特許第6969747号(P6969747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969747
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】蛍光体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/08 20060101AFI20211111BHJP
   C09K 11/59 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   C09K11/08 B
   C09K11/59
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-58803(P2018-58803)
(22)【出願日】2018年3月26日
(65)【公開番号】特開2019-172714(P2019-172714A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2020年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将治
(72)【発明者】
【氏名】松井 克己
(72)【発明者】
【氏名】増田 賢太
(72)【発明者】
【氏名】戸田 健司
【審査官】 黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−537349(JP,A)
【文献】 特表2017−504949(JP,A)
【文献】 Philipp Strobel,Luminescence of the Narrow-Band Red Emitting Nitridomagnesosilicate Li2(Ca1-xSrx)2[Mg2Si2N6]:Eu2+ (x=0-0.06),Chemistry of Materials,2017年,29,1377-1383
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00−11/89
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)と(2)を組み合わせてLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26(x=0〜0.06)の組成になるように調整した粉末と、Eu化合物とを成形体とし、当該成形体を内圧1MPa未満の高圧焼成炉中750〜1250℃で焼成することを特徴とするLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26;Eu蛍光体の製造方法。
(1)LiとCa、Sr及びMgから選ばれる1種以上との複合窒化物
(2)SiとCa、Sr及びMgから選ばれる1種以上の複合窒化物
【請求項2】
焼成温度が、800〜1200℃である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
焼成雰囲気が、酸素非含有雰囲気である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
焼成雰囲気が、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、窒素水素混合ガス雰囲気又はアルゴン水素混合ガス雰囲気である請求項1又は2記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体の工業的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新規赤色蛍光体であるLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26;Eu(x=0〜0.06)は、下記特許文献1にて初めて報告された。この新規蛍光体の合成方法は、出発原料としてCaF2、Mg、Si(NH)2、Li3N、EuF2を用い、不活性ガス中にてTaアンプル内に封入し、管状炉にて950℃で24時間加熱処理すると報告されている。また、この赤色蛍光体の製造方法は、非特許文献1と同一の発明者により特許文献1にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017−537349号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Luminescence of the Narrow−Band Red Emitting Nitridomagnesosilicate Li2(Ca1-xSrx)2[Mg2Si2N6]:Eu2+(x=0〜0.06),Philipp Strobel et al.CHEMISTRY OF MATERIALS 2017,29(3),pp1377−1383
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1記載の方法では、原料をTaアンプル内に封入という蛍光体の合成においては特殊な方法を用いている。この理由として、Li3NやMgは、Si34に比べ沸点が低く揮発してしまうためであると考えられる。Taアンプルを用いることなく合成するには、量産には不向きな高い圧力(例えば、数十MPa)が必要である。
一方、特許文献1の実施例1および2には、実施例3のようにTaアンプルを用いる記載がないため、加圧して焼成していると考えられる。特許文献1には、圧力は0.5MPa以上で、1MPa以上で、1〜約500MPaという記載があることから、高圧焼成炉を用いた高圧下での焼成と考えられる。ここで、蛍光体を量産するための一般的な汎用の高圧焼成炉は、最高圧力が1MPa未満の焼成炉である。最高圧力が10MPaの超高圧焼成炉もあるが、高圧ガス保安法により様々な制約がかかるため、量産は困難であり、技術的な課題が解決できたとしても非常に高価となってしまう。また、加圧に使用するガスの純度、蛍光体の原料による焼成条件の調整といった品質の課題もある。
そこで、1MPa未満の高圧焼成炉(通称HIP)を用いて、特許文献1記載の実施例1を、0.9MPaにて1100℃で2時間反応させたが、目的の鉱物相を得ることができなかった。
