(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969801
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】無線通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 12/06 20210101AFI20211111BHJP
H04W 52/38 20090101ALI20211111BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20211111BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W52/38
H04W76/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-4116(P2019-4116)
(22)【出願日】2019年1月15日
(65)【公開番号】特開2020-113912(P2020-113912A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松田 吉史
【審査官】
阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/126069(WO,A1)
【文献】
特開2005−079975(JP,A)
【文献】
特開2002−051381(JP,A)
【文献】
特開2008−199463(JP,A)
【文献】
特開2003−299146(JP,A)
【文献】
特表2007−536852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機が発する電波の出力レベルを通常の出力レベルよりも低下させる電波制御部と、
出力レベルが低下した電波を用いて応答要求を送信する送信部と、
少なくとも1以上の無線端末装置から前記応答要求に対する応答を受信したか否か判断し、前記応答を受信した場合に、ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断する監視部と、
前記接続許可を受け付けた場合に、前記応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録する登録部と、
前記識別情報リストに登録された識別情報が示す無線端末装置についてのみ、自機をアクセスポイントとして利用する無線通信を可能にする通信制御部と
を備え、
前記送信部は、前記監視部が前記無線端末装置から前記応答を受信したと判断した場合、前記応答を送信した前記無線端末装置に対し、前記ユーザの接続許可を確認するための接続許可確認情報を送信し、前記無線端末装置に対して前記接続許可確認情報を表示させる、無線通信装置。
【請求項2】
前記無線端末装置から電波を介して受信した信号の受信信号強度を算出する受信信号強度算出部を備え、
前記登録部は、前記監視部が前記応答を受信したと判断した場合、前記応答を送信した1以上の無線端末装置のうち前記受信信号強度が最大の無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記電波制御部は、前記接続許可を受け付けていない状態が一定時間続いた場合、前記電波の出力レベルを通常の出力レベルに戻す、請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記電波制御部は、前記ユーザの接続許可を受け付けた場合、前記登録部による前記無線端末装置の識別情報の登録後に、前記電波の出力レベルを通常の出力レベルに戻す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
無線端末装置との無線通信を制御するための通信制御方法であって、
自機が発する電波の出力レベルを通常の出力レベルよりも低下させるステップと、
出力レベルが低下した電波を用いて応答要求を送信するステップと、
少なくとも1以上の無線端末装置から前記応答要求に対する応答を受信したか否か判断するステップと、
前記応答を受信した場合に、前記応答を送信した前記無線端末装置に対し、ユーザの接続許可を確認するための接続許可確認情報を送信して、前記接続許可確認情報を表示させるステップと、
ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断するステップと、
前記接続許可を受け付けた場合に、前記応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録するステップと、
前記識別情報リストに登録された識別情報が示す無線端末装置についてのみ、自機をアクセスポイントとして利用する無線通信を可能にするステップと
を含む、通信制御方法。
【請求項6】
演算装置を備える無線通信装置において実行される通信制御プログラムであって、前記演算装置に対し、
自機が発する電波の出力レベルを通常の出力レベルよりも下げるステップと、
出力レベルが低下した電波を用いて応答要求を送信するステップと、
少なくとも1以上の無線端末装置から前記応答要求に対する応答を受信したか否か判断するステップと、
前記応答を受信した場合に、ユーザの接続許可を確認するための接続許可確認情報を、前記応答を送信した前記無線端末装置に送信し、前記無線端末装置に対して前記接続許可確認情報を表示させるステップと、
ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断するステップと、
前記接続許可を受け付けた場合に、前記応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録するステップと、
前記識別情報リストに登録された識別情報が示す無線端末装置についてのみ、自機をアクセスポイントとして利用する無線通信を可能にするステップと
