【0020】
次に、得られた成形体を内圧1MPa未満の高圧焼成炉中で焼成する。
高圧焼成炉の炉内圧は、1MPa未満でよく、好ましくは0.1〜0.9MPaである。
炉内の雰囲気としては、窒素ガス雰囲気下、アルゴンガス雰囲気下、窒素水素混合ガス雰囲気下又はアルゴン水素混合ガス雰囲気下などの酸素非含有雰囲気が挙げられ、中でもユーロピウムを還元する点からアルゴンガス雰囲気下又は窒素水素混合ガス雰囲気下が好ましい。なお、窒素水素混合ガス又はアルゴン水素混合ガスを用いる場合は、水素を3〜5%とするのが好ましい。
焼成温度は750〜1250℃である。750℃未満では目的物が得られず、原料が残存し1250℃を超えると試料が溶融し、蛍光特性が低下する。より好ましい焼成温度は800℃〜1200℃であり、さらに好ましくは900℃〜1100℃である。
また、焼成時間は、0.5〜24時間が好ましく、1〜24時間がより好ましい。
【実施例】
【0022】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
参考例(複合窒化物の合成)
(LiCaNの合成方法)
露点−90度以下に保っているグローブボックス内にて、Li
3N(太平洋セメント社製)及びCa
3N
2(太平洋セメント社製)をLi:Caのモル比で1:1になるように秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をアルミナボートに入れ管状炉に仕込み、N
2ガスを1L/minフロー下で、800℃で6時間窒化した。得られた合成物は、XRD測定を行いて、鉱物相を同定したところ、LiCaNであった。
【0024】
(MgSiN
2の合成方法)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、Mg
3N
2(太平洋セメント社製)およびSi
3N
4(宇部マテリアル社製)をMg:Siのモル比で1:1になるように秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をアルミナボートに入れ管状炉に仕込み、N
2ガスを1L/minフロー下で、1100℃で6時間窒化した。得られた合成物は、XRD測定を行いて、鉱物相を同定したところ、MgSiN
2であった。
【0025】
実施例1
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN
2とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、900℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったところ、Li
2Ca
2Mg
2Si
2N
6単相であることを確認した。
【0026】
実施例2
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN
2とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったところ、Li
2Ca
2Mg
2Si
2N
6単相であることを確認した。
【0027】
比較例1(高圧焼成炉での特許文献1の追試)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、Li
3N(太平洋セメント社製)とMg(三津和化学社製)とCaH
2(太平洋セメント社製)とSi
3N
4(宇部マテリアル社製)とEuF
3(三津和化学社製)をモル比が100:100:100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料を高圧焼成炉に仕込み、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi
2Ca
2Mg
2Si
2N
6は得られず、Si
3N
4および鉱物相不明のピークが見られた。
【0028】
比較例2(高圧焼成炉_単元素窒化物_1100℃)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、Li
3N(太平洋セメント社製)とMg
3N
2(太平洋セメント社製)とCa
3N
2(太平洋セメント社製)とSi
3N
4(宇部マテリアル社製)とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料を高圧焼成炉に仕込み、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi
2Ca
2Mg
2Si
2N
6は得られず、Si
3N
4および鉱物相不明のピークが見られた。
【0029】
比較例3(高圧焼成炉_複合窒化物_1100℃_ハンドプレスなし)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN
2とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料を高圧焼成炉に仕込み、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1100℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi
2Ca
2Mg
2Si
2N
6は得られず、鉱物相不明のピークが見られた。
【0030】
比較例4(高圧焼成炉_複合窒化物_700℃_ハンドプレス)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN
2とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、700℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi
2Ca
2Mg
2Si
2N
6は得られず、MgSiN
2のピークが見られた。
【0031】
比較例5(高圧焼成炉_複合窒化物_1300℃_ハンドプレス)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN
2とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて0.9MPaにて、1300℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi
2Ca
2Mg
2Si
2N
6は得られず、鉱物相不明のピークが見られた。
【0032】
比較例6(管状炉_加圧無し)
露点−90℃以下に保っているグローブボックス内にて、LiCaNとMgSiN
2とEuCl
2(和光純薬社製)をモル比が100:100:1となるよう秤量した。秤量後、メノウ乳鉢と乳棒を用いて10分間混合した。混合した原料をハンドプレスにて、プレス圧0.1MPaで成型し、ペレット(直径3mm、厚み2mm)とした。ペレットを高圧焼成炉に入れ、窒素と水素が97:3の体積比で混合されたガスを用いて1L/minにて、900℃で12時間保持した。焼成後、高圧焼成炉から取り出し、XRDを用いて鉱物相の同定を行なったが、目的物であるLi
2Ca
2Mg
2Si
2N
6は得られなかった。
【0033】
実施例と比較例の結果を表3に示す。
【0034】
【表3】