に取り付けられている。
【0037】
また、図において、前記三角羽根111は、前記水車ドラム131の周面に所定の間隔で12枚取り付けられている。
さらに、前記水受け面部113を前記水車121の中心線202に対して水流19の進む方向に22.5°傾けることにより、前記水車ドラム131の周面に複数枚取り付けられた前記三角羽根111のうちの第1のA羽根111Aは、前記第1のA羽根111Aの水流19の上流側に隣接する第2のB羽根111Bの水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流19に対して前記第1のA羽根111Aの水受け面部113Aが直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根111Bの水受け面部113Bの前記先端凹部113bが着水し水圧を受け始めることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め効率良く回転トルクに変換できるようにしている。
【0038】
加えて、前記R背面部114は、一方の端部が前記水車ドラム131の周面に取り付けられるとともに、他方の端部が前記水受け面部113の先端に水流19の進む方向に56.5°開いて取り付けられていることにより、最下点を過ぎた前記三角羽根111どうしの間にある水の排除や水の巻き込みを防ぎ、離水時の水切りを良くすることにより負のエネルギーを軽減することを可能としている。
【0039】
さらに、前記三角羽根111は、前記水受け面部113と前記R背面部114とにより形成された中空部115を備え、前記第1のA羽根111Aは、前記第1のA羽根111Aの水流19の上流側に隣接する第2のB羽根111Bの水流妨害を受けずに最下点より手前22.5°の位置で水流19に対して前記第1のA羽根111Aの前記水受け面部113Aが直角になって最大水圧を受け、同時に前記第2のB羽根111Bの前記水受け面部113Bの前記先端凹部113bが着水し水圧を受け始め、前記第1のA羽根111Aは前記第2のB羽根111Bによって遮られた水流以外の水圧を受けながら最下点を通過するが、水流19は下向きに流れるので前記第1のA羽根111Aに形成された前記中空部115により前記第1のA羽根111Aに浮力115aが生じて前記水車121の回転を助けるとともに、前記第2のB羽根111Bは水圧を増大しながら水流の最大圧を受ける地点まで加速するようにしている。
【0040】
さらに本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車121は、前記第1のA羽根111Aに水圧がなくなるころ、前記第2のB羽根111Bは最下点を通る中心線より手前22.5°の位置で水流に対し直角になって最大水圧を受け、同時に第3のC羽根111Cの水受け面部113Cの先端凹部113bが着水し水圧を受け始める。このようにすることにより、水流エネルギーを最大限に受け止め連続的に効率良く回転トルクに変換できるのである。
【0041】
また、
図20に示すように、12枚の三角羽根111が水車ドラム131上に所定の間隔を設けた状態で等間隔に配置されている。その上で三角羽根111を水車ドラム131に取り付けた状態でその両面に左右一対の側板135が三角羽根111の先端までを覆うように取り付けられているのである。
図において136は水車121の中心を貫通するように取り付けられた回転軸であり、その回転を発電機に伝達して発電するのである。
【0042】
図21は、前記三角羽根111の詳細を示す要部拡大図である。
図21に示すように、水車ドラム131の垂線に沿った第1中心線201と水車ドラム131との交点131aには三角羽根111のR背面部114上端が取り付けられ、水車ドラム131を12分割して前記中心線201と隣接する第2中心線202と水車ドラム131との交点131bには三角羽根111の水受け面部113上端が取り付けられている。
その上で、前記中心線202と水車ドラム131との交点131bから垂直に下した線上に三角羽根111の水受け面部113を構成するパワー凹部113aおよび先端凹部113bが配置されているのである。
このような構成の三角羽根111において、前記水車ドラム131の垂線に沿った中心線201と水車ドラム131との交点131aに取り付けられた三角羽根111のR背面部114の上端位置が喫水線12となるように、水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根111を備えた水車121が河川や水路に配置されるのである。
【0043】
なお、
図21に示すように、前記三角羽根111の前記水受け面部113の前記パワー凹部113aの弧状断面と、前記三角羽根111の前記R背面部114の弧状断面とは、ともに大径の同じ曲率(R=2×L)の凹部形状に形成されており、前記水受け部113の前記先端凹部113bの弧状断面は、前記パワー凹部113aよりも小径の曲率(R=1/6×L)の凹部形状に形成されている。
このようにすることにより、前記三角羽根111は最下点の手前22.5°の位置において水流19から最大水圧を受けるとともに、前記三角羽根111の水流19の上流側に隣接する前記三角羽根111の水受け面部113に形成された先端凹部113bが喫水線12と交差して着水し水圧を受け始めた際、前記先端凹部113bを弧状断面の凹形状とすることにより、初期少量の水流を十分にキャッチして前記初期少量の水流からも十分な水圧を受けて回転トルクに変換できるようにしてあるので、水流エネルギーを最大限に受け止めて連続的に効率良く回転トルクに変換できるのである。
【0044】
このように構成された本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根111を備えた水車121は、上述の
図7ないし
図11に示すマイクロ水力発電に利用することができることは言うまでもない。なお、前記水車121をマイクロ水力発電に利用した実施の形態の説明は、上述の
図7ないし
図11における水車21をマイクロ水力発電に利用した場合と同様の利用形態となるため、省略する。
本発明の水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車は、河川や海水の表面近くの水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車を提供することを目的とする。
前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の水流の下流側にはR背面部が取り付けられるとともに、該R背面部の取付け角度を前記並設された複数の弧状断面からなる水受け面部の先端から56.5°開いて三角形を形成したことを特徴とする水流エネルギーを効率よく回転トルクに替えられる三角羽根を備えた水車。