を実行させる、通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラムに関し、特に、無線端末装置との間の無線通信を制御する無線通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセスポイントである無線LAN(Local Area Network)ルータの不正利用を防止する技術としてMAC(Media Access Control)アドレスによるフィルタリング機能が利用されている。フィルタリング機能では、無線LANルータは、予め登録されているMACアドレスの示す無線端末装置による通信接続を許可し、その他の無線端末装置による通信接続を許可しないことにより、無線LANルータを介した通信の不正利用を防止する。しかしながら、フィルタリング機能を利用する場合、ユーザ自身が無線端末装置のMACアドレスを無線LANルータに登録しなくてはならず、ユーザビリティが低いという問題があった。
【0003】
この点に関し、特許文献1が開示する通信装置は、無線端末装置から登録要求を受信した場合、フィルタリングを無効化して通信エリアを縮小した後、無線端末装置からの通信接続要求に応じて、当該無線端末装置の固有IDを取得してフィルタリストに登録することにより、無線端末装置の固有IDの登録を簡易化することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5561275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する通信装置では、縮小された通信エリア内に第三者の無線端末装置が存在する場合、第三者の無線端末装置が通信接続要求を通信装置に送信すると、第三者の無線端末装置の固有IDがフィルタリストに登録されてしまい、当該通信装置が、第三者の無線端末装置との間で無線通信接続を確立してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、無線端末装置の識別情報の登録を容易にすると共に、第三者の無線端末装置によるアクセスポイントの不正利用を防止することが可能な無線通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信装置は、自機が発する電波の出力レベルを通常の出力レベルよりも低下させる電波制御部と、出力レベルが低下した電波を用いて応答要求を送信する送信部と、少なくとも1以上の無線端末装置から前記応答要求に対する応答を受信したか否か判断し、前記応答を受信した場合に、ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断する監視部と、前記接続許可を受け付けた場合に、前記応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録する登録部と、前記識別情報リストに登録された識別情報が示す無線端末装置についてのみ、自機をアクセスポイントとして利用する無線通信を可能にする通信制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、無線端末装置の識別情報の登録を容易にすると共に、第三者の無線端末装置によるアクセスポイントの不正利用を防止することが可能な無線通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る無線通信装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る無線端末装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る無線通信装置が有する主要な構成要素を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る無線通信装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る無線通信装置の電波圏の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の通信システム1の一実施形態を示す概略図である。通信システム1は、無線通信装置10と、無線端末装置20とを含み、ユーザ宅等の屋内で構築される。無線通信装置10及び無線端末装置20は、無線LANを介して相互にデータ通信を行うことができる。また、無線通信装置10は、インターネット等の無線WAN(Wide Area Network)(図示せず)に接続され、無線端末装置20と外部の装置との間でデータを中継するアクセスポイントとして機能する。
【0011】
図2は、第1の実施形態に係る無線通信装置10の詳細な構成を示すブロック図である。無線通信装置10の具体例として、無線LANルータが挙げられる。無線通信装置10は、制御部100と、WANインタフェース110と、無線LANインタフェース120と、記憶装置130とを備える。
【0012】
制御部100は、無線通信装置10が備える装置や電子回路を制御する半導体集積装置である。制御部100は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を備えており、CPUが、本発明の通信制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、本発明の通信制御方法を実行する。本発明の通信制御プログラムには、プログラムモジュールである電波制御部101、送信部102、監視部103、登録部104、及び通信制御部105が含まれる。
【0013】
電波制御部101は、自機が発する電波の出力レベルを制御するプログラムモジュールである。具体的には、電波制御部101は、電波の出力レベルを通常のレベルから低下させることができる。これにより、
図6に示すように、無線通信装置10の電波圏が縮小し、無線通信装置10の近傍の無線端末装置のみが、無線通信装置10と無線通信をすることができる。電波の低下後の出力レベルは、無線通信装置10が設置された建物内や室内に在る無線端末装置20が、無線通信装置10と無線通信を行うことができるレベルとすることが好ましい。また、電波制御部101は、低下した電波の出力レベルを通常のレベルに戻すことができる。
【0014】