従って、本発明の課題は、特殊な装置や危険性のある条件を使用しない、赤色蛍光体の工業的に有利な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、特殊な装置を用いることなく、工業的に使用可能な1MPa未満の高圧焼成炉で収率良く赤色蛍光体を製造すべく種々検討した結果、原料の一部を予め複合窒化物としておき、かつ原料を成形体とした後に、1MPa未満の高圧焼成炉で焼成を行えば、安全な条件で工業的に有利な品質の良い赤色蛍光体が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
【0008】
〔1〕下記(1)と(2)、(2)と(3)又は(1)と(4)を組み合わせてLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26(x=0〜0.06)の組成になるように調整した粉末と、Eu化合物とを成形体とし、当該成形体を内圧1MPa未満の高圧焼成炉中750〜1250℃で焼成することを特徴とするLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26;Eu蛍光体の製造方法。
(1)LiとCa、Sr及びMgから選ばれる1種以上との複合窒化物
(2)SiとCa、Sr及びMgから選ばれる1種以上の複合窒化物
(3)Li窒化物
(4)Si窒化物
〔2〕焼成温度が、800〜1200℃である〔1〕記載の製造方法。
〔3〕焼成雰囲気が、酸素非含有雰囲気である〔1〕又は〔2〕記載の製造方法。
〔4〕焼成雰囲気が、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、窒素水素混合ガス雰囲気又はアルゴン水素混合ガス雰囲気である〔1〕又は〔2〕記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、品質の良好な赤色蛍光体を、汎用性のある装置で、安全に量産することができる。Taアンプルや超高圧焼成炉を使用しないので工業的に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26;Eu蛍光体の製造方法は、下記(1)と(2)、(2)と(3)又は(1)と(4)を組み合わせてLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26(x=0〜0.06)の組成になるように調整した粉末と、Eu化合物とを成形体とし、当該成形体を内圧1MPa未満の高圧焼成炉中750〜1250℃で焼成することを特徴とする。
(1)LiとCa、Sr及びMgから選ばれる1種以上との複合窒化物
(2)SiとCa、Sr及びMgから選ばれる1種以上の複合窒化物
(3)Li窒化物
(4)Si窒化物
【0011】
本発明の製造方法では、予め製造された前記(1)及び/又は(2)の複合窒化物を原料とする。前記(1)及び/又は(2)の複合窒化物を用いず、Li窒化物、Si窒化物、Ca窒化物、Sr窒化物、Mg窒化物を直接1MPa未満の高圧焼成炉で焼成した場合には、目的とする窒化物は得られない(後記比較例1)。当該(1)及び/又は(2)の複合窒化物を用いることにより、全ての原料が1MPa未満の高圧焼成炉中の焼成条件で反応するものと考えられる。
【0012】
前記(1)又は(2)の複合窒化物の具体例を表1に示す。
【0013】

【表1】
【0014】
これらの複合窒化物は、原料元素窒化物に代表される原料に窒素ガス雰囲気で加熱することにより合成することができる。具体的には、表2に示す原料を用いて、管状炉内に窒素ガスフロー下で500〜1500℃で、0.5〜24時間加熱すればよい。より具体的には、露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、表2に示す窒化物原料を、表1に示す目的となる複合窒化物のモル比となるよう秤量する。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合する。混合した原料をアルミナボートに入れ管状炉に仕込み、N2ガスを1L/minフロー下で、所定温度および所定時間加熱処理する。得られた合成物は、XRD測定を行いて、鉱物相を同定する。
【0015】
【表2】
【0016】
(3)のLi窒化物としては、Li3N、LiNH、LiNH2が挙げられる。また(4)のSi窒化物としては、Si34、Si(NH)2が挙げられる。
【0017】
本発明では、前記(1)と(2)、(2)と(3)又は(1)と(4)を組み合わせてLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26(x=0〜0.06)の組成になるように調整した粉末と、Eu化合物とを成形体とする。
【0018】
本発明で用いるEu化合物としては、塩化ユーロピウム(EuCl3・6H2O)、酸化ユーロピウム(Eu23)、窒化ユーロピウム(EuN)、フッ化ユーロピウム(EuF3)等が挙げられる。なかでも、化学量論組成に基づく蛍光体をより確実に得る観点から、塩化ユーロピウムを用いるのが好ましい。
【0019】
本発明においては、前記粉体とEu化合物との混合物を1MPa未満の高圧焼成炉中で焼成しても目的とする赤色蛍光体は得られない。前記粉体とEu化合物を成形体とすることが必要である。
成形体の製造は、原料混合物を0.1MPa以上でプレスすることにより容易に実施できる。このときのプレス圧は、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下であり、ハンドプレスで可能である。また成形体の大きさは特に限定されず、全量を一体にプレスしてもよく、複数個の成形体としてもよい。体積0.001cc以上であればよく、0.01cc以上がより好ましい。
【0020】
次に、得られた成形体を内圧1MPa未満の高圧焼成炉中で焼成する。
高圧焼成炉の炉内圧は、1MPa未満でよく、好ましくは0.1〜0.9MPaである。
炉内の雰囲気としては、窒素ガス雰囲気下、アルゴンガス雰囲気下、窒素水素混合ガス雰囲気下又はアルゴン水素混合ガス雰囲気下などの酸素非含有雰囲気が挙げられ、中でもユーロピウムを還元する点からアルゴンガス雰囲気下又は窒素水素混合ガス雰囲気下が好ましい。なお、窒素水素混合ガス又はアルゴン水素混合ガスを用いる場合は、水素を3〜5%とするのが好ましい。