送信部102は、無線通信を介して種々のデータを送信するプログラムモジュールである。送信部102は、電波の出力レベルが低下した状態において、無線端末装置20に対して応答を要求する応答要求をブロードキャストする。また、送信部102は、無線通信装置10と無線端末装置20との間の無線通信接続を確立することについての許可(以下、「接続許可」とする。)をユーザに確認するための情報(以下、「接続許可確認情報」とする。)を無線端末装置20に送信する。
【0015】
監視部103は、少なくとも1以上の無線端末装置から応答要求に対する応答を受信したか否か判断すると共に、ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断するプログラムモジュールである。ユーザは、無線通信装置10の操作ボタンやGUI(Graphical User Interface)設定画面等のユーザインタフェースを介して、無線通信装置10に対し接続許可を指示することができる。
【0016】
登録部104は、応答要求に対する応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録するプログラムモジュールである。識別情報リストには、ユーザの接続許可を受け付けた場合にのみ、当該1つの無線端末装置の識別情報(MACアドレス等)が登録される。
【0017】
通信制御部105は、フィルタリング機能を実現するプログラムモジュールであり、識別情報リストに登録された識別情報が示す無線端末装置のみについて、無線通信装置10をアクセスポイントとして利用する無線通信を可能にする。
【0018】
WANインタフェース110は、インターネット等のWANとの間のデータの送受信を行う装置である。WANインタフェース110は、受信回路及び送信回路を備える。受信回路は、他の装置からWANを介して種々のデータを受信すると、これらのデータを制御部100に提供する。送信回路は、制御部100の制御下で、WANを介して種々のデータを送信する。
【0019】
無線LANインタフェース120は、アンテナ(図示せず)を介した無線LAN通信を制御する装置である。無線LANインタフェース120は、受信回路及び送信回路を備える。受信回路は、他の装置からアンテナを介して種々のデータを受信すると、これらのデータを制御部100に提供する。送信回路は、制御部100の制御下で、アンテナを介して種々のデータを送信する。
【0020】
記憶装置130は、本発明の通信制御プログラム及び識別情報リスト等の種々のデータが保存される記憶装置である。
【0021】
図3は、第1の実施形態に係る無線端末装置20の詳細な構成を示すブロック図である。無線端末装置20の具体例として、無線通信機能を有するPCやスマートフォン、タブレット型端末装置等が挙げられる。無線端末装置20は、制御部200と、表示装置210と、無線LANインタフェース211とを備える。
【0022】
制御部200は、無線端末装置20が備える装置や電子回路を制御する半導体集積装置である。制御部200は、CPU及びRAMを備えており、CPUが種々のプログラムをRAMに展開して実行する。
【0023】
通信制御部201は、無線通信装置10との間の無線LANデータ通信を制御するプログラムモジュールである。通信制御部201は、アンテナ(図示せず)を介して自機の識別情報(MACアドレス等)を電波に載せて送信する。また、通信制御部201は、無線通信装置10から応答要求を受信すると、当該応答要求に対する応答を返信する。さらに、通信制御部201は、無線通信装置10との間で無線通信接続を確立する。
【0024】
表示制御部202は、表示装置210を制御して種々のデータを表示するプログラムモジュールである。表示装置210は、表示制御部202の制御下で画像データ等の種々の情報を表示する装置である。表示制御部202は、無線通信装置10から接続許可確認情報を受信すると、当該接続許可確認情報を表示装置210に表示する。
【0025】
無線LANインタフェース211は、アンテナ(図示せず)を介した無線LAN通信を制御するインタフェースである。無線LANインタフェース211は、受信回路及び送信回路を備える。受信回路は、他の装置からアンテナを介して種々のデータを受信すると、これらのデータを制御部200に提供する。送信回路は、制御部200の制御下で、アンテナを介して自機の識別情報等の種々のデータを送信する。
【0026】
図4は、第1の実施形態に係る無線通信装置10が有する主要な構成要素を示すブロック図である。無線通信装置10は、主要な構成要素として電波制御部101と、送信部102と、監視部103と、登録部104と、通信制御部105とを備える。
【0027】
図5は、第1の実施形態に係る無線通信装置10が実行する処理を示すフローチャートである。
図5に示す処理は、ユーザが無線通信装置10の操作ボタンやGUI設定画面等のインタフェースを用いて、無線端末装置20の識別情報の登録を指示することによって開始する。
【0028】
ステップS101では、制御部100の電波制御部101が、自機のアンテナが発する電波の出力レベルを低下させる。ステップS102では、送信部102が、応答要求をブロードキャストする。ステップS103では、監視部103が、無線端末装置20から応答要求に対する応答を受信したか否か判断する。無線端末装置20から応答を検出していない場合(NO)、ステップS103の処理が再び実行される。一方、無線端末装置20から応答を受信した場合(YES)、ステップS104に処理が分岐する。
【0029】
ステップS104では、送信部102が、応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置に対し、接続許可確認情報を送信する。ステップS105では、監視部103は、ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断する。接続許可を受け付けていない場合(NO)、ステップS106に処理が分岐する。ステップS106では、監視部103は、接続許可確認情報を送信してから一定時間(任意の時間)が経過したか否か判断する。一定時間が経過していない場合(NO)、ステップS105に処理が戻る。一方、一定時間が経過した場合(YES)、ステップS108に処理が分岐する。
【0030】
ステップS105において接続許可を受け付けたと判断した場合(YES)、ステップS107に処理が分岐する。ステップS107では、登録部104が、当該1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録する。ステップS108では、電波制御部101は、自機のアンテナが発する電波の出力レベルを通常のレベルに戻し、
図5の処理が終了する。
【0031】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態では、無線通信装置10は、自機が発する電波の出力レベルを通常の出力レベルよりも低下させた状態で応答要求を送信し、当該応答要求に対する応答を受信したか否か判断する。無線端末装置20から応答を受信した場合、無線通信装置10は、ユーザの接続許可を受け付けたか否か判断し、当該接続許可を受け付けたとき、応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録する。そして、無線通信装置10は、識別情報リストに登録された識別情報が示す無線端末装置のみについて、自機をアクセスポイントとして利用する無線通信を可能にする。これにより、ユーザは、ユーザインタフェースを用いて無線通信装置10に接続許可を指示するだけで、当該1つの無線端末装置の識別情報が識別情報リストに登録されるため、無線端末装置20の識別情報の登録が容易になり、ユーザビリティが向上する。また、無線通信装置10が出力レベルを低下させた電波を用いて応答要求を送信することにより、無線通信装置10の近傍の無線端末装置のみが当該応答要求を受信でき、応答を返信することができる。これにより、無線通信装置10が発した電波が届かない場所に在る第三者の無線端末装置は、当該応答要求を受信できないため、第三者の無線端末装置によるアクセスポイントの不正利用を防止することができる。さらに、無線通信装置10は、ユーザが無線通信装置10に接続許可を指示した場合にのみ、無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録するため、第三者の無線端末装置によるアクセスポイントの不正利用を確実に防止することができる。
【0032】
また、無線通信装置10は、無線端末装置20から応答を受信した場合、応答を送信した1以上の無線端末装置のうち1つの無線端末装置に接続許可確認情報を送信し、当該接続許可確認情報が当該1つの無線端末装置の表示画面に表示される。これにより、ユーザは、自身の無線端末装置20に接続許可確認情報が表示されているか否か確認することにより、無線端末装置20が無線通信装置10と無線通信接続を確立しようとしているか否か把握でき、その上で、無線通信装置10に接続許可を指示することができる。一方、第三者の無線端末装置が当該接続許可確認情報を受信した場合、ユーザの無線端末装置20の表示画面には、当該接続許可確認情報が表示されない。これにより、無線端末装置20の識別情報の登録を指示したユーザは、第三者の無線端末装置が無線通信装置10と無線通信接続を確立しようとしていることを把握することができ、無線通信装置10に対して接続許可を指示しないことにより、第三者の無線端末装置によるアクセスポイントの不正利用を防止することができる。
【0033】
さらに、無線通信装置10は、ユーザの接続許可を受け付けていない状態が一定時間続いた場合、電波の出力レベルを通常の出力レベルに戻す。これにより、無線通信装置10と無線通信接続が確立されていた他の無線端末装置が、電波の出力レベルに低下によって無線通信装置10の電波圏から外れた場合において、ユーザが無線通信装置10に接続許可を指示することを失念したときでも、当該他の無線端末装置が無線通信装置10と無線通信が可能な状態を回復することができる。
【0034】
さらに、無線通信装置10は、ユーザの接続許可を受け付けた場合、無線端末装置20の識別情報が登録された後に、電波の出力レベルを通常の出力レベルに戻す。これにより、無線通信装置10と無線通信接続が確立されていた他の無線端末装置が、電波の出力レベルに低下によって無線通信装置10の電波圏から外れた場合でも、無線通信装置10と無線通信が可能な状態を速やかに回復することができる。
【0035】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、無線通信装置10は、無線端末装置20から電波を介して受信した信号の受信信号強度を算出する受信信号強度算出部をさらに備える。そして、登録部104は、応答要求に対する応答を送信した1以上の無線端末装置のうち受信信号強度が最大の無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録する。通常、第三者の無線端末装置は、無線通信装置10が設置された部屋や建物の外部に在るため、当該部屋や建物の内部に在るユーザの無線端末装置20の受信信号強度は、第三者の無線端末装置の受信信号強度よりも大きくなる。このため、登録部104が、応答を送信した1以上の無線端末装置のうち受信信号強度が最大の無線端末装置の識別情報を識別情報リストに登録することにより、真正のユーザの無線端末装置20の識別情報が識別情報リストに登録され、第三者の無線端末装置の識別情報が登録されるのを防ぐことができ、第三者の無線端末装置によるアクセスポイントの不正利用を防止することができる。
【0036】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて保存され、コンピュータに提供することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0037】
本発明は上述した実施形態に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、第1の実施形態及び第2の実施形態では、制御部100の備えるCPUが、プログラムモジュールである電波制御部101、送信部102、監視部103、登録部104、通信制御部105及び受信信号強度算出部を実行するが、他の実施形態では、これらのプログラムモジュールを個別又は同一の論理回路に実装して、上述した処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 通信システム
10 無線通信装置
20 無線端末装置