焼成温度は750〜1250℃である。750℃未満では目的物が得られず、原料が残存し1250℃を超えると試料が溶融し、蛍光特性が低下する。より好ましい焼成温度は800℃〜1200℃であり、さらに好ましくは900℃〜1100℃である。
また、焼成時間は、0.5〜24時間が好ましく、1〜24時間がより好ましい。
【0021】
本発明によれば、純度の高いLi2(Ca1-xSrx2Mg2Si26;Eu(x=0〜0.06)組成を有する赤色蛍光体が高収率で得られる。
【実施例】
【0022】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
参考例(複合窒化物の合成)
(LiCaNの合成方法)
露点−90度以下に保っているグローブボックス内にて、Li3N(太平洋セメント社製)及びCa32(太平洋セメント社製)をLi:Caのモル比で1:1になるように秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をアルミナボートに入れ管状炉に仕込み、N2ガスを1L/minフロー下で、800℃で6時間窒化した。得られた合成物は、XRD測定を行いて、鉱物相を同定したところ、LiCaNであった。
【0024】
(MgSiN2の合成方法)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、Mg32(太平洋セメント社製)およびSi34(宇部マテリアル社製)をMg:Siのモル比で1:1になるように秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をアルミナボートに入れ管状炉に仕込み、N2ガスを1L/minフロー下で、1100℃で6時間窒化した。得られた合成物は、XRD測定を行いて、鉱物相を同定したところ、MgSiN2であった。
【0025】
実施例1
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN2とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、900℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったところ、Li2Ca2Mg2Si26単相であることを確認した。
【0026】
実施例2
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN2とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったところ、Li2Ca2Mg2Si26単相であることを確認した。
【0027】
比較例1(高圧焼成炉での特許文献1の追試)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、Li3N(太平洋セメント社製)とMg(三津和化学社製)とCaH2(太平洋セメント社製)とSi34(宇部マテリアル社製)とEuF3(三津和化学社製)をモル比が100:100:100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料を高圧焼成炉に仕込み、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi2Ca2Mg2Si26は得られず、Si34および鉱物相不明のピークが見られた。
【0028】
比較例2(高圧焼成炉_単元素窒化物_1100℃)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、Li3N(太平洋セメント社製)とMg32(太平洋セメント社製)とCa32(太平洋セメント社製)とSi34(宇部マテリアル社製)とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料を高圧焼成炉に仕込み、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi2Ca2Mg2Si26は得られず、Si34および鉱物相不明のピークが見られた。
【0029】
比較例3(高圧焼成炉_複合窒化物_1100℃_ハンドプレスなし)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN2とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料を高圧焼成炉に仕込み、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi2Ca2Mg2Si26は得られず、鉱物相不明のピークが見られた。
【0030】
比較例4(高圧焼成炉_複合窒化物_700℃_ハンドプレス)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN2とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、700℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi2Ca2Mg2Si26は得られず、MgSiN2のピークが見られた。
【0031】
比較例5(高圧焼成炉_複合窒化物_1300℃_ハンドプレス)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN2とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1300℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi2Ca2Mg2Si26は得られず、鉱物相不明のピークが見られた。
【0032】
比較例6(管状炉_加圧無し)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN2とEuCl2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて1L/minにて、900℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi2Ca2Mg2Si26は得られなかった。
【0033】
実施例と比較例の結果を表3に示す。
【0034】
【表3】